説明

フレキシブルプリント配線板及びフレキシブルプリント配線板製造用積層物

【課題】導体配線の位置及び寸法の精度が高く、且つ微小な部品が位置精度よく実装され得る、多層化されたフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】本発明に係るフレキシブルプリント配線板は、屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層され第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、単一の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている第二の導体配線とを備える。前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲である。前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲である。前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多層化されたフレキシブルプリント配線板及びこのフレキシブルプリント配線板を製造するために用いられる積層物に関する。
【背景技術】
【0002】
小型・薄型の電子機器には多くのフレキシブルプリント配線板が使用されている。近年、電子機器への更なる高密度化・薄型の要求から、フレキシブルプリント配線板に多層化のニーズが高まると共に、その要求品質・コストが厳しいものとなっている。
【0003】
フレキシブルプリント配線板を多層化するためには、ポリイミドフィルム等からなる絶縁層(第一の絶縁層)と導体配線(第一の導体配線)とを備えるコア材に、更に絶縁層(第二の絶縁層)と導体配線(第二の導体配線)とを積層する必要がある。第二の絶縁層と第二の導体配線とを形成するための手法として、金属箔付き樹脂シートを使用する方法が挙げられる(特許文献1参照)。
【0004】
金属箔付き樹脂シートは、金属箔と半硬化状態にある樹脂層とが積層した構造を有する。この金属箔付き樹脂シートの樹脂層がコア材に重ねられ、この状態で金属箔付き樹脂シートとコア材が加熱されと共に加圧される。これにより樹脂層が流動して第一の導体配線間の隙間に樹脂層が充填されると共にこの樹脂層が熱硬化して、第二の絶縁層が形成される。この加熱加圧成形時には、樹脂層の流動性を促進するために、金属箔付き樹脂シートに弾性を有するクッション材が重ねられ、このクッション材を介して金属箔付き樹脂シートとコア材が加圧される。続いて、金属箔にエッチング処理等が施されることで第二の導体配線が形成される。
【0005】
近年のフレキシブルプリント配線板に対する更なる高密度化の要請の下、多層化されたフレキシブルプリント配線板には、導体配線の更なる微細化や、微小な部品が実装されることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2009/145224号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の多層化されたフレキシブルプリント配線板では、導体配線が微細化すると、特に第二の導体配線の位置及び寸法の精度が低くなってしまったり、微小な部品が実装される場合の実装位置の精度が低下してしまったりするという問題がある。このため、前記のような問題が発生する原因を明らかにすると共にそれを解消することが求められる。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、導体配線の位置及び寸法の精度が高く、且つ微小な部品が位置精度よく実装され得るフレキシブルプリント配線板及びこのフレキシブルプリント配線板を製造するために用いられる積層物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の発明に係るフレキシブルプリント配線板は、屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層されている第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、単一の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている第二の導体配線とを備え、前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であり、前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であり、前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下である。
【0010】
第二の発明に係るフレキシブルプリント配線板は、屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層されている第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、複数の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている第二の導体配線とを備え、前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であり、前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層を構成する複数の層のうち前記第一の絶縁層に直接積層している層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であり、前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下である。
【0011】
第一の発明において、前記第二の絶縁層が、金属箔とこの金属箔に積層されている半硬化状態にある第一の樹脂層とを備える金属箔付き樹脂シートにおける、前記第一の樹脂層の硬化物から形成されていることが好ましい。
【0012】
第二の発明において、前記第二の絶縁層が、金属箔、この金属箔に積層されている第二の樹脂層、及びこの第二の樹脂層に対して金属箔側とは反対側に積層されている半硬化状態にある第二の樹脂層を備える金属箔付き樹脂シートにおける、前記第二の樹脂層及び前記第一の樹脂層の硬化物から形成されていることが好ましい。
【0013】
前記金属箔付き樹脂シートにおける第一の樹脂層のレジンフローが5〜25質量%の範囲であることが好ましい。
【0014】
前記金属箔付き樹脂シートにおける前記第一の樹脂層の厚みが10〜40μmの範囲であることが好ましい。
【0015】
第一及び第二の発明に係るフレキシブルプリント配線板は、前記第一の絶縁層と前記第一の導体配線とを備えるコア材に、前記金属箔付き樹脂シートにおける前記第一の樹脂層を重ねて加圧成形する工程を含む方法で製造され、前記工程において加圧成形時に前記金属箔付き樹脂シートにクッション材が重ねられないことが好ましい。
【0016】
前記第一の樹脂層が、エポキシ樹脂、硬化剤、及びカルボジイミド変性可溶性ポリアミドを含有するエポキシ樹脂組成物から形成されていることが好ましい。
【0017】
前記エポキシ樹脂組成物中の前記カルボジイミド変性可溶性ポリアミドの含有量が40〜70質量%の範囲であることが好ましい。
【0018】
前記エポキシ樹脂がナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0019】
前記ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂が、下記構造式(1)乃至(3)で表される化合物のうち少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0020】
【化1】

【0021】
前記硬化剤が、下記構造式(4)で表されるアミノトリアジンノボラック樹脂と、ジシアンジアミドとのうち少なくとも一方を含有することが好ましい。
【0022】
【化2】

【0023】
前記カルボジイミド変性可溶性ポリアミドが、可溶性ポリアミド100質量部とカルボジイミド化合物0.5〜20質量部との反応生成物を含有することが好ましい。
【0024】
前記エポキシ樹脂組成物が、フェノキシ樹脂を含有することが好ましい。
【0025】
前記エポキシ樹脂組成物が、リン変性エポキシ樹脂、リン変性フェノキシ樹脂、及びリン系難燃剤から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0026】
前記第一の絶縁層にスルーホールが形成され、前記スルーホール内に前記第二の絶縁層の一部が充填されていることが好ましい。
【0027】
第三の発明に係るフレキシブルプリント配線板製造用積層物は、屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層されている第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、単一の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている金属箔とを備え、前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であり、前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であり、前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下である。
【0028】
第四の発明に係るフレキシブルプリント配線板用積層物は、屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層されている第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、複数の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている金属箔とを備え、前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であり、前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層を構成する複数の層のうち前記第一の絶縁層に直接積層している層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であり、前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、導体配線の位置及び寸法の精度が高く、且つ微小な部品が位置精度よく実装され得る、多層化されたフレキシブルプリント配線板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第一の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板を示す概略の断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板を示す概略の断面図である。
【図3】(a)は第一の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板を製造するために使用される金属箔付き樹脂シートを示す断面図、(b)は第二の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板を製造するために使用される金属箔付き樹脂シートを示す断面図である。
【図4】第一及び第二の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造工程の一例を示す概略の断面図である。
【図5】第一の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板を製造するために使用されるフレキシブルプリント配線板製造用積層物の一例を示す概略の断面図である。
【図6】第二の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板を製造するために使用されるフレキシブルプリント配線板製造用積層物の一例を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
フレキシブルプリント配線板1の第一の実施形態を図1に示す。このフレキシブルプリント配線板1は、第一の絶縁層2、第一の導体配線3、第二の絶縁層4、及び第二の導体配線5を備えている。
【0032】
第一の絶縁層2は屈曲性を有する。この第一の絶縁層2はポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等の種々の可撓性の高い絶縁性材料から形成される。第一の絶縁層2の厚みは適宜設定されるが、12〜50μmの範囲であることが好ましい。第一の導体配線3は、第一の絶縁層2の表面上に形成される。この第一の導体配線3は、第一の絶縁層2の厚み方向の片面上のみに形成されていてもよく、第一の絶縁層2の厚み方向の両面上に共に形成されていてもよい。
【0033】
第二の絶縁層4は単一の層からなる。この第二の絶縁層層4は、第一の絶縁層2上に積層され、且つこの第二の絶縁層4は第一の導体配線3を覆うように形成される。第一の導体配線3の線間には第二の絶縁層4の一部が充填されている。第二の導体配線5は第二の絶縁層4の表面上に形成される。尚、特に断りのない限り、第一の絶縁層2に順次積層されている要素の表面とは、各要素における第一の絶縁層2とは反対側の面のことをいう。
【0034】
フレキシブルプリント配線板1は、更に上記とは別の絶縁層及び導体配線が積層されることで、更に多層化されていてもよい。
【0035】
本実施形態においては、第一の導体配線3の厚み(図1中の符号a)が10〜30μmの範囲であり、第一の導体配線3のライン幅(図1中の符号d)は50μm〜1mmの範囲であり、第一の導体配線3のライン間隔(図1中の符号e)は50μm〜1mmの範囲である。第一の絶縁層2の表面上には、更に第一の導体配線とは異なる導体配線、すなわち厚みが10〜30μmの範囲ではなく、或いはライン幅が50μm〜1mmの範囲ではなく、或いはライン間隔が50μm〜1mmの範囲ではない導体配線が形成されていてもよい。
【0036】
第一の導体配線3の表面から第二の絶縁層4の表面までの厚み(図1中の符号b)は5〜30μmの範囲である。
【0037】
更に、第二の絶縁層4における、第一の導体配線3を覆っている部分の表面のうねり(図1中の符号c)が10μm以下である。うねりとは、前記部分の表面のうねり曲線から、一つの凹部及びこの凹部を介して隣合う二つの凸部をランダムに抜き出した場合の、二つの凸部に外接する直線と、この直線と平行で且つ前記凹部に外接する直線との間の距離である。うねりが10μm以下であるとは、第二の絶縁層4における、第一の導体配線3を覆っている部分の表面において、いかなる位置で前記のように凹部及び凸部を抜き出しても、うねりの値が10μm以下になるということ、換言すればうねりの値の最大値が10μm以下であるということである。このうねりは、例えば表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製の型番SURF TEST SV−3000など)などを用いて測定される。
【0038】
これにより、フレキシブルプリント配線板1の充分な屈曲性が維持されつつ、このフレキシブルプリント配線板1における第二の導体配線5の位置及び寸法の精度が高くなり、且つこのフレキシブルプリント配線板1に微小な部品が位置精度よく実装され得るようになる。すなわち、第一の導体配線3の厚みが10〜30μmの範囲であることで第一の導体配線3が信号配線等として充分に機能し得ると共に第一の導体配線3のライン間における第二絶縁層の充填性が高くなる。更に、第一の導体配線3の表面から第二の絶縁層4の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であることで、第一の導体配線3が第二の絶縁層4によって充分に絶縁されると共にフレキシブルプリント配線板1の充分な屈曲性が確保され、更に第二の絶縁層4の表面形状に対して第一の導体配線3の形状が影響しにくくなって第二の絶縁層4の表面にうねりが生じにくくなる。更に、第一の導体配線3のライン幅が50μm〜1mm、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であることで、第一の導体配線3のパターンが充分に微細化すると共に第一の導体配線3が信号配線等として充分に機能し得るようになり、更に第一の導体配線3のライン間における第二の絶縁層4の充填性が高くなる。更に、第二の絶縁層4の表面のうねりが10μm以下であることで、第二の絶縁層4の表面の平滑性が高くなる。このため、第二の導体配線5がエッチング処理等により形成される過程における処理の位置精度、例えばエッチング処理時に形成されるエッチングレジストの形成位置の精度が向上し、これにより第二の導体配線5の位置及び寸法の精度が高くなる。更に第二の絶縁層4の表面が平滑になることで第二の絶縁層4上には微小な部品が安定して配置され得るようになり、これにより微小な部品が位置精度よく実装されるようになる。
【0039】
このフレキシブルプリント配線板1の第一の絶縁層2には、スルーホール6が形成されていてもよい。この場合、スルーホール6内には第二の絶縁層4の一部が充填される。スルーホール6の開口径は例えば80μm〜500μmの範囲とされる。
【0040】
フレキシブルプリント配線板1の第二の実施形態を図2に示す。このフレキシブルプリント配線板1は、第一の絶縁層2、第一の導体配線3、第二の絶縁層4、及び第二の導体配線5を備えている。
【0041】
第一の絶縁層2は屈曲性を有する。この第一の絶縁層2はポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等の種々の可撓性の高い絶縁性材料から形成される。第一の絶縁層2の厚みは適宜設定されるが、12〜50μmの範囲であることが好ましい。第一の導体配線3は、第一の絶縁層2の表面上に形成される。この第一の導体配線3は、第一の絶縁層2の厚み方向の片面上のみに形成されていてもよく、第一の絶縁層2の厚み方向の両面上に共に形成されていてもよい。
【0042】
第二の絶縁層4は第一の絶縁層2上に積層され、且つこの第二の絶縁層4は第一の導体配線3を覆うように形成される。第一の導体配線3の線間には第二の絶縁層4の一部が充填されている。第二の導体配線5は第二の絶縁層4の表面上に形成される。
【0043】
第二の絶縁層4は、第三の絶縁層41及び第四の絶縁層42からなる。第三の絶縁層41は第一の絶縁層2に直接積層している。第四の絶縁層42は第三の絶縁層41に積層している。第二の絶縁層4は更に二以上の複数の層からなってもよい。
【0044】
フレキシブルプリント配線板1は、更に上記とは別の絶縁層及び導体配線が積層されることで、更に多層化されていてもよい。
【0045】
本実施形態においては、第一の導体配線3の厚み(図1中の符号a)が10〜30μmの範囲であり、第一の導体配線3のライン幅(図1中の符号d)は50μm〜1mmの範囲であり、第一の導体配線3のライン間隔(図1中の符号e)は50μm〜1mmの範囲である。第一の絶縁層2の表面上には、更に第一の導体配線とは異なる導体配線、すなわち厚みが10〜30μmの範囲ではなく、或いはライン幅が50μm〜1mmの範囲ではなく、或いはライン間隔が50μm〜1mmの範囲ではない導体配線が形成されていてもよい。
【0046】
第一の導体配線3の表面から第三の絶縁層の表面までの厚み(図1中の符号b)は5〜30μmの範囲である。
【0047】
更に、第二の絶縁層4における、第一の導体配線3を覆っている部分の表面のうねり(図1中の符号c)が10μm以下である。うねりとは、前記部分の表面のうねり曲線から、一つの凹部及びこの凹部を介して隣合う二つの凸部をランダムに抜き出した場合の、二つの凸部に外接する直線と、この直線と平行で且つ前記凹部に外接する直線との間の距離である。うねりが10μm以下であるとは、第二の絶縁層4における、第一の導体配線3を覆っている部分の表面において、いかなる位置で前記のように凹部及び凸部を抜き出しても、うねりの値が10μm以下になるということ、換言すればうねりの値の最大値が10μm以下であるということである。このうねりは、例えば表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製の型番SURF TEST SV−3000など)などを用いて測定される。
【0048】
これにより、フレキシブルプリント配線板1の充分な屈曲性が維持されつつ、このフレキシブルプリント配線板1における第二の導体配線5の位置及び寸法の精度が高くなり、且つこのフレキシブルプリント配線板1に微小な部品が位置精度よく実装され得るようになる。すなわち、第一の導体配線3の厚みが10〜30μmの範囲であることで第一の導体配線3が信号配線等として充分に機能し得ると共に第一の導体配線3のライン間における第二絶縁層の充填性が高くなる。更に、第一の導体配線3の表面から第三の絶縁層41の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であることで、第一の導体配線3が第三の絶縁層41によって充分に絶縁されると共にフレキシブルプリント配線板1の充分な屈曲性が確保され、更に第二の絶縁層4の表面形状に対して第一の導体配線3の形状が影響しにくくなって第二の絶縁層4の表面にうねりが生じにくくなる。更に、第一の導体配線3のライン幅が50μm〜1mm、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であることで、第一の導体配線3のパターンが充分に微細化すると共に第一の導体配線3が信号配線等として充分に機能し得るようになり、更に第一の導体配線3のライン間における第二の絶縁層4の充填性が高くなる。更に、第二の絶縁層4の表面のうねりが10μm以下であることで、第二の絶縁層4の表面の平滑性が高くなる。このため、第二の導体配線5がエッチング処理等により形成される過程における処理の位置精度、例えばエッチング処理時に形成されるエッチングレジストの形成位置の精度が向上し、これにより第二の導体配線5の位置及び寸法の精度が高くなる。更に第二の絶縁層4の表面が平滑になることで第二の絶縁層4上には微小な部品が安定して配置され得るようになり、これにより微小な部品が位置精度よく実装されるようになる。
【0049】
このフレキシブルプリント配線板1の第一の絶縁層2には、スルーホール6が形成されていてもよい。この場合、スルーホール6内には第二の絶縁層4の一部が充填される。スルーホール6の開口径は例えば80μm〜500μmの範囲とされる。
【0050】
以下、第一及び第二の実施形態によるフレキシブルプリント配線板1の構成材料の更なる詳細、並びにフレキシブルプリント配線板1の製造方法について、説明する。
【0051】
第一の絶縁層2及び第一の導体配線3は、例えばフレキシブル積層板から形成される。フレキシブル積層板は、第一の絶縁層2と、第一の絶縁層2の片面又は両面に積層されている金属箔から構成される。第一の絶縁層2の材質、好ましい厚み等は既に説明したとおりである。フレキシブル積層板は、例えば第一の絶縁層2に銅箔などの金属箔が接着或いは熱融着されることで形成される。
【0052】
このフレキシブル積層板の金属箔にエッチング処理等の処理が施されることで、第一の導体配線3が形成される。更に第一の絶縁層2に開口が形成されると共にこの開口内にホールめっきが施されることでスルーホール6が形成されてもよい。これにより、第一の絶縁層2と第一の導体配線3とから構成されるコア材11(図3参照)が得られる。
【0053】
このコア材11上に第二の絶縁層4が形成される。第二の絶縁層4は、例えば樹脂層を備える部材を利用して形成される。この場合、樹脂層から第二の絶縁層4が形成される。樹脂層を備える部材の好ましい例として、金属箔付き樹脂シート9が挙げられる。
【0054】
第一の実施形態によるフレキシブルプリント配線板を作製するための金属箔付き樹脂シート9は、図3(a)に示されるように、半硬化状態にある第一の樹脂層7を備え、銅箔等の金属箔10と第一の樹脂層7とが直接積層している構造を有する。第二の実施形態によるフレキシブルプリント配線板を作製するための金属箔付き樹脂シート9は、図3(b)に示されるように、半硬化状態にある第一の樹脂層7と、この第一の樹脂層7とは異なる第二の樹脂層8とを備え、第一の樹脂層7、第二の樹脂層8及び銅箔等の金属箔10が順次積層した構造を有する。第一の樹脂層7は、例えば半硬化された熱硬化性樹脂組成物から形成される。
【0055】
第一の実施形態によるフレキシブルプリント配線板が作製される場合、図4に示されるように、金属箔付き樹脂シート9が、コア材11の片面又は両面に、第一の樹脂層7によって第一の導体配線3が覆われるように重ねられる。この状態で金属箔付き樹脂シート9とコア材11とがこれらの積層する方向に加圧されると共に加熱される。これにより、まず第一の樹脂層7が軟化して第一の導体配線3のライン間に充填され、更に第一の絶縁層2にスルーホール6が形成されている場合にはスルーホール6内にも充填される。続いて第一の樹脂層7が熱硬化する。これにより、第一の樹脂層7の硬化物が第二の絶縁層4となる。
【0056】
コア材11と金属箔付き樹脂シート9が上記手法により積層一体化すると、図5に示されるような、第一の絶縁層2の片面上又は両面上に第一の導体配線3、第二の絶縁層4、金属箔10が順次積層している構造を有する、フレキシブルプリント配線板製造用積層物14が得られる。
【0057】
このフレキシブルプリント配線板製造用積層物14においては、第一の導体配線3の厚み(図5中の符号a)が10〜30μmの範囲であり、第一の導体配線3の表面から第二の絶縁層4の表面までの厚み(図5中の符号b)が5〜30μmの範囲である。更に、第一の導体配線3のライン幅(図5中の符号d)は50μm〜1mmの範囲であり、第一の導体配線3のライン間隔(図5中の符号e)は50μm〜1mmの範囲である。更に、第二の絶縁層4における第一の導体配線3を覆っている部分の金属箔10と接する側の表面のうねり(図5中の符号c)が10μm以下である。更に、フレキシブルプリント配線板1の第一の絶縁層2にスルーホール6が形成される場合には、フレキシブルプリント配線板製造用積層物14における第一の絶縁層2にもスルーホール6が形成される。
【0058】
第二の実施形態によるフレキシブルプリント配線板が作製される場合も、図3に示されるように、金属箔付き樹脂シート9が、コア材11の片面又は両面に、第一の樹脂層7によって第一の導体配線3が覆われるように重ねられる。この状態で金属箔付き樹脂シート9とコア材11とが一対の熱盤12間に配置され、熱盤12によって加圧されると共に加熱される。これにより、まず第一の樹脂層7が軟化して第一の導体配線3のライン間に充填され、更に第一の絶縁層2にスルーホール6が形成されている場合にはスルーホール6内にも充填される。続いて第一の樹脂層7が熱硬化する。これにより、第二の樹脂層8又はその硬化物が第四の絶縁層42となり、第一の樹脂層7の硬化物が第三の絶縁層41となって、第二の樹脂層4が形成される。
【0059】
コア材11と金属箔付き樹脂シート9が上記手法により積層一体化すると、図6に示されるような、第一の絶縁層2の片面上又は両面上に第一の導体配線3、第二の絶縁層4、金属箔10が順次積層している構造を有し、且つ第二の絶縁層4が第三の絶縁層41及び第四の絶縁層42からなる、フレキシブルプリント配線板製造用積層物14が得られる。
【0060】
このフレキシブルプリント配線板製造用積層物14においては、第一の導体配線3の厚み(図5中の符号a)が10〜30μmの範囲であり、第一の導体配線3の表面から第三の絶縁層41の表面(第三の絶縁層41と第四の絶縁層42との界面)までの厚み(図5中の符号b)が5〜30μmの範囲である。更に、第一の導体配線3のライン幅(図5中の符号d)は50μm〜1mmの範囲であり、第一の導体配線3のライン間隔(図5中の符号e)は50μm〜1mmの範囲である。更に、第二の絶縁層4における第一の同地逅配線3を覆っている部分の金属箔10と接する側の表面のうねり(図5中の符号c)が10μm以下である。更に、フレキシブルプリント配線板1の第一の絶縁層2にスルーホール6が形成される場合には、フレキシブルプリント配線板製造用積層物14における第一の絶縁層2にもスルーホール6が形成される。
【0061】
これらの積層物14における最外層の金属箔10にエッチング処理などの配線形成のための公知の処理が施されることで、第二の導体配線5が形成さる。すなわち、例えば金属箔10上に第二の導体配線5のパターンに応じたエッチングレジストが形成され、続いてエッチング処理により金属箔10におけるエッチングレジストで被覆されていない部分が除去され、続いてエッチングレジストが除去される。エッチングレジストが形成される際には、第二の絶縁層4の表面のうねりが小さいため、エッチングレジストの位置及び形状の精度が高くなり、このためエッチング処理により形成される第二の導体配線5の位置及び形状の精度も高くなる。これにより第一の実施形態又は第二の実施形態によるフレキシブルプリント配線板1が得られる。
第一又は第二の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1の製造時において、金属箔付き樹脂シート9とコア材11とが熱盤12により加熱加圧される際には、金属箔付き樹脂シート9と熱盤12との間に必要に応じて成形用の硬質なプレート13が介在してもよい。但し、金属箔付き樹脂シート9と熱盤12との間には、従来のフレキシブルプリント配線板1の製造時に常用されていた軟質な或いは弾性を有する部材(クッション材、例えば三井化学社製のTPXフィルム(商品名オピュラン)は介在しないことが好ましい。この場合、成形時のクッション材の変形によって第二の絶縁層4にうねりが生じてしまうようなことがなくなり、第二の絶縁層4の平滑性が高くなる。
【0062】
これらのような金属箔付き樹脂シート9においては、第一の樹脂層7のレジンフローが5〜25質量%の範囲であることが好ましい。レジンフローの測定にあたっては、金属箔付き樹脂シート9から切り出される100mm×100mmの寸法の試験片が加熱温度170℃、加圧力1.57MPa(16kg/cm)の条件で10分間加熱・加圧される。この場合に第一の樹脂層7が軟化してその一部が金属箔10からはみ出して流れ出る。この金属箔10からはみ出した樹脂の、試験片における第一の樹脂層7全体に対する質量割合が、レジンフローである。レジンフローの測定にあたっては、加圧力を正確に制御したり金属箔10からはみ出した樹脂量を正確に測定したりするために、複数の試験片を総質量が10g程度になるように重ねた状態で、この複数枚の試験片を加熱加圧することが好ましい。
【0063】
第一の樹脂層7のレジンフローが前記範囲にあると、第一の樹脂層7が軟化して第一の樹脂層7のライン間に充填され或いは更にスルーホール6内に充填される際の、第一の樹脂層7の流動性が非常に高くなり、このため第二の絶縁層4の表面にうねりが生じにくくなる。更に、第一の樹脂層7を備える部材とコア材11とが加熱加圧される際にクッション材が使用されない場合であっても、第一の樹脂層7の流動性が非常に高いことから、第一の樹脂層7が第一の導体配線3のライン間、或いは更にスルーホール6内に充填されやすくなり、このため第二の絶縁層4の表面のうねりが抑制されると共に第一の導体配線3のライン間及びスルーホール6内に第二の絶縁層4の未充填が生じにくくなる。
【0064】
金属箔付き樹脂シート9における第一の樹脂層7の厚みは10〜40μmの範囲であることが好ましい。第一の樹脂層7の厚みが10μm以上であれば、第二の絶縁層4の表面のうねりが充分に抑制されると共に、軟化した第一の樹脂層7が第一の導体配線3のライン間、或いは更にスルーホール6内に特に充填されやすくなる。一方、第一の樹脂層7の厚みが40μm以下であれば、第二の絶縁層4の厚みの増大が抑制されて、フレキシブルプリント配線板1の厚みが充分に薄くなると共にフレキシブルプリント配線板1の屈曲性が充分に確保される。
【0065】
金属箔付き樹脂シート9における金属箔10の厚みに特に制限はないが、例えば9〜70μmの厚みに形成される。金属箔付き樹脂シート9が第二の樹脂層8を備える場合の第二の樹脂層8の厚みにも特に制限はないが、5〜25μmの範囲であることが好ましい。
【0066】
第一の樹脂層7は高いレジンフローを有することが好ましく、更にこの第一の樹脂層7から形成される第二の絶縁層4が高い屈曲性、耐熱性、耐薬品性等を備えることが好ましい。このため第一の樹脂層7を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物の組成は非常に重要である。前記のような第一の樹脂組成物が形成されるためには、熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂、硬化剤、及びカルボジイミド変性可溶性ポリアミドを含有するエポキシ樹脂組成物であることが好ましい。
【0067】
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂には、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、酸化型エポキシ樹脂等が含まれ得る。グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、ヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂等が含まれ得る。グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、芳香族アミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。酸化型エポキシ樹脂としては、脂環型エポキシ樹脂が挙げられる。ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール骨格とビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂(ビフェニルノボラックエポキシ樹脂)、リン変性エポキシ樹脂(後述)等が挙げられる。エポキシ樹脂はハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0068】
特にエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂は、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。この場合、フレキシブルプリント配線板1の耐熱性、耐マイグレーション性、耐薬品性が向上する。ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、上記構造式(1)〜(3)で示される化合物のうちの少なくとも一種であることが好ましく、この場合、フレキシブルプリント配線板1の耐熱性、耐マイグレーション性、耐薬品性が更に向上する。
【0069】
エポキシ樹脂組成物中の硬化剤には、ポリアミン、変性ポリアミン、酸無水物、ヒドラジン誘導体、ポリフェノール等が含まれ得る。ポリアミンとしては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン等が挙げられる。このうち脂肪族ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられる。脂環式ポリアミンとしては、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ラロミン等が挙げられる。芳香族ポリアミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。酸無水物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水トリメリット酸、無ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、脂肪族二塩基酸ポリ無水物等が挙げられる。ポリフェノール系の硬化剤としては、フェノールノボラック、キシレンノボラック、ビスAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック等が挙げられる。硬化剤はアミノトリアジンノボラック樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等を含んでもよい。
【0070】
特に硬化剤は、上記構造式(4)で表されるアミノトリアジンノボラック樹脂とジシアンジアミドとのうち、少なくとも一種を含むことが好ましい。この場合、第一の樹脂層7が長期間に亘って安定してBステージ状態に保たれるようになる(保存安定性が向上する)と共に、フレキシブルプリント配線板1の難燃性及び耐薬品性が向上する。
【0071】
エポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂、硬化剤及びカルボジイミド変性可溶性ポリアミドの合計量に対して、10〜45質量%の範囲であることが好ましい。
【0072】
エポキシ樹脂組成物中に含有されるカルボジイミド変性可溶性ポリアミドは、例えば可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とが、溶媒の存在下又は不存在下で例えば50〜250℃の反応温度で反応することで生成する。
【0073】
可溶性ポリアミドは、アルコールと芳香族系の有機溶媒及びケトン系の有機溶媒のうちの少なくとも一方との混合物100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上が完全に溶解可能なポリアミドである。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。芳香族系の有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。ケトン系の有機溶媒としては、シクロヘキサノン、2−ブタノン、シクロペンタノン等が挙げられる。これらのアルコール、芳香族系溶媒及びケトン系溶媒の沸点は130℃以下であることが好ましい。
【0074】
可溶性ポリアミドは、例えば可溶性ポリアミド以外のポリアミド(可溶化前のポリアミド)に可溶化のための処理が施されることで得られる。この可溶化のための処理の方法としては、例えば、可溶化前のポリアミドのアミド基中の水素原子をメトキシメチル基で一部置換する方法が挙げられる。この方法によってポリアミドにメトキシ基が導入されるとアミド基から水素結合能力が失われることでポリアミドの結晶性が阻害され、これによりポリアミドの溶媒への溶解性が増大する。可溶化のための処理の方法として、可溶化される前のポリアミドの分子中にポリエーテルやポリエステルを導入して共重合体とする方法も挙げられる。可溶化前のポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46等が挙げられる。
【0075】
可溶性ポリアミドの具体例としては、デュポン株式会社製のZytel 61(商品名)、ゼネラルミルズ社製のVersalon(商品名)、東レ株式会社製のアミランCM4000(商品名)、東レ株式会社製のアミランCM8000(商品名)、富士化成工業株式会社製のPA−100(商品名)、ナガセケムテックス株式会社製のトレジン(商品名)等が挙げられる。
【0076】
カルボジイミド化合物は、1分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物である。カルボジイミド化合物としてはモノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物等が挙げられる。カルボジイミド化合物は、例えば、触媒である有機リン系化合物又は有機金属化合物の存在下で、各種ポリイソシアネートが無溶媒又は不活性溶媒中で約70℃以上の温度で脱炭酸縮合反応することで合成される。
【0077】
モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等が挙げられる。これらの中では、工業的に入手が容易であるという観点からは、ジシクロヘキシルカルボジイミド、あるいはジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
【0078】
ポリカルボジイミド化合物は、種々の方法により製造される。例えばポリカルボジイミド化合物は、従来公知のポリカルボジイミドの製造方法(例えば、米国特許第2941956号明細書、J. Org. Chem. 28, 2069−2075 (1963)、Chemical Review 1981, Vol.81 No.4, p619−621を参照)により製造される。
【0079】
カルボジイミド化合物は、1分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するのであれば特に限定されないが、反応性や耐加水分解安定性の向上効果などの点から、4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド等の、分子中に2個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。特に脂肪族系又は脂環族系ポリカルボジイミド化合物が好ましい。ポリカルボジイミド化合物の重合度は2〜30の範囲であることが好ましく、2〜20の範囲であればより好ましい。この重合度が2以上であるとプリント配線板の耐熱性が更に向上する点で好ましく、重合度が20以下であるとエポキシ樹脂組成物中の成分間の相溶性が向上する点で好ましい。
【0080】
ポリカルボジイミド化合物の製造のために使用されるポリイソシアネートとしては、有機ジイソシアネートが挙げられる。有機ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物が挙げられる。具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルジイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、フレキシブルプリント配線板1の可撓性や耐湿性を向上する観点からは、脂肪族系(脂環族を含む)有機ジイソシアネートが好ましく、特にイロホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートやこれらの混合物がより好ましい。
【0081】
ポリカルボジイミド化合物の製造時には、ポリイソシアネートの重合反応時に反応系が冷却されるなどして重合反応が途中で停止されることでポリカルボジイミド化合物の重合度が適切に制御され得る。この場合、ポリカルボジイミド化合物の分子の末端はイソシアネート基となる。ポリカルボジイミド化合物の重合度が更に適切に制御されるためには、イソシアネート基と反応し得るモノイソシアネート化合物等の化合物(以下、末端封止剤という)がポリカルボジイミド化合物の分子の末端にあるイソシアネート基の全部又は一部と反応することで、ポリカルボジイミド化合物のイソシアネート基の全部又は一部が封止されてもよい。ポリカルボジイミド化合物の重合度が適切に制御されると、可溶性ポリアミドとポリカルボジイミド化合物との相溶性が向上すると共に第一の樹脂層7を備える部材の保存安定性が向上する。
【0082】
末端封止剤として使用され得るモノイソシアネート化合物としては、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
【0083】
モノイソシアネート化合物以外の末端封止剤が使用されてもよい。モノイソシアネート化合物以外の末端封止剤としては、イソシアネート基と反応し得る活性水素化合物が挙げられる。このような活性水素化合物としては、例えば、(i)脂肪族、芳香族又は脂環族の化合物であって、−OH基を有する、メタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の化合物;(ii)=NH基を有するジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の化合物;(iii)−NH基を有するブチルアミン、シクロヘキシルアミン;(iv)−COOH基を有するコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸等の化合物;(v)−SH基を有するエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等の化合物;(vi)エポキシ基を有する化合物;(vii)無水酢酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物等が挙げられる。
【0084】
有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応は、適当なカルボジイミド化触媒の存在下で進行し得る。カルボジイミド化触媒としては、有機リン系化合物、有機金属化合物(一般式M−(OR)で表され、Mはチタン(Ti)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(ZR)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等の金属元素、Rは炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基、nはMの価数を示す。)が好適である。
【0085】
これらのカルボジイミド化触媒のうち、特に反応活性を向上する観点からは、有機リン系化合物のうちからフォスフォレンオキシド類が用いられること、並びに有機金属化合物のうちからチタン、ハフニウム、又はジルコニウムのアルコキシド類が用いられることが好ましい。フォスフォレンオキシド類の具体例としては、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシド又はこれらの二重結合異性体が挙げられる。これらのフォスフォレンオキシド類のうち、工業的に入手が容易である点では、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドが用いられることが好ましい。
【0086】
カルボジイミド変性可溶性ポリアミドは、可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とが溶媒の存在下又は不存在下で反応することで生成する。この場合、可溶性ポリアミドが有するカルボキシル基やアミノ基等の反応性官能基と、これらと反応可能なカルボジイミド化合物のカルボジイミド基やイソシアネート基とが反応する。
【0087】
可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とを溶媒の存在下で反応させる方法としては、例えば、可溶性ポリアミド及びカルボジイミド化合物を溶媒中に加え、これにより得られる溶液を加熱しながら攪拌することで反応を進行させる方法が挙げられる。特にまず可溶性ポリアミドを溶媒に加え、これにより得られる溶液に更にカルボジイミド化合物を添加し、続いてこの溶液をリフラックス(還流)下で加熱攪拌することで反応を進行させることが好ましい。この反応後の溶液から溶媒を常圧下又は減圧下で除去すると、カルボジイミド変性可溶性ポリアミドが得られる。
【0088】
可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とを溶媒の不存在下で反応させる方法としては、例えば、融点以上の温度に加熱されることで溶融した可溶性ポリアミドにカルボジイミド化合物を混合することで反応を進行させる方法や、可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物を二軸押出機により溶融混練すること混合しながら反応を進行させる方法などが挙げられる。
【0089】
可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とが反応する際の、可溶性ポリアミド100質量部に対するカルボジイミド化合物の割合は0.5〜20質量部の範囲であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。この場合、フレキシブルプリント配線板1の耐湿性及び耐熱性が十分に向上すると共に、フレキシブルプリント配線板1の可塑性が高くなり過ぎたり耐衝撃性が損なわれたりしにくくなる。すなわち、カルボジイミド化合物の割合が0.5質量部以上であることでフレキシブルプリント配線板1の耐湿性や耐熱性が十分に向上する。一方、この割合が20質量部以下であることでフレキシブルプリント配線板1の可塑性が高くなり過ぎたり耐衝撃性が損なわれたりしにくくなる。
【0090】
可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物との反応時には、反応系に可溶性ポリアミドの変性を阻害する化合物が存在しないことが好ましく、特に反応系にはカルボジイミド化合物、可溶性ポリアミド及び必要に応じて用いられる溶媒のみが存在することが好ましい。可溶性ポリアミドの変性を阻害する化合物の具体例としては、エポキシ樹脂、アミン系樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0091】
可溶性ポリアミドをカルボジイミド化合物との反応時間は、可溶性ポリアミドやカルボジイミド化合物の種類、反応方法、反応温度等に応じて適宜設定されるが、1〜500分間の範囲であることが好ましく、5〜200分間の範囲であれば更に好ましい。
【0092】
可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物との反応時の反応系の温度も、可溶性ポリアミドやカルボジイミド化合物の種類、反応方法、反応温度等に応じて適宜設定されるが、50〜250℃の範囲であることが好ましい。特に可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とが溶媒の存在下で反応する場合には、反応系の温度は50〜150℃の範囲であることが好ましく、70〜130℃の範囲であればより好ましい。一方、可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とが溶媒の不存在下で反応する場合、反応系の温度は130〜250℃の範囲であることが好ましく、150〜220℃であればより好ましい。この反応系の温度が50℃以上であると、可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物との反応が充分に速くなって可溶性ポリアミドの変性が速やかに生じるため、工業的な面からは好ましい。更に、この反応系の温度が250℃以下であると、樹脂の分解などによる生成物の劣化が生じにくくなる点で好ましい。
【0093】
このように可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物が反応すると、可溶性ポリアミドが変性してカルボジイミド変性可溶性ポリアミドとなる。この反応が進行すると、それに伴ってカルボジイミド化合物が有するカルボジイミド基が減少する。このため、原料と生成物をそれぞれ赤外分光法により測定すると、生成物について測定される赤外吸収スペクトル中ではカルボジイミド基に帰属されるピークが減少する。更に、原料と生成物の示差熱重量分析をおこなうと、原料ではアミド樹脂に起因する吸収ピークやカルボジイミド樹脂に起因する吸収ピークなどの複数の吸収ピークが観測されるが、生成物では吸熱ピークは1つに集約される。これらにより、可溶性ポリアミドが変性されたことが確認される。
【0094】
カルボジイミド変性可溶性ポリアミドを含有する組成物は、可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とを含む組成物と比較して、保存安定性に優れている。すなわち、可溶性ポリアミドとカルボジイミド化合物とを含む組成物は、溶液化すると増粘し、更にゲル化しやすくなるのに対し、カルボジイミド変性可溶性ポリアミドを含有する組成物は増粘などの変化が生じにくいため、長期間の保管が可能となる。
【0095】
エポキシ樹脂組成物中のカルボジイミド変性可溶性ポリアミドの含有量は、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂、硬化剤、及びカルボジイミド変性可溶性ポリアミドの含有量の合計量に対して20〜70質量%の範囲であることが好ましい。このカルボジイミド変性可溶性ポリアミドの含有量が20質量%以上であるとフレキシブルプリント配線板1の屈曲性が向上し、この含有量が70質量%以下であるとフレキシブルプリント配線板1の難燃性及び耐熱性が向上する。
【0096】
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じ、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の硬化促進剤を含有してもよい。
【0097】
エポキシ樹脂組成物は更にフェノキシ樹脂を含有することが好ましい。この場合、フレキシブルプリント配線板1の屈曲性が更に向上する。フェノキシ樹脂には、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF型共重合型フェノキシ樹脂、リン変性フェノキシ樹脂(後述)等が含まれ得る。エポキシ樹脂組成物中のフェノキシ樹脂の含有量はエポキシ樹脂組成物全量に対して5〜30質量%の範囲であることが好ましい。
【0098】
エポキシ樹脂組成物は、リン変性エポキシ樹脂、リン変性フェノキシ樹脂、ホスファゼン等のリン系難燃剤のうちの少なくとも1種類を含有することも好ましい。この場合、フレキシブルプリント配線板1の難燃性が更に向上する。エポキシ樹脂組成物全量に対するリン変性エポキシ樹脂、リン変性フェノキシ樹脂及びリン系難燃剤の含有量の合計の割合は、10〜40質量%の範囲であることが好ましい。
【0099】
リン変性エポキシ樹脂は、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイドと1,4−ナフトキノンとを反応させ、さらにクレゾールノボラック樹脂を反応させることで得られる。
【0100】
リン変性フェノキシ樹脂の分子骨格の主体はフェノキシ樹脂からなり、且つこのリン変性フェノキシ樹脂1モル中にリン元素を例えば数個(1〜5個程度)含有している。
【0101】
リン系難燃剤の例としては、ホスファゼン、モノマー型リン酸エステル、縮合型リン酸エステル、反応型リン系難燃剤、リン酸塩、ホスファゼン化合物等が挙げられる。モノマー型リン酸エステルの具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシニルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、クレジルビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。縮合型リン酸エステルの具体例としては、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート等が挙げられる。反応型リン系難燃剤の具体例としては、ビスフェノールAビスフェニールホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホォスフェナンスレン−10−オキシド、2−(ジフェニルホスフィニル)ハイドロキノン等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、ポリリン酸メラミン、エチレンジアミンリン酸塩等が挙げられる。ホスファゼン化合物の具体例としては、ホスホニトリル酸フェニルエステル、シアノフェノール・フェノール混合置換シクロホスファゼン、ホスホニトリルクロリド・ハイドロキノン・フェノール縮合物等が挙げられる。
【0102】
エポキシ樹脂組成物はフィラーを含有しないことが好ましい。一般に水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどのフィラーが難燃剤として用いられることがあるが、このようなフィラーは使用されないことが好ましい。この場合、フレキシブルプリント配線板が屈曲されても第二の絶縁層4に細かなクラックが生じにくくなり、フレキシブルプリント配線板の外観の悪化が抑制される共に第二の絶縁層4による高い絶縁信頼性が維持される。
【0103】
エポキシ樹脂組成物は、上記のような成分が配合されることで調製される。更にエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、粘度調整のために有機溶剤を含有してもよい。
【0104】
このようにして得られるエポキシ樹脂組成物がカルボジイミド変性可溶性ポリアミドを含有することで、このエポキシ樹脂組成物の保存安定性、密着性、屈曲性、及び充填性が高くなる。すなわち、カルボジイミド変性可溶性ポリアミドは、可溶性ポリアミドが有するカルボキシル基やアミノ基等の反応性官能基と、これらと反応可能なカルボジイミド化合物のカルボジイミド基やイソシアネート基とが反応することで生成するため、低温下でエポキシ樹脂と反応しにくい。そのため、エポキシ樹脂組成物の保存安定性が高くなると共に、このエポキシ樹脂組成物から形成される第一の樹脂層7を備える部材の保存安定性及びプレス成形性が高くなる。更に、エポキシ樹脂組成物及び第一の樹脂層7の取り扱い性及び加工性(保存安定性やプレス成形性)と、フレキシブルプリント配線板1の各種特性(密着性、屈曲性、充填性など)が両立し得るようになる。
【0105】
更に、エポキシ樹脂組成物がカルボジイミド変性可溶性ポリアミドを含有することで、プリント配線板用エポキシ樹脂組成物の絶縁性が向上すると共に、難燃性、耐熱性、耐薬品性が更に向上する。
【0106】
上記のような組成を有するエポキシ樹脂組成物からは、レジンフローの高い第一の樹脂層7が形成され得る。第一の樹脂層7のレジンフローは、エポキシ樹脂組成物の塗膜が加熱・乾燥されることで第一の樹脂層7が形成される場合の、加熱温度や加熱速度が調整されることにより、容易に調整され得る。
【0107】
金属箔10と第一の樹脂層7から構成される金属箔付き樹脂シート9は、金属箔10上にエポキシ樹脂組成物が塗布され、更にこのエポキシ樹脂組成物が加熱・乾燥されて半硬化することで作製され得る。この場合、エポキシ樹脂組成物の半硬化物からなる第一の樹脂層7が形成される。エポキシ樹脂組成物の加熱・乾燥時の加熱条件は適宜設定されるが、加熱温度は130℃〜160℃の範囲、加熱時間は2〜10分間の範囲であることが好ましい。
【0108】
金属箔10、第二の樹脂層8、及び第一の樹脂層7から構成される金属箔付き樹脂シート9における第二の樹脂層8は、例えば金属箔10上に液状のポリイミド樹脂などの液状樹脂が塗布され、この液状樹脂が硬化又は半硬化することで形成される。この場合、液状樹脂の硬化物又は半硬化物からなる第二の樹脂層8が形成される。或いは、例えば金属箔10上に液状のポリイミド樹脂などの液状樹脂が塗布され、更にこの液状樹脂にポリイミドフィルム等の樹脂フィルムが重ねられることで第二の樹脂層8が形成される。この場合、液状樹脂の硬化物又は半硬化物と樹脂フィルムとからなる第二の樹脂層8が形成される。第二の樹脂層8にエポキシ樹脂組成物が塗布され、更にこのエポキシ樹脂組成物が加熱・乾燥されて半硬化することで、エポキシ樹脂組成物の半硬化物からなる第一の樹脂層7が形成される。
【実施例】
【0109】
(カルボジイミド化合物の合成)
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート590g、シクロヘキシルイソシアネート62.6g及びカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)6.12gを180℃で48時間反応させることによって、カルボジイミド化合物である4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド樹脂(重合度10)を得た。
【0110】
(カルボジイミド変性可溶性ポリアミドの合成)
1リットルのセパラブルフラスコにエステル共重合アミド樹脂(商品名:「CM8000」、東レ株式会社製)50.0gとイソプロピルアルコールとトルエンとの混合溶媒(質量混合比4:6)450.0gとを加えて撹拌することにより溶解させた。こうして得られた溶液に上記カルボジイミド化合物(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド樹脂)5.0gを加え、フラスコを120℃のオイルバスに浸漬させてリフラックス下で3時間加熱撹拌した後に、減圧乾燥して溶媒を除去することにより、カルボジイミド変性可溶性ポリアミドを得た。
【0111】
このカルボジイミド変性可溶性ポリアミドの赤外分光光度測定を行ったところ、2120cm−1にカルボジイミド基の存在を示す吸収ピークが認められた。さらにカルボジイミド変性可溶性ポリアミドの示差走査熱量測定を行ったところ、1つの吸熱ピークが観測された。更に、カルボジイミド変性可溶性ポリアミドのガラス転移温度(Tg)は120℃、5%重量減温度は320℃、溶液の粘度は860mPa・sであった。
【0112】
このカルボジイミド変性可溶性ポリアミドを、イソプロピルアルコールとトルエンとの混合溶媒(質量混合比4:6)に加えることで、固形分濃度11質量%のカルボジイミド変性可溶性ポリアミドの溶液を得た。
【0113】
(積層物の作製)
表1に記載の配合組成に従い、実施例1〜19及び比較例1,2のエポキシ樹脂組成物(固形分量30質量%)を調製した。表1の配合組成は全て固形分比率である。
【0114】
【表1】

【0115】
・エポキシ樹脂A:上記構造式(1)で表されるエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製。品番NC−7000L。)
・エポキシ樹脂B:上記構造式(2)で表されるエポキシ樹脂(DIC株式会社製。品番EXA−9900。)
・エポキシ樹脂C:上記構造式(3)で表されるエポキシ樹脂(DIC株式会社製。品番HP−4700。)
・エポキシ樹脂D:ハロゲンを含有せず、フェノール骨格とビフェニル骨格を有するビフェニルノボラックエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製。品番NC−3000。)
・エポキシ樹脂E:リン変性エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製。品番FX−289EK75。樹脂固形分量70質量%のメチルエチルケトン溶液)。
・硬化剤A:上記構造式(4)(式中のRがH)で表されるフェノールノボラック型のアミノトリアジンノボラック樹脂(DIC株式会社製。品番LA−7052。樹脂固形分量60質量%のメチルエチルケトン溶液。)。
・硬化剤B:上記構造式(4)(式中のRがCH)で表されるクレゾールノボラック型アミノトリアジンノボラック樹脂(DIC株式会社製。品番LA−3018−50P。樹脂固形分量50質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液。)。
・硬化剤C:フェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製。品番TD−2090−60M。樹脂固形分量60重量%のメチルエチルケトン溶液。)。
・硬化剤D:ジシアンジアミド。
・フェノキシ樹脂:フェノキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製。品番YP−50。樹脂固形分量65質量%のメチルエチルケトン溶液。)。
・硬化促進剤:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製。品番2E4MZ。)
・ホスファゼン:下記構造式(5)で表されるホスファゼン(大塚化学株式会社製。品番SPB−100。)。
【0116】
【化3】

【0117】
・リン変性フェノキシ樹脂:リン変性フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製。品番ERF−001M30。ジグライム、キシレン、メチルセロソルブ、DMF及びトルエン(質量混合比10:5:30:10:15)の混合溶媒溶液。樹脂固形分量30質量%。)
実施例1〜6及び比較例1、2では銅箔(厚み12μm)の上にエポキシ樹脂組成物を、コンマコータ及びこれに接続されている乾燥機を用いて塗布し、続いてこのエポキシ樹脂組成物を加熱・乾燥することで、表2〜4に示される厚みの第一の樹脂層を形成した。第一の樹脂層を形成するにあたり、エポキシ樹脂組成物の乾燥速度を各実施例及び比較例において変更することで、第一の樹脂層のレジンフローを調整した。これにより金属箔(銅箔)及び第一の樹脂層を備える金属箔付き樹脂シートを得た。
【0118】
実施例7〜19では、銅箔(厚み12μm)上に接着されたポリイミドフィルム(厚み8μm、パナソニック電工株式会社製、品番R−F552)の上にエポキシ樹脂組成物をコンマコータ及びこれに接続されている乾燥機を用いて塗布し、続いてこのエポキシ樹脂組成物を加熱・乾燥することで、表2〜4に示される厚みの第一の樹脂層を形成した。第一の樹脂層を形成するにあたり、エポキシ樹脂組成物の乾燥速度を各実施例において変更することで、第一の樹脂層のレジンフローを調製した。これにより金属箔(銅箔)、第一の樹脂層及び第二の樹脂層を備える金属箔付き樹脂シートを得た。
【0119】
各実施例及び比較例における第一の樹脂層のレジンフローを測定した結果を、表2〜4に示す。
【0120】
厚み25μmのポリイミドフィルムからなる第一の絶縁層と、このポリイミドの両面上に積層された表2〜4に示す厚みを有する銅箔とを備えるフレキシブル積層板を用意した。このフレキシブル積層板の両面の銅箔にエッチング処理を施すことで、導体配線を形成した。更に、第一の絶縁層に孔あけ加工を施して開口を形成し、この開口の内面にホールめっきを施すことで、開口径200μmのスルーホールを形成した。これによりコア材を得た。各実施例及び比較例におけるコア材の導体配線の厚み、ライン幅、及びライン間隔を表2〜4に示す。
【0121】
このコア材の両側に金属箔付き樹脂シートを重ねてからこれらを熱盤間に配置した。実施例1〜19並びに比較例1では金属箔付き樹脂シートと熱盤との間には金属プレートを配置したが、クッション材は配置しなかった。一方、比較例2では金属箔付き樹脂シートと熱盤との間には金属プレートを配置し、更に金属プレートと金属箔付き樹脂シートとの間にクッション材を配置した。この状態でコア材と金属箔付き樹脂シートとを熱盤により加圧すると共に加熱した。加熱時間は180℃、圧力1.5MPa、加熱時間は1時間であった。
【0122】
これにより、評価用の積層物を得た。この積層物は、コア材に由来する第一の絶縁層及び導体配線と、金属箔付き樹脂シートに由来する第二の絶縁層及び金属箔を備え、このうち実施例7〜19で得られた積層物は第二の絶縁層が第三の絶縁層及び第四の絶縁層で構成されている。実施例1〜6及び比較例1,2で得られた積層物での導体配線の表面から第二の絶縁層の表面までの厚み、並びに実施例7〜19で得られた積層物での導体配線の表面から第三の絶縁層の表面までの厚みを、表2〜4に示す。
【0123】
(うねり評価)
各実施例及び比較例で得られた積層物の最外層の銅箔を全面エッチング処理により全て除去することで、第二の絶縁層の表面を露出させた。この第二の絶縁層における導体配線を覆っている部分の表面のうねりを、表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製、型番SURF TEST SV−3000)を用いて測定した。その結果を表2〜4に示す。
【0124】
(充填性評価)
各実施例及び比較例で得られた積層物を破断して、断面に現れた導体配線の線間及びスルーホール内における第二の絶縁層が充填されている様子を観察した。その結果、未充填が認められなかった場合を「良」、未充填が認められた場合を「不良」と評価した。その結果を表2〜4に示す。
【0125】
(屈曲性評価)
各実施例及び比較例で得られた積層物の最外層の銅箔をエッチングにより全て除去してから、その屈曲性を、MIT法による試験結果によって評価した。測定条件は、R=0.38mm、荷重を500g、折り曲げ回数を毎分175回とした。導体配線の導通不良が生じるまでに要した折り曲げ回数で評価した。
【0126】
(配線精度評価)
各実施例及び比較例で得られた積層物における最外層の銅箔の表面上にドライフィルム型フォトレジストからなるエッチングレジストを形成した。エッチングレジストのパターン形状は、ライン幅100μm、ライン間隔100μmの第二の導体配線が形成されるように設計した。続いてこの銅箔にエッチング処理を施してから、エッチングレジストを除去した。これにより、第二の導体配線を形成した。
【0127】
この第二の導体配線の位置精度、及び寸法精度を光学顕微鏡観察により評価した。第二の導体配線のパターンに細りや断線が認められない場合を合格と評価し、細りや断線等の異常がある場合を不合格と評価した。その結果を表2〜4に示す。
【0128】
【表2】

【0129】
【表3】

【0130】
【表4】

【符号の説明】
【0131】
1 フレキシブルプリント配線板
2 第一の絶縁層
3 第一の導体配線
4 第二の絶縁層
41 第三の絶縁層
42 第四の絶縁層
6 スルーホール
7 第一の樹脂層
8 第二の樹脂層
9 金属箔
10 金属箔付き樹脂シート
14 フレキシブルプリント配線板製造用積層物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層されている第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、単一の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている第二の導体配線とを備え、前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であり、前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であり、前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下であるフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層されている第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、複数の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている第二の導体配線とを備え、前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であり、前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層を構成する複数の層のうち前記第一の絶縁層に直接積層している層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であり、前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下であるフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
前記第二の絶縁層が、金属箔とこの金属箔に積層されている半硬化状態にある第一の樹脂層とを備える金属箔付き樹脂シートにおける、前記第一の樹脂層の硬化物から形成されている請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
前記第二の絶縁層が、金属箔、この金属箔に積層されている第二の樹脂層、及びこの第二の樹脂層に対して金属箔側とは反対側に積層されている半硬化状態にある第二の樹脂層を備える金属箔付き樹脂シートにおける、前記第二の樹脂層及び前記第一の樹脂層の硬化物から形成されている請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
前記金属箔付き樹脂シートにおける第一の樹脂層のレジンフローが5〜25質量%の範囲である請求項3又は4に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項6】
前記金属箔付き樹脂シートにおける前記第一の樹脂層の厚みが10〜40μmの範囲である請求項3乃至5のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項7】
前記第一の絶縁層と前記第一の導体配線とを備えるコア材に、前記金属箔付き樹脂シートにおける前記第一の樹脂層を重ねて加圧成形する工程を含む方法で製造され、
前記工程において加圧成形時に前記金属箔付き樹脂シートにクッション材が重ねられない請求項3乃至6のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項8】
前記第一の樹脂層が、エポキシ樹脂、硬化剤、及びカルボジイミド変性可溶性ポリアミドを含有するエポキシ樹脂組成物から形成されている請求項3乃至7のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項9】
前記エポキシ樹脂組成物中の前記カルボジイミド変性可溶性ポリアミドの含有量が40〜70質量%の範囲である請求項8に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項10】
前記エポキシ樹脂がナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含む請求項8又は9に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項11】
前記ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂が、下記構造式(1)乃至(3)で表される化合物のうち少なくとも一種を含む請求項10に記載のフレキシブルプリント配線板。
【化1】

【請求項12】
前記硬化剤が、下記構造式(4)で表されるアミノトリアジンノボラック樹脂と、ジシアンジアミドとのうち少なくとも一方を含有する請求項8乃至11のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【化2】

【請求項13】
前記カルボジイミド変性可溶性ポリアミドが、可溶性ポリアミド100質量部とカルボジイミド化合物0.5〜20質量部との反応生成物を含有する請求項8乃至12のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項14】
前記エポキシ樹脂組成物が、フェノキシ樹脂を含有する請求項8乃至13のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項15】
前記エポキシ樹脂組成物が、リン変性エポキシ樹脂、リン変性フェノキシ樹脂、及びリン系難燃剤から選択される少なくとも一種を含有する請求項8乃至14のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項16】
前記第一の絶縁層にスルーホールが形成され、前記スルーホール内に前記第二の絶縁層の一部が充填されている請求項1乃至15のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項17】
屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層されている第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、単一の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている金属箔とを備え、前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であり、前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であり、前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下であるフレキシブルプリント配線板製造用積層物。
【請求項18】
屈曲可能な第一の絶縁層と、この第一の絶縁層の片面上又は両面上に積層されている第一の導体配線と、前記第一の絶縁層に積層され前記第一の導体配線を覆う、複数の層からなる第二の絶縁層と、この第二の絶縁層上に積層されている金属箔とを備え、前記第一の導体配線の厚みが10〜30μmの範囲、ライン幅が50μm〜1mmの範囲、ライン間隔が50μm〜1mmの範囲であり、前記第一の導体配線の表面から前記第二の絶縁層を構成する複数の層のうち前記第一の絶縁層に直接積層している層の表面までの厚みが5〜30μmの範囲であり、前記第二の絶縁層における前記第一の導体配線を覆っている部分の表面のうねりが10μm以下であるフレキシブルプリント配線板製造用積層物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134279(P2012−134279A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284236(P2010−284236)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】