説明

フレキシブル基板における端子接合構造

【課題】微振動による負荷が継続的に作用する状況下においても導電性突出部及び端子の接合不良が発生することを防止しうる耐久性の高いフレキシブル基板における端子接合構造の提供を目的とした。
【解決手段】端子20は、第一接合部22及び第二接合部24とを有し、屈曲部26において屈曲可能とされている。フレキシブル基板30の端部に設けられた導電性突出部36を端子20をなす第一接合部22及び第二接合部24によって両面から挟み込み、熱カシメ等の接合方法により接合することにより端子接合構造10が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板の端部から突出した導電性突出部と端子とを接合してなる端子接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブル基板に設けられた導電性突出部に対して端子を接続した端子接合構造を有するものが、各種の電装機器類等に用いられている。フレキシブル基板に用いられる端子接合構造の一例として、例えば下記特許文献1あるいは特許文献2に開示されているような端子構造が存在する。
【0003】
特許文献1に開示されている端子構造においては、フレキシブルサーキットのコネクタと接続される接栓部において、フレキシブルサーキットの端部において突出している導電性補強部を半田付けすることによって接続した構造が採用されている。また、下記特許文献2に開示されている接続端子においては、フレキシブルサーキットのコネクタと接続する接栓部において、導電性補強部をカシメにて接続した構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭60−13274号公報
【特許文献1】特開平10−177871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術における端子接合構造のように、半田あるいはカシメ等の接合方法によってフレキシブル基板に設けられた導電性突出部と端子とを接合した場合、微振動による負荷が継続的に作用する状況下に長期間に亘って配置されると、接合構造部分に問題が生じる懸念がある。
【0006】
具体的には、半田によってフレキシブル基板に設けられた導電性突出部と端子とを接合した場合には、振動の影響によって半田にクラックが生じ、接合不良状態になる懸念がある。また、カシメによって接合した場合には、振動の影響によって導電性突出部が端子から外れてしまう懸念がある。従って、自動車のように常時微振動が発生するような装置あるいは機器に搭載されるフレキシブル基板の端子接合構造においては、前述したような微振動に起因する導電性突出部と端子との接合不良が生じにくくなるような方策が講じられることが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、微振動による負荷が継続的に作用する状況下においても導電性突出部及び端子の接合不良が発生することを防止しうる耐久性の高いフレキシブル基板における端子接合構造の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決すべく提供される本発明のフレキシブル基板における端子接合構造は、フレキシブル基板の端部から突出した導電性突出部と端子とを接合してなるものであり、前記端子が、前記導電性突出部の表面及び裏面に接合される第一接合部及び第二接合部と、前記第一接合部及び前記第二接合部接合部の間に設けられた屈曲部とを有し、前記端子を前記屈曲部において屈曲させることにより、前記第一接合部及び前記第二接合部によって前記導電性突出部が挟み込まれると共に、前記第一接合部及び第二接合部に対して前記導電性突出部が接合されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明のフレキシブル基板における端子接合構造において用いられる端子は、第一接合部及び第二接合部とを有し、両者の間に設けられた屈曲部において屈曲させることが可能とされている。また、本発明の端子接合構造においては、導電性突出部が、端子をなす第一接合部及び第二接合部によって両面から挟み込まれた状態とされ、接合されている。このような構成とすることにより、微振動による負荷が継続的に作用する状況下においても導電性突出部及び端子の接合部分に過度に応力が集中することを回避し、接合不良が生じることを防止できる。従って、本発明によれば、微振動による負荷が継続的に作用する状況下において好適に使用可能な、耐久性の高いフレキシブル基板における端子接合構造を提供することができる。
【0010】
また、本発明のフレキシブル基板における端子接合構造は、構成が極めてシンプルである。そのため、本発明によれば、フレキシブル基板における端子接合構造を容易に製造可能とすると共に、製造コストを最小限に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、微振動による負荷が継続的に作用する状況下においても導電性突出部及び端子の接合不良が発生することを防止しうる耐久性の高いフレキシブル基板における端子接合構造を提供することができる。また、本発明によれば、容易かつ安価にフレキシブル基板における端子接合構造を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る端子接合構造を備えたコネクタを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る端子接合構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、本発明の一実施形態に係るフレキシブル基板における端子接合構造10(以下、単に「端子接合構造10」とも称す)について、端子接合構造10を備えたコネクタ100を例に挙げ、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、コネクタ100は、樹脂等によって形成された箱形の筐体102を有し、この筐体102内に形成された挿入部104に端子20を複数、並べて設けた構成とされている。
【0014】
筐体102の側面には、挿入部104に対して他の配線が備えるコネクタ(図示せず)を差し込むための接続口106が設けられている。端子20は、挿入部104を形成する筐体102の内周面108に固定されている。図1に示す状態においては、内周面108のうち挿入部104の天面側をなす領域に端子20が所定の間隔毎に並ぶように設置されている。
【0015】
挿入部104内に形成された端子20は、それぞれフレキシブル基板30に形成された導電性突出部36に対して電気的に接続されている。端子20と導電性突出部36との接合部分には、端子接合構造10が形成されている。
【0016】
具体的には、端子20は、金属製(本実施形態においては黄銅製)の板体を加工することによって形成されている。図2に示すように、端子接合構造10を形成する前の状態において、端子20をなす板体20aは、第一接合部22及び第二接合部24と、両者の間に設けられた屈曲部26とを有する。
【0017】
第一接合部22及び第二接合部24は、それぞれ略同一の大きさ、及び略同一の形状とされている。言い換えれば、端子20をなす板体20aは、第一接合部22及び第二接合部24が屈曲部26を介して略対称の関係にある。第一接合部22及び第二接合部24は、それぞれ短冊状であって先端部分を面取りした外観形状を有する。第一接合部22は、フレキシブル基板30をなす導電性突出部36の表面36aに接合される部分である。また、第二接合部24は、導電性突出部36の裏面36bに接合される部分である。
【0018】
第一接合部22及び第二接合部24の幅dは、それぞれ導電性突出部36の幅Dと同程度、あるいは幅Dよりも僅かに大きい程度とされている。また、第一接合部22及び第二接合部24の長さlは、それぞれ導電性突出部36の長さよりも十分大きい。具体的には、第一接合部22及び第二接合部24の長さlは、導電性突出部36の長さLの2倍〜3倍程度とされている。
【0019】
屈曲部26は、第一接合部22及び第二接合部24の間に位置している。端子20は、板体20aを屈曲部26において屈曲させることにより、第一接合部22及び第二接合部24が重なるように折り畳むことが可能である。すなわち、屈曲部26は、端子20においてヒンジ的な機能を発揮し、板体20aを折り畳んだ状態において稜線をなす部分である。
【0020】
フレキシブル基板30は、可撓性を有する樹脂フィルムをベースフィルム32とし、このベースフィルム32上に印刷等の手法により導電性を有する回路パターン34を形成したものである。本実施形態では、ベースフィルム32がポリイミド製のフィルムによって形成されており、回路パターン34は銅箔によって形成されている。フレキシブル基板30の端部には、外側に向けて突出するように導電性突出部36が形成されている。
【0021】
導電性突出部36においては、回路パターン34が長手方向(突出方向)に向けて略直線状に延伸している。また、導電性突出部36に形成された回路パターン34は、導電性突出部36の幅方向略中央部に存在している。すなわち、導電性突出部36の幅Dは、回路パターン34の幅D1よりも大きい。また、回路パターン34の幅D1は、導電性突出部36の幅Dの1/3〜1/4程度とされている。
【0022】
端子接合構造10は、上述した片状の導電性突出部36を、片状の第一接合部22及び第二接合部24の間に挟み込み、接合することにより形成されている。すなわち、端子接合構造10を形成する際には、端子20をなす板体20aを屈曲部26において折り曲げ(折り畳み)、導電性突出部36を挟み込む。これにより、第一接合部22を導電性突出部36の表面36aに面接触させ、第二接合部24が導電性突出部36の裏面36bに面接触させた状態とする。この状態において、熱カシメにより端子20と導電性突出部36とを接合することにより、端子接合構造10が形成される。
【0023】
上述したように、本実施形態の端子接合構造10において用いられる端子20は、第一接合部22及び第二接合部24とを有し、両者の間に設けられた屈曲部26において屈曲させることが可能とされている。また、端子接合構造10においては、導電性突出部36が、端子20をなす第一接合部22及び第二接合部24によって両面から挟み込まれた状態とされ、接合されている。これにより、微振動による負荷が継続的に作用する状況下においても端子20及び導電性突出部36の接合部分に過度に応力が集中することを回避し、接合不良が生じることを防止できる。
【0024】
すなわち、端子接合構造10においては、導電性突出部36が第一接合部22及び第二接合部24によって挟み込まれているため、導電性突出部36が第一接合部22及び第二接合部24から剥離しない。また、導電性突出部36が第一接合部22及び第二接合部24と面接触しているため、従来技術のように半田やカシメによって局所的に固定した場合に比べて接合面積が大きい。そのため、端子接合構造10における第一接合部22及び第二接合部24と、導電性突出部36との接合強度が高いことに加え、微振動による負荷が面全体において分散される。従って、端子20及び導電性突出部36の接合部分に過度に応力が集中することを回避し、接合不良が生じることを防止できる。
【0025】
上述したように、端子接合構造10は、端子20及び導電性突出部36の接合部分について微振動に対する耐久性の面において優れている。そのため、端子接合構造10は、例えば自動車、あるいは自動二輪車等の車両のように微振動が継続的に作用する状況下において好適に使用することができる。
【0026】
また、上述した端子接合構造10は、端子20をなす板体20aを折り曲げて導電性突出部36を挟み込んだ状態で接合した、極めてシンプルな構成とされている。そのため、端子接合構造10は、容易に製造可能であり、製造コストが最小限で済む。
【0027】
本実施形態においては、端子20と導電性突出部36とを熱カシメにより接合した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の接合方法により接合した物であっても良い。具体的には、振動溶接等の接合方法によって端子20と導電性突出部36とを接合し、端子接合構造10を形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のフレキシブル基板における端子接合構造は、微振動による負荷が継続的に作用する状況下においても導電性突出部及び端子の接合不良が発生しにくいため、エンジンを搭載した自動車、あるいは自動二輪車等の車両等に搭載されるフレキシブル基板において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 端子接合構造
20 端子
22 第一接合部
24 第二接合部
26 屈曲部
30 フレキシブル基板
36 導電性突出部
36a 表面
36b 裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板の端部から突出した導電性突出部と端子とを接合してなるフレキシブル基板における端子接合構造であって、
前記端子が、前記導電性突出部の表面及び裏面に接合される第一接合部及び第二接合部と、前記第一接合部及び前記第二接合部の間に設けられた屈曲部とを有し、
前記端子を前記屈曲部において屈曲させることにより、前記第一接合部及び前記第二接合部によって前記導電性突出部が挟み込まれると共に、前記第一接合部及び第二接合部に対して前記導電性突出部が接合されていることを特徴とするフレキシブル基板における端子接合構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−93273(P2013−93273A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235836(P2011−235836)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】