フレキシブルフラットケーブル、及びその製造方法
【課題】各導体の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づける技術を提供する。
【解決手段】フレキシブルフラットケーブル1は、複数の信号導体2と、複数の信号導体2を挟んで配置されるグラウンド側誘電層3(第1の誘電層)及び反グラウンド側誘電層4(第2の誘電層)と、グラウンド側誘電層3を挟んで複数の信号導体2の反対側に配置されるグラウンド層5(第1のグラウンド層)と、を備えている。グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤Gにより貼り合わされている。そして、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触している。
【解決手段】フレキシブルフラットケーブル1は、複数の信号導体2と、複数の信号導体2を挟んで配置されるグラウンド側誘電層3(第1の誘電層)及び反グラウンド側誘電層4(第2の誘電層)と、グラウンド側誘電層3を挟んで複数の信号導体2の反対側に配置されるグラウンド層5(第1のグラウンド層)と、を備えている。グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤Gにより貼り合わされている。そして、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルフラットケーブル、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、ノイズ対策としてのシールド層を含み、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等に接続される電子機器の高速伝送用の配線ケーブルとしても使用できるようにしたフレキシブルフラットケーブルを開示している。
【0003】
本願の図28に示すように、このフレキシブルフラットケーブル100は、複数の平角状の導体101を平行に配列し、複数の導体101を一対の絶縁樹脂層102で挟み込むように被覆して構成されている。各絶縁樹脂層102は、樹脂層103と、樹脂層103に積層された接着剤層104と、により構成されている。そして、2つの絶縁樹脂層102は、複数の導体101を挟んだ状態で、互いに貼り合わされている。そして、絶縁樹脂層102の外側には、フレキシブルフラットケーブル100の特性インピーダンスを調整するための低誘電層105が粘着剤層106を介して一対で設けられ、更にその外側に、電磁干渉とノイズを低減させるためのシールド層107が易接着層108を介して一対で設けられている。接着剤層104としては、樹脂材料からなるものが使用され、例えば、ポリエステル系樹脂に難燃剤を混合した接着剤などが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−287539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、導体101と樹脂層103、低誘電層105、シールド層107の各層の間には、接着層が介在している。その中でも特に、導体101と樹脂層103との間に介在させる接着剤層104には、ある程度の流動性を持たせ、もって、貼り合わせ時に、接着剤層104が導体101を隙間なく包み込むことができるようになっている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、導体101と樹脂層103との間に存在する接着剤層104の厚みの大小は何ら保証されておらず、接着剤層104の具体的な流動の如何によっては、フレキシブルフラットケーブル100の厚み方向の接着剤層104内で、各導体101の位置にバラツキが生じ、導体101とシールド層107との間の距離が希望通りとならない場合がある。そしてこの結果、各導体101の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づけることが容易ではなかった。
【0007】
以上の事情に鑑み、本発明の目的は、各導体の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づける技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の第1の観点によれば、複数の信号導体と、前記複数の信号導体を挟んで配置される第1の誘電層及び第2の誘電層と、前記第1の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に配置される第1のグラウンド層と、を備え、前記第1の誘電層と前記第2の誘電層は、接着剤により貼り合わされており、前記複数の信号導体は、前記第1の誘電層に対して直接的に接触している、フレキシブルフラットケーブルが提供される。
好ましくは、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層に対して直接的に接触している。
好ましくは、前記第1の誘電層は、平坦である。
好ましくは、前記第2の誘電層は、平坦である。
好ましくは、前記第1のグラウンド層は、平坦である。
好ましくは、前記第2の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に第2のグラウンド層が配置されている。
好ましくは、前記第1のグラウンド層と前記第2のグラウンド層は、シート状の一枚の金属体を折り曲げ加工することで形成されている。
本願発明の第2の観点によれば、複数の信号導体と、前記複数の信号導体を挟んで配置される第1の誘電層及び第2の誘電層と、前記第1の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に配置されるグラウンド層と、を備え、前記第1の誘電層と前記第2の誘電層は、第1の接着剤により貼り合わされている、フレキシブルフラットケーブルであって、前記複数の信号導体が前記第2の誘電層によって被覆されずに露出する領域である信号導体露出領域と、前記複数の信号導体が前記第2の誘電層によって被覆される信号導体被覆領域と、を有し、前記信号導体露出領域において、前記複数の信号導体は、第2の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられており、前記信号導体被覆領域において、前記複数の信号導体は、前記第1の誘電層に対して直接的に接触している、フレキシブルフラットケーブルが提供される。
好ましくは、前記信号導体露出領域と前記信号導体被覆領域の間には中間領域が設けられており、前記中間領域において、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層によって被覆されると共に、第3の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられている。
好ましくは、前記信号導体被覆領域は、その長手方向中途部において補強領域を含んでおり、前記補強領域において、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層によって被覆されると共に、第4の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられている。
本願発明の第3の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤をシート状に形成し、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
本願発明の第4の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤をシート状に形成し、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
本願発明の第5の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
本願発明の第6の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
本願発明の第7の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1誘電体と、前記第2の誘電層に相当するシート状の前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、前記信号導体と前記第1のグラウンド層との間の距離が前記第1の誘電層の厚みに安定的に一致するので、前記信号導体の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、フレキシブルフラットケーブルの斜視図である。(第1実施形態)
【図2】図2は、図1のII-II線端面図である。(第1実施形態)
【図3】図3は、図2のIII-III線端面図である。(第1実施形態)
【図4】図4は、図2のIV-IV線端面図である。(第1実施形態)
【図5】図5は、図2のV-V線端面図である。(第1実施形態)
【図6】図6は、フレキシブルフラットケーブルの分解斜視図である。(第1実施形態)
【図7】図7は、フレキシブルフラットケーブルの製造方法の第1説明図であって、図2に対応している。(第1実施形態)
【図8】図8は、フレキシブルフラットケーブルの製造方法の第2説明図であって、図3に対応している。(第1実施形態)
【図9】図9は、フレキシブルフラットケーブルの製造方法の第3説明図であって、図4に対応している。(第1実施形態)
【図10】図10は、フレキシブルフラットケーブルの製造方法の第4説明図であって、図5に対応している。(第1実施形態)
【図11】図11は、フレキシブルフラットケーブルの斜視図である。(第2実施形態)
【図12】図12は、図11のXII-XII線端面図である。(第2実施形態)
【図13】図13は、フレキシブルフラットケーブルの分解斜視図である。(第2実施形態)
【図14】図14は、フレキシブルフラットケーブルの分解斜視図である。(第3実施形態)
【図15】図15は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ前の状態を示す図である。(第3実施形態)
【図16】図16は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ後の状態を示す図である。(第3実施形態)
【図17】図17は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ前の状態を示す図である。(第4実施形態)
【図18】図18は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ後の状態を示す図である。(第4実施形態)
【図19】図19は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ前の状態を示す図である。(第5実施形態)
【図20】図20は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ後の状態を示す図である。(第5実施形態)
【図21】図21は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ前の状態を示す図である。(第6実施形態)
【図22】図22は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ後の状態を示す図である。(第6実施形態)
【図23】図23は、フレキシブルフラットケーブルの斜視図である。(第7実施形態)
【図24】図24は、図23のXXIV- XXIV線端面図である。(第7実施形態)
【図25】図25は、フレキシブルフラットケーブルの分解斜視図である。(第7実施形態)
【図26】図26は、フレキシブルフラットケーブルの斜視図である。(第8実施形態)
【図27】図27は、図26のXXVII- XXVII線端面図である。(第8実施形態)
【図28】図28は、特許文献1の図1Bに相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図1〜図10を参照しつつ、本願発明の第1実施形態を説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、フレキシブルフラットケーブル1は、複数の信号導体2と、複数の信号導体2を挟んで配置されるグラウンド側誘電層3(第1の誘電層)及び反グラウンド側誘電層4(第2の誘電層)と、グラウンド側誘電層3を挟んで複数の信号導体2の反対側に配置されるグラウンド層5(第1のグラウンド層)と、を備えている。グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤G(第1の接着剤)により貼り合わされている。そして、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触している。
【0013】
上記フレキシブルフラットケーブル1の構造を長手方向に着目して説明すると、フレキシブルフラットケーブル1は、図2に示すように、信号導体露出領域Aと、中間領域Bと、信号導体被覆領域Cと、中間領域Bと、信号導体露出領域Aと、に区分される。
【0014】
図2に示すように、各信号導体露出領域Aは、フレキシブルフラットケーブル1の長手方向両端部に設けられている。各信号導体露出領域Aは、フレキシブルフラットケーブル1を基板上に搭載されたコネクタに接続するために設けられたものである。図3に示すように、各信号導体露出領域Aでは、グラウンド側誘電層3の下面3aにグラウンド層5が図示しない接着剤によって貼り付けられている。また、信号導体露出領域Aでは、グラウンド側誘電層3の上面3bに接着剤H1(接着剤Hの一部、第2の接着剤)がシート状に設けられている。そして、複数の信号導体2は、接着剤H1によってグラウンド側誘電層3に貼り付けられている。複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4によって被覆されずに、外部に露出している。
【0015】
図2に示すように、各中間領域Bは、各信号導体露出領域Aと信号導体被覆領域Cの間に設けられている。図4に示すように、各中間領域Bでは、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4に挟まれている。換言すれば、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4によって被覆されている。グラウンド側誘電層3の下面3aにグラウンド層5が図示しない接着剤によって貼り付けられている。また、グラウンド側誘電層3の上面3bに接着剤H2(接着剤Hの一部、第3の接着剤)がシート状に設けられている。また、反グラウンド側誘電層4の下面4aに接着剤Gがシート状に設けられている。そして、複数の信号導体2は、接着剤H2によってグラウンド側誘電層3に貼り付けられており、接着剤Gによって反グラウンド側誘電層4に貼り付けられている。また、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤H2と接着剤Gによって貼り合わされている。接着剤H2と接着剤Gは、複数の信号導体2を挟んで保持すると共に、複数の信号導体2間の夫々の隙間pに流入する如く膨らみ出て、進出している。
【0016】
図2に示すように、信号導体被覆領域Cは、一対の中間領域B間に設けられている。図5に示すように、信号導体被覆領域Cでは、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4に挟まれている。換言すれば、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4によって被覆されている。グラウンド側誘電層3の下面3aにグラウンド層5が図示しない接着剤によって貼り付けられている。また、反グラウンド側誘電層4の下面4aに接着剤Gがシート状に設けられている。そして、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触すると共に、接着剤Gによって反グラウンド側誘電層4に貼り付けられている。また、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤Gによって貼り合わされている。接着剤Gは、複数の信号導体2間の夫々の隙間pに流入する如く膨らみ出て、グラウンド側誘電層3の上面3bに至るまで進出している。
【0017】
図2に示すように、信号導体被覆領域Cにおいて、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4、グラウンド層5は、何れも平坦に形成されている。
【0018】
次に、フレキシブルフラットケーブル1の各構成要素の素材について説明する。
【0019】
各信号導体2は、一定の厚みを有し、例えば銅箔やアルミ箔などの金属箔を断面平角状に裁断して形成されており、互いに平行となるように配置されている。
【0020】
グラウンド側誘電層3及び反グラウンド側誘電層4は、一定の厚みを有し、ポリエステルやポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、PET等をシート状に延伸させて形成されている。
【0021】
グラウンド層5は、一定の厚みを有し、例えばアルミ箔などの金属箔や、PETフィルムに例えば銀などの金属ペーストを塗布したものによって構成されている。
【0022】
接着剤G及び接着剤H(接着剤H1、接着剤H2)は、ポリエステル系樹脂やエポキシ系樹脂が用いられる。
【0023】
なお、グラウンド側誘電層3とグラウンド層5の接着には、例えばウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ゴム系樹脂などが用いられる。
【0024】
次に、フレキシブルフラットケーブル1の製造方法を説明する。
【0025】
図1に示すように、フレキシブルフラットケーブル1は、グラウンド層5と、グラウンド側誘電層3と、複数の信号導体2と、反グラウンド側誘電層4と、をこの順で含む積層体とされる。図6及び図7には、フレキシブルフラットケーブル1の貼り合わせ前(積層前)の状態を示している。即ち、フレキシブルフラットケーブル1は、グラウンド層5に相当するグラウンドシート10と、グラウンド側誘電層3に相当するグラウンド側誘電シート11と、複数の信号導体2と、反グラウンド側誘電層4に相当する反グラウンド側誘電シート12、をこの順に積層させることで構成されている。
【0026】
図7〜図9に示すように、各信号導体露出領域A及び各中間領域Bにおいては、積層前に予め、グラウンド側誘電シート11の面であって複数の信号導体2側の面11aに接着剤Hをシート状に形成しておく。
【0027】
図7及び図9、図10に示すように、各中間領域B及び信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に予め、反グラウンド側誘電シート12の面であって複数の信号導体2側の面12aに接着剤Gをシート状に形成しておく。
【0028】
図10に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aには接着剤Hをあえて設けないこととする。
【0029】
後は、図6〜図10に示す状態から、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、複数の信号導体2は、図5に示すように、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。
【0030】
以上に本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態の特長は以下の通りである。
【0031】
即ち、フレキシブルフラットケーブル1は、複数の信号導体2と、複数の信号導体2を挟んで配置されるグラウンド側誘電層3(第1の誘電層)及び反グラウンド側誘電層4(第2の誘電層)と、グラウンド側誘電層3を挟んで複数の信号導体2の反対側に配置されるグラウンド層5(第1のグラウンド層)と、を備えている。グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤Gにより貼り合わされている。そして、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触している。以上の構成によれば、信号導体2とグラウンド層5との間の距離がグラウンド側誘電層3の厚みに安定的に一致するので、信号導体2の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づけることができる。
【0032】
なお、本実施形態において複数の信号導体2すべてがグラウンド側誘電層3に対して直接的に接触しているとしたが、これに代えて、一部の信号導体2だけがグラウンド側誘電層3に対して直接的に接触していてもよい。上記実施形態では、図2に示すように、各信号導体2が部分的に(信号導体被覆領域Cだけ)グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触している。
【0033】
また、接着剤Gと接着剤Hは同一成分の接着剤であってもよいし、異なる成分の接着剤であってもよい。同様に、接着剤Hを構成する接着剤H1と接着剤H2は同一成分の接着剤であってもよいし、異なる成分の接着剤であってもよい。
【0034】
(第2実施形態)
次に、図11〜図13を参照しつつ、本願発明の第2実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0035】
図11に示す本実施形態のフレキシブルフラットケーブル1においては、図12に示すように、信号導体被覆領域Cは、その長手方向中途部において補強領域Dを含んでいる。補強領域Dは、各中間領域Bから若干離れて設けられている。補強領域Dは、信号導体被覆領域Cにおいて、複数の信号導体2をグラウンド側誘電層3に対して部分的に接着させることにより、複数の信号導体2のグラウンド側誘電層3からの浮き上がりを抑制するために設けられたものである。従って、補強領域Dにおいて、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4によって被覆されると共に、接着剤I(第4の接着剤)によってグラウンド側誘電層3に貼り付けられている。
【0036】
本実施形態のフレキシブルフラットケーブル1を製造するには、図13に示すように、積層前に予め、グラウンド側誘電シート11の面11aであってグラウンド側誘電シート11の長手方向中途部に、接着剤Iをシート状に形成しておけばよい。
【0037】
<第3〜6実施形態>
第3〜6実施形態は、上記第1実施形態のように複数の信号導体2がグラウンド側誘電層3に対して直接的に接触するフレキシブルフラットケーブル1の製造方法のバリエーションである。
【0038】
(第3実施形態)
次に、図14〜図16を参照しつつ、本願発明の第3実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0039】
図14及び図15に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、反グラウンド側誘電シート12の面12aに接着剤Gをシート状に形成しておく。
【0040】
また、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aに、接着剤Hを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。なお、接着剤Hを縞状に形成するには、公知のマスキング技術を利用すればよい。
【0041】
後は、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、図16に示すように、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、図17〜図18を参照しつつ、本願発明の第4実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第3実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第3実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0043】
図17に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、反グラウンド側誘電シート12の面12aに、接着剤Gを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。
【0044】
また、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aに、接着剤Hを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。
【0045】
後は、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、図18に示すように、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。また、図18においては、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4の下面4aに対しても直接的に接触することになる。
【0046】
(第5実施形態)
次に、図19〜図20を参照しつつ、本願発明の第5実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第3実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第3実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0047】
図19に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、反グラウンド側誘電シート12の面12aに、接着剤Gを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。
【0048】
また、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aには、接着剤Hをあえて設けないこととする。
【0049】
後は、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、図20に示すように、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。また、図20においては、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4の下面4aに対しても直接的に接触することになる。
【0050】
(第6実施形態)
次に、図21〜図22を参照しつつ、本願発明の第6実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第3実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第3実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0051】
図21に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、反グラウンド側誘電シート12の面12aには、接着剤Gをあえて設けないこととする。
【0052】
また、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aに、接着剤Hを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。
【0053】
後は、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、図22に示すように、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。また、図22においては、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4の下面4aに対しても直接的に接触することになる。
【0054】
(第7実施形態)
次に、図23〜図25を参照しつつ、本願発明の第7実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0055】
図23及び図24に示すように、本実施形態のフレキシブルフラットケーブル1では、反グラウンド側誘電層4を挟んで複数の信号導体2の反対側に被覆グラウンド層6(第2のグラウンド層)が配置されている。
【0056】
上記のフレキシブルフラットケーブル1を製造するには、図25に示すように、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12、被覆グラウンド層6に相当する被覆グラウンドシート13をこの順に積層させればよい。
【0057】
(第8実施形態)
次に、図26〜図27を参照しつつ、本願発明の第8実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第7実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第7実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0058】
本実施形態において、図25に示すグラウンドシート10と被覆グラウンドシート13は、図26及び図27に示すように、シート状の一枚の金属シート14(金属体)を折り曲げ加工することで形成されている。図27に示すように、金属シート14は、グラウンド側誘電層3と、複数の信号導体2と、反グラウンド側誘電層4と、から成る積層体を包囲している。
【0059】
以上に本願発明の好適な第1〜第8実施形態を説明したが、本願発明の趣旨から逸脱しない範囲で、各実施形態は任意に組み合わせることができる。
【0060】
例えば、図24において、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4の下面4aに対して直接的に接触するように構成してもよい。これによれば、複数の信号導体2と被覆グラウンド層6との間の距離が安定し、もって、各信号導体2の特性インピーダンスを所望のインピーダンスとすることが容易となる。
【符号の説明】
【0061】
1 フレキシブルフラットケーブル
2 信号導体
3 グラウンド側誘電層(第1の誘電層)
3a 下面
3b 上面
4 反グラウンド側誘電層(第2の誘電層)
4a 下面
5 グラウンド層(第1のグラウンド層)
6 被覆グラウンド層(第2のグラウンド層)
10 グラウンドシート
11 グラウンド側誘電シート
11a 面
12 反グラウンド側誘電シート
12a 面
13 被覆グラウンドシート
14 金属シート(金属体)
A 信号導体露出領域
B 中間領域
C 信号導体被覆領域
D 補強領域
G 接着剤(第1の接着剤)
H 接着剤(第2の接着剤、第3の接着剤)
H1 接着剤(第2の接着剤)
H2 接着剤(第3の接着剤)
I 接着剤(第4の接着剤)
p 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルフラットケーブル、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、ノイズ対策としてのシールド層を含み、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等に接続される電子機器の高速伝送用の配線ケーブルとしても使用できるようにしたフレキシブルフラットケーブルを開示している。
【0003】
本願の図28に示すように、このフレキシブルフラットケーブル100は、複数の平角状の導体101を平行に配列し、複数の導体101を一対の絶縁樹脂層102で挟み込むように被覆して構成されている。各絶縁樹脂層102は、樹脂層103と、樹脂層103に積層された接着剤層104と、により構成されている。そして、2つの絶縁樹脂層102は、複数の導体101を挟んだ状態で、互いに貼り合わされている。そして、絶縁樹脂層102の外側には、フレキシブルフラットケーブル100の特性インピーダンスを調整するための低誘電層105が粘着剤層106を介して一対で設けられ、更にその外側に、電磁干渉とノイズを低減させるためのシールド層107が易接着層108を介して一対で設けられている。接着剤層104としては、樹脂材料からなるものが使用され、例えば、ポリエステル系樹脂に難燃剤を混合した接着剤などが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−287539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、導体101と樹脂層103、低誘電層105、シールド層107の各層の間には、接着層が介在している。その中でも特に、導体101と樹脂層103との間に介在させる接着剤層104には、ある程度の流動性を持たせ、もって、貼り合わせ時に、接着剤層104が導体101を隙間なく包み込むことができるようになっている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、導体101と樹脂層103との間に存在する接着剤層104の厚みの大小は何ら保証されておらず、接着剤層104の具体的な流動の如何によっては、フレキシブルフラットケーブル100の厚み方向の接着剤層104内で、各導体101の位置にバラツキが生じ、導体101とシールド層107との間の距離が希望通りとならない場合がある。そしてこの結果、各導体101の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づけることが容易ではなかった。
【0007】
以上の事情に鑑み、本発明の目的は、各導体の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づける技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の第1の観点によれば、複数の信号導体と、前記複数の信号導体を挟んで配置される第1の誘電層及び第2の誘電層と、前記第1の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に配置される第1のグラウンド層と、を備え、前記第1の誘電層と前記第2の誘電層は、接着剤により貼り合わされており、前記複数の信号導体は、前記第1の誘電層に対して直接的に接触している、フレキシブルフラットケーブルが提供される。
好ましくは、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層に対して直接的に接触している。
好ましくは、前記第1の誘電層は、平坦である。
好ましくは、前記第2の誘電層は、平坦である。
好ましくは、前記第1のグラウンド層は、平坦である。
好ましくは、前記第2の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に第2のグラウンド層が配置されている。
好ましくは、前記第1のグラウンド層と前記第2のグラウンド層は、シート状の一枚の金属体を折り曲げ加工することで形成されている。
本願発明の第2の観点によれば、複数の信号導体と、前記複数の信号導体を挟んで配置される第1の誘電層及び第2の誘電層と、前記第1の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に配置されるグラウンド層と、を備え、前記第1の誘電層と前記第2の誘電層は、第1の接着剤により貼り合わされている、フレキシブルフラットケーブルであって、前記複数の信号導体が前記第2の誘電層によって被覆されずに露出する領域である信号導体露出領域と、前記複数の信号導体が前記第2の誘電層によって被覆される信号導体被覆領域と、を有し、前記信号導体露出領域において、前記複数の信号導体は、第2の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられており、前記信号導体被覆領域において、前記複数の信号導体は、前記第1の誘電層に対して直接的に接触している、フレキシブルフラットケーブルが提供される。
好ましくは、前記信号導体露出領域と前記信号導体被覆領域の間には中間領域が設けられており、前記中間領域において、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層によって被覆されると共に、第3の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられている。
好ましくは、前記信号導体被覆領域は、その長手方向中途部において補強領域を含んでおり、前記補強領域において、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層によって被覆されると共に、第4の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられている。
本願発明の第3の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤をシート状に形成し、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
本願発明の第4の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤をシート状に形成し、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
本願発明の第5の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
本願発明の第6の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
本願発明の第7の観点によれば、グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、前記第1誘電体と、前記第2の誘電層に相当するシート状の前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、フレキシブルフラットケーブルの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、前記信号導体と前記第1のグラウンド層との間の距離が前記第1の誘電層の厚みに安定的に一致するので、前記信号導体の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、フレキシブルフラットケーブルの斜視図である。(第1実施形態)
【図2】図2は、図1のII-II線端面図である。(第1実施形態)
【図3】図3は、図2のIII-III線端面図である。(第1実施形態)
【図4】図4は、図2のIV-IV線端面図である。(第1実施形態)
【図5】図5は、図2のV-V線端面図である。(第1実施形態)
【図6】図6は、フレキシブルフラットケーブルの分解斜視図である。(第1実施形態)
【図7】図7は、フレキシブルフラットケーブルの製造方法の第1説明図であって、図2に対応している。(第1実施形態)
【図8】図8は、フレキシブルフラットケーブルの製造方法の第2説明図であって、図3に対応している。(第1実施形態)
【図9】図9は、フレキシブルフラットケーブルの製造方法の第3説明図であって、図4に対応している。(第1実施形態)
【図10】図10は、フレキシブルフラットケーブルの製造方法の第4説明図であって、図5に対応している。(第1実施形態)
【図11】図11は、フレキシブルフラットケーブルの斜視図である。(第2実施形態)
【図12】図12は、図11のXII-XII線端面図である。(第2実施形態)
【図13】図13は、フレキシブルフラットケーブルの分解斜視図である。(第2実施形態)
【図14】図14は、フレキシブルフラットケーブルの分解斜視図である。(第3実施形態)
【図15】図15は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ前の状態を示す図である。(第3実施形態)
【図16】図16は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ後の状態を示す図である。(第3実施形態)
【図17】図17は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ前の状態を示す図である。(第4実施形態)
【図18】図18は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ後の状態を示す図である。(第4実施形態)
【図19】図19は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ前の状態を示す図である。(第5実施形態)
【図20】図20は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ後の状態を示す図である。(第5実施形態)
【図21】図21は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ前の状態を示す図である。(第6実施形態)
【図22】図22は、フレキシブルフラットケーブルの貼り合わせ後の状態を示す図である。(第6実施形態)
【図23】図23は、フレキシブルフラットケーブルの斜視図である。(第7実施形態)
【図24】図24は、図23のXXIV- XXIV線端面図である。(第7実施形態)
【図25】図25は、フレキシブルフラットケーブルの分解斜視図である。(第7実施形態)
【図26】図26は、フレキシブルフラットケーブルの斜視図である。(第8実施形態)
【図27】図27は、図26のXXVII- XXVII線端面図である。(第8実施形態)
【図28】図28は、特許文献1の図1Bに相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図1〜図10を参照しつつ、本願発明の第1実施形態を説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、フレキシブルフラットケーブル1は、複数の信号導体2と、複数の信号導体2を挟んで配置されるグラウンド側誘電層3(第1の誘電層)及び反グラウンド側誘電層4(第2の誘電層)と、グラウンド側誘電層3を挟んで複数の信号導体2の反対側に配置されるグラウンド層5(第1のグラウンド層)と、を備えている。グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤G(第1の接着剤)により貼り合わされている。そして、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触している。
【0013】
上記フレキシブルフラットケーブル1の構造を長手方向に着目して説明すると、フレキシブルフラットケーブル1は、図2に示すように、信号導体露出領域Aと、中間領域Bと、信号導体被覆領域Cと、中間領域Bと、信号導体露出領域Aと、に区分される。
【0014】
図2に示すように、各信号導体露出領域Aは、フレキシブルフラットケーブル1の長手方向両端部に設けられている。各信号導体露出領域Aは、フレキシブルフラットケーブル1を基板上に搭載されたコネクタに接続するために設けられたものである。図3に示すように、各信号導体露出領域Aでは、グラウンド側誘電層3の下面3aにグラウンド層5が図示しない接着剤によって貼り付けられている。また、信号導体露出領域Aでは、グラウンド側誘電層3の上面3bに接着剤H1(接着剤Hの一部、第2の接着剤)がシート状に設けられている。そして、複数の信号導体2は、接着剤H1によってグラウンド側誘電層3に貼り付けられている。複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4によって被覆されずに、外部に露出している。
【0015】
図2に示すように、各中間領域Bは、各信号導体露出領域Aと信号導体被覆領域Cの間に設けられている。図4に示すように、各中間領域Bでは、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4に挟まれている。換言すれば、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4によって被覆されている。グラウンド側誘電層3の下面3aにグラウンド層5が図示しない接着剤によって貼り付けられている。また、グラウンド側誘電層3の上面3bに接着剤H2(接着剤Hの一部、第3の接着剤)がシート状に設けられている。また、反グラウンド側誘電層4の下面4aに接着剤Gがシート状に設けられている。そして、複数の信号導体2は、接着剤H2によってグラウンド側誘電層3に貼り付けられており、接着剤Gによって反グラウンド側誘電層4に貼り付けられている。また、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤H2と接着剤Gによって貼り合わされている。接着剤H2と接着剤Gは、複数の信号導体2を挟んで保持すると共に、複数の信号導体2間の夫々の隙間pに流入する如く膨らみ出て、進出している。
【0016】
図2に示すように、信号導体被覆領域Cは、一対の中間領域B間に設けられている。図5に示すように、信号導体被覆領域Cでは、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4に挟まれている。換言すれば、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4によって被覆されている。グラウンド側誘電層3の下面3aにグラウンド層5が図示しない接着剤によって貼り付けられている。また、反グラウンド側誘電層4の下面4aに接着剤Gがシート状に設けられている。そして、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触すると共に、接着剤Gによって反グラウンド側誘電層4に貼り付けられている。また、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤Gによって貼り合わされている。接着剤Gは、複数の信号導体2間の夫々の隙間pに流入する如く膨らみ出て、グラウンド側誘電層3の上面3bに至るまで進出している。
【0017】
図2に示すように、信号導体被覆領域Cにおいて、グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4、グラウンド層5は、何れも平坦に形成されている。
【0018】
次に、フレキシブルフラットケーブル1の各構成要素の素材について説明する。
【0019】
各信号導体2は、一定の厚みを有し、例えば銅箔やアルミ箔などの金属箔を断面平角状に裁断して形成されており、互いに平行となるように配置されている。
【0020】
グラウンド側誘電層3及び反グラウンド側誘電層4は、一定の厚みを有し、ポリエステルやポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、PET等をシート状に延伸させて形成されている。
【0021】
グラウンド層5は、一定の厚みを有し、例えばアルミ箔などの金属箔や、PETフィルムに例えば銀などの金属ペーストを塗布したものによって構成されている。
【0022】
接着剤G及び接着剤H(接着剤H1、接着剤H2)は、ポリエステル系樹脂やエポキシ系樹脂が用いられる。
【0023】
なお、グラウンド側誘電層3とグラウンド層5の接着には、例えばウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ゴム系樹脂などが用いられる。
【0024】
次に、フレキシブルフラットケーブル1の製造方法を説明する。
【0025】
図1に示すように、フレキシブルフラットケーブル1は、グラウンド層5と、グラウンド側誘電層3と、複数の信号導体2と、反グラウンド側誘電層4と、をこの順で含む積層体とされる。図6及び図7には、フレキシブルフラットケーブル1の貼り合わせ前(積層前)の状態を示している。即ち、フレキシブルフラットケーブル1は、グラウンド層5に相当するグラウンドシート10と、グラウンド側誘電層3に相当するグラウンド側誘電シート11と、複数の信号導体2と、反グラウンド側誘電層4に相当する反グラウンド側誘電シート12、をこの順に積層させることで構成されている。
【0026】
図7〜図9に示すように、各信号導体露出領域A及び各中間領域Bにおいては、積層前に予め、グラウンド側誘電シート11の面であって複数の信号導体2側の面11aに接着剤Hをシート状に形成しておく。
【0027】
図7及び図9、図10に示すように、各中間領域B及び信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に予め、反グラウンド側誘電シート12の面であって複数の信号導体2側の面12aに接着剤Gをシート状に形成しておく。
【0028】
図10に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aには接着剤Hをあえて設けないこととする。
【0029】
後は、図6〜図10に示す状態から、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、複数の信号導体2は、図5に示すように、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。
【0030】
以上に本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態の特長は以下の通りである。
【0031】
即ち、フレキシブルフラットケーブル1は、複数の信号導体2と、複数の信号導体2を挟んで配置されるグラウンド側誘電層3(第1の誘電層)及び反グラウンド側誘電層4(第2の誘電層)と、グラウンド側誘電層3を挟んで複数の信号導体2の反対側に配置されるグラウンド層5(第1のグラウンド層)と、を備えている。グラウンド側誘電層3と反グラウンド側誘電層4は、接着剤Gにより貼り合わされている。そして、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触している。以上の構成によれば、信号導体2とグラウンド層5との間の距離がグラウンド側誘電層3の厚みに安定的に一致するので、信号導体2の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンスに近づけることができる。
【0032】
なお、本実施形態において複数の信号導体2すべてがグラウンド側誘電層3に対して直接的に接触しているとしたが、これに代えて、一部の信号導体2だけがグラウンド側誘電層3に対して直接的に接触していてもよい。上記実施形態では、図2に示すように、各信号導体2が部分的に(信号導体被覆領域Cだけ)グラウンド側誘電層3に対して直接的に接触している。
【0033】
また、接着剤Gと接着剤Hは同一成分の接着剤であってもよいし、異なる成分の接着剤であってもよい。同様に、接着剤Hを構成する接着剤H1と接着剤H2は同一成分の接着剤であってもよいし、異なる成分の接着剤であってもよい。
【0034】
(第2実施形態)
次に、図11〜図13を参照しつつ、本願発明の第2実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0035】
図11に示す本実施形態のフレキシブルフラットケーブル1においては、図12に示すように、信号導体被覆領域Cは、その長手方向中途部において補強領域Dを含んでいる。補強領域Dは、各中間領域Bから若干離れて設けられている。補強領域Dは、信号導体被覆領域Cにおいて、複数の信号導体2をグラウンド側誘電層3に対して部分的に接着させることにより、複数の信号導体2のグラウンド側誘電層3からの浮き上がりを抑制するために設けられたものである。従って、補強領域Dにおいて、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4によって被覆されると共に、接着剤I(第4の接着剤)によってグラウンド側誘電層3に貼り付けられている。
【0036】
本実施形態のフレキシブルフラットケーブル1を製造するには、図13に示すように、積層前に予め、グラウンド側誘電シート11の面11aであってグラウンド側誘電シート11の長手方向中途部に、接着剤Iをシート状に形成しておけばよい。
【0037】
<第3〜6実施形態>
第3〜6実施形態は、上記第1実施形態のように複数の信号導体2がグラウンド側誘電層3に対して直接的に接触するフレキシブルフラットケーブル1の製造方法のバリエーションである。
【0038】
(第3実施形態)
次に、図14〜図16を参照しつつ、本願発明の第3実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0039】
図14及び図15に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、反グラウンド側誘電シート12の面12aに接着剤Gをシート状に形成しておく。
【0040】
また、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aに、接着剤Hを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。なお、接着剤Hを縞状に形成するには、公知のマスキング技術を利用すればよい。
【0041】
後は、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、図16に示すように、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、図17〜図18を参照しつつ、本願発明の第4実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第3実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第3実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0043】
図17に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、反グラウンド側誘電シート12の面12aに、接着剤Gを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。
【0044】
また、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aに、接着剤Hを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。
【0045】
後は、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、図18に示すように、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。また、図18においては、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4の下面4aに対しても直接的に接触することになる。
【0046】
(第5実施形態)
次に、図19〜図20を参照しつつ、本願発明の第5実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第3実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第3実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0047】
図19に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、反グラウンド側誘電シート12の面12aに、接着剤Gを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。
【0048】
また、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aには、接着剤Hをあえて設けないこととする。
【0049】
後は、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、図20に示すように、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。また、図20においては、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4の下面4aに対しても直接的に接触することになる。
【0050】
(第6実施形態)
次に、図21〜図22を参照しつつ、本願発明の第6実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第3実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第3実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0051】
図21に示すように、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、反グラウンド側誘電シート12の面12aには、接着剤Gをあえて設けないこととする。
【0052】
また、信号導体被覆領域Cにおいては、積層前に、グラウンド側誘電シート11の面11aに、接着剤Hを複数の信号導体2の間である隙間pに挿入されるように縞状に形成しておく。
【0053】
後は、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12をこの順に積層させればよい。このとき、グラウンド側誘電シート11と反グラウンド側誘電シート12とで複数の信号導体2を挟み込むことにより、図22に示すように、複数の信号導体2は、グラウンド側誘電層3の上面3bに対して直接的に接触することになる。また、図22においては、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4の下面4aに対しても直接的に接触することになる。
【0054】
(第7実施形態)
次に、図23〜図25を参照しつつ、本願発明の第7実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0055】
図23及び図24に示すように、本実施形態のフレキシブルフラットケーブル1では、反グラウンド側誘電層4を挟んで複数の信号導体2の反対側に被覆グラウンド層6(第2のグラウンド層)が配置されている。
【0056】
上記のフレキシブルフラットケーブル1を製造するには、図25に示すように、グラウンドシート10、グラウンド側誘電シート11、複数の信号導体2、反グラウンド側誘電シート12、被覆グラウンド層6に相当する被覆グラウンドシート13をこの順に積層させればよい。
【0057】
(第8実施形態)
次に、図26〜図27を参照しつつ、本願発明の第8実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第7実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第7実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0058】
本実施形態において、図25に示すグラウンドシート10と被覆グラウンドシート13は、図26及び図27に示すように、シート状の一枚の金属シート14(金属体)を折り曲げ加工することで形成されている。図27に示すように、金属シート14は、グラウンド側誘電層3と、複数の信号導体2と、反グラウンド側誘電層4と、から成る積層体を包囲している。
【0059】
以上に本願発明の好適な第1〜第8実施形態を説明したが、本願発明の趣旨から逸脱しない範囲で、各実施形態は任意に組み合わせることができる。
【0060】
例えば、図24において、複数の信号導体2は、反グラウンド側誘電層4の下面4aに対して直接的に接触するように構成してもよい。これによれば、複数の信号導体2と被覆グラウンド層6との間の距離が安定し、もって、各信号導体2の特性インピーダンスを所望のインピーダンスとすることが容易となる。
【符号の説明】
【0061】
1 フレキシブルフラットケーブル
2 信号導体
3 グラウンド側誘電層(第1の誘電層)
3a 下面
3b 上面
4 反グラウンド側誘電層(第2の誘電層)
4a 下面
5 グラウンド層(第1のグラウンド層)
6 被覆グラウンド層(第2のグラウンド層)
10 グラウンドシート
11 グラウンド側誘電シート
11a 面
12 反グラウンド側誘電シート
12a 面
13 被覆グラウンドシート
14 金属シート(金属体)
A 信号導体露出領域
B 中間領域
C 信号導体被覆領域
D 補強領域
G 接着剤(第1の接着剤)
H 接着剤(第2の接着剤、第3の接着剤)
H1 接着剤(第2の接着剤)
H2 接着剤(第3の接着剤)
I 接着剤(第4の接着剤)
p 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号導体と、
前記複数の信号導体を挟んで配置される第1の誘電層及び第2の誘電層と、
前記第1の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に配置される第1のグラウンド層と、
を備え、
前記第1の誘電層と前記第2の誘電層は、接着剤により貼り合わされており、
前記複数の信号導体は、前記第1の誘電層に対して直接的に接触している、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層に対して直接的に接触している、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第1の誘電層は、平坦である、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第2の誘電層は、平坦である、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第1のグラウンド層は、平坦である、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第2の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に第2のグラウンド層が配置されている、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項7】
請求項6に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第1のグラウンド層と前記第2のグラウンド層は、シート状の一枚の金属体を折り曲げ加工することで形成されている、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項8】
複数の信号導体と、
前記複数の信号導体を挟んで配置される第1の誘電層及び第2の誘電層と、
前記第1の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に配置されるグラウンド層と、
を備え、
前記第1の誘電層と前記第2の誘電層は、第1の接着剤により貼り合わされている、
フレキシブルフラットケーブルであって、
前記複数の信号導体が前記第2の誘電層によって被覆されずに露出する領域である信号導体露出領域と、
前記複数の信号導体が前記第2の誘電層によって被覆される信号導体被覆領域と、
を有し、
前記信号導体露出領域において、前記複数の信号導体は、第2の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられており、
前記信号導体被覆領域において、前記複数の信号導体は、前記第1の誘電層に対して直接的に接触している、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項9】
請求項8に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記信号導体露出領域と前記信号導体被覆領域の間には中間領域が設けられており、
前記中間領域において、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層によって被覆されると共に、第3の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられている、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記信号導体被覆領域は、その長手方向中途部において補強領域を含んでおり、
前記補強領域において、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層によって被覆されると共に、第4の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられている、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項11】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤をシート状に形成し、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項12】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤をシート状に形成し、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項13】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項14】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項15】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1誘電体と、前記第2の誘電層に相当するシート状の前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項1】
複数の信号導体と、
前記複数の信号導体を挟んで配置される第1の誘電層及び第2の誘電層と、
前記第1の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に配置される第1のグラウンド層と、
を備え、
前記第1の誘電層と前記第2の誘電層は、接着剤により貼り合わされており、
前記複数の信号導体は、前記第1の誘電層に対して直接的に接触している、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層に対して直接的に接触している、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第1の誘電層は、平坦である、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第2の誘電層は、平坦である、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第1のグラウンド層は、平坦である、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第2の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に第2のグラウンド層が配置されている、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項7】
請求項6に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記第1のグラウンド層と前記第2のグラウンド層は、シート状の一枚の金属体を折り曲げ加工することで形成されている、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項8】
複数の信号導体と、
前記複数の信号導体を挟んで配置される第1の誘電層及び第2の誘電層と、
前記第1の誘電層を挟んで前記複数の信号導体の反対側に配置されるグラウンド層と、
を備え、
前記第1の誘電層と前記第2の誘電層は、第1の接着剤により貼り合わされている、
フレキシブルフラットケーブルであって、
前記複数の信号導体が前記第2の誘電層によって被覆されずに露出する領域である信号導体露出領域と、
前記複数の信号導体が前記第2の誘電層によって被覆される信号導体被覆領域と、
を有し、
前記信号導体露出領域において、前記複数の信号導体は、第2の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられており、
前記信号導体被覆領域において、前記複数の信号導体は、前記第1の誘電層に対して直接的に接触している、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項9】
請求項8に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記信号導体露出領域と前記信号導体被覆領域の間には中間領域が設けられており、
前記中間領域において、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層によって被覆されると共に、第3の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられている、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のフレキシブルフラットケーブルであって、
前記信号導体被覆領域は、その長手方向中途部において補強領域を含んでおり、
前記補強領域において、前記複数の信号導体は、前記第2の誘電層によって被覆されると共に、第4の接着剤によって前記第1の誘電層に貼り付けられている、
フレキシブルフラットケーブル。
【請求項11】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤をシート状に形成し、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項12】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤をシート状に形成し、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項13】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項14】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第2の誘電層に相当するシート状の第2誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体と、前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【請求項15】
グラウンド層と、第1の誘電層と、複数の信号導体と、第2の誘電層と、をこの順で含む積層体であるフレキシブルフラットケーブルの製造方法であって、
前記第1の誘電層に相当するシート状の第1誘電体の面であって前記複数の信号導体側の面上に、接着剤を前記複数の信号導体の間に挿入されるように縞状に形成し、
前記第1誘電体と、前記第2の誘電層に相当するシート状の前記第2誘電体と、で前記複数の信号導体を挟み込むことで、前記複数の信号導体を、前記第1の誘電層に対して直接的に接触させる、
フレキシブルフラットケーブルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
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【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2013−98065(P2013−98065A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240897(P2011−240897)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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