説明

フルオロ置換シクロアルカノインドール及びそのプロスタグランジンD2受容体拮抗薬としての使用

【課題】プロスタグランジンD2が介在する疾患、特に鼻充血、鼻炎、喘息に対して有効な新規化合物及び該化合物を含有する医薬組成物の提供。
【解決手段】式(I)


[式中、nは、0又は1であり;mは、1,2又は3であり;RはH、C−Cアルキル、ハロゲン化C−Cアルキル又はシクロプロピルであり;Rは、4−クロロフェニル又は2,4,6−トリクロロフェニルである]で表されるフルオロ置換シクロアルカノインドール誘導体及びその製薬上許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジン介在疾患を治療するための化合物及び方法、並びに、その特定の医薬組成物に関する。より詳細には、本発明の化合物は、ステロイド類、抗ヒスタミン類又はアドレナリン作動薬とは構造的に異なっており、D型プロスタグランジン類の鼻充血効果及び肺血管充血効果の拮抗薬である。
【背景技術】
【0002】
2つの総説論文に、プロスタノイド受容体のキャラクタリゼーション及び治療上の関連性、並びに、最も一般的に使用される選択的作動薬及び拮抗薬について記載されている: Eicosanoids: From Biotechnology to Therapeutic Applications, Folco, Samuelsson, Maclouf and Velo eds, Plenum Press, New York, 1996, chap. 14, 137-154 and Journal of Lipid Mediators and Cell Signalling, 1996, 14, 83-87。1997年のT. Tsuriらの論文(Journal of Medicinal Chemistry, vol 40, pp. 3504-3507)には、「PGD2は、アレルギー性鼻炎、アトピー性喘息、アレルギー性結膜炎及びアトピー性皮膚炎などの種々のアレルギー性疾患における重要な媒介物質であると考えられる」と記載されている。最近、Matsuokaらの論文(Science(2000), 287:2013-7)において、PGD2がアレルギー性喘息の主要な媒介物質であると記載された。さらに、米国特許第4,808,608号などの特許には、プロスタグランジン拮抗薬がアレルギー性疾患の治療において有用であることが記載されており、また、プロスタグランジン拮抗薬がアレルギー性喘息の治療において有用であることが明示されている。PGD2拮抗薬は、例えば、欧州特許出願公開第837,052号並びに国際公開第98/25919号及び国際公開第99/62555号などに記載されている。
【0003】
米国特許第4,808、608号には、プロスタグランジン拮抗薬としてのテトラヒドロカルバゾール-1-アルカン酸誘導体が開示されている。
【0004】
国際公開第O1/79169号には、式:
【0005】
【化5】

で表されるPGD2拮抗薬が開示されている。
【0006】
欧州特許出願公開第468,785号には、化合物4-[(4-クロロフェニル)メチル]-1,2,3,4-テトラヒドロ-7-(2-キノリニルメトキシ)-シクロペント[b]インドール-3-酢酸が開示されており、これは、ロイコトリエン生合成阻害薬と称される属の1種である。
【0007】
米国特許第3,535,326号には、式:
【0008】
【化6】

で表される消炎性化合物が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、プロスタグランジン受容体拮抗薬である新規化合物を提供する。より詳細には、本発明の化合物は、プロスタグランジンD2受容体(DP受容体)拮抗薬である。本発明の化合物は、プロスタグランジンが介在する種々の疾患及び障害を治療するのに有用である。従って、本発明は、本明細書に記載されている新規化合物を使用するプロスタグランジン介在疾患の治療方法、及び、そのような新規化合物を含有する医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式(I):
【0011】
【化7】

[式中、nは、0又は1であり;mは、1、2又は3であり;Rは、H、C-Cアルキル、ハロゲン化C-Cアルキル又はシクロプロピルであり;Rは、4-クロロフェニル又は2,4,6-トリクロロフェニルである]
で表される化合物及びその製薬上許容される塩に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
式(I)の一実施形態には、式中のnが0である化合物が含まれる。
【0013】
式(I)の別の実施形態には、式中のnが1である化合物が含まれる。
【0014】
式(I)の別の実施形態には、式中のmが1である化合物が含まれる。
【0015】
式(I)の別の実施形態には、式中のmが2である化合物が含まれる。
【0016】
式(I)の別の実施形態には、式中のRがHである化合物が含まれる。
【0017】
式(I)の別の実施形態には、式中のRがCHである化合物が含まれる。
【0018】
式(I)の別の実施形態には、式中のRが4-クロロフェニルである化合物が含まれる。
【0019】
式(I)の別の実施形態には、式中のRが2,4,6-トリクロロフェニルである化合物が含まれる。
【0020】
式(I)の別の実施形態には、下記:
【0021】
【化8】

に示されている立体配置を有する化合物(即ち、キラル中心の立体配置はRである)が含まれる。
【0022】
本発明の別の態様において、式(I)の化合物と製薬上許容される担体を含有する医薬組成物が提供される。
【0023】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、さらに、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン生合成阻害薬、プロスタグランジン受容体拮抗薬若しくは生合成阻害薬、コルチコステロイド、サイトカインモジュレーター、抗IgE、抗コリン作用薬又はNSAIDSから選択される第二の活性成分を含有する。
【0024】
本発明の別の態様において、プロスタグランジンD2介在疾患を治療又は予防する方法が提供され、該方法は、そのような処置が必要な患者に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる。
【0025】
本発明の一実施形態には、プロスタグランジンD2介在疾患を治療又は予防する必要がある哺乳動物患者にプロスタグランジンD2介在疾患を治療又は予防するのに有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなるプロスタグランジンD2介在疾患を治療又は予防する方法が含まれ、ここで、プロスタグランジン介在疾患は、鼻充血、季節性アレルギー性鼻炎及び通年性アレルギー性鼻炎を包含する鼻炎、並びに、アレルギー性喘息を包含する喘息である。
【0026】
本発明の別の実施形態には、鼻充血の治療が必要な患者に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる、鼻充血の治療が必要な患者における鼻充血を治療する方法が含まれる。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態には、喘息の治療が必要な患者に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる、喘息の治療が必要な患者におけるアレルギー性喘息を包含する喘息を治療する方法が含まれる。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態には、アレルギー性鼻炎の治療が必要な患者に治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる、アレルギー性鼻炎の治療が必要な患者におけるアレルギー性鼻炎(季節性及び通年性)を治療する方法が含まれる。
【0029】
mが1である場合の、核となる三環式環系の番号付けは、以下に示されているとおりである。
【0030】
【化9】

【0031】
mが2である場合の、核となる三環式環系の番号付けは、以下に示されているとおりである。
【0032】
【化10】

【0033】
光学異性体 - ジアステレオマー - 互変異性体
式(I)の化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでおり、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、式(I)の化合物のそのような全ての異性体形態を包含するものである。
【0034】
本明細書に記載されている化合物の中には、水素が異なった位置に結合して存在し得るものがあり、それらは互変異性体と称される。そのようなものの例としては、ケト-エノール互変異性体として知られているケトンとそのエノール形態を挙げることができる。個々の互変異性体及びその混合物は、式(I)の化合物に包含される。
【0035】
式(I)の化合物は、例えば、適切な溶媒(例えば、メタノール若しくは酢酸エチル又はそれらの混合物など)からの分別結晶により、エナンチオマーのジアステレオマー対に分離することができる。そのようにして得られたエナンチオマーの対は、慣習的な手段により、例えば、分割剤(resolving agent)として光学活性な酸又は塩基を使用することにより、又は、キラルカラムを用いるHPLC分離などのキラル分離技術により、個々の立体異性体に分離することができる。
【0036】
あるいは、配置が知られている光学的に純粋な出発物質又は試薬を用いる立体特異的合成により、一般式(I)又は(Ia)の化合物の任意のエナンチオマーを得ることができる。
【0037】

用語「製薬上許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基などの製薬上許容される非毒性の塩基から調製される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩及び亜鉛塩などがある。特に好ましいものは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩である。製薬上許容される非毒性の有機塩基から誘導される塩には、1級、2級及び3級アミン類、天然置換アミン類を包含する置換アミン類、環状アミン類及び塩基性イオン交換樹脂の塩などがあり、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂類、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン及びトロメタミンの塩などがある。
【0038】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸及び有機酸などの製薬上許容される非毒性の酸から調製することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸及びp-トルエンスルホン酸などがある。特に好ましいものは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0039】
別段の断りがない限り、式(I)の化合物についての言及が製薬上許容される塩も包含するものであることは理解されるであろう。
【0040】
用途
式(I)の化合物は、プロスタグランジンD2の拮抗薬である。式(I)の化合物はプロスタグランジンD2受容体と相互作用する能力を有することから、哺乳動物、特にヒト患者においてプロスタグランジンによって引き起こされる望ましくない症状を予防又は改善する上で有用である。プロスタグランジンD2の作用に対するこの拮抗作用は、本発明化合物及びその医薬組成物が、哺乳動物、特にヒトにおける、呼吸状態、アレルギー状態、疼痛、炎症状態、粘液分泌障害、骨障害、睡眠障害、生殖障害、血液凝固障害、視覚の問題、並びに、免疫疾患及び自己免疫疾患を治療、予防又は改善するのに有用であることを示している。さらに、そのような化合物は、細胞悪性トランスフォーメーション及び転移腫瘍増殖を阻害することができ、従って、癌の治療に用いることができる。さらにまた、式(I)の化合物は、糖尿病性網膜症及び腫瘍血管新生において生じ得るものなどのプロスタグランジンD2介在増殖性疾患の治療及び/又は予防ににおいても有用であり得る。式(I)の化合物は、さらにまた、収縮性プロスタノイドに拮抗するか又は弛緩性プロスタノイドと類似の作用を行うことで、プロスタノイド誘発平滑筋収縮も阻害することができ、従って、月経困難症、早産および好酸球関連障害の治療に用いることができる。
【0041】
従って、本発明の別の態様は、プロスタグランジンD2介在疾患を治療又は予防する方法を提供し、該方法は、そのような処置を必要とする哺乳動物患者に、該プロスタグランジンD2介在疾患を治療又は予防するのに有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる。プロスタグランジンD2介在疾患としては、限定するものではないが、アレルギー性鼻炎、鼻充血、鼻漏、通年性鼻炎、鼻炎症、アレルギー性喘息などの喘息、慢性閉塞性肺疾患及び他の形態の肺の炎症;肺低血圧症(pulmonary hypotension);睡眠障害及び睡眠覚醒循環障害;月経困難症及び早産に関連するプロスタノイド誘発平滑筋収縮;好酸球関連障害;血栓症;緑内障及び視覚障害;閉塞性血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症;鬱血性心不全;創傷後又は手術処置後などの抗凝固処置を必要とする疾患又は状態;慢性関節リューマチ及び別の炎症性疾患;壊疽;レイノー病;細胞保護などの粘液分泌障害;疼痛及び片頭痛;骨粗鬆症などの、骨の形成及び吸収の制御を必要とする疾患;ショック;発熱などの熱調節;臓器移植及びバイパス形成手術における拒絶;並びに、免疫調節が望ましい免疫の障害又は状態などを挙げることができる。より詳細には、治療対象となる疾患は、プロスタグランジンD2が介在するもの、例えば、鼻充血、アレルギー性鼻炎、肺血管充血、及び、アレルギー性喘息を包含する喘息などである。
【0042】
用量範囲
式(I)の化合物の予防用量又は治療用量の大きさは、当然のことながら、治療される状態の性質及び重症度、並びに、式(I)の特定の化合物及びそれの投与経路に応じて変わる。さらにまた、それは、個々の患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時刻、排泄速度、薬剤の組合せ及び応答に応じても変わる。一般に、一日用量は、哺乳動物の体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、好ましくは、哺乳動物の体重1kg当たり約0.01mg〜約10mgである。他方、場合によっては、これらの範囲外の用量を用いる必要がある場合がある。
【0043】
担体材料と組み合わせて単一投与形態を製造することができる活性成分の量は、処置を受ける宿主及び特定の投与形態に応じて変わる。例えば、ヒトの経口投与用の製剤は、適切で且つ都合がよい量の担体材料と混合された状態で約0.05mg〜5gの活性薬剤を含むことができ、担体材料の量は組成物全体の約5%〜約99.95%で変動し得る。投与単位形態は、概して、約0.1mg〜約0.4gの活性成分、典型的には、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg又は400mgの活性成分を含む。
【0044】
医薬組成物
本発明の別の態様は、製薬上許容される担体と一緒に式(I)の化合物を含有する医薬組成物を提供する。医薬組成物における場合のような用語「組成物」は、活性成分と、担体を構成する不活性成分(製薬上許容される賦形剤)を含有する生成物を包含すると共に、任意の2種以上の成分の組み合わせ、複合体形成又は凝集から直接的又は間接的に生じる任意の生成物、1種以上の成分の解離から直接的又は間接的に生じる任意の生成物、又は、1種以上の成分の別のタイプの反応若しくは相互作用によって直接又は間接に生じる任意の生成物を包含するものである。従って、本発明の医薬組成物は、式(I)の化合物、別の活性成分及び製薬上許容される賦形剤を混合することで製造される任意の組成物を包含する。
【0045】
プロスタノイドが介在するいずれかの疾患を治療するために、式(I)の化合物は、慣習的な非毒性で製薬上許容される担体、補助剤及びビヒクルを含む投与単位製剤で、経口的に、吸入噴霧により、局所的に、非経口的に、又は、直腸内に投与することができる。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射又は注入法を包含する。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコなどの温血動物の治療に加えて、本発明の化合物はヒトの治療において有効である。
【0046】
上記活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性の懸濁液剤、分散性粉剤若しくは粒剤、エマルション剤、硬質若しくは軟質カプセル剤、又は、シロップ剤若しくはエリキシル剤などの、経口用途に適する形態であることができる。経口用途用の組成物は、医薬組成物の製造に関する技術分野で公知のいずれかの方法に従って調製することができ、そのような組成物には、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の物質を含有させて、医薬的に見た目が良く、風味の良い調製物を提供することができる。錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性で製薬上許容される賦形剤と混合された状態で、上記活性成分を含有する。そのような賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えば、コーンスターチ又はアルギン酸などの造粒剤及び崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴムなどの結合剤;及び、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクなどの滑沢剤などであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよいか、又は、公知の方法によってコーティングを施して、消化管における崩壊及び吸収を遅延させ、それによって比較的長期間にわたる持続的な作用を提供させることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いることができる。それらは、米国特許第4,256,108号、米国特許第4,166,452号及び米国特許第4,265,874号に記載の方法によりコーティングして、制御放出用の浸透性治療用錠剤を形成させることもできる。
【0047】
経口用途用の製剤は、前記活性成分を、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混合した硬質ゼラチンカプセルとして、又は、前記活性成分を、例えば、プロピレングリコール、PEG類及びエタノールなどの水混和性溶媒、若しくは、例えば、落花生油、液体パラフィン若しくはオリーブ油などのオイル媒体と混合した軟質ゼラチンカプセルとしても提供することができる。
【0048】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液を製造するのに適する賦形剤と混合された状態で活性材料を含有する。そのような賦形剤は、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムなどの懸濁化剤であり;分散剤又は湿潤剤は、例えば、レシチンなどの天然ホスファチド、又は、例えばステアリン酸ポリオキシエチレンなどの脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合生成物、又は、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなどの長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、又は、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどの脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、又は、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンなどの脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物などであり得る。水性懸濁液剤は、さらにまた、p-ヒドロキシ安息香酸エチル又はp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなどの1種以上の保存薬、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤、並びにショ糖、サッカリン若しくはアスパルテームなどの1種以上の甘味剤を含有することもできる。
【0049】
油性懸濁液剤は、上記活性成分を、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油などの植物油、又は、液体パラフィンなどの鉱物油に懸濁させることにより製剤することができる。油系懸濁液剤には、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールなどの増粘剤を含有させることができる。上記のものなどの甘味剤及び香味剤を加えて、風味の良い経口調製物を提供することができる。このような組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることで保存することができる。
【0050】
水を添加して水性懸濁液剤を調製するのに適する分散性粉体及び顆粒により、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1種以上の保存剤と混合された状態の活性成分が提供される。適する分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤の例は、すでに上記で記載されている。別の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤なども存在させることができる。
【0051】
本発明の医薬組成物は、さらにまた、水中油型エマルションの形態とすることもできる。その油相は、例えばオリーブ油若しくは落花生油などの植物油、又は、例えば液体パラフィンなどの鉱物油、又は、これらの混合物とすることができる。適する乳化剤は、例えば大豆レシチンなどの天然ホスファチド、並びに、例えばモノオレイン酸ソルビタンなどの脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導されるエステル若しくは部分エステル、並びに、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物であり得る。前記エマルション剤は、さらにまた、甘味剤及び香味剤を含有することもできる。
【0052】
シロップ剤及びエリキシル剤は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖などの甘味剤を加えて製剤することができる。そのような製剤には、さらにまた、粘滑剤、保存剤、香味剤及び着色剤を含有させることもできる。本発明の医薬組成物は、無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液の形態とすることができる。この懸濁液は、上記で記載した適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて、公知技術に従って製剤することができる。さらにまた、無菌の注射可能な調製物は、非毒性で非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中における無菌の注射可能な溶液又は懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液などとすることもできる。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液などがある。エタノール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール類などの共溶媒も使用可能である。さらに、無菌の固定油も溶媒又は懸濁用媒体として慣習的に用いられる。このためには、合成モノグリセリド又はジグリセリドなどを包含する任意の低刺激性固定油を使用することができる。さらに、注射可能物質の調製物には、オレイン酸などの脂肪酸を用ることができる。
【0053】
式(I)の化合物は、該薬物を直腸内投与するための坐剤の形態で投与することもできる。そのような組成物は、該薬物を、周囲温度では固体であるが直腸内の温度では液体であることで直腸内で融解して前記薬剤を放出する適切な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような材料は、カカオバター及びポリエチレングリコール類である。
【0054】
局所用途には、式(I)の化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、溶液剤又は懸濁液剤などが用いられる(この適用のためには、局所投与は含嗽液及びうがい剤を含むものとする)。局所用製剤は、一般に、製薬用担体、共溶媒、乳化剤、透過増強剤、保存剤系及び皮膚緩和剤から構成することができる。
【0055】
別の薬物との組合せ
プロスタグランジン介在疾患を治療及び予防するために、式(I)の化合物は、別の治療薬と併用投与することができる。従って、別の態様において、本発明は、治療上有効量の式(I)の化合物及び1種以上の別の治療薬を含有するプロスタグランジンD2介在疾患を治療するための医薬組成物を提供する。式(I)の化合物との併用療法に適する治療剤としては、(1)プロスタグランジン受容体拮抗薬; (2)コルチコステロイド、例えば、トリアムシノロンアセトニドなど; (3)β-作動薬、例えば、サルメテロール、ホルモテロール、テルブタリン、メタプロテレノール、アルブテロールなど; (4)ロイコトリエン調節剤、例えば、ロイコトリエン拮抗薬など、又は、リポオキシゲナーゼ阻害薬、例えば、モンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト又はジロイトンなど; (5)抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1拮抗薬)、例えば、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン、ピリラミン、アステミゾール、ノルアステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、レボセチリジン(levocetirizine)、フェキソフェナジン、デスロラタジンなど; (6)充血除去薬、例えば、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン又は左旋性-デソキシエフェドリンなど; (7)鎮咳薬、例えば、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン又はデキストロメトルファン(dextramethorphan)など; (8)プロスタグランジンF作働薬を包含する別のプロスタグランジンリガンド、例えば、ラタノプロスト、ミソプロストール、エンプロスチル、リオプロスチル(rioprostil)、オルノプロストール(ornoprostol)又はロサプロストール(rosaprostol)など; (9)利尿薬; (10)非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えば、プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸(bucloxic acid)、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン(fluprofen)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン(miroprofen)、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸及びチオキサプロフェン(tioxaprofen))、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸(fenclozic acid)、フェンチアザク、フロフェナック(furofenac)、イブフェナック、イソキセパック(isoxepac)、オキシピナク(oxpinac)、スリンダク、チオピナク(tiopinac)、トルメチン、ジドメタシン(zidometacin)及びゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサル及びフルフェニサル(flufenisal))、オキシカム類(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム(sudoxicam)及びテノキシカン)、サリチレート類(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)及びピラゾロン類(アパゾン、ベズピペリロン(bezpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)など; (11)シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬、例えば、セレコキシブ及びロフェコキシブ、エトリコキシブ及びバルデコキシブなど; (12)ホスホジエステラーゼIV型(PDE-IV)の阻害薬、例えば、アリフロ、ロフルミラストなど; (13)ケモカイン受容体、特にCCR-1、CCR-2及びCCR-3の拮抗薬; (14)コレステロール低下薬、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及び他のスタチン類)、金属イオン封鎖薬(コレスチラミン及びコレスチポール)、ニコチン酸、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベンザフィブレート(benzafibrate))、及び、プロブコールなど; (15)抗糖尿病薬、例えば、インスリン、スルホニル尿素類、ビグアニド類(メトホルミン)、α-グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース)及びグリタゾン類(トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、ロシグリタゾンなど)など; (16)インターフェロン-β(インターフェロンβ-1a, インターフェロンβ-1b)の調製物; (17)抗コリン作用薬、例えば、ムスカリン拮抗薬(臭化イプラトロピウム及び臭化チオトロピウム)など、及び、選択的ムスカリンM3拮抗薬; (18)ステロイド類、例えば、ベクロメタゾン、メチルプレドニソロン、ベタメタゾン、プレドニゾン、デキサメタゾン及びヒドロコルチゾンなど; (19)片頭痛の治療に一般的に使用されるトリプタン類、例えば、スミトリプタン(sumitriptan)及びリザトリプタンなど; (20)アレンドロネート及び別の骨粗鬆症治療薬; (21)別の化合物、例えば、5-アミノサリチル酸及びそのプロドラッグ、代謝拮抗薬、例えば、アザチオプリン及び6-メルカプトプリンなど、細胞傷害性癌化学療法薬、ブラディキニン(BK2又はBK1)拮抗薬、TP受容体拮抗薬、例えば、セラトロダストなど、ニューロキニン拮抗薬(NK1/NK2)、VLA-4拮抗薬(例えば、米国特許第5,510,332号、国際公開第97/03094号、国際公開第97/02289号、国際公開第96/40781号、国際公開第96/22966号、国際公開第96/20216号、国際公開第96/01644号、国際公開第96/06108号、国際公開第95/15973号及び国際公開第96/31206号に記載のものなど)などを挙げることができる。
【0056】
さらに、本発明は、プロスタグランジンD2介在疾患を治療する方法を包含し、該方法は、そのような処置を必要とする患者に対して、直前に上記で挙げた1種以上の成分との併用投与で、治療上有効量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる。活性成分の量は、活性成分を単独で投与する場合に各活性成分について一般的に使用される量であることができるか、又は、場合によっては、活性成分を組み合わせることによって、活性成分の1種以上についてより低い用量とし得る。
【0057】
使用されている略語
Ac アセチル
AcOH 酢酸
DDQ 2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン
DMF ジメチルホルムアミド
eq. 当量
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IPA イソプロピルアルコール
IPAc 酢酸イソプロピル
Me メチル
MeOH メタノール
MHz メガヘルツ
MTBE メチルt-ブチルエーテル
NMP N-メチル-2-ピロリジノン
NMR 核磁気共鳴
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
合成方法
本発明の式(I)の化合物は、反応図式1〜反応図式5に概略を記載した合成経路に従い、本明細書に記載した方法により調製することができる。
【0058】
式(IV)の中間体化合物は、適切に置換されているフェニルヒドラジン(II)から、反応図式1に示されている方法により調製することができる。フィッシャーインドール条件下又は類似した条件下で、(II)を適切なシクロアルカノン(III)(式中、Rは、アルキル基などのエステル基である)と反応させることにより、(IV)が得られる。
【0059】
【化11】

【0060】
あるいは、式(IV)の化合物は、適切に置換されているアニリン(V)から、反応図式2に示されている方法で調製することもできる。(V)を適切なシクロアルカノン(III)と縮合させた後、ヘック条件下又は類似した金属触媒条件下における環化反応に付すことにより、インドール(IV)が得られる。
【0061】
【化12】

【0062】
式(III)の化合物は、適切に置換されているシリルエノールエーテル(VI)又は適切に置換されているエナミン(VII)から、反応図式3に示されている方法により調製することができる。シリルエノールエーテル(VI)と一緒に、アルキルリチウムなどの塩基又はトリフルオロ酢酸銀などのルイス酸に存在下で、Y-CHCOR(ここで、Yは、ハロゲン又は脱離基を表す)などの適切な求電子剤を添加することにより、シクロアルカノン(III)が得られる。あるいは、式(III)の化合物は、ストークエナミン条件下又は類似した条件下で、適切に置換されているエナミン(VII)にY-CHCORを添加することにより調製することもできる。
【0063】
【化13】

【0064】
式(VIII)の中間体化合物は、適切に置換されているインドール(IV)から、反応図式4に示されている方法で調製することができる。(IV)の臭素化は、極性溶媒中、塩基性条件下で、ピリジウムトリブロミドなどの臭素化剤又は臭素を用いて、例えば、ピリジン中又はピリジンの存在下にジクロロメタンなどの溶媒中で反応させた後、酸性及び金属還元条件下で、ジブロモ中間体のモノ還元を行って、ブロモインドール(VIII)を生成させることにより行うことができる。
【0065】
【化14】

【0066】
式(I)の化合物は、適切に置換されているブロモインドール(VIII)から、反応図式5に示されている方法で調製することができる。DMFなどの適切な溶媒中、塩基の存在下に、(R)(R)CH-Yなどの適切な求電子剤を用いて(VIII)をアルキル化することにより、N-アルキル化インドール(IX)が得られる。Cu(I)塩の存在下に、(IX)をメタンスルフィン酸ナトリウムなどのメタンスルフィネートとカップリングさせることにより、エステル加水分解後に、式(I)の化合物が得られる。あるいは、ブロモインドール酸(IX, R=H)を、先ず、n-BuLiなどの適切な金属化剤と反応させた後、二硫化メチルなどの求電子剤を用いて捕捉することにより、対応する硫化メチルを得ることができ、これを、例えば過酸化水素/タングステン酸ナトリウムで酸化することで、化合物(IA)が得られる。ブロモインドール(VIII)のアルキル化ステップとその後のスルホニル化ステップは、逆の順序で行ってもよい。従って、ブロモインドール(VIII)をスルホニル化して化合物(X)を得て、これを、上記で記載した条件と同様の条件を用いるか、又は、光延反応条件を用いてアルキル化することにより、エステル加水分解後に、式(IA)の化合物が得られる。
【0067】
【化15】

【0068】
化合物(IB)は、保護されている(IA)、例えば、(IA)のエステルから、適切な酸化剤を用いて酸化した後、反応図式6で説明したように加水分解することにより調製することができる。
【0069】
【化16】

【0070】
あるいは、(IB)は、反応図式7で説明してあるように、(IX)をDDQなどの適切な酸化剤で酸化した後、反応図式5で説明したようにメチルスルホニル化し、次いで、加水分解することにより調製することもできる。
【0071】
【化17】

【0072】
生物学的活性を測定するアッセイ
以下のアッセイを用いて式(I)の化合物についての試験を行って、そのインビトロ及びインビボにおけるプロスタノイド拮抗薬活性又は作動薬活性、及び、その選択性を測定することができる。示されるプロスタグランジン受容体活性は、DP、EP、EP、EP、EP、FP、IP及びTPである。
【0073】
ヒト胎児腎臓(HEK)293(ebna)細胞系におけるプロスタノイド受容体の安定的な発現
全長コード配列に対応するプロスタノイド受容体cDNAを、哺乳動物発現ベクターの適切な部位にサブクローニングし、HEK293(ebna)細胞にトランスフェクションする。個々のcDNAを発現するHEK293(ebna)細胞を選抜下に増殖させ、2〜3週間の増殖後に、クローニングリング法を用いて個々のコロニーを単離し、次に、クローン細胞系に拡大する。
【0074】
プロスタノイド受容体結合アッセイ
HEK293(ebna)細胞を培養状態に維持し、回収し、プロテアーゼ阻害薬存在下での細胞溶解後に分画遠心を行うことにより膜を調製し、それを受容体結合アッセイに使用する。プロスタノイド受容体結合アッセイは、1mMのEDTA、10mMの二価カチオン及び適切な放射性リガンドを含有している10mMのMES/KOH(pH6.0)(EP類、FP及びTP)又は10mMのHEPES/KOH(pH7.4)(DP及びIP)で行う。膜タンパク質を加えることで反応を開始させる。リガンドをジメチルスルホキシドに入れて加え、ジメチルスルホキシドは全てのインキュベーションにおいて1容量%で一定に維持する。1μMの対応するする非放射性プロスタノイドの存在下に、非特異的結合を測定する。インキュベーションを室温又は30℃で60分間行い、急速濾過によって停止する。全体の結合から非特異的結合を引くことで、特異的結合を計算する。各リガンド濃度での残留特異的結合を計算し、リガンド濃度の関数として表して、リガンド親和性を求めるためのS字型濃度−応答曲線を得る。
【0075】
プロスタノイド受容体作動薬及び拮抗薬アッセイ
細胞内cAMP蓄積の刺激(HEK293(ebna)細胞におけるEP、EP、DP及びIP)若しくは阻害(ヒト赤白血病(HEL)細胞におけるEP)又は細胞内カルシウムの移動性(アポエクオリンで安定的にトランスフェクションされたHEK293(ebna)細胞におけるEP、FP及びTP)を測定する全細胞第二メッセンジャーアッセイを行って、受容体リガンドが作動薬であるか又は拮抗薬であるかを決定する。cAMPアッセイの場合、細胞を回収し、25mMのHEPES(pH7.4)を含有しているHBSSに再懸濁させる。インキュベーション液には100μMのRO−20174(Biomolから入手可能な、ホスホジエステラーゼIV型阻害薬)を含有させ、EP阻害アッセイの場合に限り、15μMのフォルスコリンも含有させてcAMP産生を刺激する。サンプルを37℃で10分間インキュベーションし、反応を停止させ、次いで、cAMPレベルを測定する。カルシウム移動性アッセイの場合、細胞に補因子還元型グルタチオン及びセレンテラジンを加え、細胞を回収し、ハムF12培地に再懸濁させる。カルシウムが細胞内発光タンパク質エクオリンに結合することによって誘発される発光をモニタリングすることで、カルシウム動員を測定する。リガンドをジメチルスルホキシドに入れて加え、ジメチルスルホキシドは全てのインキュベーションにおいて1体積%で一定に維持する。作動薬の場合、第二メッセンジャー応答をリガンド濃度の関数として表し、プロスタノイド標準と比較したEC50値及び最大応答の両方を計算する。拮抗薬の場合、シルド(Schild)分析によって、リガンドの作動薬応答を阻害する能力を求め、Kと勾配値の両方を計算する。
【0076】
アレルギー体質ヒツジにおけるPGD2又はアレルゲンにより誘発される鼻充血の予防
動物の準備:健常な成体ヒツジ(18〜50kg)を用いる。動物の選択は、豚蛔虫(Ascaris suum)抽出物の皮内注射に対する自然陽性皮膚反応に基づいて行う。
【0077】
鼻充血の測定:この実験は、非麻酔動物について行う。頭部を固定して、腹臥位で動物をカートに拘束する。マスク鼻腔通気度検査(rhinometry)法の変法を用いて、鼻腔気道抵抗(NAR)を測定する。経鼻的気管内チューブを挿入するために、鼻道に局所麻酔(2%リドカイン)を施す。管の末端を呼吸流量計につなぎ、流量信号及び圧力信号を、NARのオンライン計算用のコンピュータに接続されたオシロスコープで記録する。エーロゾル化された溶液を投与(10吹き(puffs)/鼻孔)することで、鼻を刺激する。NAR充血における変化を、チャレンジ前及びチャレンジ後60〜120分間にわたって記録する。
【0078】
カニクイザルにおけるPGD2及びアレルゲンにより誘発される鼻閉塞の予防
動物の準備:健常な成体雄カニクイザル(4〜10kg)を用いる。動物の選択は、豚蛔虫(Ascaris suum)抽出物の皮内注射に対する自然陽性皮膚反応に基づいて行う。各実験に先だって、試験用に選択したサルを、飲料水は自由に摂取させながら一晩絶食させる。翌朝、動物をケタミン(筋肉注射 10〜15mg/kg)で鎮静化させてから、飼育ケージから出す。動物を加熱した台(36℃)に乗せ、ボーラス用量(静脈内注射 5〜12mg/kg)のプロポフォールを注射する。動物にカフ付き気管内チューブ(内径4〜6mm)を挿管し、プロポフォールの連続静脈注入(25〜30mg/kg/時間)によって麻酔を維持する。生命徴候(心拍数、血圧、呼吸速度、体温)を、実験を通してモニタリングする。
【0079】
鼻充血の測定:気管内チューブに連結させた呼吸流量計によって動物の呼吸抵抗を測定し、それが正常であることを保証する。エコビジョン音響鼻腔通気度計(Ecovision accoustic rhinometer)を用いて鼻充血を評価する。この方法は、鼻内部の非侵襲2Dエコー図を与える。特注ソフトウェア(Hood Laboratories, Mass, U. S. A.)が入っているラップトップコンピュータによって、鼻容量及び鼻腔の縦方向の最小断面積を10秒以内に計算する。鼻へのチャレンジは、動物の鼻腔に直接行う(容積50μL)。鼻充血における変化を、チャレンジ前及びチャレンジ後60〜120分間にわたって記録する。鼻充血が起こると、それは鼻容量の低下として現れる。
【0080】
訓練された非麻酔リスザルにおける肺の力学
この試験手順では、エーロゾル曝露チャンバー内の椅子に訓練されたリスザルを座らせる。対照として、呼吸パラメータの肺力学測定値を約30分間記録して、その日における各サルの正常対照値を確定する。経口投与の場合、1%メトセル溶液(メチルセルロース, 65HG, 400cps)に化合物を溶解又は懸濁させ、体重1kg当たり1mLの容積で投与する。化合物のエーロゾル投与の場合、DeVilbiss超音波ネブライザーを用いる。サルに対してPGD2又は豚蛔虫抗原の1:25希釈液のエーロゾル投与でチャレンジを行う前に、前処理期間を5分〜4時間で変える。
【0081】
チャレンジ後、気道抵抗(R)及び動的コンプライアンス(Cdyn)などの各呼吸パラメータについての対照値からの変化(%)として、毎分のデータをコンピュータによって計算する。次に、チャレンジの後で最短60分間、各被検化合物についての結果を得て、それを、該サルについて先に得られている経過的基本対照値(historical baseline control values)と比較する。さらに、各サルについてのチャレンジ後60分間における全体の値(経過的基本値(historical baseline values)及び試験値)について別個に平均を求め、それを用いて、媒介物質又は豚蛔虫抗原応答の被検化合物による全体的阻害(%)を計算する。統計解析については、対応のあるt検定を用いる(参考文献:McFarlane, C.S. et al., Prostaglandins, 28, 173-182 (1984) and McFarlane, C.S. et al., Agents Actions, 22, 63-68 (1987).)。
【0082】
アレルギー体質ヒツジにおける誘発性気管支収縮の予防
動物の準備:平均体重35kg(範囲18〜50kg)の成体ヒツジを用いる。使用する全ての動物は、2種類の基準、即ち、(a)豚蛔虫抽出物の1:1000希釈液又は1:10000希釈液に対する自然皮膚反応(natural cutaneous reaction)を有すること(Greer Diagnostics, Lenois, NC);及び、(b)急性気管支収縮及び遅発性気管支閉塞(late bronchial obstruction)の両方で、豚蛔虫の吸入チャレンジに対して応答した経歴があること(W.M. Abraham et al., Am. Rev. Resp. Dis., 128, 839-44 (1983))という基準を満足するものである。
【0083】
気道力学の測定:非鎮静化ヒツジを、頭部を固定して腹臥位でカートに拘束する。鼻道を2%リドカイン溶液で局所麻酔した後、バルーンカテーテルを一方の鼻孔を通して下部食道内へ進める。次に、動物に、ガイドとしてフレキシブルな光ファイバー気管支鏡を用いて、他方の鼻孔を通してカフ付き気管内チューブを挿管する。吸気によって心臓による振動と明瞭に識別可能な負圧たわみが生じるように配置された食道バルーンカテーテル(空気1mLが充填されている)で、胸膜圧を評価する。気管における側圧を、経鼻的気管内チューブを通って進み、そのチューブの先端に対して遠位に配置された側孔カテーテル(内径2.5mm)で測定する。肺内外圧差、即ち、気管圧と胸膜圧との間の差を、差圧式変換器(DP45;Validyne Corp., Northridge, CA)を用いて測定する。肺抵抗(R)の測定を行うために、経鼻的気管内チューブの末端を呼吸流量計に接続する(Fleisch, Dyna Sciences, Blue Bell, PA)。肺内外圧差、積分によって得られる呼吸容量及び流量からRをオンライン計算するためのPDP−11デジタルコンピュータ(Digital Equipment Corp., Maynard, MA)に接続させたオシロスコープ(DR-12型;Electronics for Medicine, White Plains, NY)上に、流量及び肺内外圧差の信号を記録する。10〜15回の呼吸の分析を用いてRを求める。体幹体積変動記録器で容積胸腔ガス(Vtg)を測定して、比肺抵抗(specific pulmonary resistance)(SR=R・Vtg)を得る。
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明を説明するために記載されており、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。下記実施例において、別段の断りがない限り、
− 式(I)の最終生成物は、全て、NMR、TLC及び元素分析又は質量分析によって分析し;
− 中間体は、NMR及びTLCによって分析し;
− ほとんどの化合物は、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー、再結晶及び/又はスイッシュ(swish)(溶媒中での懸濁とそれに続く固体の濾過)によって精製し;
− 反応経過は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって追跡して、反応時間は例示のみを目的として示してあり;
− エナンチオマー過剰率は、キラルカラム(キラルパック(ChiralPak)AD;250×4.6mm)を用いる順相HPLCで測定した。
【0085】
下記の中間体は、文献に記載された手順に従って調製したか、又は、下記の販売業者から購入した:
2-(2-オキソシクロペンチル)酢酸エチル:Acros/Fisher Scientific;
4-フルオロ-2-ヨードアニリン:Beugelmans, R.;Chbani, M. Bull. Soc. Chim. Fr. 1995, 132, 306-313。
【0086】
(実施例1)
(−)-[4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-5-(メタンスルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル]酢酸
【0087】
【化18】

【0088】
ステップ1:(+/−)-(7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸エチルエステル
【0089】
【化19】

【0090】
100mLのベンゼン中の10.00gの4-フルオロ-2-ヨードアニリン、6.57gの2-(2-オキソシクロペンチル)酢酸エチル及び121mgのp-トルエンスルホン酸の溶液を、N雰囲気下、ディーン・スタークトラップを用いて24時間還流した。その後、蒸留によりベンゼンを除去した。次いで、60mLのDMFを添加し、得られた溶液を脱ガスした後、19mLのヒューニッヒ塩基を添加し、続いて、405mgのPd(OAc)を添加した。得られた溶液を115℃に3時間加熱し、次いで、室温まで冷却した。反応をクエンチするために、300mLの1N HCl及び200mLの酢酸エチルを添加し、得られた混合物をセライトで濾過した。相を分離し、酸性相を200mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を一緒にしてブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、セライトで濾過し、濃縮した。得られた粗物質を100%トルエンで溶離させるフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製して、5.36gの標題化合物を黄色の固体として得た。
1H NMR(アセトン-d6)δ 9.76(br s, 1H), 7.34(dd, 1H), 7.03(d, 1H), 6.78(td, 1H), 4.14(q, 2H), 3.57(m, 1H), 2.85-2.55(m, 5H), 2.15(m, 1H), 1.22(t, 3H)。
【0091】
ステップ2:(+/−)-(7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸
【0092】
【化20】

【0093】
14mLのテトラヒドロフラン(THF)中の1.24gのステップ1で得たエステルの溶液に、室温で、7mLのMeOHを添加し、次いで、7mLの2N NaOHを添加した。2.5時間後、反応混合物を、酢酸エチル(EtOAc)/1N HClを含有する分液漏斗に注ぎ入れた。相を分離し、酸性相をEtOAcで2回抽出した。有機層を一緒にしてブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、蒸発乾固させて、1.08gの未精製で不安定な蝋状の褐色油状物(純度 >90%)を得た。これを、そのまま次のステップで使用した。
1H NMR(アセトン-d6)δ 10.90(br s, 1H), 9.77(br s, 1H), 7.34(dd, 1H), 7.04(dd, 1H), 6.79(td, 1H), 3.56(m, 1H), 2.90-2.50(m, 5H), 2.16(m, 1H);
MS(-APCI) m/z 232.2(M-H)-
【0094】
ステップ3:(+/−)-(5-ブロモ-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸
【0095】
【化21】

【0096】
30mLのピリジン中の2.20gのステップ2で得た酸(純度 >90%)の溶液に、−40℃で、6.85gのピリジニウムトリブロミド(純度 90%)を添加した。得られた懸濁液を0℃で10分間撹拌し、30分間室温まで昇温させた。次いで、加熱することなく、高真空下に溶媒を除去した。得られた粗物質を40mLのAcOHに溶解させ、得られた溶液を0℃に冷却し、その0℃の冷溶液に、2.88gのZn粉末を少量ずつ添加した。得られた懸濁液を15℃で15分間撹拌し、さらに15分間室温まで昇温させた。この時点で、1N HClを添加して反応混合物をクエンチし、この混合物をブライン/EtOAcを含有する分液漏斗に注ぎ入れた。層を分離し、有機層を、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮した。この物質を、さらに精製することなく、次のステップで使用した。
1H NMR(アセトン-d6)δ 10.77(br s, 1H), 9.84(br s, 1H), 7.09(m, 2H), 3.60(m, 1H), 2.95-2.65(m, 4H), 2.56(dd, 1H), 2.19(m, 1H)。
【0097】
ステップ4:(+/−)-[5-ブロモ-4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]-インドール-3-イル]酢酸
【0098】
【化22】

【0099】
10mLのTHF中の2.13gのステップ3で得た酸の溶液に、エーテル中のジアゾメタンの溶液を、TLCでモニタリングして前記酸が完全に消費されるまで過剰に添加した。次いで、真空下に溶媒を除去した。このようにして形成された未精製のメチルエステルを20mLのDMFに溶解させた溶液に、−78℃で、539mgのNaH懸濁液(油中60%)を添加した。得られた懸濁液を0℃で10分間撹拌し、再度−78℃に冷却し、1.70gの4-クロロベンジルブロミドで処理した。5分後、温度を0℃まで上昇させ、混合物を20分間撹拌した。この時点で、2mLのAcOHを添加することにより反応をクエンチし、この混合物を、1N HCl/EtOAcを含有する分液漏斗に注ぎ入れた。層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮した。アルキル化された物質を、ステップ2に記載した手順を用いて加水分解した。得られた粗物質をEtOAc/ヘキサンを用いて摩砕することによりさらに精製して、2.35gの標題化合物淡褐色の固体として得た。
1H NMR(アセトン-d6)δ 10.70(br s, 1H), 7.31(d, 2H), 7.18(d, 1H), 7.06(d, 1H), 6.92(d, 2H), 5.90(d, 1H), 5.74(d, 1H), 3.61(m, 1H), 3.00-2.70(m, 3H), 2.65(dd, 1H), 2.39(dd, 1H), 2.26(m, 1H);
MS(-APCI) m/z 436.3, 434.5(M-H)-
【0100】
ステップ5:(+)-[5-ブロモ-4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]-インドール-3-イル}酢酸
【0101】
【化23】

【0102】
130mLのEtOH中の2.35gのステップ4で得た酸の溶液に、80℃で、780μLの(S)-(−)-1-(1-ナフチル)エチルアミンを添加した。この溶液を室温まで冷却し、一晩撹拌した。回収した塩(1.7g)を200mLのEtOHを用いて再度結晶化させた。濾過した後、得られた白色固体状の塩を1N HClで中和し、生成物をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮した。得られた物質をSiOのパッドで濾過してEtOAcで溶離させ、500mgの標題のエナンチオマーを白色の固体として得た。2種類のエナンチオマーの保持時間は、それぞれ、7.5分及び9.4分であった[キラルパックADカラム, ヘキサン/2-プロパノール/酢酸(95:5:0.1)]。極性がより強いエナンチオマーは98%eeであった。
ee=98%;保持時間=9.4分[キラルパックADカラム:250×4.6mm, ヘキサン/2-プロパノール/酢酸(75:25:0.1)];[α]D21=+39.2°(c 1.0, MeOH)。
【0103】
ステップ6:(−)-[4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-5-(メタンスルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロ-ペンタ[b]インドール-3-イル}酢酸及びナトリウム塩
ステップ5で得た酸(15.4g)を先ずジアゾメタンでエステル化した。このようにして形成されたエステルをN-メチルピロリジノン中で16.3gのメタンスルフィン酸ナトリウム塩及び30.2gのCuI(I)と混合することにより、スルホニル化を行った。得られた懸濁液をN流下で脱ガスし、150℃に加熱し、3時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。反応をクエンチするために、500mLの酢酸エチル及び500mLのヘキサンを添加し、得られた混合物をSiOのパッドで濾過してEtOAcで溶離させた。有機相を濃縮した。得られた粗油状物をEtOAcに溶解させ、水で3回洗浄し、ブラインで1回洗浄し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた粗物質を、100%トルエンからEtOAc中の50%トルエンまでの勾配で溶離させるフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製して、14gのスルホン化エステルを得た。これを、ステップ2に記載した手順を用いて加水分解した。2種類の連続的な再結晶化(酢酸イソプロピル/ヘプタンによる再結晶、次いで、CHCl/ヘキサンによる再結晶)に付した後、標題化合物(9.8g)を白色の固体として得た。
1H NMR(500MHz アセトン-d)δ 10.73(br s, 1H), 7.57(d, 2H, J=8.8Hz), 7.31(m, 1H), 7.29(m, 1H), 6.84(d, 2H, J=8.8Hz), 6.29(d, 1H, JAB=17.8Hz), 5.79(d, 1H, JAB=17.8Hz), 3.43(m, 1H), 2.98(s, 3H), 2.94(m, 1H), 2.85-2.65(m, 3H), 2.42(dd, 1H, J1=16.1Hz, J2=10.3Hz), 2.27(m, 1H);
13C NMR(125MHz アセトン-d6)δ 173.0, 156.5(d, JCF=237Hz), 153.9, 139.2, 133.7, 133.3, 130.0(d, JCF=8.9Hz), 129.6, 128.2, 127.5(d, JCF=7.6Hz), 122.2(d, JCF=4.2Hz), 112.3(d, JCF=29.4Hz), 111.0(d, JCF=22.6Hz), 50.8, 44.7, 38.6, 36.6, 36.5, 23.3;
MS(-APCI) m/z 436.1, 434.1(M-H)-
ee=97%;保持時間=15.3分[キラルセルODカラム:250×4.6mm, ヘキサン/2-プロパノール/エタノール/酢酸(90:5:5:0.2)];[α]D21=−29.3°(c 1.0, MeOH);
Mp 175.0℃。
【0104】
ナトリウム塩は、EtOH(100mL)中の6.45g(14.80mmol)の上記酸化合物を14.80mLの1N NaOH水溶液で処理することにより調製した。真空下に有機溶媒を除去し、得られた粗固体を還流下の1.2Lのイソプロピルアルコールに溶解させた。溶媒を蒸留させることにより、最終容積を500mLまで縮小させた。室温まで冷却することによりナトリウム塩を結晶化させた。得られた結晶質ナトリウム塩をHOに懸濁させ、ドライアイス浴で凍結させ、高真空下に凍結乾燥させて、6.00gの標題化合物をナトリウム塩として得た。
1H NMR(500MHz DMSO-d6)δ 7.63(dd, 1H, J1=8.5Hz, J2=2.6Hz), 7.47(dd, 1H, J1=9.7Hz, J2=2.6Hz), 7.33(d, 2H, J=8.4Hz), 6.70(d, 2H, J=8.4Hz), 6.06(d, 1H, JAB=17.9Hz), 5.76(d, 1H, JAB=17.9Hz), 3.29(m, 1H), 3.08(s, 3H), 2.80(m, 1H), 2.69(m, 1H), 2.55(m, 1H), 2.18(m, 2H), 1.93(dd, 1H, J1=14.4Hz, J2=9.7Hz)。
【0105】
(実施例1A)
(+/−)-[5-ブロモ-4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル]酢酸(実施例1, ステップ4)についての別法
ステップ1:(+/−)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸ジシクロヘキシルアミン(DCHA)塩
(2-オキソシクロペンチル)酢酸エチル(1.5当量)及び硫酸(0.02当量)と一緒に、キシレン中の2-ブロモ-4-フルオロアニリンの0.526M溶液を20時間加熱還流した。ディーン・スターク装置を用いて、共沸蒸留により水を除去した。反応の後、NMRを行い、20時間後に80〜85%が所望のイミン中間体に変換されているのが一般に観察された。反応混合物を1Mの重炭酸ナトリウム(0.2容積)で15分間洗浄し、有機フラクションを蒸発させた。残留したシロップ状物を真空下(0.5mmHg)に蒸留した。残留キシレンを30℃で蒸留し、次いで、余分なケトン及び未反応アニリンを50-110℃の範囲で回収し、イミンを110〜180℃のフラクション中に純度83%の淡褐色の澄んだ液体として回収した。
【0106】
イミン中間体を、次いで、酢酸カリウム(3当量)、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド一水和物(1当量)、酢酸パラジウム(0.03当量)及びN,N-ジメチルアセトアミドの脱ガスした混合物に添加した(イミンの最終濃度=0.365M)。反応混合物を115℃に5時間加熱し、室温まで冷却させた。次いで、3N KOH(3当量)を添加し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を水(1.0容積)で希釈し、トルエン(3×0.75容積)で洗浄した。水相を3N HClでpH1に酸性化し、t-ブチルメチルエーテル(2×0.75容積)で抽出した。有機フラクションを一緒にして、水(0.75容積)で洗浄した。澄んだ淡褐色の溶液にジシクロヘキシルアミン(1当量)を添加し、その溶液を室温で16時間撹拌した。得られた塩を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、t-ブチルメチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、標題化合物を黄褐色の固体として得た。
アッセイ:94 A%;
1H NMR(500mHz, CDC13):δ 9.24(s, 1H), 7.16-7.08(m, 2H), 6.82(t, 1H), 6.2(br, 2H), 3.6-3.5(m, 1H), 3.04-2.97(m, 2H), 2.88-2.70(m, 3H), 2.66(dd, 1H), 2.45-2.37(m, 1H), 2.13-2.05(m, 2.05), 1.83(d, 4H), 1.67(d, 2H), 1.55-1.43(m, 4H), 1.33-1.11(m, 6H)。
【0107】
ステップ2:(+/−)-(5-ブロモ-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸
ジクロロメタン(0.241M溶液)中の上記ステップ1で得たDCHA塩のスラリーを−20℃〜−15℃に冷却した。ピリジン(2当量)を一度に添加し、得られたスラリーに温度を−20℃〜−15℃に維持しながら30〜45分間かけて臭素(2.5当量)を滴下して加えた。(臭素を約1/3添加した時点で、反応混合物は粘性になり、効率的な撹拌が必要であった。最終的に、臭素を約1/2添加した時点で、混合物は再度「非粘性(loose)」になった)。臭素の添加が完了した後、反応混合物を−15℃でさらに1時間熟成させた。次いで、酢酸(3.04当量)を5分間かけて添加し、亜鉛粉末(3.04当量)を少量ずつ添加した。(亜鉛の一部を−15℃で添加し、得られた混合物を約5分間熟成させて、発熱が治まるようにした(約−15℃〜−10℃))。この操作を繰り返して、約30分間かけて亜鉛を約5回添加した。もはや発熱が観察されなくなった時、残りの亜鉛を素早く添加した。全ての操作に約30〜45分間かかった。
【0108】
亜鉛粉末の添加が完了した後、バッチを室温まで昇温させ、1時間熟成させ、濃縮した。反応混合物をメチルt-ブチルエーテル(MTBE, 0.8容積)に移し、10%酢酸水溶液(0.8容積)を添加した。得られた混合物(塩の結晶化, 例えば、ピリジウム)を室温で1時間熟成させ、Solka-flocで濾過した。Solka-flocのパッドをMTBE(約0.2容積)ですすぎ洗いし、濾液(二相, MTBE相/水相)を抽出器の中に移した。有機相を水(0.8容積)で洗浄した。MTBE抽出物を濃縮し、イソプロピルアルコール(IPA, 0.25容積)に移して化合物を結晶化させた。水(0.25容積)を添加し、バッチを1時間熟成させた。さらに水(0.33容積)を1時間かけて添加した。水の添加が完了した後、バッチをさらに1時間熟成させ、濾過し、30/70のIPA/水(0.15容積)ですすぎ洗いした。結晶化したブロモ酸を+45℃のオーブン中で乾燥させた。
【0109】
ステップ3:(+/−)-[5-ブロモ-4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]-インドール-3-イル]酢酸
ステップ2で得たブロモ酸をジメチルアセトアミド(0.416M溶液)に溶解させ、炭酸セシウム(2.5当量)を一度に添加した。得られたスラリーに4-クロロベンジルクロリド(2.5当量)を一度に添加し、バッチを50℃に20時間加熱した。バッチを室温まで冷却し、水酸化ナトリウム5N(4.00当量)を5分間かけて添加した(温度は+40℃まで上昇する)。反応物を50℃で約3時間熟成させ、室温まで冷却し、L抽出器の中に移した。溶液を酢酸イソプロピル(IPAc, 2容積)で希釈し、+15℃に冷却した。その溶液を5N HClでpH〜2に酸性化した。層を分離し、有機層を水(2×2容積)で洗浄した。IPAc溶液を濃縮し、IPA(0.8容積)に移して、生成物を結晶化させた。水(8L)を2時間かけて添加し、バッチを濾過して、標題化合物を88%の単離された収率で得た。該バッチは、+40℃のオーブン中で24時間乾燥させることができる。
【0110】
(実施例2)
(+/−)-{4-[1-(4-クロロフェニル)エチル]-7-フルオロ-5-メタンスルホニル-1,2,3,4-テトラヒドロ-シクロペンタ[b]インドール-3-イル}酢酸
【0111】
【化24】

【0112】
実施例1ステップ3の酸のメチルエステル1.5g(これは、対応する酸をテトラヒドロフラン中でジアゾメタンでエステル化することにより調製した)及び2.03gの1-(1-ブロモエチル)-4-クロロベンゼンを50mLのアセトニトリルに溶解させた溶液に、6.01gの炭酸セシウムを添加した。得られた混合物を激しく撹拌しながら3時間加熱還流した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、50mLの酢酸エチルで希釈し、濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, 4%EtOAc/ヘキサン)で精製して、1.41gの所望のN-ベンジル化生成物を、H NMR分析によりジアステレオマーの約1:1の混合物として得た。
【0113】
上記エステル(1.2g)を80mLのNMPに溶解させ、それに、2.63gのメタンスルフィン酸ナトリウム塩と3.7gのCu(I)Brを順次添加した。得られた懸濁液をN流下で脱ガスし、140℃に加熱し、8時間激しく撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、500mLの酢酸エチルと500mLのヘキサンで希釈した。得られた混合物をシリカゲルのパッドで濾過し、EtOAcでさらに溶離させた。濾液を約300mLの容積になるまで濃縮し、水及びブラインで洗浄した。有機相を分離し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた粗物質を30%EtOAc/ヘキサンで溶離させるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製して、1.0gのスルホン化物質を得た。これを、10mLのTHFと10mLのMeOHからなる溶媒混合物中で、10mLの2N NaOHを用いて3時間対応する酸に加水分解した。反応混合物を1M HCl水溶液で中和し、EtOAcで抽出した。有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させて、未精製の酸を得た。2種類のジアステレオマーを分取HPLC(Zobax, 0.2%AcOHを含有する30%EtOAc/ヘキサン)で分離して、300mgのジアステレオマーA(短い保持時間)及び210mgのジアステレオマーB(長い保持時間)を得た。
ジアステレオマーB: 1H NMR(アセトン-d6)δ 10.70(br s, 1H), 7.66(dd, 1H), 7.56(dd, 1H), 7.32(d, 2H), 6.95(d, 2H), 6.91(q, 1H), 3.39(s, 3H), 3.05-3.00(m,1H), 2.90-2.75(m, 2H), 2.70(dd, 1H), 2.44(dd, 1H), 2.43-2.34(m, 1H), 2.21(dd, 1H), 2.11(d, 3H);
MS(-APCI) m/z 448.0(M-H)-
【0114】
(実施例2A)
(+/−)-4-[1-(4-クロロフェニル)エチル]-7-フルオロ-5-メタン-スルホニル-1,2,3,4-テトラヒドロ-シクロペンタ[b]インドール-3-イル}酢酸の別法による合成
実施例1ステップ3の酸のメチルエステル6.52g(これは、対応する酸をテトラヒドロフラン中でジアゾメタンでエステル化することにより調製した)を160mLのNMPに溶解させた溶液に、10.2gのメタンスルフィン酸ナトリウム塩及び19gのCuIを順次添加した。得られた懸濁液をN硫下で脱ガスし、150℃に加熱し、4時間激しく撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、500mLの酢酸エチルと500mLのヘキサンで希釈した。得られた混合物をシリカゲルのパッドで濾過し、EtOAcでさらに溶離させた。濾液を約300mLの容積になるまで濃縮し、水及びブラインで洗浄した。有機相を分離し、無水NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。得られた粗物質を30% EtOAc/ヘキサンで溶離させるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製して、4.7gのスルホン化物質を得た。これを200mLのジクロロメタンに溶解させた。得られた溶液に、3.39gの4-クロロフェニルメチルカルビノール及び5.68gのトリフェニルホスフィンを添加した後、4.99gのジ-t-ブチルアゾジカルボキシレートを少量ずつ添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、濃縮した。残渣をシリカゲルかラムに入れ、5%EtOAc/ヘキサンで溶離させて、標題化合物のメチルエステル5.1gを、H NMR分析によりジアステレオマーの約1:1の混合物として得た。実施例2に記載した加水分解及び精製ステップを行った後で、標題の酸を得た。
【0115】
(実施例3)
(+/−)-[9-(4-クロロベンジル)-6-フルオロ-8-メタンスルホニル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-1-イル]酢酸
【0116】
【化25】

【0117】
ステップ1:(+/−)-エチル(8-ブロモ-6-フルオロ-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-1-イル)アセテート
【0118】
【化26】

【0119】
100mLの酢酸中の7.24gの(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)ヒドラジン塩酸塩の懸濁液に、5.5gの2-(2-オキソシクロヘキシル)酢酸エチルを添加した。得られた混合物を1時間加熱還流した。次いで、10mLのエタノールを添加し、反応混合物を還流温度で一晩加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcで希釈し、NaHCO飽和水溶液、水及びブラインで順次洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させた。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5% EtOAc/ヘキサン)で精製して、3.12gの所望の化合物を得た。
1H NMR(アセトン-d6)δ 9.97(br s, 1H), 7.34(dd, 1H), 7.13(dd, 1H), 7.09(dd, 1H), 4.16(q, 2H), 3.43-3.35(m, 5H), 3.05-2.88(m, 1H), 2.76-2.53(m, 3H), 2.10-2.00(m, 1H), 1.96-1.87(m, 1H), 1.82-1.72(m, H), 1.72-1.64(m, 1H), 1.23(t, 3H)。
【0120】
ステップ2:(+/−)-エチル[8-ブロモ-9-(4-クロロベンジル)-6-フルオロ-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-1-イル]アセテート
【0121】
【化27】

【0122】
3.12gのステップ1で調製したエステル及び3.62gの1-ブロモメチル-4-クロロベンゼンを30mLのアセトニトリルに溶解させた溶液に、5.74gの炭酸セシウムを添加した。得られた混合物を還流温度で3時間激しく撹拌し、次いで、室温まで冷却し、最少量のEtOAcで希釈し、濾過し、蒸発させた。残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(50%トルエン/ヘキサン)でさらに精製して、4.1gの標題化合物を得た。
1H NMR(アセトン-d6)δ 7.32(d, 2H), 7.24(dd, 1H), 7.13(dd, 1H), 6.86(d, 2H), 6.00 and 5.65(AB q, 2H), 4.15-4.05(m,2H), 3.44-3.35(m, 1H), 2.88-2.76(m, 1H), 2.65-2.52(m, 3H), 2.00-1.80(m, 4H), 1.22(t, 3H)。
【0123】
ステップ3:(+/−)-[9-(4-クロロベンジル)-6-フルオロ-8-メタンスルホニル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-1-イル]酢酸
8mLのNMP中の478mgのステップ2で調製したエステルの溶液に、510mgのメタンスルフィン酸ナトリウム塩及び950mgのCuI(I)を順次添加した。得られた混合物をN流下で脱ガスし、次いで、激しく撹拌しながら140℃で8時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、最少量のEtOAc/ヘキサン(1:1混合物)で希釈した。得られた混合物をシリカゲルのパッドで濾過し、EtOAcでさらに溶離させた。濾液を約50mLまで濃縮し、水及びブラインで洗浄した。有機相を収集し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させた。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/ヘキサン)で精製して、320mgの所望のスルホン化物質を得た。これを、5mLのTHFプラス5mLのメタノールに溶解させた。得られた溶液に5mLの2N NaOHを添加し、得られた混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物を1M HCl水溶液で中和し、EtOAcで抽出した。有機相を分離し、それを、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させた。残渣を、激しく撹拌しながら、ヘキサンと一緒に0.5時間還流した。得られた混合物を激しく撹拌しながら室温まで冷却し、濾過して、278mgの所望の酸を得た。
1H NMR(500MHz アセトン-d6)δ 10.73(br s, 1H), 7.57(d, 1H), 7.56(d, 1H), 7.29(d, 1H), 6.67(d, 2H,), 6.47 and 5.61(AB q, 2H), 3.27-3.21(m, 1H), 2.98(s, 3H), 2.85(dd, 1H), 2.76-2.55(m, 3H), 2.00-1.84(m, 3H), 1.82-1.73(m, 1H);
MS(-APCI) m/z 448.0(M-H)-
【0124】
(実施例4)
[4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-5-メタンスルホニル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル]酢酸
【0125】
【化28】

【0126】
ステップ1:[5-ブロモ-4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル]酢酸メチルエステル
【0127】
【化29】

【0128】
10mLの(9:1)THF/HO溶液中の実施例1ステップ5の化合物のメチルエステル(1.00g;対応する酸を過剰量のジアゾメタンで処理することにより調製したもの)を2.52gのDDQで処理した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。この時点で、反応混合物をEtOAc及びブラインを含有している分液漏斗に注ぎ入れた。有機層を一緒にして、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮した。得られた物質を、30%EtOAc/ヘキサンで溶離させるフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製した。このクロマトグラフィー工程をさらに2回繰り返した。350mgの上記ケトンが灰色の固体として得られた。
【0129】
ステップ2:[4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-5-メタンスルホニル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル]酢酸
4mLのNMP中のステップ1で得た臭化物(200mg)を、320mgのCuI及び175mgのCHSONaで処理した。約1分間反応混合物に窒素を通気し、次いで、該混合物を130℃で6時間加熱した。この時点で、反応混合物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、シリカゲルのパッドで濾過し、残渣を追加のEtOAcですすぎ洗いした。有機層を水で洗浄し、ブラインで洗浄し、無水MgSOで脱水し、濃縮した。得られた油状物を、50%EtOAc/ヘキサンで溶離させるフラッシュクロマトグラフィーで精製して、54mgの対応するメチルスルホンをオフホワイトの固体として得た。
【0130】
5mLのTHF/HO(1:1)及び5mLのMeOH中の上記メチルエステルを、1mLの1N HCl溶液で処理した。この混合物を室温で2時間撹拌した。この時点で、反応混合物を1N HCl溶液で酸性化し、水とEtOAcを含有している分液漏斗に注ぎ入れた。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。有機層を一緒にして水で洗浄し、ブラインで洗浄し、無水NaSOで脱水し、濃縮した。得られた物質を、1%AcOHを含有している100%EtOAcで溶離させるフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製して、26mgの標題の酸をオフホワイトの固体として得た。
1H NMR(500MHz, アセトン-d6)δ 11.0(br, 1H), 7.85(m, 1H), 7.80(m, 1H), 7.38(d, J=8Hz, 2H), 7.04(d, J=8Hz, 2H), 6.42(d, JAB=18Hz, 1H), 6.08(d, JAB=18Hz, 1H), 3.78(m, 1H), 3.28(m, 1H), 3.10(m, 1H), 3.05(s, 3H), 2.65(m, 2H);
MS(-APCI) m/z 448. 2(M-H)-。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、nは、0又は1であり;mは、1、2又は3であり;Rは、H、C-Cアルキル、ハロゲン化C-Cアルキル又はシクロプロピルであり;Rは、4-クロロフェニル又は2,4,6-トリクロロフェニルである]
で表される化合物又はその製薬上許容される塩、ただし、
【化2】

は、式(I)から除く。
【請求項2】
nが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
mが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
mが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が4-クロロフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が2,4,6-トリクロロフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
以下に示されている立体配置:
【化3】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
nが0である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
nが1である、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
mが1である、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
mが2である、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
がHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
がCHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項17】
が4-クロロフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項18】
が2,4,6-トリクロロフェニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項19】
[4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-5-(メタンスルホニル)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]-インドール-3-イル]酢酸、
{4-[1-(4-クロロフェニル)エチル]-7-フルオロ-5-メタンスルホニル-1,2,3,4-テトラヒドロシクロ-ペンタ[b]インドール-3-イル}酢酸、
[9-(4-クロロベンジル)-6-フルオロ-8-メタンスルホニル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-1-イル]-酢酸、
及び、
[4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-5-メタンスルホニル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-シクロペンタ-[b]インドール-3-イル]酢酸、
から選択される化合物又はその製薬上許容される塩、ただし、
【化4】

及びその製薬上許容される塩は除く。
【請求項20】
化合物(+/−)-4-[1-(4-クロロフェニル)エチル]-7-フルオロ-5-メタンスルホニル-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル}酢酸又はその製薬上許容される塩。
【請求項21】
化合物(+/−)-[9-(4-クロロベンジル)-6-フルオロ-8-メタン-スルホニル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-1-イル]酢酸又はその製薬上許容される塩。
【請求項22】
化合物[4-(4-クロロベンジル)-7-フルオロ-5-メタン-スルホニル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-シクロペンタ[b]インドール-3-イル]酢酸又はその製薬上許容される塩。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物と製薬上許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項24】
抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬及びロイコトリエン生合成阻害薬から選択される第二の活性成分をさらに含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
プロスタグランジンD2介在疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1の化合物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項26】
鼻充血を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1の化合物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項27】
アレルギー性喘息を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1の化合物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項28】
アレルギー性鼻炎を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1の化合物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項29】
請求項1〜18のいずれか1項で定義されている式(I)で表される化合物の製薬上許容される塩。
【請求項30】
製薬上許容される担体と一緒に治療有効量の請求項1〜18のいずれか1項で定義されている式(I)で表される化合物又はその製薬上許容される塩を含有する、プロスタグランジンD2介在疾患を治療又は予防するための医薬組成物。
【請求項31】
製薬上許容される担体と一緒に治療有効量の請求項19〜22のいずれか1項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含有する、プロスタグランジンD2介在疾患を治療又は予防するための医薬組成物。
【請求項32】
プロスタグランジンD2介在疾患を治療するための薬物の製造における、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物又は塩の使用。
【請求項33】
前記疾患が鼻充血、鼻炎又は喘息である、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
薬物療法で使用するための、請求項1〜22のいずれか1項で定義されている化合物又は塩。

【公開番号】特開2007−186521(P2007−186521A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45469(P2007−45469)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【分割の表示】特願2003−562082(P2003−562082)の分割
【原出願日】平成15年1月22日(2003.1.22)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】