フレーク状銀粉及びその製造方法、並びに導電性ペースト
【課題】優れた導電性を有する導電膜を形成することができるフレーク状銀粉及びフレーク状銀粉の製造方法、並びに導電性ペーストの提供。
【解決手段】フレーク状銀粉であって、次式(1)、A×A×B>50を満たすフレーク状銀粉である。ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。平均粒径が1μm〜15μmの銀粉を、溶媒及び直径0.1mm〜3mmのボールにより伸展させて、銀粉の平均粒径が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理するフレーク状銀粉の製造方法である。
【解決手段】フレーク状銀粉であって、次式(1)、A×A×B>50を満たすフレーク状銀粉である。ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。平均粒径が1μm〜15μmの銀粉を、溶媒及び直径0.1mm〜3mmのボールにより伸展させて、銀粉の平均粒径が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理するフレーク状銀粉の製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーク状銀粉及びフレーク状銀粉の製造方法、並びに前記フレーク状銀粉を用いた導電性ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品などの電極や回路、電磁波シールド材等を形成するために、銀粉を有機成分中に分散させた導電性ペーストが使用されている。導電性ペーストの中でも、樹脂硬化型の導電性ペースト(特許文献1参照)においては、樹脂の体積収縮により銀粉同士が接触して導通が取られる。この樹脂硬化型の導電性ペーストに配合される銀粉としては、接触面積が大きいフレーク状銀粉が使用されている(特許文献2参照)。
【0003】
このようなフレーク状銀粉は、一般に、球状又は不定形状の銀粉をフレーク化することにより得ることができる。球状又は不定形状の銀粉をフレーク化する方法としては、例えば、ビーズミル(特許文献3参照)、ボールミル(特許文献4参照)、振動ミル等を用いた粉砕法など、様々な方法が提案されている。また、前記球状又は不定形状の銀粉の製造方法としても、湿式還元法、アトマイズ法など、様々な方法が開示されている。
【0004】
また、前記特許文献3には、平均粒径が10μm〜13μm、アスペクト比が6〜15であるフレーク状銀粉及びその製造方法が開示されている。
また、前記特許文献4には、最大粒径40μm、アスペクト比(最大粒径/厚み)100〜300のフレーク状銀粉が開示されている。
しかしながら、導電性ペーストに好適に用いられ、導電性に優れた導電膜を形成するフレーク状銀粉については、十分満足できる性能を有するものが未だ提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−150837号公報
【特許文献2】特許第3874634号公報
【特許文献3】特開2007−254845号公報
【特許文献4】特開平4−359069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、導電性ペーストに用いる銀粉であって、優れた導電性を有する導電膜を形成することができるフレーク状銀粉及び該フレーク状銀粉の製造方法、並びに前記フレーク状銀粉を用いた導電性ペーストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、次式(1)、A×A×B>50を満たすフレーク状銀粉が優れた導電性を備え、導電性ペーストの材料として好適であることを知見した。ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
銀粉の導電性の向上には、接触確率を増すための面積(平均粒径)と、銀粉の表面状態(BET比表面積)とが密接に関係する。平均粒径だけでは、導電性における面積は評価できるが、その場での表面状態の影響を評価できない。一方、BET比表面積だけでは、複数の粉からなる導電性ペースト中では、粉の数の影響が評価できない。即ち、銀粉の導電性は、通電面積とその場での抵抗による総合的な結果であるため、フレーク状銀粉の平均粒径とBET比表面積が、上記式(1)で示すように相互に関係することを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> フレーク状銀粉であって、次式(1)、A×A×B>50を満たすことを特徴とするフレーク状銀粉である。
ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
<2> 平均粒径が1μm〜15μmの銀粉を、溶媒及び直径0.1mm〜3mmのボールにより伸展させて、銀粉の平均粒径が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理することを特徴とするフレーク状銀粉の製造方法である。
<3> フレーク化処理を銀粉の平均粒径が最大となるまで行う前記<2>に記載のフレーク状銀粉の製造方法である。
<4> 前記<1>に記載のフレーク状銀粉を用いて作製されたことを特徴とする導電性ペーストである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた導電性を有する導電膜を形成することができるフレーク状銀粉及び該フレーク状銀粉の製造方法、並びに前記フレーク状銀粉を用いた導電性ペーストを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のフレーク状銀粉の製造フロー図である。
【図2】図2は、実施例1で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図3】図3は、実施例1で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図4】図4は、実施例2で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図5】図5は、実施例2で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図6】図6は、実施例3で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図7】図7は、実施例3で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図8】図8は、実施例4で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図9】図9は、実施例4で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図10】図10は、実施例5で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図11】図11は、実施例5で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図12】図12は、実施例6で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図13】図13は、実施例6で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図14】図14は、比較例1で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図15】図15は、比較例1で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図16】図16は、フレーク状銀粉における式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕と、導電膜の比抵抗との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(フレーク状銀粉)
本発明のフレーク状銀粉は、次式(1)、A×A×B>50を満たすことを特徴とする。
ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
前記式(1)であるA×A×Bが50より大きいことにより、銀含有量が少なくても比抵抗の低い導電膜が得られるからである。前記式(1)であるA×A×Bは100以上が好ましく、200以上がより好ましい。なお、前記式(1)であるA×A×Bは、3,600以下が好ましい。前記式(1)であるA×A×Bが、3,600を超えると、平均粒径及びBET比表面積が必要以上に大きくなり、印刷性、ハンドリング性、及び生産性が低下することがある。
ここで、前記銀粉の平均粒径は、例えば、銀粉試料0.3gをイソプロピルアルコール30mLに入れ、超音波洗浄器にて5分間処理後、該処理液に対しレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、MICROTORAC HRA)を用いて粒径を測定し、累積50質量%の粒径(D50)を銀粉の平均粒径とした。
また、前記BET比表面積は、例えば、MONOSORB装置(湯浅アイオニクス株式会社製)で、He:70%、N2:30%のキャリアガスを用い、銀粉3gをセルに入れて脱気を60℃で10分間行った後、BET1点法により測定することができる。
【0012】
本発明のフレーク状銀粉は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径は2μm〜30μmが好ましく、5μm〜20μmがより好ましい。
前記フレーク状銀粉のアスペクト比(平均長径/平均厚み)は、10〜300である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、更に導電膜の配向性を良くして導電性を高めるという観点から、10〜100がより好ましい。
前記アスペクト比が、10未満であると、フレーク状銀粉同士の接触面積が十分でなく、導電性ペーストに配合し、該導電性ペーストを用いて形成される導電膜の導電性を十分高くできないことがあり、300を超えると、フレーク状銀粉を製造することが困難となることがある。
前記アスペクト比は、(平均長径L/平均厚みT)により求めることができる。ここで、前記「平均長径L」と「平均厚みT」は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定したフレーク状銀粉100個の平均長径と平均厚みを示す。
なお、本明細書において、前記「フレーク状銀粉」とは、アスペクト比が3以上である銀粉を意味する。
【0013】
前記フレーク状銀粉のBET比表面積は、0.5m2/g〜4m2/gが好ましく、0.5m2/g〜2m2/gがより好ましい。なお、フレーク化処理により、銀粉の導電性が向上する理由については明らかではないが、フレーク化を強度にした変形により、従来にない微小な形状変化が発生し、銀粉の形状が導電性により好ましいものとなるためと思われる。例えば、銀粉エッジの微小化、銀粉厚さの極小による銀粉の端部の変形、折り曲げなどにより接触点が増加していることが想定される。
【0014】
前記フレーク状銀粉のタップ密度は、4.5g/cm3以下が好ましく、2g/cm3以下がより好ましい。
前記タップ密度は、例えば、タップ比重測定器(柴山科学株式会社製、カサ比重測定器SS−DA−2型)を用いて測定することができる。
前記フレーク状銀粉の嵩密度は、2g/cm3以下が好ましく、0.8g/cm3以下がより好ましい。
前記嵩密度は、JIS K5101に基づき、例えば、嵩比重測定器(蔵持科学器械製作所製)を用いて測定することができる。
以上の物性値を満たすフレーク状銀粉は、導電性ペーストにした際に、より薄い状態で良好な導電性を可能とし、導電性ペーストの使用量の減少、又は同一厚みでの品質の安定性に寄与することができる。前記式(1)を満たすフレーク状銀粉は、低タップ密度及び低嵩密度を備えている。
【0015】
(フレーク状銀粉の製造方法)
本発明のフレーク状銀粉の製造方法は、フレーク化工程を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
ここで、図1は、本発明のフレーク状銀粉の製造フロー図であり、例えば、フレーク化工程、ろ過工程、洗浄及び乾燥工程、解砕工程、並びに篩別工程を含む。
【0016】
<フレーク化工程>
前記フレーク化工程は、平均粒径が1μm〜15μmの銀粉を、溶媒及び直径0.1mm〜3mmのボール(メディア)により伸展させて、銀粉の平均粒径が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理する工程である。
前記フレーク化処理により、次式(1)、A×A×B>50を満たし、好ましくは平均粒径が2μm〜30μm、アスペクト比が10〜300、BET比表面積が0.5m2/g〜4m2/gであるフレーク状銀粉を得ることができる。
【0017】
<<フレーク化処理を施す対象となる銀粉>>
前記フレーク化処理を施す対象となる銀粉としては、平均粒径が1μm〜15μm(好ましくは1μm〜8μm)であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、球状又は不定形状の銀粉が好ましい。
ここで、前記球状とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で銀粉を観察した場合、粒子形状が球形又は略球形であり、粒子100個の球状度(球状度:SEM写真で粒子を観察した時の、(最も長径部の径)/(最も短径部の径))が1.5以下である銀粉を意味する。
前記不定形状とは、SEMで観察した場合、粒子形状が、前記球状以外であり、円柱状、角柱状等の特定の粒子形状の特徴を有しない銀粉を意味する。
前記球状又は不定形状銀粉としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式還元法(例えば、特開平7−76710号公報参照)、アトマイズ法等の公知の手法で得られた球状又は不定形状銀粉などが挙げられる。
平均粒径が大きな銀粉であれば、より長径なフレーク状銀粉を製造できる。このため、平均粒径が比較的小さい銀粉を凝集操作し、二次粒子の平均粒径を長径化させたものを用いてもよい。具体的には、銀粉を加熱処理して、銀粉を凝集させ、簡易的な乾式ミキサー(例えば、ヘンシェルミキサー等)で弱解砕することにより得られる。
【0018】
前記フレーク化処理を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、転動ボールミル、アトライター、SCミル等のメディア式ミル(ボール、ビーズによる粉砕ミル)などが挙げられる。これらの装置としては、市販されているものをそのまま使用可能である。
【0019】
前記フレーク化処理を行う際には、銀粉とともに溶媒を加えて処理を行うことが好ましい。前記溶媒を加えないでフレーク化処理を行った場合には、処理中にフレーク状銀粉同士が凝集し、粒径が過大になると共に、アスペクト比が十分大きな値とならないことがある。前記溶媒の粘性が高い場合には、フレーク化が十分進まない。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶媒などが挙げられる。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、分子量200以下の有機溶媒が好ましく、分子量200以下のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、又はこれらの混合物)がより好ましい。
前記フレーク化処理時に添加する前記溶媒の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フレーク化処理する銀粉に対し、質量で0.1倍〜3倍が好ましい。前記添加量が、0.1倍未満であると、溶媒添加の効果が不十分であることがあり、3倍を超えると、十分なアスペクト比が得られないことがある。
【0020】
前記ボール(メディア)としては、直径が0.1mm〜3mmで形状が球状のボール(メディア)である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記ボール(メディア)の直径が、0.1mm未満であると、フレーク化処理後のフレーク状銀粉とメディアを分離する際、メディアの目詰まり等により、分離の効率が低下し、3mmを超えると、得られるフレーク状銀粉の粒径が過大になることがある。
前記ボール(メディア)の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス(SUS)等の金属、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、製品へのコンタミネーションを考えると、ステンレス(SUS)が特に好ましい。
前記ボール(メディア)のフレーク化処理時における添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フレーク化処理する銀粉に対し、質量で1倍〜50倍が好ましい。前記添加量が、1倍未満であると、十分なアスペクト比が得られないことがあり、50倍を超えると、1回にフレーク化処理できる銀粉の量が少なくなり、処理コストが高くなることがある。
【0021】
前記フレーク化処理の処理時間は、処理強度、原料銀量、平均粒径、BET比表面積等により設定される。これらの中でも、所望の平均粒径及び比表面積に設定することが好ましく、平均粒径D50が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理することが特に好ましい。
前記メディア式ミルによるフレーク化処理に溶媒を用いた場合には、処理時間と平均粒径D50とは密接な関係があり、処理開始から、平均粒径D50は、上昇するが(上昇期)、ある時間になると平均粒径D50は高止まりの飽和となる緩慢な上昇となり、最大値をとる(飽和期)、更に長時間化とすると減少する(減少期)。このように、フレーク化処理の時間は、フレーク状銀粉の表面状態に大きく影響する。前記飽和期から減少期中に処理時間の終期を設定するのが好ましく、平均粒径D50が最大又は最大値を経過するまでに設定するのが特に好ましい。溶媒を用いたフレーク化処理においては処理時間によりBET比表面積は上昇する傾向にあるため、飽和期以降ではBET比表面積が大きくなり、結果として前記式(1)の数値が大きくなり、優れた導電性を有するフレーク状銀粉が得られるからである。
【0022】
得られるフレーク状銀粉の分散性を向上させるためには、分散剤をフレーク化処理する銀粉に対して、0.1質量%〜5質量%添加することが好ましい。前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属、キレート形成剤、保護コロイドなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪酸が特に好ましい。前記脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、又はそれらの混合物などが挙げられる。なお、フレーク化工程前の銀粉に分散剤を添加する代わりに、溶媒とともに前記分散剤を添加することもできる。前記分散剤をフレーク化工程前の銀粉に添加し、かつ前記分散剤をフレーク化工程で溶媒とともに添加してもよい。
【0023】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、洗浄及び乾燥工程などが挙げられる。
−洗浄及び乾燥工程−
前記洗浄及び乾燥工程は、得られたフレーク化処理後の銀粉を固液分離し、必要に応じて、洗浄を行い、乾燥する工程である。
前記洗浄及び乾燥としては、特に制限はなく、銀粉に対する公知の方法を適宜使用することができ、乾燥後において解砕を行ってもよい。
【0024】
以上のような処理を経て得られたフレーク状銀粉は、次式(1)、A×A×B>50を満たしている。
ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
前記式(1)のA×A×B>50の関係を満たすフレーク状銀粉は、優れた導電性ペーストの材料となる。
得られたフレーク状銀粉は、以下に説明する導電性ペーストの配合物等として、好適に利用可能である。
【0025】
(導電性ペースト)
本発明の導電性ペーストは、本発明の前記フレーク状銀粉を用いて作製される導電性ペーストであり、例えば、樹脂硬化型ペーストなどが挙げられる。
前記導電性ペーストの粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、30Pa・s〜100Pa・sが好ましい。前記導電性ペーストの粘度が、30Pa・s未満であると、印刷時に「にじみ」が発生することがあり、100Pa・sを超えると、印刷むらが発生することがある。
【0026】
前記導電性ペーストの作製方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記フレーク状銀粉を、樹脂と混合することにより製造することができる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はそれらの混合物などが挙げられる。
前記導電性ペーストにおける前記フレーク状銀粉の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0027】
本発明の導電性ペーストの比抵抗は、2×10−2(Ω・cm)以下が好ましく、5×10−4(Ω・cm)以下がより好ましく、3.3×10−5(Ω・cm)以下が更に好ましい。前記比抵抗が、2×10−2(Ω・cm)以下であると、極めて低比抵抗な導電性ペーストが実現可能である。
前記比抵抗は、例えば、デジタルマルチメーター(ADVANTEST社製、R6551)を用いて、測定することができる。
【0028】
本発明の導電性ペーストは、従来のフレーク状銀粉を含有する導電性ペーストに比較して、低い銀含有量でも導電性に優れた導電膜を形成することができる。そのため、本発明の導電性ペーストは、種々の電子部品の電極、回路、電磁波シールド材を形成するための導電性ペーストとして好適に利用可能である。なお、本発明のフレーク状銀粉は、従来よりも少ないペーストへの添加量で、良好な導電性が得られる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
以下のようにして、フレーク状銀粉を製造した。また、得られたフレーク状銀粉を用い、導電性ペーストを作製した。また、前記導電性ペーストを塗布し、加熱処理することにより導電膜を形成した。なお、フレーク状銀粉のBET比表面積、粒径(D10、平均粒径D50、D90)、アスペクト比、タップ密度、及び嵩密度の測定方法は、以下に示す通りである。
【0031】
<BET比表面積の測定方法>
フレーク状銀粉のBET比表面積は、MONOSORB装置(湯浅アイオニクス株式会社製)で、He:70%、N2:30%のキャリアガスを用い、銀粉3gをセルに入れて脱気を60℃で10分間行った後、BET1点法により測定を行った。
【0032】
<粒径(D10、平均粒径D50、D90)の測定方法>
フレーク状銀粉の粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、MICROTORAC HRA)を用いて、銀粉0.3gをイソプロパノール30mLに加え、超音波分散処理を5分間行って試料を準備し、全反射モードで粒径の測定を行った。測定により得た質量累積分布により、10質量%、50質量%、及び90質量%における粒径値を得た。ここでの50質量%値をD50で表す平均粒径(μm)としている。なお、Dxとあるのは、x値の質量%における粒径を表す変数である。
【0033】
<アスペクト比の測定方法>
フレーク状銀粉のアスペクト比は、(平均長径L/平均厚みT)により求めた。ここで、「平均長径L」と「平均厚みT」は、走査型電子顕微鏡で測定したフレーク状銀粉100個の平均長径と平均厚みを示す。
【0034】
<タップ密度の測定方法>
フレーク状銀粉のタップ密度(g/cm3)は、タップ比重測定器(柴山科学株式会社製、カサ比重測定器SS−DA−2型)を使用し、銀粉試料15gを計量して、容器(20mL試験管)に入れ、落差20mmで1,000回タッピングし、タップ密度=試料重量(15g)/タッピング後の試料体積(cm3)から算出した。
【0035】
<嵩密度の測定方法>
フレーク状銀粉の嵩密度(g/cm3)は、JIS K5101に基づき、嵩比重測定器(蔵持科学器械製作所製)で測定した。
【0036】
(実施例1)
−銀粉の製造:I法−
銀濃度が3.35質量%の硝酸銀水溶液322kgに、25質量%アンモニア水40.5kgを加えて、銀アンミン錯体水溶液を作製した。
生成した銀アンミン錯体水溶液に濃度9.1質量%の水酸化ナトリウム水溶液4.44kgを加えてpH調整し、水464kgを加えて希釈した後に、還元剤として工業用ホルマリン52.6kgを加えた。
その直後に、含量95質量%のステアリン酸14.8gをエタノール2.37kgに溶かした溶液を分散剤として加えた。
このようにして得られた銀のスラリーをろ過、水洗した後乾燥し、銀粉10.7kgを得た。
得られた銀粉を5kgとり、20Lのヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製、FM20C/I型三井ヘンシェルミキサー)に投入し、解砕処理を行った
得られた銀粉のBET比表面積は0.31m2/gであり、D10は1.8μm、平均粒径(D50)は3.1μm、D90は4.8μmであった(表1中のフレーク前粉反応解砕後の欄に示す。)。
【0037】
−フレーク化処理−
得られた銀粉800gに、分散剤としての脂肪酸(ステアリン酸)を銀粉に対して2.0質量%となる量を加え、ブレンダーで1分間混合しつつ解砕を実施した。
得られた銀粉のBET比表面積は0.27m2/gであり、D10は1.6μm、平均粒径D50は3.1μm、D90は5.2μmであった(表2中のフレーク前粉熱処理解砕後の欄に示す。)。
メディアとしてのステンレス(SUS)ボール16.26kg(直径1.6mm)、溶媒としてのアルコール(日本アルコール販売株式会社製、ソルミックスAP−7)966g、及び前記銀粉644gをアトライター(三井鉱山株式会社製、MS−1SE−X)に入れて、撹拌回転数360rpm、処理時間4時間の条件(平均粒径D50が最大となる(飽和期))でフレーク化処理を行い、フレーク状銀粉含有スラリーを得た。
このスラリーを篩でボールから分離後にヌッチェにてろ過し、フレーク状銀粉の湿潤ケーキを得た。
得られたフレーク状銀粉の湿潤ケーキを70℃で10時間真空乾燥し、ブレンダーにて1分間解砕後に目開き40μmの振動篩を通して、フレーク状銀粉を作製した。
得られたフレーク状銀粉について、図2にSEM写真(2,000倍)、及び図3にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は1.47m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が5.0μm、平均粒径D50が9.2μm、D90が14.5μmであり、タップ密度1.5g/cm3、嵩密度0.68g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は124、アスペクト比は66であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0038】
(実施例2)
実施例1において、フレーク化処理時間を6時間とした以外は、実施例1と同様にして、フレーク状銀粉を作製した。平均粒径D50が最大となる時期を経過している(飽和期から減少期)。
得られたフレーク状銀粉について、図4にSEM写真(2,000倍)、及び図5にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は2.14m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が4.5μm、平均粒径D50が8.9μm、D90が14.1μmであり、タップ密度は1.1g/cm3、嵩密度は0.44g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は170、アスペクト比は79であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0039】
(実施例3)
−銀粉の製造:II法−
銀濃度が2.7質量%の硝酸銀水溶液375kgに、25質量%アンモニア水溶液19kgを加えて、銀アンミン錯体水溶液を生成した。
生成した銀アンミン錯体水溶液に還元剤として37質量%ホルマリン水溶液25kgを加えた。
また、還元剤を加えた直後に、分散剤としてステアリン酸10gを加え、銀粉を含むスラリーを生成した。得られたスラリーをろ過、水洗した後、75℃で乾燥して、銀粉を10.7kg得た。
得られた銀粉を三井鉱山株式会社製のヘンシェルミキサーFM75型(羽根:Ao型(一般タイプ))を用いて、羽根回転数1,000rpm、処理時間10分間の条件にて解砕を行い、解砕済みの銀粉を得た。この解砕済みの銀粉のBET比表面積は0.46m2/g、D10は2.2μm、平均粒径D50は4.6μmであり、D90は10.0μmであった(表1中のフレーク前粉反応解砕後の欄に示す)。
【0040】
−フレーク化処理−
更にこの解砕済みの銀粉を、140℃、20時間の条件で熱処理した。
熱処理後の銀粉800gに、分散剤としての脂肪酸(ステアリン酸)を銀粉に対して2.0質量%となる量を加え、ブレンダーで1分間混合しつつ解砕を実施した。得られた銀粉のBET比表面積は0.30m2/g、D10は2.9μm、平均粒径D50は5.7μm、D90は10.4μmであった(表2中にフレーク前粉熱処理解砕後の欄に示す)。
メディアとしてのステンレス(SUS)ボール16.26kg(直径1.6mm)、溶媒としてのアルコール(日本アルコール販売株式会社製、ソルミックスAP−7)966g及び前記解砕した銀粉644gをアトライター(三井鉱山株式会社製、MS−1SE−X)に入れて、撹拌回転数360pm、処理時間5時間の条件(平均粒径D50が最大となる)でフレーク化処理を行い、フレーク状銀粉含有スラリーを得た。
このスラリーを篩でボールから分離後にヌッチェにてろ過し、フレーク状銀粉の湿潤ケーキを得た。
このフレーク状銀粉の湿潤ケーキを70℃で10時間真空乾燥し、ブレンダーにて1分間解砕後に目開き40μmの振動篩を通してフレーク状銀粉を得た。
得られたフレーク状銀粉について、図6にSEM写真(2,000倍)、及び図7にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は2.02m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10は5.1μm、平均粒径D50は12.0μm、D90は20.3μmであり、タップ密度は1.1g/cm3、嵩密度は0.42g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は291、アスペクト比は60であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0041】
(実施例4)
実施例3において、熱処理温度180℃、フレーク化処理を5.25時間とした以外は、実施例3と同様にして、フレーク化銀を作製した(平均粒径D50が最大となる)。なお、熱処温度が実施例3〜6は異なるため粒径が最大となる飽和期、減少期の粒径値が異なる(表2参照)。
得られたフレーク状銀粉について、図8にSEM写真(2,000倍)、及び図9にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉の比表面積(BET)は1.56m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が6.1μm、平均粒径D50が14.7μm、D90が24.6μmであり、タップ密度は1.1g/cm3、嵩密度は0.50g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は337、アスペクト比は60であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0042】
(実施例5)
実施例3において、熱処理温度188℃、フレーク化処理を5.5時間とした以外は、実施例3と同様にして、フレーク化銀を作製した(平均粒径D50が最大となる)。
得られたフレーク状銀粉について、図10にSEM写真(2,000倍)、及び図11にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は1.38m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が7.3μm、平均粒径D50が17.2μm、D90が26.2μmであり、タップ密度は1.3g/cm3、嵩密度は0.58g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は408、アスペクト比は64であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0043】
(実施例6)
実施例3において、熱処理温度を200℃とした以外は、実施例3と同様にして、フレーク化銀を作製した(平均粒径D50が最大となる)。
得られたフレーク状銀粉について、図12にSEM写真(2,000倍)、及び図13にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は、0.96m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が8.2μm、平均粒径D50が19.8μm、D90が29.2μmであり、タップ密度は1.4g/cm3、嵩密度は0.72g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は376、アスペクト比は56であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0044】
(比較例1)
実施例3において、フレーク化処理を以下に示す振動ボールミルで、以下に示すようにして行った以外は、実施例3と同様にして、フレーク状銀粉を作製した。
実施例3の熱処理後銀粉に対し分散剤としての脂肪酸(ステアリン酸)を0.2質量%となる量に加え、ブレンダーで1分間混合解砕を実施した。
分散剤を混合解砕した銀粉1,580gと、メディアとしてのステンレス(SUS)ボール12.63kg(直径1.6mm)を振動ボールミル(中央化工機株式会社製、B−1)に加えて振動数1,452Vpmの条件で、90分間フレーク化処理を行った。
フレーク化処理後に篩にてフレーク状銀粉をボールと分離し、粗粒を除去するために目開き40μmの振動篩を通してフレーク状銀粉を得た。
得られたフレーク状銀粉について、図14にSEM写真(2,000倍)、及び図15にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は、0.44m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が4.8μm、平均粒径D50が10.5μm、D90が21.3μmであり、タップ密度は4.6g/cm3、嵩密度は2.50g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は49、アスペクト比は9であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3−1】
【表3−2】
【0048】
<導電性ペーストの作製>
作製した実施例1〜6及び比較例1の各フレーク状銀粉40質量部、ポリエステル樹脂(バイロン−200、東洋紡績株式会社製)18質量部、及び溶剤(ECaA(エチルカルビトールアセテート))42質量部を含む組成物をプロペラレス自公転式攪拌脱泡装置(シンキー社製、AR−250)で30秒間混練することにより、各導電性ペーストを作製した。
【0049】
<導電膜の形成及び評価>
得られた各導電性ペーストを、スライドガラス上にマイクロテック社製スクリーン印刷機を用いて、長さ65mm、幅10mmに印刷し、膜を形成した。
得られた膜を、大気循環式乾燥機を用い、170℃で30分間の条件で加熱処理し、導電膜を形成した。
得られた各導電膜について、以下のようにして、膜厚、及び比抵抗を測定した。結果を表4に示す。
【0050】
−導電膜の膜厚の測定−
得られた各導電膜について、表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、SE−30D)を用い、スライドガラス上で導電膜を印刷していない部分と導電膜を形成している部分との段差(厚み)を測定することにより導電膜の膜厚を求めた。
【0051】
−導電膜の比抵抗−
得られた各導電膜について、デジタルマルチメーター(ADVANTEST社製、R6551)を用い、抵抗値を測定し、導電膜のサイズ(膜厚、幅、長さ)から導電膜の体積を求め、該体積と測定した抵抗値から導電膜の比抵抗(体積抵抗率)を求めた。
【0052】
【表4】
表4中、元粉Iは、実施例1のI法で製造されたフレーク化処理前の銀粉を意味する。元粉IIは、実施例3のII法で製造されたフレーク化処理前の銀粉を意味する。
【0053】
次に、実施例1〜6及び比較例1について、フレーク状銀粉の前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕と、導電膜の比抵抗との関係を図16に示す。
図16の結果から、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕>50を満たす実施例1〜6は、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕>50を満たさない比較例1に比べて、導電膜の比抵抗が低いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のフレーク状銀粉を用いて作製される導電性ペーストは、優れた導電性を有しているので、種々の電子部品の電極や回路を形成するためのペーストとして、好適に用いられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーク状銀粉及びフレーク状銀粉の製造方法、並びに前記フレーク状銀粉を用いた導電性ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品などの電極や回路、電磁波シールド材等を形成するために、銀粉を有機成分中に分散させた導電性ペーストが使用されている。導電性ペーストの中でも、樹脂硬化型の導電性ペースト(特許文献1参照)においては、樹脂の体積収縮により銀粉同士が接触して導通が取られる。この樹脂硬化型の導電性ペーストに配合される銀粉としては、接触面積が大きいフレーク状銀粉が使用されている(特許文献2参照)。
【0003】
このようなフレーク状銀粉は、一般に、球状又は不定形状の銀粉をフレーク化することにより得ることができる。球状又は不定形状の銀粉をフレーク化する方法としては、例えば、ビーズミル(特許文献3参照)、ボールミル(特許文献4参照)、振動ミル等を用いた粉砕法など、様々な方法が提案されている。また、前記球状又は不定形状の銀粉の製造方法としても、湿式還元法、アトマイズ法など、様々な方法が開示されている。
【0004】
また、前記特許文献3には、平均粒径が10μm〜13μm、アスペクト比が6〜15であるフレーク状銀粉及びその製造方法が開示されている。
また、前記特許文献4には、最大粒径40μm、アスペクト比(最大粒径/厚み)100〜300のフレーク状銀粉が開示されている。
しかしながら、導電性ペーストに好適に用いられ、導電性に優れた導電膜を形成するフレーク状銀粉については、十分満足できる性能を有するものが未だ提供されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−150837号公報
【特許文献2】特許第3874634号公報
【特許文献3】特開2007−254845号公報
【特許文献4】特開平4−359069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、導電性ペーストに用いる銀粉であって、優れた導電性を有する導電膜を形成することができるフレーク状銀粉及び該フレーク状銀粉の製造方法、並びに前記フレーク状銀粉を用いた導電性ペーストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、次式(1)、A×A×B>50を満たすフレーク状銀粉が優れた導電性を備え、導電性ペーストの材料として好適であることを知見した。ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
銀粉の導電性の向上には、接触確率を増すための面積(平均粒径)と、銀粉の表面状態(BET比表面積)とが密接に関係する。平均粒径だけでは、導電性における面積は評価できるが、その場での表面状態の影響を評価できない。一方、BET比表面積だけでは、複数の粉からなる導電性ペースト中では、粉の数の影響が評価できない。即ち、銀粉の導電性は、通電面積とその場での抵抗による総合的な結果であるため、フレーク状銀粉の平均粒径とBET比表面積が、上記式(1)で示すように相互に関係することを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> フレーク状銀粉であって、次式(1)、A×A×B>50を満たすことを特徴とするフレーク状銀粉である。
ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
<2> 平均粒径が1μm〜15μmの銀粉を、溶媒及び直径0.1mm〜3mmのボールにより伸展させて、銀粉の平均粒径が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理することを特徴とするフレーク状銀粉の製造方法である。
<3> フレーク化処理を銀粉の平均粒径が最大となるまで行う前記<2>に記載のフレーク状銀粉の製造方法である。
<4> 前記<1>に記載のフレーク状銀粉を用いて作製されたことを特徴とする導電性ペーストである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた導電性を有する導電膜を形成することができるフレーク状銀粉及び該フレーク状銀粉の製造方法、並びに前記フレーク状銀粉を用いた導電性ペーストを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のフレーク状銀粉の製造フロー図である。
【図2】図2は、実施例1で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図3】図3は、実施例1で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図4】図4は、実施例2で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図5】図5は、実施例2で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図6】図6は、実施例3で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図7】図7は、実施例3で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図8】図8は、実施例4で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図9】図9は、実施例4で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図10】図10は、実施例5で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図11】図11は、実施例5で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図12】図12は、実施例6で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図13】図13は、実施例6で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図14】図14は、比較例1で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(2,000倍)である。
【図15】図15は、比較例1で作製されたフレーク状銀粉のSEM写真(5,000倍)である。
【図16】図16は、フレーク状銀粉における式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕と、導電膜の比抵抗との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(フレーク状銀粉)
本発明のフレーク状銀粉は、次式(1)、A×A×B>50を満たすことを特徴とする。
ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
前記式(1)であるA×A×Bが50より大きいことにより、銀含有量が少なくても比抵抗の低い導電膜が得られるからである。前記式(1)であるA×A×Bは100以上が好ましく、200以上がより好ましい。なお、前記式(1)であるA×A×Bは、3,600以下が好ましい。前記式(1)であるA×A×Bが、3,600を超えると、平均粒径及びBET比表面積が必要以上に大きくなり、印刷性、ハンドリング性、及び生産性が低下することがある。
ここで、前記銀粉の平均粒径は、例えば、銀粉試料0.3gをイソプロピルアルコール30mLに入れ、超音波洗浄器にて5分間処理後、該処理液に対しレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、MICROTORAC HRA)を用いて粒径を測定し、累積50質量%の粒径(D50)を銀粉の平均粒径とした。
また、前記BET比表面積は、例えば、MONOSORB装置(湯浅アイオニクス株式会社製)で、He:70%、N2:30%のキャリアガスを用い、銀粉3gをセルに入れて脱気を60℃で10分間行った後、BET1点法により測定することができる。
【0012】
本発明のフレーク状銀粉は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径は2μm〜30μmが好ましく、5μm〜20μmがより好ましい。
前記フレーク状銀粉のアスペクト比(平均長径/平均厚み)は、10〜300である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、更に導電膜の配向性を良くして導電性を高めるという観点から、10〜100がより好ましい。
前記アスペクト比が、10未満であると、フレーク状銀粉同士の接触面積が十分でなく、導電性ペーストに配合し、該導電性ペーストを用いて形成される導電膜の導電性を十分高くできないことがあり、300を超えると、フレーク状銀粉を製造することが困難となることがある。
前記アスペクト比は、(平均長径L/平均厚みT)により求めることができる。ここで、前記「平均長径L」と「平均厚みT」は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定したフレーク状銀粉100個の平均長径と平均厚みを示す。
なお、本明細書において、前記「フレーク状銀粉」とは、アスペクト比が3以上である銀粉を意味する。
【0013】
前記フレーク状銀粉のBET比表面積は、0.5m2/g〜4m2/gが好ましく、0.5m2/g〜2m2/gがより好ましい。なお、フレーク化処理により、銀粉の導電性が向上する理由については明らかではないが、フレーク化を強度にした変形により、従来にない微小な形状変化が発生し、銀粉の形状が導電性により好ましいものとなるためと思われる。例えば、銀粉エッジの微小化、銀粉厚さの極小による銀粉の端部の変形、折り曲げなどにより接触点が増加していることが想定される。
【0014】
前記フレーク状銀粉のタップ密度は、4.5g/cm3以下が好ましく、2g/cm3以下がより好ましい。
前記タップ密度は、例えば、タップ比重測定器(柴山科学株式会社製、カサ比重測定器SS−DA−2型)を用いて測定することができる。
前記フレーク状銀粉の嵩密度は、2g/cm3以下が好ましく、0.8g/cm3以下がより好ましい。
前記嵩密度は、JIS K5101に基づき、例えば、嵩比重測定器(蔵持科学器械製作所製)を用いて測定することができる。
以上の物性値を満たすフレーク状銀粉は、導電性ペーストにした際に、より薄い状態で良好な導電性を可能とし、導電性ペーストの使用量の減少、又は同一厚みでの品質の安定性に寄与することができる。前記式(1)を満たすフレーク状銀粉は、低タップ密度及び低嵩密度を備えている。
【0015】
(フレーク状銀粉の製造方法)
本発明のフレーク状銀粉の製造方法は、フレーク化工程を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
ここで、図1は、本発明のフレーク状銀粉の製造フロー図であり、例えば、フレーク化工程、ろ過工程、洗浄及び乾燥工程、解砕工程、並びに篩別工程を含む。
【0016】
<フレーク化工程>
前記フレーク化工程は、平均粒径が1μm〜15μmの銀粉を、溶媒及び直径0.1mm〜3mmのボール(メディア)により伸展させて、銀粉の平均粒径が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理する工程である。
前記フレーク化処理により、次式(1)、A×A×B>50を満たし、好ましくは平均粒径が2μm〜30μm、アスペクト比が10〜300、BET比表面積が0.5m2/g〜4m2/gであるフレーク状銀粉を得ることができる。
【0017】
<<フレーク化処理を施す対象となる銀粉>>
前記フレーク化処理を施す対象となる銀粉としては、平均粒径が1μm〜15μm(好ましくは1μm〜8μm)であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、球状又は不定形状の銀粉が好ましい。
ここで、前記球状とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で銀粉を観察した場合、粒子形状が球形又は略球形であり、粒子100個の球状度(球状度:SEM写真で粒子を観察した時の、(最も長径部の径)/(最も短径部の径))が1.5以下である銀粉を意味する。
前記不定形状とは、SEMで観察した場合、粒子形状が、前記球状以外であり、円柱状、角柱状等の特定の粒子形状の特徴を有しない銀粉を意味する。
前記球状又は不定形状銀粉としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式還元法(例えば、特開平7−76710号公報参照)、アトマイズ法等の公知の手法で得られた球状又は不定形状銀粉などが挙げられる。
平均粒径が大きな銀粉であれば、より長径なフレーク状銀粉を製造できる。このため、平均粒径が比較的小さい銀粉を凝集操作し、二次粒子の平均粒径を長径化させたものを用いてもよい。具体的には、銀粉を加熱処理して、銀粉を凝集させ、簡易的な乾式ミキサー(例えば、ヘンシェルミキサー等)で弱解砕することにより得られる。
【0018】
前記フレーク化処理を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、転動ボールミル、アトライター、SCミル等のメディア式ミル(ボール、ビーズによる粉砕ミル)などが挙げられる。これらの装置としては、市販されているものをそのまま使用可能である。
【0019】
前記フレーク化処理を行う際には、銀粉とともに溶媒を加えて処理を行うことが好ましい。前記溶媒を加えないでフレーク化処理を行った場合には、処理中にフレーク状銀粉同士が凝集し、粒径が過大になると共に、アスペクト比が十分大きな値とならないことがある。前記溶媒の粘性が高い場合には、フレーク化が十分進まない。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶媒などが挙げられる。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、分子量200以下の有機溶媒が好ましく、分子量200以下のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、又はこれらの混合物)がより好ましい。
前記フレーク化処理時に添加する前記溶媒の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フレーク化処理する銀粉に対し、質量で0.1倍〜3倍が好ましい。前記添加量が、0.1倍未満であると、溶媒添加の効果が不十分であることがあり、3倍を超えると、十分なアスペクト比が得られないことがある。
【0020】
前記ボール(メディア)としては、直径が0.1mm〜3mmで形状が球状のボール(メディア)である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記ボール(メディア)の直径が、0.1mm未満であると、フレーク化処理後のフレーク状銀粉とメディアを分離する際、メディアの目詰まり等により、分離の効率が低下し、3mmを超えると、得られるフレーク状銀粉の粒径が過大になることがある。
前記ボール(メディア)の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレス(SUS)等の金属、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、製品へのコンタミネーションを考えると、ステンレス(SUS)が特に好ましい。
前記ボール(メディア)のフレーク化処理時における添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フレーク化処理する銀粉に対し、質量で1倍〜50倍が好ましい。前記添加量が、1倍未満であると、十分なアスペクト比が得られないことがあり、50倍を超えると、1回にフレーク化処理できる銀粉の量が少なくなり、処理コストが高くなることがある。
【0021】
前記フレーク化処理の処理時間は、処理強度、原料銀量、平均粒径、BET比表面積等により設定される。これらの中でも、所望の平均粒径及び比表面積に設定することが好ましく、平均粒径D50が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理することが特に好ましい。
前記メディア式ミルによるフレーク化処理に溶媒を用いた場合には、処理時間と平均粒径D50とは密接な関係があり、処理開始から、平均粒径D50は、上昇するが(上昇期)、ある時間になると平均粒径D50は高止まりの飽和となる緩慢な上昇となり、最大値をとる(飽和期)、更に長時間化とすると減少する(減少期)。このように、フレーク化処理の時間は、フレーク状銀粉の表面状態に大きく影響する。前記飽和期から減少期中に処理時間の終期を設定するのが好ましく、平均粒径D50が最大又は最大値を経過するまでに設定するのが特に好ましい。溶媒を用いたフレーク化処理においては処理時間によりBET比表面積は上昇する傾向にあるため、飽和期以降ではBET比表面積が大きくなり、結果として前記式(1)の数値が大きくなり、優れた導電性を有するフレーク状銀粉が得られるからである。
【0022】
得られるフレーク状銀粉の分散性を向上させるためには、分散剤をフレーク化処理する銀粉に対して、0.1質量%〜5質量%添加することが好ましい。前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属、キレート形成剤、保護コロイドなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪酸が特に好ましい。前記脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、又はそれらの混合物などが挙げられる。なお、フレーク化工程前の銀粉に分散剤を添加する代わりに、溶媒とともに前記分散剤を添加することもできる。前記分散剤をフレーク化工程前の銀粉に添加し、かつ前記分散剤をフレーク化工程で溶媒とともに添加してもよい。
【0023】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、洗浄及び乾燥工程などが挙げられる。
−洗浄及び乾燥工程−
前記洗浄及び乾燥工程は、得られたフレーク化処理後の銀粉を固液分離し、必要に応じて、洗浄を行い、乾燥する工程である。
前記洗浄及び乾燥としては、特に制限はなく、銀粉に対する公知の方法を適宜使用することができ、乾燥後において解砕を行ってもよい。
【0024】
以上のような処理を経て得られたフレーク状銀粉は、次式(1)、A×A×B>50を満たしている。
ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
前記式(1)のA×A×B>50の関係を満たすフレーク状銀粉は、優れた導電性ペーストの材料となる。
得られたフレーク状銀粉は、以下に説明する導電性ペーストの配合物等として、好適に利用可能である。
【0025】
(導電性ペースト)
本発明の導電性ペーストは、本発明の前記フレーク状銀粉を用いて作製される導電性ペーストであり、例えば、樹脂硬化型ペーストなどが挙げられる。
前記導電性ペーストの粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、30Pa・s〜100Pa・sが好ましい。前記導電性ペーストの粘度が、30Pa・s未満であると、印刷時に「にじみ」が発生することがあり、100Pa・sを超えると、印刷むらが発生することがある。
【0026】
前記導電性ペーストの作製方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記フレーク状銀粉を、樹脂と混合することにより製造することができる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、又はそれらの混合物などが挙げられる。
前記導電性ペーストにおける前記フレーク状銀粉の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0027】
本発明の導電性ペーストの比抵抗は、2×10−2(Ω・cm)以下が好ましく、5×10−4(Ω・cm)以下がより好ましく、3.3×10−5(Ω・cm)以下が更に好ましい。前記比抵抗が、2×10−2(Ω・cm)以下であると、極めて低比抵抗な導電性ペーストが実現可能である。
前記比抵抗は、例えば、デジタルマルチメーター(ADVANTEST社製、R6551)を用いて、測定することができる。
【0028】
本発明の導電性ペーストは、従来のフレーク状銀粉を含有する導電性ペーストに比較して、低い銀含有量でも導電性に優れた導電膜を形成することができる。そのため、本発明の導電性ペーストは、種々の電子部品の電極、回路、電磁波シールド材を形成するための導電性ペーストとして好適に利用可能である。なお、本発明のフレーク状銀粉は、従来よりも少ないペーストへの添加量で、良好な導電性が得られる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
以下のようにして、フレーク状銀粉を製造した。また、得られたフレーク状銀粉を用い、導電性ペーストを作製した。また、前記導電性ペーストを塗布し、加熱処理することにより導電膜を形成した。なお、フレーク状銀粉のBET比表面積、粒径(D10、平均粒径D50、D90)、アスペクト比、タップ密度、及び嵩密度の測定方法は、以下に示す通りである。
【0031】
<BET比表面積の測定方法>
フレーク状銀粉のBET比表面積は、MONOSORB装置(湯浅アイオニクス株式会社製)で、He:70%、N2:30%のキャリアガスを用い、銀粉3gをセルに入れて脱気を60℃で10分間行った後、BET1点法により測定を行った。
【0032】
<粒径(D10、平均粒径D50、D90)の測定方法>
フレーク状銀粉の粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、MICROTORAC HRA)を用いて、銀粉0.3gをイソプロパノール30mLに加え、超音波分散処理を5分間行って試料を準備し、全反射モードで粒径の測定を行った。測定により得た質量累積分布により、10質量%、50質量%、及び90質量%における粒径値を得た。ここでの50質量%値をD50で表す平均粒径(μm)としている。なお、Dxとあるのは、x値の質量%における粒径を表す変数である。
【0033】
<アスペクト比の測定方法>
フレーク状銀粉のアスペクト比は、(平均長径L/平均厚みT)により求めた。ここで、「平均長径L」と「平均厚みT」は、走査型電子顕微鏡で測定したフレーク状銀粉100個の平均長径と平均厚みを示す。
【0034】
<タップ密度の測定方法>
フレーク状銀粉のタップ密度(g/cm3)は、タップ比重測定器(柴山科学株式会社製、カサ比重測定器SS−DA−2型)を使用し、銀粉試料15gを計量して、容器(20mL試験管)に入れ、落差20mmで1,000回タッピングし、タップ密度=試料重量(15g)/タッピング後の試料体積(cm3)から算出した。
【0035】
<嵩密度の測定方法>
フレーク状銀粉の嵩密度(g/cm3)は、JIS K5101に基づき、嵩比重測定器(蔵持科学器械製作所製)で測定した。
【0036】
(実施例1)
−銀粉の製造:I法−
銀濃度が3.35質量%の硝酸銀水溶液322kgに、25質量%アンモニア水40.5kgを加えて、銀アンミン錯体水溶液を作製した。
生成した銀アンミン錯体水溶液に濃度9.1質量%の水酸化ナトリウム水溶液4.44kgを加えてpH調整し、水464kgを加えて希釈した後に、還元剤として工業用ホルマリン52.6kgを加えた。
その直後に、含量95質量%のステアリン酸14.8gをエタノール2.37kgに溶かした溶液を分散剤として加えた。
このようにして得られた銀のスラリーをろ過、水洗した後乾燥し、銀粉10.7kgを得た。
得られた銀粉を5kgとり、20Lのヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製、FM20C/I型三井ヘンシェルミキサー)に投入し、解砕処理を行った
得られた銀粉のBET比表面積は0.31m2/gであり、D10は1.8μm、平均粒径(D50)は3.1μm、D90は4.8μmであった(表1中のフレーク前粉反応解砕後の欄に示す。)。
【0037】
−フレーク化処理−
得られた銀粉800gに、分散剤としての脂肪酸(ステアリン酸)を銀粉に対して2.0質量%となる量を加え、ブレンダーで1分間混合しつつ解砕を実施した。
得られた銀粉のBET比表面積は0.27m2/gであり、D10は1.6μm、平均粒径D50は3.1μm、D90は5.2μmであった(表2中のフレーク前粉熱処理解砕後の欄に示す。)。
メディアとしてのステンレス(SUS)ボール16.26kg(直径1.6mm)、溶媒としてのアルコール(日本アルコール販売株式会社製、ソルミックスAP−7)966g、及び前記銀粉644gをアトライター(三井鉱山株式会社製、MS−1SE−X)に入れて、撹拌回転数360rpm、処理時間4時間の条件(平均粒径D50が最大となる(飽和期))でフレーク化処理を行い、フレーク状銀粉含有スラリーを得た。
このスラリーを篩でボールから分離後にヌッチェにてろ過し、フレーク状銀粉の湿潤ケーキを得た。
得られたフレーク状銀粉の湿潤ケーキを70℃で10時間真空乾燥し、ブレンダーにて1分間解砕後に目開き40μmの振動篩を通して、フレーク状銀粉を作製した。
得られたフレーク状銀粉について、図2にSEM写真(2,000倍)、及び図3にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は1.47m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が5.0μm、平均粒径D50が9.2μm、D90が14.5μmであり、タップ密度1.5g/cm3、嵩密度0.68g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は124、アスペクト比は66であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0038】
(実施例2)
実施例1において、フレーク化処理時間を6時間とした以外は、実施例1と同様にして、フレーク状銀粉を作製した。平均粒径D50が最大となる時期を経過している(飽和期から減少期)。
得られたフレーク状銀粉について、図4にSEM写真(2,000倍)、及び図5にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は2.14m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が4.5μm、平均粒径D50が8.9μm、D90が14.1μmであり、タップ密度は1.1g/cm3、嵩密度は0.44g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は170、アスペクト比は79であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0039】
(実施例3)
−銀粉の製造:II法−
銀濃度が2.7質量%の硝酸銀水溶液375kgに、25質量%アンモニア水溶液19kgを加えて、銀アンミン錯体水溶液を生成した。
生成した銀アンミン錯体水溶液に還元剤として37質量%ホルマリン水溶液25kgを加えた。
また、還元剤を加えた直後に、分散剤としてステアリン酸10gを加え、銀粉を含むスラリーを生成した。得られたスラリーをろ過、水洗した後、75℃で乾燥して、銀粉を10.7kg得た。
得られた銀粉を三井鉱山株式会社製のヘンシェルミキサーFM75型(羽根:Ao型(一般タイプ))を用いて、羽根回転数1,000rpm、処理時間10分間の条件にて解砕を行い、解砕済みの銀粉を得た。この解砕済みの銀粉のBET比表面積は0.46m2/g、D10は2.2μm、平均粒径D50は4.6μmであり、D90は10.0μmであった(表1中のフレーク前粉反応解砕後の欄に示す)。
【0040】
−フレーク化処理−
更にこの解砕済みの銀粉を、140℃、20時間の条件で熱処理した。
熱処理後の銀粉800gに、分散剤としての脂肪酸(ステアリン酸)を銀粉に対して2.0質量%となる量を加え、ブレンダーで1分間混合しつつ解砕を実施した。得られた銀粉のBET比表面積は0.30m2/g、D10は2.9μm、平均粒径D50は5.7μm、D90は10.4μmであった(表2中にフレーク前粉熱処理解砕後の欄に示す)。
メディアとしてのステンレス(SUS)ボール16.26kg(直径1.6mm)、溶媒としてのアルコール(日本アルコール販売株式会社製、ソルミックスAP−7)966g及び前記解砕した銀粉644gをアトライター(三井鉱山株式会社製、MS−1SE−X)に入れて、撹拌回転数360pm、処理時間5時間の条件(平均粒径D50が最大となる)でフレーク化処理を行い、フレーク状銀粉含有スラリーを得た。
このスラリーを篩でボールから分離後にヌッチェにてろ過し、フレーク状銀粉の湿潤ケーキを得た。
このフレーク状銀粉の湿潤ケーキを70℃で10時間真空乾燥し、ブレンダーにて1分間解砕後に目開き40μmの振動篩を通してフレーク状銀粉を得た。
得られたフレーク状銀粉について、図6にSEM写真(2,000倍)、及び図7にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は2.02m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10は5.1μm、平均粒径D50は12.0μm、D90は20.3μmであり、タップ密度は1.1g/cm3、嵩密度は0.42g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は291、アスペクト比は60であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0041】
(実施例4)
実施例3において、熱処理温度180℃、フレーク化処理を5.25時間とした以外は、実施例3と同様にして、フレーク化銀を作製した(平均粒径D50が最大となる)。なお、熱処温度が実施例3〜6は異なるため粒径が最大となる飽和期、減少期の粒径値が異なる(表2参照)。
得られたフレーク状銀粉について、図8にSEM写真(2,000倍)、及び図9にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉の比表面積(BET)は1.56m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が6.1μm、平均粒径D50が14.7μm、D90が24.6μmであり、タップ密度は1.1g/cm3、嵩密度は0.50g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は337、アスペクト比は60であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0042】
(実施例5)
実施例3において、熱処理温度188℃、フレーク化処理を5.5時間とした以外は、実施例3と同様にして、フレーク化銀を作製した(平均粒径D50が最大となる)。
得られたフレーク状銀粉について、図10にSEM写真(2,000倍)、及び図11にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は1.38m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が7.3μm、平均粒径D50が17.2μm、D90が26.2μmであり、タップ密度は1.3g/cm3、嵩密度は0.58g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は408、アスペクト比は64であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0043】
(実施例6)
実施例3において、熱処理温度を200℃とした以外は、実施例3と同様にして、フレーク化銀を作製した(平均粒径D50が最大となる)。
得られたフレーク状銀粉について、図12にSEM写真(2,000倍)、及び図13にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は、0.96m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が8.2μm、平均粒径D50が19.8μm、D90が29.2μmであり、タップ密度は1.4g/cm3、嵩密度は0.72g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は376、アスペクト比は56であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0044】
(比較例1)
実施例3において、フレーク化処理を以下に示す振動ボールミルで、以下に示すようにして行った以外は、実施例3と同様にして、フレーク状銀粉を作製した。
実施例3の熱処理後銀粉に対し分散剤としての脂肪酸(ステアリン酸)を0.2質量%となる量に加え、ブレンダーで1分間混合解砕を実施した。
分散剤を混合解砕した銀粉1,580gと、メディアとしてのステンレス(SUS)ボール12.63kg(直径1.6mm)を振動ボールミル(中央化工機株式会社製、B−1)に加えて振動数1,452Vpmの条件で、90分間フレーク化処理を行った。
フレーク化処理後に篩にてフレーク状銀粉をボールと分離し、粗粒を除去するために目開き40μmの振動篩を通してフレーク状銀粉を得た。
得られたフレーク状銀粉について、図14にSEM写真(2,000倍)、及び図15にSEM写真(5,000倍)を示す。
得られたフレーク状銀粉のBET比表面積は、0.44m2/g、フレーク状銀粉の粒径は、D10が4.8μm、平均粒径D50が10.5μm、D90が21.3μmであり、タップ密度は4.6g/cm3、嵩密度は2.50g/cm3、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕は49、アスペクト比は9であった。これらの結果を表3−1及び表3−2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3−1】
【表3−2】
【0048】
<導電性ペーストの作製>
作製した実施例1〜6及び比較例1の各フレーク状銀粉40質量部、ポリエステル樹脂(バイロン−200、東洋紡績株式会社製)18質量部、及び溶剤(ECaA(エチルカルビトールアセテート))42質量部を含む組成物をプロペラレス自公転式攪拌脱泡装置(シンキー社製、AR−250)で30秒間混練することにより、各導電性ペーストを作製した。
【0049】
<導電膜の形成及び評価>
得られた各導電性ペーストを、スライドガラス上にマイクロテック社製スクリーン印刷機を用いて、長さ65mm、幅10mmに印刷し、膜を形成した。
得られた膜を、大気循環式乾燥機を用い、170℃で30分間の条件で加熱処理し、導電膜を形成した。
得られた各導電膜について、以下のようにして、膜厚、及び比抵抗を測定した。結果を表4に示す。
【0050】
−導電膜の膜厚の測定−
得られた各導電膜について、表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、SE−30D)を用い、スライドガラス上で導電膜を印刷していない部分と導電膜を形成している部分との段差(厚み)を測定することにより導電膜の膜厚を求めた。
【0051】
−導電膜の比抵抗−
得られた各導電膜について、デジタルマルチメーター(ADVANTEST社製、R6551)を用い、抵抗値を測定し、導電膜のサイズ(膜厚、幅、長さ)から導電膜の体積を求め、該体積と測定した抵抗値から導電膜の比抵抗(体積抵抗率)を求めた。
【0052】
【表4】
表4中、元粉Iは、実施例1のI法で製造されたフレーク化処理前の銀粉を意味する。元粉IIは、実施例3のII法で製造されたフレーク化処理前の銀粉を意味する。
【0053】
次に、実施例1〜6及び比較例1について、フレーク状銀粉の前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕と、導電膜の比抵抗との関係を図16に示す。
図16の結果から、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕>50を満たす実施例1〜6は、前記式(1)の〔A(平均粒径)×A(平均粒径)×B(BET比表面積)〕>50を満たさない比較例1に比べて、導電膜の比抵抗が低いことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のフレーク状銀粉を用いて作製される導電性ペーストは、優れた導電性を有しているので、種々の電子部品の電極や回路を形成するためのペーストとして、好適に用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーク状銀粉であって、次式(1)、A×A×B>50を満たすことを特徴とするフレーク状銀粉。
ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
【請求項2】
平均粒径が1μm〜15μmの銀粉を、溶媒及び直径0.1mm〜3mmのボールにより伸展させて、銀粉の平均粒径が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理することを特徴とするフレーク状銀粉の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のフレーク状銀粉を用いて作製されたことを特徴とする導電性ペースト。
【請求項1】
フレーク状銀粉であって、次式(1)、A×A×B>50を満たすことを特徴とするフレーク状銀粉。
ただし、前記式(1)中、Aは、フレーク状銀粉のレーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径(単位:μm)、Bは、フレーク状銀粉のBET比表面積(単位:m2/g)を表す。
【請求項2】
平均粒径が1μm〜15μmの銀粉を、溶媒及び直径0.1mm〜3mmのボールにより伸展させて、銀粉の平均粒径が最大又は最大値を経過するまでフレーク化処理することを特徴とするフレーク状銀粉の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のフレーク状銀粉を用いて作製されたことを特徴とする導電性ペースト。
【図1】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−92442(P2012−92442A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212033(P2011−212033)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
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