説明

フレームラミネート用軟質ポリウレタンフォーム

【課題】自動車座席シートのクッション性表皮材や天井材、家具のソファ−の上張り材やベッドの上張り材など、表皮材にクッション材を張り合わせてなるクッション性複合材においてクッション材に好適に使用されるフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォームの提供。
【解決手段】平均分子量が2000〜4000、水酸基価30〜110KOH・mg/g、平均官能基数2〜4の高分子量のポリオール(A)、平均分子量が200〜700、水酸基価150〜1200KOH・mg/g、平均官能基数2〜3の低分子量のポリオール(B)、及び平均分子量200〜300、水酸基価400〜500KOH・mg/g、平均官能基数2〜3の低分子量の含リンポリオール(C)を含む軟質ポリウレタンフォーム原料を発泡させてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車座席シートのクッション性表皮材や天井材、家具のソファ−の上貼り材やベッドの上貼り材など、表皮材にクッション材を貼り合わせてなるクッション性複合材において、クッション材に好適に使用される、フレームラミネート性に優れる軟質ポリウレタンフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームと布地やレザーなどの他のシート状物を貼り合せて形成されるクッション性複合材は、クッション性を有し、感触が良好で量感のあるものとして、自動車の内装材や家具類に広く使用されている。
このようなクッション性複合材を製造する方法としては、従来から、クッション材である軟質ポリウレタンフォームの熱溶融性や粘着性を利用して、接着剤を使用せずに表皮材とクッション材を貼り合わせるフレームラミネート法が用いられている。また、フレームラミネート法に適用できる軟質ポリウレタンフォームは、火炎により軟質ポリウレタンフォームの表層のみが適度に溶融し、表皮材と貼り合わせた場合に瞬時に且つ強固に接着するといった特性を備えるものであればよく、例えば、ポリオールがポリエステルエーテルポリオールであるもの(特許文献1)や、有機リン系化合物を含有したもの(特許文献2)、低分子量ポリオールを含有したもの(特許文献3)などを使用してなる軟質ポリウレタンフォームが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭48−10078号公報
【特許文献2】特開昭61−174217号公報
【特許文献3】特開2003−252946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のポリエステルエーテルポリオールを用いた軟質ポリウレタンフォームでフレームラミネートをする場合には、フォームの熱溶融性には優れるものの、表皮材とフォームを貼り合わせた直後の剥離強度(以下、初期剥離強度と示すこともある)が弱いため、ずれが生じたり、しわが発生しやすくなったり、外観も損なわれる上、製造工程も煩雑となってしまうものであった。
また、剥離強度を高めるために、特許文献2ではポリオールに有機リン系化合物を添加することが行われているが、有機リン系化合物によっては、熱分解によって揮発性有機化合物が発生しやすく、フォームや表皮材の変色を起こしたり、表皮材、或いは裏布によっては十分な剥離強度が得られないものであった。
さらに、特許文献3は、ポリオキシアルキレンエーテルポリオールに、低分子量のポリオールを架橋剤として含有させたポリオールを使用して、初期剥離強度を付与するものであるが、火炎でウレタンフォームを融解させる際、熱分解性粘着性残渣が少なく、生地の種類により初期剥離強度が劣る等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、ポリオールと、ポリイソシアネートとからなるフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォームであって、表皮材との剥離強度に優れるとともに、変色などがなく、外観も良好なクッション性複合材を得ることのできるフレームラミネート用軟質ウレタンフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、ポリオールと、ポリイソシアネートとを用いて、フレームラミネート性を向上させることを検討した結果、低分子量の含リンタイプのポリオールと低分子量のポリオールとの組み合わせにより、初期剥離強度だけでなく、最終的な剥離強度も良好なフレームラミネート性を付与できることを見出し、発明に至ったものである。
【0007】
本発明のフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォームは、平均分子量が2000〜4000、水酸基価30〜110KOH・mg/g、平均官能基数2〜4の高分子量のポリオール(A)、平均分子量が200〜700、水酸基価150〜1200KOH・mg/g、平均官能基数2〜3の低分子量のポリオール(B)、及び平均分子量200〜300、水酸基価400〜500KOH・mg/g、平均官能基数2〜3の低分子量の含リンポリオール(C)を含む軟質ポリウレタンフォーム原料を発泡させてなることを特徴とするものである。
【0008】
このように、高分子量のポリオール(A)に低分子量のポリオール(B)と低分子量の含リンポリオール(C)を添加してなるポリオールを用いると、初期剥離強度だけでなく、最終的な剥離強度にも優れるフレームラミネート性を有する軟質ポリウレタンフォームとなる。
なお、本発明の含リンポリオールとは、分子内にリンを化学結合を介して含有したポリオールのことである。
【0009】
また、前記ポリオールの全量を100重量部としたとき、前記ポリオール(B)が0.1〜5重量部、前記含リンポリオール(C)が0.1〜5重量部添加されてなる軟質ポリウレタンフォームであれば、フォームの発泡状態も良好な軟質ポリウレタンフォームが得られ、クッション性や感触などにも優れるものとなる。
【0010】
また、前記ポリオールに、平均分子量400〜1200、水酸基価100〜200KOH・mg/g、平均官能基数が2〜3の含リンポリオール(D)が、前記ポリオールの全量を100重量部としたとき、0.1〜3重量部添加されてなる軟質ポリウレタンフォームであれば、含リンポリオール(D)を含まないポリオールからなるフォームと比べて、硬度が低下するものとなり、さらにフレームラミネート性に優れるものとなる。
【0011】
また、前記ポリオールの全量を100重量部としたとき、難燃剤が5〜30重量部添加されたものであれば、ウレタンフォームの発泡性を損なうことなく、難燃性にも優れるフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、高分子量のポリオール(A)と、低分子量のポリオール(B)及び低分子量の含リンポリオール(C)を含有する軟質ポリウレタンフォーム原料を用いることで、初期剥離強度だけでなく、最終的な剥離強度にも優れるフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
特に、フレームラミネート法を施す際に、初期剥離強度が弱すぎて、製造工程中に表皮材とのずれやしわなどの不良が発生するのを抑えることができるので、クッション性複合材のクッション材として好適に使用することができる。
【0013】
また、低分子量の含リンポリオール(C)とは異なる含リンポリオール(D)を添加すれば、添加しない場合よりもフォームの硬度を低下させることができるので、さらにフレームラミネート性に優れるものとなる。
【0014】
また、難燃剤を特定量添加すれば、フレームラミネート性を損なうことなく、難燃性にも優れるフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォームが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤、整泡剤を含む軟質ポリウレタンフォーム原料を発泡させて形成されるものであり、ポリオールが、高分子量のポリオール(A)、低分子量のポリオール(B)、及び低分子量の含リンポリオール(C)を含有してなるものである。
なお、本発明における平均分子量とは、すべて数平均分子量を示す。
【0016】
本発明では、高分子量のポリオール(A)として、平均分子量が2000〜4000、水酸基価30〜110KOH・mg/g、平均官能基数が2〜4のものが使用できる。
具体的には、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド、或いはエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを出発物質とした付加化合物であるポリオキシアルキレンエーテルポリオールや、コハク酸、アジピン酸などの飽和脂肪酸ポリカルボン酸とポリオキシアルキレンポリオールを縮合してなるポリエステルエーテルポリオールなどのフレームラミネート性を有する軟質ポリウレタンフォームの形成に用いられる汎用のポリオールが挙げられる。
特に、ポリオキシアルキレンエーテルポリオールであって、プロピレンオキサイド付加体であるポリオールの群から選ばれた1種単独、または2種以上を混合して使用することがウレタンフォーム発泡時の成形性が良好となるため好ましい。
【0017】
また、低分子量のポリオール(B)としては、平均分子量が200〜700、水酸基価が150〜1200KOH・mg/g、平均官能基数が2〜3のポリオールが使用できる。
このような低分子量のポリオール(B)は、軟質ポリウレタンフォームのポリマー骨格の規則性を低下させ、その熱溶融性を高めることができ、特に最終的な剥離強度を向上させるために有効なものである。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、および上記のポリオール化合物と、少なくとも1種のアルキレンオキシド、例えばプロピレンオキシド、又はエチレンオキシドとの付加化合物などから選ぶことができる。
特に、プロピレンオキサイド付加体であるポリオールの群から選ばれた1種単独、または2種以上を混合して使用することがウレタンフォーム発泡時の成形性が良好となるため好ましい。
【0018】
また、本発明に用いられる含リンポリオール(C)は、平均分子量200〜300、水酸基価400〜500KOH・mg/g、平均官能基数2〜3の低分子量の含リンポリオールが使用できる。
このような含リンポリオール(C)は、初期剥離強度を向上させるに著しく有効なものであり、また得られる軟質ポリウレタンフォームの難燃性を向上させる性質もある。さらに、分子内に活性水素基を有するものであるので、フォーム形成時には、イソシアネートと反応してポリオール骨格に組み込まれて、フォームの熱溶融性を向上させるとともに、低分子量でありながらも揮発を抑制されるので、変色や剥離強度の低下の原因となることも少なくなる。
具体的には、トリス(エチレングリコール)ホスフェート、トリス(プロピレングリコール)ホスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメタンホスホネート(アクゾ・ジャパン社製 FYROL(商標登録)−6)、ジイソプロピル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメタンホスホネート(アクゾ・ジャパン社製 FYROL(商標登録)−7)などが挙げられる。
【0019】
上記の通り、本発明の軟質ポリウレタンフォームを形成するポリオールは、高分子量のポリオール(A)、低分子量のポリオール(B)及び低分子量の含リンポリオール(C)を含有してなることを特徴とするものである。
【0020】
そして、ポリオール(B)と含リンポリオール(C)の添加量は、ポリオールの全量を100重量部としたとき、ポリオール(B)が0.1〜5重量部、含リンポリオール(C)が0.1〜5重量部であることが,フォームの発泡状態も良好な軟質ポリウレタンフォームが得られ、クッション性や感触などにも優れるものとなり好ましい。特に、含リンポリオール(C)の添加量が、0.1重量部未満であれば、初期剥離強度に寄与するリンの含有量が少なすぎて、剥離強度に劣る傾向にあり、5重量部を超えて添加すれば、剥離強度に優れるが、クッション性が損なわれてしまう傾向にある。
なお、ポリオール中のリン含有量は、0.01重量%以上であれば、十分にその初期剥離硬度を向上させる効果が発揮できるものである。
【0021】
また、上記で述べたように、フォーム形成時に、ポリオール(B)と含リンポリオール(C)は、ポリオール骨格に組み込まれることで、ポリオール骨格の規則性を低下させて熱溶融性を向上させる効果を有する。そのため、本発明は、ポリオール(B)と含リンポリオール(C)を併せた添加量が、ポリオールの全量を100重量部としたとき、0.5〜10重量部とするものである。このように、0.5重量部未満であると、フォームの熱溶融性が低下し、表皮材との剥離強度に劣る傾向にあり、10重量部を超える添加量であれば、フォーム中の独立気泡の量が過大になり、収縮しやすく、発泡安定性が低くなるという不都合を生じやすくなり、さらに熱溶融性が良すぎて、表皮材と接着して硬化する時間が長くなってしまう傾向にある。
【0022】
さらに、本発明のポリオールには、平均分子量400〜1200、水酸基価100〜200KOH・mg/g、平均官能基数2〜3の含リンポリオール(D)を添加してもよい。
この含リンポリオール(D)は、上記含リンポリオール(C)よりも分子量の大きいものであるので、これを添加していないポリオールからなる軟質ポリウレタンフォームと比較して、添加してなるフォームは、硬さが低下するものであり、よりフレームラミネート性に優れるものとなる。
このような効果を有する含リンポリオール(D)としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを出発原料としたポリエーテルポリオールのリン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、亜リン酸エステル、及びそれらの縮合体などが挙げられ、例えばクラリアント社製の「OP−550」などが挙げられる。
【0023】
また、含リンポリオール(D)の添加量としては、ポリオールの全量を100重量部としたとき、0.1〜3重量部であることが好ましい。添加量が0.1重量未満では、フォームの硬度を低下させる効果が得られにくく、3重量部を超えて添加すれば、フォームが柔らかすぎて、フレームラミネート時の溶融するフォームの厚み(融け代)が厚くなり、剥離強度が低下する虞がある。
【0024】
さらに、含リンポリオール(D)を添加した場合においても、ポリオール(A)以外のポリオール(B)、(C)及び(D)の添加量の合計が、ポリオールの全量を100重量部としたとき、0.5〜10重量部であることが良好なフォームを形成する上で好ましい。
特に、含リンポリオール(C)と含リンポリオール(D)を併せた添加量が、ポリオールの全量を100重量部としたとき、0.2重量部〜8重量部であれば、初期剥離強度に寄与するリンの効果が十分に発揮され、より好ましい。0.2重量部未満であれば、初期剥離強度に寄与するリンの含有量が十分でない場合もあり、8重量部を超えて添加すると、剥離強度に優れるが、クッション性が損なわれてしまう傾向にある。
この場合においても、ポリオール中のリン含有量は、0.01重量%以上であれば、十分に初期剥離強度を向上させる効果を発揮できるものである。
【0025】
次に、ポリイソシアネートとしては、一般の軟質ポリウレタンフォームの製造原料として使用されているポリイソシアネートをそのまま使用することができる。具体的には、トリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、ポリイソシアネートは、イソシアネートインデックスで105〜125であれば、良好な軟質ポリウレタンフォームが形成される。
【0026】
触媒としては、通常の軟質ポリウレタンフォームの製造に使用される全ての触媒が使用できる。例えば、有機スズ化合物(例えばジブチルララリン酸第二錫、およびオクチル酸第一錫など)および、第3級アミン類(例えばトリエチレンジアミン、ビスジメチルアミノエチルエーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、およびN−アルキルモルホリン類、例えば、n−メチルモルホリン、およびn−エチルモルホリンなど)から選ばれた少なくとも1種を含むものが用いられる。触媒は一般にポリイソシアネートおよびポリオールの合計重量に対し0.05〜2%の添加量で用いられる。
【0027】
発泡剤としては、水および低沸点ハロゲン化炭化水素類、例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、および塩化メチレン、などから選ばれた少なくとも1種からなるものであってもよい。発泡剤は一般にポリイソシアネートおよびポリオールの合計重量に対し10%以下の添加量で用いられる。
【0028】
整泡剤としては、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルシロキサン−ポリオキシアルキルブロックコポリマーなどの少なくとも1種のシロキサン化合物を用いることができる。整泡剤は、一般にポリイソシアネートとポリオールとの合計重量に対し0.3〜2%の添加量で用いられる。
【0029】
本発明の軟質ポリウレタンフォーム原料には、更に必要に応じて難燃剤を添加しても良い。難燃剤としてはトリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートのような従来公知の難燃剤の他、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムのような有機物粉末あるいは金属酸化物等の無機物粉末を用いることができる。
特に、難燃剤としては、含ハロゲンタイプの縮合リン系難燃剤の使用が好ましく、その添加量としては、要望される難燃性の度合いによって適宜調整されるものであるが、ポリオールの全量を100重量部としたとき、5〜30重量部であれば、ウレタンフォームの発泡性を損なうことなく、難燃性を付与できる点で、好ましい。また、本発明では、含リンポリオール(C)及び/又は含リンポリオール(D)を添加しているので、添加する難燃剤の添加量を通常必要な量よりも低減することもできる。
【0030】
その他助剤として、顔料、染料などの着色剤、可塑剤、その他の無機重量剤などを使用してもよい。また、その添加量は、フレームラミネート性を損ねない程度で、適宜設定されるものである。
【0031】
本発明の軟質ポリウレタンフォームは、上記に示したポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤、整泡剤を混合し、発泡、硬化させて製造する。
そして、得られたフォームをシート状にカットし、そのシート表面に表皮材をフレームラミネート法によって貼り合わせれば、クッション性複合材が得られる。
また、表皮材としては、例えばナイロン生地、ポリエステル生地、ポリウレタン生地などが使用できる。さらに、表皮材とは他の表面に、裏布として、例えば、不織布、メッシュ生地などを貼り合わせることも可能である。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
表1、2に示す成分を表1、2に示す割合で配合した原料を使用して、軟質ポリウレタンフォームを製造した。
なお、表1、2中のフォーム原料の各成分の割合はイソシアネート指数以外全て質量部で表されており、各原料はポリオールの全量を100重量部としたときの、重量部で表されている。
【0033】
表1及び表2中の原料は次の通りである。
ポリオール(A1):グリセリンベースのプロピレンオキサイド付加物
平均分子量3000、水酸基価56.1KOHmg/g、平均官能基数3
ポリオール(A2):ポリエステルポリオール
平均分子量2500、水酸基価72KOH・mg/g、平均官能基数3.2
(日立化成ポリマー(株)製、商品名「テスラック2458」)
ポリオール(B):グリセリンベースのプロピレンオキサイド付加物
平均分子量400、水酸基価420KOH・mg/g、平均官能基数3
(旭硝子(株)製、商品名「EL−430」)
含リンポリオール(C):ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメタンホスホネート
平均分子量255、水酸基価440KOH・mg/g、平均官能基数2
(アクゾ・ジャパン社製、商品名「FYROL(登録商標)−6」)
含リンポリオール(D):ポリエーテルポリオールリン酸エステル
平均分子量863、水酸基価130KOH・mg/g、平均官能基数2
(クラリアント社製、商品名「OP−550」)
難燃剤
大八化学(株)製、商品名「CR−504L」
整泡剤
信越化学工業株式会社製、商品名「F−258」
発泡剤
水、メチレンクロライド
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
得られた軟質ポリウレタンフォームにおいて、下記に示す測定及び評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
【0037】
(1)フォーム物性
JIS K 6400に準じて、フォーム密度、硬さ、引張強さ、伸び、圧縮残留歪を測定した。
【0038】
(2)発泡体性状
重合が適切で、クッション性に優れる:○
クッション性がやや劣る:△
重合が進みすぎて、独立気泡や収縮が生じている:×
【0039】
(3)フレームラミネート性
各軟質ポリウレタンフォームを6mm厚みにスライスし、バーナーフレーム上を20〜30m/minの速度で通過させ、表面を溶融させた後、表面にナイロン生地を重ね合わせ、ロールを通過させ圧着した。圧着1時間後、及び24時間後の剥離強度の測定を行った。測定においては幅25mm、長さ150mmに裁断し、JIS L 1066に準じて測定した。そのうち、タテ方向(巻き取り方向)の剥離強度の測定結果を表2に示す。
なお、圧着1時間後の剥離強度を初期剥離強度、圧着24時間後のものを最終剥離強度として示す。
【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
表3,4より、実施例1の軟質ポリウレタンフォームを用いてフレームラミネートした場合、ポリオール(A)、(B)、及び(C)をすべて含んでいない比較例1〜5の軟質ポリウレタンフォームを用いた場合と比べて、初期剥離強度とともに、最終剥離強度も大きいものであった。また、さらに含リンポリオール(D)を特定量添加した実施例3及び4においては、実施例1よりもフォーム硬さが低く、フレームラミネート性が向上するものであった。
【0043】
また、実施例2において、添加型のリン系難燃剤を特定量添加すれば、発泡状態が良好で、フレームラミネート性にも優れる軟質ポリウレタンフォームが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、フレームラミネート性に優れる軟質ポリウレタンフォームを提供するものであり、自動車の内装材や家具などの表皮材と貼り合わせたクッション性複合材のクッション材として、利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均分子量が2000〜4000、水酸基価30〜110KOH・mg/g、平均官能基数2〜4の高分子量のポリオール(A)、平均分子量が200〜700、水酸基価150〜1200KOH・mg/g、平均官能基数2〜3の低分子量のポリオール(B)、及び平均分子量200〜300、水酸基価400〜500KOH・mg/g、平均官能基数2〜3の低分子量の含リンポリオール(C)を含む軟質ポリウレタンフォーム原料を発泡させてなることを特徴とするフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記ポリオールの全量を100重量部としたとき、前記ポリオール(B)が0.1〜5重量部、前記含リンポリオール(C)が0.1〜5重量部添加されてなることを特徴とする請求項1に記載のフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
前記ポリオールに、平均分子量400〜1200、水酸基価100〜200KOH・mg/g、平均官能基数が2〜3の含リンポリオール(D)が、前記ポリオールの全量を100重量部としたとき、0.1〜3重量部添加されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
前記ポリオールの全量を100重量部としたとき 難燃剤が5〜30重量部配合されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレームラミネート用軟質ポリウレタンフォーム。

【公開番号】特開2011−202120(P2011−202120A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73095(P2010−73095)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】