説明

フレキソ印刷機の画像を調整するための装置及び方法

【課題】回転印刷機の画像を所望の最適品質に自動的に調整することを可能にする装置等を提供する。
【解決手段】本発明による方法は、インク転写部に使用されるローラ(3,7,8)の相対位置を調節することによって、回転印刷機の画像を調整する。ローラ(7,8)を、その作動駆動部(M1,M2,M3,M4)によって独立に又は一緒に移動させ、ローラ(3,7,8)を互いに対して動かす。カメラ(K)により、印刷された画像の複数部分から反射した光の強さの値を順番に測定して記録し、強さの値を制御調整ユニット(13)に送る。制御調整ユニット(13)は、測定された強さの値に基づいて、ローラ(3,7,8)の少なくとも1つローラの作動駆動部(M1,M2,M3,M4)の信号を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1による装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これに関して、全範囲の回転印刷機において、インク付け及び印刷工程に使用されるローラの位置を最適化することによって、画像を調整することが必要であることに留意しなければならない。かくして、グラビア印刷機の場合、圧胴の位置は、印刷ローラに対して調整される。
【0003】
フレキソ印刷機の場合、圧胴、印刷ローラ及び彫刻ローラが、互いに対して調整される。
【0004】
従って、印刷機フレームの少なくとも1つのブラケットの上を移動することができる印刷ローラ及び彫刻ローラを備えたフレキソ印刷機が存在する。これらの2つのローラは、印刷すべき材料が乗る圧胴のところで、それぞれの作動駆動部によって互いに独立に又は一緒に移動される。
【0005】
かくして、ドイツ特許第DE2941521A1号及び同第DE3742129A1号は、印刷ローラを支持する支持体のベアリングブロックが、印刷機フレームのインク付け装置の支持体用ガイド内で案内され且つそれぞれのスピンドル式駆動部を備えており、上記印刷ローラの支持体が、インク付けローラ又は彫刻ローラのベアリングブロックを支持し且つそれ自体のスピンドル式駆動部を有する別の支持体用ガイドを備えている、印刷機を示している。
【0006】
ドイツ特許第DE4001735A1号は、印刷ローラを支持する支持体と、インク付けローラ及び彫刻ローラを支持する支持体とが、印刷機のインク装置ブラケットの共通の支持体用ガイドに案内され、それらの支持体が連結して又は独立してスピンドル式駆動部によって移動されるフレキソ印刷機を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許第DE2941521A1号
【特許文献2】ドイツ特許第DE3742129A1号
【特許文献3】ドイツ特許第DE4001735A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この既知の種類の回転印刷機の場合、画像は、以下のような既知の仕方で調整される。記憶装置に入力されたデータに頻繁にアクセスする電気コントローラが設けられる。このデータは、印刷機の幾何学的寸法及びローラの直径を考慮して、印刷ローラと圧胴との間の距離を調節することに関するデータである。次いで、このコントローラが、画像のすべての部分が転写されることを保証すべきローラ相対位置を調節する。
【0009】
もちろん、異なるローラ、印刷フォーム、並びに、印刷すべき材料及び使用されるその他のすべての部品は、追加の調節をしばしば必要とする幾何学的公差を有する。
【0010】
この追加の調節は、画像を見ながらローラ位置を調節する印刷機ガイド又は監視人によって行われる。
【0011】
画像のこの種類の調整は、印刷工程に使用されるローラに付与される圧力を最小にして、良好な画像が得られることを保証する。しかしながら、画像のこの種類の調整は、複雑であり、多くの時間及び不合格品を必要とし、更に、目による点検を使用する印刷機ガイド又は監視人の主観的な判断に依るという欠点がある。
【0012】
従って、本発明の目的は、画像を所望の最適品質に自動的に調整することを可能にする前述の種類の装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述の種類の装置のこの問題を、印刷された材料ウエブ上の画像を走査し且つ撮像された画像を順番に電気コントローラに送る少なくとも1つのカメラを設けることによって解決する。このコントローラは、撮像された画像から最適なローラ位置を決定し、かくして、位置決めモータを自動的に駆動する。
【0014】
これに関し、印刷及びインク付け工程に使用されるローラの幾何学的寸法を知っており、(例えば、調節する距離が長い場合又はローラを交換した後、)互いに対するこれらのローラの位置を作動駆動部への信号によって仮調整しても良いしそれらを仮調整しなくても良い制御プログラムを有するのが有利である。
【0015】
しかしながら、本発明の方法は、かかる追加の制御プログラムがなくても機能する。
【0016】
本発明の有利な実施形態は、画像のデジタル化済みの所望輪郭が記憶ユニットに記憶されていることを含む。次いで、この所望輪郭と撮像されたそれぞれの画像とを(選択的にはコントローラにおいて)比較する。次いで、撮像された画像と記憶されている所望輪郭との間の比較により、それらが最も良く一致するようになるまで、コントローラは、ローラを移動させる作動駆動部用の作動信号を発生させる。
【0017】
本発明の別の実施形態は、記憶装置に記憶されているデジタル化済みの所望輪郭を必要としない。この追加の実施形態は、画像の異なるセグメントの反射光の強さが、ローラの相対位置の関数である特性曲線をなす事実を利用する。
【0018】
かくして、印刷及びインク付け工程に使用されるすべてのローラ間の接触がない限り、反射光の強さは変わらない。接触すると、印刷すべき材料へのインクの転写が始まり、反射光の強さが著しく変化し、ついには、インクの転写量が最適値に達する。更に、ローラが互いに近づき続けるとき、反射光の強さは、僅かに変化するに過ぎない。
【0019】
強さの変化が平坦になった領域では、互いに対してローラを動かすためにローラに付与される圧力とインク転写工程との間の最適条件が、通常、達成されている。もしローラを互いに近づけ続けるならば、積み重なる圧力により、ローラ、ローラベアリング、印刷フォーム、印刷すべき材料等が破損することになろう。
【0020】
この理由で、撮像された画像を異なるセグメントに区分し、複数の画像セグメントを撮像するカメラで即座に画像を撮像するのが有利である。
【0021】
十分な数の画像セグメントが一定の選択された光強さ曲線を有するまで、ローラの互いの正面への相互の接近を終了させない。印刷品質について主張される高度な要求は、すべての画像セグメントの光強さの変化が後戻りするとき又はすでに後戻りしてしまっているときに満たされている。かくして、画像のすべてのセグメントへの良好なインク転写が保証される。
【0022】
この実施形態を、印刷された材料の光強さ値と印刷すべき材料の未印刷部分の光強さ値との差を形成することによって、改良しても良い。このようにして得られた差を、以下、コントラスト値と称する。コントラスト値は、光強さ値と類似の仕方で使用される。
【0023】
少なくとも1つのカラーカメラの使用が、別の有利な測定法として推奨され、その結果、選択された波長範囲の光をプロットしても良い。この測定法は、画像の記憶されているデジタル化済みの所望輪郭との比較を容易にするのに適し、また、光強さ値又はコントラスト値の曲線を改良するのに適している。現代のデザインの商業用カメラは、通常、光感知エレメントとして、特定の波長の光に対して敏感な半導体構成要素を有しており、この特徴は、半導体領域における写真効果及びその適用例から生ずるものである。カメラがこのように電気出力値をいくつかの色(例えば、赤、黄、青)の色強さ値に割り当てることができるとき、有利である。次いで、これらの値は、調整制御ユニットに利用可能である。
【0024】
このように、画像又は画像のセグメントの異なる色の色強さ曲線をプロットしても良いし、それらの全スペクトルをプロットしても良い。次いで、測定値を上述した仕方で使用し、印刷ローラを適当な位置に調整する。個々の色について、上述した方法によってコントラスト値を形成しても良い。
【0025】
光強さ値を、更なる評価に適当な座標系に変換しても良い。もちろん、同じことがコントラスト値にも当てはまる。直前の段階の光強さ値及び色強さ値(波長/周波数)から導かれたこれらの値も、ローラの相対位置の関数である特性曲線をなし、上述した仕方で使用することができる。
【0026】
特に、フレキソ印刷においてはブロックの厚さを考慮に入れなければならないので、本発明をフレキソ印刷に使用することが有利である。加えて、それらの接着ストリップ及び使用されるその他のエレメントは、異なる厚さ公差を有していることもあり、その結果、部品がちょうど触れるように部品を徐々に動かすとき、ブロックの部品が全く画像を作らず、かくして、画像が部分的にのみ生じることがある。従って、フレキソ印刷の場合、前述の幾何学的な所望値と印刷工程に使用されるローラの実際の位置との間のずれが特に大きい。
【0027】
便宜上、カメラとして、デジタルカメラが使用される。デジタルカメラは、撮像された画像のデジタル化済み画像を送る。
【0028】
多数の印刷ユニットの場合には、各印刷ユニットを別々に調整しても良い。
【0029】
更に、種々のローラを平行にさせるために、作動駆動部を別々に調整しても良く、その傾斜位置のため、長さ方向に亘って圧力が異なるはずである。フレキソ印刷では、例えば、中でも、印刷ローラと圧胴とが平行になることを保証するために、インク装置の一方の側の作動駆動部を別に調整することができるようになっている。
【0030】
本適用例の範囲内の測定手順は、光強さ値及び/又はコントラスト値の推移の監視であり、その間、印刷工程に使用されるローラは、互いに対して調整される。1つのカメラだけを使用する場合、機械のいくつかのインク付け装置を順番に調整する、即ち、インク付け装置を調整している間に測定工程を実行することもある。
【0031】
しかしながら、既にいくつかのインク付け装置を通過した印刷すべき材料のところで、1回だけ、測定方法を実行し、機械のこれらのインク付け装置を調整しても良い。この手順により、時間を更に節約することができる。選択的には、この手順は、1つのカメラだけを使用するときにも可能である。
【0032】
撮像された画像と所望輪郭との間の最も良好に一致させる調整が達成されたら又は達成されていたらすぐに、そのときの値を記憶装置に記憶する。同じことは、本発明による他の調整手順から得られた調整値にも当然適用される。
【0033】
このように、例えば、印刷工程が中断した後、及び、印刷用シリンダ又はローラが遠ざかった後、これらの調整値を再び迅速に見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】1つの電気コントローラが印刷ローラを制御することを可能にする、1つだけの印刷ユニットを有するフレキソ印刷機の概略図である。
【図2】フレキソ印刷機の彫刻ローラ及び印刷ローラを互いに対して及び圧胴に対して動かす順序を示す概略図である。
【図3】画像をセグメントに分割する概略図である。
【図4】ローラの相対位置の関数である画像のコントラスト値を示す曲線の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0036】
駆動部を備えた圧胴3が、側面部材1、2だけが概略的に図示されている印刷機フレームに在来の仕方で位置決めされている。側面部材1、2は、印刷ユニットブラケット4を支持しており、この印刷ユニットブラケット4の上で、印刷ローラー7のベアリングブロック5が図示していないガイドに沿って両矢印Aの方向に移動され、彫刻ローラ8のベアリングブロック6が図示していないガイドに沿って両矢印Bの方向に移動される。両側に設けられているベアリングブロック5、6は、特に、各ローラ7、8を単独で移動させることも、両方のローラ7、8を互いに対する位置を固定して一緒に移動させることもできるような仕方で、独立に駆動することができるサーボモータM1乃至M4によって移動される。
【0037】
印刷機フレーム1、2は、更に、インク装置ブラケット(図示せず)を備え、このインク装置ブラケットの上で、印刷ローラ7及び彫刻ローラ8を適当な仕方で動かすことができ、かくして、すべての印刷用シリンダ又はローラについて単一の圧胴3だけを有している。
【0038】
原則として、本発明のフレキソ印刷機は、ドイツ特許第DE2941521A1号、同第DE3742129A1号及び同第DE4001735A1号に記載されているフレキソ印刷機と同じような機械デザインを有している。
【0039】
彫刻ローラ8は、既知のインク溜めドクタを好ましくは有する在来のインク付けユニットを備えている。
【0040】
印刷ローラ7は、紙ウエブ17に印刷を行うブロック9を有している。図示の場合、図面に簡略的に示されている菱形パターンが印刷される。圧胴3のところに採用されている印刷ローラ7のため、圧胴3の上を矢印C及びDの方向に移動している紙ウエブ17に、簡略的に矩形形状で示されている画像10が印刷される。この画像10は、カメラKによる走査範囲内で撮像され、カメラKは、順番に撮像された画像を、コンピュータを備えた制御調整ユニット13に線12を通して送る。印刷ローラ7の直径及び印刷ローラ7が支持しているブロック9の厚さに関するデータは、特別の入力装置14によって制御調整ユニット13に入力されている。
【0041】
印刷すべき画像10の所望輪郭は、別の入力ユニット15、例えば、CDに記録されたデータの形態によって制御調整ユニット13に入力されている。例えば、1つの実施形態では、カメラKによって撮像された画像は、入力ユニット15によって入力された制御調整ユニット13の画像の所望輪郭と比較される。制御調整ユニット13は、信号を作動装置16に線によって送信し、それが発生する信号に従って、印刷ローラ7及び彫刻ローラ8のサーボモータM1乃至M4を制御する。
【0042】
印刷ローラ7が調整によって品質的に最も良い画像を作る位置に移動されたらすぐに、調整値を制御調整ユニットの記憶装置に記憶し、その結果、必要ならば、印刷ローラ7及び彫刻ローラ8の最適な調整値を見つける。
【0043】
図2に示す実施形態では、フレキソ印刷機に使用される3つのローラを互いの正面に動かす仕方即ち順序を示す。グラビア印刷のような他の印刷方法では、2つのローラだけが印刷工程に使用されるので、ローラの相対位置の調整を示す必要はない。
【0044】
図2は、マトリックス形態で構成されている。大文字A乃至Cで標識を付けた縦行は、いくつかの実施形態を表し、小文字a乃至eで標識を付けた横列は、各実施形態の工程段階を表している。図2では、印刷工程中に印刷ローラ7と圧胴3との間を移動し且つ図1で参照番号17が割り当てられていた印刷すべき材料は、省略されている。ローラの内側の矢印は、ローラ7、8の個々の動きを示し、2つのローラにまたがる矢印は、ローラの相対位置のいかなる変化もない、ローラパッケージの連結移動を示している。
【0045】
図2の説明では、特に、用語「過剰印刷」をしばしば使用する。従って、ここで、用語「過剰印刷」がローラを動かすこと即ちローラを押圧し続けることを意味することを指摘し、この特徴は、ローラの正確な幾何学的寸法を越えて進ませることにある。「過剰印刷」の基準により、「過剰印刷」をなすローラ間、又は、過剰印刷をなすローラ間で印刷される印刷すべき材料とこれらのローラのうちの1つとの間で、インクが各々の場合の全体領域にわたって転写されることを保証する。
この目的に必要とされる、即ち、「過剰印刷」又は印刷しなければならない「距離」は、ここでは、印刷工程から印刷工程まで、ミリメートルの端数からミリメートルの程度で変化する。ほとんどの印刷工程において、可撓性ローラ、印刷すべき材料、又はその他の可撓性エレメントが、この距離を増大させるのに使用しても良いことが明らかである。いくつかの例は、フレキソ印刷におけるブロック、グラビア印刷における圧胴である。
【0046】
しかしながら、通常スチールで作られているシリンダ又はローラを不規則なシェル面を越える量による簡単な手段で過剰印刷させることを監視することにも価値がある。これは、特に、シリンダがゴム被覆シェル面を有するときの問題である。この理由で、前述の過剰印刷は、異なる印刷方法に使用しても良い。
【0047】
図2の第1の実施形態Aにおいて、横列aは、他の実施形態の場合と同様、使用される3つのローラ3、7及び8を、それらの互いの正面に向かってまだ互いに動かしていない開始位置にある。
【0048】
工程段階Abでは、印刷ローラ7を圧胴3に押し付けるように動かし、既に説明した仕方で過剰印刷する。印刷ローラ7一個の動きを矢印で示す。この仕方では、(もしブロックのすべての帯域がインク付けされていれば、)印刷すべき材料にブロックのすべての帯域がインクを転写することが保証されよう。しかしながら、工程段階Abでは、印刷ローラと彫刻ローラとの接触がまだ全く行われていないので、印刷ローラ7及び印刷すべき材料にインクは転写されない。
【0049】
実施形態Aの次の工程段階cは、印刷すべき材料の上にすべての画像エレメントを認識できるようになるまで、彫刻ローラ8を印刷ローラ7まで移動させることからなる。この状態は、前述の方法を使用する少なくとも1つのカメラを用いることによって確かめられる。
【0050】
工程段階bに使用される圧胴3と印刷ローラ7の永久的な過剰印刷は望ましくないので、この段階で、工程段階Ad及びAeも行われる。
【0051】
工程段階Adは、2つのローラ7、即ち印刷ローラ7及び彫刻ローラ8をどのように圧胴から遠ざけるのかを示し、それにより、彫刻ローラ8と印刷ローラ7との間の調整済みの相対位置が維持される。
【0052】
工程段階Aeによれば、印刷すべき材料の上にすべての画像エレメントが再び存在するようになるまで、2つのローラを再び圧胴まで移動させ、この特徴は、再び、カメラの助けによって確かめられる。かくして、工程は終了し、印刷すべき画像は最適化され、実際の製造工程が始まる。
【0053】
第2の実施形態Bにおいても、横列aは、開始段階であり、3つのローラ3、7及び8を、それらの互いの正面に向って互いに動かしていない。
【0054】
工程段階Bbでは、彫刻ローラ8を印刷ローラ7に向って動かし、既に説明した仕方で過剰印刷させる。この仕方では、すべてのブロックの帯域全体がインクで覆われる。
【0055】
実施形態Bの次の工程段階cは、印刷すべき材料の上にすべての画像エレメントを認識することができるようになるまで、彫刻ローラ8と印刷ローラ7とからなるパッケージを圧胴3まで移動させることからなる。この状態は、既に説明した方法によって、少なくとも1つのカメラを用いることによって確かめられる。
【0056】
工程段階bに使用される圧胴3と印刷ローラ7の永久的な過剰印刷は望ましくないので、この段階で、工程段階Bd及びBeも行われる。
【0057】
工程段階Bdは、彫刻ローラ8をどのように印刷ローラ7から遠ざけるのかを示し、それにより、印刷ローラ7と圧胴3との間の調整済みの相対位置が維持される。
【0058】
工程段階Beによれば、印刷すべき材料の上にすべての画像エレメントが再び存在するようになるまで、2つのローラが互いに押し付けられるように彫刻ローラを移動させ、この特徴は、再び、カメラを用いることによって確かめられる。
かくして、工程は終了し、印刷すべき画像は最適化され、実際の製造工程が始まる。
【0059】
第3の実施形態Cでは、印刷ローラ7及び彫刻ローラ8を連結させ且つ圧胴3の方向に動かし、それにより、3つのすべてのローラ3、7及び8において、相互に過剰印刷させる。
【0060】
実施形態C1では、印刷ローラ7と彫刻ローラ8とからなる一対のローラを一緒に圧胴から遠ざけ、それにより、一対のローラ間の過剰印刷が維持される。
【0061】
工程段階C1dでは、印刷すべき材料にすべての画像エレメントが転写されるまで、一対のローラを圧胴の方向に動かす。
【0062】
工程段階C1eでは、彫刻ローラ8を印刷ローラ7から遠ざける。最小隙間において、インクの転写はもはや全くない。
【0063】
工程段階C1fでは、印刷すべき画像がいかなる領域ロス又はかすれもなしに再形成されるまで、彫刻ローラ8を印刷ローラまで再び移動させる。
【0064】
図2のC2による実施形態とC1による実施形態との違いは、段階c乃至eにある。段階cでは、彫刻ローラ8を、圧胴3における過剰印刷位置に動かされている印刷ローラ7から遠ざける矢印方向に、彫刻ローラ8の印刷ローラ7に対する過剰印刷位置の外に移動させる。最終的には、工程dにおいて、彫刻ローラ8を印刷ローラにおける最適位置に移動させ、工程e及びfにおいて、印刷ローラ及び彫刻ローラを一緒に圧胴から遠ざける。制御調整ユニットは、印刷すべき画像がいかなる領域ロス又はかすれもなしに再形成されるのを保証するような形態で、印刷ローラ及び彫刻ローラを圧胴のところで動かす。
【0065】
図3は、矩形20の中に含まれる画像をどのように異なるセグメント18に区分することができるかを示す概略図である。図面の都合上、印刷すべき画像は図示されていない。実際には、画像10を数千のセグメント18に区分することが可能である。
【0066】
図4は、互いに対するローラの位置xの関数としてプロットした、セグメント18a及び18bのコントラスト曲線kiを示す。出来た特性ライン19a及び19bはそれぞれ、セグメント18a及び18bに割り当てられている。両方の特性ラインがほぼ同じ形状を有することは、すぐに明らかになる。しかしながら、両方の特性ラインがほぼ同一の最大値を有する状態は、この実施形態のコントラスト値が規準化されていることから導かれている。そのような規準化は、例えば、いくつかのセグメント18の平均に対して行うのが良い。
【0067】
既に何回か述べたように、印刷工程に使用されるローラ、ブロック等は、公差を有するので、ローラ位置に対する2つの特性ラインの曲線はずれており、この場合、セグメント18aは、セグメント18bよりも「早期に」完全に印刷されることになる。本実施形態では、セグメント18aは、特性ライン19aの領域21aに到達したときには既に完全に印刷されている。特性ライン19bの領域21bに到達したとき、両方のセグメント18a及び18bが印刷されている。
【0068】
これに類似して、画像セグメントの選択番号をnとして、n番目の特性ラインの領域21nに到達したとき、印刷ローラの追加の調整工程を終了させても良い。
【0069】
しかしながら、図示の実施形態において、特性ライン19の領域21が特性ライン19の第2の曲り部の後ろにあるという状態は、常にこうでなければならないことを意味しない。むしろ、再形成された特性ラインは、画像セグメント18の或る選択番号の特性ラインが上述のような領域に到達したとき、評価者がいかなる問題もなしに認識することできるほど特徴的な曲線をなすいくつかの領域を有している。かくして、この領域を決定することは、多数のパラメータ(得るべき画像品質、印刷すべき材料、印刷工程等)によって定められる基準決めであり、必要なとき、それを行えば良い。
【0070】
最初、印刷工程に使用されるローラによって過剰印刷され、次いで、これらのローラが(機械的接触を維持しながら)互いから遠ざかるときでさえも、本発明の装置及び方法がすべて機能することが、図4の特性ラインを見ることにより容易に理解される。
【0071】
この場合、観察者には、図4の右方に示した特性ラインの領域、即ち、印刷された材料17の上で相対的にインクが飽和し且つ特性ラインの傾きが僅かである領域が分かるであろう。
【0072】
この場合、セグメント18の番号mについて、割り当てられた特性ライン19の領域21から外れ且つこれらの領域のコントラスト値がより急速に減少し始めるとき、ローラの分離動作を停止しなければならない。
【0073】
ローラを互いから遠ざけることによってローラ位置を調整し、望ましくないいかなる領域ロス又はかすれなしに画像が再形成されるまで、この工程を行う本発明のこの変形例でさえ、特許請求の範囲の請求項1の範囲内にある。
【0074】
図示の実施形態を実施するために種々の数学的操作を必要とする算術段階、及び、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲に含まれる変形の実施形態を実施するための算術段階を、評価及び計算ユニットで行っても良い。この評価及び計算ユニットはまた、制御調整ユニット13に収容されているのが良い。
【符号の説明】
【0075】
1 印刷機フレーム
2 印刷機フレーム
3 圧胴
5 ベアリングブロック
6 ベアリングブロック
7 印刷ローラ
8 彫刻ローラ
10 画像
13 制御調整ユニット
17 紙ウエブ
18 画像セグメント
19 コントラスト値曲線
K カメラ
M1,M2,M3,M4 作動駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク転写部に使用されるローラ(3,7,8)の相対位置を調節することによって、回転印刷機によって印刷された画像を調整するための方法であって、
これらのローラの少なくとも1つのローラ(7,8)を、その作動駆動部(M1,M2,M3,M4)によって独立に又は一緒に移動させることができ、その結果、印刷工程に使用されるローラ(3,7,8)を互いに対して動かすことができ、
少なくとも1のカメラ(K)により、印刷された画像の少なくとも複数部分から反射した光の強さの値を順番に測定して記録し、
前記強さの値を制御調整ユニット(13)に送り、
制御調整ユニット(13)は、測定された強さの値に基づいて、印刷及びインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)のうちの少なくとも1つのローラの作動駆動部用の信号を発生させることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記制御調整ユニット(13)は、記録された強さの値が特定の強さ曲線を示すまで又は示している限り、印刷及びインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)の少なくとも1つローラの作動駆動部用の信号を発生させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予め決められた波長範囲の光が記録される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ローラ(3,7,8)の幾何学寸法、又は、これらの幾何学寸法から導かれるローラ(3,7,8)の相対位置を知る制御プログラムによる前記作動駆動部への信号によって、ローラ(3,7,8)の位置を互いに対して仮調整し、
次いで、順番に撮像した画像を前記カメラによって制御調整ユニット(13)に送り、
次いで、印刷された画像又はその一部の撮像による画像が完全に示されるまで又は示されるとき、前記制御調整ユニットによって、印刷及びインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)の少なくとも1つのローラの作動駆動部用の信号を発生させる、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
印刷される画像のデジタル化された所望輪郭を記憶ユニットに記憶し、
制御調整ユニット(13)の比較器において、印刷された画像の撮像による画像とデジタル化された所望輪郭とを比較し、
この比較により、印刷された画像の撮像による画像と記憶されている所望輪郭とが一致するまで又は一致するとき、制御調整ユニット(13)によって、印刷又はインク付け工程に使用されるローラの作動駆動部用の信号を発生させる請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
評価又は計算ユニット(13)によって、印刷された画像の種々のセグメント(18)における反射光の強さをローラ位置に対応して決定し、それにより、印刷工程における典型的な光強さ曲線を、印刷された画像の種々のセグメントについて観測することができ、
印刷された画像(10)の種々のセグメント(18)の所定部分が特定の光強さ曲線(19)を示すまで、制御調整ユニット(13)によって、印刷又はインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)の作動駆動部(M1,M2,M3,M4)用の信号を発生させる、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
印刷すべき未印刷材料(17)から反射した光の強さと、印刷された画像(10)の種々のセグメント(18)における反射光の強さとの差を求め、
評価及び計算ユニット(13)によって、印刷された画像のセグメントにおける前記差又はコントラスト値(ki)をローラの相対位置に対応して決定し、それにより、印刷工程に典型的な同様の光強さ曲線又はコントラスト値曲線を、印刷された画像の種々のセグメントについて観測することができ、
印刷された画像(10)の種々のセグメント(18)の所定部分が、特定の光強さ曲線又はコントラスト値曲線(19)を示すまで、制御調整ユニット(13)によって、印刷又はインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)の作動駆動部(M1,M2,M3,M4)用の信号を発生させる、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
印刷された画像(10)又はその少なくとも一部分を、少なくとも1つのカラーカメラ(K)によって撮像する、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
印刷された画像(10)又はその少なくとも一部分を、少なくとも1つのカラーカメラ(K)によって撮像し、
コンピュータによって、少なくとも1つの色の光強さ曲線又はコントラスト値曲線をローラ位置に対応して決定し、
印刷された画像(10)の種々のセグメント(18)の所定部分が特定の色強さ曲線(19)を示すまで、制御調整ユニット(13)によって、印刷又はインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)の作動駆動部(M1,M2,M3,M4)用の信号を発生させる、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
いくつかの色の光強さの値又はコントラスト値(19)を制御調整ユニットによってプロットし、
光強さの値又はコントラスト値(19)から導き出された座標に基づいて、これらの値をコンピュータによって別の座標系に変換し、
これらの座標のうちの少なくとも1つの選択をローラの相対位置に対応して決定し、
印刷された画像(10)の種々のセグメント(18)の所定部分が特定の座標曲線を示すまで、制御調整ユニット(13)によって、印刷又はインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)の作動駆動部(M1,M2,M3,M4)用の信号を発生させる、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
印刷された画像の反射光の光又は色の強さから導かれた値(ki)を規準化する、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
印刷された画像の反射光の光又は色の強さから導かれた値(ki)を、印刷又はインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)の位置に対応してプロットし、それをコンソール又はスクリーンの上で見られるようにする、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
いくつかの印刷ユニットを有する場合において、各印刷ユニットを、別々の測定工程に基づいて調整する、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
いくつかの印刷ユニットを、1つの測定工程に基づいて調整する、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
印刷された画像の撮像による画像(10)と印刷される画像の所望輪郭とが一致するローラ(3,7,8)の幾何学的な相対位置を決定し、
印刷された画像の種々のセグメントの所定部分が特定の強さ曲線又はコントラスト曲線を示すまで、記憶装置に記憶する、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
印刷工程に使用されるローラ(3,7,8)の追加の調整中、少なくとも2つのローラ(3,7,8)の間に少なくとも1つの過剰印刷を生じさせる、請求項1〜15に記載の方法。
【請求項17】
過剰印刷を生じさせたローラ(3,7,8)間に行き渡るように圧力を付与し、付与した圧力を再び減少させて過剰印刷を終了させる、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
付与した圧力を減少させた後、ローラ(3,7,8)を互いに対して再び移動させ、それにより、圧力を再び付与する、請求項1〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
印刷工程に使用されるローラ(3,7,8)の相対位置を調節することによって、印刷される画像を調整する回転印刷機であって、
これらのローラの少なくとも1つのローラ(7,8)をそれ用の作動駆動部(M1、M2、M3、M4)によって独立に又は一緒に移動させることにより、印刷工程に使用されるローラ(3,7,8)を互いに対して動かすことができ、
印刷すべき未印刷材料(17)の上に印刷された画像(10)を記録して、記録された画像を電気的評価及び計算ユニット(13)に順番に送る少なくとも1つのカメラ(K)を有し、
評価及び計算ユニット(13)は、印刷された画像又はその一部の記録画像を評価し、印刷された画像又はその一部の記録画像における色転写の完全さを調べ、
印刷された画像又はその一部の記録画像が完全に示される限り、印刷及びインク付け工程に使用されるローラ(3,7,8)の少なくとも1つのローラの作動駆動部用の信号を発生させるように、評価及び計算ユニット(13)が構成されることを特徴とする回転印刷機。
【請求項20】
前記作動駆動部は、印刷工程に使用されるローラ(3,7,8)を確実に平行にさせる別々の調整装置を有する、請求項19に記載の回転印刷機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−179067(P2009−179067A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122411(P2009−122411)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【分割の表示】特願2002−88178(P2002−88178)の分割
【原出願日】平成14年3月27日(2002.3.27)
【出願人】(590002909)ヴィントメーラー ウント ヘルシャー コマンディトゲゼルシャフト (33)
【Fターム(参考)】