説明

フルクタン含有食品からの免疫賦活発酵食品

【課題】 フルクタンを含有する原料(特に、フルクタンを高含有するニンニク、ラッキョウを含む原料)を、加熱処理や酵素処理を行うことなく直接乳酸発酵し、高機能化された発酵生成物(発酵食品)を提供することを課題とする。
【解決手段】 フルクタン資化能を有する乳酸菌ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)S506菌株(NITE BP‐643)、もしくは、フルクタン資化能を有する前記S506菌株からの変異体菌株、もしくは、前記S506菌株と同一の菌学的性質を有するラクトバシラス・プランタルムからの分離菌株、を用いて、;フルクタンを含有する原料を乳酸発酵させ、得られた免疫賦活作用を有する発酵生成物、および、前記発酵生成物を含有してなる発酵食品、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルクタン資化能を有する特定の乳酸菌株を用いて、フルクタンを含有する原料を乳酸発酵させ、得られた発酵生成物に関し、詳しくは免疫賦活作用を有する発酵生成物に関する。
また、本発明は、前記発酵生成物を含有してなることを特徴とする、免疫賦活作用を有する発酵食品に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌は糖源の資化能力の高い細菌でブドウ糖、単糖を資化して乳酸発酵を行うが、一般的には難消化性多糖であるフルクタンは発酵できない。
フルクタンは、ニンニクやラッキョウなどに特に多く含有される難消化性多糖であり、その乾物あたりの含有量はニンニクでは約80%、ラッキョウで約70%である。
そこで、ニンニクやラッキョウに付加価値を高めるために、高含有されるフルクタンを直接発酵しようと(特にニンニクを)試みてきたが、成功した事例はない。
【0003】
特にニンニクについては、その有効利用が期待されており、様々な発酵を利用する開発がされている。例えば、ぶどう酒の製造過程で少量のニンニクを添加して発酵させた例(特許文献1)や少量のニンニクに多量の糖を添加して発酵させた例(特許文献2)がある。
また、ニンニクの内在性酵素を加熱失活した後‘麹菌’で発酵する例(特許文献3)やニンニクを加熱処理して破砕した後に、乳酸発酵とプロピオン酸発酵を行う例(特許文献4)、がある。
しかし、これらの例はいずれも、ニンニクに高含有される‘フルクタン’を、‘加熱処理や酵素処理を行うことなく、直接発酵する技術’ではない。
【0004】
なお、ニンニクやラッキョウの生理機能については、有機イオウ化合物やサポニンについての有効性は数多く報告されているのに対して、大部分を占めるフルクタンについての報告は少ない。
そこで、これらに含有されるフルクタンを発酵して、高機能化させる技術や有効利用の技術の開発が期待されていた。特に、顕著な高機能化が期待される‘乳酸発酵食品’への応用が期待されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭48‐52995号公報
【特許文献2】特開昭53‐26361号公報
【特許文献3】特開2002−154981号公報
【特許文献4】特開2006−94853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、フルクタンを含有する原料(特に、フルクタンを高含有するニンニク、ラッキョウを含む原料)を、‘加熱処理や酵素処理を行うことなく直接乳酸発酵し’、‘高機能化された’発酵生成物(発酵食品)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、フルクタン資化能を有する特定の乳酸菌株を分離して用いることによって、フルクタンを含有する原料(特に、フルクタンを高含有するニンニク、ラッキョウを含む原料)に対して、含有されるフルクタンを‘加熱処理や酵素処理を行うことなく直接乳酸発酵する’ことが、可能となることを見出した。
また、本発明者は、得られた発酵生成物が、‘免疫賦活作用を有すること’(高機能化されたこと)を見出した。
本発明者は、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、請求項1に係る本発明は、フルクタン資化能を有する乳酸菌ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)S506菌株(NITE BP‐643)、もしくは、フルクタン資化能を有する前記S506菌株からの変異体菌株、もしくは、前記S506菌株と同一の菌学的性質を有するラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)からの分離菌株、を用いて、;フルクタンを含有する原料を乳酸発酵させ、得られた発酵生成物、に関するものである。
請求項2に係る本発明は、前記フルクタンを含有する原料が、ニンニク、ラッキョウ、チコリ、キクイモ、ダリア、ヤーコン、ゴボウ、から選ばれる1以上の植物を含むものである、請求項1に記載の発酵生成物、に関するものである。
請求項3に係る本発明は、前記フルクタンを含有する原料が、ニンニクを含むものである、請求項1に記載の発酵生成物、に関するものである。
請求項4に係る本発明は、前記発酵生成物が免疫賦活作用を有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の発酵生成物、に関するものである。
請求項5に係る本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発酵生成物を含有してなることを特徴とする、発酵食品、に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に用いる乳酸菌株は、グルコースまたは単糖類の存在を必要とせず、フルクタンのみを糖質源として効率よく乳酸発酵することができるため、フルクタンを含有する原料(特にフルクタンを高含有するニンニク、ラッキョウを含む原料)を、加熱処理や酵素処理を行うことなく直接乳酸発酵することによって、‘免疫賦活作用を有するようになった(高機能化された)’発酵生成物、を提供することを可能にする。
本発明は、前記発酵生成物を含んでなる、免疫賦活作用を有する発酵食品を提供することを可能とする。
また、本発明は、前記発酵生成物を含んでなる、免疫賦活作用剤を提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】調製例1で得られたS506株のフルクタン資化能を示す図である。
【図2】実施例2における生ニンニク発酵をTLCにて確認した結果を示す図である。
【図3】実施例3におけるマクロファージのNO産生能試験結果を示す図である。
【図4】実施例4におけるマクロファージのIL‐12産生能試験結果を示す図である。
【図5】実施例5におけるマクロファージの異物貪食能試験結果を示す図である。
【図6】実施例6におけるマウスパイエル板細胞からのIFN−γ産生促進試験結果を示す図である。
【図7】実施例6におけるマウスパイエル板細胞からのIgA産生促進試験結果を示す図である。
【図8】実施例7におけるマウス好中球増殖促進作用試験結果を示す図である。
【図9】実施例8におけるヒト唾液中IgA分泌促進作用試験結果を示す図である。
【図10】実施例9におけるヒト好中球異物貪食能活性化試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、フルクタン資化能を有する特定の乳酸菌株を用いて、フルクタンを含有する原料(特には、フルクタンを高含有するニンニクを含有する原料)を乳酸発酵させ、得られた発酵生成物に関し、詳しくは、免疫賦活作用を有する発酵生成物に関する。
また、本発明は、前記発酵生成物を含有してなることを特徴とする、免疫賦活作用を有する発酵食品に関する。
【0012】
フルクタンは、フルクトースを主な構成糖とする多糖の総称で、水溶性の食物繊維であり、難消化性である。
本発明において、フルクタンを含有する原料とは、フルクタンを含有するものであれば、如何なるものも用いることができるが、フルクタンを高含有するものを用いることが好ましい。具体的には、ニンニク、ラッキョウ、チコリ、キクイモ、ダリア、ヤーコン、ゴボウ、から選ばれる1以上の植物を含むものであることが好適である。
特には、ニンニク、ラッキョウから選ばれる1以上の植物を含むもの、さらには、ニンニクを含むものであることがさらに好適である。
なお、ニンニク、ラッキョウなどのネギ属には、水への溶解性(特に冷水への溶解性)に優れた‘非イヌリン型’のフルクタンが含有され、本発明の原料に用いるのに好ましい。
【0013】
前記植物としては、ニンニクとしては可食部である鱗茎部、ラッキョウとしては可食部である鱗茎部、チコリとしては可食部である根、キクイモとしては可食部である塊茎部、ダリアとしては根部、ヤーコンとしては塊茎部、ゴボウとしては可食部である根を用いることができる。
【0014】
フルクタンを含有する原料としては、例えば、上記植物を粉砕、細断、擂潰したもの、;粉砕、細断、擂潰した後で水溶性成分を抽出した上清、;などを用いることができる。
例えば、ニンニクを用いる場合、生のニンニクを粉砕、細断、擂潰したもの、;生のニンニクの絞り汁、;加熱したニンニクを粉砕、細断、擂潰したもの、;加熱したニンニクの搾り汁などを用いることができる。
【0015】
本発明の発酵生成物は、前記フルクタンを含有する原料を、「フルクタン資化能を有する乳酸菌であるラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)S506菌株(NITE BP‐643)」、もしくは、「フルクタン資化能を有する前記S506菌株からの変異体菌株」、もしくは、「前記S506菌株と同一の菌学的性質を有するラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)からの分離菌株」、を用いて乳酸発酵させ、得られるものである。
なお、本発明では、上記菌株以外の通常の乳酸菌(通常のラクトバシラス・プランタルム〔Lactobacillus plantarum〕を含む)を用いた場合、フルクタンを、全くもしくは十分に資化することができないため、フルクタンを含有する原料、特にフルクタンを高含有するニンニクを含む原料、を乳酸発酵させて、免疫賦活作用を有する発酵生成物を得ることができない。
【0016】
本発明に用いるラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)S506菌株は、平成20年9月2日付で、「受託番号NITE BP-643」として、独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託されている菌株であり、「フルクタン資化能を有する」以外は、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)とほぼ同一の菌学的性質を有する菌株である。
また、本発明では、前記S506菌株からの変異体菌株であり、フルクタン資化能を有するものも用いることができる。
さらに本発明では、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)から分離した分離株であって、前記S506菌株と同一の菌学的性質を有するものも、用いることができる。当該分離株の菌学的性質として、下記の調製例1に記載の‘形態的特徴’、‘各種糖類の資化性’が同一のもの、好ましくはこれらの性質に加えて配列表1に示す‘16SrDNAの塩基配列’が同一のもの、を用いることができる。
【0017】
乳酸発酵は、上記原料に含有されるフルクタンが、十分フルクトースに分解されるまで行う。
具体的には、嫌気条件にて行い、温度は10〜40℃、好ましくは20〜30℃で行うことが望ましい。
pHは3.0〜7.0、好ましくは4.0〜5.5、特には5.0付近で行うことが望ましい。なお、pHの調整は、例えば滅菌したカキガラ等を加えて、緩衝作用を持たせることで、発酵の進行によって酸性に傾かないようにすることで、上記pHの範囲を維持することができる。
発酵時間としては、上記原料に含有されるフルクタンが、十分フルクトースに分解されるまで行えばよいが、例えば、7〜21日行うことによって、発酵させることができる。
【0018】
上記のように乳酸発酵を行うことによって、本発明の発酵生成物を得ることができる。
本発明の発酵生成物は、十分な量の乳酸菌を含む発酵生成物として得ることができる。
具体的には、本発明の発酵生成物が液体状のものである場合、10〜1012/mlの乳酸菌を含有するものとして得ることができる。
【0019】
得られる発酵生成物の形状としては、用いる原料の状態や形状によるが、液体状のもの、;粉砕、細断、擂潰した状態のもの、;ペースト状のもの、;原料の原型を留めたもの、;が得られる。
なお、これらを、粉砕や乾燥などの処理を行うことで、乾燥粉末とすることもできる。
【0020】
ここで、免疫賦活作用とは、自然免疫と獲得免疫の両方についての、機能を向上させる作用を指す。
本発明の発酵生成物は、「免疫賦活作用」を有するものであり、自然免疫と獲得免疫の両方の機能を向上させる作用を有するものであるが、特に自然免疫に関しての免疫賦活作用に有効である。
なお、‘自然免疫’とは、マクロファージ等の炎症細胞系の細胞により、生体防御機能を担うシステムである。例えば、風邪などのウイルスの侵入、切り傷などの傷口からの細菌の侵入、がん細胞などの異物を発見・除去など体が最初に防御するための免疫システムである。また、‘獲得免疫’とは、いろいろな抗原に感染することで身につく免疫系で、おもに抗体による免疫システムである。
【0021】
‘自然免疫’として、具体的には、マクロファージ細胞の活性向上に関する「マクロファージ細胞のNO産生促進作用(マクロファージ細胞の活性化作用)」、「マクロファージ細胞IL‐12産生促進作用」、「マクロファージ細胞貪食能活性化」、を有するものである。なお、マクロファージ細胞のNO産生促進作用は、自然免疫強化の指標と一つとなるものである
また、病原微生物などを貪食・殺菌して排除する機能をもつ顆粒球(90%以上を好中球が占める)の活性向上に関する「好中球増殖促進作用」、を有するものである。なお、抗癌剤のシクロフォスファミドは副作用として免疫低下作用(血中の好中球の減少)が知られているが、本発明の発酵生成物は、シクロフォスファミド投与をした場合においても、血中の好中球の減少を抑制することが可能となる。
【0022】
‘獲得免疫’として、具体的には、腸管免疫バリアに関する「唾液中IgA分泌促進作用」、を有するものであり、さらに「パイエル板細胞からのIFN−γ及びIgA産生促進作用」を有するものである。
なお、「パイエル板細胞からのIFN−γ産生促進作用」は、獲得免疫だけでなく自然免疫についても促進させる作用を有するものである。
【0023】
本発明では、上記発酵生成物をそのまま発酵食品とすることもできるが、他の原料を含有させた発酵食品とすることもできる。例えば、オタネニンジン、ショウガ、オリーブ、クローブ、ガラナ、などの原料を含有させることができる。
そして、本発明では、具体的には、錠剤状またはカプセル状の健康食品、飲料、お菓子類などの発酵食品を得ることができる。
なお、上記発酵生成物は、乾燥重量換算に換算した場合、0.1%以上含有させることが望ましい。
【0024】
なお、本発明では、上記発酵生成物を有効成分として含有する、「免疫賦活剤」を得ることもできる。
剤の形態としては、粉末状、液状、シロップ状、カプセルに充填した形態、賦型剤等と混和して得られる錠剤、丸剤、顆粒剤などを挙げることができる。
【0025】
上記「発酵食品」および「剤」の摂取量としては、含有される発酵生成物の発酵乾燥重量あたり0.1〜2.0g/1回を、1〜2回/1日摂取することで、免疫賦活作用を得ることができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。
【0027】
調製例1〔ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)S506菌株(NITE BP‐643)の分離と選抜〕
(1)ニンニクフルクタン発酵能を有する乳酸菌の分離
まず、糖質源としてニンニク由来のフルクタンを用い、種々の植物由来の食品についてフルクタンを分解する乳酸菌のスクリーニングを試みた。
その結果、ニンニクと同属である‘ラッキョウの塩漬け’がニンニクフルクタンを発酵することを認めたため、その乳酸菌の分離を試みた。
菌の分離には普遍的で栄養豊富なLBプレートや乳酸菌用のBCP添加プレート寒天培地、TYGプレートを用い、塩漬けラッキョウから乳酸菌の分離を行った。
塩漬けラッキョウからは、乳酸桿菌や乳酸球菌の他、ピチアやハンヌセラ等と推定される酵母類が検出された。更に選抜を行うため、ニンニク搾り汁のみを栄養源とした培地を最も選択性の高いものとし、独自にイーストエキスやタンパク質分解処理したニンニク搾り汁、トリプトン等を僅かに混ぜたニンニクフルクタン培地、糖源をフルクトースにしたTYGプレートなどを作製し、ニンニクフルクタン発酵に適した乳酸菌を選抜した。
その結果、ひとつの乳酸菌がニンニク搾り汁のみを栄養源とした培地で、栄養豊富な培地に引けをとらない、良好な生育を示した。これは、偏性嫌気性の有機酸産生菌で無芽胞、直径1〜2mmの淵のはっきりしたコロニーを形成し、運動性なし、桿菌もしくは連鎖球菌・双球菌(または短桿菌)であった。更にクローニングを行って安定形質分離株(S506株)を手に入れた。
【0028】
(2)フルクタン資化能の確認
S506株のフルクタン資化能を以下の方法で、確認した。結果を図1に示す。
高フルクタン含有ニンニクエキス粉末20gに水150mlを加えて30℃で培養した。発酵スターターとしてニンニク生搾り培地にて培養したS506株菌体液100μlを添加し(試料p1−1)、2日間培養を行った(試料p1−2)。
その後、さらに2日間(計4日間)培養を行うか(試料p1−3)、もしくは、約1gのカキガラ粉末を添加した後さらに2日間(計4日間)培養を行った(試料p1−4)。
これらの試料をTLCにて分離して、フルクタンの分解の程度を確認した。TLCの展開溶媒は酢酸エチル、酢酸、メタノール、水からなる組成を用いた。展開後、薄層を乾燥させ、アニス試薬により呈色させ、各スポットを確認した。結果を図1に示す。なお図1は、左から右方向に展開した図である。
【0029】
その結果、2日間の培養で、若干のフルクタンの分解が確認された(試料p1−2)。なお、2日経過後にカキガラ粉末を添加せずに培養を行ったものでは、4日後でも2日経過後の試料と同程度のフルクタンしか分解されていなかった(試料p1−3)。
そして、2日経過後にカキガラ粉末を添加したものでは、3日経過後にS506株発酵物は、生菌数も10/mlを超えるまでに増殖し、4日経過後にはフルクタンが‘殆ど分解した’(試料p1−4)。
これらのことから、S506株がフルクタンを資化することが確認された。そして、特に、酸性に傾かない条件にて、フルクタンを資化することが示された。
【0030】
(3)S506株の同定
・形態的性質
本菌株をMRS寒天培地に植菌し、30℃で48時間嫌気培養した後、生育した菌体を形態観察した。その結果、細胞形態は桿菌(0.7〜0.8×1.5〜2.0μm)であり、グラム染色では陽性を示した。コロニー色調は乳白色であった。
また、本菌株は、偏性嫌気性の有機酸産生菌で無芽胞、直径1〜2mmの淵のはっきりしたコロニーを形成し、運動性はなかった。
・塩基配列
16SrDNAの塩基配列約1500bpを決定し(配列表1参照)、その配列を用いて塩基配列データベースに対して相同性検索を行った。また、相同性検索の結果から推定される近縁菌群の基準株由来の16S rDNAを取得して検体の16S rDNAを含めた分子系統解析を行い、検体の帰属分類群を決定した。
その結果、16S rDNA塩基配列はL. pentosus、L. plantarum、L. paraplantarumに相同率99%以上の高い相同性を示した。国際塩基配列データベースに対する相同性検索においても、S506株の16S rDNA塩基配列はL. pentosus、L. plantarumに対して高い相同性を示した。これらのことからS506株は、L. pentosus、L. plantarum等に非常に近縁であると考えられた。
そこで上記の種を中心に、Lactbacillus基準株由来の16S rDNAを取得し、分子系統樹を作成した。分子系統解析の結果、S506株は、L. plantarum、L. pentosus と同一の系統枝を形成した。
・各種糖の資化性試験
各種糖の資化性試験には細菌検査同定用キットAPI50CHL(bioMeriux社製)を用いた。培地としてMRS寒天、培養温度は30℃、培養期間は24時間、嫌気培養の条件で行った。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
その結果、S506株は、アラビノース、リボース、ガラクトースおよびフルクトースなどを発酵し、グリセロールやキシロースなどは発酵しなかった。
また、S506株は15℃での生育性を示した。これらの性質はL. pentosus、L. plantarumの内、‘L. plantarumの性状と一致する’ものであった。
また、グリセロール、D−キシロースおよびズルシトールを資化しない点において、L. pentosusと異なった。
【0033】
よって、上記16S rDNAの塩基配列を用いた系統解析結果と各種糖の資化性試験の結果から、S506株は、「Lactobacillus plantarumに属する‘新規の乳酸菌株’」であると同定された。
本菌は、フルクタンを資化する点で特徴的な乳酸菌であり、フルクタン含有原料の発酵菌として非常に有用である。
本発明の乳酸菌株であるラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)S506株は、平成20年9月2日付で、「受託番号NITE BP-643」として、独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託されている。
【0034】
調製例2〔菌体の調製〕
Lactobacillus plantarum S506株(NITE BP‐643)をニンニクフルクタン培地で30℃にて3日培養した。
ニンニクフルクタン培地の組成は表2に示す通りである。なお、ニンニクフルクタンは、ニンニクを加熱処理した後にエキスを抽出し、EtOH沈殿により精製し調製した。
【0035】
得られた菌体を、グルコースをフルクトースに変更した少量のTYG培地(TYF培地)に植菌し30℃にて一晩培養した。この培養液をさらにTYF培地に植菌し30℃にて8時間培養した。こうして得られた培養液中から菌体(沈殿物)を回収して生理食塩水で洗浄し、ニンニクの‘発酵スターター’とした。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例1〔ニンニクの発酵〕
ニンニク1kgに水を加えて80℃で1時間加熱した。上清を捨て、ニンニクに新たに水約700ml加えて、ホモジナイズした。
得られた液から遠心分離などにより不溶物を取り除き、得られた液を‘ニンニク煮沸上清’とした。
‘ニンニク煮沸上清’に、調製例2で得られたL. plantarum S506株の菌体を発酵スターターとして加え、30℃にて培養し発酵させた。
培養の際には、少量の培養液を取りpHの経時変化を測定し、pHが5.0付近になるように滅菌したカキガラを加えてpHを調整した。14日後、培養を終了し、発酵液(発酵生成物)を得た。
発酵の進行はTLCを用いてフルクタンが資化されてフルクトースに分解されていることにより確認し、フルクトースの生成量及び乳酸菌数が十分に得られた時点で発酵を終了した。
このようにして得られた発酵液(発酵生成物)を100℃15分間の加熱処理を行い、さらに凍結乾燥させ、‘発酵ニンニク粉末’を得た。
【0038】
実施例2〔生ニンニクの発酵〕
生のニンニクをホモジナイズし、ろ過した。さらに滅菌フィルターに通すことで滅菌し、発酵の基質とした。
得られた‘ニンニク生搾り液’に、調製例2で得られたL. plantarum S506株の菌体を発酵スターターとして加え、30℃にて培養し発酵させた。
培養の際には、少量の培養液を取りpHの経時変化を測定し、pHが5.0付近になるように滅菌したカキガラを加えてpHを調整した。14日後、培養を終了し、発酵液(発酵生成物)を得た。
発酵の進行はTLCを用いてフルクタンが資化されてフルクトースに分解されていることにより確認した。TLCは調製例1に記載と同様の方法により行った。図2に発酵の進行を確認したTLCの結果を示す。なお、図2は、左から右方向に展開した図である。
【0039】
その結果、生ニンニク発酵前に存在したフルクタン(原点付近のスポット)は、生ニンニクの発酵後にはほとんど消費され、フルクトースの生成が確認された。
【0040】
実施例3〔発酵ニンニクのマクロファージ細胞NO産生促進作用〕
マウスマクロファージRAW264.7細胞株を用い、NO産生を指標としたマクロファージ活性化能の測定を行った。RAW264.7細胞は10%FCS添加RPMI‐1640培地にて継代培養したものを用いた。培養は3日ないし4日毎に0.5〜1×10cells/mlで植え継いだ。37℃の5%COインキュベーター内で培養した。
まず、前培養したRAW264.7細胞を8×10cells/mlに細胞数を調整し、得られた細胞懸濁液を100μlずつ96穴平底プレートの各ウェルに加えた。37℃の5%COインキュベーターに移して、細胞がウェルの底に接着して伸展したまで3時間培養を行った。試験試料として、実施例1で得られた発酵ニンニク粉末を‘発酵ニンニク’として用い、細胞培養液中で終濃度が100μg/mlなるように添加したものを最高容量として用いた。さらに、濃度を下げた50μg/ml、10μg/ml、5μg/ml、2μg/mlの容量について試験した。
比較対照として未発酵のニンニク煮沸上清を‘未発酵ニンニク’とし、細胞培養液中で終濃度が100μg/ml、50μg/ml、10μg/mlになるように調整し用いた。また、陽性対照物として‘リポ多糖’(Pantoea agglomeransより精製したLPS)を終濃度100ng/mlの容量で用いた。
調整した各試験液を100μlずつ対応したウェルに添加し、プレートシェイカーを用いて10秒間攪拌した後、37℃の5%COインキュベーターに移し、20時間培養を行った。培養終了後、各ウェルから培養上清50μlずつを別の96穴平底プレートに移した。調整したGriess試薬を各ウェル当たり50μlずつ加え、10分間室温でインキュベートし、550nmの波長でプレートリーダーにより吸光度を測定した。
図3に発酵ニンニク、未発酵ニンニク及びLPSの各濃度における、マクロファージからのNO産生能を調べた結果を示した。
【0041】
その結果、図3が示すように、発酵ニンニクは濃度依存的にNO産生が強まり、未発酵ニンニクはいずれの濃度においてもNO産生は認められなかった。即ち、発酵によりNO産生能が付与されたことがわかる。
【0042】
実施例4〔発酵ニンニクのマクロファージ細胞IL‐12産生促進作用〕
マウスマクロファージJ774.1細胞株を用い、IL‐12産生を指標としたマクロファージ活性化能の測定を行った。J774.1細胞は10%FBS加DMEM培地にて継代培養したものを用いた。培養は3日毎に0.5〜1×10cells/mlで植え継いだ。37℃の5%COインキュベーター内で培養した。
前培養したJ774.1細胞を1×10cells/mlに細胞数を調整し、得られた細胞懸濁液を800μlずつ48穴平底プレートの各ウェルに加えた。試料として、‘発酵ニンニク’(実施例1で得られた発酵ニンニク粉末)、‘未発酵ニンニク’(未発酵のニンニク煮沸上清)、‘フルクタン’をそれぞれ終濃度10μg/mlになるように添加し、さらに各ウェルに終濃度1μg/mlになるようにLPSを添加した。37℃の5%COインキュベーターに移して、24時間培養を行った。培養終了後、各ウェルから培養上清を採取しELISA法によりIL‐12を測定した。
図4に発酵ニンニク、未発酵ニンニク及びフルクタンのマクロファージからのIL‐12産生能を調べた結果を示した。
【0043】
その結果、未発酵ニンニク及びフルクタンには、IL‐12産生は認められないが、発酵ニンニクはIL‐12産生能が上昇していた。
【0044】
実施例5〔発酵ニンニクのマウスマクロファージ細胞貪食能活性化〕
本実施例に使用したマクロファージ細胞は、1週間予備飼育したICRマウス雄性7〜8週齢(日本SLCより購入)より調整した。
即ち、マウスを断頭屠殺し、腹部に冷PBSを5ml注入した後、約3分間腹部をマッサージし細胞を浮遊させ、注入したPBSを回収し遠心分離した。得られた細胞をPBSで洗浄し、10%FBS添加DMEM培地に1×10cells/mlになるように懸濁し、35mmのディッシュに1mlずつ播いた。37℃の5%COインキュベーターに移して1.5時間培養した後、‘LPS’、‘発酵ニンニク’(実施例1で得られた発酵ニンニク粉末)、‘未発酵ニンニク’(未発酵のニンニク煮沸上清)の各試料を添加した。LPSは終濃度が2μg/mlになるように調整し、発酵ニンニク、未発酵ニンニクはそれぞれ終濃度が200μg/mlになるように調整した。
各試料を添加後、30分間37℃の5%COでインキュベートした。その後、培地を除きPBSで2回洗浄した。新たに10%FBS添加DMEM培地を1ml加え、酵母由来Zymosanを終濃度が200μg/mlになるように添加し、37℃の5%COで2時間インキュベートした。培養終了後、洗浄することにより未反応のZymosan及び培地を除き、メイ・ギムザ染色にて塗抹を作製し、検鏡により貪食率を測定した。貪食率は全細胞数中のZymosanを1個以上貪食した細胞数の割合で算出した。
図5にLPS、発酵ニンニク及び未発酵ニンニクのマクロファージの貪食能活性化試験の結果を示した。
【0045】
その結果、未発酵ニンニクでは貪食能は変化せず、発酵ニンニクはLPSより強い貪食能活性化作用を示し、対照群と比較して有意(p<0.01)に高い値が得られた。
【0046】
実施例6〔発酵ニンニクのマウスパイエル板細胞からのIFN−γ及びIgA産生促進作用〕
実験動物として1週間予備飼育したBALB/cマウス雌性7〜8週齢(日本SLCより購入)を用いた。マウスを屠殺し、小腸を摘出しパイエル板をRPMI‐1640培地に採取した。採取したパイエル板を押しほぐし、得られた細胞懸濁液をナイロンメッシュに通過させ、さらにRPMI‐1640培地にて洗浄した。細胞を5%若しくは10%FBS添加RPMMI‐1640培地に再懸濁させ、パイエル板細胞を得た。
得られたパイエル板細胞を上記の培地で1×10cells/mlに調整し、96穴平底プレートに播いた。37℃の5%COインキュベーターに移し、3時間培養した後、実施例5と同様の各試料を添加した。37℃の5%COインキュベーターにて培養し、培養3日目の培養上清を用いてIFN−γを、7日目の培養上清を用いてIgAをそれぞれELISA法により測定した。
図6及び図7に、LPS、発酵ニンニク及び未発酵ニンニクによるパイエル板細胞からのIFN−γ及びIgA産生促進試験の結果をそれぞれ示す。
【0047】
その結果、IFN−γ産生では、対照群及び未発酵ニンニクはIFN−γがわずかに産生されたのに対し、LPS及び発酵ニンニクは対照群と比較して有意(p<0.01)に高い値を示した。IgAでは、LPS及び未発酵ニンニクは対照群と比較して有意(p<0.05)に高い値を示し、発酵ニンニクではさらに高い値(対照群、LPS及び未発酵ニンニクと比較してp<0.01)を示した。
【0048】
実施例7〔発酵ニンニクのマウス好中球増殖促進作用〕
実験動物として1週間予備飼育したBALB/cマウス雌性7週齢(日本SLCより購入)を用いた。
‘発酵ニンニク’(実施例1に記載の発酵ニンニク粉末)を調整し、マウスに2g/kgになるように1日1回、9日間胃ゾンデにて経口投与した(C群)。対照群、比較対照群として発酵ニンニクの代わりに‘生理食塩水’を経口投与した(A群及びB群)。
投与開始3日目に調整した‘シクロフォスファミド’を比較対照群(B群)及び発酵ニンニク投与群(C群)に100mg/kgになるように腹腔内投与して、免疫を低下させた。発酵ニンニク投与開始8〜10日目に尾静脈から採血し、メイ・ギムザ染色にて塗沫を作製し血液像を検鏡により好中球数を測定した。
図8に、シクロフォスファミドによる免疫低下マウスに対する、発酵ニンニクによる好中球増殖促進作用試験の結果を示す。
【0049】
その結果、投与開始8日目では対照群(A群)と比較して、比較対照群(B群)及び発酵ニンニク投与群(C群)は有意(p<0.01)に減少していたが、9日目と10日目では、発酵ニンニク投与群(C群)は対照群(A群)と有意差はなくなり、一方、比較対照群(B群)は有意(p<0.01)に低いままであった。
このことから、発酵ニンニクにより、好中球の増殖が促進されたことがわかる。
【0050】
実施例8〔発酵ニンニクのヒト唾液中IgA分泌促進作用〕
数名のボランティアに、‘発酵ニンニク’(実施例1で得られた発酵ニンニク粉末)0.75gを1日1回自由に5週間摂取してもらい、2週間摂取中止した。
摂取前、摂取開始から5週間、及び、摂取中止から2週間(実験開始から7週間)の唾液をコットンに含ませ回収し、遠心分離することで唾液IgA測定試料とし、ELISA法により測定した。
図9に発酵ニンニクのヒト唾液中IgA分泌促進作用試験の結果を示す。
【0051】
その結果、摂取前と比較して、5週間の摂取で有意(P<0.05)にIgAの分泌が上昇していた。また、摂取中止してから2週間で、IgAの分泌が低下していた。
【0052】
実施例9〔発酵ニンニクのヒト好中球の異物貪食能活性化〕
実施例8と同様にボランティアに‘発酵ニンニク’(実施例1で得られた発酵ニンニク粉末)を摂取してもらった。5週間の摂取後、2週間摂取中止し、再び2週間摂取してもらった。
摂取開始から5週間、摂取中止から2週間(実験開始から7週間)、摂取再開から1週間(実験開始から8週間)、及び、摂取再開から2週間(実験開始から9週間)の末梢血を採血し、ザイモサン2mg/mlと等量混合し26℃で30分反応させ、ザイモサンを貪食させた。反応後、メイ・ギムザ染色にて塗末を作製し、ザイモサン貪食率を検鏡により測定した。
図10に発酵ニンニクのヒト好中球の異物貪食能活性化試験の結果を示す。
【0053】
その結果、5週間の摂取で高かった貪食率は、摂取中止後2週間(実験開始7週間)で有意(P<0.05)に低下するが、摂取を再開することで再び上昇することが示された。
【0054】
実施例10〔ラッキョウの発酵〕
ラッキョウを少量のNaClを含む水に漬け込み、2週間程度抽出した。得られた液を透析して塩分を取り除いた。このようにして得られた透析液を煮沸することにより殺菌し、ここに調製例2で得られたL. plantarum S506株の菌体を発酵スターターとして加え、30℃にて培養し発酵させた。
培養の際には、少量の培養液を取りpHの経時変化を測定し、pHが5.0付近になるように滅菌したカキガラを加えてpHを調整した。1週間後、pHが4.0付近になったとき培養を終了し、発酵液(発酵生成物)を得た。
このときの乳酸菌数は約10/mlであった。
【0055】
実施例11〔チコリ、キクイモからのフルクタンの発酵〕
チコリ、または、キクイモからフルクタンを、粉砕し水で抽出することで調製し、調製例2で得られたL. plantarum S506株の菌体を発酵スターターとして加え、30℃にて培養し発酵させた。
培養の際には、少量の培養液を取りpHの経時変化を測定し、pHが5.0付近になるように滅菌したカキガラを加えてpHを調整した。14日後、培養を終了し、チコリからのフルクタンの発酵液(発酵生成物)とキクイモからのフルクタンの発酵液(発酵生成物)を得た。
フルクタンの発酵を、TLCを用いてフルクタンが資化されてフルクトースに分解されていることにより確認した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明において、見出された乳酸菌株は、フルクタン含有食品に対して高機能化を図るために有用な技術を提供することを可能とする。
本発明におけるフルクタンを含有する原料からの乳酸発酵生成物を含有する発酵食品は、免疫賦活作用を有する健康食品として実施可能であり、食品産業に利用することができる。
また、本発明におけるフルクタンを含有する原料からの乳酸発酵生成物を有効成分とする免疫賦活剤は、医薬分野に利用することができる。
【受託番号】
【0057】
NITE BP‐643

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルクタン資化能を有する乳酸菌ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)S506菌株(NITE BP‐643)、もしくは、フルクタン資化能を有する前記S506菌株からの変異体菌株、もしくは、前記S506菌株と同一の菌学的性質を有するラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)からの分離菌株、を用いて、;フルクタンを含有する原料を乳酸発酵させ、得られた発酵生成物。
【請求項2】
前記フルクタンを含有する原料が、ニンニク、ラッキョウ、チコリ、キクイモ、ダリア、ヤーコン、ゴボウ、から選ばれる1以上の植物を含むものである、請求項1に記載の発酵生成物。
【請求項3】
前記フルクタンを含有する原料が、ニンニクを含むものである、請求項1に記載の発酵生成物。
【請求項4】
前記発酵生成物が免疫賦活作用を有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の発酵生成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の発酵生成物を含有してなることを特徴とする、発酵食品。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−193841(P2010−193841A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44982(P2009−44982)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(591046892)富士産業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】