説明

フレキシブルカラーフィルタ基板、並びにカラーフィルタ及びその製造方法

【課題】印刷方式によりカラーフィルタを形成可能なフレキシブルカラーフィルタ基板、並びに画素パターン形状及び寸法安定性に優れたカラーフィルタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】無機膜からなるバリア層が両面に設けられたフィルム基板のいずれか一方の面に、印刷方式でカラーフィルタを製造するためのアンカー層が形成され、前記アンカー層が、光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤からなることを特徴とするフレキシブルカラーフィルタ基板、並びに該フレキシブルカラーフィルタ基板を備えたカラーフィルタ及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルカラーフィルタ基板、並びにカラーフィルタ及びその製造方法に関する。さらに詳細には、画素パターン形状及び寸法安定性に優れたカラーフィルタを印刷方式により形成可能とするアンカー処理基板であり、特に、フィルムを基板としたフレキシブルディスプレイ用のカラーフィルタ基板、及び該カラーフィルタ基板を備えたカラーフィルタ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示ディスプレイはテレビ、パソコン、携帯端末等に広く用いられ、必要不可欠なものとなっている。これら表示ディスプレイを構成する主要部材の一つが、カラー表示を可能とするカラーフィルタであり、その形成方法はフォトリソ法、印刷法、インクジェット法等多岐に渡る。
【0003】
また、近年、表示ディスプレイの用途の多様化により、従来のガラス基板から、フィルム基板への代替が図られている。フィルム基板は、ガラス基板に比べ、安価で割れにくく、薄型・軽量化が達成され、フレキシブル表示が可能である、といった利点がある。その反面、フィルム基板単体では、吸水や熱の影響で基板の寸法が変動し易く、またディスプレイの表示不良の原因となる、といった欠点も有する。これらの欠点を補うため、フィルム基板の両面に無機膜からなるバリア層を設けることが一般的であり、その層構成は数多く提案されている。
【0004】
この無機膜自体は、可撓性に乏しく、フィルムの曲げによりクラックが発生する傾向があり、これがバリア性低下の原因になる。そのため、バリア層表面に保護層を設ける構成が一般的であり、例えば特許文献1に記載されたような構成が提案されている。また、特許文献2に記載されているように、別途バリア層付のフィルムを貼合することでバリア性を付与する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−123289号公報
【特許文献2】特開2011−095339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、印刷方式によりカラーフィルタを形成可能なフレキシブルカラーフィルタ基板、並びに画素パターン形状及び寸法安定性に優れたカラーフィルタ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板は、無機膜からなるバリア層が両面に設けられたフィルム基板のいずれか一方の面に、印刷方式でカラーフィルタを製造するためのアンカー層が形成され、前記アンカー層が、光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤からなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板では、前記(メタ)アクリルモノマーが2官能以上のモノマーであり、前記シランカップリング剤が(メタ)アクリル基を有するアルコキシシランであり、該(メタ)アクリルモノマー及び該シランカップリング剤の添加量が、固形分で、光硬化型ポリマー100重量部に対して、それぞれ1〜5重量部であることが好ましい。
【0009】
本発明のカラーフィルタは、前記本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板を備え、前記アンカー層上に、カラーフィルタインキからなるカラーフィルタ層が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のカラーフィルタでは、前記アンカー層表面の、カラーフィルタインキ中の溶剤に対する接触角が20〜60°であり、かつ、鉛筆硬度がHB以下であることが好ましい。
【0011】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、フィルム基板の両面に無機膜からなるバリア層を形成し、前記バリア層が両面に設けられたフィルム基板のいずれか一方の面に、光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤を塗布し、乾燥させてアンカー層を形成し、前記アンカー層上に、カラーフィルタインキを用いて印刷方式でカラーフィルタ層を形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法では、前記塗布剤を塗布して80〜120℃で乾燥させ、カラーフィルタ層を形成した後に、アンカー層を光硬化させることが好ましい。
【0013】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法では、前記印刷方式が、巻き取りロール状で供給されたインキ離型処理フィルムへカラーフィルタインキを塗工してインキ液膜を形成し、該インキ液膜を予備乾燥した予備乾燥インキ膜に、凸部パターンが非画像パターンである凸版を押し当て、該予備乾燥インキ膜の不要なパターンを凸版の凸部に転写除去し、該インキ離型処理フィルム上に残った画像パターンをフレキシブルカラーフィルタ基板のアンカー層へ転写してカラーフィルタ層を形成する方式であることが好ましい。
【0014】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法では、すべての工程をロールツーロールプロセスで行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上の特徴を有することから、下記に示す効果がある。
【0016】
本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板は、無機膜からなるバリア層が両面に設けられたフィルム基板のいずれか一方の面に、印刷方式でカラーフィルタを製造するためのアンカー層が形成され、前記アンカー層が、光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤からなるので、バリア層でのクラック発生が防止され、バリア層を介してフィルム基板とアンカー層との密着性が向上し、耐溶剤性及び印刷パターン精度に優れたカラーフィルタの形成が可能となる。
【0017】
本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板において、前記(メタ)アクリルモノマーが2官能以上のモノマーであり、前記シランカップリング剤が(メタ)アクリル基を有するアルコキシシランであり、該(メタ)アクリルモノマー及び該シランカップリング剤の添加量が、固形分で、光硬化型ポリマー100重量部に対して、それぞれ1〜5重量部である場合には、バリア層を介してフィルム基板とアンカー層との密着性がさらに向上し、耐溶剤性及び印刷パターン精度のバランスに優れたカラーフィルタの形成が可能となる。(メタ)アクリルモノマーが単官能モノマーである場合や、その添加量が1重量部未満である場合には、耐溶剤性の付与が困難となる恐れがあり、添加量が5重量部を超える場合には、未硬化状態でのアンカー層の塗膜のブロッキング性が大きくなり、印刷パターン形成が困難になる恐れがある。また、シランカップリング剤の添加量が1重量部未満である場合には、フィルム基板とアンカー層との密着性が低下する恐れがあり、添加量が5重量部を超える場合には、未硬化状態でのアンカー層の塗膜のブロッキング性が大きくなり、印刷パターン形成が困難になる恐れがある。
【0018】
本発明のカラーフィルタは、前記本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板を備え、前記アンカー層上に、カラーフィルタインキからなるカラーフィルタ層が形成されているので、従来のカラーフィルタと比較して画素パターン形状及び寸法安定性が向上しており、耐溶剤性及び印刷パターン精度に優れる。
【0019】
本発明のカラーフィルタにおいて、前記アンカー層表面の、カラーフィルタインキ中の溶剤に対する接触角が20〜60°であり、かつ、鉛筆硬度がHB以下である場合には、カラーフィルタインキの吸収性が適度に優れ、転写時のクッション性にも優れるので、その結果、印刷パターン精度に優れたカラーフィルタとなる。カラーフィルタインキ中の溶剤に対する接触角が20°未満の場合には、総じてカラーフィルタインキの吸収性が高いため、パターン潰れが発生する傾向があり、60°を超える場合には、総じてカラーフィルタインキの吸収性が低いため、印刷パターン精度が低下する傾向がある。また、鉛筆硬度がH以上である場合には、印刷時のクッション性が低下し、その結果、印刷パターン精度が低下する傾向がある。
【0020】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、フィルム基板の両面に無機膜からなるバリア層を形成し、前記バリア層が両面に設けられたフィルム基板のいずれか一方の面に、光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤を塗布し、乾燥させてアンカー層を形成し、前記アンカー層上に、カラーフィルタインキを用いて印刷方式でカラーフィルタ層を形成するので、画素パターン形状及び寸法安定性に優れたカラーフィルタを容易に製造することができる。
【0021】
本発明のカラーフィルタの製造方法において、前記塗布剤を塗布して80〜120℃で乾燥させ、カラーフィルタ層を形成した後に、アンカー層を光硬化させた場合には、バリア層を介してフィルム基板とアンカー層との密着性がより向上し、パターン精度に特に優れたカラーフィルタを容易に製造することが可能となる。乾燥温度が80℃未満である場合には、シランカップリング剤の作用が低下するため、密着性が低下する恐れがあり、120℃を超える場合には、フィルム基板が変形し易くなるため、印刷パターン精度を確保することが困難になる。また、カラーフィルタ層の形成前にアンカー層を光硬化させた場合には、印刷性能自体の確保が困難になる恐れがある。
【0022】
本発明のカラーフィルタの製造方法において、前記印刷方式が、巻き取りロール状で供給されたインキ離型処理フィルムへカラーフィルタインキを塗工してインキ液膜を形成し、該インキ液膜を予備乾燥した予備乾燥インキ膜に、凸部パターンが非画像パターンである凸版を押し当て、該予備乾燥インキ膜の不要なパターンを凸版の凸部に転写除去し、該インキ離型処理フィルム上に残った画像パターンをフレキシブルカラーフィルタ基板のアンカー層へ転写してカラーフィルタ層を形成する方式である場合には、さらに印刷パターン精度に優れたカラーフィルタを容易に製造することが可能となる。
【0023】
本発明のカラーフィルタの製造方法において、すべての工程をロールツーロールプロセスで行った場合には、生産性が向上し、カラーフィルタ基板のコストダウンを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板の一例を示す概略断面図
【図2】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための好ましい形態について、詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板の一例を示す概略断面図であり、フレキシブルカラーフィルタ基板10は、バリア層2が両面に設けられたフィルム基板1のいずれか一方の面(図1では上面)に、アンカー層3が形成されたものである。
【0027】
本発明に使用するフィルム基板1は、全光線透過率が80%以上のプラスチックフィルムからなることが好ましい。このようなプラスチックフィルムの材料の例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリシクロオレフィン、アクリル系架橋性樹脂、エポキシ系架橋性樹脂、不飽和ポリエステル系架橋性樹脂等の樹脂があげられる。また、これらの樹脂と無機物とを複合して用いると、線膨張係数を低減することができる点から好ましい。
【0028】
フィルム基板1の厚さは、特に限定はないが、50〜300μmであることが好ましい。厚さが50μm未満であると、カラーフィルタの形成プロセス上で基板への欠陥が生じ易くなる傾向があり、また300μmを超えると、例えばロールツーロールプロセスでの加工性が低下する傾向があるため好ましくない。
【0029】
バリア層2は無機膜からなり、フィルム基板1の両面に設けられる。該バリア層2である無機膜の形成に用いることができる無機材料の例として、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Mg、La、Cr、Ca、Zr及びTaから選ばれる1種以上を含む酸化物、窒化物、酸化窒化物又はハロゲン化物を主成分とするもの等があげられる。これらの無機材料を用いると、バリア性と透明性とを両立し易いという利点がある。なお、バリア層2は、フィルム基板1の各面に1層で設けられていてもよく、2層以上が積層されていてもよい。また、バリア層2は連続成膜されていてもよい。
【0030】
フィルム基板1の両面にバリア層2を形成する方法には特に限定がないが、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等のPVD法、プラズマCVD等の化学蒸着法又はゾルゲル法等を採用することができる。これらの中でも、スパッタリングで形成することが好ましい。
【0031】
バリア層2の成膜工程は、枚葉あるいはロールツーロールいずれにも適用可能であるが、フィルム基板1上で成膜を行うため、ロールツーロールで行うことが、生産性が向上するので好ましい。
【0032】
バリア層2の厚さは、特に限定はないが、例えば20〜200nmとすることができる。厚さが20nm未満であると、バリア効果が得られなくなる傾向があり、また厚さが200nmを超えると、可撓性が低くなる傾向がある。
【0033】
バリア層2が両面に設けられたフィルム基板1は、バリア特性として、0〜0.2g/m2/24時間の水蒸気透過率を有することが好ましい。水蒸気透過率が0.2g/m2/24時間よりも大きいと、カラーフィルタの寸法変動が大きくなるため好ましくない。
【0034】
前記のようにしてバリア層2が両面に設けられたフィルム基板1のいずれか一方の面に、アンカー層3を形成する。アンカー層3は、印刷方式でカラーフィルタを製造するためのものであり、光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤から形成される。
【0035】
アンカー層3に使用する光硬化型ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、ポリエチルアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエン重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン重合体、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、ベンゾグアナミン樹脂、フエノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリルアミド共重合体、シリコーン樹脂、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ロジン系樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン、シリコーン共重合樹脂、フッ素共重合樹脂等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
(メタ)アクリルモノマーは、光硬化後のアンカー層3の耐溶剤性を向上させる目的で使用され、該(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等があげられ、これらは単独で叉は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、2官能以上のモノマーが、光硬化後のアンカー層3の耐溶剤性を向上させる効果が大きい点から好ましい。
【0037】
(メタ)アクリルモノマーの添加量は、固形分で、光硬化型ポリマー100重量部に対して1〜5重量部であることが好ましく、3〜5重量部であることがさらに好ましい。添加量が1重量部未満である場合には、耐溶剤性の向上への寄与が困難となる恐れがあり、添加量が5重量部を超える場合には、未硬化状態でのアンカー層3の塗膜のブロッキング性が大きくなり、印刷パターン形成が困難となり、その結果、カラーフィルタ形成時の画素精度が低下する恐れがある。
【0038】
シランカップリング剤は、バリア層2とアンカー層3との密着性を向上させる目的で使用され、該シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシシラン類、トリエトキシシラン類といったアルコキシシラン類等があげられる。該シランカップリング剤の一部位は、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基等の、有機化合物との反応性基を有するものから選択することができる。反応性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等をあげることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル基を有するアルコキシシランが、バリア層2とアンカー層3との密着性を向上させる効果が大きい点から好ましい。
【0039】
シランカップリング剤の添加量は、固形分で、光硬化型ポリマー100重量部に対して1〜5重量部であることが好ましく、2〜3重量部であることがさらに好ましい。添加量が1重量部未満である場合には、バリア層2を介してフィルム基板1とアンカー層3との密着性が低下する恐れがあり、添加量が5重量部を超える場合には、未硬化状態でのアンカー層3の塗膜のブロッキング性が大きくなり、印刷パターン形成が困難となり、その結果、カラーフィルタ形成時のパターン精度が低下する恐れがある。
【0040】
アンカー層3に使用する光開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オキシフェニルアセチックアシッド2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)−エチルエステル、オキシフェニルアセチックアシッド2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチルエステル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等があげられる。これらの中から、後述する溶媒に対する溶解性や吸収波長に応じて任意の化合物を選択することができ、2種以上を混合して用いることもできる。
【0041】
アンカー層3を形成するための塗布剤は、前記光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤といったアンカー層3の構成成分を溶媒に溶解させて得ることができる。該溶媒は、アンカー層3の構成成分の溶解性、塗布剤の塗布性や乾燥性等を考慮して適宜選択して使用される。該溶媒としては、例えば、水、酢酸ブチル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジクライム、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、1,3−ブタンジオール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等があげられる。
【0042】
バリア層2が両面に設けられたフィルム基板1のいずれか一方の面にアンカー層3を形成する方法には特に限定がなく、前記塗布剤を、例えばダイコート法、カーテンフローコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、バーコート法、スピンコート法、マイクログラビアコート法等の公知の塗布方法で、バリア層2上に塗布し、乾燥することにより、形成することができる。
【0043】
アンカー層3の厚さは、特に限定がないが、0.2〜5μmであることが好ましい。厚さが0.2μm未満では、後述するカラーフィルタ層を形成するカラーフィルタインキの吸収性の低下に伴い、印刷性の低下が生じる傾向があり、また厚さが5μmを超えると、未硬化状態でのアンカー層の樹脂分のクッション性により、パターン潰れ等の印刷性の低下が生じる傾向がある。
【0044】
図2は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図であり、本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板10のアンカー層3上に、カラーフィルタインキからなるカラーフィルタ層4が形成されている。
【0045】
カラーフィルタ層4を形成する際のカラーフィルタインキとしては、画像パターン形成材料を溶剤に溶解、分散させたものを用いることができる。例えば、赤色、緑色、青色からなるカラーパターン(着色層)やブラックマトリクス等を形成してカラーフィルタ層とする場合、顔料成分及び樹脂成分を溶剤中に溶解、分散させたインキ溶剤を用いることができる。
【0046】
顔料成分としては、例えば、赤、緑、青の各色で使用可能な顔料として以下のものがあげられる。なお、以下の顔料の種類は、カラーインデックス(C.I.)No.で示している。赤色顔料としては、97、122、123、149、168、177、180、192、208、209、215等が、緑色顔料としては、7、36等が、青色顔料としては、15、15:1、15:3、15:6、22、60、64等があげられる。また、墨顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック等があげられる。
【0047】
前記赤色顔料、緑色顔料及び青色顔料の色調整及びインキ溶剤の流動性を向上させるために、次にあげる顔料を必要量添加することができる。例えば、黄色顔料として、17、83、109、110、128等が、紫色顔料として、19、23等が、白色顔料として、18、21、27、28等が、橙色顔料として、38、43等があげられる。
【0048】
なお、顔料成分は、顔料単体以外にも、顔料を予め分散剤、有機溶剤に分散させた顔料分散体であってもよい。
【0049】
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂を用いることが好ましい。
【0050】
溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤等を使用することができる。エステル系溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等が、アルコール系溶剤としては、1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、1,3−ブタンジオール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール等が、エーテル系溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等が、炭化水素系溶剤としては、ソルベッソ100、ソルベッソ150(以上、商品名、エクソンモービル(有)製)等があげられる。
【0051】
本発明において、前記カラーフィルタインキを用い、アンカー層3上にカラーフィルタ層4を形成する際には、印刷方式が採用される。
【0052】
前記印刷方式は、巻き取りロール状で供給されたインキ離型処理フィルムへカラーフィルタインキを塗工してインキ液膜を形成し、該インキ液膜を予備乾燥した予備乾燥インキ膜に、凸部パターンが非画像パターンである凸版を押し当て、該予備乾燥インキ膜の不要なパターンを凸版の凸部に転写除去し、該インキ離型処理フィルム上に残った画像パターンをフレキシブルカラーフィルタ基板10のアンカー層3へ転写してカラーフィルタ層4を形成する方式であることが、さらに印刷パターン精度に優れたカラーフィルタを容易に製造することができるという点から好ましい。
【0053】
本発明に用いられるインキ離型処理フィルムは、適度のインキ受容性を有すると同時に、一度受容したインキの完全なインキ剥離性を有することが望ましい。
【0054】
前記インキ離型処理フィルムとしては、プラスチック等の可撓性基材に加工を施したものを用いることが可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ナイロン、アラミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロース等のフィルム、シートを基材として用いることができる。さらに光透過性の基材を用いることにより、パターンの重ね合わせ時にアライメントを容易にすることができる。これら可撓性基材は長尺の巻き取りロールで供給され、ブランケットへ加工された後、使用される。
【0055】
インキ離型処理フィルムは、前記基材に、シリコーンオイル、シリコーンワニスに代表される離型剤を塗布したものでもよいし、シリコーンゴムの薄膜層を形成したものでもよい。また、フッ素系樹脂、フッ素系ゴムを利用することもできるし、フッ素樹脂微粉末をシリコーンゴムあるいは一般のゴムに混合して剥離性を付与してもよい。これらシリコーン系の塗膜は、通常前記基材との密着性が低いが、熱硬化性又は紫外線硬化性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、最表面に設けるシリコーン層に対して、より基材との接着性の高い樹脂層を、アンカー層としてあらかじめ基材上に設け、その上にシリコーン系の塗膜を設けてもよい。
【0056】
インキ離型処理フィルムに用いられるシリコーン系化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサンの各種分子量のもの、その他メチルハイドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーンオイル、メチル塩素化フェニルシリコーンオイル、これらポリシロキサンと有機化合物との共重合体等があげられる。
【0057】
シリコーンゴムとしては、二液型のジオルガノポリシロキサンと架橋剤としての三官能性以上のシラン、又はシロキサン及び硬化触媒を組み合わせたもの、あるいは一液型ではジオルガノポリシロキサンとアセトンオキシム、各種メトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等の組み合わせ等が用いられ、その他ゴム硬度を調節するためのポリシロキサンを適宜用いることができる。
【0058】
また本発明では、インキ離型処理フィルムとして、前記基材に無機膜を設けた後、シランカップリング剤による表面処理を施したものを用いることもできる。
【0059】
インキ離型処理フィルムは、処理面へインキを滴下した際の接触角が、好ましくは10〜90°、より好ましくは20〜70°となるインキ剥離性を有することが望ましい。該接触角が小さすぎると、後工程でのインキ剥離性が低下してパターンの欠陥(再現性不良等)が発生しやすくなる。逆に接触角が大きすぎると、インキ液膜を形成する際にハジキが生じ、均一なインキ液膜を形成することが困難になる。
【0060】
前記インキ離型処理フィルム上にインキ液膜を形成するには、カラーフィルタインキの粘度や乾燥性に応じて公知の塗工方法を用いることができる。すなわち、例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法、キャップコート、アプリケータ等があげられる。これらの中でも、ダイコート、キャップコート、ロールコート、アプリケータは、広範囲の粘度のカラーフィルタインキについて均一なインキ液膜を形成することができ、さらにその中でも可動するインキ剥離性のインキ離型処理フィルム上にインキ塗膜を連続的に形成する場合は、ダイコートが最も効率的で好適な形成方法である。
【0061】
インキ離型処理フィルム上に前記方法によりインキ液膜を形成した後に、該インキ液膜を予備乾燥し、予備乾燥インキ膜を形成する。この予備乾燥には自然乾燥、冷風・温風乾燥、マイクロ波照射、減圧乾燥等の方法を採用することができ、また、紫外線、電子線等の放射線を照射することもできる。
【0062】
予備乾燥により、前記インキ液膜の粘度又はチキソトロピー性、脆性を上昇させることができる。予備乾燥による乾燥が不十分な場合は、後工程である凸版を押し当てて予備乾燥インキ膜の不要なパターンを凸版の凸部に転写除去する際に、インキ液膜が断裂し、不良が発生する恐れがある。逆に乾燥が過剰な場合は、インキ膜表面のタック性が低下し、前記凸版に不要なパターンが転写されにくくなる恐れがある。そのため、使用するカラーフィルタインキの組成に応じて、乾燥状態を乾燥時間や雰囲気温度により調節するが、予備乾燥インキ膜に対して0.5〜4%の溶剤の残留が認められる状態となるようにすることが好ましい。
【0063】
なお、いわゆるドライフィルムといわれるppmオーダーの溶剤残留量では、乾燥が過剰であり、凸版に不要なパターンが転写されない不具合や、凸版の押し付けによりインキ液膜が部分的に剥離し、塵の原因になるといった不具合が生じる場合があるため、本発明では、予備乾燥インキ膜を形成する条件として適さない。
【0064】
次に、凸部パターンが非画像パターンである凸版を押し当て、前記予備乾燥インキ膜の不要なパターンを凸版の凸部に転写除去する。
【0065】
凸版としては、例えば、無アルカリガラス等の低膨張ガラス表面に感光性樹脂を用いてマスクパターンを形成した後、既存のドライエッチング処理やウエットエッチング処理、もしくはサンドブラスト処理を用いて、2〜30μmの版深を設けたものを用いることができる。
【0066】
また、凸版としては、ナイロン、アクリル、シリコーン樹脂、スチレン−ジエン共重合体等からなるものを用いることもでき、エチレン−プロピレン系、ブチル系、ウレタン系ゴム等のゴム製の版を用いることもできる。このような樹脂製の凸版は、すでに凸版印刷やフレキソ印刷用に用いられており、予め作製した型に所定の樹脂を流し込んで版とするか、あるいは彫刻によっても作製することができるが、感光性樹脂を用いる方法を採用した場合には、より高精度な凸版を作製することができる。
【0067】
前記のように予備乾燥インキ膜の不要なパターンを凸版の凸部に転写除去し、インキ離型処理フィルム上に残った画像パターンをフレキシブルカラーフィルタ基板10のアンカー層3へ転写することにより、所望パターンのカラーフィルタ層4を形成することができる。
【0068】
なお、本発明のカラーフィルタは、前記アンカー層3の表面の、前記カラーフィルタインキ中の溶剤に対する接触角が20〜60°、さらには30〜40°であることが好ましく、かつ、鉛筆硬度がHB以下であることが好ましい。この場合、該カラーフィルタインキの吸収性が適度に優れ、転写時のクッション性にも優れるので、その結果、本発明のカラーフィルタは印刷パターン精度に優れる。カラーフィルタインキ中の溶剤に対する接触角が20°未満の場合には、総じてカラーフィルタインキの吸収性が高いため、パターン潰れが発生する傾向があり、60°を超える場合には、総じてカラーフィルタインキの吸収性が低いため、印刷パターン精度が低下する傾向がある。また、鉛筆硬度がH以上である場合には、印刷時のクッション性が低下し、その結果、印刷パターン精度が低下する傾向がある。
【0069】
また、前記バリア層2が両面に設けられたフィルム基板1のいずれか一方の面に、前記光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤を塗布して80〜120℃、さらには90〜110℃で乾燥させ、アンカー層3を形成し、前記のようにしてカラーフィルタ層4を形成した後に、形成されたアンカー層3を光硬化させることが好ましい。この場合、バリア層2を介してフィルム基板1とアンカー層3との密着性がより向上し、パターン精度に特に優れたカラーフィルタを容易に製造することが可能となる。乾燥温度が80℃未満である場合には、シランカップリング剤の作用が低下するため、密着性が低下する恐れがあり、120℃を超える場合には、フィルム基板が変形し易くなるため、印刷パターン精度を確保することが困難になる。また、カラーフィルタ層の形成前にアンカー層を光硬化させた場合には、印刷性能自体の確保が困難になる恐れがある。
【0070】
本発明のカラーフィルタの製造方法では、すべての工程をロールツーロールプロセスで行うことが、生産性が向上し、カラーフィルタ基板のコストダウンを図ることが可能となるので好ましい。
【実施例】
【0071】
本発明を更に詳しく説明するために以下に実施例をあげるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0072】
<実施例1>
{両面バリア層付フィルム基板の作製}
フィルム基板としてポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テオネックス(登録商標)Q65FA)の125μm膜厚、500mm幅、100m巻のロールを使用し、このフィルム基板の両面に、DCスパッタ成膜を行うスパッタロールコート装置により、酸素を反応ガスに用いたリアクティブスパッタでSiをターゲットとして用い、膜厚50nmのSiOx(x=1.5〜1.8)を成膜し、両面バリア層付フィルム基板を作製した。
【0073】
{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}
前記両面バリア層付フィルム基板上に、下記組成のアンカー層用の塗布剤をマイクログラビアコータにより、膜厚が1μmとなるように塗布し、100℃で2分間程度乾燥して上面のバリア層上にアンカー層を形成し、フレキシブルカラーフィルタ基板を製造した。
【0074】
(塗布剤の組成)
・光硬化型ポリマー:
シリコーン−フッ素共重合樹脂
(大日精化工業(株)製、ダイアロマーSP−7130) 100重量部
・(メタ)アクリルモノマー:
多官能アクリレート
(新中村化学工業(株)製、A−GLY−9E) 2重量部
・シランカップリング剤:
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学工業(株)製、信越シリコーンKBM−503) 2重量部
・光開始剤:
アルキルフェノン系光重合開始剤
(チバスペシャリティケミカルズ社製、IRGACURE184) 2重量部
・溶媒:
酢酸ブチル 50重量部
【0075】
{カラーフィルタインキ(赤色)の調製}
下記組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用い、サンドミルで5時間分散し、さらに5μmのフィルタでろ過してカラーフィルタインキ(赤色)を調製した。
【0076】
(カラーフィルタインキの組成)
・赤色顔料:
C.I.Pigment Red 254
(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガーフォーレッドB−CF)14重量部
・赤色顔料:
C.I.Pigment Red 177
(チバスペシャリティケミカルズ社製、クロモフタールレッドA2B) 2重量部
・アクリルワニス(固形分20重量%) 84重量部
・メチル化メチロールメラミン
(三洋化成工業(株)製、MW−30) 20重量部
・レベリング剤:
(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−483SF) 1重量部
・溶剤:
プロピレングリコールモノメチルエーテル 85重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45重量部
【0077】
{凸部パターンが非画像パターンである凸版の作製}
低膨張ガラス板(コーニング社製、1737材)を基板として、200mm幅(パターン有効幅:150mm)のドライエッチングを用い、版深25μmで凸部20μm幅、凹部80μm幅の連続したストライプパターンを設けた凸版を作製した。
【0078】
{カラーフィルタの製造}
前記カラーフィルタインキ(赤色)を、インキ離型処理フィルム(シリコーン系離型処理ポリエステルフィルム、東洋紡績(株)製、K1504、基材厚:約120μm)上に、ダイコーターを用いて塗布してインキ液膜を形成し、室温で約2分間予備乾燥させて予備乾燥インキ膜を形成した。その後、前記凸版を予備乾燥インキ膜に接触させ、非画像パターン部のインキ膜を凸版の凸部に転写除去した。次いで、画像パターン部が残されたインキ離型処理フィルムを、被印刷基板である前記フレキシブルカラーフィルタ基板に押圧し、インキ離型処理フィルムから画像パターン部のインキ膜をアンカー層へ転写してカラーフィルタ層を形成した後、アンカー層を光硬化させてカラーフィルタを製造した。
【0079】
<実施例2>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、(メタ)アクリルモノマーの量を1.2重量部に、シランカップリング剤の量を1.2重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0080】
<実施例3>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、乾燥温度を120℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0081】
<実施例4>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、(メタ)アクリルモノマーの量を1.2重量部に、シランカップリング剤の量を1.2重量部に、乾燥温度を120℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0082】
<比較例1>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、(メタ)アクリルモノマーの量を0.8重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0083】
<比較例2>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、シランカップリング剤の量を0.2重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0084】
<比較例3>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、(メタ)アクリルモノマーの量を8重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0085】
<比較例4>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、シランカップリング剤の量を4重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0086】
<比較例5>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、乾燥温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0087】
<比較例6>
実施例1の{フレキシブルカラーフィルタ基板の製造}工程において、乾燥温度を150℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法でカラーフィルタを製造した。
【0088】
実施例1〜4及び比較例1〜6のカラーフィルタについて、各特性を以下の方法にて評価した。その結果を表1に示す。
【0089】
{印刷性}
光硬化前のアンカー層上に印刷形成したCFパターンの実測線幅(設計値:80μm線幅)を測定し、下記基準により評価した。
○:パターン線幅が78〜82μm
△:パターン線幅が75μm以上、78μm未満、もしくは82μm超、85μm以下
×:パターン線幅が75μm未満、もしくは85μm超
【0090】
{密着性}
碁盤目剥離試験を行い、光硬化後のアンカー層のフィルム基板との密着性を下記基準により評価した。
○:剥離部位が10%以下
△:剥離部位が10%超、30%未満
×:剥離部位が30%以上
【0091】
{耐溶剤性}
アセトンを使用したウエスラビング試験を行い、光硬化後のアンカー層の耐溶剤性を下記基準により評価した。
○:アンカー層の損傷なし
△:アンカー層の一部が損傷
×:アンカー層のほとんどが損傷
【0092】
{濡れ性}
光硬化前のアンカー層表面のプロピレングリコールモノメチルエーテルに対する接触角を、液滴法(θ/2法)にて測定し、下記基準により評価した。
○:20〜60°
×:20°未満、もしくは60°超
【0093】
{硬度}
光硬化前のアンカー層表面の鉛筆硬度を、JIS K 5600−5−4「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に基づいて測定し、下記基準により評価した。
○:HB以下
×:H以上
【0094】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明のフレキシブルカラーフィルタ基板から、印刷方式によりカラーフィルタを形成することが可能で、本発明のカラーフィルタは、画素パターン形状及び寸法安定性に優れたものであり、液晶ディスプレイや電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 フィルム基板
2 バリア層
3 アンカー層
4 カラーフィルタ層
10 フレキシブルカラーフィルタ基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機膜からなるバリア層が両面に設けられたフィルム基板のいずれか一方の面に、印刷方式でカラーフィルタを製造するためのアンカー層が形成され、
前記アンカー層が、光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤からなることを特徴とする、フレキシブルカラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記(メタ)アクリルモノマーが2官能以上のモノマーであり、
前記シランカップリング剤が(メタ)アクリル基を有するアルコキシシランであり、
前記(メタ)アクリルモノマー及び前記シランカップリング剤の添加量が、固形分で、光硬化型ポリマー100重量部に対して、それぞれ1〜5重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルカラーフィルタ基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフレキシブルカラーフィルタ基板を備え、
前記アンカー層上に、カラーフィルタインキからなるカラーフィルタ層が形成されていることを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項4】
前記アンカー層表面の、カラーフィルタインキ中の溶剤に対する接触角が20〜60°であり、かつ、鉛筆硬度がHB以下であることを特徴とする、請求項3に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
フィルム基板の両面に無機膜からなるバリア層を形成し、
前記バリア層が両面に設けられたフィルム基板のいずれか一方の面に、光硬化型ポリマー、(メタ)アクリルモノマー、シランカップリング剤及び光開始剤を含む塗布剤を塗布し、乾燥させてアンカー層を形成し、
前記アンカー層上に、カラーフィルタインキを用いて印刷方式でカラーフィルタ層を形成することを特徴とする、カラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
前記塗布剤を塗布して80〜120℃で乾燥させ、カラーフィルタ層を形成した後に、アンカー層を光硬化させることを特徴とする、請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
前記印刷方式が、巻き取りロール状で供給されたインキ離型処理フィルムへカラーフィルタインキを塗工してインキ液膜を形成し、該インキ液膜を予備乾燥した予備乾燥インキ膜に、凸部パターンが非画像パターンである凸版を押し当て、該予備乾燥インキ膜の不要なパターンを凸版の凸部に転写除去し、該インキ離型処理フィルム上に残った画像パターンをフレキシブルカラーフィルタ基板のアンカー層へ転写してカラーフィルタ層を形成する方式であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
すべての工程をロールツーロールプロセスで行うことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1つに記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−73115(P2013−73115A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213414(P2011−213414)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】