説明

フルオロポリマー被膜フィルム、それの形成方法、およびフルオロポリマー液体組成物

多層フィルムの形成方法は、高分子基材フィルムを液体フルオロポリマーコーティングで被膜する工程を含む。液体フルオロポリマーコーティングは、フルオロポリマー、溶剤、相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、および架橋剤を含む。本方法は、架橋ポリマー網状構造をフルオロポリマーコーティング中に形成するために相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを架橋させる工程と、溶剤をフルオロポリマーコーティングから除去する工程と、フルオロポリマーコーティングを高分子基材フィルムに接着させる工程とを含む。液体フルオロポリマーコーティング組成物は、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、溶剤、相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、ならびに架橋剤を含む。フルオロポリマー被膜フィルムは、高分子基材フィルムと高分子基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングとを含む。フルオロポリマーコーティングは、フルオロポリマーと、相溶性の架橋接着性ポリマーとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フルオロポリマー被膜フィルム、フルオロポリマー被膜フィルムの形成方法、およびフルオロポリマー液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池(PV)セルは、日光から電気エネルギーを生産するために使用され、伝統的な発電方法に対し、より環境にやさしい代替法を提供する。これらの太陽電池は、湿気、酸素およびUV光などの環境影響から保護されなければならない様々な半導体システムから構築される。太陽電池は通常、太陽電池モジュールとして知られる多層構造を形成するガラスおよび/またはプラスチックフィルムの封止層によって両面に覆いを付けられる。フルオロポリマーフィルムは、それらの優れた強度、耐候性、耐UV性、および防湿性のために太陽電池モジュールにおける重要な構成要素として認められている。モジュール用のバッキングシートとして機能するフルオロポリマーフィルムと高分子基材フィルムとのフィルム複合材料が、これらのモジュールにおいて特に有用である。かかる複合材料は伝統的に、ポリエステル基材フィルム、具体的にはポリエチレンテレフタレートに接着された、フルオロポリマー、具体的にはポリフッ化ビニル(PVF)の予め形成されたフィルムから製造されてきた。PVFなどのフルオロポリマーがPVモジュールのバックシートとして使用されるとき、その特性は、モジュール寿命を著しく向上させ、25年以下のモジュール品質保証を可能にする。フルオロポリマーバックシートは、典型的にはPETが2つのPVFフィルムの間に挟まれた状態で、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとのラミネートの形態でしばしば用いられる。
【0003】
しかしながら、数年の屋外暴露後に層間剥離しない結合を有する高分子基材上の予め形成されたフルオロポリマーフィルムのラミネートは製造するのが困難である。Simmsに付与された特許文献1、Kimらに付与された特許文献2、およびSchmidtらに付与された特許文献3などの先行技術システムは、耐久性のあるラミネート構造物を製造するであろう予め形成されたフィルム用の下塗剤および接着剤を記載している。しかしながら、これらの方法は、実際の積層工程の前に、少なくとも1つの接着層、または下塗剤および接着層の両方の塗布を必要とする。積層工程は次に、ラミネートを形成するために加熱および加圧を必要とする。それ故、予め形成されたフルオロポリマーフィルムを使用する先行技術ラミネートは、製造するのに費用がかかるおよび/または資本集約的な設備を必要とする。予め形成されたフルオロポリマーフィルムは、製造およびその後の加工中に取り扱うための強度を提供するのに十分な厚さを持たなければならず、生じたラミネートはまた、フルオロポリマーの厚い層、すなわち、有効な保護層に必要であるものより厚い層を組み込むかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,133,854号明細書
【特許文献2】米国特許第5,139,878号明細書
【特許文献3】米国特許第6,632,518号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基材への強い接着性およびフルオロポリマー被膜フィルムの良好な耐久性を同様に提供しながら、予め形成されたフルオロポリマーフィルムでラミネートを製造するよりも少ない全体加工工程でフルオロポリマー被覆高分子基材フィルムを提供する。加えて、コーティングの形態でのフルオロポリマーの提供は、より薄い、より費用効率が高いフルオロポリマーコーティング層を可能にする。フルオロポリマーコーティングの使用はまた、フルオロポリマー被膜フィルムの意図される使用に合わせられたフルオロポリマー層中への添加剤、例えば、バリア特性を向上させることができるフィラーの組み込みを可能にする。
【0006】
多層フィルムの形成方法は、高分子基材フィルムを液体フルオロポリマーコーティングで被膜する工程を含む。液体フルオロポリマーコーティングは、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、溶剤、相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、ならびに架橋剤を含む。本方法は、架橋ポリマー網状構造をフルオロポリマーコーティング中に形成するために相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを架橋させる工程と、溶剤をフルオロポリマーコーティングから除去する工程と、フルオロポリマーコーティングを高分子基材フィルムに接着させる工程とをさらに含む。
【0007】
液体フルオロポリマーコーティング組成物は、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、溶剤、相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、ならびに架橋剤を含む。
【0008】
フルオロポリマー被膜フィルムは、高分子基材フィルムと高分子基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングとを含む。フルオロポリマーコーティングは、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、ならびに相溶性の架橋接着性ポリマーを含む。相溶性の架橋接着性ポリマーは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含む。高分子基材フィルムは、相溶性の架橋接着性ポリマーと相互作用して高分子基材フィルムへのフルオロポリマーコーティングの結合を促進する官能基を含む。
【0009】
前述の要約および以下の詳細な説明は、例示的および説明的なものであるにすぎず、添付の特許請求の範囲に明確にされるような、本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1態様では、多層フィルムの形成方法は、高分子基材フィルムを液体フルオロポリマーコーティングで被膜する工程を含む。液体フルオロポリマーコーティングは、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、溶剤、相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、ならびに架橋剤を含む。本方法は、架橋ポリマー網状構造をフルオロポリマーコーティング中に形成するために相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを架橋させる工程と、溶剤をフルオロポリマーコーティングから除去する工程と、フルオロポリマーコーティングを高分子基材フィルムに接着させる工程とをさらに含む。
【0011】
第1態様の一実施形態では、架橋工程、除去工程、および接着工程は、加熱によって行われる。より具体的な実施形態では、フルオロポリマーは、分散系中の粒子の形態にあり、加熱はフルオロポリマーの融合をさらに含む。別のより具体的な実施形態では、加熱は単回加熱である。さらにより具体的な実施形態では、加熱は、約150℃〜250℃の範囲の温度に加熱することを含む。
【0012】
第1態様の別の実施形態では、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテル、エチレンビニルアルコールコポリマー、アミド、アクリルアミド、ウレタンおよびそれらの組み合わせから選択される。より具体的な実施形態では、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーは、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、エチレンビニルアルコールコポリマー、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0013】
第1態様のさらに別の実施形態では、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーの架橋工程は、ポリウレタン網状構造の形成を含む。第1態様のその上別の実施形態では、架橋剤は、イソシアネート官能性化合物またはブロックトイソシアネート官能性化合物を含む。
【0014】
第1態様のなおさらに別の実施形態では、接着工程は、高分子基材フィルムおよび相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、架橋剤またはそれらの組み合わせの官能基間に結合を形成することを含む。
【0015】
第1態様のさらなる実施形態では、本方法は、相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、接着剤、またはそれらの組み合わせと結合を形成することができる追加の官能基を提供するために、被膜する前に高分子基材フィルムを改質する工程をさらに含む。より具体的な実施形態では、改質工程は、表面活性化プロセスの使用を含む。
【0016】
第1態様のもっとさらなる実施形態では、被膜する工程は、高分子基材フィルムの両面をフルオロポリマーコーティングで被膜することを含む。
【0017】
第2態様では、液体フルオロポリマーコーティング組成物は、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、溶剤、相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、ならびに架橋剤を含む。
【0018】
第2態様の一実施形態では、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含む。第2態様の別の実施形態では、架橋剤は、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含む。
【0019】
第2態様のさらに別の実施形態では、架橋剤は、イソシアネート官能性化合物またはブロックトイソシアネート官能性化合物を含む。第2態様のさらにその上別の実施形態では、フルオロポリマーは、フッ化ビニルのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニルを含むコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニリデン含むコポリマーから選択される。
【0020】
第2態様のさらなる実施形態では、フルオロポリマーコーティングは、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約40重量%の相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを含む。第2態様のもっとさらなる実施形態では、フルオロポリマーコーティングは顔料をさらに含む。具体的な実施形態では、フルオロポリマーコーティングは、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約35重量%の顔料を含む。
【0021】
第2態様のその上さらなる実施形態では、フルオロポリマーは、溶剤中の分散系粒子の形態にあり、溶剤はジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、またはそれらの組み合わせを含む。
【0022】
第3態様では、フルオロポリマー被膜フィルムは、高分子基材フィルムと高分子基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングとを含む。フルオロポリマーコーティングは、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、ならびに相溶性の架橋接着性ポリマーを含む。相溶性の架橋接着性ポリマーは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含む。高分子基材フィルムは、相溶性の架橋接着性ポリマーと相互作用して高分子基材フィルムへのフルオロポリマーコーティングの結合を促進する官能基を含む。
【0023】
第3態様の一実施形態では、相溶性の架橋接着性ポリマーは、ポリエステル、ポリエステルウレタン、ポリカーボネート、ポリカーボネートウレタン、ポリアクリレート、アクリルポリウレタン、ポリエーテル、ポリエーテルウレタン、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマーウレタン、ポリアミド、ポリアミドウレタン、ポリアミドウレア、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドウレタンおよびそれらの組み合わせから選択される。第3態様の別の実施形態では、フルオロポリマーコーティングは、フルオロポリマーと相溶性の架橋接着性ポリマーとの相互貫入網状構造を含む。
【0024】
第3態様のさらに別の実施形態では、フルオロポリマーは、フッ化ビニルのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニルを含むコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニリデンを含むコポリマーから選択される。第3態様のさらにその上別の実施形態では、フルオロポリマーコーティングは、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約40重量%の相溶性の架橋接着性ポリマーを含む。
【0025】
第3態様のさらなる実施形態では、フルオロポリマーコーティングは顔料をさらに含む。具体的な実施形態では、フルオロポリマーコーティングは、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約35重量%の顔料を含む。
【0026】
第3態様のもっとさらなる実施形態では、フルオロポリマーコーティングは、高分子基材フィルムの両面上にある。第3態様のさらにその上さらなる実施形態では、高分子基材フィルムは、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む。具体的な実施形態では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0027】
第3態様のその上別の実施形態では、フルオロポリマーコーティングは、約0.1〜約10.0ミルの厚さを有する。第3態様のその上さらなる実施形態では、高分子基材フィルムは約0.5〜約10ミルの厚さを有する。
【0028】
第3態様のさらに別の実施形態では、高分子基材フィルムはフィラーをさらに含む。第3態様のさらに別のさらなる実施形態では、太陽電池モジュール用のバックシートはフルオロポリマー被膜フィルムを含む。
【0029】
多くの態様および実施形態が上に記載されてきたが、例示的なものにすぎず、限定的なものではない。本明細書を読んだ後に、当業者は、他の態様および実施形態が本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを理解する。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0030】
フルオロポリマー
本発明の一態様に従ってフルオロポリマー被膜フィルムに有用なフルオロポリマーは、フッ化ビニル(VF)のホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデン(VF2)のホモポリマーおよびコポリマーから選択される。一実施形態では、フルオロポリマーは、フッ化ビニルのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニルを含むコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニリデンを含むコポリマーから選択される。より具体的な実施形態では、フルオロポリマーは、フッ化ビニルのホモポリマーおよび少なくとも80モル%のフッ化ビニルを含むコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよび少なくとも80モル%のフッ化ビニリデン含むコポリマーから選択される。フルオロポリマーと非フルオロポリマー、例えば、アクリルポリマーとのブレンド物もまた、本発明の幾つかの態様の実施に好適であるかもしれない。ホモポリマーポリフッ化ビニル(PVF)およびホモポリマーポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、本発明の具体的な態様の実施に好適である。ホモポリマーポリフッ化ビニルおよびフッ化ビニルのコポリマーから選択されたフルオロポリマーが、本発明の実施に特に有効である。
【0031】
一実施形態では、VFコポリマーまたはVF2コポリマーで、コモノマーは、フッ素化もしくは非フッ素化またはそれらの組み合わせであることができる。用語「コポリマー」とは、ダイポリマー、ターポリマー、テトラポリマーなどを形成するために、VFまたはVF2と任意数の追加のフッ素化モノマー単位とのコポリマーを意味する。非フッ素化モノマーが使用される場合、使用される量は、コポリマーがフルオロポリマーの望ましい特性、すなわち、耐候性、耐溶剤性、バリア特性などを保持するように制限されるべきである。一実施形態では、フルオロオレフィン、フッ素化ビニルエーテル、またはフッ素化ジオキソールをはじめとするフッ素化コモノマーが使用される。有用なフッ素化コモノマーの例には、とりわけ、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)およびパーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)が挙げられる。
【0032】
ホモポリマーPVDFコーティングは、高分子量PVDFから形成することができる。PVDFとアルキル(メタ)アクリレートポリマーとのブレンド物を使用することができる。ポリメチルメタクリレートが特に望ましい。典型的には、これらのブレンド物は、50〜70重量%のPVDFと30〜50重量%のアルキル(メタ)アクリレートポリマー、具体的な実施形態では、ポリメチルメタクリレートとを含むことができる。かかるブレンド物は、ブレンド物を安定化させるために相溶化剤および他の添加剤を含有してもよい。ポリフッ化ビニリデン、またはフッ化ビニリデンコポリマーと、主要成分としてのアクリル樹脂とのかかるブレンド物は、米国特許第3,524,906号明細書;米国特許第4,931,324号明細書;および米国特許第5,707,697号明細書に記載されている。
【0033】
ホモポリマーPVFコーティングは、高分子量PVFから形成することができる。好適なVFコポリマーは、Uscholdに付与された米国特許第6,242,547号明細書および米国特許第6,403,740号明細書に教示されている。
【0034】
相溶性の架橋可能な接着性ポリマーおよび架橋剤
本発明の一態様によるフルオロポリマー被膜フィルムに用いられる相溶性の架橋可能な接着性ポリマーは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、無水物およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含む。一実施形態では、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーは、(1)組成物中のフルオロポリマーと相溶性であるバックボーン組成と(2)基材フィルム表面上の補足的な官能基と反応することができるペンダント官能性とを有する。架橋可能な接着性ポリマーバックボーンとフルオロポリマーとの相溶性は変化するであろうが、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーがフルオロポリマーコーティングを高分子基材フィルムに固定するために望ましい量でフルオロポリマー中へ導入できる程に十分なものである。しかしながら一般に、主としてフッ化ビニルおよびフッ化ビニリデンから誘導されたホモポリマーおよびコポリマーは、上記の官能基を有するアクリル、ウレタン、脂肪族ポリエステル、ポリエステルウレタン、ポリエーテル、エチレンビニルアルコールコポリマー、アミド、アクリルアミド、ウレアおよびポリカーボネート・バックボーンに有利に働く相溶性特性を示すであろう。
【0035】
アクリルモノマーおよびアクリルアミドモノマーから誘導されたフリーラジカル付加ポリマーは、利用可能な大量の官能性モノマーを使用するペンダント官能基の導入に好適である。幾つかの代表的なものには、エポキシ基の導入のためのグリシジルアクリレートおよびメタクリレートが含まれる。これらは次に、エポキシ官能性アクリルとアンモニアまたは第一級アルキルアミンとの反応によって反応性のアミノアルコール基へ変換することができる。カルボン酸、イソシアネート、ヒドロキシルおよび無水物官能性は、それぞれ、アクリル酸/メタクリル酸、イソシアナトエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートまたは無水マレイン酸を使用して全て利用可能である。多数の他の官能性モノマーが当該技術分野で周知であるように官能基導入のために利用可能である。
【0036】
高分子基材フィルムが固有のヒドロキシルおよびカルボン酸官能基を持った未改質ポリエステルである、具体的な実施形態では、反応性ポリオール(例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオールなど)を、適切な架橋剤(例えば、イソシアネート官能性化合物またはブロックトイソシアネート官能性化合物)の存在下に相溶性の架橋可能な接着性ポリマーとして使用してフルオロポリマーコーティングを高分子基材フィルムに結合させることができる。結合は、反応性ポリオール、架橋剤、または両方の官能基によって起こってもよい。硬化させると、架橋したポリウレタン網状構造がコーティング中のフルオロポリマーとの相互貫入網状構造として形成される。加えて、架橋したポリウレタン網状構造はまた、フルオロポリマーコーティングをポリエステル基材フィルムに結合する官能性を提供すると考えられる。
【0037】
当業者は、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーおよび架橋剤の選択が、フルオロポリマーとの相溶性、選択されたフルオロポリマー溶液または分散系との相溶性、選択された高分子基材フィルム上でフルオロポリマーコーティングを形成するための処理条件とのそれらの適合性、フルオロポリマーコーティングの形成中に架橋した網状構造を形成するそれらの能力、および/またはフルオロポリマーコーティングと高分子基材フィルムとの間の強い接着を提供する結合を形成する点でそれらの官能基と高分子基材フィルムのそれらとの適合性に基づき得ることを理解するであろう。
【0038】
多数の架橋剤と相溶性の架橋可能な接着性ポリマーとの組み合わせが可能である。例には、エポキシ、無水物もしくはカルボン酸の相溶性の架橋可能な接着性ポリマーとのアミン官能性の架橋剤、カルボン酸もしくはアミン官能性の相溶性の架橋可能な接着性ポリマーとのエポキシ官能性の架橋剤、カルボン酸、もしくはアミン官能性の相溶性の架橋可能な接着性ポリマーとのアジリジン官能性の架橋剤、およびヒドロキシル官能性の相溶性の架橋可能な接着性ポリマーとのメラミン架橋剤が挙げられる。当業者は、本方法に使用中のポリマー系の特性および最終多層フィルムの所望の特性に基づいて、相溶性の接着性ポリマーおよび架橋剤を選択することができるであろう。
【0039】
顔料およびフィラー
必要ならば、様々な色、不透明度および/または他の特性効果は、製造中に顔料およびフィラーをフルオロポリマーコーティング組成物分散系中へ組み込むことによって達成することができる。一実施形態では、顔料は、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約35重量%の量で使用される。使用できる典型的な顔料には、無機ケイ質顔料(例えば、シリカ顔料)などの透明な顔料、および通常の顔料の両方が含まれる。使用できる通常の顔料には、二酸化チタン、および酸化鉄などの金属酸化物;金属水酸化物;アルミニウムフレークなどの金属フレーク;クロム酸鉛などのクロム酸塩;硫化物;硫酸塩;炭酸塩;カーボンブラック;シリカ;タルク;陶土;フタロシアニンブルーおよびグリーン、有機レッド;有機えび茶色ならびに他の有機顔料および染料が含まれる。一実施形態では、顔料のタイプおよび量は、フィルム形成中に用いられるかもしれない高い処理温度での安定性のために選択されるだけでなく、フルオロポリマーコーティングの望ましい特性、例えば、耐候性にいかなる有意な悪影響も避けるように選択される。
【0040】
顔料は、フルオロポリマー組成物と同じものであってもまたはそれと相溶性であってもよい分散樹脂であってその中へ顔料が組み込まれるべき分散樹脂と顔料を混合することによって練り顔料中へ調合することができる。顔料分散系は、砂細砕、ボールミリング、磨滅機細砕または2ロールミリングなどの、通常の方法によって形成することができる。一般的には必要とされないまたは使用されないが、ガラス繊維および鉱物フィラー、スリップ防止剤、可塑剤、核剤などの、他の添加剤を組み込むことができる。
【0041】
UV添加剤および熱安定剤
フルオロポリマーコーティング組成物は、添加剤として1つ以上の光安定剤を含有してもよい。光安定剤添加剤には、ヒドロキシベンゾフェノンおよびヒドロキシベンゾトリアゾールなどの紫外線を吸収する化合物が含まれる。他の可能な光安定剤添加剤には、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)および酸化防止剤が含まれる。必要ならば熱安定剤もまた使用することができる。
【0042】
バリア粒子
一実施形態では、フルオロポリマーコーティング組成物はバリア粒子を含む。具体的な実施形態では、粒子は小板形状の粒子である。かかる粒子は、水、溶剤および酸素などのガスが粒子それら自体を容易に通過することができないので、コーティングの塗布中に整列する傾向があり、水、溶剤およびガスの浸透を低下させる機械的バリアが生じたコーティング中に形成される。太陽電池モジュールで、例えば、バリア粒子は、フルオロポリマーの防湿性を実質的に増加させ、太陽電池に提供される保護を高める。幾つかの実施形態では、バリア粒子は、コーティング中にフルオロポリマー組成物の総乾燥重量を基準として約0.5〜約10重量%の量で存在する。
【0043】
典型的な小板形状のフィラー粒子の例には、雲母、ガラスフレークおよびステンレススチールフレーク、ならびにアルミニウムフレークが挙げられる。一実施形態では、小板形状の粒子は、酸化鉄または酸化チタンなどの酸化物層で被膜された雲母粒子をはじめとする、雲母粒子である。幾つかの実施形態では、これらの粒子は、約10〜200μm、より具体的な実施形態では、フレークの粒子の50%以下が約300μm超の平均粒度を有する状態で、20〜100μmの平均粒度を有する。酸化物層で被膜された雲母粒子は、米国特許第3,087,827号明細書(Klenke and Stratton);米国特許第3,087,828号明細書(Linton);および米国特許第3,087,829号明細書(Linton)に記載されている。これらの特許に記載されている雲母は、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、アンチモン、スズ、鉄、銅、ニッケル、コバルト、クロム、またはバナジウムの酸化物または水酸化物で被膜されている。被覆雲母の混合物もまた使用することができる。
【0044】
フルオロポリマー液体コーティング組成物調合物
フルオロポリマー液体コーティング組成物は、フルオロポリマーの溶液の形態か分散系の形態かのいずれかでフルオロポリマーを含有してもよい。フルオロポリマーの典型的な溶液または分散系は、フィルム形成/乾燥工程中に泡立ち形成を避けるのに十分に高い沸点を有する溶剤を使用して調製される。分散形態のポリマーについては、フルオロポリマーの融合に役立つ溶剤が望ましい。これらの溶液または分散系中のポリマー濃度は、溶液の作業可能な粘度を達成するために調節され、特定のポリマー、組成物の他の成分、ならびに用いられるプロセス設備およびプロセス条件で変わるであろう。一実施形態では、溶液については、フルオロポリマーは、組成物の総重量を基準として約10重量%〜約25重量%の量で存在する。別の実施形態では、分散系については、フルオロポリマーは、液体組成物の総重量を基準として約25重量%〜約50重量%の量で存在する。
【0045】
液体コーティング組成物中のポリマーの形態は、使用されるフルオロポリマーおよび溶剤のタイプに依存する。ホモポリマーPVFは普通は分散形態にある。ホモポリマーPVDFは、選択された溶剤に依存して分散系または溶液形態にあることができる。例えば、ホモポリマーPVDFは、ケトン、エステルおよび幾つかのエーテルなどの、多くの極性有機溶剤にて室温で安定な溶液を形成することができる。好適な例には、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)およびテトラヒドロフラン(THF)が挙げられる。コモノマー含有率および選択された溶剤に依存して、VFおよびVF2のコポリマーは、分散形態か溶液形態かのいずれで使用されてもよい。
【0046】
ホモポリマーポリフッ化ビニル(PVF)を使用する一実施形態では、好適なコバルトーティング調合物は、フルオロポリマーの分散系を使用して調製される。分散系の性質および調製は、米国特許第2,419,008号明細書;米国特許第2,510,783号明細書;および米国特許第2,599,300号明細書に詳細に記載されている。具体的な実施形態では、PVF分散系は、ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、またはジメチルスルホキシド中で形成される。
【0047】
フルオロポリマー液体コーティング組成物を分散形態で調製するために、フルオロポリマーおよび相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、架橋剤、ならびに、場合により1つ以上の分散剤および/または顔料は、一般に先ず好適な溶剤中でミルにかけられる。あるいはまた、様々な成分がミルにかけられるかまたは別個に適切に混合される。溶剤に可溶である成分はミリングを必要としない。
【0048】
多種多様なミルを分散系の調製のために使用することができる。典型的には、ミルは、ボールミル、Union Process(Akron,Ohio)から入手可能なATTRITOR(登録商標)、またはNetzsch,Inc.(Exton,Pennsylvania)から入手可能な「Netzsch」ミルなどのかき混ぜ媒体ミルにおけるように、砂、スチール弾、ガラスビーズ、セラミック弾、Zirconia、または小石などの、濃密なかき混ぜ細砕媒体を用いる。分散系は、PVFの脱凝集を引き起こすのに十分な時間ミルにかけられる。Netzschミルでの分散系の典型的な滞留時間は、30秒から10分の範囲である。
【0049】
相溶性の架橋可能な接着性ポリマーは、高分子基材フィルムへの所望の結合を提供するのに十分なレベルで、しかしフルオロポリマーの望ましい特性が有意に悪影響を受けないレベルより下で液体コーティング組成物中に用いられる。一実施形態では、液体コーティング組成物は、フルオロポリマーの重量を基準として、約1〜約40重量%の相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、より具体的な実施形態では、約1〜約25重量%の相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、さらにより具体的な実施形態では1〜約20重量%の相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを含有する。
【0050】
架橋剤は、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーの所望の架橋を提供するのに十分なレベルで液体コーティング組成物中に用いられる。一実施形態では、液体コーティング組成物は、架橋可能な接着性ポリマーのモル当量当たり約50〜約400モル%の架橋剤を含有する。より具体的な実施形態では、液体コーティング組成物は、架橋可能な接着性ポリマーのモル当量当たり約75〜約150モル%の架橋剤を含有する。別のより具体的な実施形態では、液体コーティング組成物は、架橋可能な接着性ポリマーのモル当量当たり約90〜約125モル%の架橋剤を含有する。
【0051】
高分子基材フィルム
本発明に使用される高分子基材フィルムは、広範な数のポリマーから選択されてもよく、熱可塑性樹脂が、より高い加工温度に耐えるそれらの能力のために望ましい。高分子基材フィルムは、相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、架橋剤、または両方と相互作用して基材フィルムへのフルオロポリマーコーティングの結合を促進する官能基をその表面上に含む。一実施形態では、高分子基材フィルムはポリエステル、ポリアミドまたはポリイミドである。具体的な実施形態では、高分子基材フィルム用のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押出物から選択される。
【0052】
フィラーもまた、それらの存在が基材の物理的特性、例えば、より高い弾性率および引張強度を向上させるかもしれない、基材フィルム中に含められてもよい。それらはまた、基材フィルムへのフルオロポリマーの接着を向上させるかもしれない。他のものもまた使用されてもよいが、一例示的なフィラーは硫酸バリウムである。
【0053】
被膜されるべき高分子基材フィルムの表面は、ポリエステルフィルムにおけるヒドロキシル基および/またはカルボン酸基、またはポリアミドフィルムにおけるアミンおよび/または酸官能性のように結合に好適な官能基を当然ながら有してもよい。高分子基材フィルムの表面上のこれらの固有の官能基の存在は、コーティングを高分子基材フィルム上に結合して多層フィルムを形成する方法を簡略化することによって商業利益を明らかに提供する。本発明は、高分子基材フィルムの固有の官能性を利用できる相溶性の架橋可能な接着性ポリマーおよび/または架橋剤をコーティング組成物中に用いる。このような方法で、未改質高分子基材フィルムは、(すなわち、別個の下塗層もしくは接着剤または別個の表面活性化処理を用いることなく)フルオロポリマーコーティングに化学結合して優れた接着の多層フィルムを形成することができる。用語「未改質高分子基材フィルム」は、本出願で用いるところでは、下塗層または接着剤を含まない、かつ、次の段落に記載されるものなどの表面処理または表面活性化を含まない高分子基材を意味する。加えて、下塗されていない高分子基材フィルムは、フルオロポリマーコーティングと化学結合して優れた接着の多層フィルムを形成することができる。用語「下塗されていない高分子基材フィルム」は、本出願で用いるところでは、下塗層を含まないが、次の段落に記載されるものなどの表面処理または表面活性化を含んでもよい高分子基材を意味する。
【0054】
多くの高分子基材フィルムは、フルオロポリマーコーティングへの結合に好適な追加の官能基を提供するための改質を必要とするか、または改質からさらなる恩恵を受けるかもしれないが、これは、表面処理、または表面活性化によって達成されてもよい。すなわち、表面は、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、無水物および/またはそれらの組み合わせの官能基を表面上に形成することによってより活性にすることができる。一実施形態では、表面活性化は、BFなどのガス状ルイス(Lewis)酸へまたは硫酸へまたは熱水酸化ナトリウムへな
どの、化学物質暴露によって達成することができる。あるいはまた、表面は、反対面を冷却しながら一面または両面を直火に曝すことによって活性化することができる。表面活性化はまた、コロナ処理または大気窒素プラズマ処理などの高周波数スパーク放電にフィルムをかけることによって達成することもできる。さらに、表面活性化は、フィルムを形成するときに高分子基材中へ相溶性コモノマーを組み込むことによって達成することができる。当業者は、相溶性官能基を高分子基材フィルムの表面上に形成するために使用されてもよい多種多様な方法を理解するであろう。
【0055】
加えて、フルオロポリマーコーティングへの結合に好適な追加の官能基を提供するための改質は、2007年7月5日に公開された、DeBergalisらの米国特許出願公開第2007/0154704 A1号明細書、「太陽電池モジュールに有用なフルオロポリマー被膜フィルム(FLUOROPOLYMER COATED FILMS USEFUL FOR PHOTOVOLTAIC MODULES)」に記載されているように、下塗層を高分子基材フィルムの表面に塗布してその表面官能性を増加させることによって行われてもよい。
【0056】
コーティング塗布
本発明の一態様に従ってフルオロポリマー被膜フィルムを製造するためのフルオロポリマー組成物は、予め形成されたフィルムを形成する必要が全くなしに通常のケーティング方法によって好適な高分子基材フィルムに液体として直接塗布することができる。かかるコーティングの製造技法には、キャスティング、浸し塗り、吹き付け塗りおよび塗装の従来法が含まれる。フルオロポリマーコーティングが分散形態のフルオロポリマーを含有するとき、それは、スプレー、ロール、ナイフ、カーテン、グラビヤ塗布機などの、従来手段、または縞もしくは他の欠陥なしに一様なコーティングの塗布を可能にする任意の他の方法を用いて、基材フィルム上へ分散系をキャストすることによって典型的に塗布される。一実施形態では、キャストされた分散系の乾燥コーティング厚さは、約2.5μm(0.1ミル)〜約250μm(10ミル)、より具体的な実施形態では約13μm(0.5ミル)〜約130μm(5ミル)である。
【0057】
塗布後に、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーは架橋され、溶剤は除去され、フルオロポリマーコーティングは高分子基材フィルムに接着される。フルオロポリマーが溶液形態にある幾つかの組成物で、液体フルオロポリマーコーティング組成物は、高分子基材フィルム上へ被膜し、周囲温度で風乾させることができる。融合フィルムを製造することは必要ではないが、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを架橋させるために、かつ、フルオロポリマーコーティングをより迅速に乾燥させるために、加熱が一般に望ましい。相溶性の架橋可能な接着性ポリマーの架橋、溶剤の除去、および高分子基材へのフルオロポリマーコーティングの接着は、単回加熱でまたは多数の加熱によって達成することができる。乾燥温度は約25℃(周囲条件)〜約200℃(オーブン温度−フィルム温度はそれより低いだろう)の範囲にある。用いられる温度はまた、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーおよび/または架橋剤中の官能基と高分子基材フィルムの官能基との相互作用を促進して高分子基材フィルムへのフルオロポリマーコーティングの安定した結合を提供するのに十分であるべきである。この温度は、用いられる相溶性の架橋可能な接着性ポリマーおよび架橋剤ならびに基材フィルムの官能基で広範に変化する。乾燥温度は、室温から下に議論されるように分散形態のフルオロポリマーの融合のために必要とされる温度を上回るオーブン温度までの範囲であることができる。
【0058】
組成物中のフルオロポリマーが分散形態にあるとき、相溶性の接着性ポリマーの架橋が起こるために、かつまた、フルオロポリマー粒子が連続フィルムへ融合するのに十分に高い温度にフルオロポリマーが加熱されるために、溶剤が除去されることが必要である。加えて、高分子基材フィルムへの結合が望ましい。一実施形態では、コーティング中のフルオロポリマーは、約150℃〜約250℃の温度に加熱される。使用される溶剤は望ましくは融合に役立つ、すなわち、溶剤が全く存在しない状態で必要であるものより低い温度がフルオロポリマーコーティングの融合のために用いられることを可能にする。従って、フルオロポリマーを融合させるために用いられる条件は、使用されるフルオロポリマー、キャストされた分散系および基材フィルムの厚さ、ならびに他の操作条件で変わるであろう。ホモポリマーPVFコーティングおよび約1〜約3分の滞留時間については、約340°F(171℃)〜約480°F(249℃)のオーブン温度を用いてフィルムを融合させることができ、約380°F(193℃)〜約450°F(232℃)の温度が特に満足できることが分かった。オーブン空気温度は、より低いだろう、フルオロポリマーコーティングが達する温度を勿論表すものではない。
【0059】
融合するフルオロポリマーの存在下での相溶性の接着性ポリマーの架橋網状構造の形成は、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーとフルオロポリマーとの相互貫入網状構造をもたらし、インターロックした網状構造を生み出す。従って、フルオロポリマーコーティング内に2つのポリマー網状構造の偏析または相分離があり、かつ、2つの網状構造間に化学結合が存在しない場合でさえ、強い耐久性のあるコーティングが依然として形成される。相溶性の架橋接着性ポリマーと高分子基材フィルムとの間に十分な結合が存在する限り、多層フィルムの層間の優れた接着を達成することができる。
【0060】
フルオロポリマーコーティング組成物は高分子基材フィルムに塗布される。一実施形態では、高分子基材フィルムはポリエステル、ポリアミド、またはポリイミドである。具体的な実施形態では、高分子基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートまたはポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押出物などのポリエステルである。別の実施形態では、フルオロポリマーコーティングは、基材フィルムの両面に塗布される。これは、高分子基材フィルムの両面に同時に行うことができるか、あるいはまた、被覆基材フィルムを乾燥させ、未被覆面の方に回転させ、同じ塗布ヘッドに再度かけてフィルムの反対側にコーティングを塗布してフィルム両面にコーティングを達成することができる。
【0061】
太陽電池モジュール
フルオロポリマー被膜フィルムは、太陽電池モジュールに特に有用である。太陽電池モジュールのための典型的な構成は、透明張り材料としてガラスの厚い層を含む。ガラスは、架橋エチレン酢酸ビニルなどの耐湿性プラスチックシーリング配合物中に埋め込まれている結晶性シリコンウェーハおよびワイヤを含む太陽電池を保護する。あるいはまた、薄膜太陽電池は、封止材料で両面にまた覆いを付けられているキャリアシート上のCIGS(銅−インジウム−ガリウム−セレン化物)、CTS(カドミウム−テルル−スルフィド)、a−Si(非晶質シリコン)およびその他などの、様々な半導体材料から適用することができる。バックシートが封止材料に接着される。フルオロポリマー被膜フィルムは、かかるバックシートのために有用である。フルオロポリマーコーティングは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含有する相溶性の架橋可能な接着性ポリマーとブレンドされたフッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマーを含む。高分子基材フィルムは、相溶性の架橋可能な接着性ポリマーと相互作用して基材フィルムへのフルオロポリマーコーティングの結合を促進する官能基をその表面上に含む。一実施形態では、高分子基材フィルムは、ポリエステル、より具体的な実施形態では、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレート共押出物からなる群から選択されたポリエステルである。ポリエステルは、電気絶縁性および防湿性を提供し、バックシートの経済的な構成要素である。幾つかの実施形態では、高分子基材フィルムの両面は、フルオロポリマーで被膜され、フルオロポリマーのコーティングの2層間のポリエステルのサンドイッチを生み出す。フルオロポリマーフィルムは、優れた強度、耐候性、耐UV性、および防湿性をバックシートに与える。
【実施例】
【0062】
本明細書に記載された概念は、以下の実施例にさらに記載され、実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない。
【0063】
試験方法
180度剥離強度
剥離強度は、モデル4201 Instronを2インチ/分で使用し、ピーク値を記録し、3サンプルを平均して測定する(ASTM D1876−01 T−剥離試験(T−Peel Test))。サンプルが剥離開始工程中に手動により容易に剥離する場合には、0の値を記録した。
【0064】
湿潤剥離試験
湿潤キャビネットから取り出した後、サンプルをカミソリナイフおよび直線エッジで切り込み線を入れて1/4インチ幅のストリップを生成する。1インチ突出部を取っ手として使用し、このタブを、フィルムが破壊するかまたは剥離が生じるかのいずれかまで、ゆっくりした等張力で、おおよそ180度の角度で引っ張る。EVA/ガラス界面かEVA/フルオロポリマーコーティング界面かのいずれかでのフィルム破壊および剥離は、合格結果と考えられる。フルオロポリマーコーティングとPET基材との間の剥離は、不合格と考えられる。
【0065】
クロスハッチ接着性
湿潤キャビネットから取り出した後、サンプルを、ステンレススチール型板の支援下に、カミソリナイフで切り込み線を入れて、フィルムを貫いてガラス表面まで、約3/32インチ(2.4mm)離れた、11の平行な切れ目を作る。この手順を、第1切れ目に直角に繰り返して100の正方形の格子を生成する。透明なテープ(3M Brand No.467 PSAテープ)のストリップ、0.75×2.16インチ(1.9×5.5cm)を、テープが刻印線に平行の方向に向いた状態で、刻印区域の一面に強く押し付ける。テープを次に90°角度で素速く、しかしぐいと引っ張ることなく引き離す。フルオロポリマーコーティングとPET基材との間のいかなる破損も不合格と考えられる。
【0066】
ポリエステルウレタン/PVFブレンド組成物
実施例1
実施例1は、未改質高分子基材フィルムへのフルオロポリマーコーティングの接着を実証する。ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体(Desmodur(登録商標)N−3300、Bayer MaterialScience)を使用してPVFベースのフルオロポリマーコーティングへ架橋された様々なポリエステルジオールおよびトリオール(Desmophen(登録商標)、Bayer MaterialScience)は、未改質PETへの接着性を示す。表1に示すポリエステルは代表的なものである。
【0067】
【表1】

【0068】
手順:
1.表1に示すポリエステルのそれぞれを、プロピレンカーボネート中の42%固形分PVF分散系(プロピレンカーボネート中のポリエステルの50%固形分溶液を使用する100部PVF当たり30部ポリエステル)、ポリエステルヒドロキシル含有率に対して当量のDesmodur(登録商標)N−3300(ポリイソシアネート架橋剤)および100部PVF当たり0.02部ジブチルスズジラウレートと組み合わせた。
【0069】
2.生じた混合物を、ペイント振盪機で15分間振盪した。
【0070】
3.混合物を、12ミルのドローダウンナイフを用いて未改質3ミルのMelinex(登録商標)442 PETフィルム(DuPont Teijin Films)上にドローダウンした。
【0071】
4.純PVF分散系の重い滴を湿潤試験フィルムの一端に沿って塗布してベーキング後に剥離を開始する補助物を作製した。
【0072】
5.フィルムを保持するための型枠を使用して被膜フィルムを220℃オーブン中で5分間ベーキングした。
【0073】
6.冷却後に、純PVFビーズを使用して剥離を開始し、サンプルを1インチ幅ストリップへ切断し、機器剥離強度を測定した。
【0074】
得られた剥離強度を表2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
実施例2
実施例2は、未改質高分子基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングの接着強度への相溶性の架橋接着性ポリマー組成物の影響を実証する。幾つかの相溶性の架橋接着性ポリマーは、他のものより良好に機能し、はるかにより低い濃度で接着を促進することができる。表3は、100部PVF当たり10〜30部ポリエステルに変えたDesmophen(登録商標)F−2060BおよびS−101P−55ポリエステルについての結果を示す。表4は、100部PVF当たり1〜10部ポリエステルのDesmophen(登録商標)F−2060Bについての結果を示す。サンプル10〜25はそれぞれ、より重いPETウェブ、5ミルMylar(登録商標)A(DuPont Teijin Films)を使用して作製した。
【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
実施例3
実施例3は、未改質高分子基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングの接着強度への架橋剤組成の影響を実証する。表5は、使用したDesmodur(登録商標)N−3300架橋剤の量の関数としての様々なポリエステルについての接着結果を示す。
【0080】
【表5】

【0081】
実施例4
実施例4は、未改質高分子基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングの接着強度への架橋剤組成の影響を実証する。加えて、本実施例は、高分子基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングの接着強度への顔料の影響を実証する。表6は、HMDIイソシアヌレート三量体(Desmodur(登録商標)N−3300)かHMDIビウレット三量体(Desmodur(登録商標)N−75)かのいずれかで架橋されたポリエステルDesmophen(登録商標)F−2060Bについての接着結果の比較を示す。結果は、Desmodur(登録商標)N−75が同様にうまくこのシステムで接着を促進するのに有効であることを示す。サンプル46〜55は、3ミルMelinex(登録商標)442ウェブについて上の実施例1に記載された手順を用いたが、加えて100部PVF当たり45部の白色顔料を含有した。
【0082】
【表6】

【0083】
ポリカーボネートウレタン/PVFブレンド組成物
実施例5
実施例5は、フルオロポリマーコーティング中の相溶性の架橋接着性ポリマーの組成の関数としての未改質高分子基材フィルムへのフルオロポリマーコーティングの接着をさらに実証する。表7は、未改質PET表面上に形成されたときのPVFマトリックス中のポリカーボネートウレタン網状構造についての接着結果を示す。ポリカーボネートウレタンは、Desmodur(登録商標)N−3300イソシアネート官能性架橋剤と反応させた、ポリカーボネートジオール、Desmophen(登録商標)C−2200(Bayer MaterialScience)に由来する。用いた手順は、ポリエステルウレタンについて上に記載されたものと同じものである。全てのサンプルは、ポリカーボネートジオールに対して当量のイソシアネート架橋剤を使用し、PVFの100部当たり0.02部のジブチルスズジラウレートを使用した。Desmophen(登録商標)C−2200は形式上、1,6−ヘキサンジオール・プラス炭酸から誘導される2000MWポリカーボネートである。結果は、顔料の不存在下に低濃度のポリカーボネートウレタンでの強い接着を示す。
【0084】
【表7】

【0085】
実施例6
表8は、100部PVF当たり1部ポリカーボネートおよびポリカーボネートジオールに対して当量の架橋剤で実施例5におけるようにポリカーボネートウレタンブレンド調合物への白色顔料の添加についての接着結果を示す。結果は、顔料がこの調合物で接着結合の形成を妨害し得ることを明確に示す。
【0086】
【表8】

【0087】
実施例7
表9は、実施例5および6に記載された、しかし顔料の存在を可能にするタイプの調合物についての接着結果を示す。当量を超えるイソシアネート官能性架橋剤と組み合わせてポリカーボネートジオールの量を増やすと、顔料を許容し、かつ、ポリカーボネートウレタン/PVFブレンド物と未改質PETウェブとの間の強い接着結合を依然として提供する調合物を生成する。10部ポリカーボネートジオールおよび30部白色顔料で、最良の結合は、ポリカーボネートジオールに対して150〜200モル%の架橋剤の範囲で達成される。
【0088】
【表9】

【0089】
実施例8
実施例8は、商業上実用的な条件下でのコーティング法を実証する。加えて、本実施例は、太陽電池バックシート試験に共通している虐待的な熱および湿気条件を切り抜ける耐久性のある結合を生成するのに十分な加熱の重要性を示す。これらのサンプルの全てが、150モル%か200モル%かのいずれかのポリイソシアネート架橋剤(Desmodur(登録商標)N−3300)と組み合わせてPVFに対して10部のポリカーボネートジオール(Desmophen(登録商標)C−2200)を有する。加えて、それぞれは、100部PVF当たり0.02部ジブチルスズジラウレート触媒および30部白色顔料を使用した。コーティング混合物を、リバース・グラビア法を用いて未改質3ミルPETウェブ(Melinex(登録商標)377)に塗布し、次に3−ゾーン浮上オーブン中でベーキングした。それぞれ5フィート長さのオーブンゾーンを、コーティング前に300°F/350°F/430°Fに調節した。ライン速度を5〜30フィート毎分に変えた。
【0090】
生じたコーティングを次に、EVAに結合するために携帯型スパーク処理機を用いて外面をコロナ処理した。模擬太陽電池モジュールを、太陽電池業界に共通しているEVA封止樹脂15295P/UF(Specialized Technology Resources,Inc.)を使用してガラスパネルへの真空積層によって形成した(150℃で10分真空+5分加圧)。生じたパネルは次の構成を有した:
3ミルPET/1ミルコーティング/26ミルEVA/125ミルガラスパネル。
【0091】
この方法で作製したサンプルを次に、85℃/85%湿度暴露に6週間かけた。剥離およびクロスハッチ試験を0、2、4および6週間暴露時点で行った。コーティングとEVAとの間の結合は強すぎて手で剥離できなかった。止血鉗子をタブ上へ固定し、次に剥離を強制するために加撚した。結果を、剥離試験については表10に、クロスハッチ試験については表11に示す。
【0092】
【表10】

【0093】
【表11】

【0094】
要約または実施例で上に記載された活動の全てが必要とされるわけではないこと、具体的な活動の一部が必要とされないかもしれず、そして1つ以上のさらなる活動が記載されたものに加えて行われてもよいことに留意されたい。さらに、活動がリストされている順番は、必ずしもそれらが行われる順番ではない。本明細書を読んだ後に、当業者は、どの活動をそれらの具体的なニーズまたは要望向けに用い得るかを決定することができるであろう。
【0095】
前述の明細書において、本発明は、具体的な実施形態に関連して記載されてきた。しかしながら、当業者は、1つ以上の修正または1つ以上の他の変更が、下記の特許請求の範囲に述べられるような本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解する。従って、本明細書および図は、限定的な意味でよりもむしろ例示的な意味で考えられるべきであり、任意のおよび全てのかかる修正および他の変更は、発明の範囲内に含められることが意図される。
【0096】
任意の1つ以上の利益、1つ以上の他の利点、1つ以上の問題の1つ以上の解決策、またはそれらの任意の組み合わせが1つ以上の具体的な実施形態に関して上に記載されてきた。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、または任意の利益、利点、もしくは解決策を生み出させる、もしくはより顕著にならせるかもしれないいかなる要素も、特許請求の範囲のいずれかもしくは全ての決定的に重要な、必要な、もしくは本質的な特徴もしくは要素と解釈されるべきではない。
【0097】
明確にするために、別個の実施形態との関連で上におよび下に記載される本発明のある種の特徴はまた、単一実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが理解されるべきである。逆に、簡潔にするために、単一実施形態との関連で記載される本発明の様々な特徴はまた、別々にまたは任意の副次的な組み合わせで提供されてもよい。さらに、範囲で記載される値の言及には、当該範囲内のそれぞれの値およびあらゆる値が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子基材フィルムを、
フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、
溶剤、
相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、ならびに
架橋剤
を含む液体フルオロポリマーコーティングで被膜する工程と、
架橋ポリマー網状構造を前記フルオロポリマーコーティング中に形成するために前記相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを架橋させる工程と、
前記溶剤を前記フルオロポリマーコーティングから除去する工程と、
前記フルオロポリマーコーティングを前記高分子基材フィルムに接着させる工程と
を含む、多層フィルムの形成方法。
【請求項2】
架橋工程、除去工程、および接着工程が加熱によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フルオロポリマーが分散系中の粒子の形態にあり、そして
加熱が前記フルオロポリマーを融合することをさらに含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
加熱が単回加熱である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
加熱が約150℃〜250℃の範囲の温度に加熱することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
相溶性の架橋可能な接着性ポリマーが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテル、エチレンビニルアルコールコポリマー、アミド、アクリルアミド、ウレタンおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
相溶性の架橋可能な接着性ポリマーが、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、エチレンビニルアルコールコポリマー、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを架橋させる工程がポリウレタン網状構造を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
架橋剤がイソシアネート官能性化合物またはブロックトイソシアネート官能性化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
接着工程が、高分子基材フィルムおよび相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、架橋剤、またはそれらの組み合わせの官能基間に結合を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
高分子基材フィルムが、下塗されていない高分子基材フィルムである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
高分子基材フィルムが、未改質高分子基材フィルムである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、架橋剤、またはそれらの組み合わせと結合を形成することができる追加の官能基を提供するために、被膜する前に高分子基材フィルムを改質する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
改質工程が表面活性化プロセスの使用を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
被膜する工程が、高分子基材フィルムの両面をフルオロポリマーコーティングで被膜することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、
溶剤、
相溶性の架橋可能な接着性ポリマー、ならびに
架橋剤
を含む液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項17】
相溶性の架橋可能な接着性ポリマーが、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含む、請求項16に記載の液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項18】
架橋剤が、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含む、請求項16に記載の液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項19】
架橋剤がイソシアネート官能性化合物またはブロックトイソシアネート官能性化合物を含む、請求項16に記載の液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項20】
フルオロポリマーが、フッ化ビニルのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニルを含むコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニリデンを含むコポリマーから選択される、請求項16に記載の液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項21】
フルオロポリマーコーティングが、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約40重量%の相溶性の架橋可能な接着性ポリマーを含む、請求項16に記載の液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項22】
フルオロポリマーコーティングが顔料をさらに含む、請求項16に記載の液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項23】
フルオロポリマーコーティングが、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約35重量%の顔料を含む、請求項22に記載の液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項24】
フルオロポリマーが溶剤中の分散粒子の形態にあり、そして前記溶剤がジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の液体フルオロポリマーコーティング組成物。
【請求項25】
高分子基材フィルムと、
高分子基材フィルム上の、
フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されたフルオロポリマー、ならびに
カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシル、およびそれらの組み合わせから選択された官能基を含む相溶性の架橋接着性ポリマー
を含むフルオロポリマーコーティングと
を含むフルオロポリマー被膜フィルムであって、
前記高分子基材フィルムが、前記相溶性の架橋接着性ポリマーと相互作用して前記高分子基材フィルムへの前記フルオロポリマーコーティングの結合を促進する官能基を含む、フルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項26】
相溶性の架橋接着性ポリマーが、ポリエステル、ポリエステルウレタン、ポリカーボネート、ポリカーボネートウレタン、ポリアクリレート、アクリルポリウレタン、ポリエーテル、ポリエーテルウレタン、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマーウレタン、ポリアミド、ポリアミドウレタン、ポリアミドウレア、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドウレタンおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項27】
フルオロポリマーコーティングが、フルオロポリマーと、相溶性の架橋接着性ポリマーとの相互貫入網状構造を含む、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項28】
フルオロポリマーが、フッ化ビニルのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニルを含むコポリマーならびにフッ化ビニリデンのホモポリマーおよび少なくとも60モル%のフッ化ビニリデンを含むコポリマーから選択される、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項29】
フルオロポリマーコーティングが、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約40重量%の相溶性の架橋接着性ポリマーを含む、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項30】
フルオロポリマーコーティングが顔料をさらに含む、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項31】
フルオロポリマーコーティングが、フルオロポリマー固形分を基準として約1〜約35重量%の顔料を含む、請求項30に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項32】
フルオロポリマーコーティングが高分子基材フィルムの両面上にある、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項33】
高分子基材フィルムが、下塗されていない高分子基材フィルムである、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
高分子基材フィルムが未変性高分子基材フィルムである、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
高分子基材フィルムがポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項36】
ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項37】
フルオロポリマーコーティングが約0.1〜約10.0ミルの厚さを有する、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項38】
高分子基材フィルムが約0.5〜約10ミルの厚さを有する、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項39】
高分子基材フィルムがフィラーをさらに含む、請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルム。
【請求項40】
請求項25に記載のフルオロポリマー被膜フィルムを含む太陽電池モジュール用のバックシート。

【公表番号】特表2010−526886(P2010−526886A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506222(P2010−506222)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/005014
【国際公開番号】WO2008/133848
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】