説明

フレキシブルプリント配線板及び電子機器

【課題】フレキシブルプリント配線板の大きさを小さくすることができるとともに組立を容易に行うことができ、さらに、各部位における剛性を適宜調整しうる補強構造を備えるフレキシブルプリント線板を提供する。
【解決手段】固定部材50に貼着される固定部1aと、この固定部の端部において折り返されて上記固定部に重ねるように配置された折り返し部1bと、上記固定部材に対して往復動させられる移動部材に連結される連結部と、上記連結部と上記折り返し部との間において、上記移動部材の往復動に応じて繰り返し屈曲させられる略U字状の屈曲部1cとを備えるとともに、上記屈曲部に曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させる補強構造20を設けてフレキシブルプリント配線板を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末,PDA,パソコン等に用いられるフレキシブルプリント配線板及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit)は、柔軟性のあるベースフィルム上に、回路層を形成したものである。一般に、フレキシブルプリント配線板は、「FPC」と略記されることが多い。そこで、本明細書においても、「フレキシブルプリント配線板」と、「FPC」という用語を併用する。
【0003】
FPCは、携帯端末,PDA,パソコン等において、電子部品間を接続する配線板としても汎用されている。たとえば、光ディスクドライブ装置においては、筺体に対して光ディスクを収納したトレーを出し入れできるように構成するとともに、上記トレーと筐体との間にFPCが配置されている。このFPCは、トレーの出し入れに対応できるように、途中でU字状に折り曲げられた屈曲部を備えて構成されている。上記屈曲部は上記トレーの出し入れに対応して繰り返し屈曲させられる。
【0004】
光ディスク装置の薄型化に伴い、筐体内部は狭い空間しか確保することができない。このため、フレキシブルプリント配線板が大きな曲率で屈曲させられ、この屈曲部近傍が、上記トレーと筺体の間に延出して、上記トレーを収納する際に挟まれるという問題が生じやすい。また、上記屈曲部において回路が断線するという問題も生じやすい。このため、上記屈曲部が筺体とトレーの間に挟まれるのを防止するとともに、FPCの強度を補うために、補強板が付設されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−018870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、端部が筺体側に接続される固定部と、端部がトレー側に接続される可動部と、これらを連結する部分とからなる略U字状のフレキシブルプリント配線板が採用されている。そして、上記トレーが筺体に出し入れされることにより、上記可動部が屈曲させられる。上記補強板を、上記可動部に貼着することにより、曲げ剛性を高めて上記トレーと筺体との間に挟まれるのを防止するとともに、上記屈曲部を補強している。
【0007】
上記特許文献では、上記固定部と上記可動部とが並列状に形成されており、上記筺体の内面全体に対応した大きさのフレキシブルプリント配線板が採用されている。このため、フレキシブルプリント配線板の面積が大きくなるばかりでなく、上記固定部と、この固定部から可動部に到る部分を、筺体内面に対して接着しなければならない。したがって、製造コストが増加するばかりでなく、組立作業も面倒である。
【0008】
また、上記フレキシブルプリント配線板を接着するために、上記筺体の内面全域を平坦状に形成する必要があるとともに、上記筺体の内面に他の配線板を配置することはできない。したがって、設計の自由度も低下する。
【0009】
また、補強板を設けた場合、境界部分において曲げ剛性が大きく変化するため、応力や歪が集中しやすい。この不都合を回避するため、上記特許文献では、補強板の端部を波形に形成して、応力を分散させるように構成している。
【0010】
ところが、上記波形の形態は上記補強板の端部のごくわずかの幅に対応したものでしかない。このため、上記補強板の曲げ剛性が大きいと、上記波形を形成した部分に曲げが集中しやすくなり、この部分において断線等の問題が生じやすくなる。
【0011】
また、補強板の曲げ剛性が大きい場合、中央部分が屈曲される際に、筺体やトレーの内面に対してフレキシブルプリント配線板が大きな力で擦られることになる。このため、フレキシブルプリント配線板が傷んだり、トレーを出し入れする際に異音が生じる等の恐れもある。
【0012】
本願発明は、フレキシブルプリント配線板の大きさを小さくすることができるとともに組立を容易に行うことができ、さらに、各部位における剛性を適宜調整しうる補強構造を備えるフレキシブルプリント配線板及びこれを備える電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載した発明は、固定部材に貼着される固定部と、この固定部の端部において折り返されて上記固定部に重ねるように配置された折り返し部と、上記固定部材に対して往復動させられる移動部材に連結される連結部と、上記連結部と上記折り返し部との間において、上記移動部材の往復動に応じて繰り返し屈曲させられる略U字状の屈曲部とを備えるとともに、上記屈曲部に、曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させる補強構造を設けて構成されたフレキシブルプリント配線板に関するものである。
【0014】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、固定部の端部において折り返されて上記固定部に重ねるように配置された折り返し部を備えて構成される。上記折り返し部を設けることにより、上記固定部上に上記屈曲部を設けることが可能となる。したがって、一方向に延びる短冊状のフレキシブルプリント配線板を採用することが可能となり、従来のU字状のフレキシブルプリント配線板を採用する場合に比べて小さな面積のフレキシブルプリント配線板を採用することができる。したがって、製造コストを低減させることができる。
【0015】
また、筺体内面に対して上記固定部のみを接着すればよいため、接着面積を低減させることができる。したがって、組立工程を容易に行うこともできる。
【0016】
さらに、筺体内面におけるフレキシブルプリント配線板が配置される領域が小さくなる。したがって、筺体の内面の全域を平坦状に形成する必要もなくなり、また、他の配線板を配置することも可能となる。したがって、設計の自由度も高まる。
【0017】
また、本願発明では、上記屈曲部に、上記フレキシブルプリント配線板の曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させる補強構造を設けている。
【0018】
曲げ剛性は、モーメントが作用する梁等の曲がりにくさを表す材料力学上の特性であり、通常、材料の縦弾性係数と曲がり面(横断面)の断面二次モーメントを掛け合わせて求められる。すなわち、上記曲げ剛性は、材料特性と部材の曲がり面の断面形態によって決定される値であり、その値は、単位の曲率を与えるに必要な曲げモーメントに等しい。
【0019】
上記曲げ剛性を変化させた部材の各部に一定の曲げモーメントが作用すると、曲げ剛性の異なる部分における曲がり量(曲率)を異ならせることができる。すなわち、曲げ剛性を段階的に変化させると上記曲がり量が段階的に変化させられ、曲げ剛性を連続的に変化させると上記曲率が連続的に変化させられる。
【0020】
本願発明は、上記材料力学の原理を利用して、上記フレキシブルプリント配線板の屈曲部形態に応じて最適な屈曲特性を付与するものである。
【0021】
上記補強構造によって付与される屈曲特性は、上記固定部材と上記移動部材の形態等に応じて設定できる。
【0022】
本願発明に係るフレキシブルプリント配線板は、固定部材とこの固定部材に対して往復動させられる移動部材の間に配置される。このため、屈曲部が上記固定部材の移動にともなって変化する形態で屈曲させられる。すなわち、屈曲部の全体が同時に屈曲させられるのではない。
【0023】
このため、請求項2に記載した発明のように、上記補強構造を、上記屈曲部の曲げ方向端部に向かって、フレキシブルプリント配線板の曲げ剛性を段階的又は連続的に減少させるように構成するのが望ましい。
【0024】
たとえば、補強板を貼着した補強構造では、補強板の境界部分において曲げ剛性が急激に変化する。このため、この境界部分において、応力や曲げが集中しやすくなり、断線等が生じやすくなる。したがって、補強構造の中央部分において曲げ剛性を最大に設定して、上記屈曲部の曲げ方向端部に向かって、フレキシブルプリント配線板の曲げ剛性を段階的又は連続的に減少させる補強構造を設けるのが好ましい。なお、必要に応じて、補強構造の一方の端部に向かって曲げ剛性を減少させるように構成することもできるし、両端部に向かって曲げ剛性を減少させるように構成してもよい。
【0025】
上記構成を採用することにより、補強構造を設けた境界部分に応力や曲げが集中することはなくなり、移動部材の往復動に対応してフレキシブルプリント配線板をスムーズに屈曲させることができる。また、フレキシブルプリント配線板に作用する曲げ応力を小さくすることが可能となるため、固定部材や移動部材に大きな力で擦られることもなくなり、異音が発生したり、フレキシブルプリント配線板が傷むのを防止できる。
【0026】
上記補強構造として、種々の構造を採用できる。たとえば、請求項3に記載した発明のように、上記補強構造を、曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させる切欠部を設けた補強板を貼着して構成することができる。
【0027】
上記切欠部の形態は特に限定されることはない。請求項4に記載した発明のように、上記切欠部を、複数の穴部を配列して構成することができる。上記穴部の大きさや形態も一定である必要はなく、異なる大きさの穴部や、異なる配列形態を採用することができる。また、上記穴部は、貫通穴であってもよいし、底付き穴であってもよい。
【0028】
また、請求項5に記載した発明のように、上記切欠部を、1又は2以上のスリットを備えて構成することができる。上記スリットの大きさ及び形態も特に限定されることはなく、一定幅のスリットや、幅が変化するスリットを設けることができる。
【0029】
補強部材の端部は、応力集中を緩和するため、曲げ剛性をできるだけ小さく設定するのが好ましい。たとえば、請求項6に記載した発明のように、上記切欠部を、補強板の曲げ方向端部に向かって開口するように形成できる。補強部材の断面が端部に向かって減少するとともに、端部において断面が消失するように切欠部を設けることにより、端部における補強効果をなくすこともできる。この構成を採用することにより、端部において屈曲が容易に生じるとともに、応力集中が生じにくい補強構造を構成できる。たとえば、補強板の端部に向かって開口する三角くさび状や波形の切欠部を設けることができる。
【0030】
上記補強板以外の補強構造を設けることもできる。たとえば、請求項7に記載した発明のように、上記補強構造を、上記フレキシブルプリント配線板に貼着される補強板と、この補強板を貼着する接着剤層と、上記接着剤層を、上記補強板の曲げ方向端部から延出させた接着剤補強部とを備えて構成することができる。
【0031】
接着剤補強部を設けることにより、この部分の断面積が増加するため、補強板の外側の曲げ剛性を増加させることができる。また、厚さの小さい接着剤を設けることができるため、上記補強板の端部において、曲げ剛性が急激に変化するのを防止できる。
【0032】
なお、請求項8に記載した発明のように、切欠部を設けることにより曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させた補強板を貼着して構成することもできるし、切欠部を設けていない補強板を採用することもできる。また、上記補強板の切欠部として、請求項4から請求項6に記載したものを採用できる。
【0033】
請求項9に記載した発明のように、本願発明に係るフレキシブルプリント配線板を種々の電子機器に適用できる。これにより、電子機器内の各部品間を接続するFPCのクラック,断線,電気抵抗の増大などを防止することができる。よって、電子機器全体の信頼性が向上する。
【0034】
電子機器においては、スライド機構により一方向に移動する移動部材に、FPCが連結されている場合がしばしばある。その場合、FPCを一部で曲げることによって、移動部材を円滑に移動させることができる。また、補強板が、移動体に隣接する領域まで延びていれば、移動部材付近でのFPCの剛性が確保される。したがって、FPCの波打ちによって筐体と移動体との間にFPCが挟み込まれるのを防ぐことができる。
【0035】
上記フレキシブルプリント配線板として、種々のフレキシブルプリント配線板を採用できる。たとえば、基本的な構造として、ベースフィルムと、ベースフィルム上に設けられた回路層と、これを覆うカバーレイとを備えて構成されるフレキシブルプリント配線板に本願発明を適用できる。また、回路層がベースフィルムの両面に形成された両面回路タイプであってもよい。
【発明の効果】
【0036】
移動部材の往復動によって繰り返し屈曲させられる屈曲部を有するフレキシブルプリント配線板において、固定部の端部において折り返されて上記固定部に重ねるように配置された折り返し部を設けることにより、フレキシブルプリント板の大きさや接着面積を小さくすることが可能となる。また、上記屈曲部に、上記フレキシブルプリント配線板の曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させる補強構造を設けることにより、補強構造の境界部分において応力や曲げが集中するのを防止できるとともに、屈曲部に最適な屈曲特性を付与して、断線等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る光ディスク装置の斜視図である。
【図2】図1におけるIIで示す部分を拡大した部分斜視図である。
【図3】(a),(b)は、第1の実施の形態に係るFPC1の平面図、及びIII -III線における断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、トレーが筐体から突出した状態から筐体内に収納される過程を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、切欠部の各種態様を示す平面図及び断面図である。
【図6】第1の実施形態の第1変形例に係る補強板及びFPC本体の平面図である。
【図7】第1の実施形態の第2変形例に係る補強板及びFPC本体の平面図である。
【図8】第1の実施形態の第3変形例に係る補強板及びFPC本体の平面図である。
【図9】第1の実施形態の第4変形例に係る補強板及びFPC本体の平面図である。
【図10】本願発明の第2の実施形態を示す図であり、図6に対応する平面図である。
【図11】本願発明の第3の実施形態を示す図であり、図3(b)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本実施の形態に係る電子機器である光ディスク装置Aの斜視図である。
この光ディスク装置Aは、パソコン内部または外部で、ディスクドライブ装置として使用されるものである。光ディスク装置Aは、薄型化された固定部材としての筐体50と、この筐体50から出し入れされる移動部材としてのトレー60とを備えている。
【0039】
トレー60には、トレー枠61と、蓋62と、ディスク載置部63と、光ピックアップ64とが設けられている。筐体50とトレー60との間には、トレー60と共に移動するスライド枠66が介設されている。
【0040】
筐体50は、たとえば9.5mm程度まで薄型化されている。筐体50には、スライド枠66が案内される案内枠51と、外枠52と、底枠53と、天井枠54とが設けられている。底枠53には、電気回路が形成されたメイン基板55が取り付けられている。
【0041】
また、トレー60の光ピックアップ64等とメイン基板55とを電気的に接続するFPC1が配置されている。図1の要部拡大図である図2に詳示するように、FPC1は、FPC本体10と補強板20とを備えて構成される。FPC本体10は、筺体の底面に貼着される固定部1aと、この固定部1aの端部において折り返されて上記固定部1aに重ねるように配置された折り返し部1bと、上記トレー60の接続部材に接続される図示しない連結部と、上記連結部と上記折り返し部1bとの間において、上記トレー60の往復動に応じて繰り返し屈曲させられる略U字状の屈曲部1cとを備えて構成される。上記屈曲部1cのトレー60側の部位100bに、粘着シート(図示せず)等を介して補強板20が貼り付けられている。一方、上記屈曲部側の部位100aには、上記補強板20は設けられていない。上記折り返し部1b近傍の対接面には、接着剤110が充填されており、折り返し形態が固定されている。
【0042】
上記折り返し部1bを設けることにより、上記固定部1a上に上記屈曲部1cを設けることが可能となる。したがって、一方向に延びる短冊状のフレキシブルプリント配線板を採用することが可能となり、従来のU字状のフレキシブルプリント配線板を採用する場合に比べて小さな面積のフレキシブルプリント配線板を採用することができる。したがって、製造コストを低減させることができる。
【0043】
また、筺体50の内面に対して上記固定部のみを接着すればよいため、接着面積を低減させることができる。したがって、組立工程を容易に行うこともできる。
【0044】
さらに、筺体内面におけるフレキシブルプリント配線板が配置される領域が小さくなる。したがって、筺体の内面の全域を平坦状に形成する必要もあり、また、他の配線板を配置することも可能となる。したがって、設計の自由度も高まる。
【0045】
図3(a),(b)は、FPC1の平面図、及びIII-III 線に沿う断面図である。FPC本体10は、部分拡大図に示すように、ベースフィルム11と、回路層12と、カバーレイ13とを備えている。
【0046】
FPC本体10のベースフィルム11としては、通常、厚みが12.5μm〜25μm程度のポリイミドフィルムが用いられる。ただし、ポリイミドフィルムに限らず、ポリエステルフィルム(低温使用)等も用いることができる。
【0047】
FPC本体10の回路層12は、ベースフィルム11の上に形成された銅箔等の金属膜によって構成されている。形成方法としては、金属箔を貼り付けて、エッチング加工するのが一般的である。ただし、スパッタリングや、電気めっきなどによって形成してもよい。回路層の材料としては、通常、銅や銅合金が用いられる。ただし、ニッケル,アルミニウム,タングステンなどを用いてもよい。
【0048】
FPC本体10のカバーレイ13としては、通常、ベースフィルム11と同じ材料からなるフィルムカバーレイが用いられる。ただし、液状のエポキシ樹脂インク等を印刷して形成されるカバーコートインクを用いてもよい。また、エポキシ,アクリル,ポリイミド,ポリウレタンなどの樹脂を用いた感光性カバーレイを用いてもよい。
【0049】
本実施形態に係るFPC本体10は、片面回路型構造を有しているが、両面回路型構造を有していてもよい。
【0050】
補強板20は、FPC本体10のトレー60に接続される連結部10aの近傍の領域から所定範囲まで延びている。補強板20は、矩形板状の基材フィルム21を有しており、基材フィルム21には、複数の穴部22が形成されている。FPC本体10の上記折り返し部1bに近い部分には、上記補強板は設けられていない。
【0051】
補強板20の基材フィルム21の材質は、FPC本体10のベースフィルム11と同じであることが好ましい。つまり、ポリイミドフィルム,ポリエステルフィルム(低温使用)等を用いることができる。ただし、PET(ポリエチレンテレフタレート),PTT(ポリトリメチレンテレフタレート),PBT(ポリブチレンテレフタレート)などを用いてもよい。
【0052】
複数の穴部22は、補強板20の基材フィルム21の第1端部21a付近には形成されていない。基材フィルム21の第2端部21bにおいては、一定間隔の3列に亘って穴部22(貫通穴)が形成されている。FPC本体10の回路層が延びるy方向(一方向)における穴部22の間隔は一定である。そして、y方向に直交するx方向における穴部22の数は、第2端部21bに向かうほど多くなっている。
【0053】
上記穴部22を形成することにより断面が切り欠かれ、断面二次モーメントが小さくなり、したがって、曲げ剛性も小さくなっている。また、穴部22の数が多くなるほど断面の切欠面積が大きくなり、その部分の曲げ剛性が小さくなる。このため、上記形態の補強板20をFPC1の表面に貼着することにより、FPC本体に、上記補強板20の曲げ特性を付与することができる。
【0054】
上記補強板20を貼着したFPCに一定のモーメントが作用すると、上記穴部22の数の多い断面ほど単位長さ当たりの曲がり量(曲率)が大きくなり、FPC全体は、上記穴部22の配列数に応じて段階的に屈曲させられる。本実施形態では、端部に向かうほど曲げ断面における穴部22の数が多くなるため、端部に向かって単位長さ当たりの曲がり量が段階的に増加することになる。
【0055】
穴部22の形成には、打ち抜き,成形,ドリルによる穿孔,レーザ加工など、周知慣用の手段を用いることができる。また、穴部の平面形状は、円形に限らず、矩形,スリット状,長円,楕円,多角形,異形などであってもよい。また、微細な穴が極めて多数形成されていてもよい。穴の形成方法は、各種機械加工,成形,レーザ加工など、多くの手法を選択して用いることができる。したがって、FPC本体10の種類やサイズに応じて、上記穴部の数や配列形態を選択することができる。これにより、屈曲部の曲げ剛性を調整する手段の選択幅を広く確保することができる。
【0056】
図4(a)〜(c)は、トレー60が筐体50から突出した状態から筐体50内に収納される過程を示す断面図である。図4(a)に示すように、トレー60が筐体50から突出した状態で、トレー60のディスク載置部63にDVD等が設置される。その後、図4(b)に示すように、トレー60が、スライド枠66と共に筐体50側に移動する。そして、図4(c)に示すように、トレー60が筐体50に収納される。この状態で、光ピックアップ64を介して情報の読み取り等が行われる。
【0057】
図4(a)〜(c)に示すように、FPC1の屈曲部1cは、トレー60の移動に伴って変位させられる。補強板20を設けることにより、FPC1の剛性が確保され、FPC1の波打ちを抑制することができる。
【0058】
トレー60が、図4(b)に示す位置から筐体50側に移動すると、屈曲部1cが補強板20を貼着した部位まで及んでくる。そのとき、FPC1における補強板20の第2端部21bに位置する部位に応力が集中しやすい。しかし、本実施の形態では、第2端部21b付近において、穴部22を設けているため、この付近では補強板20の曲げ剛性は小さい。すなわち、第2端部21b付近におけるFPC1の曲げ剛性が、FPC本体10単独の曲げ剛性に近づくように弱められている。よって、FPC本体10における第2端部21bに位置する部位への応力集中は緩和される。すなわち、FPC本体10のクラック、断線、電気抵抗の増大などの発生が抑制される。
【0059】
また、本実施形態の光ディスク装置Aは、スライド枠66及び案内枠51からなるスライド機構を備えている。スライド機構によって移動する移動体であるトレー60にFPC1が接続されている。補強板20は、FPC1のトレー60に近接する領域まで延びている。この構造によって、上述のように、FPC1の剛性が大きく確保され、FPC1の波打ちが抑制される。よって、図4(a)から図4(b)に到る過程において、FPC1がトレー60と筐体50との間に挟み込まれるのを防ぐことができる。
【0060】
上記穴部22として種々の形態の穴を採用できる。図5(a)〜(c)は、穴部22の実施形態を示す平面図及び断面図である。
【0061】
図5(a)に示す例では、穴部22のx方向における数は一定である。一方、y方向における穴部22の間隔y1 ,y2 ,y3 が第2端部21bに向かうほど狭くなっている。つまり、第2端部21bに向かうほど(y方向に)、断面の切欠部分が大きくなり、曲げ剛性が低下させられている。
【0062】
図5(b)に示す例では、穴部22のx方向及びy方向における数は一定である。一方、各穴部22の径φ1 ,φ2 ,φ3 が第2端部21bに向かうほど大きくなっている。すなわち、第2端部21bに向かうほど(y方向に)、断面の切欠部分が大きくなり、曲げ剛性が低下させられている。
【0063】
図5(c)に示す例では、穴部22は底付き穴である。穴部22のx方向及びy方向における数、及び穴部22の径は一定である。一方、各穴部22の深さd1 ,d2 ,d3 が第2端部21bに向かうほど深くなっている。したがって、上記実施形態と同様に、第2端部21bに向かうほど(y方向に)、断面の切欠部分が大きくなり、曲げ剛性が低下させられている。
【0064】
−第1変形例−
図6は、上記第1の実施形態の第1変形例に係る補強板20及びFPC本体10の平面図である。この変形例では、第2端部21bだけでなく第1端部21aにおいても、穴部22が形成されている。各穴部22の数は、第1端部21a及び第2端部21bに向かうほど多く設けられており、曲げ剛性が減少させられている。この構造により、FPC本体10における両端部21a,21bに位置する部位への応力集中は緩和される。すなわち、FPC本体10の回路層12(図3(b)参照)のクラック、断線、電気抵抗の増大などの発生が抑制される。この変形例は、上記実施の形態に適用してもよい。
【0065】
−第2変形例−
図7は、上記実施形態の第2変形例に係る補強板20及びFPC本体10の平面図である。この変形例では、基材フィルム21の第2端部21bに、波形の切欠部を設けている。また、各穴部22は、第2端部21bに向かうほど配列間隔が小さく設定されている。上記波形の切欠部は、端部に開口するように形成されている。この構造により、FPC1全体の剛性が端に向かって徐々に弱められ、第2端部21bでは、補強板20の補強効果はなくなる。よって、上述の効果と相俟って、FPC本体10における第2端部21bに位置する部位への応力集中が大きく緩和される。
【0066】
−第3変形例−
図8は、上記実施形態の第3変形例に係る補強板20及びFPC本体の平面図である。この変形例では、FPCの曲げ方向に対して、斜め方向に同一径の穴部22が一定間隔で配列されている。一方、各穴部22の上記斜め方向と直交する方向への配列間隔は、第2端部21bに向かうほど小さく設定されている。したがって、上述した変形例と同様に、曲げ断面は、両端部へ向かうにしたがって切欠量が大きくなって曲げ剛性が減少させられている。これにより、FPC本体10における両端部21a,21bに位置する部位への応力集中は緩和される。
【0067】
−第4変形例−
図9は、上記実施形態の第4変形例に係る補強板20及びFPC本体の平面図である。この変形例では、FPCの曲げ方向に対して、斜め方向に配列された穴部22を備える。斜め方向各列の穴部22の穴径及び配列間隔は同一であるが、第2端部21bに近い列ほど大きな径の穴部が形成されている。したがって、上述した変形例と同様に、曲げ断面は、両端部へ向かうにしたがって切欠量が大きくなり、曲げ剛性が段階的に低下させられている。これにより、FPC本体10における両端部21a,21bに位置する部位への応力集中は緩和される。
【0068】
図10に、本願発明の第2の実施形態を示す。この実施形態では、上記補強板20の両端部21a,21bに向かって開口する楔状の切欠部22aと、上記補強板の中央部において、曲げ方向に延びるスリット22bを設けている。
【0069】
上記切欠部22aは、両端部に開口させられているため、端部における補強効果はないが、上記中央部に向かって曲げ断面の断面積が連続的に増加するため、曲げ剛性を連続的に増加させることができる。また、上記スリット22bを設けることにより、FPC1の厚さや曲げ剛性に応じて、補強板20の曲げ構成を容易に調節することができる。したがって、所要の補強効果を付与することが可能となる。
【0070】
図11に、本願発明の第3の実施形態を示す。
【0071】
本実施形態に係る補強構造は、補強板20を、接着剤層30を介してFPC本体10に貼着するとともに、上記接着剤層30を上記補強板20の両端部21a,21bから延出させて接着剤補強部30a,30bを設けたものである。
【0072】
上記接着剤層を設けることにより、曲げ断面の断面積が増加する。したがって、曲げ剛性も大きくなる。本実施形態は、上記接着剤層を利用して補強構造を構成したものである。上記補強板20の端部から接着剤層を延出させて接着剤補強部30a,30bを設けることにより、補強板縁部近傍の曲げ剛性が大きくなり、上述した実施形態と同様の効果を期待できる。
【0073】
上記接着剤層30を構成する接着剤は特に限定されることはない。たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等からなる接着剤を採用することができる。また、接着剤の形態も特に限定されることはなく、フィルム状あるいはシート状の接着剤を採用できる。また、上記接着剤層及び上記接着剤補強部を、印刷手法によって形成すると、種々のパターンを容易に形成することができるため、補強板の縁部近傍に所要の屈曲特性を付与することも可能となる。
【0074】
上述した実施形態における補強板20の各切欠部の形態は、上記各例に限定されるものではない。複数の形態の切欠部を組み合わせて構成することもできる。
【0075】
上記開示された本発明の実施の形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のFPCは、携帯電話機の他、デジタルカメラ,ビデオカメラ等のカメラ、ポータブルオーディオプレーヤ、ポータブルDVDプレーヤ、ポータブルノートパソコンなどの電子機器内に配置されるFPCに利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1a 固定部
1b 折り返し部
1c 屈曲部
20 補強構造(補強板)
22 穴部
50 固定部材(筺体)
10a 連結部
60 移動部材(トレー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に貼着される固定部と、
この固定部の端部において折り返されて上記固定部に重ねるように配置された折り返し部と、
上記固定部材に対して往復動させられる移動部材に連結される連結部と、
上記連結部と上記折り返し部との間において、上記移動部材の往復動に応じて繰り返し屈曲させられる略U字状の屈曲部とを備えるとともに、
上記屈曲部に、曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させる補強構造を設けた、フレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
上記補強構造は、上記屈曲部の曲げ方向端部に向かって、フレキシブルプリント配線板の曲げ剛性を段階的又は連続的に減少させるように構成されている、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
上記補強構造は、切欠部を設けることにより曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させた補強板を貼着して構成されている、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
上記切欠部は、複数の穴部を配列して構成されている、請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
上記切欠部は、1又は2以上のスリットを備えて構成されている、請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項6】
上記切欠部は、補強板の曲げ方向端部に向かって開口されている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項7】
上記補強構造は、
上記フレキシブルプリント配線板に貼着される補強板と、
この補強板を貼着する接着剤層と、
上記接着剤層を、上記補強板の曲げ方向端部から延出させた接着剤補強部とを備えて構成される、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項8】
切欠部を設けることにより曲げ剛性を段階的又は連続的に変化させた補強板を貼着して構成されている、請求項7に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板を備える、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−239109(P2010−239109A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−243364(P2009−243364)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】