説明

フロアパネル及びその製造方法

【課題】その隅部の強度が低下することを防止してその隅部の変形を防止することができると共に、その重量化や高コスト化を防止することができるフロアパネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】天板6と箱状部材8の互いの周縁部6e,8c同士が結合してそれらの内部に空間10が形成され、箱状部材8の底板部8aの四隅部を支持する支持脚4と共にフリーアクセスフロア構造21を構成するフロアパネル20において、空間10中の天板6と箱状部材8の底板部8aとの間に補強部材22が配置され、補強部材22の平面形状は、箱状部材8の内側の水平断面形状に沿うような形状に形成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーアクセスフロア構造に用いられるフロアパネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フロアパネルは、フリーアクセスフロア構造に用いられるものであり、建築構造物の一部を構成するコンクリート材により形成された基礎床面の上方に空間を隔てて設けられるものである。
【0003】
このようなフロアパネルとしては、従来は特許文献1に示すようなものがあった。
また、別の従来のフロアパネルとしては、図9から図16に示すような、支持脚4と共にフリーアクセスフロア構造1を構成するフロアパネル2があった。
【0004】
図9に示す従来のフロアパネル2は、複数のパネルの各隅部が基礎床面3上に立設された支持脚4により支持されるようになっており、その支持脚4への着脱が可能となっていた。
【0005】
そしてフロアパネル2は、複数のパネルそれぞれの四隅部の1つずつが1箇所に寄せ集めて突き合わされて、基礎床面3から上方に空間を隔てた水平面上に、上から見て縦横二軸両方向に互いに隣り合うように整列して配置されるようになっていた。
【0006】
この従来のフロアパネル2は、図10にその上面図、図11にその下面図、図12にその側面図が描かれており、それらの図に示すように、フロアパネル2は主として、天板6と底板8(箱状部材)により構成されていた。これらの天板6と底板8は共に鋼板材を用いて形成されていた。
【0007】
フロアパネル2の天板6は、図10に示すように、略正方形の平板状に形成されており、その四隅部は、その平面形状が円形を4分割したような円弧状のテーパ部6bと、同様の円弧状の段差部6aが形成されるようになっていた。
【0008】
すなわち天板6は、その四隅部のそれぞれに、図13に示すように、図中左下方に向かって傾斜するテーパ部6bが形成されていると共に、このテーパ部6bの先端部に、天板6の上面6cと平行でかつ段差を有する段差部6aが形成されていた。これらのテーパ部6bと段差部6aは、プレス加工により同時に成形するようになっていた。
【0009】
フロアパネル2の底板8は、図12に示すように、その底板部8aの周縁部より図中上方に向かって略垂直に折り曲げられた側板部8bが形成されており、この側板部8bの上端部には図中水平方向外側に向かって略垂直に折り曲げられたフランジ部8cが形成されていた。これらの側板部8bとフランジ部8cは、プレス加工により同時に成形するようになっていた。
【0010】
したがって、フロアパネル2の底板8は、その上方のフランジ部8cの内側に開口した内部空間を有する箱状に形成されていた。
【0011】
図13に示すように、底板8の上方のフランジ部8cは、天板6の下面6dの周縁部6eに当接し、この当接したフランジ部8cは周縁部6eに溶接やカシメ等により接合されるようになっていた。
【0012】
図13に示すフロアパネル2の隅部以外の、フロアパネル2の4つの各辺部においても同様に、それらのフランジ部8cが天板6の下面6dの周縁部に溶接やカシメ等により接合されるようになっていた。
【0013】
このため、フロアパネル2は、図12,13に示すように、天板6と、底板8の底板部8aと側板部8bによりその内部に形成された内部空間10を有する、中空状に形成されていた。
【0014】
上記フロアパネル2の内部空間10には、所定の厚さを有する平板状の補強部材12が、天板6と、底板8の底板部8aの間に挟まれて配置されていた。この補強部材12には、木材を小さな木片に砕いて乾燥させ、接着剤を加えて高温高圧の下で成形したパーティクルボードが用いられていた。
【0015】
図14(a),(b)に示すように、補強部材12は、プレス装置によって切断することにより、略正方形の板状に形成されていた。そして補強部材12は、図14(a)に示すように、その図中下側の側辺部に、略矩形状に入り込んで切り欠かれた切欠き部12bが形成されていた。そして補強部材12の四隅部には、三角部を切り取った後にできたような隅面12aが形成されていた。
【0016】
そして、図13に示すように、補強部材12の厚さ方向(図中上下方向)の両端面は、天板6の下面6dと底板8の上面それぞれとの間に、接着剤を介して接着により固定されていた。
【0017】
このようなフロアパネル2を支持する支持脚4は、図9,15に示すように、パネル調整台14と、脚部16により構成されていた。
【0018】
支持脚4のパネル調整台14は、図15に示すように、その軸線部下端側にネジ孔14fが形成されており、このネジ孔14fに、基礎床面3上に立設する支持脚4の、脚部16の外周部に形成されたオネジ部16aをネジ結合した状態で、オネジ部16aの螺旋軌跡に沿ってパネル調整台14を相対回転させることにより、パネル調整台14の基礎床面3からの高さ位置を調整することができるようになっていた。
【0019】
そして、パネル調整台14の下端部に形成された、軸線がその半径方向に伸びるネジ孔14eに、固定ネジ部材15を脚部16の周部に向かって進むように締め付けることにより、パネル調整台14は基礎床面3から所望の高さ位置に固定されるようになっていた。
【0020】
支持脚4のパネル調整台14はその支持面14a上に、複数のフロアパネル2の底板8の、底板部8aの底面8dの四隅部のいずれか1つずつが載置されて、この底面8dの四隅部を介してフロアパネル2にその上方から加えられた荷重を、複数の支持脚4により支持するようになっていた。
【0021】
そして、フロアパネル2は、支持脚4のパネル調整台14上端部に凹んで形成された先端凹部14bに、その天板6の四隅部の段差部6aが、弾性材などを介して固定されるようになっていた。
【0022】
すなわち、固定皿ボルト17のオネジ部17bを、パネル調整台14の軸線部上端側のネジ孔14dに締め付けることにより、フロアパネル2の段差部6aが固定皿ボルト17の皿頭部17aに押え付けられて固定されるようになっていた。
【0023】
このため、複数のフロアパネル2が、それぞれの段差部6aを1箇所に寄せ集めて突き合わせるように配置され、1つの同じパネル調整台14の先端凹部14bに共に固定されるようになっていた。
【0024】
このような従来のフロアパネル2によれば、その内部空間10内に配置された補強部材12を厚くすることによりその強度を向上させることができるため、フロアパネル2が所望の強度を確保することができるようにはなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2009−144378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかしながら、上記従来のフロアパネル2に係る補強部材12は、その平面形状の周部がプレス装置により切断されて形成されるようになっているため、その切断の際に加えられる力により、接着剤を介して相互に接着されていた小さな木片が相互に離隔して、切断された部分近傍が崩れてしまうので、その平面方向の寸法精度が低いものであった。
【0027】
このため、その平面方向の寸法精度が低い補強部材12は、その四隅部に隅面12aを形成することにより、図13に示すように、底板8の側板部8bと、補強部材12の隅面12aとの間に隙間Sが形成されて、底板8と補強部材12がそれぞれの四隅部において互いに干渉しないようになっていた。
【0028】
このような補強部材12がその内部に配置されたフロアパネル2は、図15に示すように、隙間Sが形成された部分がパネル調整台14の支持面14aの上に載置され、フロアパネル2の底板8の隅部の大部分において、内部空間10内に補強部材12が配置されていない状態になっているので、その隅部の強度が低下するという問題があった。
【0029】
この従来のフロアパネル2においては、その天板6や底板8の板厚にもよるが、その上方から大きな荷重が加えられた際に、パネル調整台14の支持面14aにその大きな荷重の反作用として発生する、上方に向かう支持反力により押されて、底板部8aの隅部が凹むように変形するおそれがあった。
【0030】
このような底板部8aの隅部が変形するのを防止するために、補強部材12の厚さを厚くすることにより底板部8aの隅部の強度を向上させようとしても、上述のように、底板8の隅部の大部分において、フロアパネル2の内部空間10内に補強部材12が配置されていない状態になっているので、その強度が低下するという問題は変わらないだけでなく、補強部材12が厚くなることにより、その分重量が重くなると共に、コストも高くなるため、フロアパネル2の重量化や高コスト化を招くという問題があった。
【0031】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、その隅部の強度が低下することを防止してその隅部の変形を防止することができると共に、その重量化や高コスト化を防止することができるフロアパネル及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題を解決するために、本発明によるフロアパネルは、
天板と箱状部材の互いの周縁部同士が結合してそれらの内部に空間が形成され、前記箱状部材の底板部の四隅部を支持する支持脚と共にフリーアクセスフロア構造を構成するフロアパネルにおいて、
前記空間中の前記天板と前記箱状部材の底板部との間に補強部材が配置され、
前記補強部材の平面形状は、前記箱状部材の内側の水平断面形状に沿うような形状に形成されたことを特徴とするものである。
【0033】
また、本発明によるフロアパネルは、
前記箱状部材は、隅部に隣接する隣接辺部が、隣り合う一対の隅部間中央部の側板部より水平面における内側に引っ込んで形成されており、
前記補強部材は、前記箱状部材の隅部及び隣接辺部の内側の水平断面形状に沿うような平面形状の隅部及び隣接辺部が形成されたことを特徴とするものである。
【0034】
また、本発明によるフロアパネルは、
前記補強部材は、木質材料により形成されていることを特徴とするものである。
【0035】
また、上記課題を解決するために、本発明によるフロアパネルの製造方法は、
天板と箱状部材の互いの周縁部同士が結合してそれらの内部に空間が形成され、前記箱状部材の底板部の四隅部を支持する支持脚と共にフリーアクセスフロア構造を構成するフロアパネルにおいて、
前記空間中の前記天板と前記箱状部材の底板部との間に補強部材が配置され、
前記補強部材の平面形状は、前記箱状部材の内側の水平断面形状に沿うような形状に形成されたフロアパネルの製造方法であって、
板状材料の上面に、切断作用により前記板状材料の組織が崩れない位に先端部の断面が鋭利な角度の刃先を有し、この刃先が水平方向に連続する連続形状が前記補強部材の平面形状と同じ形状に形成された切断刃型の刃先を押し当て、
前記切断刃型が下降するよう駆動されて前記板状材料を切断することにより前記補強部材がその材料の組織が崩れることなく製造されるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0036】
このような本発明のフロアパネルによれば、
天板と箱状部材の互いの周縁部同士が結合してそれらの内部に空間が形成され、前記箱状部材の底板部の四隅部を支持する支持脚と共にフリーアクセスフロア構造を構成するフロアパネルにおいて、
前記空間中の前記天板と前記箱状部材の底板部との間に補強部材が配置され、
前記補強部材の平面形状は、前記箱状部材の内側の水平断面形状に沿うような形状に形成されたことにより、
フロアパネルの隅部の強度が低下することを防止してその隅部の変形を防止することができると共に、その重量化や高コスト化を防止することができる。
【0037】
また、本発明のフロアパネルの製造方法によれば、
天板と箱状部材の互いの周縁部同士が結合してそれらの内部に空間が形成され、前記箱状部材の底板部の四隅部を支持する支持脚と共にフリーアクセスフロア構造を構成するフロアパネルにおいて、
前記空間中の前記天板と前記箱状部材の底板部との間に補強部材が配置され、
前記補強部材の平面形状は、前記箱状部材の内側の水平断面形状に沿うような形状に形成されたフロアパネルの製造方法であって、
板状材料の上面に、切断作用により前記板状材料の組織が崩れない位に先端部の断面が鋭利な角度の刃先を有し、この刃先が水平方向に連続する連続形状が前記補強部材の平面形状と同じ形状に形成された切断刃型の刃先を押し当て、
前記切断刃型が下降するよう駆動されて前記板状材料を切断することにより前記補強部材がその材料の組織が崩れることなく製造されるようにしたことにより、
フロアパネルの隅部の強度が低下することを防止してその隅部の変形を防止することができると共に、その重量化や高コスト化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態に係るフロアパネル20を示す図であって、図11におけるB−B線矢視の断面図である。
【図2】図1に示す補強部材22の全体を示す図であって、図2(a)はその上面図、図2(b)はその側面図である。
【図3】図1に示すフロアパネル20と、このフロアパネル20を支持する支持脚4とにより構成されたフリーアクセスフロア構造21の斜視図である。
【図4】図3に示すフリーアクセスフロア構造21のC−C線矢視の断面図である。
【図5】図3に示すフリーアクセスフロア構造21の、フロアパネル20の底板8の側板部8bの高さ中央部を水平方向に切断して上方から見た部分断面図である。
【図6】プレス装置30により補強部材22を作成する動作を説明するための概略斜視図である。
【図7】プレス装置30により補強部材22を作成する動作を説明するための概略断面図である。
【図8】プレス装置30により補強部材22を作成する動作を説明するための概略断面図である。
【図9】従来のフロアパネル2と、このフロアパネル2を支持する支持脚4とにより構成されたフリーアクセスフロア構造1の斜視図である。
【図10】図3,9に示すフロアパネル20,2の上面図である。
【図11】図3,9に示すフロアパネル20,2の下面図である。
【図12】図3,9に示すフロアパネル20,2の一部破断側面図である。
【図13】図11に示すフロアパネル2のB−B線矢視の断面図である。
【図14】図13に示す補強部材12を示す図であって、図14(a)はその上面図、図14(b)はその側面図である。
【図15】図9に示すフリーアクセスフロア構造1のA−A線矢視の断面図である。
【図16】図9に示すフリーアクセスフロア構造1の、フロアパネル2の底板8の側板部8bの高さ中央部を水平方向に切断して上方から見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係るフロアパネルを実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0040】
図1から図8は、本発明の一実施の形態に係るフロアパネル20について説明するために参照する図である。これらの図に示すフロアパネル20は、前記従来のフロアパネル2と同様の部分には同じ符号を付して説明し、従来と同様の構成についての重複する説明は、その一部を除き省略するものとする。
【0041】
本実施の形態に係るフロアパネル20は、図1に示すように、天板6と底板8(箱状部材)との互いの周縁部同士が溶接やカシメ等により接合(結合)されることにより、天板6と底板8は一体的に形成されている。そして、フロアパネル20は、これらの天板6と底板8によりその内部空間10を有する中空状に形成されている。
【0042】
すなわち、フロアパネル20は、前記従来のフロアパネル2と同様に、図10にその上面図、図11にその下面図、図12にその側面図が描かれており、それらの図に示すように、フロアパネル20は主として、天板6と底板8により構成されている。これらの天板6と底板8は共に鋼板材を用いて形成されている。
【0043】
フロアパネル20の天板6は、図10に示すように、略正方形の平板状に形成されており、その四隅部は、その平面形状が円形を4分割したような円弧状のテーパ部6bと、同様の円弧状の段差部6aが形成されるようになっている。
【0044】
フロアパネル20の底板8は、図12に示すように、その底板部8aの周縁部より図中上方に向かって略垂直に折り曲げられた側板部8bが形成されており、この側板部8bの上端部には図中水平方向外側に向かって略垂直に折り曲げられたフランジ部8cが形成されている。
【0045】
したがって、フロアパネル20の底板8は、その上方のフランジ部8cの内側に開口した内部空間を有する箱状に形成されている。これらの折り曲げにより形成された側板部8bとフランジ部8cは、プレス加工により同時に成形することができる。
【0046】
図1に示すように、底板8の上方のフランジ部8cは、天板6の下面6dの周縁部6eに当接し、この当接したフランジ部8cは周縁部6eに溶接やカシメ等により接合されるようになっている。このため、フロアパネル20は、図1,12に示すように、天板6と、底板8の底板部8aと側板部8bによりその内部に形成された、内部空間10を有する中空状に形成されている。
【0047】
そして、図5に示すように、フロアパネル20は、底板8の側板部8bの隅部8e及び隣接辺部8h,8iは、底板8の隣り合う一対の隅部8e,8e間中央部の外側面8f,8gよりも、底板8の水平面における内側に少し引っ込んだ状態となるように形成されている。
【0048】
また、底板8の隅部8eと2つの隣接辺部8h,8iは、パネル調整台14上端側に設けられている、水平断面が略十字状で上方に突出する中心部材11の外周部に形成された、円弧状の凹部14cに入り込んで、その両側の2つの面に接触するように配置されている。
【0049】
このため、底板8の底面8dと、支持脚4のパネル調整台14の支持面14aの接触面積を大きなものにすることができる。このような点においては、図16に示す前記従来のフロアパネル2においても同様である。
【0050】
しかし、本実施の形態に係るフロアパネル20の内部空間10には、所定の厚さを有する平板状の補強部材22が、天板6と、底板8の底板部8aの間に挟まれて配置されている。この補強部材22には、木質材料が用いられており、具体的には木材を小さな木片に砕いて乾燥させ、接着剤を加えて高温高圧の下で成形したパーティクルボードが用いられている。
【0051】
この補強部材22は、図2(a),(b)に示すように、略正方形の板状に形成されて
おり、その図中下側の側辺部に、略矩形状に入り込むよう切り欠かれた切欠き部22bが形成されている。
【0052】
そして、補強部材22は、後述する下型26と上型28を有するプレス装置30に切断されることにより、図2(a)に示すように、その隅部22a及び隣接辺部22e,22fが、隣り合う一対の隅部22a,22a間中央部の外側面22c,22dよりも、その水平面における内側に少し引っ込んだ状態となるように形成されている。
【0053】
このため、補強部材22は、その隅部22a、隣接辺部22e,22f及び外側面22c,22dの平面形状は、底板8の側板部8bの隅部8e、隣接辺部8h,8i及び外側面8f,8gの内側の水平断面形状に沿うような形状に形成されている。
【0054】
このようなフロアパネル20は、図5に示すように、補強部材22の隅部22aと底板8の隅部8eとの間に隙間S1が形成されるようになっているが、この隙間S1の長さ寸法は、図16に示す前記従来のフロアパネル2の、補強部材12の隅面12aと底板8の隅部8eとの間の隙間Sの長さ寸法に比べて著しく小さくなっている。
【0055】
そして、図1に示すように、補強部材22の厚さ方向(図中上下方向)の両端面は、天板6の下面6dと底板8の上面それぞれとの間に、接着剤を介して接着により固定されている。
【0056】
このようなフロアパネル20を支持する支持脚4は、図3に示すように、パネル調整台14と、脚部16により構成されている。
【0057】
そして図4に示すように、支持脚4のパネル調整台14は、その支持面14a上に、複数のフロアパネル20の底板8の、底板部8aの底面8dの四隅部のいずれか1つずつが載置されて、この底面8dの四隅部を介してフロアパネル2にその上方から加えられた荷重を、複数の支持脚4により支持するようになっている。
【0058】
次に、図6から図8に基づいて、フロアパネル20の製造方法、特にフロアパネル20の内部に配置される補強部材22の製造方法について説明する。
【0059】
補強部材22は、図6に示すように、下型26と、下型26の上方に配置されて、下型26に対して上下方向に接近・離隔する上型28を有する、プレス装置30により製造されるようになっている。
【0060】
まず、このプレス装置30の下型26と上型26の間に、長さ方向(図中矢印方向)に送られてきた帯板状の板状部材24(板状材料)の先端部が配置される。この板状部材24には、木質材料が用いられており、具体的には木材を小さな木片に砕いて乾燥させ、接着剤を加えて高温高圧の下で成形したパーティクルボードが用いられている。
【0061】
そして、板状部材24は、その長さ方向に垂直な幅方向の寸法が、補強部材22の互いに対向する外側面間の長さ寸法と同一かそれよりも若干大きく形成されている。
【0062】
板状部材24の長さ方向の先端部が、下型26の上面26aの上に重ねられて配置された後、図7に示すように、板状部材24の上面に上型28の押板部28aの下面が接触して、板状部材24は上方から適度な力Fで押え付けられるようになっている。
【0063】
この上型28の押板部28aは、図6に示すように、その平面形状が図2(a)に示す補強部材22の平面形状と同一形状に形成されている。そして、上型28は、図7に示すように、水平方向に連続する連続形状が補強部材22の平面形状と同じ形状に形成された
刃先28cを有する切断部28b(切断刃型)が、その内側面28dを押板部28aの外側面に接触させた状態で配置されている。
【0064】
上型28の切断部28bの刃先28cは、前記従来の補強部材12の形成に用いられた刃先、すなわち金属などを打ち抜き切断するのに用いられる、金型パンチの先端部の断面の刃先角度よりも、その先端部の断面の刃先角度が小さく鋭利に形成されている。
【0065】
そして、図8に示すように、板状部材24の上面に上型28の押板部28aの下面が上方から適度な力Fで押え付けられた状態で、上型28の切断部28bが押板部28aの外側面に接触してガイドされながら図中下方に下降するよう駆動されて、切断部28bの刃先28cが板状部材24を切断することにより補強部材22が製造されるようになっている。
【0066】
このとき、板状部材24は上記適度な力Fで押え付けられた状態で切断部28bの刃先28cに切断されると共に、切断部28bの刃先28c先端部の断面の刃先角度が小さく鋭利に形成されて切れ味が良いため、その切断の際に加えられる力によって、板状部材24の組織が崩れること、すなわち板状部材24を構成する接着剤を介して相互に接着されていた小さな木片が切断の際に相互に離隔して補強部材22の形状が崩れることを防止できるので、補強部材22の平面方向の寸法精度が高く形成されるようになっている。
【0067】
このため、補強部材22の平面形状を底板8の側板部8bの内側の水平断面形状に沿うような、その水平断面形状とほぼ同様の形状に形成することができる。そして、補強部材22の四隅部には、底板8の隅部8e及び隣接辺部8h,8iに対応する、隅部22a及び隣接辺部22e,22fを形成することができる。
【0068】
そして、補強部材22は、その厚さ方向の両端面が、天板6の下面6dと底板8の上面それぞれとの間に、接着剤を介して接着される。このため、補強部材22は、底板6と、底板8の底板部8aの間に挟まれてそれらに固定される。
【0069】
このように、内部空間10に補強部材22を入れて、底板8の上方のフランジ部8cと、天板6の下面6dの周縁部6eとが当接し、溶接やカシメ等により接合されることにより、フロアパネル20が出来上がるようになっている。
【0070】
このようなフロアパネル20は、図5に示すように、図中破線で示すパネル調整台14の支持面14aの上に載置される、その底板8の隅部の大部分において、天板6と底板8の間に補強部材22が挟まれていることが示されているので、その上方から荷重が加えられた際に、補強部材22を介して、その荷重を支持脚4のパネル調整台14の支持面14aにより支持することができる。
【0071】
これに対して、図16に示す従来のフロアパネル2においては、図中破線で示すパネル調整台14の支持面14aの上に、補強部材12の隅面12aと底板8の隅部8eの間の略三角形状の隙間Sの領域には補強部材12がほとんど無いことが示されているので、前述したようにフロアパネル2の隅部の強度が低下していることが一目で分かる。
【0072】
本実施の形態に係るフロアパネル20は、前述のように、その底板8の隅部の大部分において天板6と底板8の間に補強部材22が挟まれていることが示されているので、その強度を向上させることができて撓み難くなっており、その上方から荷重が加えられた際に、その底板部8aの隅部がパネル調整台14の支持面14aの反力により変形することを確実に防止することができる。
【0073】
また、補強部材22の厚さを必要以上に厚くしなくともフロアパネル20の隅部の強度を向上させることができるので、補強部材22の厚さを厚くすることによるフロアパネル20の重量化や高コスト化を防止することができる。
【0074】
以上説明したように、このような本実施の形態に係るフロアパネル20によれば、その隅部の強度が低下することを防止してその変形を防止することができると共に、その重量化や高コスト化を防止することができる。
【0075】
なお、前記実施の形態に係るフロアパネル20は、その内部空間10にパーティクルボードを用いた平板状の補強部材22が配置されていたが、その内部空間10にはパーティクルボード以外の他の木質材料、又は木質材料以外の材料により形成された補強部材が配置されるようになっていてもよい。
【0076】
また、図3,9においては、説明の便宜上、1つの支持脚4が3枚のフロアパネル20それぞれの隅部を支持する場合について示してあるが、1つの支持脚4は4枚のフロアパネル20の隅部を支持することができることはいうまでもなく、それが本来の支持脚4の使い方であることもいうまでもない。
【0077】
また、前記実施の形態に係るフロアパネル20においては、補強部材22の隅部22aと底板8の隅部8eとの間に隙間S1が形成されるようになっていたが、これらの間に隙間S1が形成されずに互いに接触するようになっていてもよい。
【0078】
また、前記実施の形態における補強部材22は、その側辺部に、略矩形状に切り欠かれた切欠き部22bが1つ形成されていたが、フロアパネルの側辺部に略矩形状に切り欠かれた切欠き部が形成されていない場合には、補強部材22の側辺部に切欠き部22bは形成されていなくてもよい。
【0079】
また、フロアパネル20の側辺部に、略矩形状に切り欠かれた切欠き部が複数形成されている場合には、補強部材にも複数の切欠き部が形成されるようになっていてもよい。
【0080】
また、前記実施の形態に係るフロアパネル20は、底板8の上方のフランジ部8cと、天板6の下面6dの周縁部6eとが当接し、溶接やカシメ等により接合されるようになっていたが、溶接やカシメ等以外の別の方法により接合されるようになっていてもよい。
【0081】
また、前記実施の形態に係るフロアパネル20においては、その底板8の側板部8bの隅部8e及び隣接辺部8h,8iは、側板部8bの隣り合う一対の隅部8e,8e間中央部の外側面8f,8gよりも、底板8の水平面における内側に少し引っ込んだ状態となるように形成されていたが、底板8の側板部はこの形状にのみ限定されるわけではなく、これ以外の形状に変更してもよい。この際には、補強部材22の外形形状を対応する形状に変更してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 フリーアクセスフロア構造
2 フロアパネル
3 基礎床面
4 支持脚
6 天板
6a 段差部
6b テーパ部
6c 上面
6d 下面
6e 周縁部
8 底板
8a 底板部
8b 側板部
8c フランジ部
8d 底面
8e 隅部
8f,8g 外側面
8h,8i 隣接辺部
10 内部空間
11 中心部材
12 補強部材
12a 隅面
12b 切欠き部
14 パネル調整台
14a 支持面
14b 先端凹部
14c 凹部
14d,14e,14f ネジ孔
15 固定ネジ部材
16 脚部
17 固定皿ボルト
17a 皿頭部
17b オネジ部
20 フロアパネル
21 フリーアクセスフロア構造
22 補強部材
22a 隅部
22b 切欠き部
22c,22d 外側面
22e,22f 隣接辺部
24 板状部材
26 下型
26a 上面
28 上型
28a 押板部
28b 切断部
28c 刃先
28d 内側面
30 プレス装置
S,S1 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と箱状部材の互いの周縁部同士が結合してそれらの内部に空間が形成され、前記箱状部材の底板部の四隅部を支持する支持脚と共にフリーアクセスフロア構造を構成するフロアパネルにおいて、
前記空間中の前記天板と前記箱状部材の底板部との間に補強部材が配置され、
前記補強部材の平面形状は、前記箱状部材の内側の水平断面形状に沿うような形状に形成されたことを特徴とするフロアパネル。
【請求項2】
前記箱状部材は、隅部に隣接する隣接辺部が、隣り合う一対の隅部間中央部の側板部より水平面における内側に引っ込んで形成されており、
前記補強部材は、前記箱状部材の隅部及び隣接辺部の内側の水平断面形状に沿うような平面形状の隅部及び隣接辺部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のフロアパネル。
【請求項3】
前記補強部材は、木質材料により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロアパネル。
【請求項4】
天板と箱状部材の互いの周縁部同士が結合してそれらの内部に空間が形成され、前記箱状部材の底板部の四隅部を支持する支持脚と共にフリーアクセスフロア構造を構成するフロアパネルにおいて、
前記空間中の前記天板と前記箱状部材の底板部との間に補強部材が配置され、
前記補強部材の平面形状は、前記箱状部材の内側の水平断面形状に沿うような形状に形成されたフロアパネルの製造方法であって、
板状材料の上面に、切断作用により前記板状材料の組織が崩れない位に先端部の断面が鋭利な角度の刃先を有し、この刃先が水平方向に連続する連続形状が前記補強部材の平面形状と同じ形状に形成された切断刃型の刃先を押し当て、
前記切断刃型が下降するよう駆動されて前記板状材料を切断することにより前記補強部材がその材料の組織が崩れることなく製造されるようにした
ことを特徴とするフロアパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−96066(P2013−96066A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236750(P2011−236750)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【出願人】(511262267)石井プレス工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】