説明

フレグランスおよびアロマの目標とする放出のための組成

固体脂質ナノ粒子(SLN)分散の形態におけるフレグランスおよび/またはアロマの目標を定めた放出のためのフレグランスおよび/またはアロマの組成において、乳化剤の単層、1つ以上の膜層または他の助剤によって安定化される脂質ベースのナノ粒子が存在し、フレグランスおよび/またはアロマは、ナノ粒子および/または乳化剤の単層または膜層に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレグランスおよびアロマ、具体的には化粧品、調合薬、食品または洗剤の組成の目標とする放出のための組成に関し、フレグランスおよびアロマの目標とする放出のために、貯蔵媒体としてリオトロピック層状液晶位相を形成する界面活性剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの化粧品、調合薬、食品または洗剤の組成はフレグランスを含み、フレグランスはフレグラントオイルおよびアロマ物質の双方を意味するものとして理解されるべきである。フレグランスは、通常、直接組成へと混合される。この手順は複数の不利な点を有する。第1に、使用中に、フレグランスの放出を制御することは殆ど不可能であり、これは特に放出を遅らせることが可能でないことを意味している。さらに、フレグランスは、一般的に酸化組成から保護されない。このため、長期にわたる十分な効果および長期に及ぶ保管の後で十分な効果を達成するためには、比較的大量のフレグランスを組成で使用しなければならないことが多い。
【0003】
一方で、フレグランスは、特に化粧品組成の費用を決定する重要な構成要素である。フレグランスの有効性を使用中に増大することができれば、少量のフレグランスで間に合わせることができる。この場合、化粧品組成は、より費用効果的に調合することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、フレグランスおよびアロマ、特に化粧品、調合薬、食品または洗剤の組成の目標とする放出のための組成を提供し、これは少量のフレグランスおよび/またはアロマの使用を可能にし、フレグランスおよび/またはアロマの、目標とする、たとえば遅れさせたもしくはカスケードされた放出を可能にし、フレグランスおよび/またはアロマの酸化を防ぐ。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、固体脂質ナノ粒子(SLN)分散の形態でフレグランスおよび/またはアロマの目標とする放出のためにフレグランスおよび/またはアロマの組成を用いることによって達成され、固体脂質ナノ粒子(SLN)分散では、脂質をベースにしたナノ粒子が存在し、これは乳化剤単層、1つ以上の膜層、または他の助剤によって安定化される。組成に応じて、フレグランス/アロマが固体粒子および粒子を囲む乳化剤膜に含まれる。フレグランス/アロマは、親水遊離基と疎水遊離基とを含む乳化剤または界面活性剤の疎水遊離基の領域にも存在することができる。
【0006】
放出の性質および時間は、固体脂質相および関連する膜層の間のフレグランス/アロマの分布と、脂質相の融点の分布とに依存する。
【0007】
この目的は、親水遊離基と疎水遊離基とを有し、かつリオトロピック層状液晶位相に存在する界面活性剤を含む、フレグランスまたはアロマの目標とする放出のためのフレグランスおよび/またはアロマの組成によっても達成され、フレグランス/アロマは、溶解性または構造に応じて、膜/ラメラそれ自体、もしくはこれらの間に含まれるか、または界面活性剤の疎水遊離基の領域に組込まれる。
【0008】
この目的は、PO(油中ポリオール)乳濁液またはPWO(水中油中ポリオール)乳濁
液の形態におけるフレグランスおよび/またはアロマの目標とする放出のためのフレグランスおよび/またはアロマの組成によっても達成される。フレグランスまたはアロマはここで、内部ポリオール相に完全に包まれるか、または乳化剤もしくは界面活性剤の疎水遊離基の領域に存在し、乳濁液は親水遊離基と疎水遊離基とを有する乳化剤または界面活性剤を含む。
【0009】
本発明に従うと、この目的は、フレグランスおよびアロマの目標とする放出のために、貯蔵媒体としてリオトロピック層状液晶位相を形成する界面活性剤を用いることによっても達成される。
【0010】
この組成は、ここで化粧品、調合薬、食品または洗剤の組成における応用の後でまたは応用の間に、フレグランスおよび/またはアロマの目標とする、または制御された、たとえばカスケードされた、または遅らされた放出のために用いることができる。フレグランスは、たとえばスキンケア製品等のリーブオン製品、およびシャンプー、洗剤等の洗い流し製品の双方で用いられる。食品で用いられるアロマ物質は口腔において限られた滞留時間しか有さないために、これらは洗い流し製品に含まれる。
【0011】
リーブオン製品の場合、フレグランスの効果をできるだけ長持ちさせることが望ましい。このため、フレグランスの揮発性を減じなければならない。たとえば、リーブオン製品の場合、フレグランスピラミッドの形成、すなわちフレグランス組成に存在するフレグランスのカスケードされた放出が期待される。
【0012】
洗い流し製品の場合、主に2つの問題が生じる。第1に、フレグランスの大半が、それが塗布される表面から洗浄液で再び除去されることである。第2に、残存する残余の量は比較的速く蒸発することである。本発明に従った組成は、その組成の界面親和力の修飾の結果として、担体の付着の大幅な向上および非常に長いフレグランスの放出を可能にする。
【0013】
さらに、本発明に従った組成は、フレグランスおよび/またはアロマの酸化を防ぐ。
【0014】
好ましくは、組成は、リオトロピック層状液晶位相が脂質ベースの粒子に存在し得るが、そうである必要はない固体脂質(liquid)ナノ粒子(SLN)分散の形態である。
【0015】
フレグランスオイル/アロマは、SLN分散で用いられるときに、制御された態様でたとえばカスケードされた態様で放出して、長いフレグランスの効果をもたらすことができる。これらの実施例は、特にリーブオン製品について有利である。
【0016】
調合薬、化粧品および/または食品の活性成分は、ゼラチンカプセル、シクロデキストリン、ポリマー等の固体活性成分担体に包まれる。この活性成分担体は、特定の応用に合わせて調整して、活性成分の好適な用量および活性成分の放出を可能にすることができる。過去において、SLNとも称される固体脂質ナノ粒子が開発された。これらは、乳濁液およびリポソームに代わる担体システムを示している。ナノ粒子は、親水性または疎水性の調合薬の活性成分を含むことができ、経口的にまたは非経口的に投与することができる。このため、平均粒子直径が50nm〜1μmの範囲のナノ粒子が通常用いられる。周知の乳濁液とは対照に、固定脂質がマトリックス材料として用いられる。高い生物受容および良好な生体内分解性を保証するために、主に生理学的に融和性の脂質、または内因性の脂肪酸からの配糖体等の生理学的成分から構成された脂質が用いられる。調合の際に、乳化剤または界面活性剤が通常用いられる。調合は通常高圧の均質化によって行なわれる。この際に、マトリックスとして用いられる脂質が溶解され、活性成分が溶解物において分解または分散される。通常、溶解物を含む活性成分は、攪拌によって同じ温度で水性の界
面活性剤溶液で分散される。このようにして得られた分散は、次に高圧ホモジナイザ、たとえば高温状態で200〜1500バールの範囲の圧力でのピストンギャップホモジナイザで均質化される。これは、冷却されると液相が固体脂質ナノ粒子を与えるために再結晶する乳濁液を与える。
【0017】
代わりに、低温での均質化を行なうこともでき、この間、活性成分は次に融解した脂質相に組込まれる。得られた混合相は冷却され、固体は50〜100μmの範囲の粒子サイズに粉砕される。このようにして得られた脂質粒子は低温界面活性剤溶液で分散され、結果として生じる分散はさらに高圧下で均質化される。
【0018】
SLN分散の調合は、
a)フレグランス/アロマを脂質ベースの活性成分担体および少なくとも1つの乳化剤と混合することによって可能であり、これはステージb)において活性成分担体の融点または軟化点よりも高い温度で好ましくはリオトロピック液晶混合相の形成をもたらして相Bを形成し、該調合はさらに、
b)相Bを水相Aと機械的に混合することによって可能であり、これは、活性成分担体の融点または軟化点よりも高い温度での乳濁液を含むことができ、相B対相Aの重量比は1:5から5:1であり、高圧での均質化を行なわずに、好ましくはリオトロピック液晶混合相を形成し、該調合はさらに、
c)攪拌によって、高圧での均質化を行なわずに、水相によって混合層を所望の目標の分散濃度へと希釈することによって可能であり、該水相は、活性成分担体の融点または軟化点よりも低い、たとえば少なくとも15℃低い水相の温度で乳化剤を含むことができる。
【0019】
脂質溶解物が、1:5〜5:1の或る重量比で、水相と混合され、同じ温度まで加熱された場合に、平均直径が10nmから1000nmの範囲の固体脂質ベースの活性成分担体粒子が存在する水生活性成分担体分散を有利に調合することができることがわかっている。この混合は、ここでは家庭用ミキサ(または家庭用キッチン攪拌器)の攪拌力を有する機械的攪拌器によって達成することができる。実験室での操作では、たとえば50mmの全直径を有するツインパドルのプロペラ形状のミキシングヘッドを有するブラウン(登録商標)台所用ミキサを用いて十分な撹拌効果を達成することができた。攪拌プロペラは、63mmの直径を有する保護リングによって囲まれていた。台所用ミキサの最大電力消費は350Wであった。これは、モデルMR550、タイプ4189であった。
【0020】
ステージb)での機械的混合およびステージc)での撹拌は、1から20m/s、特に好ましくは1から3m/sの範囲の周速度を有する撹拌機を用いて好ましくは行なわれる。
【0021】
撹拌機の剪断作用は、市販のおよび上述された家庭用の台所用の攪拌器またはミキサの剪断作用に好ましくは対応する。
【0022】
ステージb)での相B:相Aの重量比は、好ましくは1:2〜2:1、特に好ましくは1:1.5〜1.5:1である。
【0023】
以下の本文において、SLNにとって好適な活性成分担体、ラメラ構造を好ましくは形成する好適な乳化剤、好適な調合薬、化粧品および食品の活性成分、ならびに水性活性成分担体分散の他の可能な成分がより詳細に説明される。
【0024】
使用される活性成分担体粒子は、好ましくは脂質ベースの粒子である。これらは、脂質および脂質状構造を含む。好適な脂質の例は、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メレシック酸(melesic acid)等の12から30の炭素原子を有する飽和直鎖脂肪酸のジグリセリドおよびトリグリセリドであり、さらにラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、セロチルアルコール、ミルシルアルコール等の24から30の炭素原子を有する飽和ワックスアルコール等の、4から22の、好ましくは12から22の炭素原子を有する他の飽和脂肪アルコールを有するそのエステルである。ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪アルコール、エステル、またはそのエーテル、ワックス、脂質ペプチドまたはその混合物が好ましい。特に、合成のジグリセリドおよびトリグリセリドは、個々の物質としてまたは混合物の形態、たとえば固い脂肪の形態で用いられる。グリセロールトリ脂肪酸エステル(glycerol trifatty acid esters)は、たとえば、グリセロールトリラウリン酸塩、グリセロールトリミリスチン酸塩、グリセロールトリパルミチン酸塩、グリセロールステアリン酸塩、またはグリセロールベヘン酸塩である。好適なワックスは、たとえばパルミチン酸セチルおよび白蝋(漂白した蝋、DAB(ドイツ薬局方)9)がある。
【0025】
全水性活性成分担体分散に基づく活性成分担体粒子の量は、好ましくは、0.1重量%から30重量%、特に好ましくは1重量%から10重量%である。脂質に加えて、分散安定剤および乳化剤を用いることもできる。これはたとえば、0.01重量%から10重量%、好ましくは0.05重量%から5重量%の量で用いることができる。好適な物質の例は、界面活性剤、特に乳酸アルキルたとえばステアロイルラクチレート(stearoyl lactylate)、イセチオン酸、アルキル硫酸塩たとえばセチル硫酸塩、ジアミドエーテル硫酸塩、アルキルポリグリコシド、リン酸エーテル、タウリン(taurates)、スルホコハク酸、アルキルポリグリコシド、リン酸エーテル、タウリン、スルホコハク酸、アルキルサルコシネートたとえばラウリルサルコシネートナトリウム(sodium lauryl sarcosinate)、アルキルグルタミン酸塩たとえばラウリルグルタミン酸塩、エトキシルソルビタン脂肪酸エステル(ethoxylated sorbitan fatty acid esters)、ブロック重合体およびブロック共重合体(たとえばポリクサマおよびポロザミン(polyxamines)、ポリグリセロールエーテルおよびエステル、さまざまな由来のレシチン(たとえば卵レシチンまたは大豆レシチン)、化学的に修飾されたレシチン(たとえば水素化されたレシチン)があり、さらにリン脂質およびスフィンゴ脂質、リン脂質とレシチンとの混合物、ステロール(たとえばコレステロールおよびコレステロール誘導体さらにはスチグマステロール)、糖または糖アルコールと脂肪酸または脂肪アルコールとのエステルおよびエーテル(たとえば蔗糖モノステアレート)、立体的に安定させる物質、たとえばポロクサマーおよびポロザミン(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体)、エトキシルソルビタン脂肪酸エステル、エトキシルモノおよびジグリセリド、エトキシル脂質およびリポイド、エトキシル脂肪アルコールまたは脂肪酸および電荷安定剤または電荷担体たとえばリン酸ジセチル、ホスファチジルグリセロール、および飽和および不飽和脂肪酸、コール酸ナトリウム(sodium cholate)、グリコール酸ナトリウム(sodium glycolcholate)、タウロコール酸塩(sodium taurocholate)またはその混合物、アミノ酸またはペプタイザたとえばクエン酸ナトリウム(J.S. ルックス(Lucks)、B.W. ミュラー(Mueller)、R.H.ミュラー(Mueller)、国際製薬学報(Int. J. Pharmaceutics)第63号、第183〜189頁(1990年)を参照)、粘度増強剤たとえばセルロースエーテルおよびセルロースエステル(たとえばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、ポリビニル誘導体たとえばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、アルギン酸塩、ポリアクリル酸(たとえばカルボポール(Carbopol))、キサンタン、およびペクチンがある。
【0026】
水相Aとして、水、水性溶液、またはグリセロールもしくはポリエチレングリコール等の水混和性液体と水との混合物を用いることができる。水相のためのさらに追加的な成分
としては、たとえばマニノース、グルコース、フルクトース、キシロース、トレハロース、マンニトール、ソルビタル、キシリトール、またはポリエチレングリコール等の他のポリオール、および塩化ナトリウム等の電解質がある。これらの追加的な成分は、水相Aに基づいて1〜30重量%の量で用いることができる。
【0027】
望まれれば、EP−B−0605497に記載されるような粘土増強剤または電荷担体を用いることもできる。使用することができるシックナは、たとえば、多糖、ポリアルキル、アクリル酸塩、ポリアルキル、シアノアクリレート、ポリアクリルビニルピロリドン、アクリルポリマー、ポリ乳酸(polylactic acids)またはポリ乳酸(polylactides)である。
【0028】
脂質および乳化剤は、好ましくは50:1から2:1、好ましくは15:1から30:1の重量比で用いられる。フレグランスオイルまたはアロマの量は、好ましくは0.1から30重量%である。
【0029】
活性成分粒子の平均直径は、好ましくは50〜1000nm、特に好ましくは100から500nmである。
【0030】
組成において、シリコーンを追加することによって耐水性と分散および付着する能力とを増加させることができる。好適なシリコーン誘電体は、ジメチコーン、アルキルおよびアリールで置換されたシリコーン、アミノで置換されたシリコーンオイル、アルキルグリコシド、変形シリコーンオイルを有するシリコーンコポリオル等である。代わりにまたは追加的に、フッ化炭化水素を用いることもできる。
【0031】
SLN分散において、放出動作は、脂質粒子の融点に依存する。さらに、放出動作は使用される乳化剤の組成および量に依存する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の一実施例に従うと、さまざまな融点を有する脂質ベースの粒子がSLN分散に存在する。結果として、存在するフレグランスオイルおよびアロマの目標とする放出、特にカスケードされた放出が可能である。第1に、最低融点を有する脂質粒子は、対応する活性成分を軟化させ、放出する。後になってからのみ、より高い融点を有する脂質粒子を軟化させる。油溶性のおよび/または両親媒性のフレグランスオイルまたはアロマが好ましくは脂質粒子に蓄積されるのに対して、水溶性のフレグランスは水相へと組込まれる。このようなSLN分散を用いると、水に存在するフレグランスオイルおよびアロマが最初に放出されるのに対し、脂質粒子に存在するフレグランスオイルおよびアロマ物質は後になって放出されるに過ぎない。
【0033】
さらなるカスケードされた放出のために、SLN分散は以下に記載される組成、たとえばPO乳濁液またはPOW乳濁液と組合せることもできる。
【0034】
本発明に従うと、フレグランスおよびアロマは、リオトロピック液晶位相として界面活性剤によって形成される液晶ラメラへと結合することができ、この形態で貯蔵物質を構成する。
【0035】
界面活性剤によって、単層のもしくは多重膜のシステムまたはリオトロピック液晶混合相を形成することができる。本発明に従った組成は、好ましくは顕微鏡的に見ると複屈折の界面を有し、これはラメラ構造またはLC相界面活性剤の二重層または多重層から得られる。
【0036】
本発明に従うと、使用される界面活性剤は、親水遊離基と疎水遊離基とを有するものであり、リオトロピック層状液晶位相を形成することができる。液晶構造の形成は、本質的に界面活性剤の幾何学的形状に依存する。ここで親水遊離基対疎水遊離基の比率は重要な役割を果たす。空間充填親水遊離基および小さな疎水遊離基は、ミセルを形成することが多い。しかしながら、ミセルは動的平衡状態にあり、連続的に分解され、再び形成される。このため、ミセルは他の成分の貯蔵媒体としては好適ではない。親水遊離基が小さくなると、界面活性剤は、棒状のミセル、小胞二重層およびサンドイッチ二重層を形成する。本発明に従うと、リオトロピック層状液晶位相に存在することができる界面活性剤がさらに用いられる。リオトロピック状態において、フレグランスは、親水遊離基の間にまたは界面活性剤の頭部に保存される。界面活性剤の親水性部分は、以下に続く基板への所望の付着に応じて変化させることができる。たとえば、疎水性部分は、人間の皮膚または織物繊維へ接着するために変化させることができる。
【0037】
リオトロピック層状液晶位相を形成する好適な界面活性剤は、当業者にとって公知である。天然製品または合成製品を用いることができる。界面活性剤混合物の使用も可能である。好適な界面活性剤の例は、コール酸塩ナトリウム、デヒドロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム(sodium deoxycholate)、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム等の生理的な胆汁塩である。水添形態を有するレシチン等の動物および植物のリン脂質、およびその修飾された形態を有するゼラチン等のポリペプチドも同様に用いることができる。
【0038】
好適な合成の界面活性物質は、スルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン酸ベタインエステル(polyoxyethylene acid betaine esters)、ベタインエステル酸およびソルビタンエーテル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンステアリンエステル、およびポリオキシプロピレンエーテルとポリオキシエチレンエーテルとの共縮合物、エトキシル飽和グリセリド(ethoxylated saturated glycerides)、部分脂肪酸グリセリドおよびポリグリセリドである。好適な界面活性剤の例は、バイオベース(登録商標)EPおよびセラルーション(登録商標)Hである。
【0039】
好適な界面活性剤の例は、グリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステル、ソルビトールエステル、脂肪アルコール、プロピレングリコールエステル、アルキルグルコシドエステル、糖エステル、レシチン、シリコーン共重合体、羊毛ワックスおよびその混合物またはその誘導体である。グリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、アルコギンレートおよび脂肪アルコールならびにイソアルコール(isoalcohols)は、たとえばトウゴマ脂肪アルコール、12‐ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、タウリン酸およびカプリン酸から得ることができる。指定されたエステルに加えて、コハク酸塩、脂肪酸のアミドまたはエタノールアミドも存在し得る。好適な脂肪酸アルコキシル基は、特にエトキシレート、プロポキシレート、または混合されたエトキシレート/プロポキシレートである。
【0040】
界面活性剤は、選択された使用分野に応じて選択することができる。洗剤の分野における使用については、たとえば陽イオン界面活性剤を用いることが好ましい。人間の皮膚に塗布される組成としては、特にラクチレート、グルタミネート、ジアミドエーテル硫酸、アルコールまたはグリコールのエトキシレート、ベタイン、両親媒性共乳化剤(coemulsifiers)たとえばソルビタンモノステアレートおよび脂肪アルコール、脂肪酸縮合物、サルコシネート、タンパク質脂肪酸縮合物、スルホコハク酸塩およびカルボン酸塩エーテルが用いられる。
【0041】
形成されるラメラの形状および大きさに応じて、組成は明瞭になるか、またはパール効
果を示すことができる。100nmの領域の平均的な粒子サイズを有する粒子は明瞭になるのに対し、長いラメラは通常パール効果を示す。
【0042】
ここでリオトロピック層状液晶位相は、好ましくは、水、アルコール、ポリオールまたはその混合物を用いることによって形成される。界面活性剤の親水性部分は、それ自身を水、アルコール、ポリオール相またはその混合相に適応させる一方で、ラメラ構造における疎水性部分は互いを指している。この構成において、フレグランスまたはアロマは、親水遊離基の間のおよび/または界面活性材の空間に組込まれ、蓄積される。蓄積可能なフレグランスの量は、ここでは使用される界面活性剤の性質、および液晶位相の構造に依存する。一般に、界面活性剤およびフレグランスまたはアロマは、1:100から100:1、好ましくは1:20から20:1、特に好ましくは1:5から5:1の重量比で存在する。
【0043】
液晶相からのフレグランス/アロマの放出動作は、層状構造の融点と界面活性剤における疎水遊離基の種類とに依存する。液晶位相を形成するために水の代わりにポリオールが用いられる場合に、粘性および可溶性が減じられる可能性があり、長続きする蓄積効果が与えられる。洗剤、シャンプー、シャワー用ジェルまたは石鹸等の洗い流し製品の場合に、組成の大半は洗い流され、基板から除去される。本発明に従った組成によって、フレグランスおよびアロマの基板、たとえば皮膚または繊維への付着が可能になり、これは比較的大量のフレグランスが基板上に残ることを意味している。
【0044】
異なるフレグランスオイルまたはアロマ物質が異なる時に放出された場合に、カスケードされた放出は、リーブオン製品の場合に特に重要である可能性がある。したがって、各々の場合に、新しい刺激が感覚器に及ぼされ、これは知覚が高められることを意味する。1つのみの刺激が存在する場合に、通常飽和が生じ、これはフレグランスオイルまたはアロマの知覚に悪影響を及ぼす。本発明に従った構成要素の助けを借りれば、匂いの感覚および/または味覚が継続する。
【0045】
配合から新しい特性プロフィールを得るために、乳濁液、分散またはSLN分散等のさまざまの組成を混合または組合せることもできる。
【0046】
特に、SLN分散または脂質粒子は、フレグランスおよびアロマのための最適な酸化保護をもたらす。なぜならフレグランスおよびアロマは、固体内の埋込まれた形態に存在するため、空気の侵入から密閉されるからである。適切な場合に、酸化安定性をさらに高めるために両親媒性剤および酸化防止剤を組成において用いることもできる。
【0047】
本発明に従うと、フレグランスおよびアロマは、フレグランスオイル(フレグランス)およびアロマ物質(フレーバ)の双方を意味するものとして理解される。これらはオドラント、具体的にはフレグランスである。フレグランスの基本物質は、一般的にエッセンシャルオイル、花精油、植物薬および動物薬からの抽出物、天然製品から分離されたオドラント、化学的に修飾された(半合成)オードラント、および純粋に合成の手段によって得られたオドラントである。本発明に従うと、フレグランスは香味料も含む。
【0048】
フレグランスおよびアロマは、ここでは複数の植物から得られる材料から発することができる。たとえば、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリなどの花、たとえばゼラニウム、パチョリ、プチグレーンなどの茎および葉、アニス、コリアンダ、キャラウェイ、ジュニパなどの果実、たとえばベルガモット、レモン、オレンジなどの柑橘類の果実の皮、メイス、アンゼリカ、セロリ、カルダモンなどの種、アンゼリカ、コーサス、アヤメ、ショウブなどの根、サンダルウッド、ユソウボク、シーダー材、シタン材などの木、タラゴン、レモングラス、セージ、タイムなどのハーブおよび草、たとえばトウヒ、モミ、松、
ハイマツなどの針および枝、たとえばガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポパナックス(opoponax)などの樹脂およびバルサムが言及され得る。
【0049】
動物性原料は、たとえば、アンバーグリス、ムスク、シベット、カストリウムである。
【0050】
半合成オドラントの例は、イソオイゲノール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、シトロネロール、ゲラニルアセテート、イオノンおよびメチルイオノンである。完全な合成オドラントまたはフレグランスは非常に多様であって、しばしばそれ自体を天然物質に適応させる。フレグランスの説明として、たとえば、レンプ(Roempp)著「化学大辞典(Chemielexikon)」第9版において、キーワード「Parfums [香料]」、「Riechstoffe [オドラント]」、「Duftstoffe [フレグランス]」として参照され得る。当業者にはさらに他の好適なフレグランスおよびアロマが公知である。
【0051】
フレグランスおよびアロマに加えて、さらなる活性成分を液晶位相へと組込むことができる。化粧品の場合に、これらは特に化粧品または調合薬の活性成分、たとえば酸化防止剤であり、洗剤組成の場合に、たとえば繊維軟化材活性成分等の添加剤がある。
【0052】
たとえば、水、エーテルアルコール、エーテルポリオール、エステルポリオール、アミノファンクショナルポリオールまたはその混合物を用いて液晶位相が形成される。
【0053】
エーテルアルコールは、好ましくは以下の一般式(1)を有する。
【0054】
【化1】

【0055】
この場合、
1は、C1-4アルキルであり、
2は、水素またはC1-4アルキルであり、
nは、平均1〜100であり、
mは、平均0〜n/2であり、
EO,POは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから得られた基本構成要素であり、双方の基本構成要素が存在する場合にはいかなる順序であってもよい。
【0056】
一般式(I)のエーテルアルコールにおいて、エチレンオキシドから得られた基本構成要素、適切な場合に追加的にプロピレンオキシドから得られた基本構成要素が存在することができる。これらの基本構成要素は、構造‐CH‐CH‐O‐,‐CH‐CH(CH)‐Oおよび‐CH(CH)‐CH‐O‐を有する。エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから得られる2つ基本構成要素が存在する場合に、これらはいかなる順序であってもよい。これは、各々の場合に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから得られる1つ以上のブロックを互いに接合することができることを意味する。さらに、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから得られたユニットは、交互にまたは任意に存在することができる。これらの形態間での可能な連続的な遷移が本発明に従って同様に可能である。
【0057】
一般式(I)において、プロピレンオキシドから得られる基本構成要素の割合は、エチレンオキシドから得られた基本構成要素のせいぜいごく少量である。平均1〜100、好ましくは2〜70、特に好ましくは3〜50、特に5〜15で、エチレンオキシドから得
られた基本構成要素が存在する一方で、平均で0〜n/2、好ましくは0〜n/4、特に好ましくは0〜n/8で、プロピレンオキシドから得られた基本構成要素が存在する。プロピレンオキシドから得られた基本構成要素が存在する場合に、その量は好ましくはn/10〜n/4であり、特に好ましくはn/8〜n/5である。番号nおよびmは平均値である。なぜならアルオキシ化(alkoxylation)の度合の分布は、一般的にアルコキシ化の間に生じるからである。このため、nおよびmにつき奇数の値が可能である。アルコキシ化の度合の分散の幅は、とりわけ、使用されるアルコキシ化触媒に依存する。アルコキシ化の別々の度合またはアルコキシ化の度合の非常に狭い分布を確立することも可能である。
【0058】
1は、C1-4アルキル基であり、好ましくはC1-3アルキル基であり、特に好ましくはC1-2アルキル基であり、特にメチル基である。プロピル基は、nプロピルおよびイソプロピルであり、一方でブチル基はnブチル、イソブチル、三級ブチル(tert-butyl)を含む。
【0059】
2は水素、またはR1について上述したような基である。R2の意味は、R1基の意味から独立している。R2は、特に好ましくは水素である。この説明およびクレームで用いられる「エーテルアルコール」という表現は、一般式(I)すなわちR2が水素原子ではないために、自由なヒドロキシル基が分子に存在しない場合のすべての化合物を含む。
【0060】
エーテルアルコールは、好ましくは5〜15のエチレンオキシドユニットを有するエトキシルメタノールである。
【0061】
ポリエチレングリコール、モノメチルエーテル(12EO)およびポリエチレングリコールモノメチルエーテル(7EO)を用いることが特に好ましい。これらは、純粋なメチルアルコールエトキシレートである。このような化合物はそれ自体公知であり、従来は末端にメチル基でキャップ形成した脂肪酸ポリエチレングリコールエステルの調合のために用いられてきた。化合物は市販されている。
【0062】
使用されるポリオールは、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、グリコシド、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン(trimethylolpropane)またはその混合物等の、一般的な公知のポリオールであってもよい。好適なポリアルキルグリコールは、特にポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールである。さらなる好適なポリオール、たとえばエモジン/アロエベラ等の芳香族ポリオールは当業者には公知である。
【0063】
好適なエステルポリオールは、
グリセロール、C2-20アルキレングリコール、好ましくはC2-10アルキレングリコール、特にC2-8アルキレングリコールたとえばポロピレングリコール、ブチレングリコール、具体的にはエチレングリコール、ポリ(C2-20アルキレン)グリコール、好ましくは、ポリ(C2-10アルキレン)グリコール、特に1つ以上の異なるアルキレン基を有するポリ(C2-8アルキレン)グリコール、たとえばポリエチレングリコール(そのうちエチレンオキシユニットの最大30%がプロピレンオキシユニットによって置換されてもよい)、ポリオール成分としてのポリグリセロール、セルビトール、ペンタリエリスリトール、および、
カルボキシル基に加えて、酸性成分としてヒドロキシル基およびカルボキシル基から選択される、少なくとも1つのさらなる官能基を有する脂肪族(C3-6)カルボン酸から得られる。
【0064】
本発明に従って使用することができるエステルポリオールは、互いにエステル化されるポリオール成分および酸性成分から得られる。ポリエチレングリコールにおいて、好ましくは1〜600の、特に好ましくは1〜100のエチレンオキシユニットが存在する。
【0065】
好ましくは、カルボン酸は、原子として炭素、水素および酸素のみを含む。炭素鎖はここでは二重結合から遊離してもよく、または1つの二重結合を含んでもよい。好適な酸成分の例は、乳酸、マレイン酸、酒石酸およびクエン酸である。
【0066】
エステルポリオールにおいて、1つ、2つ、3つ以上のヒドロキシル基、たとえばポリオール成分のヒドロキシル基のすべては、エステル化された形態であってもよい。同様に、酸成分のカルボキシル基の1つ、2つ、複数またはすべてがエステルの形態で存在してもよい。
【0067】
本発明に従って用いられるエステルポリオールは、室温(25℃)で固形、ガラス様形態、粘性形態または液体形態とすることができる。複数のエステルポリオールを混合することによって、目標とする態様で特性を調整することができる。たとえば、乳酸塩は通常液体形態であるのに対し、クエン酸塩はガラス様状態であり、約50℃の温度で粘性となるに過ぎない。比が1:1のクエン酸塩および乳酸塩の混合物はガラス様形態である。対照的に、重量比が1:2のクエン酸塩および乳酸塩の混合物は粘性である。室温で、エステルポリオールはガラスの様に透明であり固体であることが多い。
【0068】
エステルポリオールをアミノファンクショナルポリオール、エーテルアルコールまたは双方の化合物と組み合わせて用いることができる。このような混合物におけるエステルポリオールの割合は、好ましくは少なくとも10重量%、特に好ましくは少なくとも15重量%、特に少なくとも20重量%である。
【0069】
アミノファンクショナルポリオールとして、融点が100℃未満の、好ましくは50℃未満のいかなる好適なアミノファンクショナルポリオールを用いることもできる。「アミノファンクショナル」ポリオールという表現は、少なくとも1つのアミン基またはアミド基がポリオールに存在することを意味する。ポリオールはさらに、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する。これは、脂肪族、芳香族または芳香族/脂肪族ポリオールであってもよい。これは好ましくは脂肪族ポリオールであってもよい。2〜10、特に好ましくは2〜5、特に2〜3のヒドロキシル基がポリオールに特に好ましくは存在する。指定された官能基の上でまたは官能基よりも上で、アミノファンクショナルポリオールは、カルボニル基、カルボキシル基、チオール基および炭素/炭素の二重結合または三重結合を有することができる。これらはエーテル基を有することもできる。分子に存在するヒドロキシル基の一部は、少なくとも2つの自由なヒドロキシル基が分子に存在するという条件でエステル化することができる。本発明に従って用いられるアミノファンクショナルポリオールは、好ましくは1つまたは2つのアミド基を含む。
【0070】
本発明に従うと、アミノファンクショナルポリオールを用いることが好ましく、これは2つまたは3つのヒドロキシル基および1つまたは2つのアミド基を有する。これらは、追加的なチオール基またはカルボキシル基を有することもできる。好ましくは、化合物は5〜15炭素原子、特に好ましくは7〜12の炭素原子を含む。
【0071】
アミノファンクショナルポリオールは、好ましくは一般式(II)のパントテン酸塩誘導体である。
【0072】
【化2】

【0073】
Rは、好ましくは基のCH2−OR1である。R1は好ましくは水素またはC1-6アルキルであり、特に水素またはC1-3アルキルである。
【0074】
パントテン酸、パンテノールまたはパンテテイン(pantheteine)を用いることが好ましい。パントテン誘導体は、好ましくは(R)の形態である。パントテン酸は、塩の形態で用いることができ、パントテン誘導体(R)パンテノールであることが特に好ましい。
【0075】
本発明に従って用いられる化合物は、好ましくはパントイン酸から得られる分子フラグメントと、それがパントテン酸に匹敵する化合物である場合にβアラニンから得られた分子フラグメントとを有する。
【0076】
パンテノールおよびパントテン酸は、創傷治療の医療分野で公知であり、ヘアトリートメント組成および動物飼料添加物においても周知である。調合は、2−オキソ−3−メチルブタン酸からのまたはパントラクトンからの生合成を介して行なうことができる。さらなる調合プロセスが一般的に公知である。1988年、シュトゥットガルト、チーメ出版社、ベールステイン(Beilstein)EIV4,2571、ベールステインEV18/1,22およびベルステインEIV4,2569fおよびイスラー(Isler)等の、「ビタミンII」(Vitamins II)、第309頁から339頁を参照し得る。パントテン誘導体、特に化粧品および調合剤の組成におけるパンテノールの使用を扱った、広範囲にわたる特許文献が存在する。
【0077】
好ましくは、本発明に従ったフレグランス貯蔵物質において、1〜95重量%、特に好ましくは10〜50重量%の水、アルコール、ポリオールまたはその混合物、0.5〜30重量%、特に好ましくは2〜20重量%の界面活性剤、および0.1〜60重量%、特に好ましくは2〜30重量%のフレグランスおよび/またはアロマが、100重量%を与える組成の合計重量に基づいて存在する。フレグランスおよびアロマに加えて、界面活性剤および水、アルコールまたはポリオール相、フレグランス貯蔵物質または組成は、さらなる一般的な成分を含むことができる。しかしながら、それは述べた量における3つの指定された成分からなることもできる。
【0078】
本発明に従った組成は、界面活性剤を液体形態である水、アルコール、ポリオールまたはその混合物と混合してリオトロピック層状液晶位相を形成し、さらにフレグランスおよび/またはアロマにおいて混合することによって調合される。本発明に従うと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に少なくとも95%、好ましくはフレグランスおよび/またはアロマの全体量が液晶構造に組込まれて、フレグランスおよび/またはアロマが界面活性剤の疎水性部分において蓄積された形態で存在する。述べられるように、フレグランス/アロマの貯蔵物質の外観は制御することができ、これは貯蔵物質が明瞭に見えるか、またはパール効果等の効果を有することができることを意味する。
【0079】
本発明に従うと、組成にはフレグランス/アロマの液滴は存在せず、フレグランス/アロマの乳濁液も存在しない。フレグランス/アロマは最高吸収含有量を有するLC構造における界面で堆積される。
【0080】
本発明に従った組成は、化粧品、調合薬、食品または洗剤の組成におけるフレグランス/アロマの遅らされた放出のために用いることができる。化粧品および調合薬の組成は、たとえば洗い流し製品またはリーブオン製品のものであってもよい。洗い流し製品は、特に石鹸、シャンプー、シャワーオイル、シャワーバスまたはバス添加物等の髪および皮膚を洗浄するための製品である。リーブオン製品は、皮膚に塗布され、かつ皮膚に残ることが意図される製品である。これらは、特にジェル、クリーム、ローション、たとえば光防護組成、特にサンクリーム、保湿クリームおよび他のこのような製品である。
【0081】
組成を皮膚に塗布すると、水またはポリオールが蒸発し、LC構造が皮膚上に広がる。放出動作は、ここでラメラの融点と界面活性剤における疎水遊離基の種類とに依存する。したがって、放出動作は、広い限度で制御することができる。これは、今まで用いられてきたフレグランス/アロマの組成および塗布の機構と比較すると皮膚上にフレグランスおよび/またはアロマのより大きな可溶性をもたらす。フレグランス/アロマを付着する区分が多いために、少量のフレグランスを使用する必要がある。皮膚上の目標とする放出は、水をポリオールと組合せることによって可能になる。拡散および固定は、好適な態様で要件に合わせて調整することができる。
【0082】
蓄積効果の上でおよびそれよりも上で、本発明に従った手順は、酸化的分解からのフレグランスの広範囲の保護を可能にする。適切である場合、さらなる酸化防止剤を追加することもできる。酸化防止剤の追加がなくても、本発明に従う貯蔵物質におけるフレグランス/アロマは、従来の応用形態よりもかなり十分に酸化から保護される。
【0083】
本発明は、上述のような組成を含む化粧品、調合薬、食品または洗剤の組成を提供する。組成は、たとえば乳濁液または分散の形態とすることができる。ここで、これらは、いかなる所望の乳濁液、多数の乳濁液、小胞または分散の形態とすることもできる。これらは、好ましくはPO乳濁液またはPOW乳濁液の形態である。乳濁液および分散の混合物も可能である。
【0084】
油中ポリオール乳濁液(PO乳濁液)において、1つ以上のポリオール相が存在し得る。ここでポリオール相は、オイルと混合できないことが好ましい。油相で用いることができる油は、すべての公知の好適なオイルおよびその混合物である。好適なオイルの例は、直線または環状であり得るシリコンオイルおよびその誘導体、直線のまたは分岐し得る、天然エステル油、たとえばブドウの種油、オリーブ油、またはひまわり油、合成エステル油たとえば中性油、たとえばクエン酸塩、乳酸塩、オレイン酸(aleates)、サリチル酸塩、ケイ皮酸エステルまたはショウノウ誘導体、トリグリセリド、脂肪アルコールまたはその混合物のパラフィン油およびイソパラフィン油、エステル油である。
【0085】
PO乳濁液において、ポリオール相対油相の重量比は、好ましくは10:90〜90:10、特に好ましくは25:75〜75:25、および特に40:60〜60:40である。
【0086】
PO乳濁液を形成するために、上記で指定された乳化剤を用いることができる。乳化剤の量は、実際の要件に応じて調整することができる。好ましくは、乳化剤は、全P/O乳濁液に基づいて0.1〜20重量%、特に好ましくは0.5〜15重量%、特に1〜8重量%で用いられる。場合によっては、これから逸脱する濃度が必要とされ得る。
【0087】
本発明の一実施例に従うと、ポリオール相は、相で分解された化粧品および/または調合薬の活性成分を含むことができる。これは、洗剤、食品または農業の活性成分であってもよい。
【0088】
活性成分は、好ましくは有機化合物であり、これらは脂肪親和性および親水性の媒体において不溶性であるかまたは十分に溶解することができない。この化合物は、ここでは特に水および油において不溶性であるかまたは十分に溶解することができない。アミノファンクショナルポリオールまたはアミノファンクショナルポリオールを含むポリオール相において分解するという条件で、いかなる好適な活性成分を用いることもできる。好適な活性成分は、たとえば、ジクロロフェナック(dichlorphenac)、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、エリスロマイシン、ケトプロフェンコルチゾン、グルトコルチコイド(glutocorticoids)である。
【0089】
さらに好適なのは、たとえばポリフェノール等の特に酸化または加水分解に特に敏感な化粧品活性成分である。ここでカテキン(たとえばエピカテキン、エピカテキン−3−ガレート、エピガロカテキン(epigallocatechin)、エピガロカテキン−3−ガレート)、フラボンノイド(たとえばルテオリン、アピゲニン、ルチン、ケルシチン(quercitin)、フィセチン、ケンペロール、ラムネチン)、イソフラボン(たとえばゲニステイン、ダイドゼイン、グリシテイン、プルネチン)、クマリン(たとえばダフネチン、ウンベリフェロン)、エモジン、レスベラトロル、オレゴニンについて言及し得る。
【0090】
レチノール、トコフェロール、アスコルビン酸、リボフラビン、ピリドキシン等のビタミンが好適である。
【0091】
とりわけ、上述の分子または分子の綱を含む植物からの全抽出物もさらに好適である。
【0092】
上述のP/O乳濁液は、水または油中水乳濁液において乳化することができる。これは、水中油中ポリオール乳濁液(P/O/W乳濁液)をもたらし、これは上述の少なくとも1つの乳濁液および追加的に少なくとも1つの水相を含む。このような多数の乳濁液は、構造という点で、DE−A−4341113に記載された乳濁液に対応することができ、ポリオール成分は、本発明に従った態様で変化させることができる。油中ポリオール乳濁液の構造は、DE−A−4341114に記載された乳濁液の構造に対応することができ、本発明に従ったポリオール相は、ポリオール相として用いられる。
【0093】
本発明に従ったP/O乳濁液を水または水相システムへと組込むと、個々の相の重量比を広い範囲内で変化させることができる。好ましくは、最終的に得られるP/O/W乳濁液において、合計のP/O/W乳濁液に基づいて、P/O乳濁液の重量分率は、0.01〜80重量%、特に好ましくは0.1〜70重量%、特に1〜30重量%である。
【0094】
本発明に従ってP/O乳濁液をO/W乳濁液に組込むと、P/O乳濁液の留分は、最終的に得られたP/O/W乳濁液に基づいて、好ましくは0.01〜60重量%、特に好ましくは0.1〜40重量%、特に1〜30重量%である。この目的のために用いられるO/W乳濁液において、油留分は、使用されるO/W乳濁液に基づいて好ましくは1〜80重量%、特に好ましくは1〜30重量%である。
【0095】
乳濁液の個々の相は、個々の相につき公知の一般的な成分を有することもできる。たとえば、個々の相は、これらの相で可溶性であるさらなる調合薬または化粧品、洗剤、食品または農業の活性成分を含むことができる。水相は、たとえば、有機的な可溶性の光防護フィルタ、親水性でコーティングされたマイクロピグメント、電解質、アルコール等を含むことができる。相の一部またはすべては、さらに固体を含むことができ、これらの固体は好ましくは、色素、ミクロスフェア、シリカゲルおよび同様の物質から選択される。油相は、たとえば、有機的に修正された粘土、鉱物、疎水性でコーティングされた色素、有機的な油溶性の光防護フィルタ、油溶性の化粧品活性成分、ワックス、金属石鹸、たとえばステアリン酸マグネシウム、ワセリンまたはその混合物を含むことができる。指定する
ことができる色素は、二酸化チタン、酸化亜鉛および硫酸バリウムである。特に、二酸化チタンまたは酸化亜鉛は、光防護フィルタとして化粧品の中で一般的であり、本発明に従って乳濁液を用いて、特に滑らかにおよび平らに皮膚に塗布することができる。ミクロスフェアまたはシリカゲルを活性成分のための担体として用いることができ、ワックスをたとえば磨き材料の基礎として使用することができる。
【0096】
さらに、水相は、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールおよび同様の化合物ならびにその誘導体を含むことができる。乳濁液における一般的な補助剤および添加剤の使用は当業者にとって公知である。
【0097】
P/O乳濁液は、たとえばDE−A−4341114およびDE−A−4341113において記載される公知の方法で調合することができる。調合のために、各々が乳化剤を含むことができるポリオール相およびオイル相は、通常、20〜90℃の範囲の温度へと別々に加熱されて、次に攪拌して組合わされる。
【0098】
乳濁液は、組成に依存して、位相体積比および存在するいかなる固体の留分にも依存して調合され得、固体のまたは自由に流れる乳濁液の形態で存在してもよい。これらは、通常の処理条件下で長期での高い安定性を有する非常に安定した乳濁液である。特に、これらは、−5℃〜+45℃の範囲の温度内の、通常の安定性の要件を満たす。乳濁液に存在する液滴は非常に安定しており、このため乳濁液は活性成分の多くの種類について担体として特に好適である。
【0099】
指定された乳濁液を用いて調合される乳濁液は、攪拌による単純な混合する動作によって得ることができ、乳濁液の安定性は、通常、攪拌器のエネルギ入力および攪拌器の種類によって仮に影響されるとしても、殆ど影響されない。本発明に従って乳濁液を調合するために、いかなる好適な標準の商業用の攪拌器を用いることもできる。
【0100】
本発明に従った乳濁液は、好ましくは、化粧品および/または調合薬の組成において、または洗剤、食品もしくは農業の組成において用いられる。したがって、本発明は、指定された乳濁液の少なくとも1つを含む化粧品および/または調合薬の組成を提供する。化粧品および/または調合薬の組成は、ハンドローションまたはボディローション、油、軟膏、ペースト、ジェル、リップケア製品、フェイスケア製品および同様の組成であってもよい。この組成は、固体、液体またはエアロゾルの形態で使用することができる。
【0101】
水またはポリオールと組合わせて、洗い流し製品およびリーブオン製品を得ることができる。フレグランスはポリオールで溶解できることが多い。POW乳濁液において、本発明に従ったフレグランス/アロマの貯蔵物質を有する皮膚親和性ポリオール、適切な場合には、酸化防止剤が皮膚上の香水/アロマの遅らされた放出をもたらすことができる。放出を遅らされた結果として、本発明に従った組成の匂いの効果を長くすることが可能である。これとは対称的に、フレグランスオイルが乳濁液として皮膚に直接塗布された場合に、これはフィルム形成をもたらし、したがって非常に早い放出をもたらし、これは短い匂いの効果しか達成されないことを意味している。
【0102】
さらに、本発明は、上述のように調合された分散を別のポリオール相または油相と混合することによって、多数の分散を調合する方法を提供する。本発明は、対応する調合された多数の分散を提供する。多数の乳濁液は、たとえばDE−A−4341113に記載されている。
【0103】
本発明に従って調合された水性活性成分担体分散のさらなる成分は、EP−B−0605497、EP−B−0167825およびUS5,885,486に記載されている。
【0104】
特に、好適な安定化物質および電荷安定剤についてはEP−B−0605497に記載される。
【実施例】
【0105】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に示される。
【0106】
【表1】

【0107】
この調合は、室温において相Bを相Aに導入することによって実行される。これは2分間、均質化される。
【0108】
【表2】

【0109】
この調合は、相Bを相Aに導入して、その後でへらを用いて攪拌することによって実行される。
【0110】
PWO洗浄乳濁液の安定性は40℃で少なくとも2ヶ月である。乳濁液は、5の凍結・融解サイクルで存続する。
【0111】
【表3】

【0112】
この調合は、(フレグランスを有さない)相Bおよび相Aを70℃まで加熱することによって実行される。フレグランスは次に相Bに導入され、相Bはゆっくりと相Aに追加され、混合物は均質化される。相ABは次に60℃で相Cで希釈されて、再び均質化される。最後に相Dが追加される。
【0113】
SLN分散の安定性は、40℃で7週間よりも長い。乳濁液は5よりも多い凍結・融解サイクルで存続する。
【0114】
【表4】

【0115】
この調合は、60〜70℃の温度で成分を融解することによって行なわれる。溶解成分を混合した後で、フレグランスオイルが導入され、混合物が攪拌によって室温まで冷却される。
【0116】
真珠光沢のあるジェルは、4℃で7週間よりも長い安定性を有していた。洗浄ジェルは5よりも多い凍結・融解サイクルで存続する。
【0117】
【表5】

【0118】
調合は、室温で相Aの成分を希釈し、相Bおよび適度の均質化を追加することによって実行される。
【0119】
ヘッドスペースクロマトグラムは組成から生成された。これらは気体相における期間にわたってフレグランス成分の発生をモニタする。
【0120】
実施例e)による洗浄ジェルが人間の皮膚に塗布された。このため、ヘッドスペースクロマトグラム(ガスクロマトグラム)が塗布の直後に最初に生成された。比較的同様の信号がジェルすべてのために生成された。フレグランスオイル組成の成分のすべてが現れた。
【0121】
皮膚から洗浄ジェルを洗い流した後で、かなり小さな信号がヘッドスペースクロマトグラムで生成された。洗浄ジェルWG320,WG−520およびWG−620について、信号は参照の洗浄ジェルよりも強かった。これは、皮膚に残っているフレグランスオイルの量が多いことを示している。
【0122】
洗い流した後の1時間の待機時間の後で、さまざまな洗浄ジェルで処理された皮膚表面のすべてについてヘッドスペースクロマトグラムが再び記録された。本発明に従った洗浄ジェルについて、生成された信号は、参照ジェルと比較して、特にヘキシル酢酸エステルおよびリモナン(limonan)についてかなり強かった。フェノキシエチルイソ酪酸塩の領域においても、本発明に従った洗浄ジェルについてかなり強い信号が生成された。これか
ら、本発明に従った洗浄ジェルまたはそこに存在するフレグランスオイルが皮膚に適切に付着され、遅らされた放出をもたらすことが明らかになる。結果として、本発明に従った洗浄ジェルを用いるときに、フレグランスの効果は、参照洗浄ジェルを用いたときよりもかなり長く続く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤単層、1つ以上の膜層、または他の助剤によって安定化される脂質ベースのナノ粒子が存在する、固体脂質ナノ粒子(SLN)分散の形態におけるフレグランスおよび/またはアロマの目標とする放出のためのフレグランスおよび/またはアロマ組成であって、前記フレグランスおよび/またはアロマは、前記ナノ粒子および/または前記乳化剤単層もしくは前記膜層に含まれている、フレグランスおよび/またはアロマ組成。
【請求項2】
親水遊離基と疎水遊離基とを有する、乳化剤または界面活性剤を含む脂質ベースナノ粒子が存在し、フレグランスおよび/またはアロマは、前記乳化剤または界面活性剤の前記疎水遊離基の領域に組込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の組成。
【請求項3】
前記組成の全重量に基づいて、重量比が50:1から2:1、脂質ベース粒子が0.1から30重量%、フレグランスおよび/またはアロマが0.1から30重量%の脂質ベース粒子および界面活性剤/乳化剤が存在する、請求項1または2に記載の組成。
【請求項4】
さまざまな融点を有する脂質ベース粒子を含む、請求項1から3の1つに記載の組成。
【請求項5】
親水遊離基と疎水遊離基とを有し、かつリオトロピック層状液晶位相に存在する界面活性剤を含み、フレグランスおよび/またはアロマが前記界面活性剤の前記疎水遊離基の領域に組み込まれ、またはフレグランスおよび/アロマはラメラ自体にまたはその間に含まれる、フレグランスおよび/またはアロマの目標とする放出のためのフレグランスまたはアロマ組成。
【請求項6】
前記リオトロピック層状液晶位相は、水、アルコール、ポリオールまたはその混合物を用いて形成されることを特徴とする、請求項5に記載の組成。
【請求項7】
使用される前記アルコールは、エーテルアルコールであり、使用される前記ポリオールは、エーテルポリオール、エステルポリオール、アミノファンクショナルポリオールまたはその混合物であることを特徴とする、請求項6に記載の組成。
【請求項8】
100重量%を与える組成の全重量に基づいて、1〜95重量%の水、アルコール、ポリオールまたはその混合物、0.5〜30重量%の界面活性剤、および0.1〜60重量%のフレグランスおよび/またはアロマを含むことを特徴とする、請求項6および7の1つに記載の組成。
【請求項9】
前記フレグランス/アロマが内部ポリオール相に包まれるPO乳濁液またはPOW乳濁液の形態をしたフレグランスおよび/またはアロマの目標とする放出のためのフレグランスおよび/またはアロマ組成であって、または親水遊離基と疎水遊離基とを有する乳化剤または界面活性剤を含み、フレグランスおよび/またはアロマは、前記乳化剤または界面活性剤の前記疎水遊離基の領域に組込まれる、フレグランスおよび/またはアロマ組成。
【請求項10】
a)前記フレグランス/アロマを前記脂質ベースの活性成分担体および少なくとも1つの乳化剤と混合するステップを含み、これはステージb)において、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも高い温度で混合相の形成をもたらして相Bを形成し、さらに、
b)相Bを水相Aと機械的に混合するステップを含み、これは、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも高い温度での乳化剤を含むことができ、相B対相Aの重量比は1:5から5:1であり、高圧での均質化を行なわずに、混合相を形成し、さらに、
c)攪拌によっておよび高圧での均質化を行なわずに、水相によって混合層を所望の目
標の分散濃度へと希釈するステップを含み、前記水相は、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも低い、前記水相の温度で乳化剤を含むことができる、請求項1から4の1つに記載のSLN分散を調合する方法。
【請求項11】
前記界面活性剤は水、アルコール、ポリオールまたはその混合物と混合され、これは液体形態で存在し、リオトロピック液晶位相を形成し、次にフレグランスおよび/またはアロマが混合されることを特徴とする、請求項5から8の1つに記載の組成を準備する方法。
【請求項12】
化粧品、調合薬、食品または洗剤の組成の形態における前記フレグランスおよび/またはアロマの前記目標とする放出のための、請求項1から9の1つに記載の組成。
【請求項13】
フレグランスおよびアロマの前記目標とする放出のための貯蔵媒体としてリオトロピック層状液晶位相を形成する界面活性剤の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤単層、1つ以上の膜層、または他の助剤によって安定化される脂質ベースのナノ粒子が存在する、固体脂質ナノ粒子(SLN)分散の形態におけるフレグランスおよび/またはアロマの目標とする放出のためのフレグランスおよび/またはアロマ組成であって、前記フレグランスおよび/またはアロマは、好ましくは以下のステップによって、前記ナノ粒子および/または前記乳化剤単層もしくは前記膜層に含まれ、前記以下のステップは、
a)前記フレグランス/アロマを前記脂質ベースの活性成分担体および少なくとも1つの乳化剤と混合するステップを含み、これはステージb)において、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも高い温度でリオトロピック液晶混合相の形成をもたらして相Bを形成し、脂質および乳化剤は50:1から2:1の重量比で用いられ、前記ステップはさらに、
b)前記相Bを水相またはポリオール相Aと機械的に混合するステップを含み、これは、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも高い温度で乳化剤を含むことができ、相B対相Aの重量比は1:5から5:1であり、高圧での均質化を行なわずに、リオトロピック液晶混合相を形成し、前記以下のステップはさらに、
c)攪拌によって、高圧での均質化を行なうことなく、水相またはポリオール相によって前記混合層を所望の目標の分散濃度へと希釈するステップを含み、前記水相はまたはポリオール相は、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも低い、前記水相または前記ポリオール相の温度での乳化剤を含むことができる、フレグランスおよび/またはアロマ組成。
【請求項2】
親水遊離基と疎水遊離基とを有する、乳化剤または界面活性剤を含む脂質ベースナノ粒子が存在し、フレグランスおよび/またはアロマは、前記乳化剤または界面活性剤の前記疎水遊離基の領域に組込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の組成。
【請求項3】
前記組成の全重量に基づいて、0.1から30重量%の脂質ベース粒子および0.1から30重量%のフレグランスおよび/またはアロマが存在する、請求項1または2に記載
の組成。
【請求項4】
さまざまな融点を有する脂質ベース粒子を含む、請求項1から3の1つに記載の組成。
【請求項5】
前記フレグランス/アロマが内部ポリオール相に包まれるPO乳濁液またはPOW乳濁液の形態をしたフレグランスおよび/またはアロマの目標とする放出のためのフレグランスおよび/またはアロマ組成であって、または親水遊離基と疎水遊離基とを有する乳化剤または界面活性剤を含み、フレグランスおよび/またはアロマは、前記乳化剤または界面活性剤の前記疎水遊離基の領域に組込まれる、フレグランスおよび/またはアロマ組成。
【請求項6】
化粧品、調合薬、食品または洗剤の組成の形態における請求項1から5の1つに記載の前記フレグランスおよび/またはアロマの前記目標とする放出のための組成。
【請求項7】
以下のステップによって請求項1から4の1つに記載のSLN分散を調合する方法であって、前記以下のステップは、
a)前記フレグランス/アロマを前記脂質ベースの活性成分担体および少なくとも1つの乳化剤と混合するステップを含み、これはステージb)において、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも高い温度でリオトロピック液晶混合相の形成をもたらして相Bを形成し、脂質および乳化剤は50:1から2:1の重量比で用いられ、前記ステップはさらに、
b)前記相Bを水相またはポリオール相Aと機械的に混合するステップを含み、これは、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも高い温度で乳化剤を含むことができ、相B対相Aの重量比は1:5から5:1であり、高圧での均質化を行なわずに、リオトロピック液晶混合相を形成し、さらに、
c)攪拌によって、高圧での均質化を行なうことなく、水相またはポリオール相によって前記混合層を所望の目標の分散濃度へと希釈するステップを含み、前記水相はまたはポリオール相は、前記活性成分担体の前記融点または軟化点よりも低い、前記水相または前記ポリオール相の温度での乳化剤を含むことができる、方法。

【公表番号】特表2006−525225(P2006−525225A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571504(P2004−571504)
【出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2003/004788
【国際公開番号】WO2004/098555
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505353652)イーファック・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】IFAC GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】