説明

フレキシブル配線板の製造方法

【課題】多層部がはがれることを抑制して、歩留まりを向上する、フレキシブル配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】フレキシブル配線板の製造方法は、準備工程と、多層部形成工程と、載置工程と、加圧工程とを備えている。準備工程は、少なくとも1枚のフレキシブル配線板を準備する。多層部形成工程は、フレキシブル配線板の少なくとも一部上に、フレキシブル配線板の他の部分、または他のフレキシブル配線板の少なくとも一部を積層して多層部を形成する。載置工程は、多層部が形成されたフレキシブル配線板を、保持用トレイ100上に載せる。加圧工程は、多層部が形成されたフレキシブル配線板が載せられた保持用トレイ100上に、他の多層部が形成されたフレキシブル配線板が載せられた他の保持用トレイ100を積層することにより、多層部に圧力を加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線板の製造方法に関し、たとえば折り曲げて固定することにより多層部が形成されたフレキシブル配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの携帯機器は、性能の向上や機能の増大等により、回路基板を多数のフレキシブル配線板などで接続する必要がある。特に、携帯電話のヒンジ部などに用いられるフレキシブル配線板は、高密度に配置されているので、多層フレキシブル配線板が用いられている。
【0003】
また、特開2006−339510号公報(特許文献1)には、同一形態の1枚以上のフレキシブル配線板を重ねて接着層を介して多層フレキシブル配線板を製造することが開示されている。
【特許文献1】特開2006−339510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示のフレキシブル配線板の多層部は接着層を用いて接続されているので、接続される際に印加される圧力の不均一や環境の変化などによって、使用時に多層部がはがれる場合がある。特に、製造直後にはがれが生じない場合であっても、使用直前にはがれが生じる場合が多く、歩留まりが悪いという問題がある。
【0005】
また、1枚のフレキシブル配線板を折り曲げて、その間に接着剤を用いて固定する場合には、折り曲げた部分で復元する力が働くことにより、折り曲げた部分ではがれが生じやすいという問題がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、多層部がはがれることを抑制して、歩留まりを向上する、フレキシブル配線板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフレキシブル配線板の製造方法は、準備工程と、多層部形成工程と、載置工程と、加圧工程とを備えている。準備工程は、少なくとも1枚のフレキシブル配線板を準備する。多層部形成工程は、フレキシブル配線板の少なくとも一部上に、フレキシブル配線板の他の部分、または他のフレキシブル配線板の少なくとも一部を積層して多層部を形成する。載置工程は、多層部が形成されたフレキシブル配線板を、保持用トレイ上に載せる。加圧工程は、多層部が形成されたフレキシブル配線板が載せられた保持用トレイ上に、他の多層部が形成されたフレキシブル配線板が載せられた他の保持用トレイを積層することにより、多層部に圧力を加える。
【0008】
本発明のフレキシブル配線板の製造方法によれば、フレキシブル配線板を使用する時まで加圧工程を実施できるので、使用直前に多層部がはがれることを抑制できる。特に、1枚のフレキシブル配線板の少なくとも一部を折り曲げて固定することにより、多層部を形成する場合には、折り曲げた部分で復元する力が働くことにより生じやすいはがれを効果的に抑制できる。よって、多層部がはがれることを抑制して、歩留まりを向上することができる。
【0009】
上記フレキシブル配線板の製造方法において好ましくは、加圧工程では、多層部を加熱する工程を含んでいる。
【0010】
これにより、多層部をより強固に固定できる。特に、多層部の間に熱可塑性の接着剤が配置されている場合には、加熱する工程を実施することにより接着剤を軟らかくして、他の保持用トレイにより加圧できるので、多層部をより一層強固に固定できる。
【0011】
なお、本発明において、「フレキシブル配線板」とは、フレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuits)とフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフレキシブル配線板の製造方法によれば、フレキシブル配線板が載せられた保持用トレイ上に、多層部が形成されたフレキシブル配線板が載せられた他の保持用トレイを積層することにより、多層部に圧力を加えることができる。よって、多層部がはがれることを抑制して、歩留まりを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0014】
図1〜図9を参照して、本発明の実施の形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明する。なお、図1は、本発明の実施の形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。図2は、本発明の実施の形態におけるフレキシブルプリント配線板を示す概略上面図である。図3は、本発明の実施の形態におけるフレキシブルプリント配線板の多層部を示し、(A)は概略斜視図であり、(B)は(A)において矢印から見たときの側面図である。図4は、本発明の実施の形態におけるトレイを示す概略斜視図である。図5は、図4における線分V−Vでの断面図である。図6は、本発明の実施の形態における載置工程を説明するための概略断面図である。図7は、図6の概略拡大図である。図8は、本発明の実施の形態における加圧工程を示すフローチャートである。図9は、本発明の実施の形態における加圧工程を説明するための概略断面図である。
【0015】
まず、図1に示すように、少なくとも1枚のフレキシブル配線板を準備する準備工程(S10)を実施する。
【0016】
実施の形態における準備工程(S10)では、図2に示すように、1枚のフレキシブルプリント配線板(FPC)10を準備する。フレキシブルプリント配線板10は、折曲部13を有し、折曲部13を基準として左右対称の形状としている。
【0017】
準備工程(S10)で準備するフレキシブルプリント配線板10は、コストを低減できる観点から、片面板であることが好ましい。なお、後述する多層部形成工程(S20)で多層部を3層以上に形成する場合には、両面板を準備してもよい。ここで、片面板とは、配線板の一方面のみにパターン(回路)があるものを意味する。両面板とは、配線板の両面にパターン(回路)があるものを意味する。多層板とは、ウエハース状に絶縁体とパターン(回路)とを積み重ねたものを意味する。
【0018】
次に、図1に示すように、フレキシブル配線板の少なくとも一部上に、フレキシブル配線板の他の部分、または他のフレキシブル配線板の少なくとも一部を積層して多層部を形成する多層部形成工程(S20)を実施する。多層部形成工程(S20)では、フレキシブル配線板の少なくとも一部を折り曲げて固定することにより、多層部を形成することが好ましい。
【0019】
実施の形態における多層部形成工程(S20)では、まず、図3(A)および(B)に示すように、フレキシブルプリント配線板10において折曲部13で折り曲げる。これにより、多層部を構成する第1の層11と、第1の層11上に形成された第2の層12とを形成できる。そして、第1の層11と第2の層12との間に接着剤20を配置して、接着剤20により第1の層11と第2の層12とを固定する。これにより、第1の層11と、第2の層12と、接着剤とからなる多層部を形成できる。
【0020】
接着剤20は、第1の層11と第2の層12とを固定できるものであれば特に限定されないが、たとえば半田や熱可塑性樹脂などを用いることができる。また、接着剤20は、高粘度で低弾性率の半固体であり、接着後もその状態が変わらない(すなわち固化の工程が必要でない)粘着剤を含む。なお、後述する加圧工程(S40)で加熱する工程(S42)を実施する場合には、熱が加えられることにより軟らかくなるような材料(たとえば半田や熱可塑性樹脂など)からなる接着剤20で固定することが好ましい。
【0021】
なお、多層部形成工程(S20)では、折曲部13は、フレキシブルプリント配線板10の略中央に特に限定されず任意の位置とされ、フレキシブルプリント配線板10の少なくとも一部を折り曲げて固定することにより多層部を形成することができる。
【0022】
次に、多層部が形成されたフレキシブル配線板を、保持用トレイ上に載せる載置工程(S30)を実施する。載置工程(S30)で用いる保持用トレイは、箱や板など任意の形状を採用できる。
【0023】
実施の形態における載置工程(S30)では、図4および図5に示す保持用トレイ100を準備する。保持用トレイ100は、凹部101が設けられており、複数設けられていることが好ましい。また、図5に示すように、凹部101は、フレキシブルプリント配線板10を載せやすいため、底面に向けて徐々に幅が狭くなるテーパ状であることが好ましい。そして、図6および図7に示すように、保持用トレイ100の凹部101に、多層部が形成されたフレキシブルプリント配線板10を載置する。なお、保持用トレイ100に凹部101が複数設けられている場合には、凹部101の一部のみにフレキシブルプリント配線板10を載置してもよい。
【0024】
次に、図1に示すように、多層部が形成されたフレキシブル配線板が載せられた保持用トレイ上に、他の多層部が形成されたフレキシブル配線板が載せられた他の保持用トレイを積層することにより、多層部に圧力を加える加圧工程(S40)を実施する。なお、積層されるそれぞれの保持用トレイは、載せられたそれぞれのフレキシブル配線板に圧力が印加される形状であれば特に限定されない。複数の保持用トレイは、それぞれの形状が同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
実施の形態における加圧工程(S40)では、たとえば図8に示す工程を順に実施する。具体的には、図8および図9に示すように、フレキシブルプリント配線板10が載せられた保持用トレイ100上に、多層部が形成されたフレキシブルプリント配線板10が載せられた他の保持用トレイ100を積層する。なお、保持用トレイ100上に他の保持用トレイ100を積層して、保持用トレイ100の凹部101にフレキシブルプリント配線板10を配置してもよい。そして、多層部が形成されたフレキシブルプリント配線板10が載せられたさらに他の保持用トレイ100を同様にその上に積層する。フレキシブルプリント配線板10が載せられた保持用トレイ100を積層する工程を、積層する保持用トレイ100の数だけ繰り返す。これにより、多層部が形成されたフレキシブルプリント配線板10が載せられた保持用トレイ100上に、多層部が形成されたフレキシブルプリント配線板10が載せられた他の保持用トレイ100を積層することができる(S41)。
【0026】
なお、保持用トレイ100を積層することによって、保持用トレイ100の凹部101に配置されたフレキシブルプリント配線板10に加圧できる。それぞれのフレキシブルプリント配線板10に加圧する圧力は、多層部を押すことができる圧力以上フレキシブルプリント配線板10が損傷しない圧力以下とする。たとえば、それぞれのフレキシブルプリント配線板10に印加される圧力は、10g/cm2〜50g/cm2である。
【0027】
また、積層される保持用トレイ100の数は、2枚以上であれば特に限定されないが、取り扱いが容易である観点から、3枚以上100枚以下積層することが好ましい。
【0028】
また、積層された保持用トレイ100の最上部の凹部101には、錘200を配置することが好ましい。これにより、上方に配置される保持用トレイ100に載せられるフレキシブルプリント配線板10にも圧力を印加できる。なお、錘200の重さは、それぞれのフレキシブルプリント配線板10が損傷しない重さとする。錘200は、たとえば板などを用いることができる。
【0029】
そして、図8に示すように、フレキシブルプリント配線板10が載せられた保持用トレイ100が積層された状態で、多層部を加熱する(S42)。多層部を加熱する方法は、任意の方法を採用できるが、たとえばフレキシブルプリント配線板10が載せられた保持用トレイ100が積層された状態で、加熱装置(図示せず)に導入して、熱を加える。
【0030】
加熱する温度は、接着剤20が軟化する温度以上接着剤20が液化する温度未満であることが好ましく、たとえば60℃〜180℃であることが好ましく、100℃〜120℃であることがより好ましい。
【0031】
また、加熱する時間は、接着剤20が軟化する時間に設定することが好ましく、たとえば数分〜数時間程度に設定できる。加熱する工程(S42)では、たとえば加熱温度が100℃の場合には1時間程度、60℃の場合には12時間〜24時間程度、多層部を加熱する。
【0032】
そして、図8に示すように、フレキシブルプリント配線板10を使用可能な状態にする後処理工程(S43)を実施する。実施の形態における後処理工程(S43)では、フレキシブルプリント配線板10が載せられた保持用トレイ100が積層された状態で、加熱装置から取り出す。そして、室温で、または冷却装置(図示せず)により、冷却する。これにより、加熱により軟化した接着剤20を硬化させて、多層部を接着できる。
【0033】
そして、保持用トレイ100の凹部101からフレキシブルプリント配線板10を取り出す。
【0034】
加圧工程(S40)は、載置工程(S30)実施後、フレキシブルプリント配線板10の使用直前まで実施されることが好ましい。すなわち、加圧工程(S40)を実施した状態(保持用トレイ100を積層した状態)で運搬または保管などを行ない、フレキシブルプリント配線板10の使用直前にそれぞれの保持用トレイ100におけるそれぞれの凹部101からフレキシブルプリント配線板10を取り出すことが好ましい。加圧工程(S40)を実施することによって、使用直前まで、多層部形成工程(S20)で形成された多層部は加重された状態になるので、多層部のはがれを抑制できる。特に、フレキシブルプリント配線板10の少なくとも一部を折り曲げて固定することにより多層部が形成されている場合には、折曲部13でのくせ付けが強まるため、折曲部13で生じる復元力(反発力)を抑制できる。そのため、運搬または保管時に多層部において生じるはがれを抑制できる。
【0035】
また、加圧工程(S40)が多層部を加熱する工程を含んでいる場合には、多層部においてはがれが生じていても、熱が加えられることによって多層部を接続する接着剤が軟化させることができる。そのため、加圧された状態で熱が加えられると、多層部において接着剤による固定をより確実にできる。
【0036】
なお、準備工程(S10)では、1枚のフレキシブルプリント配線板10を準備して、多層部形成工程(S20)では、フレキシブルプリント配線板10の少なくとも一部を折り曲げて固定することにより、折曲部13を形成しているが、特にこれに限定されない。たとえば準備工程(S10)で2枚以上のフレキシブルプリント配線板10を準備し、多層部形成工程(S20)では、フレキシブルプリント配線板10の少なくとも一部上に、別のフレキシブルプリント配線板10を積層することによって、多層部が形成されたフレキシブルプリント配線板10を形成してもよい。
【0037】
また、実施の形態ではフレキシブル配線板の製造方法として、フレキシブルプリント配線板10を用いて説明をしたが、特にこれに限定されない。実施の形態におけるフレキシブル配線板の製造方法は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)に適用することもできる。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施の形態では、多層部が形成されたフレキシブルプリント配線板10が載せられた保持用トレイ100上に、他の多層部が形成されたフレキシブルプリント配線板10が載せられた他の保持用トレイ100を積層することにより、多層部に圧力を加える加圧工程(S40)を実施している。フレキシブルプリント配線板10を使用する時まで加圧工程(S40)を実施できるので、使用直前に多層部がはがれることを抑制できる。特に、1枚のフレキシブルプリント配線板10の少なくとも一部を折り曲げて固定することにより、多層部を形成する場合には、折り曲げた部分で復元する力が働くことにより生じやすいはがれを効果的に抑制できる。よって、運搬や保管などの環境によらず、多層部がはがれることを抑制して、歩留まりを向上することができる。
【0039】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のフレキシブル配線板の製造方法は、多層部が形成されたフレキシブル配線板を運搬または保管する場合など、製造されたフレキシブル配線板の使用直前まで時間が経過する場合に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態におけるフレキシブルプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態におけるフレキシブルプリント配線板を示す概略上面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるフレキシブルプリント配線板の多層部を示し、(A)は概略斜視図であり、(B)は(A)において矢印から見たときの側面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるトレイを示す概略斜視図である。
【図5】図4における線分V−Vでの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における載置工程を説明するための概略断面図である。
【図7】図6の概略拡大図である。
【図8】本発明の実施の形態における加圧工程を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態における加圧工程を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 フレキシブルプリント配線板、11 第1の層、12 第2の層、13 折曲部、20 接着剤、100 保持用トレイ、101 凹部、200 錘。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚のフレキシブル配線板を準備する準備工程と、
前記フレキシブル配線板の少なくとも一部上に、前記フレキシブル配線板の他の部分、または他の前記フレキシブル配線板の少なくとも一部を積層して多層部を形成する多層部形成工程と、
前記多層部が形成された前記フレキシブル配線板を、保持用トレイ上に載せる載置工程と、
前記多層部が形成された前記フレキシブル配線板が載せられた保持用トレイ上に、他の前記多層部が形成されたフレキシブル配線板が載せられた他の保持用トレイを積層することにより、前記多層部に圧力を加える加圧工程とを備える、フレキシブル配線板の製造方法。
【請求項2】
前記加圧工程では、前記多層部を加熱する工程を含む、請求項1に記載のフレキシブル配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−235449(P2008−235449A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70698(P2007−70698)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】