説明

フレキシブルプリント回路板のための液体カバーレイ

本発明は、フレキシブル回路基板などの電子部品におけるメタルクラッド積層材料のための保護カバーレイコーティングとして使用するための硬化性組成物に用いる、ポリアミドイミド樹脂を含む硬化性液体カバーレイ組成物に関する。特に、本発明は、熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを含む液体カバーレイ組成物、及びフレキシブル電子部品の調製における該組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、フレキシブル回路基板などのメタルクラッド積層材料のための保護カバーレイコーティングとして使用するための硬化性組成物に用いる材料に関する。特に、本発明は、ポリアミドイミド樹脂を含む硬化性液体カバーレイ組成物、及びコーティングされた電子部品の形成における該液体カバーレイ組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
エレクトロニクス産業に現在使用されている典型的なカバーレイは、典型的にはポリイミド型ドライフィルム又はホイルとして入手できるのみであり、そしてシート又はロールとして供給される。これらの材料の使用は、人件費、(廃棄物を含む)材料消費及びエネルギー時間支出について費用が高い。特に、これらのドライフィルムシート又はロールが、パネルの選択された領域のみで使用されるためのものであるならば、それらは、時間及びコストの大きいプロセスを用いて適用されるしかない。ドライシート又はロールの形態のカバーレイを、選択された領域に適用するためには、複数のプロセス工程が必要になるであろう。例えば:
1.レーザーカッター又はカットプロッターの使用により、シート又はロールからそれらの領域を切り出す工程。
2.接着剤側から保護層を手動で剥がす工程。ホイルは、普通はエポキシ又はアクリル接着剤を用いて提供されている。接着剤のないポリイミドホイルは、個別の接着剤(これもロール中に供給され、そしてポリイミドホイルと同じ方法で調製される必要がある。)を必要とする。
3.実現できる最高の精度(>0.8mm)で手動操作によりポリイミドホイル(及び、分ける場合には接着剤)をパネル上へ配置する工程。
4.はんだ付け工具を用いて手動プロセスでポリイミドホイルを固定する工程。
【0003】
かなりの手作業及び関連費用を抑える自動化(例えば、ロボット)の使用により工程1〜4を実施することが可能であるならば、当然のことながら、これらの操作を連続して行うために必要な複数のロボットとロボットを操縦するコストは極めて高い。
【0004】
また、主に、湿気吸収、スミア化、塵及び配置精度の制限(それは、現代の技術の精度要求を満たさない。)につながることがあるポリイミドと併用して接着剤を使用する必要があるために、ドライフィルムポリイミドカバーレイには、プリント回路基板などの電子部品の製造に使用されるときに技術的な課題がある。
【0005】
フレキシブルプリント回路(FPC)並びに他のプリント回路基板(PCB)及び他の電子部品などの機械プロセスのためのドライフィルムポリイミドカバーレイフィルムを使用することに関係する他の課題としては:
・フィルムの手動配置のために制限された精度(最低0.8mm)。
・Z軸に対する寸法の課題。
・手動実装及び圧縮プロセスによるホイル不安定性。
・選択的メタライゼーションプロセスのみに適合すること。アクリル接着剤がにじみ、それ故にプラスマ・デスミアが追加の処理工程として必要とされる。
・機械加工、掘削及び経路指定とともに、スミア及び塵を含む技術的な課題が生まれる。
・各プロセスサイクルは、非常に時間を消費する。
「スミア」及び「デスミア」の一般的な説明は、下記参考文献において見ることができる:
“A Comprehensive Guide to the Design and Manufacture of Printed Circuit Board Assemblies - Volume 2, William Macleod Ross, Electrochemical Publications, page 232”
【0006】
フレキシブルプリント回路(FPC)は、リジッド回路パネルに対して多数の利点を提供するので、それらは、プリント回路基板製造において、ますます安定して成長する分野を構成している。FPCは、柔軟性、及び高い信頼性を有する小型高密度配線、重量減少、並びに全体的なコスト削減という利点を電子装置製造業者に提供する。FPCは、主に軍事/宇宙用途において50年代後期/60年代前期から使用されているが、より最近では、それらは、カメラ、携帯電話及びMP3プレーヤーなどの小売用製品において、より一般的に見られる。
【0007】
FPCを製造するための最近の製造技術が、Martin W. Jawitzによる“Printed Circuit Board Materials Handbook, McGraw-Hill Professional, 1997, page 784”に記述されている。この非常に詳細な文献には、FPC構造が説明されており、そして関連する組み立て工程が記述/検討されている。
【0008】
1つの重要なFPC部材は被覆層(カバーシート又はカバーレイとしても知られている。)であり;これは、電気的クロスオーバ及び機械的ハンドリングからFPCを保護するためのFPCの上面のプラスチックフィルムである。多層回路を製造するために使用される従来のフレキシブルプリント回路基板製造では、各柔軟性単層は、個々に被覆され、かつ圧縮されなければならない。このカバーレイホイルは、全領域を覆うために使用されて、高い材料費につながるか、又は選択された領域に使用されて、高い人件費を招く。いずれの場合でも、ドライフィルム又はホイル型カバーレイは、個別の圧縮工程において積層体に接続される。本発明は、フレキシブル回路基板上の被覆層に対する改良に関する。
【0009】
熱硬化FPCを開発するための要求は多い。有利には、熱硬化FPCで用いるソルダーマスクは、下記性質の幾つか又は全てを有する:
・典型的なスクリーン印刷されたソルダーマスクと似ているレオロジー及びチキソトロピー(高−低せん断速度構造体と対応する低−高せん断速度構造体)(図1参照)
・資本支出を伴わずに既存のプリント装置(スクリーン、スプレー、カーテンコート、ローラーコート、パッド印刷、グラビア、フレキソ、オフセット、インクジェット及びスピンコーティング)を用いる処理
・最低4時間のスクリーン開放時間
・最大150℃(積層段階まで)での硬化
・積層温度(典型的には、180℃で70分間又は220℃で40分間)に必ず耐えること
・接着の問題のない二重コーティング、GT0〜GT1のギッターシュニットクロスハッチ(gitterschnit X−hatch)
・PIホイルの最終品質が必ず合格するか、又は上回ること
・100KV/mmの誘電強度IPC TM650 2.5.6A最低値
・分離抵抗IPC TM650 2.5.9L
・1メガオームの表面抵抗IPC TM650 2.5.17L最低値
・1%の水揚げ最大値
・はんだ槽耐性IPC TM650 2.4.13(2秒間で最低260℃)
・テープ試験後に剥がれることなく他の最終仕上げ(ニッケル−金及びスズ化学物質)の全てに適合すること
・全基板(PI、FR4など)上で25μm膜厚における50/50μmトラック及びギャップの解像度
・25μmコーティングの1オンスの銅の上部において最低10μmのカバーレイ
・UL94V−0の格付けの可燃性
・下記溶液:IPA、MEK、ジクロロメタン中の含浸(1時間)に対する耐性
・Z軸熱膨張率(CTE)(Tgを下回ると15ppm、80ppm>Tg)
A=供給された通りである
L=96時間、20℃、65%相対湿度での貯蔵後
【0010】
米国特許第7,364,799号明細書(東洋紡績)及び国際公開第2008/072495号パンフレット(東洋紡績)には、フレキシブルメダルクラッド(medal−clad)積層体への適用のためのポリアミドイミド(PAI)樹脂が開示されている。
【0011】
国際公開第2008/041426号パンフレット(日立)(欧州特許第2070961号明細書としても発行されている。)には、フレキシブルプリント回路基板のためのポリアミドイミド(PAI)樹脂が開示されている。このPAIは、耐熱性を強化するために、カルボニル基、アミノ基、酸無水物基及びメルカプト基から選択される少なくとも1つの熱官能基を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ポリアミドイミド(PAI)樹脂が粘度安定性に乏しいという点において、カバーレイとしてのポリアミドイミド(PAI)樹脂の使用には課題があり、これは、その合成から残っている残留イソシアネート基がベンダント型カルボン酸基と反応して、時間とともに粘度を上昇させることがあるという事実による。PAIの合成において、これに対抗するためにイソシアネートの比率が減らされるならば、イミド官能基の濃度の増加に伴ってアミド基の量は減少し、ポリマーの溶解度はかなり減少することになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の概要
本発明は、スクリーン印刷(ステンシルを用いる)、分配、又は任意の他の手段(それにより液体カバーレイが堆積させられることができる。)などの単一操作でカバーレイを提供するために使用されることができる液体ポリアミドイミドカバーレイ組成物を提供する。液体カバーレイ組成物は、例えば、硬化性インク組成物でよい。典型的には、カバーレイ組成物は、硬化性成分、レベリング助剤、硬化剤及び充填剤を含む。有利には、本発明のカバーレイ組成物は、硬化性成分として、熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを含む。例えば、本発明の一実施形態では、カバーレイ組成物は、所望により二官能価又は多官能価エポキシ樹脂を使用して、非プロトン性溶媒中のカプロアミド変性されたポリアミドイミド、レベリング助剤、触媒、充填剤(単数又は複数)を含む。有利には、カバーレイは、硬化前の優秀な粘度安定性、並びに際立った耐はんだ性、クロスハッチ(X−hatch)接着性、鉛筆硬度、耐溶媒性及び/又は硬化後の柔軟性を示す。
【0014】
第一の態様では、本発明は、熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを含むフレキシブルプリント回路基板のための熱硬化性カバーレイ組成物であって、該組成物は25℃で液体である前記組成物を提供する。第二の態様では、本発明は、(i)末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドと(ii)熱解離性イソシアネート保護剤の反応生成物を含む、フレキシブルプリント回路基板のための熱硬化性カバーレイ組成物であって、該組成物は25℃で液体である前記組成物を提供する。有利には、本発明の第二の態様の反応生成物は、本発明の第一の態様の熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドである。本発明の第一及び第二の態様の組成物を加熱するときに、イソシアネート保護基は、ポリアミドイミドから解離して、末端イソシアネート基を開放する。有利には、末端イソシアネート基は、硬化カバーレイを提供するために熱硬化反応に加わることができる。
【0015】
第三の態様では、本発明は、(a)本発明の第一又は第二の態様の熱硬化性カバーレイ組成物のコーティングをプリント回路基板又は他の電子部品へ適用する工程、及び(b)該組成物を硬化させる工程を含む、プリント回路基板又は他の電子部品(例えば、フレキシブルプリント回路基板又は他のフレキシブル電子部品)をコーティングする方法を提供する。
【0016】
第四の態様では、本発明は、ポリアミドイミドを含む硬化コーティングを含む電子部品(例えば、フレキシブルプリント回路基板)を提供する。
【0017】
第五の態様では、本発明は、本発明の第一及び第二の態様の熱硬化性カバーレイ組成物の製造に用いる二容器型製剤であって、該二容器型製剤は:熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを含むか、又は(i)末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドと(ii)熱解離性イソシアネート保護剤の反応生成物を含む第一の成分;並びにさらなる熱硬化化合物及び/又は硬化剤を含む第二の成分を含む、前記二容器型製剤を提供する。有利には、本発明の第五の態様の二容器型製剤における第一の成分の保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、本明細書において本発明の他の態様のいずれかのために定義された通りである。
【0018】
第六の態様では、本発明は、(a)熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミド、又は(i)末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドと(ii)イソシアネート保護剤の反応生成物のいずれかを提供する工程;及び(b)工程(a)で提供された化合物に、充填剤、硬化剤、安定化剤、レベリング助剤及びさらなる熱硬化性化合物の1つ以上を混合する工程を含む、フレキシブルプリント回路基板のための25℃で液体の熱硬化性カバーレイ組成物の製造方法を提供する。有利には、本発明の第六の態様で使用される熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、本明細書において本発明の他の態様のいずれかのために定義された通りである。
【0019】
第七の態様では、本発明は、(i)末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドと(ii)イソシアネート保護剤を反応させる工程、並びにそのようにして得られた生成物に、充填剤、硬化剤、安定化剤、レベリング助剤及びさらなる熱硬化性化合物の1つ以上を混合して、カバーレイ組成物を形成する工程を含む、フレキシブルプリント回路基板のための25℃で液体の熱硬化性カバーレイ組成物の製造方法を提供する。
【0020】
第八の態様では、本発明は、ポリアミドイミドを含む、フレキシブルプリント回路基板のための熱硬化性カバーレイ組成物であって、該組成物は25℃で液体であり、かつ該組成物は、15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃で35Pa・s未満の粘度を有する前記組成物を提供する。本発明の第八の態様は、ポリアミドイミドを含むフレキシブルプリント回路基板のための熱硬化性カバーレイ組成物であって、該組成物は25℃で液体であり、そして15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃での粘度増加が3.5倍以下である前記組成物を追加的に又は代わりに提供する。本発明の第八の態様の液体カバーレイ組成物は、例えば、本発明の第一及び第二の態様による組成物でよい。
【0021】
第九の態様では、本発明は、フレキシブル又はリジッド−フレキシブル(硬軟性)プリント回路基板、ディスプレイ、光起電装置又は膜スイッチなどのフレキシブル電子部品の製造において完全に又は部分的に結像されたカバーレイを形成するための液体ポリアミドイミドの使用を提供する。一態様では、液体ポリアミドイミドは、本発明の第一及び第二の態様の組成物のいずれかに使用されるような熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の組成物において、末端イソシアネート基(単数又は複数)が熱解離性イソシアネート保護基により保護されているポリアミドイミド樹脂(例えば、アミド変性されたポリアミドイミド樹脂(熱解離性イソシアネート保護基はアミドである。)など)の使用は、向上した保管寿命などを与えることが分かった。具体的には、ポリアミドイミド系配合物に特に観察される粘度増加は、本発明のポリアミドイミド樹脂を用いるときには見られない。ポリアミドイミド樹脂配合物による粘度増加は、その樹脂における残留イソシアネート基と酸基の間の幾つかの潜在的な後反応のためである。イソシアネート保護基との反応によるイソシアネート基の保護により、その粘度増加は、時間が経てば減少させられる。熱硬化性組成物が基板上で乾燥すると直ぐに、イソシアネート保護基は、その樹脂に存在する酸基により硬化することができるイソシアネート基を開放しながら解離する。
【0023】
したがって、本発明の液体組成物はカバーレイの形成に有用である。本発明の液体カバーレイ組成物は、ドライフィルムの標準的な性質を保持しながら今のところ使用されている更に典型的なプリペグ(prepeg)ドライフィルム(例えば、デュポン社のPyralux)ポリイミドシートに代わることができると分かった。有利には、本発明は、良好な品質保持期限に関連する優秀な耐はんだ性、クロスハッチ(X−hatch)接着性、鉛筆硬度、耐溶媒性及び柔軟性を有するカバーレイを与える。液体ポリアミドイミドカバーレイは、例えば、様々な電子用途、例えば、プリント回路基板(PCB)、太陽電池、ディスプレイ及び膜スイッチに使用されることができる。これらの用途に使用されている従来のポリイミドは、ドライフィルムカバーレイとして適用されているが、これらの装置をどのようにして製造するか限界というものがある。液体ポリアミドイミドカバーレイの使用は、インク及びコーティングを堆積させるための一般に使用される幅広い塗布法により、その材料を装置に直接に塗布させることができる。
【0024】
本発明の液体カバーレイの適用法は、固体ドライフィルム又はホイルカバーレイの確立された適用法に関連する前述の技術的課題を解消するか、又は緩和することが分かった。液体カバーレイの使用によって、ドライフィルム及びホイルに比べて、かなり広範囲の直接塗布の可能性が提案される。本発明の液体カバーレイは、1回の作業サイクルのみに必要な液体カバーレイの塗布を可能にするので、加工費を大幅に減少させる。また、全積層のために1回の圧縮サイクルのみを必要とするので、エネルギー、労働力及び時間を節約することにより、加工費が大幅に減少する。
【0025】
また、有利には、熱硬化性カバーレイは、優秀な保存安定性を有し、粘度の上昇は僅かしか見られない。この目的を達成するために、本発明では、アミド変性されたポリアミドイミドにより得られることができる保存安定性の改良が詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】TAインスツルメンツ(TA Instruments)AR2000ex応力コントロールレオメーターにより作成された、4cm2°コーン、22段階に亘る25℃での0.1sー1〜100sー1のせん断速度における、スクリーン印刷されたソルダーマスクの流動特性図を示す図である
【図2】表1においてクロスハッチ耐性試験結果の分類を示す図である。
【図3】カバーレイホイル及び接着剤を有する6層リジッド/フレキシブルパネルを示す図である。
【図4】液体スクリーン印刷されたカバーレイを用いる6層リジッド/フレキシブルパネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、フレキシブル又はリジッド−フレキシブルプリント回路基板に使用するためのカバーレイ組成物に関する。本明細書で使用されるときの用語「カバーレイ」とは、電気的クロスオーバ及び機械的ハンドリングからプリント回路基板を保護するための、FPC又は他の電子部品の上面におけるプリント回路基板上の保護コーティング(例えば、ソルダーマスクとして機能してよい)をいう。用語「フレキシブルプリント回路基板に使用するための」は、従来通りに、「フレキシブルプリント回路基板に使用するために適切である」として解釈される。そして当業者であれば、そのカバーレイが、特に、リジッド−フレキシブルプリント回路基板、ディスプレイ、光起電装置又は膜スイッチなどの他のフレキシブル電子部品を含む他の電子部品に用いるのに適することを理解するであろう。一実施形態では、その組成物は、フレキシブルプリント回路基板上のカバーレイとして使用するために特に適する。
【0028】
フレキシブルプリント回路基板(FPC)は、良好な柔軟性を有する金属箔及び樹脂層を含むメタルクラッド積層体である。リジッド−フレキシブルプリント回路基板としては、積層されて単一製品になるフレキシブル基板及びリジッド基板の組み合わせが挙げられる。典型的には、リジッド−フレキシブルプリント回路基板としては、硬質領域間に相互接続している複数の軟質部分が挙げられ、それらは、回路基板を三次元形態へ曲げさせるか、又は折り畳ませて、例えば、コネクタ、ワイヤー及びリボン・ケーブルと相互接続した多層PCBを、限定空間において向上した性能を提供している単一物品に置き換える。
【0029】
本明細書で使用されるときには、用語「ポリアミドイミド」とは、繰り返しアミドイミド単位を含むポリマーをいう。典型的には、ポリアミドイミドは、ジアミン又はジイソシアネートにカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物を反応させることにより形成される。ポリアミドイミドを形成する代替的な方法としては、欧州特許出願公開第2070961号明細書に記述されている通り、ジイミドジカルボン酸にジイソシアネート又はジアミンを反応させる工程が挙げられる。用語「ポリアミドイミド」及び「液体ポリアミドイミド」は、未変性、変性(例えば、カプロアミド変性されたポリアミドイミドなど)及び感光性ポリアミドイミドを含む全ての液体ポリアミドイミドを含むように、一般用語として使用されるものとする。
【0030】
ある実施形態では、本組成物は、末端イソシアネート基がイソシアネート保護基を用いて保護されている変性ポリアミドイミド樹脂を含む。そのようなイソシアネート保護基は、当技術分野で知られており、例えば、「Adhesives and sealants: basic concepts and high tech bonding, Handbook of Adhesives and Sealants, Volume 1, Philippe Cognard,Elesvier, 2005,1st Edition, ISBN 0-08-044554-3(特に、第107〜108頁のセクション3.3.2.1)」に記述されている。本技術分野でイソシアネートと解される「保護されたイソシアネート」は、保護剤(それは、室温では別の分子中の官能基(例えば、酸官能基など)との反応を防ぐが、高温では解離するか、又は保護せずに、イソシアネート基を開放して、さらなる(例えば酸官能基との)反応を可能にする。)と反応させられている。イソシアネート保護基が熱解離するときには、イソシアネート保護剤は、典型的には再生する。有利には、イソシアネート保護剤は、揮発性であり、本組成物から蒸発する。様々な熱解離性イソシアネート保護剤が市販されている。例えば、マロン酸ジエチル、3,5−ジメチルピラゾール、メチルエチルケトオキシム及びε−カプロラクタムが、英国、ランカシャー、アクリントンのバクセンデン・ケミカルズ社(Baxenden Chemicals Limited)から入手できる。保護されたイソシアネートを説明するために本技術分野で使用される代替的な用語は、「キャッピングされたイソシアネート」である。用語「熱解離性イソシアネート保護剤」とは、イソシアネート基と反応して、熱解離性イソシアネート保護基で保護されたイソシアネート基を形成する化合物をいう。したがって、「熱解離性イソシアネート保護剤」は、末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドから熱解離できるイソシアネート保護剤である。典型的には、イソシアネート保護剤は、不安定なプロトンを有する基を含む。有利には、不安定なプロトンを有する前記基は、イソシアネート基による求核付加反応を受けることができる求核性基である。典型的には、前記イソシアネート保護剤は、イソシアネート基の窒素原子がプロトン化されて、保護剤がイソシアネートに付加して、保護剤の求核性部位とイソシアネートの炭素原子の間に新たな結合を形成するという反応に関与する。典型的なイソシアネート保護剤としては:フェノール及びポリオールなどのアルコール;アミン;ラクタムなどのアミド;マロン酸エステルなどの、不安定なメチレンプロトンを有する活性メチレン化合物;ピラゾールなどの窒素含有ヘテロアリール化合物;オキシム;ジアルキルケトオキシムなどのケトオキシム;及びヒドロキサム酸エステルが挙げられる。用語「カプロアミド変性されたポリアミドイミド」とは、カプロアミドイソシアネート保護剤と末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドとの反応生成物、すなわち、熱解離性カプロアミドイソシアネート保護基を有するポリアミドイミドをいう。
【0031】
本明細書で使用されるときには、用語「カルボン酸官能基含有カルボン酸無水物」とは、カルボン酸官能基(又はそれと機能的に同等のもの、例えば、酸塩化物基など)及び酸無水物官能基の両方を有する化合物をいう。適切なカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物の例としては、トリメリット酸無水物及びシクロヘキサントリカルボン酸無水物が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用されるときには、用語「アリール」とは、少なくとも環が芳香族である縮合環系を含むC6−I2単環、二環式又は三環式炭化水素環をいう。
【0033】
典型的には、ポリアミドイミドを調製するために使用されるジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物の比は、反応生成物の大部分が未反応イソシアネート基及び未反応カルボン酸基を含み、特に未反応イソシアネート基及び未反応カルボン酸基を末端とするように選択される。当然ながら、イソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物の比率を調整することにより、大部分が2つの未反応イソシアネート基を含むポリアミドイミド(例えば、両端が未反応イソシアネート基で終わるポリアミドイミド)を調製することが可能である。末端イソシアネート基がイソシアネート保護基により保護されているイソシアネート末端ポリアミドイミドは、本技術分野では、「キャッピングされたポリアミドイミド」又は「キャッピングされたポリアミドイミド樹脂」と呼ばれる場合がある。
【0034】
本発明の全態様の一実施形態では、ポリアミドイミドは、熱可塑性非晶質ポリマー(その分子構造は少なくとも部分的に芳香族である。)である。ポリアミドイミドは、その名称が示す通り、ポリアミド及びポリイミドの両方に由来する性質(例えば、高強度、溶融処理能力、顕著に高い熱容量、及び幅広い耐薬品性など)の肯定的な相乗効果を保持する。
【0035】
本発明の第一及び第二の態様の組成物の一実施形態では、熱解離性イソシアネート保護基により保護されている末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、式(I):
[BL]−C(O)−([A]−[B])−OH
(I)
{式中、([A]−[B])は、nが少なくとも4(例えば、少なくとも10)であるポリアミドイミド単位であり;そして[BL]は、熱解離できる保護基である。}
を有する。一実施形態では、[BL]は、−N(R)−C(O)R{式中、RはH及びC〜Cアルキルから選択され、そしてRはC〜Cアルキルであるか;又はR、R及びそれらが結合するアミド基は、所望により1つ以上のC〜Cアルキル基で置換されている5〜8員ラクタム環を共に形成する。}である。さらに別の実施形態では、[BL]は、−N(R)−C(O)R{式中、R及びRは、それぞれ独立して、C〜Cアルキルから選択されるか;又はR、R及びそれらが結合するアミド基は、所望により1つ以上のC〜Cアルキル基で置換されている5〜8員ラクタム環を共に形成する。}である。さらなる実施形態では、R、R並びにそれらが結合する窒素原子及びカルボニル基は、所望により1つ以上のメチル基で置換されている5〜8員ラクタム環を共に形成する。
【0036】
一実施形態では、[BL]は、熱解離性イソシアネート保護剤から誘導された基である。さらなる実施形態では、[BL]は、式[BL]−Hの化合物から誘導された基である。さらなる実施形態では、本発明の第二の態様のイソシアネート保護剤及び/又は式[BL]−Hの化合物は、不安定なプロトンを含むイソシアネート保護剤である。さらなる実施形態では、熱解離性イソシアネート保護剤は脂肪族アミドである。脂肪族アミドは、例えば、直鎖、分岐鎖又は環状脂肪族アミドでよい。一実施形態では、アミドは、所望により、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ及びヒドロキシルから選択される1つ以上の基で置換されている。別の実施形態では、アミドは非置換である。本発明の一態様では、アミドはラクタムである。適切なラクタムとしては、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、並びにε−カプロラクタム及びδ−カプロラクタムを含むカプロラクタムが挙げられる。好ましくは、アミドは、カプロラクタムなどのカプロアミド(鎖状又は環状の6個の炭素原子を含むCアミド)である。一実施形態では、アミンはε−カプロラクタムである。一実施形態では、脂肪族アミドは、所望により1つ以上のC〜Cアルキル基で置換されている5〜8員ラクタム、例えば、非置換ε−カプロラクタムである。
【0037】
典型的には、ポリアミドイミドは、ジイソシアネート由来の交互単位[A]及びカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物由来の交互単位[B]を含む。典型的には、組成物は、異なる鎖長の複数のポリアミドイミド部分の混合物を含むであろう。有利には、ポリアミドイミド分子の少なくとも50モル%は、少なくとも4つの繰り返しアミドイミド単位(すなわち、nは少なくとも4である。)を有する。一実施形態では、ポリアミドイミド分子の少なくとも50モル%は、一方の末端がイソシアネートで終わる。すなわち、ポリアミドイミド分子の少なくとも50モル%は:O=C=([A]−[B])−OHと解することができる構造を有する。代替的な実施形態では、本組成物は、別の分子、ポリアミドイミド、又はイソシアネート基と反応できる少なくとも1つ(好ましくは、少なくとも2つ)の官能基(例えば、カルボン酸官能基など)を含む異なる化学種と共に、比較的高い割合で、両端がイソシアネート基で終わるポリアミドイミド分子、例えば、少なくとも50モル%のイソシアネート基含有ポリアミドイミド分子を含む。一実施形態では、本組成物は、ポリアミドイミドのいずれかの末端に熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドと、熱硬化反応においてイソシアネート基と反応できる2つ以上の官能基(ジカルボン酸など)を含むさらなる反応成分(例えば、いずれかの末端に末端カルボン酸基を有するポリアミドイミド)との混合物を含む。
【0038】
本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、イソシアネート保護基は、少なくとも50℃の温度、例えば少なくとも80℃の温度、少なくとも100℃などで、熱的に解離できる。さらなる実施形態では、イソシアネート保護基は、少なくとも120℃の温度、例えば少なくとも140℃の温度、少なくとも150℃などで、熱的に解離できる。一実施形態では、イソシアネート保護基は、250℃より低い温度、例えば200℃より低い温度で、熱的に解離できる。一実施形態では、イソシアネート保護基は、50℃〜250℃の温度、例えば100℃〜250℃の温度で、140℃〜200℃の温度などで、熱的に解離できる。本発明の第三の態様の一実施形態では、本組成物は、硬化工程中又は前に、イソシアネート保護基が熱的に解離する温度(例えば、本発明の第一及び第二の態様の実施形態に関して上記で特定された範囲の温度)へ加熱される。一実施形態では、本組成物は、本発明の第三の態様の硬化工程中又は前に、少なくとも120℃(例えば、少なくとも140℃)の温度へ加熱される。50℃を超える温度、特に少なくとも120℃以上、例えば、少なくとも140℃などの温度で解離できるイソシアネート保護基は、特に貯蔵時の粘度増加に耐性を示すキャッピングされたポリアミドイミドを有利に提供することが分かった。一実施形態では、イソシアネート保護基は、250℃より低い温度、例えば220℃より低い温度、特に200℃より低い温度で解離できる。イソシアネート保護剤を用いて形成されたイソシアネート保護基が熱的に解離する温度範囲は、「非保護範囲(unblocking range)」として当技術分野で知られている。一実施形態では、保護剤の非保護範囲は、芳香族イソシアネートとともに使用されたときには、上記範囲内である。使用されるイソシアネート部分に応じて、イソシアネート保護基の非保護範囲の僅かな変化が予想されるであろう。例えば、保護基が解離するまで保護されたポリアミドイミドを加熱することにより、上記温度範囲内で保護しない保護剤を選択するか、及び/又は選択された保護剤が、特定のポリアミドイミドのための温度範囲内では保護しないことを確認することは、当業者の能力の範囲内である。一般に、市販されているイソシアネート保護剤の非保護範囲は、製品仕様書に示されている。例えば、バクセンデン・ケミカルズ社により供給されたイソシアネート保護剤に関する製品仕様書には、脂肪族イソシアネートとともに使用されるとき、非保護範囲として、マロン酸ジエチルについて100〜120℃、3,5−ジメチルピラゾールについて110〜120℃、メチルエチルケトオキシムについて140〜160℃、及びε−カプロラクタムについて160〜180℃が引用されている。
【0039】
本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、ジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物の反応生成物である。有利には、ポリアミドイミドは、一方の末端がイソシアネート基で終わり、そして他方の末端がカルボン酸基で終わる。ポリアミドイミドは、少なくとも4個の繰り返しアミドイミド単位、例えば少なくとも10個の繰り返しアミドイミド単位を有する。一実施形態では、ポリアミドイミドは、100個以下の繰り返しアミドイミド単位、例えば60個以下の繰り返しアミドイミド単位を有する。
【0040】
一実施形態では、末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、ジイソシアネートとカルボン酸の反応生成物であって、ジイソシアネートは、少なくとも420mgKOH/g、例えば445mgKOH/gを超えるイソシアネート価を有する反応生成物である。少なくとも420mgKOH/g(特に445mgKOH/gを超える)のイソシアネート価を有するイソシアネートが使用されるとき、使用時のクラッキングについて合格水準を示す最終ポリマーが形成されることが分かった。一実施形態では、ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート又は部分的に芳香族のジイソシアネートである。さらなる実施形態では、ジイソシアネートは式(II):
OCN−[X]−NCO
(II)
(式中、[X]は芳香族結合基である。}
の化合物である。芳香族結合基は、所望により、C1−6アルキル、ハロゲン化C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン化C1−6アルコキシ、ハロ及びヒドロキシルから選択される1つ以上の基で置換されている。別の実施形態では、芳香族結合基は非置換である。本発明の一態様では、[X]は、少なくとも1つのアリール環、例えば、2つのアリール環を含む。一実施形態では、[X]は、二価のアリール基である。一実施形態では、[X]は少なくとも1つのフェニル環を含む。一実施形態では、[X]はジフェニルメタンである。一実施形態では、−[X]−は、−Ar−Z−Ar−{式中、Ar及びArは、それぞれ独立して、所望によりハロ、C〜Cアルキル、ハロC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロC〜Cアルコキシ、OH、オキソ又はカルボキシC〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で置換されているアリールから選択され;そしてZは、炭素−炭素結合、C〜C分岐鎖若しくは直鎖アルキル又は−C(O)−から選択される。}である。適切なジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート及び3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートが挙げられる。1つ以上の異なるジイソシアネートの混合物は、本発明の組成物に用いるイミドを調製するために使用されることができる。
【0041】
一実施形態では、カルボン酸官能基含有カルボン酸無水物は、芳香族、例えば、トリメリット酸無水物(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸環状1,2無水物)である。代替的な実施形態では、カルボン酸官能基含有カルボン酸無水物は、脂肪族カルボン酸無水物、例えばシクロヘキサントリカルボン酸無水物である。一実施形態では、カルボン酸官能基含有カルボン酸無水物は、所望によりC1−6アルキル、ハロゲン化C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン化C1−6アルコキシ、ハロ及びヒドロキシルから選択される1つ以上の基で置換されているアリール環を含む。一実施形態では、アリール環はフェニル環である。一実施形態では、カルボン酸官能基含有カルボン酸無水物は、式(III):
【化1】

{式中、[Y]は芳香族又は脂肪族基である。}の化合物である。さらなる実施形態では、[Y]は芳香族基である。さらなる実施形態では、[Y]は、所望によりC1−6アルキル、ハロゲン化C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン化C1−6アルコキシ、ハロ及びヒドロキシルから選択される1つ以上の基で置換されているアリール環を含む。一実施形態では、[Y]はフェニルである。一実施形態では、カルボン酸は、イソシアネートとの反応前に活性化されることができる。例えば、カルボキシ基を酸塩化物基へ変えてよい。1つ以上の異なるカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物の混合物は、本発明のイミドを調製するために使用されることができる。
【0042】
本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、式(Ia):
【化2】

{式中、nは、少なくとも2であり;R及びRは、それぞれ独立して、C〜Cアルキルから選択されるか;又はR、R及びそれらが結合するアミド基は、所望により1つ以上のC〜Cアルキル基で置換されている5〜8員ラクタム環を共に形成し;[X]は、上記式(II)の化合物について上記で定義されたような芳香族結合基であり;そして[Y]は、上記式(III)の化合物について定義されたような芳香族又は脂肪族基である。}の化合物である。
【0043】
さらなる実施形態では、R及びRは、それらが結合する窒素原子及びカルボニル基とともに、式(IV):
【化3】

{式中、mは3〜6であり;そして各Rは、独立して、H及びC〜Cアルキルから選択される。}
のラクタム環を形成する。一実施形態では、1つを除く全てのRはHであり、そして残りのRは、C〜Cアルキル、例えばメチル、エチル又はn−プロピル、特にメチルである。別の実施形態では、各RはHである。一実施形態では、mは、3〜5、例えば3又は4、特に3である。
【0044】
本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、カバーレイ組成物は、スクリーン印刷、ロールコーティング、浸漬塗装、カーテンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、インクジェット、グラビアコーティング、オフセットコーティング、フレキソコーティング、分配、パッド印刷、ブラッシング、流し塗り(flood coating)又はエアロゾル堆積による塗装のために適する。さらなる実施形態では、組成物は、スクリーン印刷、オフセット印刷又はフレキソ印刷、特にスクリーン印刷などの印刷技術における塗布のために適する。
【0045】
本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、カバーレイは、有機又は無機充填剤を含む。適切な無機充填剤としては、タルク、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナ、粘土、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸アルミニウム及びケイ酸塩化合物が挙げられる。適切な有機充填剤としては、シリコーン樹脂、シリコーンゴム及びフッ素樹脂が挙げられる。充填剤(特に無機充填剤)の含有は、熱硬化性カバーレイ組成物の流動性だけでなく、改良された凝集力及び硬度にも有利である。本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、カバーレイはレベリング助剤を含む。レベリング助剤は、印刷及び塗装中に形成されたフィルム表面のむらを無くすために使用される物質である。適切なレベリング剤としては、商標名「フォームブラスト(FoamBlast)」としてサミュエル・バナー(Samuel Banner)社から供給されるものなどのアクリル系及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。さらに、レベリング助剤は、印刷、塗装及び硬化中に形成された泡を無くす消泡剤として機能してよい。本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、カバーレイは硬化剤を含む。硬化剤は、未保護イソシアネート末端ポリアミドイミド及び既存の任意のエポキシ化合物などの、カバーレイ組成物中の熱硬化成分の硬化を促進する。典型的には、硬化剤は、硬化反応を促進するルイス塩基触媒として機能する。適切な硬化剤としては、ジシアンジアミドなどのジアミド、及びアジンイミダゾールなどのイミダゾール誘導体(保護されたイミダゾールとしても知られる)が挙げられる。有利には、硬化を促進する反応種を形成するために、硬化剤は、熱への曝露により活性化される。例えば、熱解離性イソシアネート保護基が解離する温度範囲で、又は次の硬化工程においてより高い温度で、硬化剤は活性化されることができる。本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、カバーレイは安定化剤を含む。適切な安定化剤としては、抗酸化剤及び重合禁止剤が挙げられる。
【0046】
本発明の第三の態様の一実施形態では、(a)本発明の第一又は第二の態様の熱硬化性カバーレイ組成物のコーティングを、フレキシブル又はリジッド−フレキシブルプリント回路基板、ディスプレイ、光起電装置又は膜スイッチへ適用する工程、及び(b)該組成物を硬化させる工程を含む、フレキシブル又はリジッド−フレキシブルプリント回路基板、ディスプレイ、光起電装置又は膜スイッチをコーティングする方法を提供する。典型的には、工程(b)は、該組成物を少なくとも100℃(例えば、少なくとも140℃)の温度へ加熱して、例えば、該保護剤を解離させる工程を含む。例えば、該組成物を硬化させるために、工程(b)は、該組成物が第一の加熱工程より高い温度に加熱される第二の加熱工程を含んでよい。第二の加熱工程は、例えば、該組成物を少なくとも160℃、例えば、少なくとも200℃の温度へ加熱する工程を伴ってよい。さらなる実施形態では、本発明は、本発明の第一又は第二の態様の熱硬化性カバーレイ組成物のコーティングをフレキシブルプリント回路基板へ適用する工程(a)、及び該組成物を硬化させる工程(b)を含む、フレキシブルプリント回路基板をコーティングする方法を提供する。
【0047】
第四の態様の一実施形態では、本発明は、ポリアミドイミドを含む硬化カバーレイコーティングを含む電子部品であって、カバーレイはプリント回路基板などのメタルクラッド積層基板と直接接触している、前記電子部品を提供する。本発明の液体ポリアミドイミド樹脂組成物は、プリント回路基板又は他の電子部品基板へ直接に適用されることができるので、硬化されると直ぐに、カバーレイ層は、基板と結合して、基板を直接に覆う(つまり、介在層はない)ことが分かった。有利には、カバーレイを基板に取り付けるために、硬化カバーレイコーティングは、接着剤などを必要とすることなく、基板(例えばフレキシブルプリント回路基板)へ結合させられる。一実施形態では、電子部品は、フレキシブル又はリジッド−フレキシブルプリント回路基板、ディスプレイ、光起電装置又は膜スイッチである。さらなる実施形態では、本発明は、ポリアミドイミドを含む硬化コーティングを含むフレキシブルプリント回路基板を提供する。有利には、ポリアミドイミドを含む硬化コーティングは、ポリアミドイミドを含む液体カバーレイ組成物を熱に供して、該組成物を熱的に硬化させた生成物である。液体カバーレイ組成物は、例えば、本発明の第一、第二又は第八の態様による組成物でよい。
【0048】
本発明の第一及び第二の態様の一実施形態では、本組成物は、カバーレイ組成物の全成分が単一容器内に提供されている一容器型製剤として提供される。単一容器型製剤は、提供されるときにそのまま使用されるという利点を有する。
【0049】
本発明の第五の態様の一実施形態では、第一の成分は第一の容器に提供され、そして第二の成分は第二の容器に提供される。改良された熱的及び機械的性質は、二容器型製剤を用いて得られることができると分かった。本発明の第五の態様の一実施形態では、第二の成分は、加熱時に硬化を促進する硬化剤、及びさらなる熱硬化化合物を含む。
【0050】
所望により、本発明の第一、第二又は第八の態様のカバーレイ組成物はエポキシ樹脂を含む。本発明の第五又は第六の態様の一実施形態では、さらなる熱硬化化合物はエポキシ樹脂である。有利には、エポキシ樹脂は、2個以上のエポキシ基を有する多官能価エポキシ化合物である。多官能価エポキシ化合物の例としては、エピクロロヒドリンに多価フェノール(ビスフェノールA、ノボラック型フェノール樹脂、オルト−クレゾールノボラック型フェノール樹脂など)若しくは多価アルコール(1,4−ブタンジオールなど)を反応させることにより得られるポリグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル;又は、多塩基酸(フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸など)に、エピクロロヒドリン、アミン、アミド若しくは塩基性複素環式窒素原子を有する化合物のN−グリシジル誘導体、又は多官能価の脂環式エポキシ樹脂を反応させることにより得られるポリグリシジルエステルが挙げられる。好ましいエポキシ樹脂としては、ビスフェノールエポキシ樹脂及びノボラックエポキシ樹脂が挙げられる。一実施形態では、本組成物は、1つ以上のエポキシ樹脂の組み合わせを含む。典型的には、エポキシ樹脂含有量は、全組成物の0〜40質量%、例えば全組成物の1〜30質量%、特に全組成物の2〜20質量%の範囲にある。一実施形態では、本組成物のエポキシ樹脂含有量は、全組成物の少なくとも3質量%、例えば、少なくとも5質量%である。
【0051】
所望により、本発明の第一、第二又は第八の態様の組成物、又は本発明の第五の態様の二容器型製剤は、レベリング助剤、安定化剤及び充填剤の1つ以上、例えばレベリング助剤及び/又は充填剤を含む。さらなる実施形態では、これらの組成物又は二容器型製剤、例えば二容器型製剤の第一の成分は、所望により非プロトン性溶媒を含む。
【0052】
一実施形態では、液体カバーレイ組成物は、粘度、例えば、25℃で35Pa・s未満、例えば25℃で30Pa・s未満、特に25℃で25Pa・s未満の初期粘度を有する。幾つかの実施形態では、液体カバーレイ組成物は、例えば、25℃で20Pa・s未満の初期粘度を有してよい。さらなる実施形態では、組成物は、15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃で35Pa・s未満の粘度、例えば、15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃で30Pa・s未満の粘度、15℃で3ヶ月間の保存後に、特に25℃で25Pa・s未満の粘度を有する。さらなる実施形態では、組成物は、15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃での粘度増加が3.5倍以下であり、例えば、15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃での粘度増加が3倍以下であり、特に、15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃での粘度増加が2.5倍以下である。幾つかの実施形態では、液体カバーレイ組成物は、15℃で3ヶ月間の保存後に、例えば、25℃での粘度増加が2.0倍以下でよい。有利には、液体組成物は、少なくとも20質量%、例えば少なくとも25質量%、特に少なくとも30質量%の固形分を有する。
【0053】
本発明の第六の態様の一実施形態では、本方法は、熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドに、充填剤、硬化剤、安定化剤又はレベリング助剤の1つ以上を合わせる工程をさらに含む。さらなる実施形態では、本方法は、所望により、熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドに非プロトン性溶媒を合わせる工程をさらに含む。さらなる実施形態では、本方法は、カバーレイ組成物が25℃で35Pa・s未満、例えば25℃で30Pa・s未満、特に25℃で25Pa・s未満の粘度を有するように、その粘度を調整する工程を含む。
【0054】
一実施形態では、本発明の第七の態様の方法は、ジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物を反応させることにより、末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを調製する工程をさらに含む。有利には、ジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物は、約10:8〜10:12(例えば約10:9〜10:11、例えば約1:1の比)のジイソシアネート:カルボン酸官能基含有カルボン酸無水物のモル比で反応させられる。一実施形態では、ジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物は、イソシアネート保護剤の存在下で反応させられる。有利には、ジイソシアネート:イソシアネート保護剤のモル比は、約10:0.1〜10:10、例えば約10:1〜10:8、約10:1〜10:5などである。一実施形態では、ジイソシアネート:イソシアネート保護剤のモル比は、約10:1〜10:3である。代替的な実施形態では、ジイソシアネート:イソシアネート保護剤のモル比は、約10:2〜10:6である。反応混合物に存在する保護剤の濃度は、ポリアミドイミドポリマーの分子量及び/又は極性を制御するために利用されることができる。比較的高い割合の保護剤(例えば、少なくとも10:1、例えば、少なくとも10:2のジイソシアネート:保護剤の比)によって、極性溶媒中でより大きな極性及びそれによる溶解度を有する比較的短鎖のポリアミドイミドポリマーになる。一実施形態では、末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、少なくとも5,000、例えば少なくとも10,000、特に少なくとも20,000の数平均分子量を有する。さらなる実施形態では、末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、60,000以下、例えば50,000以下の数平均分子量を有する。
【0055】
本発明の第九の態様の一実施形態では、フレキシブル又はリジッド−フレキシブルプリント回路基板の製造において、完全に又は部分的に結像されたカバーレイを形成するための液体ポリアミドイミド(未変性、変性又は感光性ポリアミドイミドを含む。)の使用が提供される。別の実施形態では、ディスプレイの製造において、完全に又は部分的に結像されたカバーレイを形成するための液体ポリアミドイミド(未変性、変性又は感光性ポリアミドイミドを含む。)の使用が提供される。別の実施形態では、光起電装置の製造において、完全に又は部分的に結像されたカバーレイを形成するための液体ポリアミドイミド(未変性、変性又は感光性ポリアミドイミドを含む。)の使用が提供される。別の実施形態では、膜スイッチの製造において、完全に又は部分的に結像されたカバーレイを形成するための液体ポリアミドイミド(未変性、変性又は感光性ポリアミドイミドを含む。)の使用が提供される。
【0056】
ポリアミドイミドは、(1)低分子量ならば、それらを溶液中で溶融物として加工することができ;表面へ適用(例えば、コーティング又は印刷)された後、それらを乾燥させて硬化させる(すなわち、さらに高分子量の固体フィルムへ重合させる);(2)高分子量ならば、それらを溶液中で加工して;次の適用において、それらを単純に乾燥させる等の様々な方法で、液体として加工されることができる。用語「液体ポリアミドイミド」は、ポリアミドイミド溶融物及びポリアミドイミド溶液の両方を包含する。一実施形態では、液体ポリアミドイミドはポリアミドイミド溶融物である。
【0057】
液体カバーレイを堆積させるための方法としては、実際には、接触及び非接触印刷の全ての形態が挙げられ、それらの例としては、限定されるものではないが、スクリーン印刷;ロータリースクリーン印刷;ロールコーティング;浸漬塗装;カーテンコーティング;流し塗り;スプレーコーティング(静電気及び空気);スピンコーティング;インクジェット;グラビア;オフセット;フレキソ;分配;パッド印刷;ブラッシング(最終フィルムの損傷領域を補修塗装する工程を含む);インクジェット;エアロゾル堆積;及び液体インク又はコーティングを堆積させる任意の他の手段が挙げられる。液体ポリアミドイミドカバーレイを適用するために、上述の従来のコーティング方法を用いることにより、ドライフィルムを適用する従来のプロセスに比べて、多くの利点を見つけることができる。ドライフィルムは、材料消費及び適用中に必要なマン・アワーのために関連コストが高い。液体ポリアミドイミドは、(コーティングは必要な場所のみに適用されるから)材料浪費を減らして、大きな労働力を有するプロセスであるドライフィルムカバーレイの手動切削/配置工程の必要性を無くすことにより、これらのコストを減らす。ドライフィルムポリイミドカバーレイが手動配置工程を必要とするため、達成されることができる最小精度は、典型的には、おおよそ>0.8mmである。該精度がドライフィルムカバーレイにより制限されるというよりも、選択された適用法により制御される前述の印刷技術とともに、液体ポリアミドイミドを用いることにより、かなり大きな解像度が達成されることができる。ドライフィルムポリイミドカバーレイは、標準的な厚さ、通常は25又は50μmで供給される。液体ポリアミドイミドがそのまま塗布されるときには、塗布厚は、所望の厚さの加工フィルムを与えるように制御されることができる。液体ポリアミドイミドは、結合するための接着剤層を必要としないので、液体ポリアミドイミドにより提案される他の利点としては、掘削/外形加工後の任意のデスミアプロセスを無くすことが挙げられる。掘削又は外形加工部分は、平滑なエッジを有し、そして粉塵発生などの他のドライフィルムの問題に苦しまない。
【0058】
液体カバーレイの塗装は、(a)穴が掘削されており、そしてカバーレイがないのでスミアが形成されることがない選択領域、並びに(b)スミアを形成することなく、パネルの硬質部分においてカバーレイを通して穴が掘削されるか、或いは除去される必要がない全塗装領域の両方に有利である。塗装後、液体カバーレイは、好ましくは、接着力の損失(高温で、例えば、288℃で30秒間に亘って、熱衝撃試験を行なうことにより、確認されることがある)などの悪影響なしに電気めっきに供されることができるであろう。したがって、デスミアに関連する困難性を無くすことができる。
【0059】
多くの電子用途においてプロセスの優位性を提案することに加えて、液体ポリアミドイミドは、従来のドライフィルムポリイミドと比べて改良された物理的性質(例えば、低水吸収率(<0.1%)など)も有する。これは、低水吸収率が重要な特性である更に幅広い電子用途(例えば、膜スイッチ及びディスプレイ、並びに光起電性モジュール)、高耐候性誘電体コーティングを従来の材料(ポリビニルフルオライド(PVF)バックシートなど)に適用できる用途に、液体ポリアミドイミドを使用することを可能にする。
【0060】
液体ポリアミドイミドを適用するための既存の製造プロセス装置の利用は、プロセスパラメータが既存の容量に十分に収まった状態で、これらの材料を加工するための大幅な資本投資の必要を無くす。液体ポリアミドイミドは、目的とする用途に合わせて、必要な粘度及びレオロジーのインクを製造するために容易に適合できる。
【0061】
本発明の第九の態様の一実施形態では、任意の種類のスクリーン印刷技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、ロールコーティング技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、浸漬塗装技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、カーテンコーティング技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、スプレーコーティング技術(静電気及び空気)を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、スピンコーティング技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、インクジェット技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、グラビアコーティング技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、オフセットコーティング技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、フレキソコーティング技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、分配技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、パッド印刷技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、ブラッシング(最終フィルムの損傷領域を補修する工程を含む。)を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、流し塗り技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。別の実施形態では、エアロゾル堆積技術を用いる液体ポリアミドイミド(変性ポリアミドイミドを含む。)の適用が提供される。
【0062】
下記によって、乾燥ホイルの使用に比べて、本発明の液体カバーレイの使用が、コストの掛かる作業及び圧縮サイクルをどのように無くすことができるのかを示す。
【0063】
リジッド/フレキシブル回路板を与えるために、リジッドパネルとフレキシブルパネルを組み合わせる場合には、外側に銅トラック及びパッドを有するフレキシブル部分は、カバーレイホイルにより保護されなければならない。良好な接着力を与えるために、固体カバーレイホイルは、銅へ圧着されなければならない。これは、約2〜3時間に亘って続き、かつ必要温度が典型的には180〜185℃であるから高エネルギーを必要とする圧縮サイクルである。一方で、液体生成物は、圧縮サイクルなしで、(例えば、スクリーン印刷などにより)塗装されて、150℃でオーブン内で乾燥されることができる。これは、全領域塗装(液体又はホイルが、パネルの全領域に亘って適用されている)、並びに選択領域塗装に適用される。
【0064】
ホイルカバーレイを有する多層の場合には、各単層は、個別の圧縮サイクルを有する必要がある。液体生成物を使用する場合には、全積層体(多層を与えるために積層された全ての個別の材料)のために唯一つの圧縮サイクルしか最終段階で必要とされない。したがって、リジッド/フレキシブル回路板の設計がより複雑になるにつれて、本発明は、時間、エネルギー及び費用を更に節約するのに役立つ。
【0065】
本発明の幾つかの実施形態における液体ポリアミドイミドの使用は、従来のドライフィルムポリイミド技術に対して下記の優位性を提供することが分かった:
・より短い製造時間
・効率的な材料消費−可能な全領域又は部分的印刷による大幅なコスト削減
・最低約5〜10μmから所望の厚さまでの異なる厚さの塗装
・より薄い構成が、より高い柔軟性、空間及び質量の節約を意味すること
・減少したマン・アワーを通じて分かる更なるコスト削減
・著しく減少したエネルギーコスト
・向上したプロセス安定性による向上したFPY(第一回合格率)
FPYは、首尾よく製造された一連のパネルの百分率(例えば、100個のパネルが製造されなければならず、90個のパネルが認定検査(Q−inspection)に合格するならば、FPYは90%である。)である。向上したプロセス安定性は、より高いFPY及びそれによる節約につながる。
・既存のラミネーションサイクルに組み込まれることができる、乾燥前(タック−ドライ)条件及び最終硬化(ポスト−ベーク)の両方に関する幅広いプロセス・ウィンドウ
・厳しいトラック形状及び高い銅高の更に良好な被覆率
・削減された環境影響(供給者によるホイルの製造から使用まで)
・材料数が減り、必要な空間が減ることに応じた簡便なロジスティック及び在庫管理
・健康及び安全規格(例えばRoHS)に対する製品適合、変異原性又は発癌性材料の不使用
【0066】
ここでは、本発明の組成物に用いる熱解離性イソシアネート保護基により保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドの一例をどのように調製するかについて下記で説明する。当業者は、これが、熱解離性イソシアネート保護基により保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを調製するために使用されることができる多数のルートの1つにすぎず、下記の例示的なルートは何らかの限定を構成するべきではないことを理解するであろう。第一の段階では、カルボン酸官能基含有カルボン酸無水物(III)をジイソシアネート(II)と反応させるイミド化反応において、イミド(V)が調製され;これは下記スキーム1で表される:
【化4】

【0067】
上記式(II)、(III)及び(V)のそれぞれについて、[X]及び[Y]のそれぞれは、上記で定義された通りである。典型的には、イミド化反応は75〜90℃の温度で行われ、そして等モル比でジイソシアネートにカルボン酸無水物を反応させることにより最良の結果が得られる。過剰なカルボン酸無水物が使用される場合には、イミド含有量が増加し、一方で、過剰なジイソシアネートでは、イミド含有量が減少する。
【0068】
イミドが調製されると直ぐに、温度が上げられて、重合反応が進む。不安定なプロトンを有するイソシアネート保護剤[BL]−H(例えば、ε−カプロラクタムなど)の存在下で、イソシアネート官能基との幾つかの反応が起こり、下記スキーム2に示されるように、式(VII)の熱解離性イソシアネート保護基により保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドにおいて、保護されたイソシアネート基が形成されるであろう。イソシアネート保護基は、イソシアネート基のさらなる反応を防ぎ、合成が完了すると直ぐにポリマーの粘度増加を制限するであろう。
【化5】

【0069】
上記式(VI)及び(VII)のそれぞれにおいて、[X]及び[Y]のそれぞれは、上記で定義された通りであり、nは、少なくとも4であり、そしてpは、n−1である。組成物が回路板上で乾燥すると直ぐに、イソシアネート保護基は、高温(例えば、カプロアミド基については150℃を超える温度など)で解離して、スキーム2で示された反応の逆反応においてイソシアネート基を開放するであろう。典型的には、イソシアネート保護剤は、再生されて、蒸発する。次に、イソシアネート基は、硬化反応における通常の方法で、カルボン酸基によって重合することができる。
【0070】
当業者は、上記内容が、本発明の組成物で用いる熱解離性イソシアネート保護基により保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを製造するための反応の単純な説明にすぎず、そして他の機構が起こり得ることを理解するであろう。例えば、イソシアネート保護剤は、イミド化反応前にジイソシアネート(II)の幾つかの分子と反応してよく、及び/又はイソシアネート保護剤は、ポリイミド(VI)を形成するための重合前にイミド(V)と反応してよい。
【実施例】
【0071】
ここでは、下記の具体的な実施例において本発明を説明するものである。これらの実施例は、何らかの限定と解釈されるものではない。
【0072】
インク配合
本樹脂1
攪拌器に取り付けた1Lフラスコに525gのN−メチルピロリドンを充填した。>99%の純度を有する153gのジフェニルメタンジイソシアネートを加えた。次に、>99%の無水物含有率を有する122gのトリメリト酸無水物及び8gのε−カプロラクタムを反応器に加えた。次に、反応器を全還流して、緩やかに75℃に加熱し、75℃になると直ぐに、加熱を止めて、温度を90℃にして発熱させた。二酸化炭素の発生が終わり、イミド含有率が>95%になると直ぐに、温度を125℃へ上げて、粘度が15℃で2500〜3500mPa・sへ上昇するまで保持した。この粘度に達すると直ぐに、温度を90℃へ下げて、50ミクロンフィルターを介して生成物を放出した。
【0073】
樹脂1は、34%の不揮発性物質含有率、酸価84mgKOH/g、15℃で粘度28000mPa・sを有し、乾燥ポリマーの12μm折れ試験ではクラッキングを示さなかった。
【0074】
本樹脂2
攪拌器に取り付けた1Lフラスコに525gのN−メチルピロリドンを充填した。>99%の純度を有する153gのジフェニルメタンジイソシアネートを反応器に加え、次に、>99%の無水物含有率を有する122gのトリメリト酸無水物及び25gのε−カプロラクタムを加えた。次に、反応器を全還流して、緩やかに75℃に加熱し、75℃になると直ぐに、加熱を止めて、温度を90℃にして発熱させた。二酸化炭素の発生が終わり、イミド含有率が>95%になると直ぐに、この時点で、温度を125℃へ上げて、粘度が15℃で2000〜3000mPa・sへ上昇するまで保持した。この粘度に達すると直ぐに、温度を90℃へ下げて、50ミクロンフィルターを介して生成物を放出した。
【0075】
樹脂2は、32%の不揮発性物質含有率、酸価88mgKOH/g、15℃で粘度24000mPa・sを有し、乾燥ポリマーの12μm折れ試験ではクラッキングを示さなかった。
【0076】
比較樹脂1
攪拌器に取り付けた1Lフラスコに525gのN−メチルピロリドンを充填した。>99%の純度を有する153gのジフェニルメタンジイソシアネートを反応器に加え、次に、>99%の無水物含有率を有する122gのトリメリト酸無水物を加えた。次に、反応器を全還流して、緩やかに75℃に加熱し、75℃になると直ぐに、加熱を止めて、温度を90℃にして発熱させた。二酸化炭素の発生が終わり、イミド含有率が>95%になると直ぐに、温度を125℃へ上げて、粘度が15℃で2500〜3500mPa・sへ上昇するまで保持した。この粘度に達すると直ぐに、温度を90℃へ下げて、50ミクロンフィルターを介して生成物を放出した。
【0077】
比較樹脂1は、35%の不揮発性物質含有率、酸価85mgKOH/g、15℃で27000mPa・sの粘度を有し、乾燥ポリマーの12μm折れ試験ではクラッキングを示さなかった。
【0078】
15℃での粘度安定性
【0079】
【表1】

【0080】
下記に示す製造方法に従って、本樹脂1及び2並びに比較樹脂1を配合してインクにした:
1. 樹脂(単数又は複数)を容器中へ測り取る。
2. ポットが触れると温かくなるまで、フラットブレードを用いてディスパーマット上で混合する(約3分)。
3. DICY及び2MZ−アジンをフォームブラストに測り取る。
4. 平滑に見えるまで再混合する(粉末塊がなくなる、約2分)。
5. Viatalc VT10に測り取り、湿潤するまで手で攪拌する。
6. ディスパーマット上で混合する(約1分)。
7. Aerosil R974シリカ中に測り取り、全ての粉末が湿潤するまで手で攪拌する。
8. 平滑になるまでディスパーマット上で混合する(約3分)
9. グラインドゲージ(仕様 ≦5μm)上で分散体を確認する。
【0081】
下記インク配合物を評価した:
【0082】
本インク1〜14:
【0083】
【表2】

【0084】
比較インク1〜7
【0085】
【表3】

【0086】
ユーロレジンズ(Euro Resins)UK社
DIC欧州社
ユニヴァー(Univar)社
サミュエル・バナー社
ヒュブロン・スペシャリティ(Hubron Speciality)社
ランズダウン・ケミカルズ(Lansdowne Chemicals)PLC
ヴィアトン・インダストリーズ(Viaton Industries)社
エヴォニック・デグサ(Evonik Degussa)社
【0087】
スクリーン印刷によるインクの塗布:
使用メッシュ:43T/cmポリエステルブロック
10mmスクリーン・スナップ・オフ高
65/70ショア・スキージの使用
150℃のベーク前に室温で10分間に亘って垂直にされたパネル
【0088】
必要なドライフィルム厚に応じて、他のスクリーンを使用できる。溶媒の追加は、スプレーコーティング、カーテンコーティング、ロールコーティング、パッド印刷、グラビア、フレキソ、オフセット、インクジェット及びスピンコーティングなどの他の塗布法に役立つであろう。
【0089】
パネル詳細:
ラマール・グループ(Lamar Group)社製の1オンスの両側が平らな銅クラッドFR4パネル
ジュニファー(Juniper)社製の0.5オンスの片側銅ポリイミドIPCB25A型フレキシブルラミネート
【0090】
プリント試験法
耐はんだ性
必要な装置:
・Alpha 857 flux
・はんだ槽(260℃)
・タイマー
方法:
・Alpha 857 fluxで各パネルを可塑化させる。
・次に、パネルをはんだ中に漬けて、10秒タイマーを開始させる。
・タイマーが鳴ったときに、パネルを引き出して、水を用いて冷却する。
・試験後に、フィルムは、はがれ、水泡形成、クラッキング又は剥離を示すべきではない。
【0091】
光沢
必要な装置:
・試験用パネル
・Sheenミニグロス101N 60°グロスメーター
・計算機
方法:
・グロスメーターを用いて各パネルの5つの領域を測定して、平均を取る。
【0092】
クロスハッチ(X−hatch)耐性
必要な装置:
・約2mmの間隔で6個のパラレルブレードから成るギッターシュニットクロスハッチカッター
・テープ−感圧テープ3Mスコッチテープ600(登録商標)又はその代替品(例えば、セロテープ(登録商標))
方法:
・所定の切削工具を用いて、ある領域を(90°の角度で)クロスハッチする。
・全て25mm長の切削片を形成する。
・顕著な圧力を掛けて、コーティング材料を切断する。
・ソフトブラシを用いてクロスハッチされた領域を軽くブラシ掛けして、コーティング材料の任意の粒子を除去する。
・ハンドローラー又は消しゴムを用いて、クロスハッチされた領域の表面を横切るように、感圧テープ(12.5mm幅×50mm長)の一片をしっかり圧着する。
・パターンとほぼ垂直に手で力を掛けることによりテープを急速に除去する。
・引き出された単体を含むテープの未使用片を各試験に使用するべきである。
・コーティング材料粒子の兆候についてテープを目視で評価する。
・剥き出しの材料の表面からのコーティングの分離、破砕又は層間剥離について評価する。例えば、切削片からの微細な移動は無視するものとする。
・表(1)に示された通り、GT0〜GT5の数評価系を用いて、接着度を評価して、記録する。
【0093】
試験結果の分類を図2に示す。
【0094】
鉛筆硬度
・必要な装置:
・Sheen鉛筆硬度トロリー720
・H〜9H規格の鉛筆
・鉛筆削り
・研磨紙
方法:
鉛筆削りを用いて、鉛筆を微細になるまで削る。鉛筆点を粗紙に対して90°で保ち、手を回して動かしながら、鉛筆の端が直径1.5mmの平らな端になるまで鉛筆点を磨り減らす。
コーティングされたパネルを堅い水準の水平面に置く。最も硬い硬度の鉛筆で開始するので、空中にホイールを備える硬い平坦面上に硬度トロリーを置く。鉛筆を穴に入れ、鉛筆が表面に達するまで鉛筆を動かし続け、ねじを静かに締めて、所定の位置に鉛筆を固定する。トロリーを裏返して、平坦面(トロリーホイール及び鉛筆芯)上の試験パネル面に芯を接触させる。十分に均一な力を前方(ただし、後方ではない)に及ぼして、トロリーを約20mm動かす。
各ゲージ又は切削片についてトラックを検査して、それらが確認されるならば、より軟らかい鉛筆で上記を繰り返し、そのフィルムが得られた最低の鉛筆を記録する。合格は≧6Hである。
【0095】
耐溶媒性
必要な装置:
・ジクロロメタンのポット
・タイマー
方法:
各パネルの一片をジクロロメタンのポット中に入れて、1時間タイマーを開始して、この時間後にパネルを取り出して、検査する。フィルムは、外れた兆候を示してはならない。
【0096】
柔軟性/折り目試験
必要な装置:
・メガネ×10
・タイマー
方法:
・銅/ポリイミド基板のインク側を半分に折って、3Kgの重荷を用いて約1分間に亘って折られた領域に圧力を掛ける。
・開いて平らにして、10回に亘って折り目を評価する。
・任意の亀裂を失敗として記録する。
【0097】
印刷試験結果
下記表の硬化条件を150℃でX分間、次に180℃でY分として示す。
【0098】
【表4】

【0099】
比較インク1〜7
【0100】
【表5】

【0101】
これらの全試験結果では、本インクと比較インクは等しいことが示される。全てが合格である。
【0102】
150℃で30分、次に250℃で20分の最小硬化スケジュールは、全インク製剤1〜14及び比較インク1〜7を、>288℃の鉛フリーはんだ温度での10秒はんだ浸漬に合格させるであろう。
【0103】
粘度安定性試験結果
15℃で3ヶ月間に亘る本インク1〜14+比較インク1〜7の粘度安定性:
【0104】
本インク1〜7
【0105】
【表6】

【0106】
本インク8〜14
【0107】
【表7】

【0108】
比較インク1〜7
【0109】
【表8】

【0110】
25℃、25mmコーン、20s−1で、コーン及びプレートHaake VT550を用いて粘度を確認した。
【0111】
フレキシブルプリント回路基板の製造
一例として、液体ポリアミドイミドカバーレイが、フレキシブル多層PCBの製造のために使用されることができる。このプロセスを説明するために、これらの製品の製造における従来のドライフィルム法の使用(図3)対液体ポリアミドイミドの使用(図4)の差を示す図面部分を参照されたい。
【0112】
上記態様におけるフレキシブル多層PCBの製造のための塗布法の特定の例は、フラットベッドスクリーン印刷である。
【0113】
フラットベッドスクリーン印刷によるポリアミドイミドインクの塗布例:
使用メッシュ:43T/cmポリエステルブロック
10mmスクリーン・スナップ・オフ高
65/70ショア・スキージの使用
ホールド:室温で約10分間に亘って垂直にされたパネル
ベーク:次に、高温(例えば約150℃)で約60分間に亘ってパネルをオーブンベークして、パネルをタックドライさせ、次に高温(例えば約180℃)で約70分間に亘って積層工程を行なって、パネルを十分に硬化させる。
注:
必要なドライフィルム厚に応じて、他のスクリーンを使用できる。
他の「タックドライ」条件が全塗布法について可能であり;時間は、ウェットフィルム重量及びオーブンの種類に応じて決まるであろう。
【0114】
液体カバーレイの変性(例えば、溶媒及び/又はレオロジー添加剤の追加)は、実際には、接触及び非接触印刷の全ての形態を含む他の塗布法につながり、その例としては、限定されるものではないが、スクリーン印刷;ロータリースクリーン印刷;ロールコーティング;浸漬塗装;カーテンコーティング;流し塗り;スプレーコーティング(静電気及び空気);スピンコーティング;インクジェット;グラビア;オフセット;フレキソ;分配;パッド印刷;ブラッシング(最終フィルムの損傷領域の補修を含む。);インクジェット;エアロゾル堆積などが挙げられるであろう。
【0115】
堆積の1つの好ましい方法は、選択領域へ生成物を塗布するための分配−デジタルプロセスであり、それにより、液体は分配器のノズルを通して塗布されている。分配の利点は、試作品として生成物を少数のパネルへ塗布することである(例えば、スクリーン調製を行なわなくてよく、データはデジタル的に提供される。)。
【0116】
分配器の使用は、PCB業界において十分に知られており、そして分配により液体カバーレイを塗布する本方法は、典型的には従来の製造業者に見られるより短い生産工程(幾つかの種類のパネルの数)、並びに注目が増している短い生産工程(例えば、20個を下回るパネル)を伴う他の業務に使用されるときに、コスト削減に特に有利であろう。
【0117】
液体カバーレイの分配に関する別の利点は、CAD(Computer Added Design)部門から分配器に製造データを直接移せることである。ホイル型カバーレイを用いる場合には、より長く、より複雑で、かつ時間の掛かるプロセスである図柄を形成する必要がある。
【0118】
液体カバーレイを塗装する別の予想される使用は、プリント回路基板のコア及び/又は外層におけるホールを充填するためであろう。これは、液体カバーレイの粘度及び/又はレオロジーの改質(充填剤、増粘剤、減粘剤、又は粘度及び/若しくはレオロジーを調整するための任意の他の従来の手段の追加)を必要とするであろう。ホール充填のために、液体カバーレイの塗装は、好ましくは、スクリーン印刷又は分配により行なわれるが、塗装について上記で説明されたような他の方法により塗装されることができる。好ましくは、液体カバーレイは、塗装後に研磨及び電気めっきを受けることができ、また好ましくは、高温塗装で用いる高温(例えば、約288℃で約30秒)下で安定であろう。
【0119】
液体カバーレイを塗装するための別の方法は、レーザー切除又は液体カバーレイの感光性化を使用することであろう。これは、フレキシブル回路用ホイルの代替品として液体生成物を使用する可能性を提供し、カバーレイ(ホイル又は液体)は、銅トラックのための外面保護体として使用される。本発明の液体カバーレイ法は、ホイルカバーレイの代替品を提供し、より低い可とう性及び温度要求のために典型的には使用される感光性ソルダーマスクに比べて、向上した性能を有するはんだ性パッドを提供するためにレーザー化される。
【0120】
有利にコスト及び時間を削減する性質の提供に加えて、当然のことながら、塗装について上述された方法により液体カバーレイを塗装する本発明の方法は、リジッド/フレキシブル回路のための関連規格(例えば、IPC−A−600G)、並びに当技術分野で十分に知られている他の規格及び試験プロトコルの要求に従って行なう仕上げ部分を提供するであろう。
【0121】
液体カバーレイを塗装するための別の予想される使用としては、任意の開示されている方法を用いて各種の基板へコーティングされることができる光起電性モジュールのための高耐候絶縁性層が挙げられる。液体カバーレイは、太陽電池モジュールの裏側を覆う最適な基板に塗装されることができる。次に、この層は、高耐候絶縁性コーティングだけでなく、それが積層圧縮サイクルを経ると直ぐにモジュールを結合するための接着剤としても機能するであろう。
【0122】
図3及び4は、6層リジッド−フレキシブル回路板を形成する個別の層材料の「積層体(layup)」を示している2つの概略図である。
【0123】
図3(の右側)では「圧縮サイクルA」と表示されているものの説明が示される。ブロックの右側に記述されている材料は、使用されている層の種類を説明する。この例では、様々な厚さのカプトン(登録商標)コア(カプトン(登録商標)は、デュポン(DuPont)社により市場で販売されている材料の名称であり、これは、Cu−軟質層3及び4として記述されている銅ホイルを有するポリイミドである。)が両側に存在する。次に、コアは、アクリル又はエポキシ接着剤によりカバーレイホイルを用いて両側を被覆される。これは、第一の「積層体」であり、リジッド−フレキシブル回路板のフレキシブル部分を形成する。このパッケージが、2〜3時間持続するサイクルで約185℃を用いて圧縮されなければならないので、それは、加熱された圧縮サイクルAである。図3のPCBの左側部分を形成するために、積層体は、両側に説明された材料(例えば、非流動プリプレグ、銅層、FR4コア、銅層など)を用いて、圧縮部分Aを辿り続ける。使用されるこれらの材料がほとんど可とう性ではないので、これらの材料を用いて、リジッド−フレキシブル回路の硬質部が形成される。第二の圧縮サイクル(圧縮サイクルB)が、回路板を完成させるために必要とされる。
【0124】
図4では、同じ回路板が製造されるが、液体カバーレイ(例えば、サン・ケミカル(Sun Chemical)社製SunFlex)を塗装する本発明の方法がどのように利用されるかを示す。右側のブロックでは、液体カバーレイがカバーレイホイルを代替しており、この用途で説明されているような多くの困難の理由である接着を回避する。この軟質部は圧縮サイクルを必要としないので、この加工工程は省略されることができる。印刷された液体カバーレイのオーブン乾燥工程後、積層体は、取り扱われて、図3と同様に硬質部を形成するために使用されるようになる。唯一つの最終圧縮サイクルが必要とされる。
【0125】
本発明は、その好ましい実施形態などについて詳細に説明された。しかし、当業者は、本開示を考慮して、本発明の範囲及び理念に帰属する変化及び/又は改良を本発明に施してよいことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを含む、フレキシブルプリント回路基板のための熱硬化性カバーレイ組成物であって、該組成物は25℃で液体である、組成物。
【請求項2】
熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、(i)末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドと(ii)脂肪族アミドの反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
脂肪族アミドは、所望により1つ以上のC〜Cアルキル基で置換されている5〜8員ラクタムである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、式(I):
[BL]−C(O)−([A]−[B])−OH
(I)
{式中、([A]−[B])は、nが少なくとも4であるポリアミドイミド単位であり;そして[BL]は、熱解離性イソシアネート保護基である。}
を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
[BL]は、−N(R)−C(O)R{式中、R及びRは、それぞれ独立して、C〜Cアルキルから選択されるか;又はR、R及びそれらが結合するアミド基は、所望により1つ以上のC〜Cアルキル基で置換されている5〜8員ラクタム環を共に形成する。}である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
、R並びにそれらが結合する窒素原子及びカルボニル基は、所望により1つ以上のメチル基で置換されている5〜8員ラクタム環を共に形成する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
5〜8員ラクタム(環)はε−カプロラクタムである、請求項3又は6に記載の組成物。
【請求項8】
熱解離性イソシアネート保護基は、100℃〜250℃の温度で解離する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
熱解離性イソシアネート保護基は、140℃〜200℃の温度で解離する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドは、ジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物の反応生成物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
多官能価エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
レベリング助剤、硬化剤、安定化剤及び/又は充填剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
非プロトン性溶媒をさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
25℃で30Pa・s未満の粘度を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
25℃で20Pa・s未満の粘度を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも20質量%の固形分を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
(a)請求項1〜16のいずれか1項に記載の熱硬化性カバーレイ組成物のコーティングを電子部品上へ適用する工程、及び(b)該組成物を硬化させる工程を含む、コーティングされた電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記組成物は、工程(b)において少なくとも150℃の温度へ加熱される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
スクリーン印刷により前記組成物を適用する、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
電子部品はフレキシブルプリント回路基板である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ポリアミドイミドを含む硬化カバーレイコーティングを含むフレキシブルプリント回路基板。
【請求項22】
熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを含む第一の成分;並びにさらなる熱硬化化合物及び/又は硬化剤を含む第二の成分を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の熱硬化性カバーレイ組成物の製造に用いる二容器型製剤。
【請求項23】
さらなる熱硬化化合物は多官能価エポキシ樹脂である、請求項22に記載の二容器型製剤。
【請求項24】
a. 熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを提供する工程;並びに
b. 熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドに充填剤、硬化剤、安定化剤、レベリング助剤及びさらなる熱硬化性化合物の1つ以上を合わせる工程
を含む、25℃で液体であるフレキシブルプリント回路板のための熱硬化性カバーレイ組成物の製造方法。
【請求項25】
さらなる熱硬化化合物は多官能価エポキシ樹脂である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
(i)末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドと(ii)熱解離性イソシアネート保護剤を反応させることにより、熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを調製する工程をさらに含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
ジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物を反応させることにより、末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドを調製する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物は、10:8〜10:12のジイソシアネート:カルボン酸官能基含有カルボン酸無水物のモル比で反応させられる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ジイソシアネートとカルボン酸官能基含有カルボン酸無水物は、熱解離性イソシアネート保護剤の存在下で反応させられ、そしてジイソシアネート:イソシアネート保護剤のモル比は、約10:0.1〜10:10である、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
請求項26〜29のいずれか1項に記載の方法に従う、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物の製造方法。
【請求項31】
ポリアミドイミドを含むフレキシブルプリント回路基板のための熱硬化性カバーレイ組成物であって、該組成物は25℃で液体であり、そして該組成物は、15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃で35Pa・s未満の粘度を有する、組成物。
【請求項32】
15℃で3ヶ月間の保存後に、25℃での粘度増加は3.5倍以下である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物である、請求項31又は32に記載の組成物。
【請求項34】
フレキシブル又はリジッド−フレキシブルプリント回路板、ディスプレイ、光起電装置又は膜スイッチの製造において、完全に又は部分的に結像されたカバーレイを形成するための液体ポリアミドイミドの使用。
【請求項35】
液体ポリアミドイミドは、スクリーン印刷、ロールコーティング、浸漬塗装、カーテンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、インクジェット、グラビアコーティング、オフセットコーティング、フレキソコーティング、分配、パッド印刷、ブラッシング、流し塗り又はエアロゾル堆積を用いることにより適用される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
液体ポリアミドイミドは、請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱解離性イソシアネート保護基で保護された末端イソシアネート基を有するポリアミドイミドである、請求項34又は35に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520917(P2012−520917A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500315(P2012−500315)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050449
【国際公開番号】WO2010/106359
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(509354318)サン ケミカル ベスローテン フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】