説明

フレグランス組成物

少なくとも75重量%、好ましくは85重量%の下記群から選択される香水材料を含むフレグランス組成物:
(A)1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0{1,5}]ウンデカ−8−エン−9−イル)エタノン;シクロヘキシルプロピオン酸アリル;ヘプタン酸アリル;Apple Oliffac S pcmf;7−メチル−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン;カシスベース;サリチル酸cis−3−ヘキセニル;ダマセノン;ガンマ−デカラクトン;アセト酢酸エチル;エチルマルトール;フェニルグリシド酸メチルエチル;酢酸ヘキシル;(3E)−4−メチルデカ−3−エン−5−オール;2,5,5−トリメチル−6,6−ビス(メチルオキシ)ヘキサ−2−エン;4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン;酢酸スチラリル;2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン;イラン油を含む群「HMP」から選択される少なくとも3つの材料が合計で少なくとも5重量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規フレグランス組成物およびかかるフレグランスを含有する消費者製品に関する。
【背景技術】
【0002】
健やかさ(well-being)は、幸福と自己満足の尺度であり、個人的なベースラインならびに幸福および満足を構成するものの期待に対して評価される。一部の人にとっては、健やかさは喜びを感じる必要性を意味し、人によっては、充実感に関する。健やかさを導く要素は複数存在する。これらの中で最も重要なのは、我々の肉体的、動機的および感情的な必要性である。
【0003】
肉体的な健康は、健やかさの主要な基盤である。幸福な人々は、より健全な免疫状態を示し、幸福を維持することは、身体の防衛を高め、病気を撃退することに役立ち得る。
【0004】
動機的必要性は、我々の人生の目標を示す。ここに、3つの主要な要件が存在する。まず、人々にとって、健やかさを達成するために、彼らは、食料、パートナーシップ、霊的信念などの基本的な必要性を満たす必要がある。次に、彼らは、達成可能な人生の目標を有するべきである。最後に、これらの目標を達成する手段が開かれていなければならない。人は自身の努力を介して、または支援を得て、首尾よく邁進することができると信じる必要がある。これらの動機的要素のいずれかが欠けている場合、人は健やかさの気持ちへの明確な影響とともに、ネガティブな気分または欝までも生み出す危険性がある。
【0005】
第3の要因は感情的な必要性である。感情は変動するが、長い期間にわたって平均化すると、人々は、時間の経過とともに安定性の度合いを示す感情の平均レベルを有することが示されている。フレグランスが役割を果たすことができるのは、このレベルである。気分の状態の変化を引き起こし、気分の状態を強化または補強するか、または気分の状態をより心地よくすることができる場合、感情的な安らかさおよび生命体の全体的な状態に影響を与えることができる。
【0006】
いくつの感情が存在するかについて文献は一致していないが、恐怖、喜び、怒り、嫌悪感、苦痛および驚きが、全ての文化に渡って経験される基本的な感情であることを明らかにする合意が存在する。これらの感情は学習するものではなく、むしろ我々の脳に習得回路が備わっている(すなわち、これらは理論的施行よりも、非言語プロセスに関与する)ことも示されている。異なる感情を示す顔の表情の写真は、多くの文化および社会によって同じ表情を表現するものとして理解される。幸福を経験した対象は、彼らの行動、生理、外観さらには彼らの化学オーラにより、この事実を示すであろう。彼らはこのように、彼らの状態をその経験を共有することができる他の対象に伝える。笑顔は伝染することができる。快い刺激は、同様に作用することができ、彼らの関連した気持ちは、これを理解する人によって、受け入れられる。
【0007】
喜びなどの感情は、一時的で、短い出来事であり、1分より長く続くことは稀である。
幸福は気持ちであり、気持ちは、より長く、時間単位でさえ続くことができる。これらは感情に関する状況を提供する背景状態である。これらは、実現する要因および障害のいずれにもなり得る。
【0008】
幸福な気持ちの中で、喜びを経験することは容易である。逆に、悲しい気持ちの中で、喜びを経験することは困難である。気持ちは、我々の健やかさの感情に入り、一緒になって我々の状態を特徴付ける、感情的および肉体的なインプットの一体化として見受けられるものとなる。
【0009】
驚くことではないが、幸福を報告するとき、人々が快い感情に対不快な感情を経験する時間の量に、より大きな重点が置かれる。頻繁なポジティブな気持ちの発生は、全体的な健やかさにおいて、不均衡な効果を有し得る。
ヒトは、臭気を感じることが顕著に得意であり、ほぼ無数の異なるにおいを区別する能力を有している。
【0010】
一部の臭気、例えば、甘く軽いフローラルノートは、普遍的に快く、他の臭気、例えば強い糞便および硫黄ノートは普遍的に不快である。この同一性は、我々の知覚機構の同一性を反映し、「喜び」および「恐怖」といった感情と同じくらい強固に習得回路が備わっていることが十分に分かり得る。しかしながら、我々は、極端なにおいであっても、より快い経験と結びつけることを学ぶこともできる。例えば、あるソフトチーズに関連したにおいを考慮すると、チーズの味を良くする短鎖脂肪酸が、足臭に関連する場合は、非常に不快と見受けられる。
【0011】
フレグランスは、合理的なレベルで、ポジティブな関係を補強し、期待を満たし、そして出来事および物体の記憶しやすさを構築することに役立つと知られる。これらは感情的なレベルに働きかけ、感情を補強することもできる。
【0012】
我々は、絵画芸術とよく似て、フレグランスが、感情的な有用性が流れ出ることのできる、これまで知られていなかった、感覚刺激を提供することができること、およびこれらの有用性が、健やかさおよび幸福を補強し、促進することができることを見出した。
【0013】
本発明は、頻繁な、低レベルのポジティブな気分刺激を介して、健やかな有用性を供給することを目的としたフレグランス組成物に関する。この目標および他の目標は、アロマテラピーにおけるような身体的接触を介するよりも、吸引のためにフレグランスを供給することにより達成される。
【0014】
芳香性植物および油の使用は、古代に遡る。神聖な香水は、霊的な雰囲気を引き起こし、霊的な意識を高めるために、香または芳香油として用いられた。アッシリアおよびバビロニアの時代に、芳香油は温泉および浴場において人気があった。これらの人々は、フレグランスエッセンスを彼らの健康を保ち、そして長生きするために用いることができると信じていた。伝統的に、アロマテラピーの技術は、治癒に関連している。最近になって、エッセンシャルオイルが口、鼻、咽頭、胃腸の粘膜を介して、また傷のない皮膚を介して吸収されることが示されてきた。油は特定の細胞膜脂質と相互作用し、そして他の効果に混じって、カルシウム−イオン−チャンネル機能の変化を引き起こす。この直接的な分子作用に加え、不安、恐怖、健やかさの感情、調和および性的欲望などの我々の全ての感情および感覚に関与する脳における辺縁系での刺激も存在する。この作用のモードを介して、アロマテラピーは美容、一般的な健やかさ、感情的な助けおよび特定の病気に対して、複数の治癒的有用性を有する。処置をストレス軽減の効果的な方法として用いてもよく、これらは人々をより精力的にする助けとなり得る。
【0015】
我々の研究は、気持ちを高める臭気の能力が、これらの複雑さに関連することを示した。類似の嗅覚分類における複雑な臭気は、単純なブレンドよりもより一般的により効果的であり、単純なブレンドは、単一の材料および油よりもより効果的である。純粋なにおいに関連する実験において、皮膚投与およびマッサージと対称的に、気持ちの生成の点において、より複雑な創作は、それらの単純な類似物よりもよりパフォーマンスが優れていた。全ての場合において、当該技術分野の技術にしたがって作成された香水は、より単純なアロマテラピーオイルよりパフォーマンスが優れていた(例セクション参照)。
【0016】
アロマテラピーの幅広い用法とは別に、目的とした感情的な有用性を供給するための複雑なフレグランスをどのようにデザインするかを公開した文献における開示は少ない。欧州特許番号EP 1,343,466はリラックスおよび落ち着きを助力する香水を記載し、同時継続出願PCT/GB2006/002285は、かなり限られた香水原料パレットを用いて、活気を与える(enlivening)香水の処方の仕方を記載している。US特許番号7,097,863は、バラ様、フローラル、ムスク様、アンバー様、甘いおよび/またはパウダリーと表現される芳香ノートの吸引を介して、背中、肩または首の筋肉を弛緩するためのプロセスを記載している。EP 1,218,023は、ヒトを含む哺乳類、特に約1日から12歳のヒトを落ち着かせるために用いてもよい、芳香が付されたパーソナルケア組成物に関する。これらの組成物は、特定のエッセンシャルオイルを名づけられた香水原料とともに含む、知覚成分を含む。
【0017】
我々は、快楽の幅広いスペクトルを網羅する「幸福な」フレグランスを作成する経路、および吸入の際に望ましい感情的な有用性を供給する臭気タイプを見出した。これは、「幸福」として認識される高い可能性を有する香水処方範囲を導く組成物のルールに基づく。フレグランスは、適した背景において認識される必要がある。上述のように、不幸せである場合に、喜びを経験することは非常に困難である。幸福が現れることを可能とする状態に対象がいる場合に、フレグランスは幸福を補強する。(強化された幸福の認識を可能とする状態における)繊細な対象による報告によると、与えられるガイドラインにしたがって開発された様々なフルーティー/フローラルフレグランスが、幸福効果を供給することができることが見出された。
【発明の概要】
【0018】
本発明により、幸福状態の推進を介して健やかさを改善する、活気を与えるフレグランス、かかるフレグランスを含有する消費者製品、およびポジティブな気分の状態を推進する方法におけるかかる消費者製品の使用が提供される。
【0019】
本発明のフレグランス組成物は、少なくとも75重量%、好ましくは85重量%の、下記群から選択される香水材料を含む:
A)合計で少なくとも5重量%の以下を含む群「HMP」から選択される少なくとも3つの材料:1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0{1,5}]ウンデカ−8−エン−9−イル)エタノン;シクロヘキシルプロピオン酸アリル;ヘプタン酸アリル;Apple Oliffac S pcmf;7−メチル−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン;カシスベース;サリチル酸cis−3−ヘキセニル;ダマセノン;ガンマ−デカラクトン;アセト酢酸エチル;エチルマルトール;フェニルグリシド酸メチルエチル;酢酸ヘキシル;(3E)−4−メチルデカ−3−エン−5−オール;2,5,5−トリメチル−6,6−ビス(メチルオキシ)ヘキサ−2−エン;4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン;酢酸スチラリル;2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン;イラン油、
【0020】
B) 任意に、95%までの以下の群からの材料:
以下を含む群「HMR」:
アリルイオノン;酢酸ベンジル;cis−ジャスモン;シトロネロール;エチルリナロール;エチレンブラシレート;4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール;ゲラニオール;ゼラニウム油;イソ−オイゲノール;レモン油;3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド;4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド;アルファ−イソ−メチルイオノン;3−メチルシクロペンタデカ−2−エン−1−オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノリド;ガンマ−ウンデカラクトン
【0021】
以下を含む群「HMI」:
1−{[2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}ブタン−2−オール;3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−{b}]フラン;アルファ−ダマスコン;ジヒドロミルセノール;オイゲノール;3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール;
2,4−ジメチルシクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド;マンダリン油;オレンジ油;2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシルアセテート
【0022】
以下を含む群「RMP」:
アニスアルデヒド;(2Z)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オール;ベンゾインシャムレジノイド;エチルバニリン;オキサシクロヘキサデカ−12(13)−エン−2−オン;サリチル酸ヘキシル;ヒドロキシシトロネラール;ジャスミン油;3−メチル−5−フェニルペンタン−1−オール;2−(フェニルオキシ)エチル2−メチルプロパノエート;アルファ−テルピネオール;バニリン;
【0023】
以下を含む群「IMP」:
アリルアミルグリコレート;サリチル酸ベンジル;ベルガモット油;コリアンダー油;シクラメンアルデヒド;1−(2,6,10−トリメチルシクロドデカ−2,5,9−トリエン−1−イル)エタノン;プロパ−2−エニル(シクロヘキシルオキシ)アセテート;Damascenia 185 SAE;2,4−ジメチルヘプタン−1−オール;バルサムモミ;ファーニードル油;3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;ジンジャー油;グアヤクウッド;酢酸リナリル;リツェアクベバ油;2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸メチル;ナツメグ油;オリバナム油;オレンジフラワー油;Ozonal AB 7203C;パチョリ油;ローズオキサイド;ローズマリー油;クラリーセージ油;スペアミント油;Tamarine AB 8212E;タラゴン油;
【0024】
以下を含む群「GEN」:
シクロペンタデカノリド;ヘキシルケイ皮酸アルデヒド;イオノンベータ;イソボルニルシクロヘキサノール;1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7(8),8(8a)−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタノン;3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−2−メチルプロパナール;リナロール;ジヒドロジャスモン酸メチル;2−フェニルエタノール;
【0025】
ただし、以下の条件を満たす
(a)HMPs+HMRs>=IMPs
(b)HMPs+HMIs>=RMPs
(c)HMRs+HMIs+HMPs+GENs>=65%
(d)HMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)>=0.35
(e)HMPs/[(HMPs+RMPs+IMPs)+(100−TOTAL)]>=0.2
【0026】
式中、「HMPs」は、群HMP内の材料のパーセンテージの合計を示し、残りの群についても同様にであり、符号「>=」は、「少なくとも等しい」を示し、「TOTAL」は、HMPs、HMRs、HMIs、IMPs、RMPsおよびGENsの合計を示し、ただし、これらの合計の計算から、低臭または無臭の溶媒は除外されている。
【0027】
本明細書において、香水原料の重量パーセンテージは、香水組成物における例えば、任意の溶媒、希釈剤などを除く、香料原料の合計重量に対しての意味である。
本明細書は、健やかさおよび幸福の感情と関連したポジティブな気分の状態を推進する高い可能性を有する香水を作成するために用いることのできる香料処方法則を記載する。
【0028】
香水処方および当該香水の吸入に際して生じる気分の状態の関係における、広範囲な研究を行った。脳活動マッピング、視覚気分プロファイリングおよび生物物理学的モニタリングなどの種々の技術が用いられた。典型的な手法およびアウトプットを以下に記載する。
【0029】
香水原料の複雑な混合物が気分に影響する方法は、よく解明されていない。リラックスなどの気分の状態に関連する香水材料は、それでもなお、逆の効果を供給するフレグランス処方において有用であるかもしれない。この曖昧さは、材料によって異なり、特定の気分のためにデザインされるフレグランスを作成する場合には、検討しなければならない。
【0030】
論理に拘束されることなく、我々の観察を基に、本発明者らは、香水原料を様々な気分のクラスに属するように分類した。これは、実施に際し非常に有用に構成される、多くの予測的な香水作成法則を実現した。当該法則は、クラスの要素が「ファジー」であり得ることを認識することに基づいており、例えば、特定の材料が「幸福な」フレグランスのための構築材料として有用であり得るが、同様に他の香水処方において、例えば、リラックスした気分または爽快な気分を支えるために、有用であり得る。特定の材料は、様々な気分の状態を支持するために、あらゆるフレグランスにおいて、(本明細書において規定されるレベルで)有用であることが見出された。
【0031】
分類を、以下のように認定する:幸福な気分に強く関連する香水原料を含む「HMP」;幸福およびリラックスした気分の両方を支持し得る原料を含む「HMR」;幸福および爽快な気分を支持し得る原料を含む「HMI」;リラックスした気分を強く支持する原料を含む「RMP」;爽快な気分を強く支持する原料を含む「IMP」;および様々な気分を支持し得る原料を含む「GEN」。これらの定義は、本明細書に開示された用量およびパターンの制約の下に、当業者(例えば香料製造者)によって用いられるような材料に関連しているという点を強調すべきである。
【0032】
材料
以下のリストは、本発明の材料を詳細に説明し、(可能な場合または意味がある場合に)対応するIUPAC名および/または商標名および供給者とともに、香水業界で用いられる、それぞれの材料の一般的な名称を与える。特定の材料(例えばマンダリン油)は、正確な組成が、地理および季節によって様々であり得る、複雑な混合物である。そのような場合において、本明細書において、本発明は、原産地に関わらないオイルの一般的分類を言及すると解される。
【0033】
群HMP:
1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0{1,5}]ウンデカ−8−エン−9−イル)エタノン:Acetyl Cedrene、Vertofix Coeur(登録商標)(IFF)、およびMethyl Cedryl Ketoneの名称で入手可能;
シクロヘキシルプロピオン酸アリル、別名プロパ−2−エニル3−シクロヘキシルプロパノエート;
ヘプタン酸アリル、別名プロパ−2−エニルヘプタノエート;
Apple Oliffac S pcmf(登録商標)(IFF);
7−メチル−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン、Calone 1951(登録商標)(CAL)の名称で入手可能;
カシスベース;
サリチル酸cis−3−ヘキセニル、別名(3Z)−ヘキサ−3−エニル2−ヒドロキシベンゾエート;
【0034】
ダマセノン、別名(2E)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン;
ガンマ−デカラクトン、別名デカラクトンガンマおよび5−ヘキシルジヒドロフラン−2(3H)−オン;
アセト酢酸エチル、別名3−オキソブタン酸エチル;
エチルマルトール、別名2−エチル−3−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン;
フェニルグリシド酸メチルエチル、別名3−メチル−3−フェニルオキシラン−2−カルボン酸エチル;
酢酸ヘキシル;
【0035】
(3E)−4−メチルデカ−3−エン−5−オール、Jadenol (Q)およびUndecavertol (G)の名称で入手可能;
2,5,5−トリメチル−6,6−ビス(メチルオキシ)ヘキサ−2−エン、Methyl Pamplemousse (G)の名称で入手可能;
4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン、別名ラズベリーケトンまたはRastone;
酢酸スチラリル、別名酢酸1−フェニルエチル;
2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン、Veloutone (F)の名称で入手可能;
イラン油、別名イランイラン油。
【0036】
群HMR:
アリルイオノン、別名(1E)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ヘプタ−1,6−ジエン−3−オン;
酢酸ベンジル、別名酢酸フェニルメチル;
cis−ジャスモン、別名3−メチル−2−[(2Z)−ペンタ−2−エニル]シクロペンタ−2−エン−1−オン;
シトロネロール、別名3,7−ジメチルオクタ−6−エン−1−オール;
エチルリナロール、別名(6Z)−3,7−ジメチルノナ−1,6−ジエン−3−オール;
エチレンブラシレート、別名1,4−ジオキサシクロヘプタデカン−5,17−ジオン;
【0037】
4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール、Florosa(登録商標)(G)またはFlorol (登録商標) (F)の名称で入手可能;
ゲラニオール、別名(2E)−3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−オール;
ゼラニウム油;
イソ−オイゲノール、別名2−(メチルオキシ)−4−[(1E)−プロパ−1−エニル]フェノール;
レモン油;
3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒドおよび4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒドならびにこれらの混合物(例えば、リラール(登録商標)(IFF)の名称で入手可能);
【0038】
アルファ−イソ−メチルイオノン、別名メチルイオノンアルファイソおよび(3E)−3−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ブタ−3−エン−2−オン;
3−メチルシクロペンタデカ−2−エン−1−オン、Muscenone(登録商標)(F)の名称で入手可能;
シクロペンタデカノンおよびシクロヘキサデカノリド、ならびにこれらの混合物、例えば、Silvanone(登録商標)(G)の名称で入手可能
ガンマ−ウンデカラクトン、別名ウンデカラクトンガンマ、5−ヘプチルジヒドロフラン−2(3H)−オン、およびPeche Pure(登録商標)(G)。
【0039】
群HMI:
1−{[2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}ブタン−2−オール、Amber Core(登録商標)(G)の名称で入手可能;
3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−{b}]フラン、Amberlyn Super(登録商標)(G)およびCetalox(登録商標)(F)の名称で入手可能;
アルファ−ダマスコン、別名ダマスコンアルファおよび(2E)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オン;
ジヒドロミルセノール、別名2,6−ジメチルオクタ−7−エン−2−オール;
オイゲノール、別名2−(メチルオキシ)−4−プロパ−2−エニルフェノール;
【0040】
3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール、Aquanal(登録商標)(G)およびHelional(登録商標)(IFF)の名称で入手可能;
2,4−ジメチルシクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド、別名リグストラール(登録商標)(G);
マンダリン油;
オレンジ油;
2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシルアセテート、Ortholate(登録商標)(G)およびVerdox(登録商標)(IFF)の名称で入手可能。
【0041】
群RMP:
アニスアルデヒド、別名4−(メチルオキシ)ベンズアルデヒド;
(2Z)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オール、Bangalol(登録商標)(G)およびBacdanol(登録商標)(IFF)の名称で入手可能;
ベンゾインシャムレジノイド;エチルバニリン、別名3−(エチルオキシ)−4−ヒドロキシベンズアルデヒド;
オキサシクロヘキサデカ−12(13)−エン−2−オン、Habanolide(登録商標)(F)の名称で入手可能;
サリチル酸ヘキシル、別名2−ヒドロキシ安息香酸ヘキシル;
【0042】
ヒドロキシシトロネラール、別名7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナール;
ジャスミン油;
3−メチル−5−フェニルペンタン−1−オール、別名Mefrosol(登録商標)(G);
2−(フェニルオキシ)エチル2−メチルプロパノエート、別名イソ酪酸フェノキシエチル、Prunella(登録商標)(F)における主要成分として入手可能;
アルファ−テルピネオール、別名テルピネオールまたは2−(4−メチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)プロパン−2−オール;
バニリン、別名4−ヒドロキシ−3−(メチルオキシ)ベンズアルデヒド。
【0043】
群IMP:
アリルアミルグリコレート、別名プロパ−2−エニル[(2−メチルブチル)オキシ]アセテート;
サリチル酸ベンジル、別名フェニルメチル2−ヒドロキシベンゾエート;
ベルガモット油;
コリアンダー油;
シクラメンアルデヒド、別名2−メチル−3−[4−(1−メチルエチル)フェニル]プロパナール;
1−(2,6,10−トリメチルシクロドデカ−2,5,9−トリエン−1−イル)エタノン、Cyclisone(登録商標)(G)の名称で入手可能;
【0044】
プロパ−2−エニル(シクロヘキシルオキシ)アセテート、別名(シクロンヘキシルオキシ)酢酸アリルおよびシクロガルバナート;
Damascenia 185 SAE(登録商標)(F);
2,4−ジメチルヘプタン−1−オール、別名ジメチヘプタノール;
バルサムモミ;
ファーニードル油;
3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール、Floralozone(登録商標)(IFF)の名称で入手可能;
ジンジャー油;
グアヤクウッド;
【0045】
酢酸リナリル、別名1−エテニル−1,5−ジメチルヘキサ−4−エニルアセテート;
リツェアクベバ油;
2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸メチル、別名 モスオークモス合成物;
ナツメグ油;
オリバナム油、別名オリバナムレジノイド;
オレンジフラワー油;
【0046】
Ozonal AB 7203C(登録商標)(G);
パチョリ油;
ローズオキサイド、別名4−メチル−2−(2−メチルプロパ−1−エニル)テトラヒドロ−2H−ピラン(ラセミ体およびキラル型を含む);
ローズマリー油;
クラリーセージ油;
スペアミント油;
tamarine AB 8212E(登録商標);
タラゴン油。
【0047】
群GEN:
シクロペンタデカノリド、別名オキサシクロヘキサデカン−2−オン;
ヘキシルケイ皮酸アルデヒド、別名(2E)−2−ヘキシル−3−フェニルプロパ−2−エナール;
イオノンベータ、別名ベータイオノンおよび(3E)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)ブタ−3−エン−2−オン;
イソボルニルシクロヘキサノール、別名3−(5,5,6−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)シクロヘキサノールおよびSandela(登録商標)(G)の名称で入手可能;
1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7(8),8(8a)−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタノン、Iso E Super(登録商標)およびIsoambois(登録商標)の名称で入手可能;
【0048】
3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−2−メチルプロパナール、リリアルデヒドの名称で入手可能;
リナロール、別名3,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン−3−オール;
ジヒドロジャスモン酸メチル、別名(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)酢酸メチル;
2−フェニルエタノール、別名フェニルエチルアルコールおよびフェニルエタノール。
【0049】
供給者のキー:
F=Firmenich
G=Givaudan
IFF=International Flavors and Fragrances
CAL=Calone
【0050】
優先傾向
好ましいフレグランス組成物は、(溶媒を考慮した香水組成物の正規化のあとに)少なくとも10重量%の群HMPから選択される原料を含み、さらに、群HMR、HMI、HMPおよびGENの範囲内の原料の合計パーセンテージが、少なくとも75%であり、HMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)の比が、少なくとも0.55、好ましくは少なくとも0.75である。また、少なくとも5つの群HMPの構成員である原料、さらにより好ましくは少なくとも8つの原料を含むフレグランス組成物が好ましい。
【0051】
望ましくは、フレグランス組成物は、群HMRから少なくとも1つの原料、群HMIから1つ、またはそれぞれの群から1つ含む。さらに、フレグランス組成物は、少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、群HMRおよびHMIの合計から選択される原料の合計で含んでもよい。
【0052】
一般的に、本発明の香水は、少なくとも15の香水原料(本明細書において分類されていないものも含むが、溶媒は含まない)を含み、これらは少なくとも25の原料、より好ましくは40の原料を含有することが好ましい。原料の数を計算する目的で、0.1%未満で存在する原料は無視され、エッセンシャルオイルは、単一の原料として数えられる。
【0053】
少なくとも40香水原料、10重量%の群HMPから選択される原料を含み、さらに、群HMR、HMI、HMPおよびGENの範囲内の原料のパーセンテージの合計が少なくとも75%であり、比HMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)が少なくとも0.75である香料組成物が最も好ましい。
【0054】
本発明のフレグランス組成物は、吸入による、香水の有効量の嗅覚サンプリングを経て、気分の有用性を発揮する。吸入は、香水自体のヘッドスペース、または香水を含む消費者製品のヘッドスペースの吸収であることができ、例えば、オーデコロンなどのアルコール系、入浴および身体用調製品、エアフレッシュナー、など他多数である。本明細書において「活気を与える」は、健やかさの心理学的面、すなわち、幸福の感情を指す。幸福の望ましい反応の例は、単純な満足感から強烈な喜びまでの範囲にわたる。用語「有効量」は、健やかさおよび幸福の望ましい状態を促進するために、消費者製品に組み入れる必要がある、活気を与えるフレグランスの重量パーセントを指す。
【0055】
更なる側面において、本発明は、審美的に心地よい形状、例えば、オーデコロン、エアフレッシュナーまたはシャンプーなどにおいて、本明細書に記載された有効量の少なくとも1つのフレグランス組成物の吸引を介して、健やかさおよび幸福の気分を促進する方法を提供する。
【0056】
フレグランス組成物は、「そのまま」(例えば100%)で、または「オーデコロン」において用いてもよい。処方における変化、例えば、夏および冬の処方と同様に、用いる量および使用の頻度に関する指示は、活気を与えるフレグランスの有効レベルが投与されることを確実にするために用いてもよい。本発明の目的に対し、用語「オーデコロン」は、以下に例示されるように、アルコールまたは含水アルコール溶液に含有される活気を与えるフレグランスを意味する。活気を与えるフレグランスは、1〜99%の間で様々であり得、処方のバランスはアルコールまたは水とアルコールの混合物から成っている。水:アルコール重量比は、50:50から0:100まで変化させることができる。これらの製品において典型的に用いられるアルコールの例は、SDA 39-CおよびSDA-40、あるいは190「標準強度(proof)」または無水のいずれかである("Ethyl Alcohol Handbook”, 5th Edition, Published by National Distillers and Chemical Co.参照)。オーデコロンは、可溶化剤、柔軟化粧水、保湿剤、増粘剤、静菌剤、または他の美容のために用いられる原料を含むこともできる。
【0057】
溶媒
香水において、固体または粘性物質などの溶解しにくく、扱いにくい化合物のための溶媒として、または、強い臭気を有する強力な材料のための担体として、多数の液体が汎用される。かかる溶媒の例は、ジプロピレングリコール(DPG)、ジエチルフタレート(DEP)、ベンジルベンゾエート、イソプロピルミリスタート(IPM)、トリアセチンおよびトリエチルシトレート(TEC)を含む。典型的にこれらの材料は、無臭または非常に低臭であり、通常の濃度(60%未満、通常は40%未満、大抵は20%未満)で存在するとき、香水の全体的な臭気にほとんど寄与しない。本発明のために、かかるビヒクルは、組成物パーセンテージの計算に含まれない。よって、例えば、50%w/wのDPGをそれぞれ10%の5つの香水材料とともに含む香水混合物は、それぞれ20%w/wで5つの材料を含む香水と考えられる。この溶媒補正は、香水の臭気保有画分の真の描写を提供するために必要である。
【0058】
「無臭または非常に低臭」は、EP0404470に記載される、臭気指数スコア(指数100に対応する、ジプロピレングリコール中のベンジルアセテート10%溶液を対照サンプルの臭気強度との比較を基にする)において80未満のスコアであることを意味し、ジエチルフトヘリウム酸、ジプロピレングリコール、トリアセチン、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、Herculyn D(登録商標)、イソプロピルミリスタート およびアセチルトリブチルシトレートを含む。
【0059】
消費者組成物
本明細書において「消費者組成物(consumer composition)」は、これらに限定されないが、室内消臭剤(freshener)または室内脱臭剤(deodorant);衣服脱臭剤;柔軟剤;乾燥機付加の柔軟剤品;家庭用洗剤;トイレ用洗剤;パウダー、クリーム、デオドラント、ハンドローションおよび日焼け止めなどの美容製品;制汗剤およびわき用デオドラントなどのパーソナルケア製品、一般的なボディーデオドラント、ヘアスプレーなどのヘアケア製品、コンディショナー、リンス、シャンプー;フットケア製品;コロン、アウターシェーブおよびボディーローション;固体または液体石鹸およびアニオン性、カチオン性、非イオン性または両性イオン性洗剤;臭気制御製品;芳香ポリマー;空間着臭剤;コロン、化粧水、ラッカー、ブリリアンティーンおよびポマードなどの毛髪用製剤、を含む。
【0060】
消費者組成物は、様々な形状をとることができ、これらに限定されないが、タルク、散布パウダー、フェイスパウダーなどの粉末、バー、スティック、タブレット、ムース、ゲル、液体、スプレー、繊維コンディショニングシート、洗剤組成物、粉末、油、バスオイルおよび他の浴槽用組成物、エアロゾル、ろうそく、噴霧器とともに用いられる物質、ふき取り繊維、洗浄液、シャンプー、ゲル、石鹸、スティック、香油、匂い袋、枕、ムース、スプレー、ローション、クリームおよび洗浄組成物を含む。
【0061】
フレグランス組成物が、固形または液体の、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性イオン性洗剤または化粧パウダー、またはデオドラントスティックなどの消費者組成物のにおい成分として用いられる場合、芳香品において、たった0.1重量%のフレグランス組成物で十分である。空間着臭剤用途においては、一方、99%もの組み合わされた担体香水物質およびフレグランス組成物が存在してもよい。したがって、消費者組成物は、本質的に本発明のフレグランス組成物からなる物質組成物を、約0.1%から約99%の範囲で含有してもよい。
【0062】
「消費者組成物」なる用語は、固体形状のポリマーも含み、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび微細孔を含む他のポリマーなどである。かかる芳香ポリマーは、当業者に周知の任意の技術により製造することができる。
【0063】
分散
フレグランス組成物の分散は、あらゆる慣用の手段、例えば、臭気物質を含有する、随意にバルブおよびノズル機構を有する容器、エアロゾルまたは非エアロゾルスプレー、ガス、固体、または液体エアフレッシュナー、香りの布、ローション、クリーム、香水、コロン、ポプリ、香、電球環、ロウソク、繊維柔軟剤、カーペットシャンプーまたはフレッシュナー、プラグインエアフレッシュナーなど、から行ってもよい。フレグランス組成物は、鉱油または水などの無臭の液体担体と組み合わせて、分散することもでき、エアロゾル化を可能にするために粘度効果剤とともに分散することもできる。
【0064】
フレグランス組成物を製造品またはキットの一部として梱包してもよい。キットは、関連して、例えば(a)バイアル、ジャー、パウチ、缶、瓶、布、エアロゾル缶、ブリスタパックなどの含有手段に配置された担体および組成物を形成するための他の任意添加剤;および(b)活気を与えるフレグランス、および健やかさおよび幸福を促進するためのその使用に関する指示のための手段を含むことができる。キットの一部は、箱または袋などの梱包材料内にまたはそれとは別に含むことができる。
【0065】
フレグランス組成物は、液体溶液、エアロゾルスプレー、固体、マイクロカプセルの形状または嗅ぐまたは鼻経路まで吸入するための臭気の閾値上量を供給するための他の好適な形状において、供給することができる。フレグランス組成物は、鉱油または水などの無臭の液体担体と組み合わせて、分散することもでき、エアロゾル化を可能にするために粘度効果剤とともに投与することもできる。活気を与えるフレグランスは、例えば、活気を与えるフレグランスで被覆された布材料を用いて、蓋の付いた容器に含まれた固体または液体の形状として、エアロゾルまたはポンプタイプスプレーデバイスから、鼻腔用スプレーとして、ミクロスフェアの形状で着臭剤を含むブリスタパックまたは擦ると香りのでる臭気パッチを開封することにより、ウィック材料に吸着したフレグランス組成物の液体形状を含むペン様ディスペンサーから、などによって、分散することができる。
【0066】
フレグランス組成物の供給は、持ち運び可能であり、すぐ近くにいる人の混乱が最小限であるデバイスを用いてもよい。例えば、換気口を通して、活気を与えるフレグランスを含む空気をポンプで送ること、活気を与えるフレグランスをエアロゾルまたは非エアロゾルスプレーを用いてミストまたは乾燥パウダーとして空気にスプレーすることなどによって、密閉区域内の人々の群にフレグランス組成物を投与することも可能である。
【0067】

本発明を以下の詳細な例に言及して、さらに説明し、ここで、手順は下記のようである。これらの例は、前述の説明に記載された本発明の範囲を限定する意味ではない。本発明の概念内の変形は、当該技術分野における当業者に明白である。本発明のフレグランスへの暴露は、ポジティブな効果または気持ちを促進し、発想と概念をつなぎ合わせる改善された能力、および刺激の中のより多くの異なる類似点(または相違点)を見出すことを導いた。刺激は、消費者製品であり得、特に穏やかに心地よいと特徴づけられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、ベース、アコード、または完成フレグランスのいずれかであると説明されるフレグランス組成物への気持ち特性の変化に対するにおいスコアのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
例1:香水の複雑性に関する研究
合計20の異なる臭気を消費者におい嗅ぎ試験において評価した。臭気をそれらの複雑性に従って、複雑な完成フレグランス、アコードとして知られるフレグランス材料の混合物、単純なフレグランス混合物またはベースの3群にグループ化した。消費者に、臭気の一部を嗅ぎ、流行の(trendy)、落ち着かせる(calming)、懐かしい(nostalgic)、リラックスする(relaxing)、暖かい(warm)、気分が安らぐ(comforting)、刺激的(stimulating)、近代的(modern)、心が和む(soothing)、セクシー(sexy)、リフレッシュ(refreshing)、クールエネルギーを与える(cool energising)の特性に対して記録することを求めた。図1に示された結果は、より複雑なフレグランスが、それらのより単純な類似物より、これらの特性のそれぞれにわたって、パフォーマンスが優れていることを示す。
【0070】
例2:気分特性テスト
これは、UKで実施された、集合におい嗅ぎテストである。150人のナイーブ(naive)な消費者が予め募集され、または街頭でインターセプト(intercept)により募集され、会場テストに参加した。彼女らは、あらゆる鼻疾患またはフレグランスを嗅ぐことに対するアレルギー感受性に関してプレスクリーニングした。採用されたサンプルの人は全て女性であり、彼女らは、18〜55歳の年齢のクロスセクション(cross section)、および社会階級のクロスセクションを示すよう、選択された。
【0071】
それぞれの対象は、所定の順番で、10のフレグランスを嗅ぐことを依頼された。それぞれのフレグランスを嗅ぎ、彼女らは、当該フレグランスによって彼女らがどのような気分になったか(例えば、気分が安らぐ、安心する(safe)、心が和む)にしたがって、与えられた一連の気分スケールに記録するよう依頼された。合計で24の気分スケールがあり、「全くない(not at all)」から「非常に(extremely)」の10スケールで採点した。「幸せ」に対する格付を、8種の香水に関して下記の表1に示す。4.5以上のスコアは気分活性剤の指標と考えられる。
【0072】
【表1】

【0073】
下記表2および表4に、表1のフレグランス組成物の詳細をw/w%で表す。ここで、「H1」、「H2」等と表されるフレグランスは、本願発明によるフレグランスであり、「C1」、「C2」などの名前のものは、比較例である。表3および表5は、本明細書に記載された群および条件による、これらの組成物の分析の詳細を示す。「0.0」は2位まで正しい。
【0074】
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0075】
キー
B = BIOLANDES
F = FIRMENICH
G= GIVAUDAN
IFF= INTERNATIONAL FLAVOR & FRAGRANCES
【0076】
特記:
1)「原料Y X%DPG」は、ジプロピレングリコール溶液におけるX%の原料Yを示す。
2)「NA」は、割り当てできない材料を示す(すなわち群が不明である)。
3)「SOLV」は材料が溶媒であることを示す。
【0077】
【表6】

【0078】
キー:
TOTAL=HMPs+IMPs+RMPs+HMIs+HMRs+GENs
M=100−TOTAL
【0079】
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【0080】
キー
B = BIOLANDES
F = FIRMENICH
G = GIVAUDAN
IFF = INTERNATIONAL FLAVOR & FRAGRANCES
【0081】
特記:
1)「原料Y X%DPG」は、ジプロピレングリコール溶液におけるX%の原料Yを示す。
2)「NA」は、割り当てできない材料を示す(すなわち群が不明である)。
3)「SOLV」は材料が溶媒であることを示す。
【0082】
【表13】

【0083】
キー:
TOTAL=HMPs+IMPs+RMPs+HMIs+HMRs+GENs
M=100−TOTAL

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも75重量%、好ましくは85重量%の、下記群から選択される香水材料を含むフレグランス組成物:
A)合計で少なくとも5重量%の以下を含む群「HMP」から選択される少なくとも3つの材料:1−(2,6,6,8−テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0{1,5}]ウンデカ−8−エン−9−イル)エタノン;シクロヘキシルプロピオン酸アリル;ヘプタン酸アリル;Apple Oliffac S pcmf;7−メチル−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン;カシスベース;サリチル酸cis−3−ヘキセニル;ダマセノン;ガンマ−デカラクトン;アセト酢酸エチル;エチルマルトール;フェニルグリシド酸メチルエチル;酢酸ヘキシル;(3E)−4−メチルデカ−3−エン−5−オール;2,5,5−トリメチル−6,6−ビス(メチルオキシ)ヘキサ−2−エン;4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン;酢酸スチラリル;2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン;イラン油、
B)任意に、95%までの以下の群からの材料:
以下を含む群「HMR」:
アリルイオノン;酢酸ベンジル;cis−ジャスモン;シトロネロール;エチルリナロール;エチレンブラシレート;4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール;ゲラニオール;ゼラニウム油;イソ−オイゲノール;レモン油;3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド;4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド;アルファ−イソ−メチルイオノン;3−メチルシクロペンタデカ−2−エン−1−オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノリド;ガンマ−ウンデカラクトン
以下を含む群「HMI」:
1−{[2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}ブタン−2−オール;3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−{b}]フラン;アルファ−ダマスコン;ジヒドロミルセノール;オイゲノール;3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール;2,4−ジメチルシクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド;マンダリン油;オレンジ油;2−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキシルアセテート
以下を含む群「RMP」:
アニスアルデヒド;(2Z)−2−エチル−4−(2,2,3−トリメチルシクロペンタ−3−エン−1−イル)ブタ−2−エン−1−オール;ベンゾインシャムレジノイド;エチルバニリン;オキサシクロヘキサデカ−12(13)−エン−2−オン;サリチル酸ヘキシル;ヒドロキシシトロネラール;ジャスミン油;3−メチル−5−フェニルペンタン−1−オール;2−(フェニルオキシ)エチル2−メチルプロパノエート;アルファ−テルピネオール;バニリン;
以下を含む群「IMP」:
アリルアミルグリコレート;サリチル酸ベンジル;ベルガモット油;コリアンダー油;シクラメンアルデヒド;1−(2,6,10−トリメチルシクロドデカ−2,5,9−トリエン−1−イル)エタノン;プロパ−2−エニル(シクロヘキシルオキシ)アセテート;Damascenia 185 SAE;2,4−ジメチルヘプタン−1−オール;バルサムモミ;ファーニードル油;3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;ジンジャー油;グアヤクウッド;酢酸リナリル;リツェアクベバ油;2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸メチル;ナツメグ油;オリバナム油;オレンジフラワー油;Ozonal AB 7203C;パチョリ油;ローズオキサイド;ローズマリー油;クラリーセージ油;スペアミント油;Tamarine AB 8212E;タラゴン油;
以下を含む群「GEN」:
シクロペンタデカノリド;ヘキシルケイ皮酸アルデヒド;イオノンベータ;イソボルニルシクロヘキサノール;1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7(8),8(8a)−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタノン;3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−2−メチルプロパナール;リナロール;ジヒドロジャスモン酸メチル;2−フェニルエタノール;
ただし、以下の条件を満たす
(a)HMPs+HMRs>=IMPs
(b)HMPs+HMIs>=RMPs
(c)HMRs+HMIs+HMPs+GENs>=65%
(d)HMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)>=0.35
(e)HMPs/[(HMPs+RMPs+IMPs)+(100−TOTAL)]>=0.2
式中、「HMPs」は、群HMP内の材料のパーセンテージの合計を示し、残りの群についても同様であり、符号「>=」は、「少なくとも等しい」を示し、「TOTAL」は、HMPs、HMRs、HMIs、IMPs、RMPsおよびGENsの合計を示し、ただし、これらの合計の計算から、低臭または無臭の溶媒は除外されている。
【請求項2】
群HMPから選択される材料を合計で、少なくとも10重量%含む、請求項1に記載のフレグランス組成物。
【請求項3】
群HMPからの少なくとも5種の材料を含む、請求項1または2に記載のフレグランス組成物。
【請求項4】
群HMPからの少なくとも8種の材料を含む、請求項3に記載のフレグランス組成物。
【請求項5】
群HMRおよびHMIのそれぞれからの少なくとも1種の材料を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項6】
群HMRおよびHMIから選択される材料を合計で、少なくとも5重量%含む、請求項1〜5のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項7】
群HMRおよびHMIからの合計が少なくとも10重量%である、請求項6に記載のフレグランス組成物
【請求項8】
少なくとも75重量%の群HMR、HMI、HMPおよびGENから選択される材料を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項9】
HMPs/(HMPs+RMPs+IMPs)の比が、少なくとも0.55、好ましくは少なくとも0.75である、請求項1〜8のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項10】
少なくとも15種の香料成分を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のフレグランス組成物。
【請求項11】
少なくとも25種の香料成分を含む、請求項10に記載のフレグランス組成物。
【請求項12】
少なくとも40種の香料成分を含む、請求項11に記載のフレグランス組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のフレグランス組成物を含む、消費者組成物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載のフレグランス組成物を有効量吸入することを介して、健やかで幸福なムードを提供する方法。
【請求項15】
対象による吸入のために、有効な蒸気放出を提供する量および時間で、請求項1〜12のいずれかに記載のフレグランス組成物を分配するプロセス。

【図1】
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【公表番号】特表2010−507713(P2010−507713A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533930(P2009−533930)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003901
【国際公開番号】WO2008/050086
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509115292)ジボダン ネーデルランド サービシーズ ビー.ヴイ. (8)
【氏名又は名称原語表記】GIVAUDAN NEDERLAND SERVICES B.V.
【住所又は居所原語表記】Huizerstraatweg 28, NL−1411 GP Naarden Netherlands
【Fターム(参考)】