説明

フレキシャ、該フレキシャの製造方法、前記フレキシャを備えるヘッド・スタック・アセンブリ、該ヘッド・スタック・アセンブリを備える磁気ディスク装置

【課題】高密度化を実現することができ、且つ配線回路と金属支持基板との導電、非導電を領域毎に分けることができることで、一段と高機能化と共に良好な電気特性を実現することができるフレキシャ及びフレキシャの製造方法、フレキシャを備えるヘッド・スタック・アセンブリ、ヘッド・スタック・アセンブリを備える磁気ディスク装置の提供を課題とする。
【解決手段】基材31aの一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路Wを備える両面プリント配線板31と、金属支持基板32とを、接着剤層33を介して接続してなるフレキシャ30であって、接着剤層33は、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的に接続する導電性接着剤33aからなる導電領域Cと、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的に接続することのない非導電性接着剤33bからなる非導電領域Nとを区分けして組み合わせてなるフレキシャである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面プリント配線板と金属支持基板とを接着剤層を介して接続してなるフレキシャ、該フレキシャの製造方法及び前記フレキシャを備えるヘッド・スタック・アセンブリ、該ヘッド・スタック・アセンブリを備える磁気ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハードディスク駆動装置(HDD)には、ステンレス等からなる金属支持基板の上に、樹脂からなる絶縁層、導電性金属からなる配線回路が順次形成された、いわゆる配線回路付きサスペンション基板(以下、フレキシャとする)が組み込まれている。
近年、ハードディスク駆動装置(HDD)の小型化・高機能化等に伴い、ハードディスク駆動装置(HDD)に組み込まれるフレキシャの開発においては、配線回路の高密度化や良好な電気特性の実現等を如何にして実現するかが重要な課題となっている。
このようなハードディスク駆動装置(HDD)に組み込まれるフレキシャを示す従来技術として、例えば下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4615427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、配線回路基板に関する発明で、簡易な層構成により、伝送損失を低減させることができると共に、金属箔と絶縁層との間に生じるイオンマイグレーション現象の発生を防止して、金属箔と絶縁層との密着性及び導体の導電性を向上させて、長期信頼性に優れる配線回路基板を提供できるメリットがある。
しかし上記特許文献1に示す配線回路基板は、片面のみに配線回路(導体パターン)を備える構成であることから、高密度化を実現することが困難であるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、高密度化を実現することができ、且つ配線回路と金属支持基板との導電、非導電を領域毎に分けることができることで、一段と高機能化を実現することができると共に、良好な電気特性を実現することができるフレキシャ、該フレキシャの製造方法及び前記フレキシャを備えるヘッド・スタック・アセンブリ、該ヘッド・スタック・アセンブリを備える磁気ディスク装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフレキシャは、基材の一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路を備える両面プリント配線板と、金属支持基板とを、接着剤層を介して接続させてなるフレキシャであって、前記接着剤層は、前記他面側の配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続する導電性接着剤からなる導電領域と、前記他面側の配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続することのない非導電性接着剤からなる非導電領域とを区分けして組み合わせてなることを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、フレキシャは、基材の一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路を備える両面プリント配線板と、金属支持基板とを、接着剤層を介して接続させてなるフレキシャであって、前記接着剤層は、前記他面側の配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続する導電性接着剤からなる導電領域と、前記他面側の配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続することのない非導電性接着剤からなる非導電領域とを区分けして組み合わせてなることから、両面プリント配線板を用いることで、高密度化を実現することができる。また配線回路と金属支持基板との導電、非導電を領域毎に分けることで、一段と高機能化を実現することができる。
【0008】
また本発明のフレキシャは、上記本発明の第1の特徴に加えて、前記他面側に備える配線回路と、該配線回路と前記基材を挟んで対向する前記一面側に備える配線回路とを、ブラインドビアホールを介して電気的に接続してあることを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記本発明の第1の特徴による作用効果に加えて、前記他面側に備える配線回路と、該配線回路と前記基材を挟んで対向する前記一面側に備える配線回路とを、ブラインドビアホールを介して電気的に接続してあることから、基材の両面に備える配線回路を一体的に金属支持基板と電気接続させることができる。よって一段と高機能化を実現することができる。
【0010】
また本発明のフレキシャは、上記本発明の第2の特徴に加えて、前記ブラインドビアホールの直下及びその近傍領域の接着剤層を、導電性接着剤のみで形成してあることを第3の特徴としている。
【0011】
上記本発明の第3の特徴によれば、上記本発明の第2の特徴による作用効果に加えて、前記ブラインドビアホールの直下及びその近傍領域の接着剤層を、導電性接着剤のみで形成してあることから、配線回路からの信号を金属支持基板へと伝搬させる流路長を短くでき、且つ配線回路からの信号を直接的に金属支持基板へと伝搬させることができる。よって信号伝搬損失を低損失にすることができる。従って良好な電気特性を実現することができる。
【0012】
また本発明のヘッド・スタック・アセンブリは、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴に記載のフレキシャを用いることを第4の特徴としている。
【0013】
上記本発明の第4の特徴によれば、ヘッド・スタック・アセンブリは、上記本発明の第1〜第3の何れか1つの特徴に記載のフレキシャを用いることから、高密度化、高機能化を実現することができると共に、良好な電気特性を実現することができるヘッド・スタック・アセンブリとすることができる。
【0014】
また本発明の磁気ディスク装置は、上記本発明の第4の特徴に記載のヘッド・スタック・アセンブリを用いることを第5の特徴としている。
【0015】
上記本発明の第5の特徴によれば、磁気ディスク装置は、上記本発明の第4の特徴に記載のヘッド・スタック・アセンブリを用いることから、高密度化、高機能化を実現することができると共に、良好な電気特性を実現することができる磁気ディスク装置とすることができる。
【0016】
また本発明のフレキシャの製造方法は、請求項1に記載のフレキシャの製造方法であって、基材の一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路を備える両面プリント配線板を準備する工程と、該両面プリント配線板の下方に金属支持基板を準備する工程と、該金属支持基板と前記両面プリント配線板との間に、前記配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続する導電性接着剤からなる導電領域と、前記配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続することのない非導電性接着剤からなる非導電領域とを区分けして組み合わせてなる接着剤層を介在させる工程と、前記両面プリント配線板と前記金属支持基板とを前記接着剤層を介して接続させる工程とを少なくとも含むことを第6の特徴としている。
【0017】
上記本発明の第6の特徴によれば、フレキシャの製造方法は、請求項1に記載のフレキシャの製造方法であって、基材の一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路を備える両面プリント配線板を準備する工程と、該両面プリント配線板の下方に金属支持基板を準備する工程と、該金属支持基板と前記両面プリント配線板との間に、前記配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続する導電性接着剤からなる導電領域と、前記配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続することのない非導電性接着剤からなる非導電領域とを区分けして組み合わせてなる接着剤層を介在させる工程と、前記両面プリント配線板と前記金属支持基板とを前記接着剤層を介して接続させる工程とを少なくとも含むことから、高密度化を実現することができると共に、配線回路と金属支持基板との導電、非導電を領域毎に分けることができることで、一段と高機能化を実現することができるフレキシャを製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のフレキシャによれば、高密度化を実現することができ、且つ配線回路と金属支持基板との導電、非導電を領域毎に分けることができることで、一段と高機能化を実現することができると共に、良好な電気特性を実現することができる。
また本発明のヘッド・スタック・アセンブリによれば、高密度化、高機能化を実現することができると共に、良好な電気特性を実現することができる。
また本発明の磁気ディスク装置によれば、高密度化、高機能化を実現することができると共に、良好な電気特性を実現することができる。
また本発明のフレキシャの製造方法によれば、高密度化を実現することができると共に、配線回路と金属支持基板との導電、非導電を領域毎に分けることができることで、一段と高機能化を実現することができるフレキシャを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るプリント配線板の接続構造が適用されるハードディスク装置の内部構造を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフレキシャが組み込まれるヘッド・スタック・アセンブリを示す図で、(a)は全体平面図、(b)はフレキシャの要部を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るフレキシャを示す図で、(a)は図2(b)におけるA−A線方向における断面図の要部を示す図、(b)は(a)の底面図で接着剤層の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るフレキシャの製造方法を簡略化して示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るフレキシャの製造方法を簡略化して示す断面図である。
【図6】従来のフレキシャを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシャ、該フレキシャの製造方法を説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0021】
まず図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシャ、該フレキシャを備えるヘッド・スタック・アセンブリ、該ヘッド・スタック・アセンブリを備える磁気ディスク装置を説明する。
【0022】
本発明の実施形態に係るフレキシャ30は、図1に示す、磁気ディスク装置としてのコンピュータのハードディスク装置1を構成するヘッド・スタック・アセンブリ(Head Stack Assembly)2を形成するものである。
前記ハードディスク装置1は、図1に示すように、本体となるケース3内に、情報が記録されると共に、モータで回転可能に支持された複数の磁気ディスク4と、この磁気ディスク4に対して情報を読み書きする図示しないヘッドコアとを備える。このヘッドコアは、磁気ディスク4の表面において揺動できるように、ヘッド・スタック・アセンブリ2に保持されていると共に、外部配線との接続を担う固定部5と電気接続されている。
【0023】
図2(a)も参照して、前記ヘッド・スタック・アセンブリ2は、磁気ヘッド部10と、サスペンション20と、フレキシャ30と、アクチュエータ・アセンブリ(Actuator Assembly)40と、ボイスコイルモータ50とから構成される。
【0024】
前記磁気ヘッド部10は、情報の書き込み及び読み出しを行うためのもので、図示しないヘッドコアを備える。
このヘッドコアは、図2(a)には詳しくは図示していないが、サスペンション20に沿って設けられるフレキシャ30に接続されており、このフレキシャ30を介して情報がやりとりされる。
【0025】
前記サスペンション20は、磁気ヘッド部10を支持すると共に、磁気ヘッド部10に対して磁気ディスク4方向に弾性力を加える機能を有するものである。
【0026】
前記フレキシャ30は、センス電流、書き込み情報及び読み出し情報を送信するためのものであり、図2(b)に示すヘッド領域Hが磁気ヘッド部10と接続されると共に、コネクタ領域Kが固定部5と接続される。
このフレキシャ30は、図3(a)に示すように、両面プリント配線板31と、金属支持基板32と、接着剤層33とから構成される。
【0027】
前記両面プリント配線板31は、主としてフレキシャ30の配線部を形成するフレキシブルプリント配線板で、図3(a)に示すように、基材31aと、導電層31bと、めっき層31cと、絶縁層31dとから構成される。
【0028】
前記基材31aは、両面プリント配線板31の基台となるものであり、絶縁性の樹脂フィルムで形成されている。
樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。例えばポリイミドフィルムやポリエステルフィルム等、両面プリント配線板の基材を形成する樹脂フィルムとして通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
また特に、柔軟性に加えて高い耐熱性をも有しているものが望ましい。例えばポリアミド系の樹脂フィルムや、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルムや、ポリエチレンナフタレートを好適に用いることができる。
また耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等、両面プリント配線板を形成する耐熱性樹脂として通常用いられるものであれば、如何なるものを用いてもよい。
なお基材31aの厚みは、5μm〜30μm程度とすることが望ましい。
【0029】
前記導電層31bは、基材31aの一面側と他面側との両面に設けられ、両面プリント配線板31の配線回路Wや端子等を構成する層である。
なお、ここで及び以下の説明において「一面、他面」とは、基材31aにおいて金属支持基板32とは対向しない面を一面とし、金属支持基板32と対向する面を他面とするものとする。
また本実施形態においては、基材31aの一面側、他面側に複数形成してある配線回路Wのうち、後述する導電性接着剤33aと接続される配線回路W1と、基材31aを挟んで配線回路W1と対向する配線回路W2とをブラインドビアホールBに形成しためっき層31cを介して電気的に接続してある。
また図3(a)に示すように、配線回路W1の幅Lを、配線回路W2の幅Mよりも幅広としてある。
【0030】
この配線回路Wは、基材31aに導電性金属箔をめっきを用いて積層したり(いわゆるアディティブ法)、基材31aに予め積層される導電性金属箔をエッチングしたり(いわゆるサブトラクティブ法)等の公知の形成方法を用いて形成することができる。
また導電性金属箔としては、銅(Cu)を用いることができる。勿論、銅(Cu)に限るものではなく、プリント配線板の導電層を形成する導電性金属箔として通常用いられるものであれば如何なるものであってもよい。
なお導電層31bの厚みは、5μm〜25μm程度とすることが望ましい。
また配線回路Wの本数等は、本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0031】
前記めっき層31cは、配線回路Wのうち、後述する導電性接着剤33aと接続される他面側の配線回路W1と、基材31aを挟んで配線回路W1と対向する一面側の配線回路W2とを電気的に接続するための層である。
本実施形態においては、図3(a)に詳しくは図示していないが、ブラインドビアホールBを形成し、ブラインドビアホールBの内表面及び開口部の周縁領域を無電解めっきや電解めっき等の公知のめっき法を用いてめっきすることで、めっき層31cを形成している。
なお、めっきに用いる金属としては、銅、ニッケル等、めっきに通常用いられる金属であれば、如何なるものであってもよい。
まためっき層31cの厚みも適宜変更可能である。
【0032】
前記絶縁層31dは、両面プリント配線板31の絶縁を確保するための層である。
この絶縁層31dは、カバーレイやソルダーレジスト等からなり、公知の形成方法を用いて形成することができる。
なお絶縁層31dの厚みは、1μm〜20μm程度とすることが望ましい。
また絶縁層31dの形状は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0033】
前記金属支持基板32は、平板状の金属箔や金属薄板からなり、フレキシャ30の剛性を確保すると共に、電気的なグランドを形成するものである。
なお本実施形態においては、金属支持基板32を形成する金属としてステンレスを用いる構成としてある。勿論、金属支持基板32を形成する金属は、ステンレスに限るものではなく、アルミ等、フレキシャの金属支持基板を形成する金属として通常用いられるものであれば、如何なる金属を用いてもよい。
なお金属支持基板32の厚みは、金属支持基板32を形成する金属として、ステンレスを用いた場合は10μm〜25μm程度とすることが望ましい。
【0034】
前記接着剤層33は、主として両面プリント配線板31と金属支持基板32とを電気的に又は/及び機械的に接続させるための層である。
本実施形態においては、図3に示すように、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的に接続する導電性接着剤33aからなるシートで形成した導電領域Cと、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的に接続することのない非導電性接着剤33bからなるシートで形成した非導電領域Nとを区分けして組み合わせることで、接着剤層33を形成してある。
更に本実施形態においては、図3(a)に示すように、ブラインドビアホールBの直下及びその近傍領域の接着剤層33を、導電性接着剤33aのみで形成してある。
なお、ここで「ブラインドビアホールBの直下及びその近傍領域」とは、ブラインドビアホールBの直下領域を含み、ブラインドビアホールBの中心から100μm程度の四方で囲まれる領域を意味するものとする。但し好適には、めっき層31cと電気的に接続される配線回路W1と、金属支持基板32とが対向する全領域の接着剤層33を、導電性接着剤33aのみで形成することが望ましい。
なお導電性接着剤としては、例えばエポキシ等の樹脂に導電性粒子等の成分を含有させた、異方性若しくは同方性(等方性)の導電性樹脂等を用いることができる。
また非導電性接着剤としては、例えばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド等を用いることができる。
また本実施形態においては、接着剤層33をシート状の接着剤で形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、接着剤層33の性状はペースト状等、適宜変更可能である。
【0035】
前記アクチュエータ・アセンブリ40は、主として磁気ヘッド部10及びサスペンション20を揺動可能に保持するためのものである。
このアクチュエータ・アセンブリ40は、図2(a)に示すように、主として、磁気ヘッド部10及びサスペンション20を揺動可能に保持するためのアクチュエータユニット41と、ボイスコイルモータ50の回転力を伝達させるためのピボット軸42とから構成される。
【0036】
前記ボイスコイルモータ50は、アクチュエータユニット41に保持される磁気ヘッド部10及びサスペンション20を揺動するためのモータである。
【0037】
このような構成からなる本発明の実施形態に係るフレキシャ30、フレキシャ30を備えるヘッド・スタック・アセンブリ2、ヘッド・スタック・アセンブリ2を備える磁気ディスク装置1は、以下の効果を奏する。
まず両面プリント配線板31を用いる構成とすることで、高密度配線を実現できるフレキシャ30とすることができる。よって高機能化が可能なフレキシャ30、ヘッド・スタック・アセンブリ2、磁気ディスク装置1とすることができる。
また導電性接着剤33aを介して配線回路W1を金属支持基板32と接続することで、配線回路W1をグランド層とし、ヘッド・スタック・アセンブリ2上を伝搬する記録、再生信号を、金属支持基板32を電気的なグランドとして伝搬させることができる。よって基材31aの一面側に備える配線回路Wのインピーダンスを低下させ、信号伝搬損失を低損失、広帯域化させることができる。従って良好な電気特性を実現することができるフレキシャ30、ヘッド・スタック・アセンブリ2、磁気ディスク装置1とすることができる。
またブラインドビアホールBの内表面及び開口部周縁領域に形成するめっき層31cを介して、配線回路W1と配線回路W2とを電気的に接続することで、基材31aの両面に備える配線回路Wを任意の位置で一体的に金属支持基板32と電気接続させることができる。
つまり他面側に備える配線回路W1に加えて、一面側に備える配線回路W2もグランド層とすることができる。よって一段と高機能化を実現できる。またこのように配線回路W2をグランド層とした場合でも、基材31aの一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路Wを備える両面プリント配線板31を用いる構成とすることで、高密度配線を確実に実現することができる。従って高密度配線と高機能化とを同時に実現できるフレキシャ30、ヘッド・スタック・アセンブリ2、磁気ディスク装置1とすることができる。
【0038】
また接着剤層33を、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的に接続する導電性接着剤33aからなる導電領域Cと、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的に接続することのない非導電性接着剤33bからなる非導電領域Nとを区分けして組み合わせる構成とすることで、配線回路Wと金属支持基板32との導電、非導電を任意の領域毎に分けることができる。よって導電領域Cにおいては、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的及び機械的に接続させることができる。一方、非導電領域Nにおいては、配線回路Wと金属支持基板32とを機械的に接続させることができると共に、配線回路Wと金属支持基板32との絶縁を確保することができる。
これにより導電領域Cにおける配線回路Wに対しては、金属支持基板32を電気的なグランドとして利用できると共に、フレキシャ30の剛性を確保するための基板として利用することができる。一方、非導電領域Nにおける配線回路Wに対しては、金属支持基板32を絶縁部として利用できると共に、フレキシャ30の剛性を確保するための基板として利用することができる。よって金属支持基板32の機能に多様性を持たせることが可能となる。従って一段と高機能化を実現できるフレキシャ30、ヘッド・スタック・アセンブリ2、磁気ディスク装置1とすることができる。
更にブラインドビアホールBの直下及びその近傍領域の接着剤層33を、導電性接着剤33aのみで形成することで、配線回路W1、W2からの信号を金属支持基板32へと伝搬させる流路長さを短くでき、且つ配線回路W1、W2からの信号を直接的に金属支持基板32へと伝搬させることができる。よって一段と信号伝搬損失を低損失にすることができる。従って一段と良好な電気特性を実現することができるフレキシャ30、ヘッド・スタック・アセンブリ2、磁気ディスク装置1とすることができる。
【0039】
また配線回路W1の幅Lを、配線回路W2の幅Mよりも幅広とすることで、配線回路W2の低インピーダンス化と低損失を確実に図ることができる。
また完成品状態にある両面プリント配線板31と、金属支持基板32とを、接着剤層33を介して接続してフレキシャ30を形成する構成とすることで、フレキシャ30の形成を容易なものとすることができる。よって製造効率の良いフレキシャ30、ヘッド・スタック・アセンブリ2、磁気ディスク装置1とすることができる。
【0040】
これに対して図6に示す従来のフレキシャ100は、ステンレス等からなる金属支持基板110の上に、銅等の導電性金属からなるグランド層としての下部導体120、樹脂からなるベース絶縁層130、銅等の導電性金属からなる配線回路140、カバーレイ等からなるカバー絶縁層150を順次積層することで形成されるものが一般的であった。
よって片面のみに配線回路140を備える構成であることから、高密度化を実現することが困難であるという問題があった。
また下部導体120をグランド層とできるものの、下部導体120をその下面全体で金属支持基板110と接続させる構成であることから、下部導体120と金属支持基板110との導電、非導電を領域毎に分けることができず、高機能化を実現することができないという問題があった。
【0041】
よって本発明の実施形態に係るフレキシャ30、フレキシャ30を備えるヘッド・スタック・アセンブリ2、ヘッド・スタック・アセンブリ2を備える磁気ディスク装置1の構成とすることで、高密度化を実現することができ、且つ配線回路Wと金属支持基板32との導電、非導電を領域毎に分けることができることで、一段と高機能化を実現することができると共に、良好な電気特性を実現することができる。
【0042】
次に図4、図5を参照して、本発明の実施形態に係るフレキシャ30の製造方法を説明する。
本発明の実施形態に係るフレキシャ30は、いわゆるアディティブ法を用いて形成した両面プリント配線板31と、金属支持基板32とを接着剤層33を介して接続することで製造される。
【0043】
まず図4(a)を参照して、ポリイミドフィルム等の絶縁性の樹脂フィルムからなる基材31aを準備する。
次に図4(b)を参照して、基材31aの一面側と他面側の両面全体にスパッタリング法等の公知の形成方法により下地となる導体薄膜(図示しない)を形成し、その導体薄膜の表面にドライフィルムレジスト等を用いて露光、現像することで、配線回路Wと反転するパターンのめっきレジストRを形成する。
この際、後に形成される配線回路W1の幅Lが、配線回路W2の幅Mよりも幅広となるように、めっきレジストRを形成する。
次に図4(c)を参照して、めっきレジストRから露出する導体薄膜(図示しない。)の表面に、銅を用いて無電解めっき、電解めっき等の公知のめっき法により配線回路Wとなる導電層31bを形成する。
次に図4(d)を参照して、めっきレジストR及びめっきレジストRが形成されていた部分の導体薄膜をエッチング等により除去する。これにより配線回路Wが形成される。その後、ドリル加工やレーザー加工等により導電層31b及び基材31aにブラインドビアホールBを形成する。
次に図4(e)を参照して、ブラインドビアホールBの内面及び開口部周縁に、銅を用いて無電解めっき、電解めっき等の公知のめっき法により、めっき層31cを形成する。
これにより、後に導電領域Cとなる領域においては、配線回路W1と配線回路W2とが、ブラインドビアホールBに形成されるめっき層31cを介して電気的に接続される。
次に図5(a)を参照して、基材31aの一面側をカバーレイからなる絶縁層31dで被覆する。
以上の工程により、基材31aの一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路Wを備える、両面プリント配線板31が形成される。
【0044】
次に図5(b)を参照して、両面プリント配線板31の下方に金属支持基板32を準備する。なお本実施形態においては、金属支持基板32の上面に、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的に接続する導電性接着剤33aからなる導電領域Cと、配線回路Wと金属支持基板32とを電気的に接続することのない非導電性接着剤33bからなる非導電領域Nとを区分けして組み合わせてなるシート状の接着剤を予め貼り付けることで、両面プリント配線板31と金属支持基板32との間に接着剤層33を介在させる構成としてある。
より具体的には、表裏両面に剥離紙を備える導電性接着剤33aからなるシートを所定形状に裁断し、裏面側の剥離紙を剥がして金属支持基板32の上面における所定位置(導電領域Cを形成する位置)に貼り付ける。これと同様に、表裏両面に剥離紙を備える非導電性接着剤33bからなるシートを所定形状に裁断し、裏面側の剥離紙を剥がして金属支持基板32の上面における所定位置(非導電領域Nを形成する位置)に貼り付ける。
次に図5(c)を参照して、両面プリント配線板31と金属支持基板32とを接着剤層33を介して接続させる。
より具体的には、導電性接着剤33aからなるシートの表面側の剥離紙を剥がすと共に、非導電性接着剤33bからなるシートの表面側の剥離紙を剥がし、両面プリント配線板31と接着剤層33とを貼り合わせる。
以上の工程により、本発明の実施形態に係るフレキシャ30が製造される。
このように製造されるフレキシャ30は、ヘッド・スタック・アセンブリ2に組み込まれ、更に磁気ディスク装置1に組み込まれる。
【0045】
このような構成とすることで、高密度化を実現することができると共に、配線回路Wと金属支持基板32との導電、非導電を領域毎に分けることができることで、一段と高機能化を実現することができるフレキシャ30を製造することができる。
また良好な電気特性を実現することができるフレキシャ30を製造することができる。
更に完成品状態にある両面プリント配線板31と金属支持基板32とを、接着剤層33を介して接続してフレキシャ30を形成する構成とすることで、フレキシャ30の形成を容易なものとすることができる。よって製造効率の良いフレキシャ30、ヘッド・スタック・アセンブリ2、磁気ディスク装置1とすることができる。
【0046】
なお本発明の実施形態においては、両面プリント配線板として、フレキシブルプリント配線板を用いる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、他の構成の両面プリント配線板を用いてもよい。
また本実施形態においては、ブラインドビアホールBの直下及びその近傍領域の接着剤層33を、導電性接着剤33aのみで形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、ブラインドビアホールBの直下及びその近傍領域の接着剤層33を、導電性接着剤33aと非導電性接着剤33bとを区分けして組み合わせる構成としてもよい。
また本実施形態においては、導電性接着剤33aを介して金属支持基板32と接続される配線回路W1と、基材31aを挟んで配線回路W1と対向する配線回路W2とをブラインドビアホールBを介して電気的に接続させる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、基材31aの他面側に形成される配線回路Wのみを導電性接着剤33aを介して金属支持基板32と接続させる構成としてもよい。
また本実施形態においては、配線回路W1の幅Lを配線回路W2の幅Mよりも幅広に形成する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、配線回路W1の幅Lと配線回路W2の幅Mとが同一若しくは、配線回路W1の幅Lが配線回路W2の幅Mよりも幅狭となるような構成としてもよい。が、配線回路W1の幅Lを配線回路W2の幅Mよりも幅広に形成することが望ましい。
【0047】
また本実施形態においては、いわゆるアディティブ法を用いて両面プリント配線板31を製造する構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、その他の製造方法を用いる構成としてもよい。例えばサブトラクティブ法を用いることができる。サブトラクティブ法を用いる構成とすることで、基材31a、導電層31b、絶縁層31d等の厚みのばらつきを防止することができ、良好な電気特性を実現することができるフレキシャ30とすることができる。
また本実施形態においては、シート状の導電性接着剤33aとシート状の非導電性接着剤33bとを、予め金属支持基板32に別々に貼り付けることで、両面プリント配線板31と金属支持基板32との間に接着剤層33を介在させる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、両面プリント配線板31と金属支持基板32との間に導電性接着剤33aからなる導電領域Cと、非導電性接着剤33bからなる非導電領域Nと区分けして組み合わせてなる接着剤層33を介在させることができる構成であれば、如何なる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、フレキシャにおいて、高密度化を実現することができ、且つ配線回路と金属支持基板との導電、非導電を領域毎に分けることができることで、一段と高機能化を実現することができると共に、良好な電気特性を実現することができることから、フレキシャを備えるヘッド・スタック・アセンブリ、該ヘッド・スタック・アセンブリを備える磁気ディスク装置の分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0049】
1 ハードディスク装置
2 ヘッド・スタック・アセンブリ
3 ケース
4 磁気ディスク
5 固定部
10 磁気ヘッド部
20 サスペンション
30 フレキシャ
31 両面プリント配線板
31a 基材
31b 導電層
31c めっき層
31d 絶縁層
32 金属支持基板
33 接着剤層
33a 導電性接着剤
33b 非導電性接着剤
40 アクチュエータ・アセンブリ
41 アクチュエータユニット
42 ピボット軸
50 ボイスコイルモータ
100 フレキシャ
110 金属支持基板
120 下部導体
130 基材
140 配線回路
150 絶縁層
B ブラインドビアホール
C 導電領域
H ヘッド領域
K コネクタ領域
L 幅
M 幅
N 非導電領域
R めっきレジスト
W 配線回路
W1 配線回路
W2 配線回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路を備える両面プリント配線板と、金属支持基板とを、接着剤層を介して接続させてなるフレキシャであって、前記接着剤層は、前記他面側の配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続する導電性接着剤からなる導電領域と、前記他面側の配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続することのない非導電性接着剤からなる非導電領域とを区分けして組み合わせてなることを特徴とするフレキシャ。
【請求項2】
前記他面側に備える配線回路と、該配線回路と前記基材を挟んで対向する前記一面側に備える配線回路とを、ブラインドビアホールを介して電気的に接続してあることを特徴とする請求項1に記載のフレキシャ。
【請求項3】
前記ブラインドビアホールの直下及びその近傍領域の接着剤層を、導電性接着剤のみで形成してあることを特徴とする請求項2に記載のフレキシャ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のフレキシャを用いることを特徴とするヘッド・スタック・アセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のヘッド・スタック・アセンブリを用いることを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載のフレキシャの製造方法であって、基材の一面側と他面側とにそれぞれ複数の配線回路を備える両面プリント配線板を準備する工程と、該両面プリント配線板の下方に金属支持基板を準備する工程と、該金属支持基板と前記両面プリント配線板との間に、前記配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続する導電性接着剤からなる導電領域と、前記配線回路と前記金属支持基板とを電気的に接続することのない非導電性接着剤からなる非導電領域とを区分けして組み合わせてなる接着剤層を介在させる工程と、前記両面プリント配線板と前記金属支持基板とを前記接着剤層を介して接続させる工程とを少なくとも含むことを特徴とするフレキシャの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−226802(P2012−226802A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93643(P2011−93643)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】