説明

フロアマット保持部材

【課題】純正のフロアマットの上に敷設される第2フロアマットを自動車用フロアカーペットに対して、側方方向への移動は可能であるが、前後方向への移動は防止することができるフロアカーペット固定器具を提供する。
【解決手段】第2フロアマット10は、前方端辺又は後方端辺に沿って間隔を設けて配置された10cm以上の長さを有する柱状部14と、前記柱状部14及び前記第2フロアマット10の間に形成された柱状部14の厚さより薄く形成された薄厚連結部16と、を有する延設された延設部12を備え、前記フロアマット固定具20は、前記自動車用フロアカーペットに固定する固定部22を備えた基部21と、前記延設部12を側方からスライド挿入可能なように、前記薄厚連結部16に相当する部分に溝を有する前記柱状部14の断面と同形の中空を有する延設部取付部23と、で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1フロアマットの上面に敷設される第2フロアマットと、この第2フロアマットを自動車用フロアカーペットに固定するフロアマット固定具と、を備えたフロアマット保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロアは、金属で作製されたボディに沿わせて自動車用フロアカーペットが敷設される。この自動車用フロアカーペットの表面が汚れるのを防止するために、運転席の足下、助手席の足下及び後部座席の足下に、それぞれ純正のフロアマットが敷設される。さらに、純正のフロアマットが汚れるのを防止するために、汎用のフロアマットが純正のフロアマットの上に敷設されることがある。純正のフロアマットは、ボディ又は自動車用フロアカーペットに固定する特別の手段が施されていることが多いが、汎用のフロアマットは車種に特有の固定部を有していない。そのため、別途、自動車用フロアカーペットへの固定部が必要となる。
【0003】
一方で、汎用のフロアマットは、複数の車種に対して適用できるように作製する必要がある。そのため、汎用のフロアマットは、純正のフロアマットのごとく、自動車のフロア部の大きさ、形状に適合させて個別に作製することができず、若干小さめに設計されることが多い。そのため、汎用のフロアマットは前後左右へ移動する余地が大きく、固定部の重要性はより高いものとなる。
【0004】
純正のフロアマットと汎用のフロアマットとを固定する方法として、純正のフロアマットを挟み込む挟込部と、汎用のフロアマットに形成されている穴部に係合させるクリップ部と、を有する係合金具によって、それぞれを固定する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
係る係合金具は、純正のフロアマットと汎用のフロアマットとを固定することは可能である。しかし、自動車用フロアカーペットと汎用のフロアマットとを固定する手段を備えていない。そのため、純正のフロアマットがなにかの拍子で移動したり、フックから外れたりすると、純正のフロアマットに追随して汎用のフロアマットも自動車用フロアカーペットに対して移動するものであった。
【0006】
一方、自動車用フロアカーペットと汎用のフロアマットとを固定する方法として、下面にカーペットのループに係合する面ファスナーを備え、第1のマット(純正のフロアマット)の下方に挿入される板状の基部と、この基部の端部から上方に突設された第1のマットの周縁部に当接する係合部と、この係合部の上部に第2のマット(汎用のフロアマット)を着脱自在に上下方向から挟んで保持するクリップ部と、を設けたマット用固定具がある(特許文献2)。
【0007】
しかし、係るマット固定具は、以下の課題があった。第2のマットは、特に雨や雪の日に靴が濡れたり、泥が靴に付着したりしたときに、純正のフロアマットが汚れるのを防止することを目的として敷設される場合が多い。そのため、織布、不織布のフロアマットに代えて、防水性を有するポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製のフロアマットが多く使用される。エラストマー製のフロアマットは、表面が滑りやすいため、挟持という手段では挟持部から抜けてしまいやすく確実な固定が難しいという課題があった。
【0008】
また、泥や水が第2フロアマットの外側へ飛散しないように、周囲を壁面で覆った容器状のタイプも使用される(図8参照)。容器状のフロアマットの場合、クリップでフロアマットを挟持しようとすると、底面から浮いている壁面上方のフランジを挟まなければならない。しかし、図8bに示すように、容器状のフロアマットは、壁面が倒れることによってフランジ部と底面が離れるように移動するという課題があった。
【0009】
また、係る特許文献2の手段は、自動車用フロアカーペットに対して面ファスナーを用いて固定するものであるため、ループパイル表面を有する自動車用フロアカーペットであれば比較的接着性が高く効果的であるが、カットパイルの表面を有する自動車用フロアカーペットに対しては接着力が弱く、固定することができなかった。
【特許文献1】意匠登録第1319385号
【特許文献2】実用新案登録第3148696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、以下の課題を解決するものであり、以下の目的を有する。
【0011】
第1の目的は、第2フロアマットが自動車用フロアカーペットに対して前後方向へ移動することを防止できるフロアマット保持部材を提供することである。すなわち、第1フロアマットを介して上下に存在する自動車用フロアカーペットと第2フロアマットとを連結し、第2フロアマットが前後方向へ移動することを規制することを目的とする。
【0012】
第2の目的は、滑りやすい素材であるポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製の第2フロアマットを固定することができるフロアマット保持部材を提供することにある。
【0013】
第3の目的は、第2フロアマットが自動車用フロアカーペットから外れることなく、一定距離側方方向へ移動可能であるフロアマット保持部材を提供することである。
【0014】
第4の目的は、壁面を有する容器状の第2フロアマットであっても、壁面が倒れるか否かにかかわらず、第2フロアカーペットが自動車用フロアカーペットに対して移動することを防止できるフロアマット保持部材を提供することにある。
【0015】
さらに、本発明は、第1フロアマットも固定することができる手段を提供することも目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上述の目的を達成するために、以下の手段を採った。
【0017】
本発明のフロアマット保持部材は、自動車用フロアカーペットに敷設される第1フロアマットの上に載置される第2フロアマットと、前記第2フロアマットを前記自動車用フロアカーペットに固定するフロアマット固定具と、を備え、
前記第2フロアマットは、前方端辺又は後方端辺に沿って間隔を設けて配置された10cm以上の長さを有する柱状部と、前記柱状部及び前記第2フロアマットの間に形成された前記柱状部の外径より薄く形成された薄厚連結部と、を有する延設部を備え、
前記フロアマット固定具は、前記自動車用フロアカーペットに固定する固定部を備えた基部と、前記延設部を側方からスライド挿入する場合に、前記薄厚連結部に干渉する部分に前記柱状部より薄い開口溝を備え、かつ前記柱状部の断面と同形の中空を有する延設部取付部と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
本発明のフロアマット保持部材は、第2フロアマットと、この第2フロアマットを自動車用フロアカーペットに固定するフロアマット固定具と、を備えており、第1フロアマットの上面に位置する第2フロアマットを自動車用フロアカーペットに固定するためのものである。第2フロアマットの前方端辺又は後方端辺に形成された延設部の一部がフロアマット固定具に形成された中空の延設部取付部に側方からスライド挿入することによって、前後方向に引き抜くことができない構造となっている。また、フロアマット固定具は、固定部によって自動車用フロアカーペットに固定することができる。従って、第2フロアマット及びフロアマット固定具は、前後方向(離間方向)の相互位置は固定され、フロアマット固定具を介して、自動車用フロアカーペットと第2フロアマットの前後方向の相互位置関係を変更させることができなくなる。従って、第2フロアマットが自動車内で前後に移動することを防止できる。また、滑りやすいポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製の第2フロアマットであっても、側方からスライド挿入させるという固定手段を採用しているので、フロアマット固定具との前後方向の相互位置が固定され、引き抜かれて外れることを防止することができる。
【0019】
また、本発明のフロアマット保持部材を用いれば、第2フロアマットは側方方向へは自由に移動することできる。すなわち、第2フロアマットの前方端辺又は後方端辺に形成された延設部の柱状部を、フロアマット固定具に形成された中空の延設部取付部に側方からスライド挿入させるものであるので、第2フロアマット及びフロアマット固定具は、互いに側方方向へ自由にスライドさせて相対位置を変更することができる。従って、フロアマット固定具が自動車用フロアカーペットに連結されていても第2フロアマットは側方方向へ移動することが可能になる。
【0020】
さらに、本発明のフロアマット保持部材を用いれば、第2フロアマットは、自動車のフロア部で側方方向へ移動可能であり、かつ一定距離の移動においては外れることを防止することができる。すなわち、柱状部は10cm以上の長さを有しているので、第2フロアマットを側方方向両側へ5cmスライド移動させても、延設部取付部から外れることなく移動させることができる。一般に、乗車席のフロア部の幅は、50cmから55cm程度に設定されている。第2フロアマットは、様々な幅のフロア部に適合するように45cmから47cm程度に設定されることが多い。柱状部の長さを10cm以上に設定することによって、第2フロアマットをフロア部の右側から左側まで移動させても、側方から延出部が外れることを防止することができる。取り付け、取り外しが容易であり、かつ横方向への位置の調整も可能である。これにより、第2フロアマットは、側方方向へ自由に位置調整を行うことができる。柱状部の長さをさらに長くすれば、側方方向への移動距離をさらに長くさせることができる。従って、フロアマット幅を狭く作製することができ、軽自動車からトラックまで適用できる汎用性の高いフロアマットを提供することができる。柱状部の長さは、第2フロアマットの横幅の長さ以内であることが望ましいが、限定するものではない。好ましくは、10cm以上15cm以下がよい。
【0021】
さらに、本発明のフロアマット保持部材として、前記延設部取付部は、前記基部の上方に第1フロアマット挿入空間を形成するように、前記基部と前記延設部取付部を連設する連設部を介して配置されてなり、
前記延設部取付部と前記基部とで挟持することによって、前記第1フロアマットを固定可能にしてもよい。
【0022】
係る構成を採用することによって、第1フロアマットも固定することができる。延設部取付部及び基部の間に第1フロアマットを挿入すれば、第1フロアマットは、延設部取付部及び基部で挟持されてフロアマット固定具に固定される。通常、第1フロアマットは純正のフロアマットであり、あらかじめ設計された手段によって、自動車用フロアカーペット又はボディに固定する手段を備えている。この固定部としては、一般的に第1フロアマットに貫通穴が形成されており、一方、自動車用フロアカーペット又はボディからは、突出するフックを備えていて、このフックを第1フロアマットの貫通孔に引っかけて固定するという手段が採用される。こうしたフックと貫通孔という手段であると、ある一定位置では外れづらく、ある他の位置では外れやすくなったりする。しかし、フロアマット固定具によれば、ボディからのフックが外れにくい位置に第1フロアマットを固定することができる。従って、第1フロアマットが自動車用フロアカーペットから意図せず外れることを未然に防止することができる。また、仮に第1フロアマットが自動車用フロアカーペットから外れた場合であっても、フロアマット固定具は第1フロアマットを固定しているので、第1フロアマットが移動するのを防止することができる。
【0023】
さらに、係る構成を採用することによって、第1フロアマットをフロアマット固定具の基部の上に配置することができるので、第1フロアマット及び第2フロアマットの前方端辺又は後方端辺をほぼ揃えて配置することができる。これにより、第2フロアマットを第1フロアマットの前後方向の長さとほぼ同様の長さに設定することができる。
【0024】
さらに、本発明のフロアマット保持部材において、前記延設部取付部は、前記第1フロアマットを押圧するように第1フロアマット挿入空間に前記連設部から突出形成されていてもよい。
【0025】
延設部取付部が連設部の下面より下方に突出するように形成する。係る構成を採用することによって、延設部取付部が第1フロアマット上面を押圧して、第1フロアマットをより強固に固定することができる。
【0026】
さらに、本発明のフロアマット保持部材において、前前記基部の上面又は/及び連設部の下面は、三角形の係止片を設けてもよい。
【0027】
係る構成を採用することによって、基部の上面に係止片を設けた場合には、基部側から第1フロアマットの下面を押圧することができ、より強固に第1フロアマットを固定することができる。また、係止片の頂点が尖っているので、この頂点がフロアマットに食い込むことで第1フロアマットの移動を、より効果的に防止することができる。また、連設部の下面に三角形の係止片を設けた場合には、第1フロアマットの上面から押圧することができ、より強固に第1フロアマットを固定することができる。また、係止片の頂点が尖っているので、この頂点がフロアマットに食い込むことで第1フロアマットの移動を、より効果的に防止することができる。
【0028】
さらに、本発明のフロアマット保持部材において、前記第2フロアマットは、ポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であり、周囲に壁面を有する容器状をなしており、前記延設部は、壁面の下端より延設されていてもよい。
【0029】
係る構成を採用することによって、容器状の第2フロアマットであっても、第2フロアマットを床面に近い位置で固定することができ、前後方向の移動を効果的に防止することができる。また、壁面の倒れがフロアマットの移動に影響を与えることもない。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るフロアマット保持部材によれば、以下の効果を有する。
【0031】
第1の効果として、第2フロアマットが自動車用フロアカーペットに対して前後方向の移動することを防止することができる。すなわち、第1フロアマットを介して上下の存在する自動車用フロアカーペットと第2フロアマットとの前後方向に移動を規制することができる。従って、第2フロアマットがアクセルやブレーキ側へ移動することを防止することができる。
【0032】
第2の効果として、第2フロアマットが滑りやすい素材であるポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であっても、抜けることを防止し、強固に固定することができる。
【0033】
第3の効果として、第2フロアマットが側方方向へ5cm以上外れることなく移動可能であり、第2のフロアマットの側方方向への位置調整が容易である。
【0034】
第4の効果として、第2フロアマットが壁面を有する容器状であっても、自動車用フロアカーペットへ固定することができ、かつ前後方向への移動を防止することができる。
【0035】
さらに、第5の効果として、第2フロアマットに加えて、第1フロアマットをもフロアマット固定器具に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態に係る第2フロアマット10及びフロアマット固定具20を備えたフロアマット保持部材100の概略を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るフロアマット固定具20を自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】第1実施形態に係る第2フロアマット10の薄厚連結部16のバリエーションを表す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係るフロアマット固定具20の係止片27を表す側面図である。
【図5】第2実施形態に係る第2フロアマット10及びフロアマット固定具20を備えたフロアマット保持部材100の概略を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るフロアマット固定具20を自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10に取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】実施形態に係る延設部12及び延設部取付部23の変更例の構成の概略を示す斜視図である。
【図8】従来のフロアマット保持部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。また、本明細書及び特許請求の範囲において、前方、後方、上方、下方、側方とは、第1実施形態における図1に示された方向を指し、本明細書及び特許請求の範囲においても同様の用語は同様の方向を指す。さらに、本明細書及び特許請求の範囲において、「固定」とは、フロアマット固定具と第2フロアマットとの相互の離間距離が変わらないようにすることを意味し、側方方向へスライド移動することを含まない。また、延設部の「長さ」とは、側方方向の長さをいう。
【0038】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る第2フロアマット10及びフロアマット固定具20を備えたフロアマット保持部材100の概略を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係るフロアマット固定具20を自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10に取り付けた状態を示す断面図である。まず始めに、理解容易のためフロアマット保持部材100が使用される状況を説明する。一般に、車内の足下は、図2に示すように、金属製のボディ96に、ボディ96の形状に適合するよう成型された自動車用フロアカーペット90があらかじめ敷設されている。そして、自動車用フロアカーペット90の上面に、自動車用フロアカーペット90が汚れるのを防止するために、第1フロアマット92として純正のフロアマットが敷設される。さらに、第1フロアマット92が汚れるのを防止するために、第2フロアマット10として市販されている汎用フロアマットが敷設される。このように、本発明のフロアマット保持部材100は、純正の第1フロアマット92の上にさらに第2フロアマット10を敷設する状況において利用されるものである。
【0039】
第1実施形態におけるフロアマット保持部材100は、図1に示すように、フロアマット固定具20と、第2フロアマット10とを備えている。第2フロアマット10は、ポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマーで作製され、塩化ビニルで作成されており、略四角形の1枚のシート状をなしている。第2フロアマット10の最大横幅は、35から55cmの間で設定される。種々の車種に対応するために
自動車のフロア部の横幅より1から10cm程度、幅が狭いものが使用される。第2フロアマット10の後方端辺11には、延設部12が設けられている。
【0040】
延設部12は、柱状部14と薄厚連結部16とを備えている。柱状部14は、断面円形の円柱状をなしており、後方端辺11に沿って間隔を開けて配置されている。柱状部14の円柱の長さは、10cm以上に設定してある。柱状部14の長さによって、第2フロアマット10が外れることなく側方方向へ移動できる距離を変更することができる。薄厚連結部16は、柱状部14の上下方向の厚さより薄く形成されており、後方端辺11と柱状部14の間に配置される。薄厚連結部16は、後方端辺11と柱状部14とをそれぞれを連結している。薄厚連結部16の側方方向の長さは、図1に示すように柱状部14と同じ長さでもよい。また、図3に示すように柱状部14の長さよりも短くてもよい。
【0041】
フロアマット固定具20は、基部21と、基部21の上方に連結部24を介して配置された延設部取付部23と、を備えている。基部21は、開口孔からなる固定部22を有している。基部21は、固定部22を介してねじ又はビス70で自動車用フロアカーペット90に固定することができる。
【0042】
また、延設部取付部23は延設部12が挿入可能な内径を有する筒状体をなしている。延設部取付部23は、薄厚連結部16が干渉しないように、延設部12を挿入した際に薄厚連結部16に干渉する部分が開口した開口溝28を備えている。開口溝28は、柱状部14の外径より狭く形成される。そのため延設部12は、開口溝28から抜け出ることはない。
【0043】
連結部24は、基部21の後方上面から上方に立設された立設連結部25と、立設連結部25から前方方向に折れ曲がって延設された上方連結部26とを有する。連結部24は、基部21と延設部取付部23をそれぞれ連結する。延設部取付部23は、連結部24によって、基部21の下方に間隙を開けるように配置され、この間隙が第1フロアマット92を挿入する第1フロアマット挿入空間29を形成する。
【0044】
延設部取付部23は、上方連結部26の先端に取り付けられ、その一部が上方連結部26の下面より下方に突出形成されている。したがって、第1フロアマット92を挿入した際にこの突出部が第1フロアマット92を押圧して固定することができる。
【0045】
一方、断面三角形の複数の係止片27が、第1フロアマット92を挿入した場合に、第1フロアマット92を下面から押圧するように基部21の上面に設けられている。係止片27の頂点が尖っているので、第1フロアマット92に食い込ませることができる。したがって、第1フロアマット92の移動を防止し、より効果的に移動を防止することができる。また、連設部24の上方連結部26の下面には、断面三角形の複数の係止片27が、第1フロアマット92を挿入した場合に、第1フロアマット92を上面から押圧するように設けられている。断面三角形の形状は、図4に示すように、第1フロアマット92を挿入する側の辺27aと基部21の上面との角度αが、他方の辺27bと基部21の上面との角度βよりも鋭角となるように形成するのが好ましい。このように係止片27を形成することによって、第1フロアマット92を挿入する際に容易に挿入することができるが、引き抜く場合に係止片27の先端が引っかかって引き抜け難くすることができる。連設部24の上方連結部26の下面に設けられる断面三角形の複数の係止片27は、延設部取付部23の下方突出部の突出幅より狭い方が望ましい。このように形成することで、第1フロアマット92を挿入する際に、一番端にある延設部取付部23の部分に挿入した状態で第1フロアマット92が薄くなっているのでそのまま挿入し易くなる。その後時間の経過とともにフロアマットは膨らんで、連設部24の上方連結部26の下面に設けられる係止片27に係止されることになる。
【0046】
こうして作製されたフロアマット保持部材100は、以下のようにして使用される。まず、フロアマット固定具20を、固定部22にねじ又はビス70を通して自動車用フロアカーペット90の所定の場所に固定する。ねじ又はビス70を用いて固定することで、第1フロアマット92の素材を選ぶことなく、確実に固定することができる。その後、図2に示したように、第1フロアマット92を基部21と延設部取付部23との間隙で形成された第1フロアマット挿入空間29に挿入する。そして、最後に第2フロアマット10の延設部12を延設部取付部23の中空に側方方向から挿入する。このとき薄厚連結部16は、開口溝28に挿入する。こうして自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10は、フロアマット固定具20を介して固定される。
【0047】
第1実施形態おけるフロアマット保持部材100によれば、ネジ又はビス70が自動車用フロアカーペット90内部に突き刺すように固定されるので、自動車用フロアカーペット90の表面の状態、すなわち、ループパイル、カットパイル、ニードルパンチ等の表面の状態にかかわらず、堅固に固定することができる。
【0048】
第1フロアマット92は、第1フロアマット挿入空間29に挿入すれば、上面側から延設部取付部23による押圧力と下面側から係止片27による押圧力とにより、押さえつけられて固定される。これにより、不意に第1フロアマット92が自動車用フロアカーペット90から外れたとしても、第1フロアマット92はフロアマット固定具20を介して自動車用フロアカーペット90に固定されているので、第1フロアマット92が移動することを防止することができる。
【0049】
第2フロアマット10は、側方方向から柱状部14を延設部取付部23の中空に挿入するだけでフロアマット固定具20に取り付けることができる。第2フロアマット10は、柱状部14が開口溝28に干渉するので前後方向へ移動することはできず、アクセルペダルやブレーキペダルのある前方方向への移動は確実に防止することができる。一方で柱状部14は、延設部取付部23の中空に挿入してあるだけであるので、側方方向に5cm程度移動させても、柱状部14が抜けず、自由にスライド移動することができる。したがって、第2フロアマット10は側方方向の位置を自由に調整することができる。
【0050】
こうして本実施形態におけるフロアマット保持部材100によれば、自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92、第2フロアマット10をフロアマット固定具20によっていずれも固定される。
【0051】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係るフロアマット保持部材100の構成の概略を示す斜視図である。図6は、第2実施形態に係るフロアマット固定具20を自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10に取り付けた状態を示す断面図である。第2実施形態に係るフロアマット保持部材100は、第2フロアマット10の構成が異なるのみで、フロアマット固定具20は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。第2実施形態の第2フロアマット10は、図5に示すように、第2フロアマット10の周囲に壁面を有する容器状をなしている。このような立体形状を有する第2フロアマット10を固定する場合、従来は、図8に示すように、壁面17にフランジを設けて、このフランジをクリップで挟むことによって固定をしていた。しかし、壁面17と固定すると、壁面17が倒れてしまうため、その分前後に移動してしまうことになる。そこで、第2実施形態においては、図5に示すように、第2フロアマット10の壁面17の下端に延設部12を形成したものである。すなわち、柱状部14は、断面円形の円柱状をなしており、後方下端の後方端辺11に沿って間隔を開けて配置されている。薄厚連結部16は、柱状部14の上下方向の厚さより薄く形成されており、後方端辺11と柱状部14の間に配置され、後方端辺11と柱状部14とをそれぞれを連結している。
【0052】
壁面17の下端に延設部12を形成し、延設部12をフロアマット固定具20に取り付けることによって、延設部12と延設部取付部23がフロア部近傍に設置されるので、安定した固定を行うことができる。また、壁面17の下端に延設部12を設けてあるので、壁面17の倒れは第2フロアマット10の移動に影響を与えることがなく、効果的に移動を防止することができる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、柱状部14の断面として円形のものを採用しているが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、断面四角形、断面三角形でもよいし、その他、楕円、星型等開口溝より引き出されない形状であれば、どのような形であってもよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、固定する方法として、ねじ又はビス70を用いたが、これに限定されるものではなく、確実に固定できる手段であれば、従来の技術を転用することができる。
【0055】
また、上述した実施形態では、係止片を基部17及び上方連結部26の両方に設けたが、いずれか一方であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上述した実施形態で示すように、自動車用フロアカーペットの上に配置される純正の第1フロアマットの上に敷設される第2フロアマットを固定する固定具として産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10…第2フロアマット、11…後方端辺、12…延設部、14…柱状部、16…薄厚連結部、17…壁面、20…フロアマット固定具、21…基部、22…固定部、23…延設部取付部、24…連結部、25…立設連結部、26…上方連結部、27…係止片、27a…辺、27b…辺、28…開口溝、29…第1フロアマット挿入空間、70…ねじ又はビス、90…自動車用フロアカーペット、92…第1フロアマット、96…ボディ、100…フロアマット保持部材。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用フロアカーペットに敷設される第1フロアマットの上に載置される第2フロアマットと、前記第2フロアマットを前記自動車用フロアカーペットに固定するフロアマット固定具と、を備え、
前記第2フロアマットは、前方端辺又は後方端辺に沿って間隔を設けて配置された10cm以上の長さを有する柱状部と、前記柱状部と前記第2フロアマットとの間に形成された前記柱状部の外径より薄く形成された薄厚連結部と、を有する延設部を備え、
前記フロアマット固定具は、前記自動車用フロアカーペットに固定する固定部を備えた基部と、前記延設部を側方からスライド挿入した場合に、前記薄厚連結部に干渉する部分に柱状部より薄い開口溝を備え、かつ前記柱状部の断面と同形の中空を有する延設部取付部と、を備えていることを特徴とするフロアマット保持部材。
【請求項2】
前記延設部取付部は、前記基部の上方に第1フロアマット挿入空間を形成するように、前記基部と前記延設部取付部を連設する連設部を介して配置されてなり、
前記延設部取付部と前記基部とで挟持することによって、前記第1フロアマットを固定可能であること特徴とする請求項1に記載のフロアマット保持部材。
【請求項3】
前記延設部取付部は、前記第1フロアマットを押圧するように第1フロアマット挿入空間に前記連設部から突出形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロアマット保持部材。
【請求項4】
前記基部の上面又は/及び連設部の下面は、三角形の係止片を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフロアマット保持部材。
【請求項5】
前記第2フロアマットは、ポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であり、周囲に壁面を有する容器状をなしており、
前記延設部は、壁面の下端より延設されてなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフロアマット保持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−240860(P2011−240860A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116062(P2010−116062)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(510140180)
【Fターム(参考)】