説明

フレーム構造、及び、画像形成装置

【課題】構造体の高さ精度、および、精度の安定性、組立性が高いフレーム構造を提供する。
【解決手段】底板となる板金製の本体ベースに、L字形状部を有する板金製の部材が立設されてなるフレーム構造において、L字形状部の本体ベース側のそれぞれの辺に1つ以上の辺から突出する突起部が形成され、突起部のそれぞれに対応して板金製の部材を構成する板金の板厚と同幅でかつ突起部の幅と同じ長さとした孔部が本体ベースに形成され、突起部と孔部とが嵌合しかつL字形状部の本体ベース側の辺それぞれが本体ベースに接することにより、本体ベースとL字形状部を有する板金製の部材とが位置決めされ、そして、本体ベースから立設された取付部に締結されて本体ベースに固定されていることにより、本体ベースに対して、L字形状部を有する板金製の部材が固定されているフレーム構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置などの各種機器に応用可能な筐体のフレーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等における筐体を構成するフレーム構造については、概して、底板となりうる本体ベースと、かかる本体ベース上に立設された支柱、あるいは、装置に必要不可欠な各種機能部品、各ユニットを位置決め、取付ける為の側板を有する構成が一般的である。
【0003】
前記、支柱、並びに、側板は、本体ベースに対し、強固にかつ安定して位置決め、支持されると共に、内部に設置される機能部品や各ユニットを本体ベースに対する高さ方向への寸法精度を高い精度で保持する必要がある。
【0004】
本体ベース上に立設される支柱、及び、側板について、従来技術においては、根元に曲げ部、あるいは外周に渡って形成された絞り形状を有し、上方からネジの締結によって、本体ベースへ固定される方式が一般的である。
【0005】
従来技術におけるフレーム構造の一例について、図5を用いて説明をする。
図5のような、従来技術におけるフレーム構造においては、本体ベース上に立設された、支柱は、根元に曲げ部を有しており、かかる曲げ部と本体ベースとが各当接することにより、位置決め固定されている。
【0006】
本体ベース上に立設された支柱については、それ自体が機能部品や各ユニットを位置決めし固定するための側板を兼ねていることもあり、このような場合では曲げ部に代わり、側板の外周に渡って絞り形状を有しており、当該絞り面と本体ベースとが各当接することにより、位置決めされ固定されることとなる。
【0007】
このような従来技術におけるフレーム構造においては、前記、支柱、並びに、側板を形成する根元部の曲げ部と、本体ベースとが当接されるため、本体ベースからの高さ方向の位置は、前記、支柱、並びに側板の曲げ元部が基準となるので、高い寸法精度を確保するのは困難である。
【0008】
また、必要な寸法精度を確保できたとしても、良品を安定して高い精度を保って製造し続けることには困難があり、歩留まりが低く、その結果、部品コストが高くなってしまうといった課題がある。
【0009】
支柱による、あるいは、支柱が筐体を構成する側板を兼ねている、フレーム構造において、本体ベースからの高さ寸法の精度確保は極めて重要であり、この精度は筐体内に具備される機能部品、あるいは各ユニットの位置決め精度に大きく影響する。
【0010】
支柱の曲げ元(あるいは、側板に形成された外周に渡る絞り形状の根元)からの高さ精度の寸法精度が確保出来ないと、結果的に装置の品質に大きく影響を及ぼす可能性がある。
【0011】
加えて、前記、支柱、並びに側板に設けられた曲げ部、及び、外周絞り形状は、本体ベースに対して確実に直角となるように組み立てられているとはいえず、通常は直角に対し、わずかながらも誤差が生じてしまう(図中両矢印方向)。この場合、本体ベースへ固定後に、支柱、側板が倒れてしまう可能性さえある。
【0012】
図5に示すように、このような従来技術におけるフレーム構造においては、支柱、並びに、側板と、本体ベースとの取り付けは、上方からのネジ締結によって行われており、このような作業は本体ベースに立設した支柱、側板を避けるようにしながら作業を行う必要があり、非常に作業性が悪いといった課題もある。
【0013】
さらに、ネジ締結時には、通常、ドライバ等の工具を用いるが、その際、工具が入り込むだけのスペース(図中k)を確保する必要もあるが、このとき、ネジ取付位置を必然的に支柱、並びに側板からある程度離す必要がある。このために、さらに支柱、側板の取り付け安定性を損なうこととなり、結果として、筐体の強度低下を引き起こす事となってしまう。
【0014】
また、必要な機能部品、各ユニットを同一の筐体に備えるためには、必然的に、支柱、及び側板の高さを、ある程度は高くせざるを得ず、上記のような従来技術におけるフレーム構造では、安定した組立を行うことが困難である。
【0015】
ここで、特許第3401214号公報(特許文献1)では、支柱がしっかりと本体ベースに固定されるとともに、固定後の支柱の高さ精度の良いフレーム構造を提供する技術が提案されている。しかし、この技術では本体ベースが樹脂成型品で構成されている為、板金部材に比べ強度的に劣ると云う問題があった。
【0016】
また、特開2003-84517公報(特許文献2)では、画像歪み等が発生を防ぎつつ、高剛性化と軽量化を図ることができる画像形成装置が提案されている。しかし、この技術では構造体の高さ方向の精度を安定性を維持する為の方法が開示されていないと云う問題があった。
【0017】
さらに特許第4148442号公報(特許文献3)では、特に補強が必要な側板の周縁部を、部品点数少なく単純な構造で補強することができるとともに、重量をさほど増加させずに筐体全体の剛性を効果的に高めることができる、画像形成装置等のフレーム構造が提案されている。しかし、この技術では補強部材の部品点数が増加してしまい、コスト的に不利であるとともに、構造体の高さ方向の精度を安定性を維持する為の方法が開示されていないと云う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特許第3401214号公報
【特許文献2】特開2003-84517公報
【特許文献3】特許第4148442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、筐体等を構成するフレーム構造において、構造体の高さ精度、および、精度の安定性、組立性が高いフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のフレーム構造は、上記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、底板となる板金製の本体ベースに、L字形状部を有する板金製の部材が立設されてなるフレーム構造において、前記L字形状部の本体ベース側のそれぞれの辺に1つ以上の該辺から突出する突起部が形成され、
前記突起部のそれぞれに対応して前記板金製の部材を構成する板金の板厚と同幅でかつ前記突起部の幅と同じ長さとした孔部が前記本体ベースに形成され、前記突起部と孔部とが嵌合しかつ前記L字形状部の本体ベース側の辺それぞれが前記本体ベースに接することにより、前記本体ベースと前記L字形状部を有する板金製の部材とが位置決めされ、そして、前記本体ベースから立設された取付部に締結されて該本体ベースに固定されていることにより、前記本体ベースに対して、前記L字形状部を有する板金製の部材が固定されていることを特徴とするフレーム構造である。
【0021】
また、本発明のフレーム構造は請求項2に記載の通り、請求項1記載のフレーム構造において、前記L字形状部を有する板金製の部材が、上記本体ベースとともに筐体を構成する筐体側面部であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明のフレーム構造は請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載のフレーム構造において、前記辺の前記突起部の基部に切りかき部が設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明のフレーム構造は請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフレーム構造において、前記L字形状部を有する板金製の部材が、前記L字形状部を2つ有する略コ字状形状であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明のフレーム構造は請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフレーム構造において、前記本体ベースを構成する板金から切り出され、かつ、前記本体ベースの前記辺に接する部分から離間しかつ該辺に接する部分と平行な折り曲げ部で折り曲げられて、前記取付部が構成されている。
【0025】
また、本発明のフレーム構造は請求項6に記載の通り、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のフレーム構造において、前記本体ベースと平行な板金製の天板が備えられ、前記L字形状部の天板側のそれぞれの天板側辺に1つ以上の該辺から突出する天板側突起部が形成され、前記天板側突起部のそれぞれに対応して前記板金製の部材を構成する板金の板厚と同幅でかつ前記突起部の幅と同じ長さとした天板孔部が前記天板に形成されており、前記天板側突起部と天板孔部とが嵌合しかつ前記L字形状部の天板側辺それぞれが前記天板に接することにより前記天板と前記L字形状部を有する板金製の部材とが位置決めされ、そして、前記天板から立設された天板部取付部に締結されて該天板に固定されていることにより、前記天板に対して前記L字形状部を有する板金製の部材が固定されていることを特徴とする。
【0026】
また、本発明のフレーム構造は請求項7に記載の通り、請求項1〜6記載のフレーム構造において、本体ベースの前記L字形状部を有する板金製の部材とは反対側面の、前記L字形状部に接触する部分付近に該筐体設置用の脚部が設けられていることを特徴とする。
【0027】
本発明の画像形成装置は請求項8に記載の通り、請求項1〜7記載のフレーム構造を備えた筺体を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明のフレーム構造によれば、板金製の部材のL字形状部の本体ベース側のそれぞれの辺に1つ以上の該辺から突出する突起部が形成され、前記突起部のそれぞれに対応して前記板金製の部材を構成する板金の板厚と同幅でかつ前記突起部の幅と同じ長さとした孔部が前記本体ベースに形成され、前記突起部と孔部とが嵌合しかつ前記L字形状部の本体ベース側の辺それぞれが前記本体ベースに接することにより、前記本体ベースと前記L字形状部を有する板金製の部材とが位置決めされ、そして、前記本体ベースから立設された取付部に締結されて該本体ベースに固定されていることにより、前記本体ベースに対して、前記L字形状部を有する板金製の部材が固定されている構成により、L字形状部のそれぞれの辺と本体ベースとが接しているために高さ方向の高い寸法精度を得ることができ、本体ベースからの高さ精度を良好に保つことができる。L字形状部を有する板金製の部材を本体ベースに組付ける締結作業を側面から行うことができるので作業性の向上を図ることができ良好な組立性を得ることができる。
【0029】
また、請求項2に係る本発明のフレーム構造によれば、前記L字形状部を有する板金製の部材が、上記本体ベースとともに筐体を構成する筐体側面部であるために、この側面部を筐体内部に機能部品や各ユニットを取り付ける側板として用いることができ、このとき、これら機能部品や各ユニットの取り付けを位置精度よく行うことができ、機能部品や各ユニットの相互の位置精度も良好に保つことができる。
【0030】
また、請求項3に係る本発明のフレーム構造では、前記辺の前記突起部の基部に切りかき部が設けられている。ここで、板金部材に設けられた突起部の基部には根元には通常、微少なR(アール)が付いてしまう。このような基部にアールを有する突起部を、板金製の部材を構成する板金の板厚と同幅でかつ突起部の幅と同じ長さとした孔部に挿入した場合、L字形状部の本体ベース側の辺が本体ベースに接すると云う構成が達成されず、このとき、フレーム構造としての取り付け精度が低くなる。しかし、突起部の基部の前記辺に切りかき部が設けられていることにより、取り付け精度の低下を未然に防ぐことができる。
【0031】
また、請求項4に係る本発明のフレーム構造によれば、L字形状部を有する板金製の部材が、L字形状部を2つ有する略コ字状形状であることにより、フレーム構造により高い剛性を得ることができ、より安定した筐体とすることができる。
【0032】
また、請求項5に係る本発明のフレーム構造によれば、前記本体ベースを構成する板金から切り出され、かつ、前記本体ベースの前記辺に接する部分から離間しかつ該辺に接する部分と平行な折り曲げ部で折り曲げられて、前記取付部が構成されている。
【0033】
この構成により、本体ベースに対してL字形状部を有する板金製の部材の倒れを防止することができ、フレーム構造により高い安定性と、高い剛性とを付与することができる。さらに、取付部を本体ベースから切り出し、折り曲げるだけで形成することができるので部品数の増加を招かず、さらに取付部と本体ベースが一体であるので取付部の本体ベースへの取り付け作業が不要である。
【0034】
また、請求項6に係る本発明のフレーム構造によれば、前記本体ベースと平行な板金製の天板が備えられ、前記L字形状部の天板側のそれぞれの天板側辺に1つ以上の該辺から突出する天板側突起部が形成され、前記天板側突起部のそれぞれに対応して前記板金製の部材を構成する板金の板厚と同幅でかつ前記突起部の幅と同じ長さとした天板孔部が前記天板に形成されており、前記天板側突起部と天板孔部とが嵌合しかつ前記L字形状部の天板側辺それぞれが前記天板に接することにより前記天板と前記L字形状部を有する板金製の部材とが位置決めされ、そして、前記天板から立設された天板部取付部に締結されて該天板に固定されていることにより、前記天板に対して前記L字形状部を有する板金製の部材が固定されていることにより、L字形状部を有する板金製の部材の倒れをより完全に防ぐことができるとともに、筐体の安定性、剛性をさらに高めることが可能となる。
【0035】
また、請求項7に係る本発明のフレーム構造によれば、本体ベースの前記L字形状部を有する板金製の部材とは反対側面の、前記L字形状部に接触する部分付近に該筐体設置用の脚部が設けられているために、最も荷重の掛る部分に脚部を備えることにより、本体ベースの変形を抑えることができ、その結果、筐体の保形性を向上させることができる。
【0036】
また、請求項8に係る画像形成装置は、上記のフレーム構造を備えた筺体を備えているので、高さ方向の高い寸法精度を得ることができ、本体ベースからの高さ精度を良好に保つことができ、内部に設置される機能部品や各ユニットの位置精度が高いとともに相互間の位置精度もたかくなるので、良好な画像形成が可能となる。さらにL字形状部を有する板金製の部材を本体ベースに組付ける締結作業を側面から行うことができるので作業性の向上を図ることができ良好な組立性を得ることができる。さらに設置面の環境が劣悪(たとえば、凹凸等がある)であっても、筐体の保形性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るフレーム構造を有する画像形成装置用筐体の1例の本体ベース近くのモデル部分組み立て斜視図である。
【図2】(a)取付部1dの一例を示すモデル断面図である。(b)取付部1dの他の例を示すモデル断面図である。
【図3】(a)本発明に係る画像形成装置Bのモデル斜視図である。(b)本発明に係る画像形成装置B’のモデル斜視図である。
【図4】本発明に係るフレーム構造を有する画像形成装置用筐体の他の例のモデル部分組み立て斜視図である。
【図5】従来技術に係るフレーム構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1に本発明に係るフレーム構造を有する画像形成装置用筐体の1例の本体ベース1近くのモデル部分組み立て斜視図である。
【0039】
このフレーム構造は、底板となる板金製の本体ベース1に、直角に曲げられたL字形状部2aを2つ有する(L字形状部1つのみ図示する)略コ字状形状の板金製の部材2(本体ベース1とともに筐体を構成する筐体側面部)が立設されてなるフレーム構造であって、L字形状部2aの本体ベース1側のそれぞれの辺2b1および2b2に1つずつ、辺2b1および2b2から本体ベース1側へ突出する突起部2c1及び2c2が形成され、かつ、これら突起部2c1及び2c2のそれぞれに対応して前記板金製の部材2を構成する板金の板厚と同幅でかつ突起部2c1及び2c2の幅と同じ長さとした孔部1c1及び1c2が本体ベース1に形成されており、これら突起部2c1及び2c2と孔部1c1及び1c2とがそれぞれ嵌合しかつL字形状部の本体ベース側の辺2b1および2b2それぞれが本体ベース1に接することにより(図中ハッチングが施している部分同士)本体ベース1と前記L字形状部を有する板金製の部材2とが位置決めされ、そして、本体ベース1から立設された取付部1dにねじ3により締結されて本体ベース1に固定されていることにより本体ベースに対してL字形状部を有する板金製の部材2が固定されているフレーム構造である。1d1及び2d1はねじ穴である。なお、締結においては上記ではねじ締結を行っているが、ほかの手段、たとえば、ボルト締結、リベット締結あるいは溶接等によっても良い。
【0040】
また、本体ベース1のL字形状部2aを有する板金製の部材2とは反対側面の、L字形状部2aに接触する部分付近に設置用の脚部5が設けられている。脚部5の形態としては、設置面を傷つけないようにゴム製とすることもできるし、上記フレーム構造を有する装置を移動可能とするようなキャスター付きの脚としてもよい。
【0041】
ここで、取付部1dは図2(a)の取り付け部付近のモデル断面図に示してあるように、本体ベース1を構成する板金から切り出され、かつ、本体ベース1の辺2b1に接する部分1d3’を折り曲げられて、前記取付部が構成されていてもよいが、図2(b)の取り付け部付近のモデル断面に示してあるように、本体ベース1を構成する板金から切り出され、かつ、本体ベース1の辺2b1に接する部分から離間しかつ該辺に接する部分と平行な折り曲げ部1d3で折り曲げられて、前記取付部が構成されていると、L字形状部を有する板金製の部材2の倒れが効果的に防止されるので好ましい。図中符号1d2は取付部1dを切り出した部分である。
【0042】
本発明において辺の突起部の基部に切りかき部が設けられていることが望ましい。すなわち、板金製の部材2はプレスなどの板金加工で加工されるが、このとき図3(a)の組み立てモデル断面図に示すように、辺2b1’ 突起部2c2’の基部の示されているように丸みを帯びたR(アール)部2c3’が形成され、このとき突起部2c2’と同寸法に本体ベース1に形成された孔部1c1に挿入されたときにはこのR部2c3’によって辺2b1’は本体ベース1に接することができず、嵌合が不完全となり高い組み付け寸法精度が得られない懸念が生じる。一方、孔部1c1の寸法を突起部2c2’より大きくすると本体ベース1とL字形状部を有する板金製の部材2との位置決め精度が低くなる懸念が生じる。
【0043】
このような懸念を防止するために、図3(b)に示すようにL字形状部を有する板金製の部材2の辺2b1の突起部2c2のそれぞれの基部に突起部2c2とは反対方向に切りかき部(たとえば1〜2mm程度。逃げ部)2c3が設けられていれば良い。このときには上記のような組み立て精度にかかわるようなR部2c3’の形成があらかじめ防止されているために、高い精度で組み付けすることができる。
【0044】
図4には、図1のフレーム構造を有しながら、さらに本体ベース1と平行に天板4を備え、この天板4がL字形状部を有する板金製の部材2に本体ベース1と同様に位置決めされて固定されているフレーム構造を有する画像形成装置用筐体の1例のモデル部分組み立て斜視図を示す。
【0045】
本体ベース1とL字形状部を有する板金製の部材2とが形成するフレーム構造は図1の物と同様である。
【0046】
板金製の天板4に、直角に曲げられたL字形状部2aを2つ有する略コ字状形状の板金製の部材2が立設されてなるフレーム構造であって、L字形状部2aの天板4側のそれぞれの天板側辺2g1および2g2に1つずつ、天板側辺2g1および2g2から天板4側へ突出する天板側突起部2e1及び2e2が形成され、かつ、これら天板側突起部2e1及び2e2のそれぞれに対応して前記板金製の部材2を構成する板金の板厚と同幅でかつ突起部2e1及び2e2の幅と同じ長さとした天板孔部4e1及び4e2が天板4に形成されており、これら天板側突起部2e1及び2e2と天板孔部4e1及び4e2とがそれぞれ嵌合しかつL字形状部の天板側の辺2g1および2g2それぞれが天板4に接することにより天板4と前記L字形状部を有する板金製の部材2とが位置決めされ、そして、天板4からL字形状部を有する板金製の部材2側へ立設された取付部1fにねじ3とねじ穴4f1および2fにより締結されて天板4に固定されていることにより天板4に対してL字形状部を有する板金製の部材2が固定されているフレーム構造である。これらの構造により本体ベース1、直角に曲げられたL字形状部2aを2つ有する略コ字状形状の板金製の部材2、および、天板4はきわめて精度良く剛性が高い画像形成装置用筐体を形成しており、その作成は容易であるとともに、内部に設置される機能部品や各ユニットの組み付け精度がよいために良好な画像形成を安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
1 本体ベース
1c1、1c2 孔部
1d 取付部
1d1 ねじ穴
2 板金製の部材
2a L字形状部
2b1、2b2 辺
2c1、2c2 突起部
2c3 切りかき部
2d1 ねじ穴
3 ねじ
5 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板となる板金製の本体ベースに、L字形状部を有する板金製の部材が立設されてなるフレーム構造において、
前記L字形状部の本体ベース側のそれぞれの辺に1つ以上の該辺から突出する突起部が形成され、
前記突起部のそれぞれに対応して前記板金製の部材を構成する板金の板厚と同幅でかつ前記突起部の幅と同じ長さとした孔部が前記本体ベースに形成され、
前記突起部と孔部とが嵌合しかつ前記L字形状部の本体ベース側の辺それぞれが前記本体ベースに接することにより、前記本体ベースと前記L字形状部を有する板金製の部材とが位置決めされ、そして、
前記本体ベースから立設された取付部に締結されて該本体ベースに固定されていることにより、前記本体ベースに対して、前記L字形状部を有する板金製の部材が固定されている
ことを特徴とするフレーム構造。
【請求項2】
前記L字形状部を有する板金製の部材が、上記本体ベースとともに筐体を構成する筐体側面部であることを特徴とする請求項1記載のフレーム構造。
【請求項3】
前記辺の前記突起部の基部に切りかき部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレーム構造。
【請求項4】
前記L字形状部を有する板金製の部材が、前記L字形状部を2つ有する略コ字状形状であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフレーム構造。
【請求項5】
前記取付部が、前記本体ベースを構成する板金から切り出され、かつ、前記本体ベースの前記辺に接する部分から離間しかつ該辺に接する部分と平行な折り曲げ部で折り曲げられて、前記取付部が構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフレーム構造。
【請求項6】
前記本体ベースと平行な板金製の天板が備えられ、前記L字形状部の天板側のそれぞれの天板側辺に1つ以上の該辺から突出する天板側突起部が形成され、
前記天板側突起部のそれぞれに対応して前記板金製の部材を構成する板金の板厚と同幅でかつ前記突起部の幅と同じ長さとした天板孔部が前記天板に形成されており、前記天板側突起部と天板孔部とが嵌合しかつ前記L字形状部の天板側辺それぞれが前記天板に接することにより前記天板と前記L字形状部を有する板金製の部材とが位置決めされ、そして、
前記天板から立設された天板部取付部に締結されて該天板に固定されていることにより、前記天板に対して前記L字形状部を有する板金製の部材が固定されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のフレーム構造。
【請求項7】
本体ベースの前記L字形状部を有する板金製の部材とは反対側面の、前記L字形状部に接触する部分付近に設置用の脚部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のフレーム構造。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項にフレーム構造を備えた筺体を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−201801(P2010−201801A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50213(P2009−50213)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】