説明

フレグランス製品、ディスペンサ及びディスペンサアセンブリ

液体フレグランスを収容する容器と、輸送アセンブリ及び輸送アセンブリに接続されて液体フレグランス中に伸びるチューブを含む、液体フレグランスを分配するためのディスペンサアセンブリとを備えるフレグランス製品が開示されている。チューブ及び液体フレグランスはそれぞれ一の屈折率を有し、このチューブの屈折率と液体フレグランスの屈折率の差は、約0.04以下である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
多くの業界において、製品販売は、困難で且つ複雑なプロセスであり、基礎となる製品の長所があっても、その製品の成功及び最終的には業者の成功において、販売の手法は引き続き大きな役割を果たす。特に、ファッションアパレル、ファッションアクセサリ、化粧品、フレグランス及び他の個人向け美容製品のようなモード業界では、製品の市場性は、製品の包装及び提示の審美的美しさに大きく依存している。よって、製品を独自の魅力的な方式で開発及び提示できることは、モード製品の業者にとって最優先事項である。
【0002】
個人向け美容製品に関し、消費者は、審美的に美しく包装された製品を購入する傾向が比較的大きいといえる。その結果、製造者は、装飾的でない機能的な包装要素を隠すか又は目立たなくする技術を発展させてきた。このような技術は、容器の外側に創造的なデザイン及びカラーを使用することを含む。別の製造者は、そのような装飾を、パッケージの内側及び外側の両方に設け、包装要素及び製品自体を隠している。特にフレグランス製品に関し、分配機構は極めて大きな審美的な課題を有している。
【0003】
したがって、上述を鑑み、業界には、製品の包装を改善する必要性が引き続き存在する。さらに、製造者は、競争力を得るために、製品のデザイン及び包装に関連する新規で独自の技術を要求し続けている。
【0004】
添付の図面を参照することにより、本明細書はより良く理解され、且つその多数の特徴及び利点は当業者に明らかとなる。
異なる図面でも同じ参照番号を用いていれば、それは、同様の又は同一の要素を示している。
【0005】
好ましい実施形態の説明
一実施形態によれば、フレグランス製品は、液体フレグランスを含む容器と、液体フレグランスを分配するためのディスペンサアセンブリとを備えており、ディスペンサアセンブリは、輸送アセンブリと、液体フレグランス中に伸びて輸送アセンブリに接続するチューブとを備えている。この実施形態によれば、チューブ及び液体フレグランスはそれぞれ一の屈折率を有し、チューブの屈折率と液体フレグランスの屈折率の差(絶対値)は、約0.04以下である。
【0006】
一実施形態によれば、容器は実質的に透明である。容器の透明性は包装機能及び客へのアピールであると理解されるので、様々な度合いの透明性が好適である。業界では不透明なフレグランス製品容器が使用されてきたが、本発明の容器は、概して少なくとも半透明、又はさらに典型的には実質的に透明である。ここで実質的に透明の容器を使用することによって、液体フレグランスを見ることが容易になり、透明感及び消費者に対する安心感を与えることができる。ほとんどの場合、実質的に透明の容器は、色合い又は色を有し、通常、一般にシリカベースのガラス等のガラスである容器の材料本来のものでない色合い又は色を有している。
【0007】
容器内の液体フレグランスに関し、本明細書で使用する「フレグランス」という用語は、人に適用されて、その審美的及び/又は機能的な品質のために芳香を拡散させる物質を定義するために使用する。一実施形態によれば、液体フレグランスは、ベースノート、ミドルノート及びトップノートのうち少なくとも1つを有する。「ノート」という語は、単一の香水の香りを指すこともできるし、特定のフレグランス化合物の揮発性の大きさを指すこともできる。したがって、トップノートに分類される組成物は、最も大きな揮発性を有し、よって、そのフレグランスは短時間である。製造者によって、トップノートに分類されるフレグランス化合物は一般に数分しか持続せず、はっきりとした又はシャープな香りと表現される。ミドルノートに分類される組成物(ハートノートとも呼ばれる)は、中程度の揮発性を有し、トップノートが消えた後に現れる。ミドルノートは、最初に適用してから、約10分から1時間の間に現れる。ベースノート組成物は、最も長く続くフレグランスを有し、リッチな又は深い香りであり、一般に、最初に適用してから、約30分から1時間で現れる。一実施形態によれば、フレグランスは、2以上のノートの組成物を含み、これは、別の異なる香りを引き出す香りの調和又は組合せと呼ばれる。別の実施形態では、フレグランスは3つのノート全ての混合物を含む。
【0008】
別の実施形態によれば、液体フレグランスは、パフュームエクストラクト、パフューム、オードトワレ、オーデコロン又はアフターシェイブに分類される。個人向けのフレグランス組成物のこのような分類間の相違は、フレグランス中に存在する芳香化合物の割合を示している。本明細書で使用する限り、パフュームエクストラクトは約20〜40%の、オーデパフュームは約10〜20%の芳香化合物を含有する。オードトワレは、約5〜10%の芳香化合物を、オーデコロンは約2〜3%の芳香化合物を含有し、アフターシェイブは、約1〜3%の芳香化合物を含有する。これらの値は製造者によって異なるが、この分類の階層は製造者間で一致している。製造者間での割合の相違に関係なく、本発明の液体フレグランスは、存在する芳香化合物の個別の割合とは無関係に任意のフレグランス組成物として好適である。本明細書の実施形態は、具体的にはパフュームエクストラクト、オーデパフューム及びオードトワレ、更に具体的にはパフュームエクストラクト及びオーデパフュームに関する。
【0009】
さらに液体フレグランスに関し、別の実施形態によれば、液体フレグランスは、通常担体化合物を含む。名前が示す通り、担体化合物は希釈のために用いられ、芳香化合物を担持するものであり、好適な担体化合物は、オイル又はアルコールを含む。このように、好適なキャリアオイルは、天然由来の化合物、例えば木の実及び種由来のキャリアオイルを含む。例えば、一般的なキャリアオイルは、大豆、スイートアーモンド、アロエ、アプリコット、グレープシード、キンセンカ、オリーブオイル、ホホバ、桃仁及びこれらの組合せから抽出される。担体化合物には、例えばエタノール、イソプロピル、フェノール、グリセロール又はより一般に脂肪族アルコールと呼ばれるアルコール基、並びにこれらの組合せを含むアルコールベースの化合物を使用することもできる。
【0010】
別の実施形態によれば、液体フレグランスはまた、芳香化合物を含む。一実施形態では、芳香化合物は、天然由来の有機化合物、例えばエッセンシャルオイル又は複数のエッセンシャルオイルの組合せである。一般に、エッセンシャルオイルは、特徴的な香りを有する植物、果物又は花から抽出された揮発性オイルの広範な類である。一般に、エッセンシャルオイルの特徴的な香りは、組成物中に存在する基本的な2つの有機基礎的要素の1つ、即ちイソプレン単位又はベンゼン環に由来している。しかし、芳香化合物は、天然由来の有機化合物の別の類、例えば動物ベースの抽出物からも得られる。別の実施形態では、芳香化合物を合成することにより、においを模すか、或いは場合によっては化学成分を再生してそれにより天然由来の有機化合物の特徴的な香りを再生することができる。別の実施形態によれば、芳香化合物を合成し、天然由来の有機化合物によっては再生されない独特のにおいを生成することができる。
【0011】
化合物の由来、つまり天然か合成かに関係無く、芳香化合物の個別の香りは、芳香族官能基に由来している。典型的には、芳香族官能基は、上述のイソプレン単位又はベンゼン環の基礎的要素の化合によって形成される。ここで、好適な芳香族官能基は、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステル、ラクトン、キャスターオイル製品、亜硝酸塩、テルペン、パラフィン及び複素環、並びにこれらの組合せを含む。一般に、1つの芳香族官能基は1つの芳香を生じさせるが、液体フレグランスは、上述したようにベース、ミドル及びトップノートと関連して芳香化合物と芳香の混合物を含有することができる。したがって、液体フレグランスは、1つ以上の芳香族官能基を有する1つ以上の芳香化合物を含有することができる。
【0012】
液体フレグランスは、固定剤、例えば様々な芳香化合物を結合し、フレグランスの持続時間を延ばすための材料をさらに含んでいてよい。好適な固定剤は、天然由来の材料、例えばバルサム、アンゲリカ、カラムス、オリス、或いは動物ベースの抽出物、例えばアンバーグリス、シベット、カストリウム又はムスクを含んでいてよい。別実施形態では、固定剤は、天然由来の材料の誘導体又は天然由来の材料との均等物、或いは別の材料、例えばフタレート又はグリセリンを含有する合成材料であってよい。
一般に、液体フレグランスは、約1.50未満、例えば約1.32〜1.45の屈折率を有している。一実施形態では、液体フレグランスは、約1.35〜1.42、例えば約1.36〜1.40の屈折率を有している。さらに別の実施形態では、液体フレグランスは、約1.37〜1.39の屈折率を有している。
【0013】
ここでディスペンサアセンブリに言及する。このディスペンサアセンブリは、通常、液体フレグランスを分配する機構、例えば輸送アセンブリを備えている。一実施形態によれば、輸送アセンブリは、液体フレグランスを容器の内部から外部へと、個人へ適用するために輸送するポンプを含む。一般に、ポンプは、消費者によって作動される様々な機構、例えばボタン、トリガ又はバルブによって作動される圧力差を利用する。別の実施形態によれば、輸送アセンブリは空気圧アセンブリを含む。特定の実施形態では、液体フレグランスはパフュームであり、輸送機構は、パフュームをミストの形態で消費者に送達することを可能にする空気圧アセンブリであり、これにより、香りは効果的に、例えば体の広い領域にわたって分配され、よって、パフュームの蒸発面積が拡大する。したがって、一実施形態では、輸送アセンブリは、液体フレグランスをミストで送達するためのスプレー又はアトマイザを含む。
【0014】
次にチューブに言及する。このチューブは、液体フレグランスを容器から輸送アセンブリを介して消費者へと輸送するリザーバを提供する。チューブは、液体フレグランス内へ伸び、毛管作用によって特定のレベルまで液体フレグランスで充填されている。一実施形態では、チューブはプラスチック材料であり、特にフルオロポリマーである。一実施形態によれば、チューブは、フルオロポリマー材料、例えばポリテトラフロオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン及びエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(EFEP)、改質エチレンテトラフルオロエチレン、ポリフルオロアクリレート、ポリトリフルオロアセテート、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン及びビニリデンフルオライド(THV)、並びにこれらの組合せをから構成することができる。上述の材料のうち、エチレンテトラフルオロエチレン(EFEP)、テトラフルオロエチレン及びエチレン(ETFE)、並びにテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン(FEP)を合わせた材料、並びにこれらの組合せは、特に好適なチューブ材料である。
さらにチューブに関し、一実施形態によれば、チューブは、約1.50以下の屈折率を有する材料からなる。別の実施形態によれば、チューブは、約1.45以下、1.43以下、1.40以下、場合によっては約1.30以下の屈折率を有することができる。
【0015】
さらにチューブに関し、適切な透明性を有する材料によって、液体フレグランスに浸され且つ液体フレグランスを収容している時のチューブの、望ましい低可視性の光学的効果が容易に得られる。一実施形態によれば、チューブは、厚さ3mmの試料を通過する500ミクロンの波長を有する光の透過パーセントで、約80%以上の透明性を有する材料からなっている。別の実施形態では、チューブは、約85%以上又は特に88%以上の透明性を有する材料からなる。さらに、別の実施形態では、チューブは、さらに大きな透明性、例えば約90%以上又は特に約92%以上の透明性を有する材料からなる。
一実施形態によれば、チューブは中空で、その壁部は薄く、約0.1mmから約3.0mm、例えば0.1〜約2.0mm又は0.1〜約1.0mmのID(内径)を有する微細な寸法を有している。特定の一試料は、0.95mmのIDを有する。OD(外径)は、通常、約0.25〜10.0mm、例えば0.5〜5.0mm又は0.5〜3.0mmである。具体的なODは、1.65mmである。通常、チューブは、約0.05mm〜約3.0mm、例えば0.1mm〜1.0mm、ほとんどの場合約0.1mm〜0.75mmの、均一な壁厚を有する。具体的な壁厚は、0.35〜0.38mmであった。
【0016】
チューブに関し、適切な結晶化度を有する材料からチューブを形成することによって、液体フレグランスに浸され且つ液体フレグランスを収容しているチューブの低可視性の光学的効果が促進される。一実施形態によれば、チューブを構成する材料の結晶化度は、約13%以下、例えば約11%以下である。典型的には、結晶化度は、10%以下、例えば8%以下である。実際、特定の実施形態は、約6%以下の結晶化度を有することが分かった。上記の結晶化度の値は、X線回折(XRD)に基づき測定されたものであることに留意されたい。別の結晶化度測定技術、例えば示差走査熱量計(DSC)により、異なる結晶化度のデータが得られるが、ここで特定する結晶含有量は、厳密にXRDによって定量化されたものである。具体的なXRDを特徴付けるパラメータは以下の通りである。
電圧45kV、電流40mA、XRD機器:Bruker D8 Discover w/Gadds Detector、スリット3mm、視準0.3mm、Cu照射、Goebel Mirror(平行光線)、チューブ長に沿った振動0.5mm、5フレーム(〜15°/フレーム)、72秒/フレーム、オメガ=7°、検出フレームの中点=14°、29°、44°、59°、74°。
【0017】
具体的な特徴によれば、実施形態は、高い透明性及び/又は低い結晶化度のチューブを容易に形成する焼入れ工程を利用して製造することができる。この工程は、上述の微細な寸法、薄い壁部を得る上で特に重要となり得る。一実施例では、EFE−4040(改質エチレンテトラフルオロエチレン)を、次の条件下、つまり、融点:520°F〜540°F、ライン速度:100〜125fpm、焼入れタンク温度:80°F〜90°F、押出ダイと焼入れタンクとの距離:1インチで押し出し、OD1.65mm、ID0.95mmのチューブを形成した。さらに、試験により、焼入れが、高い透明性及び/又は低い結晶化度を保証するのに重要であることが分かった。同じ材料の焼入れをしていない試料は、18%(155℃で1時間のアニール)、13%(155℃で5時間のアニール)及びそれより大きい(例えば29%及び33%)結晶含有量を有することが分かった。このような比較試料は、濁りがあり、高い透明性を有さないことも分かった。微細な寸法のチューブは、チューブの厚み全体に亘りほぼ均一な温度プロファイルを達成し、さらに透明性を増大させ及び/又はXRD結晶化度を抑制すると考えられる。
【0018】
一の具体的な特徴によれば、チューブの屈折率と液体フレグランスの屈折率の差は、チューブが液体フレグランスに浸されて液体フレグランスを収容している時、約0.040以下、例えば約0.035以下である。本明細書で使用する限り、屈折率の「デルタ」又は「差」という用語は、チューブの材料の屈折率から液体フレグランスの屈折率を引いた値の絶対値である。特定の実施形態では、液体フレグランスに浸されて液体フレグランスを収容するチューブを有するこのようなシステムのデルタは、約0.030以下、例えば0.027又は0.025以下である。一部の実施形態では、屈折率デルタは、さらに小さく、約0.020又は0.010以下であってよい。実際、屈折率は同じ(デルタはゼロ)であってもよい。
【0019】
本明細書に記載の実施形態による屈折の特徴は、特に重要である。従来技術により、流体とほぼ同じ屈折率を有する構造化要素を有する、流体の保存、輸送及び分配のための容器アセンブリが開発されている。例えば、米国特許第6276566号明細書は、容器内に三次元の設計を施すことにより、分配用容器の機能的な要素を目立たなくさせる技術を記載している。この開示の送達チューブ及び液体製品(典型的には液体石けん、シャンプー、ローション、オイル及び飲料)は、互いの約0.50以内、好ましくは互いの約0.25以内の屈折率を有する。おそらく一部の用途において、そのような大きさのオーダーにわたる屈折率により、低可視性(隠蔽性)の送達チューブが得られているが、特に液体フレグランス製品の場合、構造化要素の所望の隠蔽性又は低可視性には、屈折率をさらに近づけることが必要とされる。以下に、図面に関連させてさらに詳細に説明する。
【0020】
加えて、上述のフルオロポリマーの使用にも注目されたい。特定のフルオロポリマー、例えばエチレンテトラフルオロエチレン(EFEP)、テトラフルオロエチレン及びエチレン(ETFE)並びにテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン(FEP)が、本発明の実施形態を実施する上で特に有用である。この点で、このようなフルオロポリマーは通常、主にチューブの透明性の目標レベルを得るのに特に望ましくない高い結晶含有量により、一般にはフレグランス製品で使用されていない。反対に、本明細書の実施形態では、制御された結晶含有量を有する材料及び上述のような透明性の値を有する材料を使用する。さらに、特定のフルオロポリマーを利用する本明細書の実施形態は、望ましくは上述の屈折率(ほとんどの場合、1.45、1.43、1.40以下、又は特に1.38以下)を有し、これは特に注目に値する。つまり、従来技術に使用される一般的なポリマーは、通常、約1.4668〜約1.5894の屈折率を有する。このようなポリマーは、通常、フレグランス製品の隠蔽要件を満たすことができない。
【0021】
流体に浸されてその流体を収容しているチューブの低可視性の光学的効果を添付図面に示す。図1は、液体フレグランスに浸されて液体フレグランスを収容しているチューブの図であり、チューブの屈折率と液体フレグランスの屈折率の差は約0.10である。ここで、液体フレグランスは、屈折率1.37のパフュームであり、チューブの屈折率は1.47である。このチューブは、ポリメチルペンテン(PMP)から形成されている。図1に示すように、チューブの特徴、つまり内壁及び外壁のエッジは流体中ではっきりと見ることができる。
【0022】
図2は、流体中に浸されてその流体を収容しているチューブを有するシステムを示す。このシステムのデルタは約0.02である。システム内でのチューブの低可視性光学的効果は、図1と図2のシステムを比較することによって明らかである。図1では、チューブの特徴、例えば内壁及び外壁がはっきり見えるが、図2では同じ特徴は明確でなく、可視性が低い。図1における0.10から図2における0.02へとデルタが減少すると、低可視性の光学的効果を提供するチューブの特徴の可視性は実質的に低下する。
【0023】
図3は、チューブが流体に浸されてその流体を収容しており、デルタが約0.00(ゼロ)であるシステムを示す。このように低いデルタを有するシステムの低可視性の光学的効果は、図1のシステムと図3のシステムを比較することによって明らかである。図1に示すように、チューブの特徴、例えば図1ではっきりと見える壁の内側及び外側エッジの可視性は、図3では著しく低く、従ってチューブは低可視性の光学的効果を有し、システム内で実質的に不可視である。
【0024】
図4は、チューブが流体に浸されてその流体を収容しており、デルタが約0.02のシステムを示す。図4では、図1及び2に関連して説明した先の実施形態とは異なり、液体の屈折率がチューブより大きい。デルタが0.02であるシステムの低可視性の光学的効果は、図4を図1及び2の両方と比較することによって明らかである。図1では、チューブの特徴、例えば壁部の内側及び外側エッジがはっきり見えるが、そのような特徴の可視性は図4では著しく低く、従ってチューブは低可視性の光学的効果を有する。図4及び図2のシステムを比較すると、両システムのチューブの可視性は、ほぼ同等である。低可視性の光学的効果の比較を、図4に示すチューブの一部におけるエアポケットの存在によりさらに進める。チューブの一部内に存在するエアポケットは、デルタが明らかに0.02を超えるシステムの一部を示している。チューブのエアポケットを含む部分の内壁及び外壁は、液体を含むチューブの部分よりも可視性が高い。この比較によって、デルタを約0.02とする低可視性の光学的効果がさらに示されている。
【0025】
図5は、液体フレグランス503を収容する容器501を備え、キャップ構造507及びポンプ部材509からなる輸送アセンブリを有するディスペンサアセンブリをさらに備えるフレグランス製品の一実施形態を示す。ポンプ部材を下方向に押すことによって、液体フレグランスが、ほとんどの場合霧状に分配される。ディスペンサアセンブリは、液体フレグランス503内に伸びるとほぼ見えなくなり、液体フレグランスの大部分が使用されるまで輸送アセンブリに液体フレグランスを連続的に供給するチューブ505をさらに備えている。実際、複数の実施形態が、液体フレグランス内でほぼ完全に見えなくなるチューブを達成する優れた性能を実証している。満杯の時、フレグランス製品は完全に「チューブレス」に見え、注意して見ない限り見えない。
【0026】
以上、本発明について、特定の実施形態に基づいて例示し説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び置換えが可能であり、本明細書に示した詳細に本発明が限定されることはない。例えば、追加的な又は同等の置換えを行い、追加的な又は同等の製造ステップを用いることができる。つまり、本明細書に開示した本発明の更なる変更及び均等物は、当業者であれば、常套的な実験を用いるだけで考案することができ、このような変更及び均等物の全ては、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】液体フレグランス中に浸されて液体フレグランスを収容するチューブを備えるシステムの図であり、液体フレグランスの屈折率とチューブの屈折率の差は0.10である。
【図2】液体フレグランス中に浸されて液体フレグランスを収容するチューブを備えるシステムの図であり、液体フレグランスの屈折率とチューブの屈折率の差は0.02である。
【図3】液体フレグランス中に浸されて液体フレグランスを収容するチューブを備えるシステムの図であり、液体フレグランスの屈折率とチューブの屈折率の差は0.00である。
【図4】液体フレグランス中に浸されて液体フレグランスを収容するチューブを備えるシステムの図であり、液体フレグランスの屈折率とチューブの屈折率の差は0.02である。
【図5】一実施形態による容器及びディスペンサアセンブリを備えるフレグランス製品の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体フレグランスを収容する容器と、
液体フレグランスを分配するためのディスペンサアセンブリであって、
輸送アセンブリ、及び
輸送アセンブリに接続され且つ液体フレグランス中に伸びるチューブ
を備えるディスペンサアセンブリと
を備えるフレグランス製品であって、
チューブ及び液体フレグランスがそれぞれ一の屈折率を有し、チューブの屈折率と液体フレグランスの屈折率の差が約0.04以下である、フレグランス製品。
【請求項2】
液体フレグランスが、ベースノート、ミドルノート及びトップノートの少なくとも1つを有する、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項3】
液体フレグランスが、フュームエクストラクト、パフューム、オードトワレ、オーデコロン及びアフターシェイブのうちの1つである、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項4】
液体フレグランスが、担体化合物及び芳香化合物を含む、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項5】
担体化合物が、オイル及びアルコールの一方である、請求項4に記載のフレグランス製品。
【請求項6】
芳香化合物が、天然由来の有機化合物である、請求項4に記載のフレグランス製品。
【請求項7】
天然由来の有機化合物がエッセンシャルオイルを含む、請求項6に記載のフレグランス製品。
【請求項8】
天然由来の有機化合物が動物ベースの抽出物を含む、請求項6に記載のフレグランス製品。
【請求項9】
芳香化合物が合成化合物である、請求項4に記載のフレグランス製品。
【請求項10】
芳香化合物が、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステル、ラクトン、キャスターオイル製品、亜硝酸、テルペン、パラフィン及び複素環からなる群より選択される芳香族官能基を含む、請求項4に記載のフレグランス製品。
【請求項11】
芳香化合物が、ベースノート、ミディアムノート及びトップノートの少なくとも1つである、請求項10に記載のフレグランス製品。
【請求項12】
液体フレグランスがさらに固定剤を含む、請求項4に記載のフレグランス製品。
【請求項13】
輸送アセンブリが、液体フレグランスを分配するポンプを備える、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項14】
輸送アセンブリが、液体フレグランスを分配する空気圧アセンブリを備える、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項15】
空気圧アセンブリがスプレーを含む、請求項14に記載のフレグランス製品。
【請求項16】
チューブの屈折率と液体フレグランスの屈折率の差が約0.03以下である、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項17】
チューブの屈折率と液体フレグランスの屈折率の差が約0.02以下である、請求項16に記載のフレグランス製品。
【請求項18】
チューブがフルオロポリマーを含む、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項19】
チューブが、約1.50以下の屈折率を有するフルオロポリマーを含む、請求項18に記載のフレグランス製品。
【請求項20】
チューブが、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン及びエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(EFEP)、改質エチレンテトラフルオロエチレン、ポリフルオロアクリレート、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン及びビニリデンフルオライド(THV)からなる群より選択されるフルオロポリマー材料を含む、請求項18に記載のフレグランス製品。
【請求項21】
チューブが、エチレンテトラフルオロエチレン(EFEP)を含むフルオロポリマー材料を含む、請求項18に記載のフレグランス製品。
【請求項22】
チューブが、テトラフルオロエチレン及びエチレン(FTFE)を含むフルオロポリマー材料を含む、請求項18に記載のフレグランス製品。
【請求項23】
チューブが、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレン(FEP)を含むフルオロポリマー材料を含む、請求項18に記載のフレグランス製品。
【請求項24】
チューブが、約80%以上の透明性を有する材料から構成されている、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項25】
チューブが、約85%以上の透明性を有する材料から構成されている、請求項24に記載のフレグランス製品。
【請求項26】
チューブが、約90%以上の透明性を有する材料から構成されている、請求項25に記載のフレグランス製品。
【請求項27】
チューブがフルオロポリマーを含み、フルオロポリマーが、約13重量%以下のXRD結晶化度を有する、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項28】
チューブがフルオロポリマーを含み、フルオロポリマーが、約11重量%以下のXRD結晶化度を有する、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項29】
チューブがフルオロポリマーを含み、フルオロポリマーが、約10重量%以下のXRD結晶化度を有する、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項30】
チューブが、約0.25〜10.0mmの外径を有する薄壁チューブである、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項31】
チューブが、約0.5〜5.0mmの外径を有する薄壁チューブである、請求項1に記載のフレグランス製品。
【請求項32】
液体フレグランスを収容する容器と、
液体フレグランスを分配するためのディスペンサアセンブリであって、
輸送アセンブリ、及び
輸送アセンブリに接続され且つ液体フレグランス中に伸びるチューブ
を備えるディスペンサアセンブリと
を備えるフレグランス製品であって、
チューブ及び液体フレグランスがそれぞれ一の屈折率を有し、チューブの屈折率と液体フレグランスの屈折率の差が約0.04以下であり、チューブが、約80%以上の透明性、約13%以下の結晶含有量、及び約0.25〜約10mmの外径を有するフルオロポリマーを含む、フレグランス製品。
【請求項33】
チューブが、約85%以上の透明性を有する材料から構成されている、請求項32に記載のフレグランス製品。
【請求項34】
チューブが、約90%以上の透明性を有する材料から構成されている、請求項33に記載のフレグランス製品。
【請求項35】
結晶含有量が11%以下である、請求項32に記載のフレグランス製品。
【請求項36】
結晶含有量が10%以下である、請求項35に記載のフレグランス製品。
【請求項37】
チューブが、約0.05〜3.0mmの壁厚を有する薄壁チューブである、請求項32に記載のフレグランス製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−511580(P2009−511580A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535583(P2008−535583)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/039185
【国際公開番号】WO2007/047168
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508111523)
【Fターム(参考)】