説明

フレキシブルプリント配線板、その接続構造、これらの製造方法、および電子機器

【課題】 ACFを用いて電極同士を能率よく導電接続しながら、変形を受けてもフレキシブルプリント配線板の電極等での応力集中を避けることができるフレキシブルプリント配線板等を提供する。
【解決手段】 このフレキシブルプリント配線板10は、表面に電極2aが設けられ、該電極が露出するように、該電極を含む電極接続エリアSをあけたカバーレイ樹脂膜5,6で被覆され、平面的に見て電極接続エリアと重なる領域では、配線回路2bは、裏面にのみ位置し、表面の電極と裏面の配線回路とは、電極接続エリアまたは周囲部に位置するビアホールhを通して導電接続されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)、その接続構造、これらの製造方法、および電子機器に関し、より具体的には、異方導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて電極同士を導電接続しながら、応力集中等を防止することができる、フレキシブルプリント配線板、その接続構造、これらの製造方法、およびこれらを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末等の電子機器には、複数のフレキシブルプリント配線板が用いられ、当該電子機器内で、フレキシブルプリント配線板の電極同士が、導電接続される。製造方法の能率向上の要求に応えるために、2つのフレキシブルプリント配線板の電極同士を、異方導電膜(ACF)で導電接続する方法が提案されている(特許文献1)。ACFによる導電接続では、上記電極が露出された2つの電極領域によってACFを挟んで加熱加圧することで、個々の電極同士を導電接続する。これによってフレキシブルプリント配線板の電極同士を効率よく接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−119063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の携帯端末等では、フレキシブルプリント配線板はその特徴であるしなやかな可撓性を生かして携帯端末内においてフレキシブルプリント配線板を変形させる構造をとる場合が多い。このため、図5に示す従来の接続構造150のように、電極を露出させた片面フレキシブルプリント配線板110を、2つ、接続する。片面フレキシブルプリント配線板110は、基層101上に銅箔をエッチングすることで形成した電極102が積層され、その上に金めっき層111が形成されている。金めっき層111が形成されない銅箔102の領域はカバーレイ接着剤105付きのカバーレイ樹脂膜106によって被覆されている。電極間の接続は、2つの金めっき層111,111の間にACF121を挟んで圧着することで行われる。このような片面フレキシブルプリント配線板110同士の接続では、つぎの問題を生じる。
ACF121を含む接続部には、片面フレキシブルプリント配線板110/ACF121/片面フレキシブルプリント配線板110、の右と左とに食い違い(段差)がある。このため、2つのフレキシブルプリント配線板110が引き離されるような力を受けると、多くの場合、ACFを含む接続部に屈曲の力がかかり、この屈曲の力によって最も薄い電極の箇所に力が集中する。また、ACF121を含む接続部が、回転するような力を受ける場合もある。これら両方の場合ともに、金めっき層111の領域Cに大きな応力集中が生じる。このため、所定の場合、たとえば金めっき層が電極表面に形成されている場合には、硬いために、繰り返し応力が上記の接続構造の重複していない電極部分にかかり、電極にクラックが生じる場合があった。
また、金めっき膜がない場合には、クラックを生じないまでも、大きな応力集中がかかり繰り返しの応力集中のために格子欠陥密度が高くなり、その部分の孔食など局部腐食を促進することがあった。
本発明は、ACFを用いて電極同士を能率よく導電接続しながら、変形を受けてもフレキシブルプリント配線板の電極等での応力集中を避けることができるフレキシブルプリント配線板、その接続構造、これらの製造方法、およびこれらを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、配線回路、電極および両面を被覆するカバーレイ樹脂膜を備えた両面のフレキシブルプリント配線板である。このフレキシブルプリント配線板は、両面のうちの一方面には電極が設けられ、該一方面は、該電極が露出するように、該電極を含む電極接続エリアをあけたカバーレイ樹脂膜で被覆され、平面的に見て電極接続エリアと重なる領域では、配線回路は、一方面と反対側の他方面にのみ位置し、一方面の電極と他方面の配線回路とは、電極接続エリアまたはその電極接続エリアの周囲部に位置するビアホールを通して導電接続されていることを特徴とする。
ここで、上記本発明のフレキシブルプリント配線板は、当該フレキシブルプリント配線板(第1のフレキシブルプリント配線板)と、それと同じ電極配列を有するフレキシブルプリント配線板(第2のフレキシブルプリント配線板)とを、ACFを挟んで、これらの電極間を導電接続するために用いることを前提としている。第2のフレキシブルプリント配線板は、第1のフレキシブルプリント配線板と同じでもよいし(全体の形状等まで同じである必要はない)、これとは異なり、片面のフレキシブルプリント配線板であってもよい。電極配列が同じであればよい。
なお、上記のフレキシブルプリント配線板において、電極および電極接続エリア、が設けられる一方面を表面、その反対側(両面基板において基層を挟んで)の他方面を裏面、ということがある。
【0006】
これによって、ACFを用いて能率よく、接続構造を製造することができる。また、多数の電極が密に配列されていても、ACFによって、精度よく電極間の1対1の導電接続が可能になる。上記の構成では、とくに、両面のフレキシブルプリント配線板(第1のフレキシブルプリント配線板)の電極と、第2のフレキシブルプリント配線板の電極とを、ACFを介在させて導電接続することができる。このため、少なくとも第1のフレキシブルプリント配線板の構造によって、電極/ACF/電極の構造は、しっかり安定して保持されており、変形して応力が集中する箇所を生じない。このため、電極にクラックを発生したり(金めっき層被覆の場合)、腐食を促進させたり(金めっき層なしの場合)することが防止される。
【0007】
電極接続エリアに露出される電極に金めっき層を形成することができる。これによって、露出した電極に対して、金めっき層によって腐食を防止し、かつ金めっき層を形成しながら上記の応力集中がないためにクラック発生を防止することができる。
【0008】
本発明のフレキシブルプリント配線板の接続構造は、上記のいずれかフレキシブルプリント配線板(第1のフレキシブルプリント配線板)と、そのフレキシブルプリント配線板と同じ電極配列を有する第2のフレキシブルプリント配線板とが、電極接続エリアを向き合わせて、ACFを挟んで該電極配列どうし導電接続されていることを特徴とする。ここで、第2のフレキシブルプリント配線板は、第1のフレキシブルプリント配線板と同じ構造の両面基板でもよいし(全体の形状まで同じである必要はない)、電極配列だけ同じで、片面のフレキシブルプリント配線板であってもよい。これによって、能率よく接続構造を得ながら、少なくとも一方が、上述の両面のフレキシブルプリント配線板なので、上述した応力集中の緩和を実現することができる。
【0009】
ACFが、2つの相対する電極接続エリアで形成される空間に充填されて、2つのフレキシブルプリント配線板の電極を両方とも露出箇所なく被覆する構成とすることができる。これによって、露出した電極は、金めっき膜がなくても、ACFによって被覆されるので、腐食を防止することができる。
【0010】
本発明の電子機器は、上記のいずれかのフレキシブルプリント配線板、または上記のいずれかのフレキシブルプリント配線基板の接続構造を用いることを特徴とする。これによって、長期間、使用しても、電極にクラックを生じない、また腐食の促進がない、フレキシブルプリント配線板またはその接続構造を含んだ電子機器を得ることができる。
【0011】
本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、基層の両面に銅箔が積層された銅張積層板を準備する工程と、銅張積層板の両面の銅箔、および基層を貫通するビアホールを形成する工程と、ビアホールおよび両面の銅箔に沿うように、金属めっき層を形成する工程と、金属めっき層および両面の銅箔をエッチングすることで、一方面の金属めっき層および銅箔から電極配列および配線回路パターンを、また他方面の金属めっき層および銅箔から配線回路パターンを、形成する導電パターン形成工程と、一方面の電極の端から所定範囲を電極接続エリアとして露出させながら、ビアホールを含む残りの領域を覆うように、カバーレイ樹脂膜を一方面に貼り合わせる工程と、他方面にカバーレイ樹脂膜を貼り合わせる工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記の方法によって、上記本発明のフレキシブルプリント配線板を2つ、ACFを用いて能率よく接続させて電子機器に使用して変形させても、応力集中が生じない接続構造を得ることができる。上記の製造方法は、既存のプロセスを用いた簡単な方法である。
【0013】
導電パターン形成工程の後、一方面にカバーレイ樹脂膜を貼り合わせる工程の前に、一方面の電極に金めっき層を形成することができる。これによって、金属めっき層付き電極を有するフレキシブルプリント配線板を容易に得ることができる。
【0014】
本発明のフレキシブルプリント配線板の接続構造の製造方法は、上記のいずれかのフレキシブルプリント配線板の製造方法で製造されたフレキシブルプリント配線板(第1のフレキシブルプリント配線板)と、そのフレキシブルプリント配線板と同じ電極配列を有する第2のフレキシブルプリント配線板とを用いて接続構造を製造する。この方法は、上記の2つのフレキシブルプリント配線板の電極配列を位置合わせした状態で、異方導電膜を挟んで圧着することを特徴とする。 上記の方法によって、簡単にフレキシブルプリント配線板の接続構造を能率良く製造でき、かつ、接続構造に応力集中箇所を生じない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ACFを用いて電極同士を能率よく導電接続しながら、繰り返し変形を受けてもフレキシブルプリント配線板の電極等での応力集中を避けることができるフレキシブルプリント配線板、その接続構造、これらの製造方法、およびこれらを用いた電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1におけるフレキシブルプリント配線板の接続構造を示す平面図である。
【図2】図1の接続構造のII−II線に沿う断面図である。
【図3】フレキシブルプリント配線板の電極配列を平面的に位置合わせし、ACFを挟んで圧着しようとする状態の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2におけるフレキシブルプリント配線板の接続構造を示す断面図である。
【図5】従来のフレキシブルプリント配線板の接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるフレキシブルプリント配線板10を用いて形成したフレキシブルプリント配線板の接続構造50の平面図である。2つのフレキシブルプリント配線板10,10は、それぞれ、電極接続エリアSが設けられ、この電極接続エリアS内に電極2aが配置されている。電極2aには、銅めっき層3および金めっき層11が形成されている。本実施の形態では、電極2aは、とくに断らない限り、上記の銅めっき層3および金めっき層11が形成されているものとする。2つのフレキシブルプリント配線板10,10は、同じである必要はないが、電極接続エリアSおよびそこに配列された電極(配列)2aは、平面的に見て合致されている。このような、2つのフレキシブルプリント配線板の電極配列2aの重複を保証するために、フレキシブルプリント配線板10,10には、両者の重ね合わせの精度を高めるためのガイド穴23、アラインメントマーク24が設けられている。各フレキシブルプリント配線板10において、電極2aは、電極接続エリアS内に配置されているが、この電極接続エリアSは、その電極接続エリアSを空けたカバーレイ樹脂膜5,6を貼り合わせることで形成される。すなわち電極接続エリアS内の電極配列2aは、カバーレイ樹脂膜5,6に被覆されることなく露出している。
【0018】
図2は、図1におけるフレキシブルプリント配線板の接続構造50のII−II線に沿う断面図である。また、図3は、2つのフレキシブルプリント配線板10,10の電極接続エリアSによって、ACF21を挟んで圧着しようとする状態を示す図である。図2および図3の各フレキシブルプリント配線板10の構造のポイントは、次のとおりである。
(1)電極接続エリアS内に、電極2aは露出している。この電極2aは、両面フレキシブルプリント配線板の銅箔がパターニングされてできた配線回路パターン2bのうち、電極接続エリアSの裏面に位置する配線回路2bが、ビアホールhから表面側に出て折り返す形態をとっている。裏面の配線回路パターン2bを表面側の電極配列2aに導電接続するために、電極2aおよび配線回路2bを覆い、かつビアホールhの壁面を覆うように、銅めっき層3が形成されている。上記の電極接続エリアSは、カバーレイ樹脂膜6およびカバーレイ接着剤層5が、その電極接続エリアSだけを空けるように、表面側では、電極接続エリアSを外れた残りの領域の配線回路パターン2bを主体に被覆している。裏面側では、カバーレイ樹脂層5,6は、少なくとも電極接続エリアSに対応する領域を含めて全域を被覆している。
(2)電極接続エリアS内において露出する電極2aの表面は、金めっき層11で被覆されている。
【0019】
上記のフレキシブルプリント配線板10を用いて、ACFを電極間に挟んで形成した接続構造50は、次の作用効果を有する。
(J1)応力集中の緩和
図5に示す従来の接続構造150では領域Cの表層に応力集中が生じた。すなわち従来の接続構造では、各フレキシブルプリント配線板110は、電極接続エリアに相当する領域の先側領域にはカバーレイ樹脂膜はなく、たとえば2つのフレキシブルプリント配線板110を引き離す力が加わると、ACF121を含む接続部は回転変形して、領域Cに応力集中が生じる。しかし、本実施の形態の接続構造50は、両面フレキシブルプリント配線板の表面側に設けられた電極接続エリアSの電極がACFを間に挟む形態で形成されている。このため、比較的大きな剛性(フレキシブルプリント配線板のしなやかさを壊さない範囲で)を得ることができる。すなわち、堅固で安定した接続構造50を得ることができる。この結果、接続構造における応力集中を緩和することができる。このような応力集中の緩和の作用の結果、(i)金めっき層11が形成されている場合、金めっき層11による腐食防止の効果を得ながら、金めっき層11へのクラック発生を防止することができる。また、(ii)金めっき層11がなく、銅箔2aまたは銅めっき層3が最表面の場合、応力集中に起因する局部的な格子欠陥密度の上昇を防ぎ、この高い格子欠陥密度に起因する腐食の促進を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、2つのフレキシブルプリント配線板を同じ両面のフレキシブルプリント配線板としたが、一方が片面のフレキシブルプリント配線板であってもよい。一方に上記の両面のフレキシブルプリント配線板を用いることで、ACFを含む接続部の変形を小さくして、その接続構造を安定して保持するようにできる。一方のみに上記の両面のフレキシブルプリント配線板を用いた場合でも、接続部の剛性は向上できるからである。
(J2)コスト低減
従来は、プリント配線板にコネクタを実装して、これにフレキシブルプリント配線板を差し込んで接続していた。このコネクタを用いる方法は、ACFを用いるよりも簡単に導電接続することができるが、ACFに比べてコストの増大を招く。
(J3)確実な電極間の接続
ACFは横方向には導電性を発現しないので、隣り合う電極同士が短絡することがないので、電極間を確実に1対1に導電接続することができる。このような電極間の1対1の導電接続は、配線回路を裏面側にして電極2aを表面に露出させた本発明のフレキシブルプリント配線板10の構造によって、より確実に実現することができる。
【0020】
次に、本実施の形態のフレキシブルプリント配線板10の製造は、既存の方法を組み合わせて簡単に行うことができる。図3を参照して、順を追って箇条書きする。
(1)ポリイミド膜からなる基層1の両面に銅箔2が積層された両面銅張積層板を準備する。基層1には、高い耐熱性および柔軟性を重視して、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂を用いるのがよい。また、銅箔2を積層するためのベース接着剤を用いる場合には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等を主成分に含むものを用いることができる。基層1の厚みは、5μm〜50μm程度、またベース接着剤層は、0.5μm〜30μm程度とするのがよい。
(2)次いで、ドリルを用いて、銅箔/ポリイミド膜/銅箔の3層を貫通する孔をあける。
(3)次いで、銅めっきによって、表裏面の銅箔2とビアホールhを被覆する銅めっき層3を形成する。
(4)エッチングによって表面側および裏面側の導電部(銅箔2および銅めっき層3)のパターニングを行う。このためにレジストパターンを表裏面に形成し、次いで湿式エッチングによって導電部のパターニングを行う。表面側では、表面側の銅箔2および銅めっき層3から電極(配列)2a,3を形成する。また、裏面側の銅箔2および銅めっき層3からは、配線回路(パターン)2b,3を形成する。配線回路2b,3は、ビアホールhを通る銅めっきパターン3によって電極2aの端に接続している。配線回路2b,3が折り返して電極2a,3が形成されているといってもよい。
(5)電極が露出される領域に限定して、金めっき層11を形成する。
(6) 次いで、表面側において、電極接続エリアSにおいて電極2aが露出されるように、当該エリアをあけて、接着剤付きカバーレイ樹脂膜5,6を貼り合わせる。カバーレイ樹脂膜6の下層にはカバーレイ接着剤層5が位置することになる。また裏面側では、配線回路2bをすべて覆うように、接着剤付きカバーレイ樹脂膜5,6を貼り合わせる。裏面側にもカバーレイ接着剤層5ができる。カバーレイ6には、柔軟な撓りが可能な絶縁樹脂を用いるのがよい。また、接着工程における150℃程度の加熱に対する耐熱性を兼ね備えるのがよい。たとえばポリイミド系の樹脂を挙げることができる。そのほか、ポリオレフィン系の、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどをあげることができる。また、液晶ポリマーを好適に用いることができる。さらに環状オレフィンポリマー、非極性ポリオレフィン、シクロヘキサンジエン系ポリマーなどがある。各種のポリフェニレンエーテルを用いてもよい。カバーレイ樹脂膜6の厚みは、5μm〜50μm程度とするのがよい。
接着剤として、たとえばポリスチレン系、ポリエチレン系などのホットメルト系接着剤を用いるのがよい。これによって、製造能率の向上を得ることができる。また、ポリエステル系やポリアミド系の、ホットメルト系接着剤、エポキシ樹脂でもよい。カバーレイ接着剤層5の厚みは、10μm〜50μm程度とするのがよい。
上記の方法によって、電極のみを表面に露出させ、配線回路が表面に出ない電極接続エリアSを、既存のプロセスによって能率良く形成することができる。
(7)2つのフレキシブルプリント配線板10,10の電極接続エリアS,Sを向き合わせて、ACF21を間に挟んで圧着する。圧着は、機械的にも、また電気的にも堅固に接続することが重要である。ACF21は、加熱され、厚み方向に圧力を受けることで、2つの電極2aを機械的につなぎ、また電気的に接続する。
ACF21は、主成分として、熱硬化する樹脂(含硬化剤)と、導電粒子とを備えるものである。熱硬化する樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂を好適に用いることができる。ACF21は、2つのフレキシブルプリント配線板10の電極2a,2aの間に挟まれて、圧力を受けながら加熱されることで、軟化状態、溶融に近い状態、もしくは溶融状態にされ、2つの電極2a,2aを導電接続しながら、機械的な接続もする。機械的な接続については、硬化剤の作用により硬化することで、2つの電極2a,2a、または2つのフレキシブルプリント配線板10,10を接着する。導電粒子の体積率、形状等は、隣り合う電極2aが短絡するおそれがないようにされる。ACF21の樹脂には熱硬化性のエポキシ樹脂などを用いるのがよいが、その他に、シリコーン樹脂、または耐熱性に優れたポリイミド樹脂を用いてもよい。エポキシ樹脂を用いる場合、ビスフェノールA、またはビスフェノールFとエピクロルヒドリンを反応させて作る通称ビスフェノール系と呼ばれる樹脂を用いることができる。ノボラック系の樹脂を用いてもよい。ACF21の導電粒子には、各種形状(粒状、針状など)の金属粒子、金属めっき樹脂コア粒子、などを用いることができる。金属粒子としては、粒状または針状ニッケル粒子がよく、金属めっき樹脂コア粒子としては、アクリルまたはポリスチレンを核とした金めっき粒子などを用いるのがよい。
ACF21の厚みは、10μm〜60μm、より好ましくは30μm〜50μmとするのがよい。
【0021】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるフレキシブルプリント配線板の接続構造50を示す断面図である。本実施の形態では、電極2aには銅めっき層3が形成され、金めっき層11は形成されていない。また、電極接続エリアSは2つが合体して閉空間が形成され、その閉空間にACF21が充満している。このため、次の作用効果を得ることができる。
(J4)金めっき層なしでの腐食防止
電極2aは金めっき層11に被覆されていないにもかかわらず、ACF21によって隙間なく被覆されるので、腐食が防止される。ACF21は、上述のように、2つのフレキシブルプリント配線板10の電極2a,2aの間に挟まれて、圧力を受けながら加熱されることで、軟化状態、溶融に近い状態、もしくは溶融状態にされ、2つの電極2a,2aの間隙を充填する。すなわち2つの電極2a,2aは隙間なくACF21で充填される。
この結果、金めっき層の代わりに、ACF21を多めにして上記の閉空間を充填することで電極の腐食を、安価な経費で防止することが可能となる。
【0022】
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ACFを用いて電極同士を能率よく導電接続しながら、変形を受けてもフレキシブルプリント配線板の電極等での応力集中を避けることができる。このため、金めっき層で電極を被覆することで腐食を防止しながら電極へのクラック発生を防止することができる。また金めっき層で被覆しないで銅めっき層等が露出する場合でも、ACFで電極接続エリアの空間を隙間なく充填することで、安価に腐食防止を実現することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 基層、2 銅箔、2a 表面側の電極、2b 裏面側の配線回路、3 銅めっき層、5 カバーレイ接着剤層、6 カバーレイ樹脂膜、10 フレキシブルプリント配線板、11 金めっき層、21 異方導電膜(ACF)、23 ガイド穴、24 アラインメントマーク、50 接続構造、C 応力集中部、h ビアホール、S 電極接続エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線回路、電極および両面を被覆するカバーレイ樹脂膜を備えた両面のフレキシブルプリント配線板であって、
前記両面のうちの一方面には電極が設けられ、該一方面は、該電極が露出するように、該電極を含む電極接続エリアをあけたカバーレイ樹脂膜で被覆され、
平面的に見て前記電極接続エリアと重なる領域では、前記配線回路は、前記一方面と反対側の他方面にのみ位置し、
前記一方面の電極と前記他方面の配線回路とは、前記電極接続エリアまたはその電極接続エリアの周囲部に位置するビアホールを通して導電接続されていることを特徴とする、フレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
前記電極接続エリアに露出される電極に金めっき層が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフレキシブルプリント配線板と、前記フレキシブルプリント配線板と同じ電極配列を有する第2のフレキシブルプリント配線板とが、前記電極接続エリアを向き合わせて、異方導電膜を挟んで該電極配列どうし導電接続されていることを特徴とする、フレキシブルプリント配線基板の接続構造。
【請求項4】
前記異方導電膜が、前記2つの相対する電極接続エリアで形成される空間に充填されて、前記2つのフレキシブルプリント配線板の電極を両方とも露出箇所なく被覆していることを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブルプリント配線基板の接続構造。
【請求項5】
請求項1もしくは2に記載のフレキシブルプリント配線板、または請求項3または4に記載のフレキシブルプリント配線基板の接続構造を用いたことを特徴とする、電子機器。
【請求項6】
基層の両面に銅箔が積層された銅張積層板を準備する工程と、
前記銅張積層板の両面の銅箔、および基層を貫通するビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールおよび両面の銅箔に沿うように、金属めっき層を形成する工程と、
前記金属めっき層および前記両面の銅箔をエッチングすることで、前記両面のうちの一方面の金属めっき層および銅箔から電極配列および配線回路パターンを、また前記一方面と反対側の他方面の金属めっき層および銅箔から配線回路パターンを、形成する導電パターン形成工程と、
前記一方面の電極配列の端から所定範囲を電極接続エリアとして露出させながら、前記ビアホールを含む残りの領域を覆うように、カバーレイ樹脂膜を前記一方面に積層する工程とを備えることを特徴とする、フレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記導電パターン形成工程の後、前記一方面にカバーレイ樹脂膜を貼り合わせる工程の前に、前記一方面の電極に金めっき層を形成することを特徴とする、請求項6に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法で製造されたフレキシブルプリント配線板と、そのフレキシブルプリント配線板と同じ電極配列を有する第2のフレキシブルプリント配線板を用いて接続構造を製造する方法であって、該2つのフレキシブルプリント配線板の電極配列を位置合わせした状態で、異方導電膜を挟んで圧着することを特徴とする、フレキシブルプリント配線板の接続構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−249549(P2011−249549A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120987(P2010−120987)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】