説明

フレキシブル基板の搬送装置及び半導体装置の製造方法

【課題】スプロケットホールの間隔より狭いピッチでフレキシブル基板を搬送できるフレキシブル基板の搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置は、スプロケットホールを有するフレキシブル基板1を搬送する装置であり、スプロケットピン3aを有するスプロケットガイド3と、円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチ(N:2以上の整数)で配置された切欠き6aを有するガイド板6と、スプロケットガイド3及びガイド板6を同じ回転速度で回転させる回転機構と、切欠き6aに対向するように配置され、ガイド板6を回転機構によって回転させた際に切欠きが通過した数を検出する検出部7と、検出部によって検出した切欠きの通過した数に基づいて回転機構を制御することにより、スプロケットガイド及びガイド板それぞれの回転量を制御する制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプロケットホールの間隔より狭いピッチでフレキシブル基板を搬送できるフレキシブル基板の搬送装置及びその搬送装置を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TCP(Tape Career Package)又はCOF(Chip On Film)のような半導体装置は、次の工程を経て製造される。
フレキシブル基板上にインナーリードを形成したフレキシブルテープを用意する。このフレキシブル基板には、その長手方向に沿って所定のピッチでプロケットホールが形成されている。このスプロケットホールは、位置特定のための位置情報用穴であり、位置を特定しながらスプロケットガイドによってフレキシブル基板を搬送するためのものである。また、表面にバンプを有する半導体チップを複数用意する。
【0003】
次いで、インナーリードと半導体チップのバンプとをボンディングツールによって加圧しながら加熱して接合するボンディング工程を行う。次いで、半導体チップの能動面側及びインナーリードの先端側を樹脂により封止する樹脂封止工程を行う。このような工程を繰り返した後、複数の半導体チップが実装されたフレキシブルテープは巻取りリールに巻き取られる。
【0004】
上記ボンディング工程を行うボンディング機構や樹脂封止工程を行う樹脂封止機構にフレキシブル基板を搬送する必要があり、その際に、スプロケットホールを利用して1〜nピッチ(n:2以上の整数)ずつスプロケットガイドによって搬送を行っていた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−124543号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようにスプロケットガイドによってフレキシブル基板をスプロケットホールの1〜nピッチずつ搬送すると、スプロケットホール間隔(ピッチ)にフレキシブル基板の搬送が制約される。この制約のため、半導体チップの大きさによってはフレキシブル基板上に配置する半導体チップの間隔を狭くすることができず、半導体チップの間隔を必要以上に広くしなければならなくなる。その結果、フレキシブル基板に無駄な領域が発生することがある。
【0007】
具体的に説明すると、例えば、スプロケットホール13の間隔にフレキシブル基板1の搬送が制約されないとした場合、図6(B)に示すように狭い間隔で製品領域14をフレキシブル基板1に配置できる。これに対し、スプロケットホール13の間隔にフレキシブル基板1の搬送が制約されるとした場合、図6(A)に示すように、図6(B)の間隔に比べて広い間隔でしか製品領域14をフレキシブル基板1に配置することができなくなる。このように、図6(B)に示す製品領域14の間隔に比べて図6(A)に示す製品領域14の間隔が広くなると、結果的に1個の製品領域14を配置するのに必要なフレキシブル基板1の長さが長くなり、フレキシブル基板1に多くの製品領域14を配置することができなくなる。なお、製品領域14は、その一部に半導体チップが搭載される領域である。
【0008】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、スプロケットホールの間隔より狭いピッチでフレキシブル基板を搬送できるフレキシブル基板の搬送装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るフレキシブル基板の搬送装置は、長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板を搬送する搬送装置であって、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチで配置された切欠きを有するガイド板と、
前記スプロケットガイド及び前記ガイド板を同じ回転速度で回転させる回転機構と、
前記切欠きに対向するように配置され、前記ガイド板を前記回転機構によって回転させた際に前記切欠きが通過した数を検出する検出部と、
前記検出部によって検出した前記切欠きの通過した数に基づいて前記回転機構を制御することにより、前記スプロケットガイド及び前記ガイド板それぞれの回転量を制御する制御部と、
を具備し、
前記スプロケットピンを前記スプロケットホールに挿入しながら前記スプロケットガイドを前記回転機構によって回転させることにより前記フレキシブル基板を搬送することを特徴とする。
前記Nは、2以上の整数である。
【0010】
上記フレキシブル基板の搬送装置によれば、フレキシブル基板をスプロケットホールの1/Nピッチ単位で搬送することができる。
【0011】
本発明に係るフレキシブル基板の搬送装置は、長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板を搬送する搬送装置であって、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチで配置された切欠きを有するガイド板と、
前記スプロケットガイド及び前記ガイド板を共に回転させる回転軸と、
前記切欠きに対向するように配置された検出部と、
前記フレキシブル基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御部と、
を具備し、
前記検出部は、前記搬送機構によって搬送される前記フレキシブル基板の前記スプロケットホールに前記スプロケットピンが挿入されることによって前記スプロケットガイド及び前記ガイド板が前記回転軸を回転中心として共に回転される際に前記切欠きが通過した数を検出するものであり、
前記制御部は、前記検出部によって検出した前記切欠きの通過した数に基づいて前記搬送機構を制御することにより前記フレキシブル基板の搬送量を制御するものであることを特徴とする。
前記Nは、2以上の整数である。
【0012】
本発明に係るフレキシブル基板の搬送装置は、長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板を搬送する搬送装置であって、
前記スプロケットホールに対向するように配置された検出部と、
前記フレキシブル基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御することにより前記フレキシブル基板の搬送量を制御する制御部と、
を具備し、
前記検出部は、前記搬送機構によって前記フレキシブル基板が搬送される際に前記スプロケットホールが通過した数を検出するものであり、
前記制御部は、b回目の搬送時に、前記スプロケットホールの数を前記検出部によってA個検出した後、下記式(2)に示す搬送量Bだけ前記フレキシブル基板を搬送するように前記搬送機構を制御することを特徴とする。
B=P−a+bP/N ・・・(2)
ただし、1回の搬送時に前記フレキシブル基板を搬送する全搬送量をn/Nとし、Nを2以上の整数とし、nを1以上の整数とし、Aをn/Nの整数部とし、bを1以上の整数とし、Pを前記スプロケットホールのピッチとし、aを初回設定位置を示すためのスプロケットホールからの距離とし、下記式(1)が成立することを前提条件とする。
P−a<P/N ・・・(1)
【0013】
上記フレキシブル基板の搬送装置によれば、フレキシブル基板をスプロケットホールの1/Nピッチ単位で搬送することができる。
【0014】
また、本発明に係るフレキシブル基板の搬送装置において、前記搬送機構は、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
前記スプロケットガイドを回転させる回転機構と、
を有し、
前記スプロケットピンを前記スプロケットホールに挿入しながら前記スプロケットガイドを前記回転機構によって回転させることにより前記フレキシブル基板を搬送するものであることも可能である。
【0015】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板に半導体チップが実装された半導体装置を製造する方法において、
前記フレキシブル基板を搬送装置によって搬送する工程を具備し、
前記搬送装置は、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチで配置された切欠きを有するガイド板と、
前記スプロケットガイド及び前記ガイド板を同じ回転速度で回転させる回転機構と、
前記切欠きに対向するように配置され、前記ガイド板を前記回転機構によって回転させた際に前記切欠きが通過した数を検出する検出部と、
前記検出部によって検出した前記切欠きの通過した数に基づいて前記回転機構を制御することにより、前記スプロケットガイド及び前記ガイド板それぞれの回転量を制御する制御部と、を有し、
前記工程は、前記スプロケットピンを前記スプロケットホールに挿入しながら前記スプロケットガイドを前記回転機構によって回転させることにより前記フレキシブル基板を搬送する工程であることを特徴とする。
前記Nは、2以上の整数である。
【0016】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板に半導体チップが実装された半導体装置を製造する方法において、
前記フレキシブル基板を搬送装置によって搬送する工程を具備し、
前記搬送装置は、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチで配置された切欠きを有するガイド板と、
前記スプロケットガイド及び前記ガイド板を共に回転させる回転軸と、
前記切欠きに対向するように配置された検出部と、
前記フレキシブル基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御部と、を有し、
前記検出部は、前記搬送機構によって搬送される前記フレキシブル基板の前記スプロケットホールに前記スプロケットピンが挿入されることによって前記スプロケットガイド及び前記ガイド板が前記回転軸を回転中心として共に回転される際に前記切欠きが通過した数を検出するものであり、
前記制御部は、前記検出部によって検出した前記切欠きの通過した数に基づいて前記搬送機構を制御することにより前記フレキシブル基板の搬送量を制御するものであることを特徴とする。
前記Nは、2以上の整数である。
【0017】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板に半導体チップが実装された半導体装置を製造する方法において、
前記フレキシブル基板を搬送装置によって搬送する工程を具備し、
前記搬送装置は、
前記スプロケットホールに対向するように配置された検出部と、
前記フレキシブル基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御することにより前記フレキシブル基板の搬送量を制御する制御部と、を有し、
前記検出部は、前記搬送機構によって前記フレキシブル基板が搬送される際に前記スプロケットホールが通過した数を検出するものであり、
前記制御部は、b回目の搬送時に、前記スプロケットホールの数を前記検出部によってA個検出した後、下記式(2)に示す搬送量Bだけ前記フレキシブル基板を搬送するように前記搬送機構を制御することを特徴とする。
B=P−a+bP/N ・・・(2)
ただし、1回の搬送時に前記フレキシブル基板を搬送する全搬送量をn/Nとし、Nを2以上の整数とし、nを1以上の整数とし、Aをn/Nの整数部とし、bを1以上の整数とし、Pを前記スプロケットホールのピッチとし、aを初回設定位置を示すためのスプロケットホールからの距離とし、下記式(1)が成立することを前提条件とする。
P−a<P/N ・・・(1)
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1によるフレキシブル基板の搬送装置を示す模式図である。図2(A)は、図1に示すガイド板6の平面図である。
【0019】
図1に示すフレキシブル基板の搬送装置は、駆動源であるモータ10を有しており、このモータ10の回転軸10aは第1のローラ12に連結されている。これにより、モータ10によって回転される回転軸10aの回転力が第1のローラ12に伝えられ、第1のローラ12を回転させることができる。第1のローラ12の回転力はベルト9を通して第2のローラ11に伝えられる。
【0020】
第2のローラ11は回転軸8の一方端に連結されており、回転軸8の他方端はガイド板6に連結されている。また、ガイド板6は回転軸5の一方端に連結されており、回転軸5の他方端は第1のスプロケットガイド3に連結されている。また、第1のスプロケットガイド3は回転軸4の一方端に連結されており、回転軸4の他方端は第2のスプロケットガイド2に連結されている。これにより、第2のローラ11の回転力が回転軸8、ガイド板6、回転軸5、第1及び第2のスプロケットガイド3,2及び回転軸4に伝えられ、ガイド板6、第1及び第2のスプロケットガイド3,2を回転させることができる。つまり、ガイド板6、第1及び第2のスプロケットガイド3,2は同じ回転速度で回転される。なお、回転軸4と回転軸5と回転軸8は、一体的に形成された回転軸であっても良い。
【0021】
第1及び第2のスプロケットガイド3,2それぞれにはスプロケットピン3a,2aが設けられており、スプロケットピン3a,2aは円周上に一定ピッチで配置されている。フレキシブル基板1にはスプロケットホールが長手方向に沿って一定ピッチで配置されており、スプロケットホールのピッチはスプロケットピンのピッチと同じである。スプロケットピン3a,2aはフレキシブル基板1のスプロケットホールに挿入されるものである。従って、スプロケットピン3a,2aにスプロケットホールが挿入されながら第1及び第2のスプロケットガイド3,2を回転させることにより、フレキシブル基板1を搬送することができる。フレキシブル基板1の搬送方向は、図1の紙面に対して垂直方向である。
【0022】
前記ガイド板6は、図2(A)に示すように平面形状が円形であり、その外周には切欠き6aが前記一定ピッチの1/2ピッチ(即ちスプロケットピン3a,2aの1/2ピッチ)で配置されている。なお、図2(B)は、前記スプロケットピン3a,2aと同じピッチで切欠き6aが形成されたガイド板60を比較のために示した図である。
【0023】
また、搬送装置は検出部7を有しており、この検出部7は図1に示すようにガイド板6の下方に配置されている。検出部7は、回転するガイド板6の切欠き6aが通過した数を検出するものである。検出部7は、図示せぬレーザ照射機構とレーザ検出機構とを有し、レーザ照射機構とレーザ検出機構との間にガイド板6の下方が位置するようになっている。レーザ照射機構によって照射されたレーザがガイド板6で遮られる場合は、その照射されたレーザがレーザ検出機構によって検出されることがない。しかし、レーザ照射機構によって照射されたレーザがガイド板の切欠き6aを通過する場合は、その通過したレーザがレーザ検出機構によって検出される。このような機構により、ガイド板6が回転した際に検出部7で切欠き6aの数が検出され、その数をカウントすることによってガイド板6の回転量を検出することができる。
【0024】
上記フレキシブル基板の搬送装置は、以下のような搬送方法によってフレキシブル基板が搬送される。
【0025】
図1に示す検出部7によってガイド板6の切欠き6aの数を検出しながら、モータ10によって回転させる回転軸10aの回転量を制御部(図示せず)によって制御する。つまり、検出部7によって検出した切欠き6aが通過した数に基づいてモータ10によって回転させる回転軸10aの回転量を制御部によって制御する。これにより、フレキシブル基板1を搬送する最小距離をスプロケットホールの1/2ピッチとすることができ、スプロケットホールの1/2ピッチ単位でフレキシブル基板1を搬送することが可能となる。
【0026】
TCP又はCOFのようなフレキシブル基板に半導体チップが実装された半導体装置は、上述したフレキシブル基板の搬送装置を用いた工程を経て製造される。この工程は、例えば、フレキシブル基板1のインナーリードと半導体チップのバンプとをボンディングツールによって加圧しながら加熱して接合するボンディング工程、半導体チップの能動面側及びインナーリードの先端側を樹脂により封止する樹脂封止工程などである。
【0027】
上記ボンディング工程を行うボンディング機構や上記樹脂封止工程を行う樹脂封止機構にフレキシブル基板を搬送する際に、図1に示す搬送装置が用いられ、この搬送装置はフレキシブル基板1をスプロケットホール13の1/2ピッチ単位で搬送することができる。このため、スプロケットホールの1ピッチ単位でフレキシブル基板を搬送する従来技術に比べて狭い間隔で製品領域14をフレキシブル基板1に配置しても、精度良く位置決めしながらフレキシブル基板1を搬送することが可能となる(図6(A),(B)参照)。なお、製品領域14は、その一部に半導体チップが搭載される領域である。
【0028】
詳細には、スプロケットホールの1ピッチ単位でフレキシブル基板を搬送する従来技術では、一つの半導体装置に使用されるフレキシブル基板の長さが1ピッチの整数倍の製品でなければ精度良く位置決めしながら搬送できないのに対し、スプロケットホールの1/2ピッチ単位でフレキシブル基板を搬送できる本実施の形態では、一つの半導体装置に使用されるフレキシブル基板の長さが1/2ピッチの整数倍の製品を精度良く位置決めしながら搬送することが可能となる。その結果、半導体装置の設計自由度が増加し、フレキシブル基板1の無駄な領域が少なくなり、フレキシブル基板1に多くの製品領域14を配置することができ、フレキシブル基板1のコストを低減することができる。
【0029】
なお、上記実施の形態1では、ガイド板の外周の円周上に切欠き6aをスプロケットピン3a,2aの1/2ピッチで配置しているが、ガイド板の外周の円周上に切欠きをスプロケットピンの1/Nピッチ(N:3以上の整数)で配置することも可能である。これにより、フレキシブル基板1をスプロケットホール13の1/Nピッチ単位で搬送することができ、その結果、一つの半導体装置に使用されるフレキシブル基板の長さが1/Nピッチの整数倍の製品を精度良く位置決めしながら搬送することが可能となる。
【0030】
また、上記実施の形態1では、図1に示すように、モータ10、第1及び第2のローラ12,11によって回転軸4,5,8を回転させることにより第1及び第2のスプロケットガイド3,2を回転させてフレキシブル基板1を搬送しているが、第1及び第2のスプロケットガイド3,2を回転させてフレキシブル基板1を搬送する搬送機構に限定されるものではなく、例えば、図3に示すように、モータなどの駆動源(図示せず)によってローラ21などを回転させることによりフレキシブル基板1を搬送する搬送機構を別に設けても良く、この場合は第1及び第2のスプロケットガイド3,2をモータなどの駆動源によって回転させる必要はない。
【0031】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2によるフレキシブル基板の搬送方法を説明するためのものであり、フレキシブル基板の一部(片側部分)を示す平面図である。本実施の形態は、パーフォレーション認識による搬送方法である。
【0032】
本実施の形態では、図1に示す搬送装置からガイド板6及び検出部7を除き、且つフレキシブル基板のスプロケットホールを検出する検出部を加えたようなフレキシブル基板の搬送装置を用いることが可能である。
【0033】
詳細には、本実施の形態による搬送装置は、回転駆動源であるモータと、このモータの回転力を第1及び第2のプロケットガイドに伝える回転力伝達機構とを有している。第1及び第2のスプロケットガイドそれぞれには円周上に一定ピッチで配置されたスプロケットピンが設けられている。また、図4に示すフレキシブル基板1にはスプロケットホール13が長手方向に沿って一定ピッチで配置されており、スプロケットホール13のピッチはスプロケットピンのピッチと同じである。
【0034】
この搬送装置は、回転駆動源から発生させた回転力を回転力伝達機構によって第1及び第2のスプロケットガイドに伝達し、スプロケットピンにスプロケットホール13が挿入されながら第1及び第2のスプロケットガイドを回転させることによりフレキシブル基板1を搬送するものである。
【0035】
また、前記搬送装置は、フレキシブル基板1のスプロケットホール13に対向するように配置された検出部(図示せず)を有している。この検出部は、フレキシブル基板1が搬送された際にスプロケットホールが通過した数を検出する検出機構であり、その検出方法は、図1に示す検出部7と同様の方法を用いる。検出機構の詳細は次のとおりである。
【0036】
検出機構は、レーザ照射機構とレーザ検出機構とを有し、レーザ照射機構とレーザ検出機構との間にフレキシブル基板1の端部が位置するようになっている。レーザ照射機構によって照射されたレーザがフレキシブル基板1で遮られる場合は、その照射されたレーザがレーザ検出機構によって検出されることがない。しかし、レーザ照射機構によって照射されたレーザがフレキシブル基板1のスプロケットホール13を通過する場合は、その通過したレーザがレーザ検出機構によって検出される。このような機構により、フレキシブル基板1が搬送された際に検出部でスプロケットホール13の数が検出され、その数をカウントすることによってスプロケットホール13のピッチ単位のフレキシブル基板1の搬送量を検出することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、上述したような検出機構を用いているが、スプロケットホール13の数を検出できれば他の検出機構を用いることも可能である。
【0038】
また、前記搬送装置は制御部(図示せず)を有している。この制御部は、前記回転駆動源により発生させた回転力が前記回転力伝達機構によって第1及び第2のスプロケットガイドに伝達されてフレキシブル基板1を搬送した際、前記回転駆動源から発生させた回転力を検出することによりフレキシブル基板1の搬送量を検出でき、また、この逆に前記回転駆動源から発生させる回転力を制御することによりフレキシブル基板1の搬送量を精度良く制御できるものである。
【0039】
次に、上記搬送装置によってフレキシブル基板1をスプロケットホールの1/Nピッチ単位で搬送する方法について説明する。この搬送方法は、フレキシブル基板1が搬送された際のスプロケットホール(パーフォレーション穴)13が前記検出部を通過した数を前記検出機構によって検出しながら搬送する方法である。1/Nピッチ単位でのフレキシブル基板の搬送は前記制御部によって制御される。
【0040】
まず、1/Nピッチ単位でフレキシブル基板を搬送する際に用いる各変数(図4に示す変数を含む)について以下のように定義する。ただし、1回の搬送時に前記フレキシブル基板を搬送する全搬送量をn/Nとする。
P : パーフォレーション間距離(図4に示すスプロケットホールのピッチであり、本実施の形態では4.75mmとする)
a : 初回設定位置を示すためのスプロケットホールからの距離(図4に示す)
N : 2以上の整数(1P間のN等分、即ち、スプロケットホールの1ピッチのN等分)
n : 1以上の整数
A : n/Nの整数部(例えば、n=5、N=2の場合、A=2)
b : 1以上の整数(b回目の搬送を意味する)
【0041】
また、本搬送方法は、下記式(1)が成立することが前提条件となる。
P−a<P/N ・・・(1)
【0042】
b回目の搬送時は、搬送されているフレキシブル基板1のスプロケットホール13の数を前記検出部によってA個検出した後、下記式(2)に示す搬送量Bだけフレキシブル基板を搬送する。
【0043】
B=P−a+bP/N ・・・(2)
ただし、N=bの時はb=0とする。bは搬送回数であり順次増加する。N=bを過ぎた後はb=1に戻り、その後は順次増加し、このループを繰り返す。
【0044】
以下、具体例を二つ示す。
〈具体例1〉
N=2、n=5、A=2の場合、即ち、n/Nが2.5の場合は、搬送されているフレキシブル基板1のスプロケットホール13の数を前記検出部によって2個検出した後、表1に示す搬送量Bだけフレキシブル基板を搬送する。なお、5回目以後の搬送量Bは、1〜4回目の搬送量Bの繰り返しである。
【0045】
【表1】

【0046】
〈具体例2〉
N=3、n=7、A=2の場合、即ち、n/Nが2.3の場合は、搬送されているフレキシブル基板1のスプロケットホール13の数を前記検出部によって2個検出した後、表2に示す搬送量Bだけフレキシブル基板を搬送する。なお、7回目以後の搬送量Bは、1〜6回目の搬送量Bの繰り返しである。
【0047】
【表2】

【0048】
上記実施の形態2によれば、フレキシブル基板1を搬送する最小距離をスプロケットホールの1/Nピッチとすることができ、スプロケットホールの1/Nピッチ単位でフレキシブル基板1を搬送することが可能となる。これにより、一つの半導体装置に使用されるフレキシブル基板の長さが1/Nピッチの整数倍の製品を精度良く位置決めしながら搬送することが可能となる。その結果、半導体装置の設計自由度が増加し、フレキシブル基板1の無駄な領域が少なくなり、フレキシブル基板1に多くの製品領域を配置することができ、フレキシブル基板1のコストを低減することができる。
【0049】
なお、上記実施の形態2では、モータ、第1及び第2のローラによって回転軸を回転させることにより第1及び第2のスプロケットガイドを回転させてフレキシブル基板1を搬送する搬送機構を用いているが、このような搬送機構に限定されるものではなく、フレキシブル基板を搬送できれば他の搬送機構を用いることも可能であり、例えば、図5に示すように、スプロケットガイドを用いずに、モータなどの駆動源(図示せず)によってローラ21などを回転させることによりフレキシブル基板1を搬送する搬送機構を用いることも可能である。
【0050】
また、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態1では、検出部7をガイド板6の下方に配置しているが、検出部7の位置はガイド板の下方に限定されるものではなく、検出部7をガイド板6の下方以外、例えばガイド板6の外周の一部に検出部7を配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施の形態1によるフレキシブル基板の搬送装置を示す模式図。
【図2】(A)は図1に示すガイド板の平面図、(B)はスプロケットピンと同じピッチで切欠きが形成されたガイド板を比較のために示した図。
【図3】実施の形態1の変形例を示す図。
【図4】実施の形態2によるフレキシブル基板の搬送方法を説明するための図。
【図5】実施の形態2の変形例を示す図。
【図6】(A),(B)は、従来技術と比較した本発明の効果を示す図。
【符号の説明】
【0052】
1…フレキシブル基板、2…第2のスプロケットガイド、2a,3a…スプロケットピン、3…第1のスプロケットガイド、4,5,8,10a…回転軸、6,60…ガイド板、6a…切欠き、7…検出部、9…ベルト、10…モータ、11…第2のローラ、12…第1のローラ、13…スプロケットホール、14…製品領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板を搬送する搬送装置であって、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチで配置された切欠きを有するガイド板と、
前記スプロケットガイド及び前記ガイド板を同じ回転速度で回転させる回転機構と、
前記切欠きに対向するように配置され、前記ガイド板を前記回転機構によって回転させた際に前記切欠きが通過した数を検出する検出部と、
前記検出部によって検出した前記切欠きの通過した数に基づいて前記回転機構を制御することにより、前記スプロケットガイド及び前記ガイド板それぞれの回転量を制御する制御部と、
を具備し、
前記スプロケットピンを前記スプロケットホールに挿入しながら前記スプロケットガイドを前記回転機構によって回転させることにより前記フレキシブル基板を搬送することを特徴とするフレキシブル基板の搬送装置。
前記Nは、2以上の整数である。
【請求項2】
長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板を搬送する搬送装置であって、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチで配置された切欠きを有するガイド板と、
前記スプロケットガイド及び前記ガイド板を共に回転させる回転軸と、
前記切欠きに対向するように配置された検出部と、
前記フレキシブル基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御部と、
を具備し、
前記検出部は、前記搬送機構によって搬送される前記フレキシブル基板の前記スプロケットホールに前記スプロケットピンが挿入されることによって前記スプロケットガイド及び前記ガイド板が前記回転軸を回転中心として共に回転される際に前記切欠きが通過した数を検出するものであり、
前記制御部は、前記検出部によって検出した前記切欠きの通過した数に基づいて前記搬送機構を制御することにより前記フレキシブル基板の搬送量を制御するものであることを特徴とするフレキシブル基板の搬送装置。
前記Nは、2以上の整数である。
【請求項3】
長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板を搬送する搬送装置であって、
前記スプロケットホールに対向するように配置された検出部と、
前記フレキシブル基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御することにより前記フレキシブル基板の搬送量を制御する制御部と、
を具備し、
前記検出部は、前記搬送機構によって前記フレキシブル基板が搬送される際に前記スプロケットホールが通過した数を検出するものであり、
前記制御部は、b回目の搬送時に、前記スプロケットホールの数を前記検出部によってA個検出した後、下記式(2)に示す搬送量Bだけ前記フレキシブル基板を搬送するように前記搬送機構を制御することを特徴とするフレキシブル基板の搬送装置。
B=P−a+bP/N ・・・(2)
ただし、1回の搬送時に前記フレキシブル基板を搬送する全搬送量をn/Nとし、Nを2以上の整数とし、nを1以上の整数とし、Aをn/Nの整数部とし、bを1以上の整数とし、Pを前記スプロケットホールのピッチとし、aを初回設定位置を示すためのスプロケットホールからの距離とし、下記式(1)が成立することを前提条件とする。
P−a<P/N ・・・(1)
【請求項4】
請求項3において、前記搬送機構は、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
前記スプロケットガイドを回転させる回転機構と、
を有し、
前記スプロケットピンを前記スプロケットホールに挿入しながら前記スプロケットガイドを前記回転機構によって回転させることにより前記フレキシブル基板を搬送するものであることを特徴とするフレキシブル基板の搬送装置。
【請求項5】
長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板に半導体チップが実装された半導体装置を製造する方法において、
前記フレキシブル基板を搬送装置によって搬送する工程を具備し、
前記搬送装置は、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチで配置された切欠きを有するガイド板と、
前記スプロケットガイド及び前記ガイド板を同じ回転速度で回転させる回転機構と、
前記切欠きに対向するように配置され、前記ガイド板を前記回転機構によって回転させた際に前記切欠きが通過した数を検出する検出部と、
前記検出部によって検出した前記切欠きの通過した数に基づいて前記回転機構を制御することにより、前記スプロケットガイド及び前記ガイド板それぞれの回転量を制御する制御部と、を有し、
前記工程は、前記スプロケットピンを前記スプロケットホールに挿入しながら前記スプロケットガイドを前記回転機構によって回転させることにより前記フレキシブル基板を搬送する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
前記Nは、2以上の整数である。
【請求項6】
長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板に半導体チップが実装された半導体装置を製造する方法において、
前記フレキシブル基板を搬送装置によって搬送する工程を具備し、
前記搬送装置は、
円周上に前記一定ピッチと同一ピッチで配置されたスプロケットピンを有するスプロケットガイドと、
円周上に前記一定ピッチの1/N倍ピッチで配置された切欠きを有するガイド板と、
前記スプロケットガイド及び前記ガイド板を共に回転させる回転軸と、
前記切欠きに対向するように配置された検出部と、
前記フレキシブル基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御する制御部と、を有し、
前記検出部は、前記搬送機構によって搬送される前記フレキシブル基板の前記スプロケットホールに前記スプロケットピンが挿入されることによって前記スプロケットガイド及び前記ガイド板が前記回転軸を回転中心として共に回転される際に前記切欠きが通過した数を検出するものであり、
前記制御部は、前記検出部によって検出した前記切欠きの通過した数に基づいて前記搬送機構を制御することにより前記フレキシブル基板の搬送量を制御するものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
前記Nは、2以上の整数である。
【請求項7】
長手方向に沿って一定ピッチで設けられたスプロケットホールを有するフレキシブル基板に半導体チップが実装された半導体装置を製造する方法において、
前記フレキシブル基板を搬送装置によって搬送する工程を具備し、
前記搬送装置は、
前記スプロケットホールに対向するように配置された検出部と、
前記フレキシブル基板を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構を制御することにより前記フレキシブル基板の搬送量を制御する制御部と、を有し、
前記検出部は、前記搬送機構によって前記フレキシブル基板が搬送される際に前記スプロケットホールが通過した数を検出するものであり、
前記制御部は、b回目の搬送時に、前記スプロケットホールの数を前記検出部によってA個検出した後、下記式(2)に示す搬送量Bだけ前記フレキシブル基板を搬送するように前記搬送機構を制御することを特徴とする半導体装置の製造方法。
B=P−a+bP/N ・・・(2)
ただし、1回の搬送時に前記フレキシブル基板を搬送する全搬送量をn/Nとし、Nを2以上の整数とし、nを1以上の整数とし、Aをn/Nの整数部とし、bを1以上の整数とし、Pを前記スプロケットホールのピッチとし、aを初回設定位置を示すためのスプロケットホールからの距離とし、下記式(1)が成立することを前提条件とする。
P−a<P/N ・・・(1)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−267083(P2009−267083A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114920(P2008−114920)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】