説明

フレームラミネート用ポリウレタンフォーム

【課題】植物由来ポリオールの使用によって植物度が十分に高められ、しかも、繊維質素材に対して高い剥離強度で接着し得るフレームラミネート用ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤及び触媒を少なくとも含む原料組成物を反応させて得られるポリウレタンフォームであって、前記ポリオールが、植物由来ポリオール(A)と、フタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールとを含むことを特徴とする、フレームラミネート用ポリウレタンフォーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオール成分として植物由来ポリオールを使用したフレームラミネート用ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止や循環型社会の構築のための技術開発の取り組みが世界規模で行われている。例えば、二酸化炭素は地球温暖化の一因とされている温室効果ガスの一つであり、その排出量の削減が求められている。また、石油や石炭は有限で再生が不可能な資源であり、資源枯渇を防止するためにもその使用量削減が求められている。そこで、この石油由来原料の代替原料として注目されているのが植物由来原料である。植物由来原料は植物が大気中の二酸化炭素を取り込んで生産する、再生可能な資源であり、従って、焼却によって二酸化炭素が発生しても、元々が二酸化炭素から光合成により作られているので、地球規模での二酸化炭素の収支はゼロであり地球温暖化を防止できると考えられている。
【0003】
従来、ポリウレタンフォームの主原料であるポリオール成分には石油由来のポリオールが使用されてきたが、上述の地球温暖化防止や循環型社会の構築(すなわち、環境負荷軽減)の観点から、近時は、植物由来原料を使用することが検討されており、植物由来原料からポリウレタンフォームを製造する方法として、様々な方法が検討されている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−2145号公報
【特許文献2】特開2007−314666号公報
【特許文献3】特開平05−059144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが、植物由来ポリオールを用いたポリウレタンフォームを表皮素材と接着させるべくフレームラミネート加工に供したところ、ポリウレタンフォームが表皮素材に高い接着強度で接着した積層材料(加工品)を得ることが困難であることが分かった。
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、植物由来ポリオールの使用によって植物度が十分に高められ、しかも、良好なフレームラミネート性を示す、フレームラミネート用ポリウレタンフォームを提供することである。
また、植物由来ポリオールの使用によって植物度が十分に高められたポリウレタンフォームがフレームラミネート加工によって表皮素材に対して高い接着強度で接着積層された積層材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意研究した結果、フタル酸系ポリエステルポリオール、ダイマー酸系ポリオール及びアジペート系ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種のポリオールを、植物由来ポリオールとともに使用して得られるポリウレタンフォームは、フレーム処理(火炎処理)によって十分に高い接着性が発現することを知見し、かかる知見に基いてさらに研究を進めることで、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1]ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤及び触媒を少なくとも含む原料組成物を反応させて得られるポリウレタンフォームであって、
前記ポリオールが、植物由来ポリオール(A)と、フタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールとを含むことを特徴とする、フレームラミネート用ポリウレタンフォーム、
[2]ポリオール全量当たりの植物由来ポリオール(A)の含有量が20〜70重量%である、上記[1]記載のポリウレタンフォーム、
[3]ポリオール全量当たりのフタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールの含有量が1〜20重量%である、上記[1]又は[2]記載のポリウレタンフォーム、
[4]ポリオールが、20〜80重量%のポリマーポリオール(E)を含有するものである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリウレタンフォーム、
[5]25%硬さが150〜450Nである、上記[4]記載のポリウレタンフォーム。
[6]ポリオールが、10〜80重量%のポリエーテルポリオール(F)を含有するものである上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリウレタンフォーム。
[7]植物度が15%以上である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリウレタンフォーム、及び
[8]上記[1]〜[7]のいずれかに記載のポリウレタンフォームと表皮素材とをフレームラミネート加工により積層一体化してなる積層材料、に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、植物由来ポリオールを比較的多量に使用して得られる植物度が高いポリウレタンフォームでありながら、フレーム処理(火炎処理)によって表皮素材に対して優れた接着性を示す、ポリウレタンフォームを得ることができる。従って、植物度が高いポリウレタンフォームと表皮素材とが高い接着強度で接着積層された、環境負荷軽減に有利な、軽量かつ耐久性に優れる積層材料(表皮材)を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好適な実施形態に即してより詳しく説明する。
本発明のポリウレタンフォームは、フレームラミネート用であり、ポリオール成分として、植物由来ポリオール(A)と、フタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)から選ばれる少なくとも1種のポリエステルポリオールを併用してなることを主たる特徴としている。
【0011】
フレームラミネートとは、ポリウレタンフォームの表面を火炎により熱溶融させて、ポリウレタンフォームを表皮素材に接着積層させた複合成形品(積層材料)を得るための加工方法であり、火炎融着とも称され、得られる成形品の仕上がり品質を良好にできること、縫製一体加工を簡略にできること、及び成形品にしわが生じにくい等の利点があり、更には成形品に高級感を付与できる等の利点も有することから、自動車内装材、衣料、種々の日用製品の資材等を得るための成形(加工)方法として多用されている。本発明はポリオール成分として植物由来ポリオールを比較的多量に使用して得られる植物度が高いポリウレタンフォームでありながら、優れたフレームラミネート性を示し、表皮素材に対して高い剥離強度で接着して高品質かつ高耐久性の積層材料を実現し得る、ポリウレタンフォームを提供するものである。
【0012】
本発明で使用される植物由来ポリオール(A)は、特に制限はされないが、例えば、ひまし油、大豆油、オリーブ油又はこれらの誘導体等から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、特に車両内装材用途に用いる観点からは、疎水性である、ひまし油及び/又はその誘導体や、大豆油及び/又はその誘導体が好ましく、より好ましくはひまし油及び/又はその誘導体である。
【0013】
また、植物由来ポリオール(A)は、1分子当り2〜6個の水酸基を有する多価アルコールに、植物油から得られる炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸を縮合した構造を少なくとも有するポリエステルポリオール(A1)や該ポリエステルポリオール(A1)にさらに一級ヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸を付加したポリオール(A2)であってもよい。ここで、炭素数15以上のヒドロキシカルボン酸の縮合モル数は、1分子あたり2〜6個の水酸基を有する多価アルコール1モルに対し、1〜15モルであることが好ましく、さらに好ましくは1〜10モルである。また、植物由来ポリオール(A)は、1分子当り2〜6個の水酸基を有する多価アルコールに、ひまし油から得られるリシノレイン酸を主成分として含有するひまし油脂肪酸及び/又は該ひまし油脂肪酸中の炭素−炭素2重結合を飽和させてなる12−ヒドロキシステアリン酸を主成分として含有する水添ひまし油脂肪酸を含むヒドロキシカルボン酸を、縮合した構造を有するポリエステルポリオール(A3)や該ポリエステルポリオール(A3)にさらに一級ヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸を付加したポリオール(A4)であってもよい。植物由来ポリオール(A)は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0014】
植物由来ポリオール(A)は、ウレタン化反応での反応速度や得られるポリウレタンフォームの硬度調整の容易性等の観点から、1分子当たりの平均官能基数が2.5〜5(好ましくは3〜4)であり、水酸基価が50〜200mgKOH/g(好ましくは70〜170mgKOH/g)であることが好ましい。
【0015】
植物由来ポリオール(A)は市販品を使用することができる。例えば、伊藤製油社製のひまし油由来のポリオールであるH−30(水酸基価:約160mgKOH/g)、HF−2050(水酸基価:約90mgKOH/g)、豊国製油社製のひまし油由来のポリオールであるLAV(水酸基価:約160mgKOH/g)等が挙げられる。
【0016】
植物由来ポリオール(A)は、環境負荷軽減の観点、すなわち、植物度の高いポリウレタンフォームを得る観点から、ポリウレタンのポリオール成分全体(すなわち、ポリウレタンフォームを生成させる原料組成物中のポリオール全量)当たり植物由来ポリオール(A)の含有量は20重量%以上が好ましく、より好ましくは25重量%以上である。環境負荷軽減の観点からは、ポリオール成分全体当たりの植物由来ポリオールの含有量は多ければ多い程好ましいが、本発明のポリウレタンフォームは、特に、フレームラミネート加工によって表皮素材にラミネートして、自動車等の車両内装材用途(天井用内装材、ドアトリム材、シートクッション表皮材、ヘッドレスト表皮材、アームレスト表皮材等)に使用する積層材料(積層成形品)を得ることを意図しており、植物由来ポリオールの含有量が多過ぎると、表皮素材との接着性が低下する傾向となることから、全ポリオール成分に対する植物由来ポリオール(A)の含有量は70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
【0017】
本発明では、植物由来ポリオール(A)とともに、フタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)から選ばれる少なくとも1種のポリオールを併用する。かかるフタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)等を使用することで、植物由来ポリオール(A)によって、植物度が十分に高められたポリウレタンフォームであっても、良好なフレームラミネート性を示し、表皮素材に対して高い剥離強度で接着し得るポリウレタンフォームを得ることができる。
【0018】
本発明において使用するフタル酸系ポリオール(B)とは、例えば、グリセリンにプロピレンオキシドを付加した分子量1500〜2000程度のポリエーテルポリオールに対し、無水フタル酸とプロピレンオキシドを付加させ、水酸基価を50〜70mgKOH/g程度にしたポリエーテルエステルポリオールが挙げられる。また、エチレングリコール、プロピレングリコール等から選ばれる1種又は2種以上のジオールと、フタル酸又はその誘導体(例えば、無水フタル酸等)とを縮合反応させて得られるポリエステルポリオールを用いることができる。ここで、フタル酸は、o−フタル酸、m−フタル酸(慣例的には「イソフタル酸」という)及びp−フタル酸(慣例的には「テレフタル酸」という)から選ばれる1種又は2種以上を使用することができ、好ましくはp−フタル酸(テレフタル酸)である。
【0019】
フタル酸系ポリオール(B)は、ウレタンフォームと表皮素材間の高い剥離強度の発現及びフォーム製造時の粘度調整等の観点から、1分子当たりの平均官能基数は2〜5が好ましく、より好ましくは2〜4であり、水酸基価は30〜500mgKOH/gが好ましく、40〜380mgKOH/gがより好ましく、40〜150mgKOH/gがとりわけ好ましく、40〜70mgKOH/gが最も好ましい。
【0020】
フタル酸系ポリオール(B)は市販品を使用することができる。例えば、日立化成ポリマー社製のテスラック2450(水酸基価:50〜60mgKOH/g、平均官能基数:2)、テスラック2474(水酸基価:120mgKOH/g、平均官能基数:2)、三井化学社製のアクトコール3P−56M(水酸基価:56mgKOH/g、平均官能基数:3)、ES−01(水酸基価:370mgKOH/g、平均官能基数:2)等が挙げられる。
【0021】
本発明において使用するダイマー酸系ポリオール(C)とは、(1)ダイマー酸と、短鎖のジオール(2価アルコール)、トリオール(3価アルコール)又はポリオール(4価以上のアルコール)との反応生成物、(2)ダイマー酸と、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレントリオール又は長鎖のポリオールとの反応生成物、(3)ダイマー酸にアジピン酸等の他のポリカルボン酸を混合したものに前記の短鎖のジオール、トリオール、又はポリオールを反応させた反応生成物、(4)ダイマー酸とアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)との反応生成物、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
上記のダイマー酸とは、二塩基性酸で、二つの一塩基性脂肪鎖(通常は炭素数18)が、炭素−炭素の共有結合により、二分子結合して得られる分子量が2倍の二塩基性酸をいう。その代表的な化合物としては、リノール酸、オレイン酸を加熱することによって得られ、その構造式を示すと次の通りである。
【0023】
【化1】

【0024】
上記の短鎖のジオールとしては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。短鎖のトリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)などが挙げられ、短鎖のポリオールとしては、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0025】
ダイマー酸系ポリオール(C)は、高剥離強度の発現及びフォーム製造時の粘度調整等の観点から、1分子当たりの平均官能基数が2〜4(好ましくは2〜3)であり、水酸基価は30〜150mgKOH/gであるのが好ましく、50〜90mgKOH/gであることがより好ましい。
【0026】
ダイマー酸系ポリオール(C)は市販品を使用することができる。例えば、日立化成ポリマー社製のTA22−558(水酸基価:70〜75mgKOH/g、平均官能基数:3)、TA22−559(水酸基価:78〜82mgKOH/g、平均官能基数:3)、花王社製のエディフォームE−404(水酸基価:120mgKOH/g、平均官能基数:3)等が挙げられる。
【0027】
本発明において使用するアジペート系ポリオール(D)としては、短鎖ジオール及び/又はトリオールとアジピン酸とを重縮合させることにより得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。ここに、短鎖ジオールとしては、前記のダイマー酸系ポリオール(C)のジオール成分の具体例と同様のものが挙げられ、それらはいずれか1種を単独で使用するか、2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
アジペート系ポリオール(D)は、高剥離強度の発現、ポリエーテルポリオール系ポリウレタン生産条件への適合性の観点から、1分子当たりの平均官能基数が2〜3であることが好ましく、水酸基価が30〜80mgKOH/g(好ましくは40〜70mgKOH/g)であることが好ましい。
【0029】
アジペート系ポリオール(D)は市販品を使用することができる。例えば、日本ポリウレタン社製のニッポランN−2200(DEG/TMP、水酸基価:約60mgKOH/g、平均官能基数:2.5)、ニッポランN−101(DEG、水酸基価:約50mgKOH/g、平均官能基数:2)、DIC社製のポリライト8651(DEG/トリオール、水酸基価:約60mgKOH/g、平均官能基数:2.4)、クラレ社製のクラレポリオールP2010(DEG/TMP、水酸基価:約60mgKOH/g、平均官能基数:2.5)等が挙げられる。
【0030】
本発明において、フタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)はいずれを使用しても、十分に高いフレームラミネート性の改善効果が得られるが、接着性の観点及び含有量を多くしても反応バランスが取りやすい等の観点から、フタル酸系ポリオール(B)が特に好ましい。
【0031】
本発明において、ポリオール成分全体当たりのフタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)から選ばれる少なくとも1種のポリオールの含有量は、1〜20重量%程度が好ましく、1〜15重量%程度がより好ましく、1〜10重量%程度が特に好ましい。1重量%以上であることでポリウレタンフォームのフレームラミネート性を顕著に改善することができる。20重量%を超えると、植物度が下がると共に、反応バランスを取ること及び粘度調整を行うことが難しくなり、フォームの生産性が低下してしまう。従って、1〜10重量%程度が、生産性及び植物度を維持しつつ高い剥離強度の積層材料を得るために特に好ましい範囲である。
【0032】
本発明のポリウレタンフォームは、フレームラミネート加工によって、特に、自動車等の車両の内装材用途(天井用表皮材、ドアトリム材、シートクッション表皮材、ヘッドレスト表皮材、アームレスト表皮材等)や、寝具・家具用途(ソファ、マットレス等の表皮材)等に好適に使用される、表皮素材と一体化した積層材料(積層成形品)を得ることを意図しており、このようなポリウレタンフォームは、通常、軟質ポリウレタンフォーム(半硬質ポリウレタンフォームも含む)が用いられる。このため、ポリオール成分には、上述の植物由来ポリオール(A)、フタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)以外に、軟質ポリウレタンフォームとするために好適に作用する他のポリオールが使用される。なお、上述の用途の軟質ポリウレタンフォームは、近年、ある程度の剛性が要求され、いわゆる高硬度軟質ポリウレタンフォーム(すなわち、25%硬さが150N以上、さらには200〜450N程度を示すもの)が求められることが多くなってきている。従って、本発明のポリウレタンフォームにおいても、25%硬さが150〜450N程度を示す高硬度のポリウレタンフォームを得るために、ポリマーポリオール(E)を使用するのが好ましい。
【0033】
ここで、ポリマーポリオール(E)とは、ポリエーテルポリオールにポリマー粒子を微粒子状にて分散させたものであり、ポリマー粒子としては、例えば、アクリロニトリル、スチレン、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレート等のビニルモノマーをモノマー成分とするホモポリマー又はコポリマー等の付加重合系ポリマーが挙げられ、中でも、アクリロニトリルのホモポリマー、スチレンのホモポリマー及びアクリロニトリルとスチレンのコポリマーから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。また、ポリエーテルポリオールは、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加重合させて得られるものであり、多価アルコールとしては、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン等が用いられ、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が用いられる。ポリエーテルポリオールは、中でも、グリセリンにプロピレンオキシド(PO)及び/又はエチレンオキシド(EO)を付加した数平均分子量2000〜4000、水酸基価40〜60程度のポリエーテルポリオールは植物由来ポリオール(特にひまし油由来のポリオール)との相性が良く、好適に使用することができる。なお、ポリマーポリオール(E)におけるポリマー粒子の含有量は通常20〜50重量%程度である。
【0034】
本発明において、ポリマーポリオール(E)は、高硬度付与及び生産性の観点から、1分子当たりの平均官能基数は2.5〜4であることが好ましく、水酸基価は20〜50mgKOH/gであることが好ましく、ポリマー粒子含有量は30〜45重量%程度であることが好ましい。
【0035】
一般に、ポリマーポリオールを使用して得られるポリウレタンフォームは、汎用ポリオール(すなわち、グリセリンにPOやEOを付加した分子量2000〜4000、水酸基価40〜60程度のポリエーテルポリオール)を使用して得られるポリウレタンフォームに比べて、火炎溶融時のベトツキ性能(粘着性)が低下し、ラミネート性が低下することが知られている。しかし、後述の実施例から明らかなように、本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール成分に植物由来ポリオール(A)を使用しつつ、ある程度の剛性を付与するために、さらにポリマーポリオール(E)使用して得られるポリウレタンフォームであっても、汎用ポリオールを使用しなくても、フレームラミネート加工により、表皮素材に対して高い剥離強度で接着し得る。
【0036】
ポリオール成分全体当たりのポリマーポリオール(E)の含有量は、20〜80重量%が好ましく、40〜80重量%がより好ましく、50〜70重量%が特に好ましい。20重量%以上であることで、所望の硬度(好ましくは25%硬度が150N以上)を有するポリウレタンフォームが形成されやすくなる。ただし、80重量%を超えると、フォームが硬くなりすぎ、特に車両用内装材に適用し難くなる。
【0037】
本発明において、ポリオール成分には、ポリエーテルポリオール(F)を使用することができる。かかるポリエーテルポリオール(F)とは、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加重合させて得られるものであり、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、かかる多価アルコールに付加重合するアルキレンオキシドとしては、炭素数2以上のものが挙げられ、例えば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどである。なかでも、グリセリンにプロピレンオキシド(PO)及び/又はエチレンオキシド(EO)を付加した数平均分子量2000〜4000、水酸基価40〜60mgKOH/g程度のポリエーテルポリオールは、植物由来ポリオール(特にひまし油由来のポリオール)との相性が良いため好ましく、特に好ましくは、数平均分子量が3000、水酸基価が56のポリエーテルポリオール(所謂、3000番タイプのポリオール)である。
【0038】
ポリエーテルポリオール(F)は、ポリマーポリオール(E)を使用して硬度の高いポリウレタンフォームを形成する場合の硬度調整の目的で使用することができ、その場合、ポリオール成分全体に対して50重量%以下の範囲内で使用される。
【0039】
一方、製造すべきポリウレタンフォームを柔軟性の高いポリウレタンフォームとする場合(すなわち、ポリマーポリオール(E)を使用しない場合)は、ポリエーテルポリオール(F)はポリオール成分全体に対して10〜80重量%程度が好ましく、40〜80重量%程度がより好ましく、50〜70重量%が特に好ましい。
【0040】
本発明において、ポリオール成分には、上述のポリオール(A)〜(F)以外に、本発明の効果を阻害しない範囲内でその他のポリオールを使用してもよい。
【0041】
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤及び触媒を少なくとも含む原料組成物をワンショット法、モールド法などの公知の製造方法によって反応及び発泡させて得ることができる。通常、フレームラミネート用ウレタンフォームは、ワンショット法で製造されることが多く、各成分をミキシングチャンバーに同時に加え、該各成分の添加と同時に強力な撹拌によって混合し、ポリウレタンフォームを製造するが、本発明のポリウレタンフォームもかかる方法が好適である。なお、得られたポリウレタンフォームスラブを所望の厚みにスライスし、シート状に加工することによりフレームラミネートに供される。
【0042】
ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である限り、特に制限されるものではなく、例えば、脂肪族系、芳香族系等のポリイソシアネートの1種を単独で使用するか2種以上を混合して用いる。好ましくは、芳香族系ポリイソシアネートであり、具体例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等が挙げられる。中でも、2,4−トリレンジイソシアネート及び/又は2,6−トリレンジイソシアネートが好ましい。
【0043】
ポリイソシアネートはポリイソシアネートの全イソシアネート基とポリオールの全水酸基(発泡剤として水を使用する場合には水も含めて計算する)の当量比が0.85〜1.15となる範囲で使用するのが好ましく、より好ましくは当該当量比が0.95〜1.05となる範囲である。
【0044】
発泡剤としては、ポリウレタンフォームの分野で従来から発泡剤として使用されているものが使用可能であり、環境的には水のみを用いるのが好ましい。水はポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生することにより化学発泡剤として使用される。通常使用される発泡剤の量は、ポリオール成分100重量部に対して1〜7重量部が好ましく、フォームに好ましい密度を現出させる観点からは、2〜6重量部が好ましい。また、発泡剤として適宜物理発泡剤を使用することができる。物理発泡剤として、メチレンクロライドや炭化水素類(シクロペンタン等)、炭酸ガス、液化炭酸ガス等が挙げられる。
【0045】
整泡剤としては、ポリウレタンフォーム製造の分野で一般に軟質スラブ、軟質モールド用として用いられる、オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン・ポリアルキレン共重合体、ポリアルキレン側鎖を有するポリアルケニルシロキサン等のシリコーン系界面活性剤を使用するのが好ましい。整泡剤の使用量は、ポリオール成分100重量部に対して、通常0.2〜6重量部程度である。
【0046】
触媒としては、従来から知られているアミン系、錫系等の触媒を用いることができる。アミン系触媒としては、例えばトリメチルアミンエチルピペラジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等の3級アミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジメチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン等を挙げることができる。錫系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクテート等を挙げることができる。触媒の使用量は、ポリオール成分100重量部に対して、通常0.01〜8重量部程度である。
【0047】
ポリウレタンフォームの原料組成物には、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤及び触媒等の必須成分以外に、例えば、フレームラミネート時のベトツキ性(粘着性)向上等の観点から、含リン化合物を配合するのが好ましい。かかる含リン化合物としては、ポリウレタンフォームの難燃剤として用いられる公知の含リン化合物を使用することができ、例えば、トリスモノクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスジブロモプロピルホスフェート等のトリスハロアルキルホスフェート;トリスモノクロロエチルホスファイト、トリスモノブロモエチルホスファイト等のトリスハロアルキルホスファイト;ジアンモニウムホスファイト等のアンモニウムホスファイト;トリクレジルホスフェート等のトリアリールホスフェート等といった、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類、リン酸塩、亜リン酸塩等を挙げることができる。また、プロポキシル化リン酸などのアルコキシリン酸、リン酸と五酸化リンの混合物にプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加させた含リンポリオールといった分子中に活性水素を有する有機リン化合物等が挙げられる。含リン化合物の使用量は、ポリオール成分100重量部に対して、通常1〜30重量部程度である。1重量部未満では、ベトツキ性(粘着性)向上の効果が十分に発現せず、30重量部を越えると、フォームの硬度低下が顕著になり、フォームの好ましい硬度(硬さ)を維持できなくなってしまう。
【0048】
また、フォームの硬さ調整等の観点から、原料組成物には、低分子量架橋剤を配合することができ、かかる低分子量架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール類並びにこれらの多価アルコール類を開始剤として、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを重合させて得られる水酸基価が300〜1000mgKOH/gの化合物や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。かかる低分子量架橋剤は、通常、ポリオール成分100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
【0049】
また、原料組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤等の添加剤を含有させてもよい。
【0050】
本発明のポリウレタンフォームは、環境負荷軽減の観点から、植物度(%)が10%以上であるのが好ましく、15%以上であるのがより好ましい。また、本発明のポリウレタンフォームの密度は特に限定されないが、車両用内装材として用いる場合20〜60kg/m程度が好ましく、特に表皮素材との剥離強度の維持の観点から35〜55kg/m程度がより好ましい。また、フォームの硬さは特に限定されないが、一般的には25%硬さが80〜500N程度であるのが好ましく、特に表皮素材との剥離強度の維持の観点からは25%硬さが200〜450N程度であるのがより好ましい。
【0051】
<フレームラミネート加工>
本発明のポリウレタンフォームは、フレームラミネート加工により、表皮素材に積層一体化した積層材料(表皮材)を形成する。例えば、天井用表皮材やヘッドレスト用表皮材等の車両用内装材の場合、表皮材は、表皮素材とワディング材を積層したものや、これにさらにフィルムや不織布からなる裏面素材を積層した、2層又は3層構成の積層材料(表皮材)が多いが、本発明のポリウレタンフォームは積層材料(表皮材)中のワディング材として使用される。
【0052】
表皮材における表皮素材としては、繊維質素材、レザー質素材等が例示される。繊維質素材としては、天然繊維及び/又は合成繊維からなる単繊維、撚糸、複合糸、中空糸、短繊維等の繊維を主材料として形成された、織物状、編物状、不織布状等の厚みが0.1〜3mm程度のシート状物が挙げられる。天然繊維としては、例えば、セルロース系繊維、羊毛、カシミアやアンゴラなどの獣毛、絹等が挙げられ、セルロース系繊維には、綿、麻、ケナフ、パルプなどの天然セルロース繊維の他、ビスコースレーヨン、キュプラ、アセテートなどの再生セルロース繊維などが挙げられる。合成繊維としては、アクリルやモダアクリルなどのアクリル系繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル系繊維、ナイロン6やナイロン66などのナイロン系繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維が挙げられる。多くの場合、合成繊維製が使用され、特に多く用いられる表皮素材はポリエステル繊維のニット品である。また、レザー質素材としては、ポリ塩化ビニルレザー、熱可塑性ウレタンレザー(TPUレザー)などが挙げられる。
【0053】
本発明のポリウレタンフォームは、通常、厚みが1〜20mm程度、好ましくは2〜10mm程度のシート状物にして、フレームラミネート加工に供される。また、フレームラミネート加工は、市販のフレームラミネート装置を用いて、通常の方法により加工される。
【0054】
このようにして得られる本発明のポリウレタンフォームと表皮素材が積層一体化した本発明の積層材料(表皮材)は、表皮素材とポリウレタンフォームとが高い接着強度で接着しており、自動車内装材、寝具・家具等の種々の用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例と比較例を示して、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下に記載の実施例に限定されるものではない。
なお、本明細書中の特性値及び物性値は以下の方法による測定値である。
【0056】
1.水酸基価:JIS K 1557に準拠。
2.数平均分子量:水酸基価換算分子量(JIS K 1557に準拠)。
3.密度(kg/m):JIS K 7222の見掛け密度を測定する方法に準拠。
4.25%硬さ(N):JIS K6400−2 D法:2004に準拠。
5.剥離強度(横)(N/m):積層材料を25mm×150mmに裁断する(なお、生地の流れ方向に対して垂直方向に剥離するよう裁断する)。裁断後して得られた試料の端部の一部のウレタンを剥がし、その部分をチャックで挟み、続いて、200mm/minの速度で、少なくとも40mm以上剥がし、その時の荷重の平均値を測定し、その値から剥離強度を算定する。
6.植物度(%):(植物由来原料の合計重量)/(全原料の合計重量)×100の計算式により算出。
7.ベトツキ性
ポリウレタンフォームにガスバーナーの炎を接触させ、瞬時に取り除いた後、ポリウレタンフォームの表面状態をすぐさま視覚及び触感で観察する。
○:ポリウレタンフォームのベトツキ性がよく、ベトツキの乾きも遅い。
△:ポリウレタンフォームのベトツキ性はよいが、ベトツキの乾きがやや早い。
×:ポリウレタンフォームのベトツキ性が少なく、ベトツキの乾きも早い。
【0057】
(実施例1〜6及び比較例1、2)
下記の材料を使用し、表1に示す組成の原料組成物を調製後、ハンド発泡法によりポリウレタンフォームを製造し、ポリウレタンフォームを厚み9mmにスライスした後、フレームラミネート加工に供して、繊維質表皮素材(ポリエステル繊維ニット品、目付量300g/m、トリコット編み、厚み1.0mm、撥水加工なし)と接着した。なお、表1中の物性値及び特性値以外の数値は重量部を示す。
【0058】
(実施例7〜12及び比較例3、4)
下記の材料を使用し、表2に示す組成の原料組成物を調製して、ハンド発泡法により軟質ポリウレタンフォームを製造し、ポリウレタンフォームを厚み10mmにスライスした後、フレームラミネート加工により繊維質表皮材(ポリエステル繊維ニット品(目付量300g/m、トリコット編み、厚み1.0mm、撥水加工なし)と接着した。なお、表2中の物性値及び特性値以外の数値は重量部を示す。
【0059】
(1)POP-45:三井化学社製のポリマーポリオール(水酸基価:33、平均官能基数:約3、ポリマー含量:約40%)
(2)3000:グリセリンにプロピレンオキシドを付加した、いわゆる3000番タイプのポリエーテルポリオール(水酸基価:56、平均官能基数:3、数平均分子量:3000)
(3)LAV:豊国製油社製のひまし油由来ポリオール(水酸基価:約160、平均官能基数:3)
(4)DPG(ジプロピレングリコール):水酸基価836
(5)3P56M:三井化学社製のフタル酸系ポリオール アクトコール3P56M(水酸基価:56、平均官能基数:3)
(6)TA22-558:日立化成社製のダイマー酸系ポリオール(水酸基価:70〜75、平均官能基数:3)
(7)N2200:日本ポリウレタン工業社製のアジペート系ポリオール ニッポランN−2200(DEG/TMP、水酸基価:約60、平均官能基数:2.5)
(8)MR:東ソー社製のアミン触媒 TOYOCAT−MR (N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン)
(9)SRX280A:東レ・ダウコーニング社製シリコン整泡剤
(10)CR-504L:大八工業化学社製含リン化合物(含ハロゲン縮合リン酸エステル)
(11)L-638:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコン整泡剤
(12)TDI-80:トリレンジイソシアネート(2,4体:80%、2,6体:20%)
【0060】
【表1】

【0061】
比較例1は公知のフレームラミネート用ポリウレタンフォーム(高硬度品)である。比較例2はひまし油由来ポリオールを使用し、フタル酸系ポリオール、ダイマー酸系ポリオール及びアジペート系ポリオールのいずれも使用せずに、比較例1のポリウレタンフォーム(高硬度品)と密度、25%硬さを近似させたポリウレタンフォームである。
【0062】
【表2】

【0063】
比較例3は公知のフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォーム(標準品)である。比較例4はひまし油由来ポリオールを使用し、フタル酸系ポリオール、ダイマー酸系ポリオール及びアジペート系ポリオールのいずれも使用せずに、比較例3のポリウレタンフォーム(標準品)と密度、25%硬さを近似させた軟質ポリウレタンフォームである。
【0064】
表1及び2から、植物由来ポリオールとともに、フタル酸系ポリオール、ダイマー酸系ポリオール及びアジペート系ポリオールからなる群から選ばれるポリオールを使用することで、植物度が十分に高く、しかも、良好なフレームラミネート性を有する、ポリウレタンフォームを得ることができることが分かる。特に、表1から、植物由来ポリオールとともにポリマーポリオールを使用しても、フタル酸系ポリオール、ダイマー酸系ポリオール又はアジペート系ポリオールを使用すれば、汎用ポリオール(3000番タイプのポリエーテルポリオール)を使用しなくても、良好なフレームラミネート性を有する、高硬度の軟質ポリウレタンフォームを得ることができ、フレームラミネート加工によって、高硬度の軟質ポリウレタンフォームと表皮素材とが高い接着強度(剥離強度)で積層一体化された積層材料(表皮材)を得ることができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のポリウレタンフォームは、植物由来のポリオールを用いた環境負荷の少ないポリウレタンフォームであって、フレームラミネート法により繊維生地やレザー生地と接着する際の接着性が好ましいことから、車両用内装材はもちろんであるが、その他家具、寝具、衣料品、建築物用内装品等への適用も期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤及び触媒を少なくとも含む原料組成物を反応させて得られるポリウレタンフォームであって、
前記ポリオールが、植物由来ポリオール(A)と、フタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールとを含むことを特徴とする、フレームラミネート用ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
ポリオール全量当たりの植物由来ポリオール(A)の含有量が20〜70重量%である、請求項1記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
ポリオール全量当たりのフタル酸系ポリオール(B)、ダイマー酸系ポリオール(C)及びアジペート系ポリオール(D)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールの含有量が1〜20重量%である、請求項1又は2記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
ポリオールが、20〜80重量%のポリマーポリオール(E)を含有するものである、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
25%硬さが150〜450Nである、請求項4記載のポリウレタンフォーム。
【請求項6】
ポリオールが、10〜80重量%のポリエーテルポリオール(F)を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項記載のポリウレタンフォーム。
【請求項7】
植物度が15%以上である、請求項1〜6のいずれか1項記載のポリウレタンフォーム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリウレタンフォームと表皮素材とをフレームラミネート加工により積層一体化してなる積層材料。

【公開番号】特開2011−202026(P2011−202026A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70931(P2010−70931)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】