説明

フレキシブルプリント配線板

【課題】電子部品をフレキシブルプリント配線板上に実装する際に、断線が発生することを抑制することができるフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】フレキシブルプリント配線板1は、基材2と、基材2上に設けられた導体4とを備え、導体4は、電子部品の端子が接続される複数のランド部6を有している。そして、複数のランド部6の間には、スリット7が設けられ、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bは、フレキシブルプリント配線板1の外周1aから所定間隔を空けて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装される、フレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品は複数の端子を有しており、それら複数の端子は所定の間隔を空けて設けられている。従って、このような電子部品が実装されるフレキシブルプリント配線板においても、電子部品の端子が接続される複数のランド部は、所定の間隔を空けて設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一般に、フレキシブルプリント配線板にスリットを形成することによって、フレキシブルプリント配線板の屈曲を容易にすることが行われている。図7に示すように、電子部品20の端子21を複数のランド部106へ容易に接続するため、複数のランド部106の間からフレキシブルプリント配線板101の外周101a側に向けて(即ち、図中の矢印Xの方向に向けて)延びるスリット107を設けることが行われている。より具体的には、基材102と、導体104とを備え、導体104の一部により形成されるとともに、端子21が接続される複数のランド部106を有するフレキシブルプリント配線板101において、複数のランド部106の間に、フレキシブルプリント配線板101の外周101aに達するスリット107を設けることが行われている。このようにスリットを構成することで、フレキシブルプリント配線板を簡単に折り曲げることができるとともに、過度の応力の発生を防止することができると特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開平9−81923号公報
【特許文献2】特開平9−205257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、複数のランド部106の間に、フレキシブルプリント配線板101の外周101aに達するスリット107を設けた場合、ランド部106付近のフレキシブルプリント配線板101が屈曲する際に、応力が一箇所に集中する。より具体的には、図7に示す、スリット107の、フレキシブルプリント配線板101の内側(即ち、フレキシブルプリント配線板101の外周101a側の反対の側)の端部107aの周辺部S1に応力が集中することになる。そうすると、この周辺部S1において発生する応力が大きい場合、基材102上に設けられた導体104にクラックが生じてしまい、断線が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子部品をフレキシブルプリント配線板上に実装する際に、断線が発生することを抑制することができるフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、基材と、基材上に設けられた導体とを備え、導体の一部により形成されるとともに、電子部品の端子が接続される複数のランド部を有するフレキシブルプリント配線板において、複数のランド部の間には、スリットが設けられ、スリットの、フレキシブルプリント配線板の外周側の端部は、フレキシブルプリント配線板の外周から所定間隔を空けて配置されていることを特徴とする。
【0007】
同構成によれば、スリットの、フレキシブルプリント配線板の外周側の端部は、フレキシブルプリント配線板の外周から所定間隔を空けて配置されているため、電子部品の端子をフレキシブルプリント配線板のランド部と接続する際に、応力が一箇所に集中することを防止することができる。即ち、フレキシブルプリント配線板に発生する応力を、スリットの、フレキシブルプリント配線板の内側(即ち、外周側と反対の側)の端部周辺と、フレキシブルプリント配線板の外周側の端部周辺との二箇所に分散させることができる。従って、電子部品をフレキシブルプリント配線板上に実装する際に、断線が発生することを抑制することが可能になり、電子部品が実装されたフレキシブルプリント配線板の歩留まりを向上することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、スリットの長さをLとし、スリットの、フレキシブルプリント配線板の外周側の端部と、フレキシブルプリント配線板の外周との距離をDとした場合に、0.2L≦D≦0.7Lの関係を有することを特徴とする。
【0009】
同構成によれば、0.2L≦Dであるため、スリットの、フレキシブルプリント配線板の外周側の端部と、フレキシブルプリント配線板の外周との距離を十分に確保することができ、断線が発生することを効果的に抑制することができる。また、D≦0.7L(即ち、D/0.7≦L)であるため、スリットの長さを十分に確保することができ、可撓性のあるランド部に電子部品の端子を容易に接続することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、スリットの、フレキシブルプリント配線板の外周側の端部と、フレキシブルプリント配線板の外周との間には、基材上に設けられた補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
同構成によれば、スリットの、フレキシブルプリント配線板の外周側の端部と、フレキシブルプリント配線板の外周との間に、補強部材が設けられているため、スリットの、フレキシブルプリント配線板の外周側の端部周辺において、フレキシブルプリント配線板の剛性をさらに高めることができる。従って、断線が発生することをさらに効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子部品の複数の端子をフレキシブルプリント配線板の複数のランド部と接続して、電子部品をフレキシブルプリント配線板上に実装する際に、断線が発生することを抑制することが可能になり、電子部品が実装されたフレキシブルプリント配線板の歩留まりが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板の上面図であり、図2は、図1に示すフレキシブルプリント配線板の下面図である。また、図3は、図1に示すフレキシブルプリント配線板のA−A断面図であり、図4は、図1に示すフレキシブルプリント配線板のB−B断面図である。また、図5は、図1に示すフレキシブルプリント配線板に、電子部品を実装した状態を示す斜視図であり、図6は、図5に示すフレキシブルプリント配線板のA−A断面図である。
【0014】
フレキシブルプリント配線板1は、図1〜図3に示すように、柔軟な樹脂フィルムにて形成された基材2と、この基材2上に、接着剤層3を介して設けられた導体4とを備えるものである。この導体4は、所定のパターンにより形成されたものである。また、導体4を覆うように、導体4の表面に、絶縁層であるカバーレイフィルム5が設けられている。このカバーレイフィルム5は、導体4を覆うべく、導体4上に積層された接着剤層(不図示)とその上に積層された樹脂フィルム(不図示)により構成されている。
【0015】
また、図1に示すように、フレキシブルプリント配線板1は、カバーレイフィルム5に覆われていない導体4の一部により形成されるとともに、電子部品の端子が接続される複数のランド部6を有している。これら複数のランド部6は、フレキシブルプリント配線板1上から外周1a側に向けて(即ち、図中の矢印Xの方向に向けて)延設されている。
【0016】
複数のランド部6の間には、延設されたランド部6と略同一方向に延びたスリット7が形成されている。より具体的には、スリット7は、複数のランド部6の間から、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側に向けて延設され、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bが、フレキシブルプリント配線板1の外周1aから所定間隔を空けて配置されている。このようなスリット7は、フレキシブルプリント配線板1において、スリット7の端部7a,7bとなる箇所に丸い貫通孔を予め形成しておき、刃型によるパンチングによってこの貫通孔を連通させることで形成される。
【0017】
そして、図5及び図6に示すように、半田30を介して、電子部品20の端子21をランド部6と接続することにより、電子部品20とフレキシブルプリント配線板1との電気的接続が行われ、電子部品20がフレキシブルプリント配線板1上に実装される構成となっている。
【0018】
また、フレキシブルプリント配線板1においては、図2〜図4に示すように、電子部品20が実装される面1bと反対側の面1cにおいて、基材2上に、接着剤層8を介して、補強部材としての導体9が設けられている。この導体9の一部が接地されることによって、導体9と基準電位点との電気的接続が行われる構成となっている。また、電子部品20が実装される面1bと同様に、接地されない導体9の一部の表面は、絶縁層であるカバーレイフィルム5が設けられている。
【0019】
基材2、及びカバーレイフィルム5を構成する樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用され、このような樹脂材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂などの、フレキシブルプリント配線板用として汎用性のある樹脂がいずれも使用可能である。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有していることが好ましく、このような樹脂としては、例えば、ポリアミド系の樹脂や、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂やポリエチレンナフタレートが好適に使用される。
【0020】
接着剤層3,8を構成する接着剤としては、柔軟性や耐熱性に優れたものが好ましく、このような接着剤としては、例えば、ナイロン系、エポキシ樹脂系、ブチラール樹脂系、アクリル樹脂系などの、各種の樹脂系の接着剤が挙げられる。また、導体4,9を構成する金属箔としては、銅箔が好適に使用される。また、電子部品20の端子21は、例えば、銅、銀、鉛、またはこれらの合金により構成されている。なお、半田30としては、例えば、錫を95wt%以上含む半田ペースト等が好適に使用でき、また、環境への配慮から、鉛を含まない半田ペーストを使用することが好ましい。
【0021】
ここで、本実施形態においては、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bが、フレキシブルプリント配線板1の外周1aから所定間隔(即ち、図1に示す矢印Dの間隔)を空けて配置されている点に特徴がある。
【0022】
このような構成にすることにより、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bは、フレキシブルプリント配線板1の外周1aから所定間隔を空けて配置されているため、電子部品20の端子21をフレキシブルプリント配線板1のランド部6と接続する際に、応力が一箇所に集中することを防止することができる。
【0023】
即ち、電子部品20の端子21をフレキシブルプリント配線板1のランド部6と接続して、電子部品20をフレキシブルプリント配線板1上に実装する際には、まず、ランド部6に半田30を設け、半田30を介して、電子部品20の端子21を、ランド部6に載置する。この際、複数のランド部6の間には、スリット7が設けられているため、電子部品20の端子21の垂直方向(即ち、図中の矢印Zの方向)の長さに応じて、ランド部6が撓む。従って、電子部品20の端子21が、スプリング等によって垂直方向に伸縮可能に構成されている場合や、複数の端子21の長さが垂直方向において異なっている場合であっても、可撓性のあるランド部6に電子部品20の端子21を載置することができる。さらに、スリット7は上述した特徴を備えるため、ランド部6の撓みによる応力を、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の内側の端部7aの周辺部S1と、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bの周辺部S2との二箇所に分散させることができる。
【0024】
次いで、加熱処理により半田30を溶融させた後、ランド部6を流動する溶融半田を凝固させて電子部品20の端子21をランド部6に接続する。このようにして、図5及び図6に示すように、複数のランド部6に、電子部品20のそれぞれの端子21がランド部6に接続され、電子部品20がフレキシブルプリント配線板1上に実装される。
【0025】
なお、スリット7の長さをLとし、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bと、フレキシブルプリント配線板1の外周1aとの距離をDとした場合に、0.2L≦D≦0.7Lの関係を有することが望ましい。これは、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bと、フレキシブルプリント配線板1の外周1aとの距離Dを十分に確保するとともに、スリット7の長さLを十分に確保するためである。
【0026】
また、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bと、フレキシブルプリント配線板1の外周1aとの間には、フレキシブルプリント配線板1の面1cにおいて、図2に示すように、基材2上に設けられた補強部材としての導体9が設けられている。これは、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bの周辺部S2において、フレキシブルプリント配線板1の剛性をさらに高めるためである。
【0027】
上記実施形態のフレキシブルプリント配線板によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、図1〜図6に示すように、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bを、フレキシブルプリント配線板1の外周1aから所定間隔を空けて配置する構成としている。従って、電子部品20の端子21をフレキシブルプリント配線板1のランド部6と接続する際に、応力が一箇所に集中することを防止することができる。即ち、フレキシブルプリント配線板1に発生する応力を、スリット7の両端部の周辺部S1,S2に分散させることができる。従って、電子部品20をフレキシブルプリント配線板1上に実装する際に、断線が発生することを抑制することが可能になり、電子部品20が実装されたフレキシブルプリント配線板1の歩留まりを向上することができる。
【0028】
(2)本実施形態においては、スリット7の長さをLとし、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bと、フレキシブルプリント配線板1の外周1aとの距離をDとした場合に、0.2L≦D≦0.7Lの関係を有する構成としている。従って、0.2L≦Dであるため、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bと、フレキシブルプリント配線板1の外周1aとの距離Dを十分に確保することができ、断線が発生することを効果的に抑制することができる。また、D≦0.7L(即ち、D/0.7≦L)であるため、スリット7の長さLを十分に確保することができ、可撓性のあるランド部6に電子部品20の端子21を容易に接続することができる。
【0029】
(3)本実施形態においては、図2及び図4に示すように、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bと、フレキシブルプリント配線板1の外周1aとの間に、基材2上に設けられた補強部材としての導体9を設ける構成としている。従って、スリット7の、フレキシブルプリント配線板1の外周1a側の端部7bの周辺部S2において、フレキシブルプリント配線板1の剛性を高めることができ、断線が発生することをさらに効果的に抑制することができる。
【0030】
(4)本実施形態においては、図2〜図4及び図6に示す導体9である補強部材が、接地される構成としている。従って、導体9が補強用部材としての役割と、接地用部材としての役割とを兼ねることができる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。上記実施形態は、例えば、以下のように変更してもよい。
【0032】
・上記実施形態においては、補強部材として導体9を用いたが、導体9以外の部材であってもよい。例えば、基材2と同様の樹脂フィルムから構成されるものや、アルミニウム等の金属板などを補強部材として用いてもよい。
【0033】
・上記実施形態においては、フレキシブルプリント配線板1は、両面フレキシブルプリント配線板であったが、両面フレキシブルプリント配線板の代わりに、片面フレキシブルプリント配線板を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の活用例としては、電子部品が実装される、フレキシブルプリント配線板が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態におけるフレキシブルプリント配線板を示す上面図。
【図2】図1に示すフレキシブルプリント配線板を示す下面図。
【図3】図1に示すフレキシブルプリント配線板のA−A断面図。
【図4】図1に示すフレキシブルプリント配線板のB−B断面図。
【図5】図1に示すフレキシブルプリント配線板に、電子部品を実装した状態を示す斜視図。
【図6】電子部品を実装した状態におけるフレキシブルプリント配線板の断面図。
【図7】従来のフレキシブルプリント配線板を示す斜視図。
【符号の説明】
【0036】
1…フレキシブルプリント配線板、1a…外周、2…基材、3…接着剤層、4…導体、5…カバーレイ、6…ランド部、7…スリット、7a,7b…端部、8…接着剤層、9…導体(補強部材)、20…電子部品、21…端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材上に設けられた導体とを備え、前記導体の一部により形成されるとともに、電子部品の端子が接続される複数のランド部を有するフレキシブルプリント配線板において、
複数の前記ランド部の間には、スリットが設けられ、
前記スリットの、前記フレキシブルプリント配線板の外周側の端部は、前記フレキシブルプリント配線板の外周から所定間隔を空けて配置されている
ことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
前記スリットの長さをLとし、前記スリットの、前記フレキシブルプリント配線板の外周側の端部と、前記フレキシブルプリント配線板の外周との距離をDとした場合に、0.2L≦D≦0.7Lの関係を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
前記スリットの、前記フレキシブルプリント配線板の外周側の端部と、前記フレキシブルプリント配線板の外周との間には、前記基材上に設けられた補強部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−218572(P2008−218572A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51813(P2007−51813)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】