説明

フロアマットの位置ズレ検出装置

【課題】フロアマットの位置ズレ検出装置に係り、フロアに対するフロアマットの位置ズレを検出することにある。
【解決手段】車両運転席のフロア12に取り付け固定されるフロアマット10の位置ズレを検出する装置において、フロア12とフロアマット10との取り付け固定部位にセンサを設け、そのセンサの出力信号に基づいて、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されているか否かを判別する。そして、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されていないと判別される場合に、車両運転者に向けてフロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されていないことを示す注意喚起を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアマットの位置ズレ検出装置に係り、特に、車両運転席のフロアに取り付け固定されるフロアマットの位置ズレを検出するうえで好適な検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転席のフロアに取り付け固定されるフロアマットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフロアマットには、位置決め突起が設けられており、また、フロア上には、位置決め孔が設けられている。フロアマットの位置決め突起がフロア上の位置決め孔に嵌合されると、フロアマットがフロアに正規の位置で位置決めされて取り付け固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−056097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、位置決め突起と位置決め孔との嵌合が適切に行われないことでフロアマットがフロアに対して位置ズレを起こし、或いは、フロアに対して形状の合致しないフロアマットがフロア上に置かれると、運転者が車両を運転するうえで支障をきたすおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、フロアに対するフロアマットの位置ズレを検出することが可能なフロアマットの位置ズレ検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、車両運転席のフロアに取り付け固定されるフロアマットの位置ズレを検出する装置であって、前記フロアと前記フロアマットとの取り付け固定部位に設けられるセンサと、前記センサの出力信号に基づいて、前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されているか否かを判別する位置ズレ有無判別手段と、を備えるフロアマットの位置ズレ検出装置により達成される。
【0007】
この態様の発明において、フロアとフロアマットとの取り付け固定部位には、センサが設けられている。このセンサの出力信号は、フロアマットがフロアに正規の位置で取り付け固定されているか否かの判別に用いられる。従って、フロアに対するフロアマットの位置ズレを検出することができる。
【0008】
尚、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記取り付け固定部位は、前記フロアに固定された固定フック部材が前記フロアマットに空けられた固定孔に挿入されることで、前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定される部位であることとしてもよい。
【0009】
また、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記センサは、前記フロアマットの、前記固定孔の周囲に配設されたマグネットと、前記フロアの前記固定フック部材に配設されたホール素子と、により構成される磁気センサであることとしてもよい。かかる構成によれば、フロアマットがフロアに正規の位置で取り付け固定されているか否かに応じて、ホール素子に生ずる磁界が変化するので、その磁界に基づいてフロアに対するフロアマットの位置ズレを検出することができる。
【0010】
また、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記位置ズレ有無判別手段は、前記ホール素子に生ずる磁界に基づいて、前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されているか否かを判別することとしてもよい。
【0011】
また、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記取り付け固定部位は、複数箇所に設けられ、前記センサは、前記取り付け固定部位ごとにそれぞれ設けられることとしてもよい。
【0012】
また、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記位置ズレ有無判別手段は、すべての前記センサの出力信号が、前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されていることを示すものである場合に、前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されていると判別することとしてもよい。
【0013】
また、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記位置ズレ有無判別手段により前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されていないと判別される場合に、車両運転者に向けて前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されていないことを示す注意喚起・警報を行う注意喚起・警報手段を備えることとしてもよい。かかる構成によれば、フロアマットがフロアに正規の位置で取り付け固定されていないときに、車両運転者にその旨を知らせることができる。
また、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記注意喚起・警報手段は、車両のイグニションオフ中に前記位置ズレ有無判別手段により前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されていないと判別される場合、車両のイグニションがオフからオンへ切り替わった際に、車両運転者に向けて前記注意喚起・警報を行うこととしてもよい。かかる構成によれば、車両のイグニションオフ中にフロアマットがフロアに正規の位置で取り付け固定されていないと判定された場合、車両のイグニションのオフからオンへの切り替えが行われた時にフロアマットがフロアに正規の位置で取り付け固定されていない旨を車両運転者に知らせることができる。
【0014】
また、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記注意喚起・警報手段により車両運転者に向けて前記注意喚起・警報が行われた後、少なくとも次に前記位置ズレ有無判別手段により前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されていると判別されるまで、前記注意喚起・警報手段による前記注意喚起・警報を中止する中止手段を備えることとしてもよい。かかる構成によれば、フロアマットがフロアに正規の位置で取り付け固定されているとの判別がイグニションオン時になされることを条件として、車両の走行中に車両運転者に対して行う注意喚起・警報を許可することができるので、車両のイグニションオフから継続してフロア上にフロアマットが正規の位置に存在しないと判定されるときは、その不存在判定がなされても車両の走行中に頻繁に車両運転者に対して注意喚起・警報が行われるのを回避することができる。
【0015】
また、上記したフロアマットの位置ズレ検出装置において、前記位置ズレ有無判別手段により前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されているか否かを判別する時間間隔を、車両のイグニションオフ中は第1の時間間隔に設定し、かつ、車両のイグニションオン中は前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔に設定する時間間隔変更手段を備えることとしてもよい。かかる構成によれば、車両のイグニションオフ中におけるフロアマットがフロアに正規の位置で取り付け固定されているか否かの判別に伴う電力消費を低減することができると共に、車両のイグニションオン中におけるその判別を頻繁に行うことで、車両走行中でのフロアに対するフロアマットの位置ズレを速やかに検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フロアに対するフロアマットの位置ズレを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例であるフロアマットがフロアに取り付け固定される部位の断面図である。
【図2】本実施例のフロアマットの平面図である。
【図3】本実施例のフロアマットの位置ズレ検出装置の構成図である。
【図4】本実施例のフロアマットの位置ズレ検出装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本発明に係るフロアマットの位置ズレ検出装置の具体的な実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例であるフロアマット10がフロア12に取り付け固定される部位の断面図を示す。本実施例において、フロアマット10は、車両の運転席に乗車する運転者の足が置かれるフロア12上に敷かれるゴム製の部材である。フロアマット10は、フロア12に対して着脱可能にフロア12に取り付け固定される部材であり、フロア12の平面形状に合わせた平面形状を有している。フロア12は、フロアプレート16とそのフロアプレート16の上方に配置されたフロアカーペット18とにより構成されている。
【0020】
フロア12には、フロアマット固定フック20が固定されている。フロアマット固定フック20は、下部がフロアプレート16に埋め込まれることにより固定されており、上部がフロアカーペット18の上方へ向けて突起している。フロアマット固定フック20は、フロアプレート16に固定されたベース20aと、ベース20aに連結して上下に延びる軸部20bと、軸部20bに一体的に形成されて水平に延びるフック部20cと、により構成されている。フロアマット固定フック20は、フロア12上の複数箇所(本実施例では3箇所)設けられている。
【0021】
フロアマット10には、また、複数の貫通した固定孔22が空けられている。固定孔22は、フロアマット10の、フロアマット10がフロア12に対して正規の位置で取り付け固定された際にフロアマット固定フック20に対向する位置に設けられている。固定孔22は、円形状又は四角形状に形成されている。各固定孔22はそれぞれ、対応するフロアマット固定フック20の軸部20bの外径よりも僅かに大きな内径を有し、対応するフロアマット固定フック20のフック部20c及び軸部20bが挿入可能でありかつそのフック部20cがフロアマット10を掛止可能である大きさを有している。
【0022】
上記の構造において、フロアマット10の各固定孔22それぞれにフロア12の対応するフロアマット固定フック20が挿入され、かつ、フロアマット10がすべてのフック部20cに掛止されると、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定される。フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されれば、フロアマット10がフロア12に対して位置ズレを起こすことを回避することができ、車両運転者による運転操作を適切に行うことが可能である。
【0023】
図2は、本実施例のフロアマット10の平面図を示す。また、図3は、本実施例のフロアマット10の位置ズレ検出装置30の構成図を示す。本実施例において、位置ズレ検出装置30は、フロアマット10がフロア12に対して正規の位置から位置ズレを起こしているかの検出(以下、位置ズレ検出と称す)を行う装置である。
【0024】
位置ズレ検出装置30は、フロアマット固定フック20が固定孔22に挿入される取り付け固定部位に設けられる検出センサ32を備えている。検出センサ32は、フロアマット固定フック20と固定孔22との取り付け固定部位ごとに設けられている。すなわち、検出センサ32は、複数(本実施例では3つ)設けられている。以下、3つの検出センサ32をそれぞれ検出センサ32−1,32−2,32−3とする。各検出センサ32は、フロアマット10の固定孔22の周囲に配設されたマグネット34と、フロア12のフロアマット固定フック20に配設された検出ホール素子36と、により構成された磁気センサである。
【0025】
マグネット34は、リング状又は矩形状に形成されており、フロアマット10に埋め込まれている。また、検出ホール素子36は、フロアマット固定フック20に埋め込まれている。マグネット34と検出ホール素子36とは、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定された際に、検出ホール素子36の外周側にマグネット34が位置するように径方向(フロア面に対して水平方向)に互いに対向する。
【0026】
位置ズレ検出装置30は、また、マイクロコンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(ECUと称す)40を備えている。ECU40には、電線を介して各検出センサ32−1,32−2,32−3の検出ホール素子36が電気的に接続されている。各検出ホール素子36は、配設位置に生じる磁界に応じた信号をECU40へ向けて出力する。ECU40は、各検出ホール素子36の出力信号に基づいて検出ホール素子36の配設位置に生じる磁界を検出し、そして、3つの検出ホール素子36を用いた検出磁界に基づいてフロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されているか否かすなわちフロア12に対して正規の位置から位置ズレを起こしているかを判別する。
【0027】
ECU40には、また、ウォーニングデバイス42が電気的に接続されている。ウォーニングデバイス42は、フロアマット10がフロア12に対して正規の位置から位置ズレを起こしている場合に、車両運転者に対して警告音を発する装置或いはインストルメントパネルなどに設けられた警告ランプを点灯・点滅する装置である。ECU40は、フロアマット10がフロア12に対して正規の位置から位置ズレを起こしていると判別する場合に、ウォーニングデバイス42に対して作動指令を行う。
【0028】
図4は、本実施例のフロアマット10の位置ズレ検出装置30においてECU40が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
【0029】
本実施例において、ECU40は、まず、車両のイグニションスイッチがオフであるか否かを判別する(ステップ100)。そして、イグニションスイッチがオフであると判別した場合は、次に、第1の所定時間(例えば1分)N間隔で3つの検出センサ32−1,32−2,32−3を用いたフロアマット10の位置ズレ検出を実行すべき間欠作動モードとなる(ステップ102)。
【0030】
フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されている場合とその正規の位置から位置ズレを起こしている場合とでは、検出ホール素子36の配設位置に生じる磁界が大きく異なり、フロアマット10の位置ズレの発生有無に応じてその磁界が変化する。具体的には、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されている場合は、3つの検出センサ32−1,32−2,32−3のすべてについて、マグネット34と検出ホール素子36とが径方向で互いに対向するので、大きな磁界が発生する。一方、フロアマット10がフロア12に対して正規の位置から位置ズレを起こしている場合は、少なくとも一つの検出センサ32について、マグネット34と検出ホール素子36とが径方向で互いに対向しなくなるので、大きな磁界が発生しなくなる。従って、検出ホール素子36に生ずる磁界に基づいてフロア12に対するフロアマット10の位置ズレを検出することが可能である。
【0031】
ECU40は、イグニションオフ時の間欠作動モードにおいて、まず、検出センサ32ごとに、各検出ホール素子36の出力信号に基づいて検出ホール素子36の配設位置に生じる磁界を検出し、その検出磁界が、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されているときに生じ得るもの(すなわち、所定閾値以上)になっているか否かを判別する。そして、3つの検出センサ32のすべてについて検出磁界が所定閾値以上であるか否かを判別する(ステップ104)。その結果、肯定判定がなされた場合は、その肯定判定が所定回数(例えば5回)T連続して生じるか否かを判別する(ステップ106)。
【0032】
ECU40は、上記ステップ106において3つの検出センサ32による検出磁界のすべてが所定閾値以上である状態が未だ所定回数T連続していないと判別した場合は、上記ステップ104の処理を繰り返し実行する。一方、3つの検出センサ32による検出磁界のすべてが所定閾値以上である状態が所定回数T連続したと判別した場合は、車両のイグニションオフ状態でフロア12上にフロアマット10が正規の位置で存在すると判定すると共に、その判定後におけるその正規の位置からのフロアマット10の位置ズレ検出を許可する位置ズレ検出モードとなる(ステップ108)。
【0033】
一方、ECU40は、上記ステップ104において少なくとも一つの検出センサ32について検出磁界が所定閾値未満であると判別した場合は、車両のイグニションオフ状態でフロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在しないと判定する(ステップ110)。
【0034】
ECU40は、上記ステップ110においてイグニションオフ状態でフロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在しないと判定した後、車両のイグニションスイッチがオンであるか否かを判別する(ステップ112)。そして、イグニションスイッチがオンであると判別した場合は、ウォーニングデバイス42に対して、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されていないことを示す注意喚起を行うように作動指令を行う(ステップ114)。ウォーニングデバイス42は、ECU40からかかる注意喚起の作動指令を受けると、まず、警告音や警告ランプにより車両運転者に向けて、例えば「フロアマットは正しく装着されていますか?」などの注意喚起を行う。
【0035】
かかる処理によれば、車両のイグニションオフ時に間欠的に検出センサ32−1,32−2,32−3を用いたフロアマット10の位置ズレ検出を行った結果として、フロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在しないと判定される場合、車両のイグニションがオフからオンへ切り替わった際に、ウォーニングデバイス42を用いて車両運転者に向けて「フロアマットは正しく装着されていますか?」などの注意喚起を行うことができる。一般的に、車両のイグニションがオフからオンへ切り替わる時は、車両運転者が車両の車室内に乗車している時である。このため、上記の如く注意喚起をイグニションのオフからオンへの切り替わり時に行うこととすれば、車両運転者が車室内に乗車している状況で確実にその車両運転者に上記の注意喚起を行ってフロアマット10の装着を促すことができる。
【0036】
また、ECU40は、上記ステップ114において注意喚起の作動指令を行った後、3つの検出センサ32のすべてについて検出磁界が所定閾値以上であるか否かを判別する(ステップ116)。その結果、肯定判定がなされる場合は、イグニションオン後にフロアマット10がフロア12に正規の位置で装着されたと判断できるので、フロア12上にフロアマット10が正規の位置で存在すると判定すると共に、その判定後におけるその正規の位置からのフロアマット10の位置ズレ検出を許可する位置ズレ検出モードとなる(ステップ108)。
【0037】
ECU40は、上記ステップ108において位置ズレ検出モードになると、次に、車両のイグニションスイッチがオンであるか否かを判別する(ステップ120)。そして、イグニションスイッチがオフであると判別した場合は、その判別を繰り返し行う一方、イグニションスイッチがオンであると判別した場合は、次に、第2の所定時間(例えば5秒)M間隔で3つの検出センサ32−1,32−2,32−3を用いたフロアマット10の位置ズレ検出を実行すべき間欠作動モードとなる(ステップ122)。尚、この第2の所定時間Mは、車両走行中(イグニションオン中)にフロアマット10の位置ズレ検出を行うべき時間間隔として定められた時間であって、少なくとも上記した第1の所定時間Nよりも短い時間である。
【0038】
ECU40は、イグニションオン時の間欠作動モードにおいて、まず、検出センサ32ごとに、各検出ホール素子36の出力信号に基づいて検出ホール素子36の配設位置に生じる磁界を検出し、その検出磁界が、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されているときに生じ得るもの(すなわち、所定閾値以上)になっているか否かを判別する。そして、3つの検出センサ32のすべてについて検出磁界が所定閾値以上であるか否かを判別する(ステップ124)。その結果、肯定判定がなされた場合は、上記ステップ120の処理を繰り返し実行する。一方、否定判定がなされた場合は、ウォーニングデバイス42に対して、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されていないことを示す警報を行うように作動指令を行う(ステップ126)。ウォーニングデバイス42は、ECU40からかかる警報の作動指令を受けると、まず、警告音や警告ランプにより車両運転者に向けて、例えば「フロアマットが正しく装着されていません。車両を停止させてフロアマットを確認してください。」などの警報を行う。
【0039】
かかる処理によれば、車両のイグニションオン時に間欠的に検出センサ32−1,32−2,32−3を用いたフロアマット10の位置ズレ検出を行った結果として、フロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在しないと判定される場合、その判定後直ちにウォーニングデバイス42を用いて車両運転者に向けて「フロアマットは正しく装着されていません。車両を停止させてフロアマットを確認してください。」などの警報を行うことができる。このため、車両走行中に固定孔22からフロアマット固定フック20が外れてフロアマット10がフロア12に対して正規の位置から位置ズレを起こした場合、速やかに車両運転者に上記の警報を行ってその位置ズレを知らせることで、車両の停車及びフロアマット10の装着を促すことができる。
【0040】
従って、本実施例によれば、車両走行中にフロアマット10がフロア12上で位置ズレを起こしたときに、車両走行がフロアマット10の位置ズレを起こしたまま長期間にわたって継続されるのを防止することが可能であり、車両の安全走行を向上させることが可能である。
【0041】
また、上記の処理によれば、上記の如く、車両のイグニションオフ時に間欠的に検出センサ32−1,32−2,32−3を用いたフロアマット10の位置ズレ検出を行った結果として、フロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在しないと判定される場合、車両のイグニションがオフからオンへ切り替わった際に、ウォーニングデバイス42を用いて車両運転者に向けて「フロアマットは正しく装着されていますか?」などの注意喚起を行うが、かかる注意喚起が行われた後、車両のイグニションオン時に検出センサ32−1,32−2,32−3を用いたフロアマット10の位置ズレ検出を行った結果としてフロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在すると判定されることが一回もない限り、フロア12上にフロアマット10自体が存在しないものとして、フロア12上でのフロアマット10の存在を前提とした検出センサ32−1,32−2,32−3を用いたフロアマット10の位置ズレ検出を許可する位置ズレ検出モードが実現されない。
【0042】
すなわち、車両のイグニションがオフからオンへ切り替わった際にウォーニングデバイス42を用いた注意喚起が行われた後、イグニションオフ時から継続してフロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在しないと判定されるときは、その不存在判定がなされてもイグニションオン時においてウォーニングデバイス42を用いたフロアマット10の装着を促す注意喚起や警報が行われない。
【0043】
従って、本実施例によれば、車両のイグニションがオフからオンへ切り替わっても継続してフロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在しないと判定されるときは、フロア12上にフロアマット10自体が存在しないと判定することができ、また、フロア12上にフロアマット10自体が存在しないと判定されるときは、フロア12上にフロアマット10が正規の位置に存在しないと判定されても、車両の走行中に頻繁に車両運転者に対してフロアマット10の装着を促す注意喚起や警報が行われるのを回避することができる。このため、フロア12上にフロアマット10が車両のイグニションがオフからオンへ切り替わる前から継続して存在しないときには、その切り替わり後の車両走行中にフロアマット10がフロア12に正規の位置に取り付け固定されていないことに対して注意喚起や警報が頻繁になされることは無いので、その注意喚起や警報による車両運転者の煩わしさを解消させることができる。
【0044】
また、上記の処理においては、間欠作動モードで3つの検出センサ32−1,32−2,32−3を用いたフロアマット10の位置ズレ検出を実行すべき時間間隔(すなわち、3つの検出センサ32−1,32−2,32−3を用いてフロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されているか否かを判別する時間間隔)が、車両のイグニションオフ中は第1の所定時間Nに設定され、また、車両のイグニションオン中はその第1の所定時間Nよりも短い第2の所定時間Mに設定される。この場合、車両のイグニションオフ中における位置ズレ検出の間欠作動の時間間隔が比較的長くなり、一方、車両のイグニションオン中における位置ズレ検出の間欠作動の時間間隔が比較的短くなる。
【0045】
かかる構成によれば、車両のイグニションオフ中における検出センサ32やECU40によるフロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されているか否かの判別に伴う電力消費を低減することができるので、車両バッテリの消耗を抑制することができる。また、車両のイグニションオン中におけるその判別を頻繁に行うことができるので、車両走行中でのフロア12に対するフロアマット10の位置ズレを速やかに検出することができ、その位置ズレが発生したときは速やかに車両運転者にその発生を知らせることができる。
【0046】
尚、上記の実施例においては、検出センサ32が特許請求の範囲に記載した「センサ」に、フロア12のフロアマット固定フック20とフロアマット10の固定孔22とが特許請求の範囲に記載した「取り付け固定部位」に、ECU40が、検出ホール素子36の出力信号に基づいて検出ホール素子36の配設位置に生じる磁界を検出し、その検出磁界が、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定されているときに生じ得るもの(すなわち、所定閾値以上)になっているか否かを判別し、そして、3つの検出センサ32のすべてについて検出磁界が所定閾値以上であるか否かを判別することが特許請求の範囲に記載した「位置ズレ有無判別手段」に、それぞれ相当している。
【0047】
また、上記の実施例においては、ECU40が図4に示すルーチン中ステップ114又は126の処理を実行することが上記の「注意喚起・警報手段」に、ECU40がステップ116の処理後にステップ108〜126の処理を実行しないことが上記の「中止手段」に、それぞれ相当している。
【0048】
ところで、上記の実施例においては、検出センサ32として、マグネット34と検出ホール素子32とにより構成される磁気センサを用いることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、圧力検知式のセンサなどを用いることとしてもよい。例えば、フロア12に、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定される際にフロアマット10の固定孔22に挿入される突部を設けると共に、その突部に、フロアマット10がフロア12に正規の位置で取り付け固定される際にフロアマット10の固定孔22の内壁により押圧される圧力スイッチを設ける。そして、その圧力スイッチと電線を介して電気的に接続されたECUに、その圧力スイッチの出力信号に基づいてフロア12の突部がフロアマット10の固定孔22に挿入されているか否かを判別させ、3つの圧力センサのすべてについてフロア12の突部がフロアマット10の固定孔22に挿入されていると判別される場合にフロア12上にフロアマット10が正規の位置に取り付け固定されていると判定させ、3つの圧力センサの何れかについてフロア12の突部がフロアマット10の固定孔22に挿入されていないと判別される場合にフロア12に対してフロアマット10が位置ズレを起こしていると判定させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 フロアマット
12 フロア
20 フロアマット固定フック
22 貫通孔
30 位置ズレ検出装置
32 検出センサ
34 マグネット
36(36−1,36−2,36−3) 検出ホール素子
40 電子制御ユニット(ECU)
42 ウォーニングデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転席のフロアに取り付け固定されるフロアマットの位置ズレを検出する装置であって、
前記フロアと前記フロアマットとの取り付け固定部位に設けられるセンサと、
前記センサの出力信号に基づいて、前記フロアマットが前記フロアに正規の位置で取り付け固定されているか否かを判別する位置ズレ有無判別手段と、
を備えることを特徴とするフロアマットの位置ズレ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−20603(P2012−20603A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157989(P2010−157989)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】