説明

フレキシブルプリント配線板シートの製造方法およびフレキシブルプリント配線板シートの製造装置

【課題】 高い製造能率を得ながら、途中工程での品質評価、条件変更が可能で、かつ巻き癖矯正プロセスが不要なFPCの製造方法等を提供する。
【解決手段】中間製品の基材シート30bを搬送しつつ上下から長尺フィルムR1,R2で挟み接着して、長尺フィルム/基材シート/長尺フィルムのサンドイッチフィルム60をロールに巻き取る工程と、サンドイッチフィルムを繰り出しながら、サンドイッチフィルム60に対して加工を行う工程と、サンドイッチフィルムにおいて長尺フィルムを基材シートから剥離して、該基材シートを個別化する工程とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板シートの製造方法、およびフレキシブルプリント配線板シートの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置の磁気ヘッドを支持する支持金属箔と、信号伝達のための配線とが一体化されたフレキシブルプリント配線板(以下、「磁気ヘッド配線板」と記す)は、垂直磁気記録方式などの情報密度の増大にともなってさらに需要が増大している。このような磁気ヘッド配線板を、多量に高能率で製造するには、当該磁気ヘッド配線板を、数十個、含むシートを、一枚ずつバッチ処理する方法は不適である。このため、非常に長尺の基材を、加工処理部に供給し、そこで処理された基材をロールに巻いて、ロール状の基材をつぎの処理部に供給する方法(ロールツーロール方式)が開示された(特許文献1)。この方式によって、磁気ヘッド配線板を大量生産する場合に、バッチ処理方式よりも製造能率を高めることができる。
【特許文献1】特開2003−129282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のロールツーロール方式によれば、製造能率を向上できる要素はあるが、下記の問題がある。
(1)途中工程における品質評価または観察ができない。また、それに基づいて途中工程での条件変更を行うことができない。
(2)シートにロールの巻き癖がつき、平坦にするための工程を要する。
上記(1)および(2)は、ロールツーロール方式に固有の、製造能率および品質の低下要因である。このため、高い製造能率を得ながら、上記の問題のない大量生産方法の開発が望まれていた。
本発明は、高い製造能率を得ながら、途中工程での品質評価、およびその結果に対応した条件変更が可能で、かつ、巻き癖矯正の工程が不要なフレキシブルプリント配線板シートの製造方法、およびその製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のフレキシブルプリント配線板シートの製造方法は、複数のフレキシブルプリント配線板を含むフレキシブルプリント配線板シートの製造方法である。この製造方法では、フレキシブルプリント配線板シートとして完成される前の中間製品の基材シートを、複数、列状に搬送しつつ、該基材シートの上下から、長尺フィルムで挟み接着して、長尺フィルム/複数の基材シート/長尺フィルムのサンドイッチフィルムの状態でロールに巻き取る工程と、ロールから、サンドイッチフィルムを繰り出しながら、サンドイッチフィルムに対して加工を行う工程と、サンドイッチフィルムにおいて、長尺フィルムを基材シートから剥離して、該基材シートを個別化する工程とを備えることを特徴とする。
【0005】
上記の方法によれば、原料となる基材シートの最初の状態から加工終了の状態にいたる全工程のうち、サンドイッチフィルムの形態で処理したほうが製造能率がよい工程と、個別の基材シートの形態で処理したほうが都合がよい工程とに分けて、それぞれ、適切な形態で、処理を進行させることができる。そして、たとえば個別の基材シートの形態で品質評価を行った上で、その後、長尺のサンドイッチフィルムでの加工において条件を適切なものへと変更することができる。これによって、基材シートの製造途中の品質状態に応じて、柔軟に、長尺サンドイッチフィルムでの加工における製造条件を設定することができる。
また、個別シートが長尺フィルムに挟まれてロールに巻かれ、所定の処理後に、長尺ロールは剥離され、個別シートは個別化されるので、強い巻き癖はつかず、平坦化矯正のための工程は不要である。
さらに、製造ライン長さについても、完全な長尺連続処理に比べて、短くすることができる。このため、工場の場所的制約にも対処しやすい。
なお、ロールの語は、ロール状に巻かれたフィルム、長尺フィルムをロールに巻き取るロール芯部品、長尺フィルムに圧力を加えるための円筒体または円柱体などを表す。上記ロールの語は、本発明の趣旨にそって、また常識にしたがって、適切に解釈されるべきである。
【0006】
上記のサンドイッチフィルムに加工を行う工程では、サンドイッチフィルムを貫通する孔あけ加工をして、基材シートに貫通孔をあけることができる。これによって、処理の基準となる位置合わせ孔(基準孔)などの孔を、能率よくあけることができる。
【0007】
また、ロールに巻き取る工程では、上下の長尺シートの、少なくとも一方を長尺レジストフィルムとして、サンドイッチフィルムの状態でロールに巻き取り、サンドイッチフィルムに加工を行う工程では、ロールから、サンドイッチフィルムを繰り出しながら、長尺レジストフィルムに対してパターニング処理をしてレジストパターンを形成し、次いで、レジストパターンを含むサンドイッチフィルム中の基材シートに対して加工を行うことができる。これによって、製造能率の向上を得ることができる。能率向上の一部をあげれば、たとえば、基材シートに対する孔あけ加工以外の加工にはレジストパターンを用いるので、最初のレジストフィルムの形成を、一気に、長尺レジストフィルムの接着により遂行するので、この点だけでも能率を向上することができる。なお、上記の上下の長尺フィルムは、上下のうち、製品であるフレキシブルプリント配線板シートの構造により一方だけ長尺レジストフィルムとしてもよいが、たとえば磁気ヘッド配線板などは、上下とも長尺レジストフィルムとするほうが適切な構造を有している。
【0008】
上記のレジストパターンの形成工程の途中で、または当該レジストパターン形成の後で、サンドイッチフィルムをロールに巻き取り、その後、そのロールから前記サンドイッチフィルムを繰り出しながら、レジストパターン形成途中の後の工程へと、または形成されたレジストパターンに基づいて基材シートに対して加工を行う工程へと、進むことができる。これによって、各処理に特有の事情を考慮して一定レベル以上の加工精度を確保することができる。たとえば、レジストパターン形成工程のうちの露光工程では一定時間の露光が必須なので、サンドイッチフィルムの流れは、停止(露光中)および進行(次の露光位置への移動)が繰り返され、断続的に進行する。しかし、現像、洗浄、乾燥の工程では、サンドイッチフィルムは、たとえば現像液中の経過時間を一定だけ確保する必要があるので、能率的に処理しようとすると一定速度で連続的に流すのがよい。このような場合、ロールから引き出されて進行する1つのサンドイッチフィルムに、露光処理を行った後、一旦、ロールに巻き取るのがよい。次いで、そのロールからサンドイッチフィルムを引き出しながら現像→洗浄→乾燥を、一定速度で連続的に行うのがよい。また、めっき処理槽がライン上にない場合など、レジストパターンを形成した後、ロールに巻き取り、そのめっき処理槽の場所に移動して、当該めっき処理を行うのがよい。このような場合、処理の前後の位置関係に対する制約を緩和することができ、また製造ライン長さを短縮することが可能となる。
【0009】
製品として完成したフレキシブルプリント配線板シートの段階までに、サンドイッチフィルムの状態でロールに巻き取る工程から、基材シートに加工する工程を経て、基材シートを個別化する工程に至る、という同類型の処理が、複数回、行われることができる。これによって、複雑な加工処理を施さなければ完成されない製品の場合、信頼性の高い製品を得ながら、製造能率を高めることができる。たとえば、エッチング処理やめっき処理など複数の処理(第1および第2処理)が異なる部分に行われる製品の場合、第1および第2のレジストパターンをそれぞれの処理の前に形成する必要がある。第1処理のための第1レジストパターンの形成と、当該第1処理とを一つの連続したサンドイッチフィルム状態で行なう。その後、長尺フィルムは剥離して、基材シートを個別化する。このとき、個別の基材シートで品質検査を行うことができ、その品質状態に応じて、あとの処理条件の変更を設定する。このあと、第2処理のために第2レジストパターンを形成するが、その場合は、長尺フィルムを用いて、再びサンドイッチフィルムの形態にする。そしてサンドイッチフィルム状態で、第2の処理を行うことができる。そして、この第2処理の後、基材シートを個別化する。
サンドイッチフィルムでの処理と、個別の基材シートでの処理との組み合わせを、処理フローのなかで、回数を1回に限定せず、複数回行うことによって、非常に複雑な加工を施すことが必要な製品を、能率よく、高い品質とすることができる。なお、上記の長尺フィルムは、第1処理および第2処理ともに上下の長尺フィルムのうち、一方だけ長尺レジストフィルムでもよいが、磁気ヘッド配線板などは、第1処理および第2処理ともに、上下とも長尺レジストフィルムを用いるのが適切な構造を持つ。
【0010】
上記の基材シートを、ハードディスク装置の磁気ヘッド用の、弾性支持のための金属箔を含む配線板とすることができる。これによって、複雑で精密な加工が必要な、磁気ヘッド支持体(スレンレス箔など)と、配線板とが一体化されたフレキシブルプリント配線板を高品質を維持しながら能率よく製造することができる。
【0011】
本発明のフレキシブルプリント配線板シートの製造装置は、複数のフレキシブルプリント配線板を含むフレキシブルプリント配線板シートを製造する。この製造装置は、フレキシブルプリント配線板シートの中間製品である基材シートを、複数、上側の一枚の長尺フィルムと、下側の一枚の長尺フィルムとで挟むように接着して、長尺フィルム/複数の基材シート/長尺フィルムによって構成されるサンドイッチフィルムを作製する装置を備える。そのサンドイッチフィルム作製装置は、複数の基材シートを列状に搬送するための搬送ラインと、搬送ラインの上側および下側に軸線を持つ対のロールであって、互いのロール軸を並行させて、上下から供給される長尺フィルムを該ロール面により搬送ラインに沿わせながら、当該上下の長尺フィルムを、基材シートに押し付けて接着する、上下の押し付けロールと、長尺フィルムを供給するために、搬送ラインから見て上下の押し付けロールより遠い上側位置および下側位置に位置し、原料のロール長尺フィルムを回転可能に支持する、上側および下側のロール支持軸と、押し付けロールの後段に位置してサンドイッチフィルムをロールに巻き取る、巻き取り具とを備えることを特徴とする。
また、列に配置された基材シートを長尺フィルムで挟むというサンドイッチ形態なので、巻き癖は強固につかないので、平坦化処理工程を入れる必要がない。
【0012】
サンドイッチフィルムのロールから該サンドイッチフィルムを繰り出すために該ロールを回転可能に支持する支持軸と、繰り出されたサンドイッチフィルムに対して、位置合わせして貫通孔をあける孔あけ加工装置とを備えることができる。これによって、孔あけ加工等を能率良く行うことができる。
【0013】
また、上下の長尺フィルムの少なくとも一方を長尺レジストフィルムとして、サンドイッチフィルムのロールから該サンドイッチフィルムを繰り出すために該ロールを回転可能に支持する支持軸と、繰り出されたサンドイッチフィルムに対して、レジストパターン形成の露光のために位置合わせ保持する露光位置合わせ保持部とを備えることができる。このように、長尺フィルムをレジストフィルムとすることで、レジスト液塗布を上下面にする複数の工程をなくし、一気に上下面にレジストフィルムを形成することができる。また、レジストパターン形成後は、サンドイッチフィルム中に列状に並ぶ基材シートに対して、次々に連続して加工処理を行うことができる。この結果、製造能率を高めることができる。
【0014】
上記のサンドイッチフィルム中の基材シートに対して所定の処理をする後段に、連続して、長尺フィルムを基材シートから剥離して、該基材シートを個別化する、長尺フィルム剥離部を、さらに備えることができる。これによって、サンドイッチフィルム化→基材シート個別化を、能率よく行うことができる。そして、上記の装置構成は簡単にできるので、処理工程全体を見渡して、高い製造能率を追求することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、高い製造能率を得ながら、途中工程での品質評価、およびそれに対応した条件変更が可能で、かつ巻き癖矯正プロセスが不要なフレキシブルプリント配線板シートの製造方法、およびその製造装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるフレキシブルプリント配線板シート30を示す平面図である。ここで、フレキシブルプリント配線板をFPCと、またフレキシブルプリント配線板シートをFPCシートと略記する。このFPCシート30の全体は矩形であり、外枠の内側の製品領域に、FPC10が、複数、形成されている。このFPC10は、支持金属箔と、信号伝達のための配線とが一体化された、磁気ヘッド配線板である。図1において、FPCシート30には、めっきをする際に導通をとるめっきフレーム21が設けられている。
図1では、FPC10の配線11は、1本の太線で表示されているが、より詳しくは、図2に示すように、たとえば3本またはそれを超える本数の導線が並行している。配線11は、先端部が屈曲しており、その屈曲部が対向し、対をなすように配置される。配線11から延びてめっきリード部11kが設けられ、このめっきリード部11kは、めっきフレーム21に連結されている。配線11/めっきリード部11k/めっきフレーム21は、図1および図2において、同じ層(高さ、厚み方向位置)である配線層に位置している。
後の加工処理の説明のために、予め、金めっき処理領域(G領域)を紹介しておく。
(G領域):G領域では、配線11に接続のために金めっき層が形成されている。他の配線層の上には、カバー絶縁層9が位置するが、この接続用の金めっきされた箇所では、カバー絶縁層9は除去されている。また、G領域では、所定領域のステンレス箔が、くりぬかれる。
【0017】
図3は、本発明のFPCシート製造装置に含まれる中核装置であるサンドイッチフィルム作製装置50を示す図である。図3において、搬送装置51によって、FPCシートとして完成される前の中間製品の段階の基材シート30bが、搬送される。搬送装置51は、シート状物を搬送する既存の任意の装置を用いることができる。たとえば搬送方向に沿って配置された、複数のローラであってもよい。搬送ラインは、搬送装置が基材シート30bを支持するワーク接線(面)の、平面視中央部を結んで形成されている。
上下の押し付けロール55は、搬送ラインの上下に、互いにロール軸を並行させて、搬送ライン上の基材シート30bを挟むように位置している。押し付けロール55のロール面には、ロール支持軸57に支持された、長尺フィルムR1,R2のロールから長尺フィルムが、弧状に巻き付けられ、長尺フィルムR1,R2を搬送ラインに沿わせるようにする。押し付けロールは、相互の軸間距離を短くする方向に力が加えられるので、各押し付けロールの軸は上下方向に移動可能に配置されるのがよい。
長尺フィルムR1,R2は、ともにレジスト長尺フィルムであり、通常、ロールの形態で販売される。ロール支持軸57は、サンドイッチフィルム作製装置において、販売元から配布されたロール形態のレジストフィルムを、回転自由に支持する軸である。このロール支持軸57は、床に立つ支持フレームや壁などに水平に固定されてもよいし、ロール支持軸をブランコ状に両端で水平に支持して吊り下げる吊り下げ支持であってもよい。レジスト長尺フィルムR1,R2は、各ロール支持軸57に支持されたロールから、押し付けロール55に向かって引き出され、押し付けロール55のロール面に弧状に巻き付けられる。レジスト長尺フィルムR1,R2には、接着剤が塗布されており、その接着剤層が、基材シート30bに対向するようにする。押し付けロール55によって、レジスト長尺フィルムR1,R2は、接着剤層を介して基材シート30bに接着され、長尺フィルムR1/基材シート30b/長尺フィルムR2、で構成されるサンドイッチフィルム60にされる。サンドイッチフィルム60には、個別の複数の基材シート30bが一列になって、レジスト長尺フィルムR1,R2に挟まれている。
サンドイッチフィルム60は、巻き取り具(巻き取りロール)53によって巻き取られ、ロールにされる。サンドイッチフィルム60のロールは、次のレジストパターン形成工程(第1回目)へと送られる。
上記のサンドイッチフィルム作製装置50を用いてサンドイッチフィルム60を形成する工程は、FPCシート30を完成させるための、この後の工程において、複数回、用いられる。後工程ほど、中間製品の基材シート30bには、多くの加工が加えられている。
【0018】
次に、上述の基材シート30bの内容について具体的に説明する。図4(a)は、ステンレス箔1上にポリイミドの絶縁層2を形成した状態を示す。ステンレス箔1は、図示しない磁気ヘッドをディスク面から微小浮上させながら弾性支持するために用いられ、所定の弾性率が必要とされる。
次いで、図4(b)に示すように、ポリイミド層2上に、無電解めっきによって導体薄膜3を形成する。導体薄膜3は、電気めっきによって配線11を形成するための下地導電層となる。このステンレス箔1/ポリイミド層2/導体薄膜3が、最初にサンドイッチフィルム60が形成されるときの基材シート30bの内容である。すなわち、第1回目のサンドイッチフィルム形成工程では、図4(b)の断面をもつ基材シート30bが、図3に示す搬送装置51上を搬送されてくる。
図4(c)は、サンドイッチフィルム作製装置50によって作製されたサンドイッチフィルム60を示す断面図である。ただし、図4(c)に示す内容のサンドイッチフィルム60は、上述のように、FPCシート製造工程で最初(第1回目)に作製されるサンドイッチフィルム60である。
【0019】
図5は、サンドイッチフィルム60に対して一連の加工処理を行ったあと、レジスト長尺フィルムR1,R2を剥離するまでの、当該サンドイッチフィルムの断面を示す図である。
図5(a)は、図4(c)の状態のサンドイッチフィルム60のレジストフィルムR1,R2に対して、露光および現像を行って、レジストパターンとした状態を示す図である。レジストパターンは、ステンレス箔1のエッチングと、配線11をめっき処理で形成するためのパターンをもつ。
このレジストパターンを形成するための装置を、図6(a)〜(b)に示す。サンドイッチフィルム60をロールから繰り出すためのロールの支持軸61aが設けられる。繰り出されたサンドイッチフィルム60は、図6(a)に示すように、露光装置62において、図示しないレチクルを通してUV照射され、露光される。このとき、サンドイッチフィルム60の基材シート30bの所定領域が露光されるように、サンドイッチフィルム60を位置合わせ保持する、露光位置合わせ保持部62aを用いる。露光中は、サンドイッチフィルム60は進行を停止する。1回の露光が終わると、次の領域の露光のためにサンドイッチフィルム60をその分だけ進行させる。これを繰り返すので、サンドイッチフィルム60は、断続的に移動してゆく。すなわち、進行したり止まったりする。この間、ロールの巻き取り軸61bは断続的に回転と停止とを繰り返しながら、サンドイッチフィルム60を巻き取る。
次いで、図6(b)に示すように、支持軸61cから繰り出された、露光済みのサンドイッチフィルムは、現像液槽63中を通って現像される。このあと、洗浄・乾燥装置64を通って、所定部分を残し、不要部は除去され、パターンニングが完成する。この間、サンドイッチフィルム60は、各処理の領域を一定時間経過するように、一定の速度で進行させる。図6(a)の露光工程と、図6(b)の現像、洗浄乾燥の工程は、サンドイッチフィルム60の進行の態様が、一方(露光)は断続的であり、他方(現像等)は連続的であり、異なるので、連続して行うことはできず、露光後に一度、ロールに巻き取る。そして、そのロールからサンドイッチフィルム60を一定速度で繰り出しながら、現像等の処理を行う。
進行の移動の駆動力のために、ローラ65が配置される。図6(b)において、洗浄乾燥後、工場のスペースの都合により、ローラ65の代わりに、ここでいったん処理進行を中断するためのロール巻き取り装置としてもよい。
上記の支持軸61aに支持されたロールから繰り出されるサンドイッチフィルム60が、露光位置合わせ保持部62aによって、露光の位置合わせのために保持されるという機構は、従来のこの分野の装置にはなかったものである。サンドイッチフィルム60には、断続的に基材シートがレジスト長尺フィルムR1,R2によって挟まれており、露光位置合わせ保持器62aは、この基材シート30bの所定領域が露光されるように、位置合わせ保持する。
【0020】
サンドイッチフィルムの内容に戻って、図5(b)は、レジストフィルムR2に被覆されていないステンレス箔1の部分を、エッチングした状態を示す図である。次の図5(c)は、レジストフィルムR1に被覆されていない導体薄膜3の部分に電解めっきによって銅の配線11を形成した状態を示す図である。次いで、図5(d)に示すように、レジストフィルムR1,R2を剥離して、基材シート30bを個別化する。
図7は、図5(a)の状態から図5(d)の状態へとサンドイッチフィルム60に対して処理を行う装置を示す図である。上述のように、いったんロールに巻き取られる場合はそのロール(図示せず)から、また連続して処理する場合はローラ65(図5(a)参照)から、レジストパターンを含むサンドイッチフィルム60が、図5(b)に示すように、エッチング装置66に搬入される。エッチング装置66では、ステンレス箔をエッチングするエッチャントを放射され、エッチングされる。エッチング後に、洗浄および乾燥がなされる。次いで、電気めっき槽67中に浸漬され、銅めっき層11が形成され、図5(c)の状態が実現する。次いで、レジスト剥離装置68に搬入され、レジストフィルムR1,R2が剥離され、この結果、基材シート30bは個別化される。レジスト剥離装置68は、ドライプロセスのアッシング装置であってもよい。
レジスト剥離装置68は、基材シート30bに銅めっき処理をする後段に配置されており、レジスト長尺フィルムを基材シートから剥離して、基材シート30bを個別化する。サンドイッチフィルム中に列状に断続的に位置している基材シート30bに対して加工処理を行う装置の後段に、連続して、レジスト長尺フィルムR1,R2を剥離して、基材シート30bを個別化するという機構は、従来、この分野では、見られなかったものである。
【0021】
上記の処理工程は、第1回目の、サンドイッチフィルム形成→レジストフィルムへのパターニング→基材シートへの加工処理→レジストフィルム剥離および基材シートの個別化、のプロセスに対応する。
次に、個別化された基材シート30bについて、図8に示すように、露出している導体薄膜3の部分をエッチングして除去する。これは、配線11にのみ電気めっき処理によって金めっき層を形成するための準備である。
【0022】
次いで、図9(a)に示すように、レジスト長尺フィルムR3,R4によって、基材シート30bを挟んで、第2回目のサンドイッチフィルム60を作製して、レジストフィルムR3,R4に対してパターニングする。サンドイッチフィルム60の作製には、図3に示すサンドイッチフィルム作製装置50を用いる。図9(a)では、レジストフィルムR4に対してパターニングされている。パターニングは、上述のように、図6(a),(b)に示す装置を用いて行う。レジストフィルムR3,R4は、レジストフィルムR1,R2と同じものである。
次いで、図9(b)に示すように、エッチングにより、レジストフィルムR4から露出しているポリイミド層2の部分を除去する。この処理も、後で説明する金めっき処理のための準備である。
次いで、図9(c)に示すように、レジストフィルムR3,R4を剥離して、基材シート30bを個別化する。このレジストフィルム剥離では、図7におけるレジスト剥離装置68と同じ種類の装置を用いることができるが、共用することは望ましくない。図9(c)の個別化は、ポリイミド層2のエッチングの後で行うものであり、図示しないポリイミドエッチング装置の後段に配置する必要がある。ここまでが、第2回目の、サンドイッチフィルム形成→レジストフィルムへのパターニング→基材シートへの加工処理→レジストフィルム剥離および基材シートの個別化、のプロセスである。
【0023】
個別化された状態で基材シート30bでは、その後、図10(a)に示すように、配線11および導電薄膜3に、金めっき層15が形成される。金めっき処理においては、図1および図2に示しためっきフレーム21およびめっきリード部11kに電流が流れることになる。すなわち、陽イオンである金イオンが、めっきフレーム21およびめっきリード部11kを介して陰極に導通する、配線11および導電薄膜3に、付着する。なお、ステンレス箔1には図示しないレジストフィルムが被覆されている。この金イオンの付着によって金めっき層15が形成される。
この後、図10(b)に示すように、絶縁層9で被覆されてFPCシート30が完成される。図2に示すFPCシート30のG領域の断面が、図10(b)に表示されている。
【0024】
(本発明の実施の形態のFPCシートの製造方法におけるポイント)
図11は、本発明の実施の形態において、サンドイッチフィルムでの処理と、個別の基材シートでの処理とを分けて示すフローチャートである。ポイントは、個別の基材シート30bを、レジスト長尺フィルムで挟んで、サンドイッチフィルムを作製し、サンドイッチフィルムの形態で、一つの連続したフィルムの形態で処理をする処理工程と、個別の基材シートの形態で処理する処理工程とを、1回または2回以上繰り返す点にある。本実施の形態では、図11に示すように、2回繰り返している。これによって、(e1)基材シートを、直接、見て(視認して)、または検査をして、基材シートの現状を正確に知り、連続して能率よく進行することができるサンドイッチフィルムでの処理の条件に変更を加えることができ、高い能率と、製品の高品質とをバランスよくとることができる。また、(e2)FPCの製造にレジストパターンの使用は必須であり、このため最初のレジストフィルムの配置を長尺レジストフィルムの接着により一気に行うので、このレジストフィルムの配置という点に限っても能率向上を得ることができる。(e3)高い能率という観点から、完全な長尺連続処理に比べて、巻き癖は強固に生じないので、平坦化のための処理を加える必要がない。さらに、(e4)高い能率を極限まで追求する完全な長尺連続処理に比べて、製造ライン長さを短くすることができる。
FPC製造装置については、上記のFPC製造方法を実現するためのものであり、上記の製造方法の利点の実現に寄与する。
【0025】
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2におけるFPCシートの製造方法を説明するための図である。本実施の形態では、長尺フィルムにレジストフィルムを用いない点に特徴がある。接着剤付きの長尺フィルムを用いて、長尺フィルム/基材シート/長尺フィルムのサンドイッチフィルムが形成され、ロールに巻き取られる、という点では同じである。この場合、長尺フィルムに対してパターニングすることはなく、サンドイッチフィルム60に貫通孔を開ける孔あけ加工を行う。孔は、位置合わせのための孔、接続のための孔など、多くの孔があってよい。この孔あけ加工を行う処理は、基材シートの初期の段階でされることが多いが、後の段階で孔あけ加工する場合もある。この場合、長尺フィルムに長尺レジストフィルムを用いることもできるが、レジストフィルムは高価なので、非レジストの長尺フィルムを用いて、製造コストを抑えながら、高い製造能率を得ることが可能になる。
【0026】
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、高い製造能率と、製品の高品質とをバランスよく得ることができる。配線板は多くの電子製品の基礎部品であり、今後、複雑で高技術が集積された配線板の製造において威力を発揮することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1におけるFPCシートを示す平面図である。
【図2】図1のFPCにおける配線部の部分拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1のFPC製造装置におけるサンドイッチフィルム作製装置を示す図である。
【図4】基材シートの断面図であり、(a)はステンレス箔上にポリイミド層を形成した状態を、(b)はその上に導体薄膜を形成し、サンドイッチフィルム作製装置に投入する基材シートの状態を、(c)は基材シートを含むサンドイッチフィルムが形成されたときの状態を、示す図である。
【図5】図4(c)に引き続く、サンドイッチフィルムの断面図であり、(a)はレジストフィルムにパターニング処理を施した状態を、(b)はステンレス箔をエッチングした状態を、(c)は電気めっきにより配線を形成した状態を、(d)はレジストフィルムを剥離して基材シートを個別化した状態を、示す図である。
【図6】FPCシート製造装置におけるレジストパターンを形成する製造ラインの部分を示し、(a)はレジストフィルムに露光処理する装置を、また(b)は現像、洗浄乾燥の装置を示す図である。
【図7】基材シートに上記レジストパターンによって銅めっき処理等を行った後、レジスト剥離をして基材シートを個別化する処理装置を、示す図である。
【図8】個別の基材シートに導体薄膜の部分をエッチングした状態を示す図である。
【図9】第2回目のサンドイッチフィルムについての処理を示し、(a)はレジストパターンを形成した状態を、(b)はポリイミド層をエッチングした状態を、(c)はレジスト剥離して基材シートを個別化した状態を、示す図である。
【図10】(a)は個別の基材シートに金めっき処理をした状態を、(b)は絶縁層で被覆した状態を、示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1において、サンドイッチフィルムでの処理と、個別の基材シートでの処理とを分けて示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2において、サンドイッチフィルムに対する貫通孔あけ加工により、基材シートに孔あけ加工し、次いで個別の基材シートでの処理とを分けて示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
1 ステンレス箔、2 ポリイミド層(絶縁層)、3 導体薄膜、9 カバー絶縁層、10 配線板(FPC)、11 配線、11k めっきリード部、15 金めっき層、21 めっきフレーム、30 配線基板シート、30b 基材シート(中間製品)、50 サンドイッチフィルム作製装置、51 搬送装置、53 巻き取り具(ロール)、55 押し付けロール、57 ロール支持軸、60 サンドイッチフィルム、61a,61b,61c 支持軸、62 露光装置、62a 露光位置合わせ保持部、63 現像装置、64 洗浄・乾燥装置、65 駆動ローラ、66 エッチング装置、67 電気めっき槽、68 レジスト剥離装置、70 FPC製造装置、R1,R2,R3,R4 レジスト長尺フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレキシブルプリント配線板を含むフレキシブルプリント配線板シートの製造方法であって、
前記フレキシブルプリント配線板シートの中間製品の基材シートを、複数、列状に搬送しつつ、該基材シートの上下から、長尺フィルムで挟み接着して、長尺フィルム/複数の基材シート/長尺フィルムのサンドイッチフィルムの状態でロールに巻き取る工程と、
前記ロールから、前記サンドイッチフィルムを繰り出しながら、前記サンドイッチフィルムに対して加工を行う工程と、
前記サンドイッチフィルムにおいて、前記長尺フィルムを前記基材シートから剥離して、該基材シートを個別化する工程とを備えることを特徴とする、フレキシブルプリント配線板シートの製造方法。
【請求項2】
前記サンドイッチフィルムに加工を行う工程では、前記サンドイッチフィルムを貫通する孔あけ加工をして、前記基材シートに貫通孔をあけることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板シートの製造方法。
【請求項3】
前記ロールに巻き取る工程では、前記上下の長尺シートの、少なくとも一方を長尺レジストフィルムとして、前記サンドイッチフィルムの状態でロールに巻き取り、前記サンドイッチフィルムに加工を行う工程では、前記ロールから、前記サンドイッチフィルムを繰り出しながら、前記長尺レジストフィルムに対してパターニング処理をしてレジストパターンを形成し、次いで、前記レジストパターンを含むサンドイッチフィルム中の前記基材シートに対して加工を行うことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板シートの製造方法。
【請求項4】
前記レジストパターンの形成工程の途中で、または当該レジストパターン形成の後で、前記サンドイッチフィルムをロールに巻き取り、その後、そのロールから前記サンドイッチフィルムを繰り出しながら、前記レジストパターン形成途中の後の工程へと、または前記形成されたレジストパターンに基づいて基材シートに対して加工を行う工程へと、進むことを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板シートの製造方法。
【請求項5】
製品として完成したフレキシブルプリント配線板シートの段階までに、前記サンドイッチフィルムの状態でロールに巻き取る工程から、前記基材シートに加工する工程を経て、前記基材シートを個別化する工程に至る、という同類型の処理が、複数回、行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板シートの製造方法。
【請求項6】
前記基材シートが、ハードディスク装置の磁気ヘッド用の、弾性支持のための金属箔を含む配線板であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板シートの製造方法。
【請求項7】
複数のフレキシブルプリント配線板を含むフレキシブルプリント配線板シートの製造装置であって、
前記フレキシブルプリント配線板シートの中間製品である基材シートを、複数、上側の一枚の長尺フィルムと、下側の一枚の長尺フィルムとで挟むように接着して、前記長尺フィルム/複数の基材シート/長尺フィルムによって構成されるサンドイッチフィルムを作製する装置を備え、そのサンドイッチフィルム作製装置は、
前記複数の基材シートを列状に搬送するための搬送ラインと、
前記搬送ラインの上側および下側に軸線を持つ対のロールであって、互いのロール軸を並行させて、上下から供給される長尺フィルムを該ロール面により前記搬送ラインに沿わせながら、当該上下の長尺フィルムを、前記基材シートに押し付けて接着する、上下の押し付けロールと、
前記長尺フィルムを供給するために、前記搬送ラインから見て前記上下の押し付けロールより遠い上側位置および下側位置に位置し、原料のロール長尺フィルムを回転可能に支持する、上側および下側のロール支持軸と、
前記押し付けロールの後段に位置して前記サンドイッチフィルムをロールに巻き取る、巻き取り具とを備えることを特徴とする、フレキシブルプリント配線板シートの製造装置。
【請求項8】
前記サンドイッチフィルムのロールから該サンドイッチフィルムを繰り出すために該ロールを回転可能に支持する支持軸と、前記繰り出されたサンドイッチフィルムに対して、位置合わせして貫通孔をあける孔あけ加工装置とを備えることを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブルプリント配線板シートの製造装置。
【請求項9】
前記上下の長尺フィルムの少なくとも一方を長尺レジストフィルムとして、前記サンドイッチフィルムのロールから該サンドイッチフィルムを繰り出すために該ロールを回転可能に支持する支持軸と、前記繰り出されたサンドイッチフィルムの長尺フィルムに対して、レジストパターン形成の露光のために位置合わせ保持する露光位置合わせ保持部とを備えることを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブルプリント配線板シートの製造装置。
【請求項10】
前記サンドイッチフィルム中の基材シートに対して所定の処理をする後段に、連続して、前記長尺フィルムを前記基材シートから剥離して、該基材シートを個別化する、長尺フィルム剥離部を備えることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板シートの製造装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−87396(P2010−87396A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257255(P2008−257255)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】