説明

フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板の製造方法、フレキシブルプリント配線板を備える電子機器

【課題】両面配線部においては基板表裏に必要な配線回路を十分に構築することができると共に、基板表裏に形成してある配線回路の電気的な接続を十分に行うことができ、屈曲部においては屈曲性を一層向上させることができると共に、繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができるフレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板の製造方法及び前記フレキシブルプリント配線板を備える電子機器の提供を課題とする。
【解決手段】基板20表裏に配線回路を形成してある両面配線部210の領域と、屈曲が繰り返して行われる屈曲部220の領域とを備えたフレキシブルプリント配線板200であって、両面配線部210には、ランドスルーホール21を形成し、これによって両面配線部210の基板表裏の配線回路を電気接続するよう構成し、屈曲部220には、基板表裏のうちの一方の面にのみ配線回路を形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板の製造方法及び前記フレキシブルプリント配線板を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器に使用されるフレキシブルプリント配線板は、狭小化したスペースに配設されるため、配線密度の向上、屈曲性及び柔軟性の向上、繰り返し屈曲に対する耐久性等が要求される。
従来、携帯電話機等の電子機器に使用されるフレキシブルプリント配線板としては、基板にスルーホールを形成すると共に、基板の両面に電解銅めっき層を形成する、いわゆるスルーホールめっきを施したフレキシブルプリント配線板があった。
このようなスルーホールめっきを施したフレキシブルプリント配線板においては、配線回路となる銅箔が厚くなってしまうことから、繰り返し屈曲に対する耐久性が低かった。
このような欠点を補うため、屈曲部にスルーホールめっきがかからないようにマスキングや遮蔽等をしてスルーホールのあるエリアだけにめっきを施す(いわゆるボタンめっき)ランドスルーホールを形成したフレキシブルプリント配線板が携帯電話機等の電子機器に使用されている。
このようなものとして、例えば下記特許文献1がある。
下記特許文献1においては、ランドスルーホールを施したフレキシブルプリント配線板に関する従来技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−195849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、フレキシブルプリント配線板を備えた電子機器の小型化、多機能化に伴い、フレキシブルプリント配線板に許容される空間は一段と狭くなってきている。
特にいわゆるスライド式携帯電話機においては、携帯電話機のスリム化により、上側筐体と下側筐体との隙間の狭小化が著しい。
このようなスライド式携帯電話機に使用されるフレキシブルプリント配線板は、上側筐体と下側筐体との隙間にフレキシブルプリント配線板の屈曲部がU字状に配置されるところ、上側筐体と下側筐体との隙間の狭小化により、フレキシブルプリント配線板がU字状に曲げられる曲率半径が小さくなり、屈曲条件が一段と厳しくなってきている。
上記特許文献1において開示されているフレキシブルプリント配線板は、基板の両面に配線回路を形成する構成であった。このようなフレキシブルプリント配線板をスライド式携帯電話機に使用した場合、近年における屈曲条件、特に繰り返し屈曲に対する耐久性を満たさないという問題があった。よってフレキシブルプリント配線板においては、特に屈曲部における繰り返し屈曲に対する耐久性の向上に関する技術開発が課題となっている。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、両面配線部においては基板表裏に必要な配線回路を十分に構築することができると共に、基板表裏に形成してある配線回路の電気的な接続を十分に行うことができ、屈曲部においては屈曲性を一層向上させることができると共に、繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができるフレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板の製造方法及び前記フレキシブルプリント配線板を備える電子機器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、基板表裏に配線回路を形成してある両面配線部の領域と、屈曲が繰り返して行われる屈曲部の領域とを備えたフレキシブルプリント配線板であって、前記両面配線部には、基板を貫通するスルーホールの内孔の全表面をめっきすると共に、スルーホールの表裏開口部の周縁領域のみをランドとしてめっきしてなるランドスルーホールを形成し、これによって前記両面配線部の表裏の配線回路を電気接続するように構成し、前記屈曲部には、基板表裏のうちの一方の面にのみ配線回路を形成してあることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、基板表裏に配線回路を形成してある両面配線部の領域と、屈曲が繰り返して行われる屈曲部の領域とを備えたフレキシブルプリント配線板であって、前記両面配線部には、基板を貫通するスルーホールの内孔の全表面をめっきすると共に、スルーホールの表裏開口部の周縁領域のみをランドとしてめっきしてなるランドスルーホールを形成し、これによって前記両面配線部の表裏の配線回路を電気接続するように構成し、前記屈曲部には、基板表裏のうちの一方の面にのみ配線回路を形成してあることから、両面配線部においては基板表裏に必要な配線回路を十分に構築することができると共に、基板表裏に形成してある配線回路の電気的な接続を十分に行うことができる。
また屈曲部においては基板表裏のうちの一方の面にのみ配線回路を形成することで、屈曲部の厚みを薄肉なものとすることができる。よって屈曲部の屈曲性を一層向上させることができると共に、繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができる。
【0008】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記屈曲部の配線回路の層を電磁波シールド層で被覆してあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、フレキシブルプリント配線板は、前記屈曲部の配線回路の層を電磁波シールド層で被覆してあることから、屈曲部に形成される配線回路が電磁波ノイズにより誤差動等の悪影響を受けることを防止することができる。
【0010】
また本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法は、基板表裏の導電層に配線回路を形成してある両面配線部の領域と、屈曲が繰り返して行われる屈曲部の領域とを備えたフレキシブルプリント配線板であって、前記両面配線部において前記基板を貫通するスルーホールを形成するスルーホール形成工程と、該スルーホールの開口部周辺領域のみを残して基板の両面にレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記スルーホールの内孔の全表面及び開口部周縁領域をランドとしてめっきして被覆するランドスルーホールめっき工程と、前記両面配線部においては基板表裏の導電層に配線回路を形成し、且つ前記屈曲部においては基板表裏の一方の面の導電層を除去すると共に残る他方の面にのみ配線回路を形成する配線回路形成工程とを備えることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、基板表裏の導電層に配線回路を形成してある両面配線部の領域と、屈曲が繰り返して行われる屈曲部の領域とを備えたフレキシブルプリント配線板であって、前記両面配線部において前記基板を貫通するスルーホールを形成するスルーホール形成工程と、該スルーホールの開口部周辺領域のみを残して基板の両面にレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記スルーホールの内孔の全表面及び開口部周縁領域をランドとしてめっきして被覆するランドスルーホールめっき工程と、前記両面配線部においては基板表裏の導電層に配線回路を形成し、且つ前記屈曲部においては基板表裏の一方の面の導電層を除去すると共に残る他方の面にのみ配線回路を形成する配線回路形成工程とを備えることから、スルーホール形成工程により、両面配線部において、基板を貫通するスルーホールを形成することができる。またレジストパターン形成工程により、スルーホールの開口部周辺領域のみを残して基板の両面にレジストパターンを形成することができる。またランドスルーホールめっき工程により、スルーホールの内孔の全表面及び開口部周縁領域をランドとしてめっきして被覆するランドスルーホールを形成することができる。また配線回路形成工程により、両面配線部においては基板表裏の導電層に配線回路を形成することができると共に、屈曲部においては基板表裏の一方の面の導電層を除去すると共に残る他方の面にのみ配線回路を形成することができる。
【0012】
また本発明の電子機器は第1又は第2の特徴に記載のフレキシブルプリント配線板を備えることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、電子機器は、第1又は第2の特徴に記載のフレキシブルプリント配線板を備えることから、両面配線部においては基板表裏に必要な配線回路を十分に構築することができると共に、基板表裏に形成してある配線回路の電気的な接続を十分に行うことができ、屈曲部においては屈曲性を一層向上させることができると共に、繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができるフレキシブルプリント配線板を備える電子機器とすることができる。
また屈曲部に形成される配線回路が電磁波ノイズにより誤差動等の悪影響を受けることを防止することができるフレキシブルプリント配線板を備える電子機器とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板の製造方法及び前記フレキシブルプリント配線板を備える電子機器によれば、両面配線部においては基板表裏に必要な配線回路を十分に構築することができると共に、基板表裏に形成してある配線回路の電気的な接続を十分に行うことができ、屈曲部においては屈曲性を一層向上させることができると共に、繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができるフレキシブルプリント配線板、該フレキシブルプリント配線板の製造方法及び前記フレキシブルプリント配線板を備える電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機を示す図で、(a)は全体斜視図、(b)は要部を示す右側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A線方向の要部の断面図、(c)は(a)における破線部分の要部の拡大平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す要部の断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の変型例を示す要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の図面を参照して、本発明に係る電子機器及びフレキシブルプリント配線板の例として、いわゆるスライド式携帯電話機に用いられるフレキシブルプリント配線板をあげて説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【0017】
まず図1、図2を参照し、本発明に係る第1の実施形態を説明する。
図1に示すように、携帯電話機1は、いわゆるスライド式携帯電話機である。
この携帯電話機1は、主として筐体100とフレキシブルプリント配線板200とから構成される。
【0018】
前記筐体100は、携帯電話機1の本体部を形成するもので、図1に示すように、第1筐体110と第2筐体120とからなる1対の筐体で構成される。
また図1(a)に示すように、第1筐体110は液晶画面等の表示部111を備え、第2筐体120は操作ボタン等で構成される操作部121を備える。
また第1筐体110及び第2筐体120の内部には、図示しないLED等、携帯電話機が通常備える各種構成要素を内蔵している。
【0019】
前記フレキシブルプリント配線板200は、図1(b)に示すように、1対の筐体間に介在して両筐体の電気回路を接続するフレキシブルプリント配線板である。
より具体的には、1対の筐体たる第1筐体110の内部に備えられた回路基板112と第2筐体120の内部に備えられた回路基板122とを電気的に接続するためのものであり、第1筐体110と第2筐体120との間に屈曲された状態で配設される。
なお図1(b)には詳しく図示していないが、回路基板112及び回路基板122に設けられるコネクタ部と、フレキシブルプリント配線板200に設けられるコネクタ部とが接続されることで、回路基板112と回路基板122とがフレキシブルプリント配線板200を介して電気的に接続される。
【0020】
このフレキシブルプリント配線板200は、図2に示すように、領域として、両面配線部210の領域と屈曲部220の領域とを備える。
【0021】
前記両面配線部210の領域は、フレキシブルプリント配線板200において、配線回路が基板の表裏に形成される領域である。
この両面配線部210は、図2(b)に示すように、基板20と、ランドスルーホール21と、カバーレイ22とから構成される。
【0022】
前記基板20は、フレキシブルプリント配線板200の回路部を形成するもので、図2(b)に示すように、絶縁層20aの両面に導電層20bを積層することで形成される。
なお絶縁層20aとしては、ポリイミド等、フレキシブルプリント配線板の基板を構成する絶縁層として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また導電層20bとしては、銅箔等、フレキシブルプリント配線板の基板を構成する導電層として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
【0023】
前記ランドスルーホール21は、スルーホール21aに、いわゆるボタンめっきを施したものであり、基板20の表裏の導電層20bに形成される配線回路を電気的に接続するためのものである。
このランドスルーホール21は、図2(b)に示すように、基板20を貫通してなるスルーホール21aと、スルーホール21aの内孔Pの全表面にめっきすると共に、スルーホール21aの表裏開口部Qの周縁領域のみをランドRとしてめっきしてなる構成としている。このめっきにより構成された部分を導電体21bとしている。
ここで「ランド」とは、ランドスルーホール21において、基板20の表面にボタン状に突出した部分を指すものとする。
このように両面配線部210の構成を、基板20の表裏の導電層20bに形成される配線回路をランドスルーホール21で電気的に接続する構成とすることで、両面配線部210は、その一面で回路基板112及び回路基板122との電気接続を十分に確保しつつ、ランドスルーホール21を介して電気接続される他面に必要な配線回路を十分に構築することができる。
【0024】
前記カバーレイ22は、導電層20bに形成される配線回路を保護するためのものであり、図2(b)に示すように、カバーレイフィルム22aと、カバーレイ接着剤22bとから構成される。
カバーレイフィルム22aとしては、ポリイミド等、絶縁性を備えるフィルムであれば如何なるものであってもよい。
またカバーレイ接着剤22bとしては、熱硬化性樹脂等、カバーレイフィルム22aを基板20に貼り合わせるために通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
【0025】
なお図2(c)に示す、スルーホール21aの直径Sは0.1mm程度、ランドRの直径Tは0.3mm程度、導電層20bに形成される配線回路のうち、ランドR部分に形成される略円形の配線回路の直径Uは0.5mm程度とすることが望ましい。
【0026】
前記屈曲部220の領域は、図1(b)に示すように、フレキシブルプリント配線板200において、第1筐体110と第2筐体120とからなる1対の筐体100間に生じる空間に露出状態で配設されると共に、屈曲が繰り返して行われる領域である。
この屈曲部220は、図2(b)に示すように、基板20と、カバーレイ22とから構成される。
なお基板20及びカバーレイ22については、既述した両面配線部210を構成する基板20及びカバーレイ22と同一のものであることから、同一番号を付し、以下の説明を省略する。
【0027】
また本実施形態において屈曲部220は、図2(b)に示すように、基板20の表側面にのみ配線回路を形成すると共に、残る裏側面の導電層20bを除去した状態に構成してある。
このような構成とすることで、回路基板112と回路基板122とを電気接続させるための配線回路を基板20の表側面にのみ集約させることができ、屈曲部220の厚みを薄肉なものとすることができる。よって屈曲部220の屈曲性を一層向上させることができる。
従ってスライド式携帯電話機における上側筐体と下側筐体との隙間の狭小化による屈曲部の曲率半径の小径化にも対応可能であると共に、繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができる屈曲部220とすることができる。
なお本実施形態においては、屈曲部220において、基板20の表側面にのみ配線回路を形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、裏側面にのみ配線回路を形成する構成としてもよい。
【0028】
次に図3〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板200の製造方法を説明する。
本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板200は、スルーホール形成工程300と、レジストパターン形成工程400と、ランドスルーホールめっき工程500と、配線回路形成工程600と、カバーレイ積層工程700とを経て製造される。
【0029】
まずスルーホール形成工程300は、基板20にスルーホールを形成する工程である。
具体的には、図3上段に示すように、絶縁層20aの両面に導電層20bが積層された基板20にドリル穴加工等を用いてスルーホール21aを形成する。
なおスルーホール21aの直径は0.1mm程度とすることが望ましい。
【0030】
次にレジストパターン形成工程400は、ランドスルーホール21を形成したい部分のみにめっき液が接触するように、基板20をレジストパターンで被覆するための工程である。
具体的には、図3中段に示すように、スルーホール21aが形成された基板20の両面にレジストフィルム410を積層する。その後、図3下段の黒矢印で示すように、パターンマスク420を介して基板20の表側面及び裏側面を紫外線で露光し、現像することで、レジストフィルム410の不要な部分を除去する。これにより、図4最上段に示すように、ランドスルーホール21を形成したい部分のみを残し、基板20の表裏がレジストパターン430で被覆される。
【0031】
次にランドスルーホールめっき工程500は、スルーホール21aの内孔Pの全表面及び表裏開口部Qの周縁領域のみをランドRとしてめっきして被覆する工程である。
具体的には、図4中段に詳しくは図示していないが、スルーホール21aの内孔Pの全表面と表裏開口部Qの周縁領域のみをランドRとして、第1めっき工程たる無電解めっきを行う。この工程により、スルーホール21aの内孔Pの全表面と表裏開口部Qの周縁領域のみに図示しない導電性皮膜が形成される。
更にスルーホール21aの内孔Pの全表面と表裏開口部Qの周縁領域のみをランドRとして、第2めっき工程たる電解銅めっきを行う。
【0032】
なお本実施形態においては、第1めっき工程を無電解めっきを用いる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではない。例えばカーボン導電化処理を用いる構成とすることができる。
【0033】
その後、図4中段に示すように、レジストパターン430を剥離する。これにより、スルーホール21aの内孔Pの全表面をめっきすると共に、スルーホール21aの表裏開口部Qの周縁領域のみをランドRとしてめっきしてなる構成とされたランドスルーホール21が形成される。
またランドRにおいて、基板20の表面に突出した部分の長さVは、5μm〜20μmとすることが望ましい。
【0034】
次に配線回路形成工程600は、両面配線部210において基板表裏の導電層20bに配線回路を形成すると同時に、屈曲部220において基板20の裏側面の導電層20bを除去し且つ残る表側面にのみ配線回路を形成する工程である。
具体的には、図4最下段に示すように、ランドスルーホール21が形成された状態で、基板20の両面にレジストフィルム610を積層する。
【0035】
その後、図5上段及び中段の黒矢印で示すように、パターンマスク620を介して基板20の表側面及び裏側面を紫外線で露光し、現像することで、図5中段に示すように、屈曲部220における裏側面に積層されたレジストフィルム610のみを除去する。これにより、基板20の表裏がレジストパターン630で被覆される。
その後、図5最下段に示すように、エッチングにより、両面配線部210において基板表裏の導電層20bに配線回路を形成すると共に、屈曲部220において基板20の裏側面の導電層20bを除去し且つ残る表側面にのみ配線回路が形成される。
なお本実施形態においては、屈曲部220において、基板20の表側面にのみ配線回路を形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、裏側面にのみ配線回路を形成する構成としてもよい。
【0036】
その後、図6上段に示すように、レジストパターン630を剥離する。
【0037】
次にカバーレイ積層工程700は、導電層20bに形成される配線回路を絶縁、保護するために基板20の表裏にカバーレイ22を被覆するための工程である。
具体的には、図6下段に示すように、カバーレイ接着剤22bを介して基板20の表裏にカバーレイフィルム22aを貼り合わせる。
以上の工程を経てフレキシブルプリント配線板200が製造される。
【0038】
次に図7を参照して本発明の第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板200を説明する。
本発明の第2の実施形態は、屈曲部220の配線回路の層を電磁波シールド層で被覆する構成としたものである。その他の構成については、既述した本発明の第1の実施形態と同一である。同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号を付し、以下の説明を省略する。
【0039】
図7に示すように、電磁波シールド層800は、屈曲部220における配線回路を形成した層を被覆するもので、接着剤層810と、シールド層820と、絶縁層830とで構成される。
【0040】
前記接着剤層810は、電磁波シールド層800をカバーレイ22に貼り合わせるための層である。
この接着剤層810は、導電性接着剤で形成され、図7に示すように、その一部が、カバーレイ22に形成される回路接続用孔22cを介して導電層20bに形成される図示しないグランド回路と接続されている。
なお接着剤層810の厚みは、5μm〜25μm程度とすることが望ましい。
また導電性接着剤としては、エポキシ樹脂等、導電性接着剤として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
【0041】
前記シールド層820は、導電性材料からなる層である。
なお本実施形態においては、導電性材料として銀を用い、物理的蒸着法によりシールド層820を形成している。
またシールド層820の厚みは、0.1μm程度とすることが望ましい。
なお導電性材料としては、銀に限るものではなく、金、銅、アルミニウム、ニッケル等の他の導電性金属や、導電性粒子、導電性繊維、導電性樹脂等を用いる構成としてもよいが、銀を用いることが望ましい。
また導電性物理的蒸着法としては、スパッタ法、イオンビーム蒸着法等、物理的蒸着法として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
【0042】
前記絶縁層830は、電磁波シールド層800の絶縁層となるもので、絶縁フィルムで形成されている。
絶縁フィルムとしては、ポリイミド等、絶縁フィルムとして通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
なお絶縁層830の厚みは、3μm〜10μm程度とすることが望ましい。
【0043】
既述した接着剤層810とシールド層820と絶縁層830とを一体化し、屈曲部220において配線回路が形成される表側面のカバーレイ22に貼り合わせることで、電磁波シールド層800が形成される。
このように屈曲部220の配線回路の層を電磁波シールド層800で被覆することで、屈曲部220に形成される配線回路が電磁波ノイズにより誤差動等の悪影響を受けることを防止することができる。
更に屈曲部220において、表側面にのみ配線回路を形成すると共に、配線回路の層を被覆する電磁波シールド層800の厚みを8μm〜35μm程度とすることで、屈曲部220の厚みを薄肉なものとすることができる。よってスライド式携帯電話機における上側筐体と下側筐体との隙間の狭小化による屈曲部の曲率半径の小径化にも対応可能であると共に、繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができる屈曲部220とすることができる。
【0044】
次に図8を参照して本発明の第2の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板200の変形例を説明する。
本変形例は、電磁波シールド層の構成を変化させたものである。その他の構成については、既述した本発明の第2の実施形態と同一である。同一部材、同一機能を果たすものには、同一番号を付し、以下の説明を省略する。
【0045】
図8に示すように、電磁波シールド層800は、屈曲部220における配線回路を形成した層を被覆するもので、シールド層820と、絶縁層830とで構成される。
【0046】
前記シールド層820は、導電性材料からなる層である。
本実施形態においては、導電性材料として銀ペーストを用い、スクリーン印刷によりシールド層820をカバーレイ22上に形成している。
また図8に示すように、その一部が、カバーレイ22に形成される回路接続用孔22cを介して導電層20bに形成される図示しないグランド回路と接続されている。
またシールド層820の厚みは、15μm〜20μm程度とすることが望ましい。
【0047】
なお導電性材料としては、銀ペーストに限るものではなく、金、銅、アルミニウム、ニッケル等の他の導電性金属ペーストを用いる構成としてもよいが、銀ペーストを用いることが望ましい。
【0048】
前記絶縁層830は、電磁波シールド層800の絶縁層となるもので、絶縁コート剤を用い、スクリーン印刷によりシールド層820上に形成されている。
なお絶縁コート剤としては、シリコン系、セラミック系等、絶縁コート剤として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
また絶縁層830の厚みは、15μm〜20μm程度とすることが望ましい。
【0049】
既述したシールド層820をカバーレイ22上に形成した後に、絶縁層830をシールド層820上に形成することで、電磁波シールド層800が形成される。
このように屈曲部220の配線回路の層を電磁波シールド層800で被覆することで、屈曲部220に形成される配線回路が電磁波ノイズにより誤差動等の悪影響を受けることを防止することができる。
更に屈曲部220において、表側面にのみ配線回路を形成すると共に、配線回路の層を被覆する電磁波シールド層800の厚みを30μm〜40μm程度とすることで、屈曲部220の厚みを薄肉なものとすることができる。よってスライド式携帯電話機における上側筐体と下側筐体との隙間の狭小化による屈曲部の曲率半径の小径化にも対応可能であると共に、繰り返し屈曲に対する耐久性を向上させることができる屈曲部220とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は携帯電話機やハードディスク装置等の電子機器に用いられるフレキシブルプリント配線板及び該フレキシブルプリント配線板の製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 携帯電話機
20 基板
20a 絶縁層
20b 導電層
21 ランドスルーホール
21a スルーホール
21b 導電体
22 カバーレイ
22a カバーレイフィルム
22b カバーレイ接着剤
22c 回路接続用孔
100 筐体
110 第1筐体
111 表示部
112 回路基板
120 第2筐体
121 操作部
122 回路基板
200 フレキシブルプリント配線板
210 両面配線部
220 屈曲部
300 スルーホール形成工程
400 レジストパターン形成工程
410 レジストフィルム
420 パターンマスク
430 レジストパターン
500 ランドスルーホールめっき工程
600 配線回路形成工程
610 レジストフィルム
620 パターンマスク
630 レジストパターン
700 カバーレイ積層工程
800 電磁波シールド層
810 接着剤層
820 シールド層
830 絶縁層
P 内孔
Q 開口部
R ランド
S 直径
T 直径
U 直径
V 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表裏に配線回路を形成してある両面配線部の領域と、屈曲が繰り返して行われる屈曲部の領域とを備えたフレキシブルプリント配線板であって、前記両面配線部には、基板を貫通するスルーホールの内孔の全表面をめっきすると共に、スルーホールの表裏開口部の周縁領域のみをランドとしてめっきしてなるランドスルーホールを形成し、これによって前記両面配線部の表裏の配線回路を電気接続するように構成し、前記屈曲部には、基板表裏のうちの一方の面にのみ配線回路を形成してあることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
前記屈曲部の配線回路の層を電磁波シールド層で被覆してあることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
基板表裏の導電層に配線回路を形成してある両面配線部の領域と、屈曲が繰り返して行われる屈曲部の領域とを備えたフレキシブルプリント配線板であって、前記両面配線部において前記基板を貫通するスルーホールを形成するスルーホール形成工程と、該スルーホールの開口部周辺領域のみを残して基板の両面にレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、前記スルーホールの内孔の全表面及び開口部周縁領域をランドとしてめっきして被覆するランドスルーホールめっき工程と、前記両面配線部においては基板表裏の導電層に配線回路を形成し、且つ前記屈曲部においては基板表裏の一方の面の導電層を除去すると共に残る他方の面にのみ配線回路を形成する配線回路形成工程とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント配線板を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−146427(P2011−146427A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3943(P2010−3943)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】