フレーク製造機
【課題】溶融炉からの供給量を自動調整できるフレーク製造機を提供する。
【解決手段】上面が半径方向に傾斜したターンテーブル2と、ターンテーブル2に原料を供給する原料供給源1と、原料供給源1の供給量を制御する供給量制御装置Cとを備え、供給量制御装置Cは、原料供給源の供給量を調整する供給量調整機6と、ターンテーブルを撮影するカメラ4と、カメラ4の撮影画像における原料部分の面積から原料供給源の供給量を演算し、演算結果を基に供給量調整機に調整指示を与える演算機5とからなる。ターンテーブル2の上面に均一な厚さの原料凝固体を得ることができ、原料凝固体の面積を演算することで原料供給源の供給量を求めることができ、供給量制御装置Cを簡易なものにできる。
【解決手段】上面が半径方向に傾斜したターンテーブル2と、ターンテーブル2に原料を供給する原料供給源1と、原料供給源1の供給量を制御する供給量制御装置Cとを備え、供給量制御装置Cは、原料供給源の供給量を調整する供給量調整機6と、ターンテーブルを撮影するカメラ4と、カメラ4の撮影画像における原料部分の面積から原料供給源の供給量を演算し、演算結果を基に供給量調整機に調整指示を与える演算機5とからなる。ターンテーブル2の上面に均一な厚さの原料凝固体を得ることができ、原料凝固体の面積を演算することで原料供給源の供給量を求めることができ、供給量制御装置Cを簡易なものにできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーク製造機に関する。さらに詳しくは、溶融金属等を冷却固化して掻き取り、木の葉状片あるいは燐状片のフレークを得るフレーク製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
バナジウムは、鋼や合金に添加されるとその抗張力や耐熱性を高める性質があり、建築構造材、橋梁、工具、航空機、ロケット向けに使用されている。また、触媒として石油の脱硫、アルコールの酸化、硫酸製造、プロピレン樹脂合成等にも利用されている。
日本は、バナジウム全量を、主にV2O5やフェロバナジウムの形態で輸入しているが、バナジウムは国家備蓄の対象となっていることもあって、リサイクル利用技術が開発され、バナジウムを石油精製用使用済触媒等からの回収という形での生産も行われている。
【0003】
従来の石油精製用使用済触媒を処理しバナジウムを回収する方法には、ソーダ焙焼と溶媒抽出法を用いたものがあるが、得られるバナジウムはV2O5の形態であって固液分離されたあとろ過材から剥離された固形堆積物(以下、ケーキという)、またはこれを乾燥させ造粒し成形した粒状物である。ところで、五酸化バナジウムは、有害物質であり、吸引したり、粘膜に付着すると人体に大きな悪影響を与える。そのため、微粉等の発塵は人体にとって危険が大きい。
【0004】
そこで、運搬時やバナジウム利用製品の製造工程における安全性を考えるとフレーク化等の製品化工程が必要とされる。五酸化バナジウムをフレーク化するには、五酸化バナジウムのケーキを溶融炉で溶融し、溶融金属を溶融炉からターンテーブルに出湯し、ターンテーブルで溶融金属を冷却固化してシート状の溶融金属凝固体を得、そのシート状の溶融金属凝固体を掻き取ることで、木の葉状片あるいは燐状片のフレークを得ることが行われる。
ここで、溶融金属を溶融炉からターンテーブルに出湯するにあたり、溶融金属がターンテーブルからこぼれ落ちないように、かつ、一定量の溶融金属が出湯されるように、溶融炉の供給量が調整される。
【0005】
従来、溶融炉の供給量の調整は、作業員が溶融炉から出湯されてくる溶融金属の量を目視しつつ、溶融炉の傾転量を手動操作で調整することで行われていた。この作業は特定化学物質を扱うだけでなく、暑熱作業(溶融金属は700℃程度である)であり、非常に危険であるという問題があり、自動化が望まれていた。
【0006】
一方、特許文献1には、アノード鋳造設備において、溜鍋の重量を測定し、その重量を基に精製炉の傾転量を調整して溜鍋への溶銅の供給量を自動調整する技術が記載されている。
しかるに、この従来技術は溜鍋の重量を測定するため、装置が複雑になるという問題がある。
また、溜鍋の重量を測定するため、ターンテーブルに連続的に出湯される溶融金属の供給量の調整には、適用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−68370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、溶融炉からの供給量を自動調整できるフレーク製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明のフレーク製造機は、上面が半径方向に傾斜したターンテーブルと、該ターンテーブルの上面に原料を供給する原料供給源と、該原料供給源の供給量を制御する供給量制御装置とを備えており、前記供給量制御装置は、前記原料供給源の供給量を調整する供給量調整機と、前記ターンテーブルの上面を撮影するカメラと、該カメラの撮影画像における原料部分の面積から前記原料供給源の供給量を演算し、該演算結果を基に前記供給量調整機に調整指示を与える演算機とからなることを特徴とする。
第2発明のフレーク製造機は、第1発明において、前記演算機は、前記カメラの撮影画像中の所定の処理領域における原料部分の面積比を演算する供給量演算手段と、該供給量演算手段で演算した面積比が所定値となるように、前記供給量調整機に調整指示を与える指示手段とを備えることを特徴とする。
第3発明のフレーク製造機は、第2発明において、前記供給量演算手段は、前記処理領域を色彩を基に二値化して原料部分とそれ以外の部分を区別し、該原料部分の面積比を演算することを特徴とする。
第4発明のフレーク製造機は、第3発明において、前記処理領域は、前記原料が冷えて固まった領域であることを特徴とする。
第5発明のフレーク製造機は、第2、第3または第4発明において、前記供給量演算手段は、所定時間間隔で前記原料部分の面積比を演算し、前記指示手段は、前記供給量演算手段で演算した面積比の平均値が所定値となるように、前記供給量調整機に調整指示を与えることを特徴とする。
第6発明のフレーク製造機は、第5発明において、前記指示手段は、上閾値と下閾値とが記憶されており、前記面積比の平均値が前記下閾値を下回ったときに、記前記供給量調整機に供給量増加指示を与え、前記面積比の平均値が前記上閾値を上回ったときに、記前記供給量調整機に供給量減少指示を与えることを特徴とする。
第7発明のフレーク製造機は、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記指示手段は、異常閾値が記憶されており、前記面積比が前記異常閾値を上回ったときに、記前記供給量調整機に供給停止指示を与えることを特徴とする。
第8発明のフレーク製造機は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7発明において、前記ターンテーブルには、該ターンテーブル上の原料を傾斜の上方へ押し戻す方向にエアーを吹き付けるエアーノズルが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、ターンテーブルの上面は半径方向に傾斜しているから、ターンテーブルの上面に供給された原料がターンテーブルの傾斜に沿って流れつつ冷却固化し、更にその上面を未固化の原料が傾斜に沿って流れていくため、ほぼ均一な厚さの原料凝固体を得ることができる。そのため、原料凝固体の面積を演算することで原料供給源の供給量を求めることができ、原料の重量を測定する必要がないので供給量制御装置を簡易なものにできる。また、供給量制御装置により原料供給源の供給量を制御するので、作業員にとって危険な作業を自動化でき、作業員の安全を確保できる。
第2発明によれば、カメラの撮影画像中の処理領域における原料部分の面積比を演算することで、原料供給源の供給量を演算できるので、供給量演算手段を簡易なものにできる。
第3発明によれば、処理領域を色彩を基に二値化して原料部分とそれ以外の部分を区別し、原料部分の面積比を演算するので、基本的な画像処理で原料供給源の供給量を演算できる。
第4発明によれば、処理領域は原料が冷えて固まった領域であるので、原料の色が変化しており、原料とターンテーブルとの色彩のコントラストが強くなり、色彩を基に原料部分とそれ以外の部分を精度よく二値化できる。また、原料が冷えて固まった領域では、原料の粘度にかかわらず供給量に対する面積のブレが少ない。そのため、原料供給源の供給量を精度よく演算できる。
第5発明によれば、面積比の平均値が所定値となるように、原料供給源の供給量を制御するので、原料が雲状に広がる影響を軽減できる。そのためハンチングせず滑らかな動きで供給量を制御できる。
第6発明によれば、前記面積比の平均値が下閾値と上閾値の間となるように、原料供給源の供給量を制御するので、ハンチングする恐れがなく、滑らかな動きで供給量を制御できる。
第7発明によれば、面積比が異常閾値を上回ったときに、原料供給源の供給を停止するので、原料の供給量が異常に多くなりターンテーブルからこぼれ落ちることを防止できる。
第8発明によれば、ターンテーブル上の原料にエアーを吹き付けることにより、原料が多いときにターンテーブルからこぼれ落ちるのを防止し、原料を処理領域に収めることができる。そのため、原料供給源の供給量を精度よく演算できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るフレーク製造機の平面図である。
【図2】同フレーク製造機の溶融炉の側面視断面図である。
【図3】同フレーク製造機の溶融炉からの出湯の説明図である。
【図4】同フレーク製造機のターンテーブルの平面図である。
【図5】図4のV-V線矢視図である。
【図6】同フレーク製造機の供給量制御装置の機能ブロック図である。
【図7】演算機の処理を示すフローチャートである。
【図8】供給量演算の処理を示すフローチャートである。
【図9】調整指示の処理を示すフローチャートである。
【図10】(a)はカメラの撮影画像であり、(b)は二値化後の撮影画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るフレーク製造機Aは、五酸化バナジウムの溶湯を供給する溶融炉1と、溶融炉1から溶湯が供給されるターンテーブル2と、そのターンテーブル2で冷却固化された五酸化バナジウムをフレークに破砕する破砕機3と、溶融炉1の供給量を制御する供給量制御装置Cとを備えている。また、供給量制御装置Cは、ターンテーブル2の上面を撮影するカメラ4と、そのカメラ4に接続された演算機5と、溶融炉1を傾転させ溶湯の供給量を調整する傾転手段6とを備えている。
なお、本実施形態において溶融炉1が特許請求の範囲に記載の原料供給源に相当し、傾転手段6が特許請求の範囲に記載の供給量調整機に相当する。
【0013】
図2に示すように、溶融炉1は、内部に五酸化バナジウム堆積物Vhを収容し、これを当て吹きできる炉であれば、とくに制限なく、どのような炉を用いてもよい。
【0014】
溶融炉1の炉蓋には、五酸化バナジウムVを投入するためのシュート11が設けられている。シュート11から溶融炉1内に投入された原料は、シュート11直下を頂点として円錐形に堆積される。このようにして堆積されたものが五酸化バナジウム堆積物Vhである。
【0015】
溶融炉1には加熱器12が、溶融炉1内に投入された五酸化バナジウム堆積物Vhの斜面を直接加熱できる位置に取付けられる。
そして、加熱器12は溶融炉1内に収容した五酸化バナジウム堆積物Vhを直接加熱できるもの、すなわち当て吹きできるものであれば、どのような加熱手段であってもよい。代表的には、火炎を噴射するバーナーや熱風を放射する熱風ノズルなどが挙げられる。そして、バーナーから放射された火炎によって五酸化バナジウム堆積物Vhの表面が当て吹きされる。
【0016】
溶融炉1は、溶湯の出湯口13を五酸化バナジウム堆積物Vhから溶け出した溶湯が溜る部位に備えている。
【0017】
溶融炉1は、溶湯を排出するため溶融炉1を傾転する傾転機構を備えている。この傾転機構は、出湯口13近傍における炉側壁に取付けられた傾転軸部14と、傾転軸部14を支点として溶融炉1を傾転させる傾転手段6とからなる。
傾転軸部14は、溶融炉1の炉側壁に取付けた傾転軸14aと、この傾転軸14aを回転自在に支持する軸受14bとからなる。なお、軸受14bは溶融炉1を全体的に支えている基台10に固定されている。
【0018】
一方、溶融炉1の出湯口13から遠い炉側壁には傾転手段6としてのジャッキ6が取付けられている。このジャッキ6には、モータ駆動でネジ棒が伸縮するものや、油圧シリンダで構成したものなど、溶融炉1の一端を上げ下げできるものであれば、とくに制限なく種々の手段を採用できる。また、傾転手段としては、図示のものの外、工場建屋の天井などから吊下げたチェーンやロープ等を巻上げ装置で上げ下げする手段などを用いてもよい。
【0019】
図3に示すように、五酸化バナジウム堆積物Vhの長斜面を加熱器12から放射した火炎fで当て吹きすれば、その一部の斜面から五酸化バナジウムが溶けて溶湯Vmとして流れ出し、斜面の上から下に向けて溶湯Vmが流れ落ちていく。
【0020】
そして、ジャッキ6を伸長させれば、溶融炉1を傾転軸部14を支点として傾転させることができ、出湯口13が下になるように傾けると、出湯口13から溶湯Vmを取り出すことができる。
ここで、ジャッキ6の伸長を制御し溶融炉1の傾転量を調整することで、溶融炉1から供給される溶湯の供給量を調整できる。
【0021】
図4および図5に示すように、ターンテーブル2の上方には原料供給手段が配置されている。原料供給手段としては、五酸化バナジウムの溶湯Vmを流し込む流し樋21が配置されている。この流し樋21の基部に溶融炉1の出湯口13から溶湯Vmを流し込むと、先端部から溶湯Vmをターンテーブル2の上面に供給して広い面積に広げることができる。
【0022】
流し樋21は、溶融炉1の出湯口13の直下からターンテーブル2の上面に流し掛けるように配置されている。この流し樋21の基部、すなわち出湯口13側の端部は支持ピン21p等で回動自在に支持され、流し樋21全体が左右に振れるように取付けられている。また、このように横振れしても流し樋21を安定した姿勢に保持できるように、受け台21sが流し樋21の下面に配置されている。受け台21sは幅広の板状部材であって、流し樋21を横振れしても支持できるだけの横幅を備えている。
流し樋21を左右に横振りして、流し樋21の先端位置をターンテーブル2の半径方向において変位させると、溶湯Vmをターンテーブル2上で概ね均等な厚さで広く展開することができる。
【0023】
図5に示すように、ターンテーブル2の上面は、円板状の金属材料、たとえば、鉄板などの伝熱性のある材料で構成されている。また、ターンテーブル2の上面は中心部から半径方向外側へ向かって下傾している。傾斜させた理由は、溶湯Vmの展開の容易さ確保と冷却媒体の水蒸気爆発の防止である。すなわち、ターンテーブル2の傾斜角は、五酸化バナジウム溶湯Vmの流れやすさと、後述する冷却タンク22内での冷却水の流れやすさの観点から選択され、その角度範囲は2°〜10°、好ましくは4°〜6°である。ターンテーブル2の上面が水平であると、溶湯Vmを均一な厚さに展開することは難しいが、傾斜させることにより、溶湯Vmを均一な厚さに展開することができる。そのため、本ターンテーブル2により、ほぼ均一な厚さの五酸化バナジウム凝固体Vmを得ることができる。
【0024】
ターンテーブル2の下面には冷却タンク22が設けられている。この冷却タンク22は冷却水などの冷媒を循環させて、ターンテーブル2上に広げられた五酸化バナジウム溶湯Vmを冷却するための手段である。
そして、冷却タンク22に冷媒を供給する冷媒供給管23や熱交換後の冷媒を排出する排出管24などが付設されている。
【0025】
冷却タンク22の下面にはターンテーブル2を回転させるための動力筒25が取付けられている。この動力筒25には歯車が取付けられたり、図示しないチェーンホイール等が取付けられたりして、外部動力を受けて、ターンテーブル2を水平面内で回転させることができる。
【0026】
図4に示すように、ターンテーブル2を回転させた状態(矢印R参照)で、流し樋21から溶湯Vmを流下させると溶湯Vmがターンテーブル2上で広く展開される。そして、溶湯Vmが、後述するスクレーパー27でせき止められるまでの間に、冷却タンク22内を循環する冷却水で冷却され溶湯Vmが1〜5mm位の厚さの層状物に固化される。
【0027】
ターンテーブル2の外側において、流し樋21の出側端からスクレーパー27に向う位置には、補助冷却手段としてのエアーノズル26が配置されている。
このエアーノズル26は、複数個がほぼ円周方向等間隔に配置されており、ターンテーブル2の上面において、エアーを半径方向外側から内側に向けて、すなわち溶湯Vmを傾斜の上方へ押し戻す方向に吹き付けるようになっている。
これらのエアーノズル26は、ターンテーブル2上を半径方向外側に向って流れ落ちる溶湯Vmが過度に多いとき、これにエアーを吹き付けて押し戻しターンテーブル2からこぼれ落ちるのを阻止するものであり、かつ溶湯Vmを空気冷却し、冷却効率を高めるものである。
【0028】
ターンテーブル2の上面には、流し樋21の出側端から円周方向において約90°〜270°位の間に、スクレーパー27が配置されている。このスクレーパー27は、固化した溶湯Vmをターンテーブル2上でせき止めるものである。
【0029】
スクレーパー27の手前には、掻き取り具28が配置されている。この掻き取り具28は、固化した溶湯Vmをターンテーブル2の外(矢印d方向)へ掻き出すものであり、そのような機能を果たすことができれば、どのような手段を用いてもよい。
【0030】
また、ターンテーブル2の外であって、掻き取り具28の掻き出し方向dには、破砕機3が設けられている。この破砕機3で、ターンテーブル2で冷却固化された五酸化バナジウム溶湯Vmが木の葉状片あるいは燐状片のフレークに破砕される。
【0031】
図6に示すように、供給量制御装置Cは、ターンテーブル2の上面を撮影するカメラ4と、そのカメラ4に接続された演算機5と、前述の傾転手段6とからなる。
また、演算機5は、コンピュータで構成されており、カメラ4の撮影画像から溶融炉1からの供給量を演算する供給量演算手段51と、供給量演算手段51の演算結果を基に傾転手段6に調整指示を与える指示手段52と、供給量演算手段51で演算した供給量を記憶する供給量記憶部53と、指示手段52の調整指示の判断に用いる各種閾値が記憶された閾値記憶部54とからなる。
【0032】
つぎに、演算機5の処理について説明する。
図7に示すように、演算機5は、カメラ4の撮影画像から後述の瞬時供給量と平均供給量とを演算し(ステップS1)、それら瞬時供給量と平均供給量を基に傾転手段6に調整指示を与える(ステップS2)。そして、溶融炉1からの出湯が完了するまでステップS1とS2を所定時間間隔で繰り返す(ステップS3)。これにより、出湯中は常に溶融炉1の供給量を制御している。
なお、上記ステップS1の供給量演算は供給量演算手段51で行い、ステップS2の調整指示は指示手段52で行う。
【0033】
つぎに、図8に基づき、供給量演算手段51の供給量演算について説明する。
まず、供給量演算手段51は、カメラ4で撮影したターンテーブル2の上面の撮影画像を取得する(ステップS11)。
図10(a)に示すように、カメラ4の撮影画像は、背景にターンテーブル2が映っており、ターンテーブル2の上に流し樋21から供給された溶湯Vmが横長の雲状に広がった画像となっている。
【0034】
つぎに、供給量演算手段51は、取得した撮影画像において予め定めておいた処理領域をマスキングし、撮影画像中の処理領域部分を切りだす(ステップS12)。
ここで、図10(a)に示すように、処理領域Mは流し樋21の出側端からスクレーパー27側に離れた領域であって、溶湯Vmが冷えて固まった領域であることが好ましい。この効果については後に説明する。
また、処理領域Mを略台形とし、その上底をターンテーブル2の内側付近に、下底をターンテーブル2の外側付近に設定し、他の2辺をターンテーブル2の半径に平行とすることが好ましい。このような形とすれば、所定時間の間に溶融炉1から供給された溶湯Vmが処理領域Mに収まり、後述の瞬時供給量と、溶融炉1から供給された溶湯Vmの量との整合がとれるからである。なお、処理領域Mの形、大きさ、位置等は、本実施形態において示されたものに限らす、供給量を精度よく演算できるように最適のものを選択すればよい。
また、ターンテーブル2に配置されたエアーノズル26により、ターンテーブル2上を半径方向外側に向って流れ落ちる溶湯Vmにエアーを吹き付けて押し戻すことにより、溶湯Vmを処理領域Mに収めることができる。そのため、溶融炉1の供給量を精度よく演算できる。
【0035】
つぎに、供給量演算手段51は、処理領域M部分を色彩を基に二値化して溶湯Vm部分とそれ以外の部分とを区別する(ステップS13)。
図10(b)に示すように、色彩を基に二値化すると、溶湯Vm部分が黒、ターンテーブル2部分が白となり、溶湯Vm部分とそれ以外の部分とを区別することができる。このような二値化は、基本的な画像処理であるので、供給量演算手段51を簡易なものにできる。
ここで、五酸化バナジウムの溶湯Vmは、出湯直後は赤く、冷えて固まると黒色となる性質を有する。そのため、前述のごとく、処理領域Mを溶湯Vmが冷えて固まった領域とすれば、処理領域M内の溶湯Vmは黒色となる。そうすると、溶湯Vmとターンテーブル2との色彩のコントラストが強いので、色彩を基に溶湯Vm部分とターンテーブル2部分を精度よく二値化できる。
【0036】
つぎに、供給量演算手段51は、処理領域Mにおける、全体の面積と溶湯Vm部分の面積との面積比を求め、瞬時供給量を演算する(ステップS14)。
具体的には、図10(b)において処理領域Mの面積の演算し、処理領域M中の黒色部分の面積から溶湯Vm部分の面積を演算し、溶湯Vm部分の面積を処理領域Mの面積で除算して面積比を演算する。この面積比を瞬時供給量とする。このように単純な演算で瞬時供給量を求めることができるので、供給量演算手段51を簡易なものにできる。なお、処理領域Mの面積は一定であるので、その面積を予め演算し記憶しておけば、より処理を簡易にできる。
前述のごとく、ターンテーブル2の上面は半径方向に傾斜しているから、ターンテーブル2の上面に供給された溶湯Vmがターンテーブル2の傾斜に沿って流れつつ冷却固化し、更にその上面を未固化の溶湯Vmが傾斜に沿って流れていくため、ほぼ均一な厚さの五酸化バナジウム凝固体Vmを得ることができる。そのため、五酸化バナジウム凝固体Vmの面積は溶融炉1の供給量と比例関係にあり、前記面積比を溶融炉1の供給量とすることができる。
また、溶湯Vmが冷えて固まった領域では、溶湯Vmの粘度にかかわらず厚さが一定であり供給量に対する面積のブレが少ない。そのため、処理領域Mを溶湯Vmが冷えて固まった領域とすれば、溶融炉1の供給量を精度よく演算できる。
【0037】
供給量演算手段51は、算出した瞬時供給量を供給量記憶部53に記憶する。
供給量演算手段51による瞬時供給量の演算は、溶融炉1からの出湯が完了するまで所定時間間隔で繰り返される(ステップS3)。そして、供給量記憶部53には、この所定時間間隔で演算した瞬時供給量の履歴が記憶されていく。
なお、供給量記憶部53には、出湯開始からの瞬時供給量の履歴を全て記憶してもよいし、後述の平均供給量の演算に用いる分だけ記憶してもよい。
【0038】
つぎに、供給量演算手段51は、供給量記憶部53に記憶された瞬時供給量の履歴を呼び出し、その平均値である平均供給量を演算する(ステップS15)。平均供給量は、例えば10履歴分の瞬時供給量の移動平均としてもよいし、所定の履歴分ずつの瞬時供給量の平均としてもよく、溶融炉1の供給量の制御に容易なものを選択すればよい。
そして、供給量演算手段51は、演算した瞬時供給量と平均供給量を指示手段52に受け渡し、処理を終了する。
【0039】
つぎに、図9に基づき、指示手段52の調整指示について説明する。
まず、指示手段52は供給量異常の判断を行う。
閾値記憶部54には異常閾値が記憶されている。この異常閾値は溶融炉1の供給量が異常に多いことを判断するための閾値である。
指示手段52は、供給量演算手段51から受け渡された瞬時供給量と閾値記憶部54に記憶された異常閾値とを比較し、瞬時供給量が異常閾値を上回っている場合に、供給量異常と判断する(ステップS21)。
供給量異常と判断した場合には、指示手段52は傾転手段6に供給停止指示を出力する(ステップS22)。
供給停止指示が入力された傾転手段6は、溶融炉1を水平位置まで戻して出湯を停止する。より具体的には、異常閾値を面積比95%とすれば、平均供給量が98%であれば異常閾値95%を上回っているので、ジャッキ6を伸縮させ溶融炉1を水平位置まで戻す。そのため、溶湯Vmの供給量が異常に多くなりターンテーブル2からこぼれ落ちることを防止できる。
【0040】
供給量異常と判断しなかった場合には、指示手段52は供給量増加の判断を行う。
閾値記憶部54には上閾値が記憶されている。この上閾値は溶融炉1の供給量が多いことを判断するための閾値である。
指示手段52は、供給量演算手段51から受け渡された平均供給量と閾値記憶部54に記憶された上閾値とを比較し、瞬時供給量が上閾値を上回っている場合に、供給量増加と判断する(ステップS23)。
供給量増加と判断した場合には、指示手段52は傾転手段6に供給量減少指示を出力する(ステップS24)。
供給量減少指示が入力された傾転手段6は、溶融炉1の傾転を所定量戻して供給量を少なくする。
【0041】
供給量増加と判断しなかった場合には、指示手段52は供給量減少の判断を行う。
閾値記憶部54には下閾値が記憶されている。この下閾値は溶融炉1の供給量が少ないことを判断するための閾値である。
指示手段52は、供給量演算手段51から受け渡された平均供給量と閾値記憶部54に記憶された下閾値とを比較し、瞬時供給量が下閾値を下回っている場合に、供給量減少と判断する(ステップS25)。
供給量減少と判断した場合には、指示手段52は傾転手段6に供給量増加指示を出力する(ステップS26)。
供給量増加指示が入力された傾転手段6は、溶融炉1の傾転を所定量増やして供給量を多くする。
供給量減少と判断しなかった場合には、指示手段52は処理を終了する。
【0042】
上記のステップS23からS26により、指示手段52は、順次更新されていく平均供給量が上閾値と下閾値との間に収まるように、傾転手段6に調整指示を与えることになる。
例えば、下閾値を面積比50%、上閾値を面積比80%とすれば、平均供給量が40%であれば下閾値50%を下回っているので、溶融炉1の傾転量を増やして供給量を増加させる。平均供給量が70%であれば下閾値50%と上閾値80%との間であるので、溶融炉1の傾転量を維持して供給量を増減させない。平均供給量が90%であれば上閾値80%を上回っているので、溶融炉1の傾転量を減らして供給量を減少させる。
【0043】
このように、平均供給量が上閾値と下閾値との間に収まるように制御する場合には、増減傾向を見越して予測制御できるのでハンチングする恐れがなく、滑らかな動きで供給量を制御できる。
また、五酸化バナジウムの溶湯Vmはターンテーブル2の上に横長の雲状に広がっているので、瞬時供給量は変化が激しくなる。そのため、瞬間供給量を用いて制御を行うとハンチングする恐れがある。しかし、平均供給量を用いて制御を行うので、瞬時供給量の激しい変化を滑らかにでき、ハンチングせず滑らかな動きで供給量を制御できる。
なお、異常閾値、上閾値、下閾値はフレーク製造機Aに合わせた最適な値に設定することができる。
【0044】
本発明に係る供給量制御装置Cは以上のように制御を行うから、五酸化バナジウム凝固体Vmの重量や体積を直接測定する必要がなく、簡易なものにできる。
また、供給量制御装置Cにより溶融炉1の供給量を制御するので、作業員にとって危険な作業を自動化でき、作業員の安全を確保できる。
【0045】
(他の実施形態)
上記実施形態においては、カメラ4は所定領域の可視光を撮影するカメラであるが、これに代えてラインカメラや熱画像カメラ等を用いてもよい。
ラインカメラを用いた場合には、その撮影ラインをターンテーブル2の半径方向に平行に設定し、処理領域Mを撮影画像全体として、その画像中の溶湯Vmの面積比を溶融炉1の供給量とすればよい。
また、熱画像カメラを用いた場合には、ターンテーブル2と溶融Vmの温度差を基に二値化して溶湯Vm部分とそれ以外の部分とを区別すればよい。この場合、処理領域Mは流し樋21の出側端の近くにすれば、温度差が激しいので好ましい。
【0046】
また、本発明に係るフレーク製造機は、五酸化バナジウムのフレーク製造のみならず、他の金属のフレーク製造に用いることもでき、樹脂のフレーク製造にも用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 溶融炉
2 ターンテーブル
3 破砕機
4 カメラ
5 演算機
51 供給量演算手段
52 指示手段
53 供給量記憶部
54 閾値記憶部
6 傾転手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーク製造機に関する。さらに詳しくは、溶融金属等を冷却固化して掻き取り、木の葉状片あるいは燐状片のフレークを得るフレーク製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
バナジウムは、鋼や合金に添加されるとその抗張力や耐熱性を高める性質があり、建築構造材、橋梁、工具、航空機、ロケット向けに使用されている。また、触媒として石油の脱硫、アルコールの酸化、硫酸製造、プロピレン樹脂合成等にも利用されている。
日本は、バナジウム全量を、主にV2O5やフェロバナジウムの形態で輸入しているが、バナジウムは国家備蓄の対象となっていることもあって、リサイクル利用技術が開発され、バナジウムを石油精製用使用済触媒等からの回収という形での生産も行われている。
【0003】
従来の石油精製用使用済触媒を処理しバナジウムを回収する方法には、ソーダ焙焼と溶媒抽出法を用いたものがあるが、得られるバナジウムはV2O5の形態であって固液分離されたあとろ過材から剥離された固形堆積物(以下、ケーキという)、またはこれを乾燥させ造粒し成形した粒状物である。ところで、五酸化バナジウムは、有害物質であり、吸引したり、粘膜に付着すると人体に大きな悪影響を与える。そのため、微粉等の発塵は人体にとって危険が大きい。
【0004】
そこで、運搬時やバナジウム利用製品の製造工程における安全性を考えるとフレーク化等の製品化工程が必要とされる。五酸化バナジウムをフレーク化するには、五酸化バナジウムのケーキを溶融炉で溶融し、溶融金属を溶融炉からターンテーブルに出湯し、ターンテーブルで溶融金属を冷却固化してシート状の溶融金属凝固体を得、そのシート状の溶融金属凝固体を掻き取ることで、木の葉状片あるいは燐状片のフレークを得ることが行われる。
ここで、溶融金属を溶融炉からターンテーブルに出湯するにあたり、溶融金属がターンテーブルからこぼれ落ちないように、かつ、一定量の溶融金属が出湯されるように、溶融炉の供給量が調整される。
【0005】
従来、溶融炉の供給量の調整は、作業員が溶融炉から出湯されてくる溶融金属の量を目視しつつ、溶融炉の傾転量を手動操作で調整することで行われていた。この作業は特定化学物質を扱うだけでなく、暑熱作業(溶融金属は700℃程度である)であり、非常に危険であるという問題があり、自動化が望まれていた。
【0006】
一方、特許文献1には、アノード鋳造設備において、溜鍋の重量を測定し、その重量を基に精製炉の傾転量を調整して溜鍋への溶銅の供給量を自動調整する技術が記載されている。
しかるに、この従来技術は溜鍋の重量を測定するため、装置が複雑になるという問題がある。
また、溜鍋の重量を測定するため、ターンテーブルに連続的に出湯される溶融金属の供給量の調整には、適用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−68370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、溶融炉からの供給量を自動調整できるフレーク製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明のフレーク製造機は、上面が半径方向に傾斜したターンテーブルと、該ターンテーブルの上面に原料を供給する原料供給源と、該原料供給源の供給量を制御する供給量制御装置とを備えており、前記供給量制御装置は、前記原料供給源の供給量を調整する供給量調整機と、前記ターンテーブルの上面を撮影するカメラと、該カメラの撮影画像における原料部分の面積から前記原料供給源の供給量を演算し、該演算結果を基に前記供給量調整機に調整指示を与える演算機とからなることを特徴とする。
第2発明のフレーク製造機は、第1発明において、前記演算機は、前記カメラの撮影画像中の所定の処理領域における原料部分の面積比を演算する供給量演算手段と、該供給量演算手段で演算した面積比が所定値となるように、前記供給量調整機に調整指示を与える指示手段とを備えることを特徴とする。
第3発明のフレーク製造機は、第2発明において、前記供給量演算手段は、前記処理領域を色彩を基に二値化して原料部分とそれ以外の部分を区別し、該原料部分の面積比を演算することを特徴とする。
第4発明のフレーク製造機は、第3発明において、前記処理領域は、前記原料が冷えて固まった領域であることを特徴とする。
第5発明のフレーク製造機は、第2、第3または第4発明において、前記供給量演算手段は、所定時間間隔で前記原料部分の面積比を演算し、前記指示手段は、前記供給量演算手段で演算した面積比の平均値が所定値となるように、前記供給量調整機に調整指示を与えることを特徴とする。
第6発明のフレーク製造機は、第5発明において、前記指示手段は、上閾値と下閾値とが記憶されており、前記面積比の平均値が前記下閾値を下回ったときに、記前記供給量調整機に供給量増加指示を与え、前記面積比の平均値が前記上閾値を上回ったときに、記前記供給量調整機に供給量減少指示を与えることを特徴とする。
第7発明のフレーク製造機は、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記指示手段は、異常閾値が記憶されており、前記面積比が前記異常閾値を上回ったときに、記前記供給量調整機に供給停止指示を与えることを特徴とする。
第8発明のフレーク製造機は、第1、第2、第3、第4、第5、第6または第7発明において、前記ターンテーブルには、該ターンテーブル上の原料を傾斜の上方へ押し戻す方向にエアーを吹き付けるエアーノズルが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、ターンテーブルの上面は半径方向に傾斜しているから、ターンテーブルの上面に供給された原料がターンテーブルの傾斜に沿って流れつつ冷却固化し、更にその上面を未固化の原料が傾斜に沿って流れていくため、ほぼ均一な厚さの原料凝固体を得ることができる。そのため、原料凝固体の面積を演算することで原料供給源の供給量を求めることができ、原料の重量を測定する必要がないので供給量制御装置を簡易なものにできる。また、供給量制御装置により原料供給源の供給量を制御するので、作業員にとって危険な作業を自動化でき、作業員の安全を確保できる。
第2発明によれば、カメラの撮影画像中の処理領域における原料部分の面積比を演算することで、原料供給源の供給量を演算できるので、供給量演算手段を簡易なものにできる。
第3発明によれば、処理領域を色彩を基に二値化して原料部分とそれ以外の部分を区別し、原料部分の面積比を演算するので、基本的な画像処理で原料供給源の供給量を演算できる。
第4発明によれば、処理領域は原料が冷えて固まった領域であるので、原料の色が変化しており、原料とターンテーブルとの色彩のコントラストが強くなり、色彩を基に原料部分とそれ以外の部分を精度よく二値化できる。また、原料が冷えて固まった領域では、原料の粘度にかかわらず供給量に対する面積のブレが少ない。そのため、原料供給源の供給量を精度よく演算できる。
第5発明によれば、面積比の平均値が所定値となるように、原料供給源の供給量を制御するので、原料が雲状に広がる影響を軽減できる。そのためハンチングせず滑らかな動きで供給量を制御できる。
第6発明によれば、前記面積比の平均値が下閾値と上閾値の間となるように、原料供給源の供給量を制御するので、ハンチングする恐れがなく、滑らかな動きで供給量を制御できる。
第7発明によれば、面積比が異常閾値を上回ったときに、原料供給源の供給を停止するので、原料の供給量が異常に多くなりターンテーブルからこぼれ落ちることを防止できる。
第8発明によれば、ターンテーブル上の原料にエアーを吹き付けることにより、原料が多いときにターンテーブルからこぼれ落ちるのを防止し、原料を処理領域に収めることができる。そのため、原料供給源の供給量を精度よく演算できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るフレーク製造機の平面図である。
【図2】同フレーク製造機の溶融炉の側面視断面図である。
【図3】同フレーク製造機の溶融炉からの出湯の説明図である。
【図4】同フレーク製造機のターンテーブルの平面図である。
【図5】図4のV-V線矢視図である。
【図6】同フレーク製造機の供給量制御装置の機能ブロック図である。
【図7】演算機の処理を示すフローチャートである。
【図8】供給量演算の処理を示すフローチャートである。
【図9】調整指示の処理を示すフローチャートである。
【図10】(a)はカメラの撮影画像であり、(b)は二値化後の撮影画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るフレーク製造機Aは、五酸化バナジウムの溶湯を供給する溶融炉1と、溶融炉1から溶湯が供給されるターンテーブル2と、そのターンテーブル2で冷却固化された五酸化バナジウムをフレークに破砕する破砕機3と、溶融炉1の供給量を制御する供給量制御装置Cとを備えている。また、供給量制御装置Cは、ターンテーブル2の上面を撮影するカメラ4と、そのカメラ4に接続された演算機5と、溶融炉1を傾転させ溶湯の供給量を調整する傾転手段6とを備えている。
なお、本実施形態において溶融炉1が特許請求の範囲に記載の原料供給源に相当し、傾転手段6が特許請求の範囲に記載の供給量調整機に相当する。
【0013】
図2に示すように、溶融炉1は、内部に五酸化バナジウム堆積物Vhを収容し、これを当て吹きできる炉であれば、とくに制限なく、どのような炉を用いてもよい。
【0014】
溶融炉1の炉蓋には、五酸化バナジウムVを投入するためのシュート11が設けられている。シュート11から溶融炉1内に投入された原料は、シュート11直下を頂点として円錐形に堆積される。このようにして堆積されたものが五酸化バナジウム堆積物Vhである。
【0015】
溶融炉1には加熱器12が、溶融炉1内に投入された五酸化バナジウム堆積物Vhの斜面を直接加熱できる位置に取付けられる。
そして、加熱器12は溶融炉1内に収容した五酸化バナジウム堆積物Vhを直接加熱できるもの、すなわち当て吹きできるものであれば、どのような加熱手段であってもよい。代表的には、火炎を噴射するバーナーや熱風を放射する熱風ノズルなどが挙げられる。そして、バーナーから放射された火炎によって五酸化バナジウム堆積物Vhの表面が当て吹きされる。
【0016】
溶融炉1は、溶湯の出湯口13を五酸化バナジウム堆積物Vhから溶け出した溶湯が溜る部位に備えている。
【0017】
溶融炉1は、溶湯を排出するため溶融炉1を傾転する傾転機構を備えている。この傾転機構は、出湯口13近傍における炉側壁に取付けられた傾転軸部14と、傾転軸部14を支点として溶融炉1を傾転させる傾転手段6とからなる。
傾転軸部14は、溶融炉1の炉側壁に取付けた傾転軸14aと、この傾転軸14aを回転自在に支持する軸受14bとからなる。なお、軸受14bは溶融炉1を全体的に支えている基台10に固定されている。
【0018】
一方、溶融炉1の出湯口13から遠い炉側壁には傾転手段6としてのジャッキ6が取付けられている。このジャッキ6には、モータ駆動でネジ棒が伸縮するものや、油圧シリンダで構成したものなど、溶融炉1の一端を上げ下げできるものであれば、とくに制限なく種々の手段を採用できる。また、傾転手段としては、図示のものの外、工場建屋の天井などから吊下げたチェーンやロープ等を巻上げ装置で上げ下げする手段などを用いてもよい。
【0019】
図3に示すように、五酸化バナジウム堆積物Vhの長斜面を加熱器12から放射した火炎fで当て吹きすれば、その一部の斜面から五酸化バナジウムが溶けて溶湯Vmとして流れ出し、斜面の上から下に向けて溶湯Vmが流れ落ちていく。
【0020】
そして、ジャッキ6を伸長させれば、溶融炉1を傾転軸部14を支点として傾転させることができ、出湯口13が下になるように傾けると、出湯口13から溶湯Vmを取り出すことができる。
ここで、ジャッキ6の伸長を制御し溶融炉1の傾転量を調整することで、溶融炉1から供給される溶湯の供給量を調整できる。
【0021】
図4および図5に示すように、ターンテーブル2の上方には原料供給手段が配置されている。原料供給手段としては、五酸化バナジウムの溶湯Vmを流し込む流し樋21が配置されている。この流し樋21の基部に溶融炉1の出湯口13から溶湯Vmを流し込むと、先端部から溶湯Vmをターンテーブル2の上面に供給して広い面積に広げることができる。
【0022】
流し樋21は、溶融炉1の出湯口13の直下からターンテーブル2の上面に流し掛けるように配置されている。この流し樋21の基部、すなわち出湯口13側の端部は支持ピン21p等で回動自在に支持され、流し樋21全体が左右に振れるように取付けられている。また、このように横振れしても流し樋21を安定した姿勢に保持できるように、受け台21sが流し樋21の下面に配置されている。受け台21sは幅広の板状部材であって、流し樋21を横振れしても支持できるだけの横幅を備えている。
流し樋21を左右に横振りして、流し樋21の先端位置をターンテーブル2の半径方向において変位させると、溶湯Vmをターンテーブル2上で概ね均等な厚さで広く展開することができる。
【0023】
図5に示すように、ターンテーブル2の上面は、円板状の金属材料、たとえば、鉄板などの伝熱性のある材料で構成されている。また、ターンテーブル2の上面は中心部から半径方向外側へ向かって下傾している。傾斜させた理由は、溶湯Vmの展開の容易さ確保と冷却媒体の水蒸気爆発の防止である。すなわち、ターンテーブル2の傾斜角は、五酸化バナジウム溶湯Vmの流れやすさと、後述する冷却タンク22内での冷却水の流れやすさの観点から選択され、その角度範囲は2°〜10°、好ましくは4°〜6°である。ターンテーブル2の上面が水平であると、溶湯Vmを均一な厚さに展開することは難しいが、傾斜させることにより、溶湯Vmを均一な厚さに展開することができる。そのため、本ターンテーブル2により、ほぼ均一な厚さの五酸化バナジウム凝固体Vmを得ることができる。
【0024】
ターンテーブル2の下面には冷却タンク22が設けられている。この冷却タンク22は冷却水などの冷媒を循環させて、ターンテーブル2上に広げられた五酸化バナジウム溶湯Vmを冷却するための手段である。
そして、冷却タンク22に冷媒を供給する冷媒供給管23や熱交換後の冷媒を排出する排出管24などが付設されている。
【0025】
冷却タンク22の下面にはターンテーブル2を回転させるための動力筒25が取付けられている。この動力筒25には歯車が取付けられたり、図示しないチェーンホイール等が取付けられたりして、外部動力を受けて、ターンテーブル2を水平面内で回転させることができる。
【0026】
図4に示すように、ターンテーブル2を回転させた状態(矢印R参照)で、流し樋21から溶湯Vmを流下させると溶湯Vmがターンテーブル2上で広く展開される。そして、溶湯Vmが、後述するスクレーパー27でせき止められるまでの間に、冷却タンク22内を循環する冷却水で冷却され溶湯Vmが1〜5mm位の厚さの層状物に固化される。
【0027】
ターンテーブル2の外側において、流し樋21の出側端からスクレーパー27に向う位置には、補助冷却手段としてのエアーノズル26が配置されている。
このエアーノズル26は、複数個がほぼ円周方向等間隔に配置されており、ターンテーブル2の上面において、エアーを半径方向外側から内側に向けて、すなわち溶湯Vmを傾斜の上方へ押し戻す方向に吹き付けるようになっている。
これらのエアーノズル26は、ターンテーブル2上を半径方向外側に向って流れ落ちる溶湯Vmが過度に多いとき、これにエアーを吹き付けて押し戻しターンテーブル2からこぼれ落ちるのを阻止するものであり、かつ溶湯Vmを空気冷却し、冷却効率を高めるものである。
【0028】
ターンテーブル2の上面には、流し樋21の出側端から円周方向において約90°〜270°位の間に、スクレーパー27が配置されている。このスクレーパー27は、固化した溶湯Vmをターンテーブル2上でせき止めるものである。
【0029】
スクレーパー27の手前には、掻き取り具28が配置されている。この掻き取り具28は、固化した溶湯Vmをターンテーブル2の外(矢印d方向)へ掻き出すものであり、そのような機能を果たすことができれば、どのような手段を用いてもよい。
【0030】
また、ターンテーブル2の外であって、掻き取り具28の掻き出し方向dには、破砕機3が設けられている。この破砕機3で、ターンテーブル2で冷却固化された五酸化バナジウム溶湯Vmが木の葉状片あるいは燐状片のフレークに破砕される。
【0031】
図6に示すように、供給量制御装置Cは、ターンテーブル2の上面を撮影するカメラ4と、そのカメラ4に接続された演算機5と、前述の傾転手段6とからなる。
また、演算機5は、コンピュータで構成されており、カメラ4の撮影画像から溶融炉1からの供給量を演算する供給量演算手段51と、供給量演算手段51の演算結果を基に傾転手段6に調整指示を与える指示手段52と、供給量演算手段51で演算した供給量を記憶する供給量記憶部53と、指示手段52の調整指示の判断に用いる各種閾値が記憶された閾値記憶部54とからなる。
【0032】
つぎに、演算機5の処理について説明する。
図7に示すように、演算機5は、カメラ4の撮影画像から後述の瞬時供給量と平均供給量とを演算し(ステップS1)、それら瞬時供給量と平均供給量を基に傾転手段6に調整指示を与える(ステップS2)。そして、溶融炉1からの出湯が完了するまでステップS1とS2を所定時間間隔で繰り返す(ステップS3)。これにより、出湯中は常に溶融炉1の供給量を制御している。
なお、上記ステップS1の供給量演算は供給量演算手段51で行い、ステップS2の調整指示は指示手段52で行う。
【0033】
つぎに、図8に基づき、供給量演算手段51の供給量演算について説明する。
まず、供給量演算手段51は、カメラ4で撮影したターンテーブル2の上面の撮影画像を取得する(ステップS11)。
図10(a)に示すように、カメラ4の撮影画像は、背景にターンテーブル2が映っており、ターンテーブル2の上に流し樋21から供給された溶湯Vmが横長の雲状に広がった画像となっている。
【0034】
つぎに、供給量演算手段51は、取得した撮影画像において予め定めておいた処理領域をマスキングし、撮影画像中の処理領域部分を切りだす(ステップS12)。
ここで、図10(a)に示すように、処理領域Mは流し樋21の出側端からスクレーパー27側に離れた領域であって、溶湯Vmが冷えて固まった領域であることが好ましい。この効果については後に説明する。
また、処理領域Mを略台形とし、その上底をターンテーブル2の内側付近に、下底をターンテーブル2の外側付近に設定し、他の2辺をターンテーブル2の半径に平行とすることが好ましい。このような形とすれば、所定時間の間に溶融炉1から供給された溶湯Vmが処理領域Mに収まり、後述の瞬時供給量と、溶融炉1から供給された溶湯Vmの量との整合がとれるからである。なお、処理領域Mの形、大きさ、位置等は、本実施形態において示されたものに限らす、供給量を精度よく演算できるように最適のものを選択すればよい。
また、ターンテーブル2に配置されたエアーノズル26により、ターンテーブル2上を半径方向外側に向って流れ落ちる溶湯Vmにエアーを吹き付けて押し戻すことにより、溶湯Vmを処理領域Mに収めることができる。そのため、溶融炉1の供給量を精度よく演算できる。
【0035】
つぎに、供給量演算手段51は、処理領域M部分を色彩を基に二値化して溶湯Vm部分とそれ以外の部分とを区別する(ステップS13)。
図10(b)に示すように、色彩を基に二値化すると、溶湯Vm部分が黒、ターンテーブル2部分が白となり、溶湯Vm部分とそれ以外の部分とを区別することができる。このような二値化は、基本的な画像処理であるので、供給量演算手段51を簡易なものにできる。
ここで、五酸化バナジウムの溶湯Vmは、出湯直後は赤く、冷えて固まると黒色となる性質を有する。そのため、前述のごとく、処理領域Mを溶湯Vmが冷えて固まった領域とすれば、処理領域M内の溶湯Vmは黒色となる。そうすると、溶湯Vmとターンテーブル2との色彩のコントラストが強いので、色彩を基に溶湯Vm部分とターンテーブル2部分を精度よく二値化できる。
【0036】
つぎに、供給量演算手段51は、処理領域Mにおける、全体の面積と溶湯Vm部分の面積との面積比を求め、瞬時供給量を演算する(ステップS14)。
具体的には、図10(b)において処理領域Mの面積の演算し、処理領域M中の黒色部分の面積から溶湯Vm部分の面積を演算し、溶湯Vm部分の面積を処理領域Mの面積で除算して面積比を演算する。この面積比を瞬時供給量とする。このように単純な演算で瞬時供給量を求めることができるので、供給量演算手段51を簡易なものにできる。なお、処理領域Mの面積は一定であるので、その面積を予め演算し記憶しておけば、より処理を簡易にできる。
前述のごとく、ターンテーブル2の上面は半径方向に傾斜しているから、ターンテーブル2の上面に供給された溶湯Vmがターンテーブル2の傾斜に沿って流れつつ冷却固化し、更にその上面を未固化の溶湯Vmが傾斜に沿って流れていくため、ほぼ均一な厚さの五酸化バナジウム凝固体Vmを得ることができる。そのため、五酸化バナジウム凝固体Vmの面積は溶融炉1の供給量と比例関係にあり、前記面積比を溶融炉1の供給量とすることができる。
また、溶湯Vmが冷えて固まった領域では、溶湯Vmの粘度にかかわらず厚さが一定であり供給量に対する面積のブレが少ない。そのため、処理領域Mを溶湯Vmが冷えて固まった領域とすれば、溶融炉1の供給量を精度よく演算できる。
【0037】
供給量演算手段51は、算出した瞬時供給量を供給量記憶部53に記憶する。
供給量演算手段51による瞬時供給量の演算は、溶融炉1からの出湯が完了するまで所定時間間隔で繰り返される(ステップS3)。そして、供給量記憶部53には、この所定時間間隔で演算した瞬時供給量の履歴が記憶されていく。
なお、供給量記憶部53には、出湯開始からの瞬時供給量の履歴を全て記憶してもよいし、後述の平均供給量の演算に用いる分だけ記憶してもよい。
【0038】
つぎに、供給量演算手段51は、供給量記憶部53に記憶された瞬時供給量の履歴を呼び出し、その平均値である平均供給量を演算する(ステップS15)。平均供給量は、例えば10履歴分の瞬時供給量の移動平均としてもよいし、所定の履歴分ずつの瞬時供給量の平均としてもよく、溶融炉1の供給量の制御に容易なものを選択すればよい。
そして、供給量演算手段51は、演算した瞬時供給量と平均供給量を指示手段52に受け渡し、処理を終了する。
【0039】
つぎに、図9に基づき、指示手段52の調整指示について説明する。
まず、指示手段52は供給量異常の判断を行う。
閾値記憶部54には異常閾値が記憶されている。この異常閾値は溶融炉1の供給量が異常に多いことを判断するための閾値である。
指示手段52は、供給量演算手段51から受け渡された瞬時供給量と閾値記憶部54に記憶された異常閾値とを比較し、瞬時供給量が異常閾値を上回っている場合に、供給量異常と判断する(ステップS21)。
供給量異常と判断した場合には、指示手段52は傾転手段6に供給停止指示を出力する(ステップS22)。
供給停止指示が入力された傾転手段6は、溶融炉1を水平位置まで戻して出湯を停止する。より具体的には、異常閾値を面積比95%とすれば、平均供給量が98%であれば異常閾値95%を上回っているので、ジャッキ6を伸縮させ溶融炉1を水平位置まで戻す。そのため、溶湯Vmの供給量が異常に多くなりターンテーブル2からこぼれ落ちることを防止できる。
【0040】
供給量異常と判断しなかった場合には、指示手段52は供給量増加の判断を行う。
閾値記憶部54には上閾値が記憶されている。この上閾値は溶融炉1の供給量が多いことを判断するための閾値である。
指示手段52は、供給量演算手段51から受け渡された平均供給量と閾値記憶部54に記憶された上閾値とを比較し、瞬時供給量が上閾値を上回っている場合に、供給量増加と判断する(ステップS23)。
供給量増加と判断した場合には、指示手段52は傾転手段6に供給量減少指示を出力する(ステップS24)。
供給量減少指示が入力された傾転手段6は、溶融炉1の傾転を所定量戻して供給量を少なくする。
【0041】
供給量増加と判断しなかった場合には、指示手段52は供給量減少の判断を行う。
閾値記憶部54には下閾値が記憶されている。この下閾値は溶融炉1の供給量が少ないことを判断するための閾値である。
指示手段52は、供給量演算手段51から受け渡された平均供給量と閾値記憶部54に記憶された下閾値とを比較し、瞬時供給量が下閾値を下回っている場合に、供給量減少と判断する(ステップS25)。
供給量減少と判断した場合には、指示手段52は傾転手段6に供給量増加指示を出力する(ステップS26)。
供給量増加指示が入力された傾転手段6は、溶融炉1の傾転を所定量増やして供給量を多くする。
供給量減少と判断しなかった場合には、指示手段52は処理を終了する。
【0042】
上記のステップS23からS26により、指示手段52は、順次更新されていく平均供給量が上閾値と下閾値との間に収まるように、傾転手段6に調整指示を与えることになる。
例えば、下閾値を面積比50%、上閾値を面積比80%とすれば、平均供給量が40%であれば下閾値50%を下回っているので、溶融炉1の傾転量を増やして供給量を増加させる。平均供給量が70%であれば下閾値50%と上閾値80%との間であるので、溶融炉1の傾転量を維持して供給量を増減させない。平均供給量が90%であれば上閾値80%を上回っているので、溶融炉1の傾転量を減らして供給量を減少させる。
【0043】
このように、平均供給量が上閾値と下閾値との間に収まるように制御する場合には、増減傾向を見越して予測制御できるのでハンチングする恐れがなく、滑らかな動きで供給量を制御できる。
また、五酸化バナジウムの溶湯Vmはターンテーブル2の上に横長の雲状に広がっているので、瞬時供給量は変化が激しくなる。そのため、瞬間供給量を用いて制御を行うとハンチングする恐れがある。しかし、平均供給量を用いて制御を行うので、瞬時供給量の激しい変化を滑らかにでき、ハンチングせず滑らかな動きで供給量を制御できる。
なお、異常閾値、上閾値、下閾値はフレーク製造機Aに合わせた最適な値に設定することができる。
【0044】
本発明に係る供給量制御装置Cは以上のように制御を行うから、五酸化バナジウム凝固体Vmの重量や体積を直接測定する必要がなく、簡易なものにできる。
また、供給量制御装置Cにより溶融炉1の供給量を制御するので、作業員にとって危険な作業を自動化でき、作業員の安全を確保できる。
【0045】
(他の実施形態)
上記実施形態においては、カメラ4は所定領域の可視光を撮影するカメラであるが、これに代えてラインカメラや熱画像カメラ等を用いてもよい。
ラインカメラを用いた場合には、その撮影ラインをターンテーブル2の半径方向に平行に設定し、処理領域Mを撮影画像全体として、その画像中の溶湯Vmの面積比を溶融炉1の供給量とすればよい。
また、熱画像カメラを用いた場合には、ターンテーブル2と溶融Vmの温度差を基に二値化して溶湯Vm部分とそれ以外の部分とを区別すればよい。この場合、処理領域Mは流し樋21の出側端の近くにすれば、温度差が激しいので好ましい。
【0046】
また、本発明に係るフレーク製造機は、五酸化バナジウムのフレーク製造のみならず、他の金属のフレーク製造に用いることもでき、樹脂のフレーク製造にも用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 溶融炉
2 ターンテーブル
3 破砕機
4 カメラ
5 演算機
51 供給量演算手段
52 指示手段
53 供給量記憶部
54 閾値記憶部
6 傾転手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が半径方向に傾斜したターンテーブルと、
該ターンテーブルの上面に原料を供給する原料供給源と、
該原料供給源の供給量を制御する供給量制御装置とを備えており、
前記供給量制御装置は、
前記原料供給源の供給量を調整する供給量調整機と、
前記ターンテーブルの上面を撮影するカメラと、
該カメラの撮影画像における原料部分の面積から前記原料供給源の供給量を演算し、該演算結果を基に前記供給量調整機に調整指示を与える演算機とからなる
ことを特徴とするフレーク製造機。
【請求項2】
前記演算機は、
前記カメラの撮影画像中の所定の処理領域における原料部分の面積比を演算する供給量演算手段と、
該供給量演算手段で演算した面積比が所定値となるように、前記供給量調整機に調整指示を与える指示手段とを備える
ことを特徴とする請求項1記載のフレーク製造機。
【請求項3】
前記供給量演算手段は、前記処理領域を色彩を基に二値化して原料部分とそれ以外の部分を区別し、該原料部分の面積比を演算する
ことを特徴とする請求項2記載のフレーク製造機。
【請求項4】
前記処理領域は、前記原料が冷えて固まった領域である
ことを特徴とする請求項3記載のフレーク製造機。
【請求項5】
前記供給量演算手段は、所定時間間隔で前記原料部分の面積比を演算し、
前記指示手段は、前記供給量演算手段で演算した面積比の平均値が所定値となるように、前記供給量調整機に調整指示を与える
ことを特徴とする請求項2、3または4記載のフレーク製造機。
【請求項6】
前記指示手段は、
上閾値と下閾値とが記憶されており、
前記面積比の平均値が前記下閾値を下回ったときに、記前記供給量調整機に供給量増加指示を与え、
前記面積比の平均値が前記上閾値を上回ったときに、記前記供給量調整機に供給量減少指示を与える
ことを特徴とする請求項5記載のフレーク製造機。
【請求項7】
前記指示手段は、
異常閾値が記憶されており、
前記面積比が前記異常閾値を上回ったときに、記前記供給量調整機に供給停止指示を与える
ことを特徴とする請求項2、3、4、5または6記載のフレーク製造機。
【請求項8】
前記ターンテーブルには、該ターンテーブル上の原料を傾斜の上方へ押し戻す方向にエアーを吹き付けるエアーノズルが設けられている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のフレーク製造機。
【請求項1】
上面が半径方向に傾斜したターンテーブルと、
該ターンテーブルの上面に原料を供給する原料供給源と、
該原料供給源の供給量を制御する供給量制御装置とを備えており、
前記供給量制御装置は、
前記原料供給源の供給量を調整する供給量調整機と、
前記ターンテーブルの上面を撮影するカメラと、
該カメラの撮影画像における原料部分の面積から前記原料供給源の供給量を演算し、該演算結果を基に前記供給量調整機に調整指示を与える演算機とからなる
ことを特徴とするフレーク製造機。
【請求項2】
前記演算機は、
前記カメラの撮影画像中の所定の処理領域における原料部分の面積比を演算する供給量演算手段と、
該供給量演算手段で演算した面積比が所定値となるように、前記供給量調整機に調整指示を与える指示手段とを備える
ことを特徴とする請求項1記載のフレーク製造機。
【請求項3】
前記供給量演算手段は、前記処理領域を色彩を基に二値化して原料部分とそれ以外の部分を区別し、該原料部分の面積比を演算する
ことを特徴とする請求項2記載のフレーク製造機。
【請求項4】
前記処理領域は、前記原料が冷えて固まった領域である
ことを特徴とする請求項3記載のフレーク製造機。
【請求項5】
前記供給量演算手段は、所定時間間隔で前記原料部分の面積比を演算し、
前記指示手段は、前記供給量演算手段で演算した面積比の平均値が所定値となるように、前記供給量調整機に調整指示を与える
ことを特徴とする請求項2、3または4記載のフレーク製造機。
【請求項6】
前記指示手段は、
上閾値と下閾値とが記憶されており、
前記面積比の平均値が前記下閾値を下回ったときに、記前記供給量調整機に供給量増加指示を与え、
前記面積比の平均値が前記上閾値を上回ったときに、記前記供給量調整機に供給量減少指示を与える
ことを特徴とする請求項5記載のフレーク製造機。
【請求項7】
前記指示手段は、
異常閾値が記憶されており、
前記面積比が前記異常閾値を上回ったときに、記前記供給量調整機に供給停止指示を与える
ことを特徴とする請求項2、3、4、5または6記載のフレーク製造機。
【請求項8】
前記ターンテーブルには、該ターンテーブル上の原料を傾斜の上方へ押し戻す方向にエアーを吹き付けるエアーノズルが設けられている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のフレーク製造機。
【図2】
【図3】
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図3】
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−196622(P2012−196622A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62576(P2011−62576)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】
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