説明

フロアマット保持部材

【課題】第2フロアマットを自動車用フロアカーペットに対して、側方方向への移動は可能であるが、前後方向への移動は防止することができるフロアカーペット固定器具を提供する。
【解決手段】第2フロアマットと、前記第2フロアマットを前記自動車用フロアカーペットに固定するフロアマット固定具20とを備える。前記第2フロアマットは、周囲に壁面を有する容器状であり、底面部から前方又は後方に延設した延設部に設けた貫通孔を備える。フロアマット固定具20は、前記自動車用フロアカーペットに固定する固定部22を備えた基部21と、前記基部21の上方に第1フロアマット挿入空間29を形成するように連設部23を介して配置された第1フロアマット挟持部24とを備える。前記第1フロアマット挟持部24の上面には、フック25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1フロアマットの上面に敷設される第2フロアマットと、この第2フロアマットを自動車用フロアカーペットに固定するフロアマット固定具と、を備えたフロアマット保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロアは、金属で作製されたボディに沿わせて自動車用フロアカーペットが敷設される。この自動車用フロアカーペットの表面が汚れるのを防止するために、運転席の足下、助手席の足下及び後部座席の足下に、それぞれ純正のフロアマットが敷設される。さらに、純正のフロアマットが汚れるのを防止するために、汎用のフロアマットが純正のフロアマットの上に敷設されることがある。純正のフロアマットは、ボディ又は自動車用フロアカーペットに固定する特別の手段が施されていることが多いが、汎用のフロアマットは車種に特有の固定部を有していない。そのため、別途、自動車用フロアカーペットへの固定部が必要となる。
【0003】
一方で、汎用のフロアマットは、複数の車種に対して適用可能に作製する必要がある。よって、汎用のフロアマットは、純正のフロアマットのごとく、自動車のフロア部の大きさ、形状に適合させて個別に作製することができず、若干小さめに設計されることが多い。このため、汎用のフロアマットは前後左右へ移動する余地が大きく、フロアマットを固定する重要性はより高いものとなる。
【0004】
純正のフロアマットと汎用のフロアマットとを固定する方法として、純正のフロアマットを挟み込む挟込部と、汎用のフロアマットに形成されている穴部に係合させるクリップ部と、を有する係合金具によって、それぞれを固定する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
係る係合金具は、純正のフロアマットと汎用のフロアマットとを固定することは可能である。しかし、自動車用フロアカーペットと汎用のフロアマットとを固定する手段を備えていない。そのため、純正のフロアマットがなにかの拍子で移動したり、フックから外れたりすると、純正のフロアマットに追随して汎用のフロアマットも自動車用フロアカーペットに対して移動するものであった。
【0006】
一方、自動車用フロアカーペットと汎用のフロアマットとを固定する方法として、下面にカーペットのループに係合する面ファスナーを備え、第1のマット(純正のフロアマット)の下方に挿入される板状の基部と、この基部の端部から上方に突設された第1のマットの周縁部に当接する係合部と、この係合部の上部に第2のマット(汎用のフロアマット)を着脱自在に上下方向から挟んで保持するクリップ部と、を設けたマット用固定具がある(特許文献2参照)。
【0007】
しかし、係るマット固定具は、以下の課題があった。第2のマットは、特に雨や雪の日に靴が濡れたり、泥が靴に付着したりするときに、純正のフロアマットが汚れるのを防止することを目的として敷設される場合が多い。そのため、織布、不織布のフロアマットに代えて、防水性を有するポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製のフロアマットが多く使用される。エラストマー製のフロアマットは、表面が滑りやすいため、挟持という手段では確実な固定が難しいという課題があった。
【0008】
また、泥や水が第2フロアマットの外側へ飛散しないように、壁面で周囲を覆った容器状のタイプも使用される(図7参照)。容器状のフロアマットの場合、クリップでフロアマットを挟持しようとすると、底面部から浮いている壁面上方のフランジを挟まなければならない。しかし、図7bに示すように、容器状のフロアマットは、壁面が倒れることによってフランジ部と底面部の距離が変更されるので、移動を防止することができないという課題があった。さらに、もし壁面が倒れた状態になると、フロアマット内の水や泥がフロアマットの外へ飛散し易くなるという問題もあった。
【0009】
また、係る手段は、自動車用フロアカーペットに対して面ファスナーを用いて固定するものであるため、ループパイル表面を有する自動車用フロアカーペットであれば比較的接着性が高く効果的であるが、カットパイルの表面を有する自動車用フロアカーペットに対しては接着力が弱く、固定することができなかった。
【特許文献1】意匠登録第1319385号
【特許文献2】実用新案登録第3148696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、以下の課題を解決するものであり、以下の目的を有する。
【0011】
第1の目的は、第2フロアマットが自動車用フロアカーペットに対して移動することを防止することができるフロアマット保持部材を提供することである。すなわち、第1フロアマットを介して上下に存在する自動車用フロアカーペットと第2フロアマットとが相互に移動するのを規制することを目的とする。
【0012】
第2の目的は、フロアマット固定具が第2フロアマットに加えて、第1フロアマットも固定することができるフロアマット保持部材を提供することである。
【0013】
第3の目的は、フロアマット固定具は、容器状の第2フロアマットであっても、壁面の倒れの影響を受けることなく、自動車用フロアカーペットの移動を防止することができるフロアマット保持部材を提供することである。
【0014】
第4の目的は、第2フロアマットが滑りやすい素材であるポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であっても、フロアマット保持部材から抜けるのを防止することができるフロアマット保持部材を提供することである。
【0015】
第5の目的は、フックを引っかける貫通孔が第2フロアマット内側の底面にあった場合であっても、フロアマット内側に溜まった水や泥が貫通孔から第2フロアマットの外へ流れ出るのを防止することができるフロアマット保持部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上述の目的の少なくとも1つを達成するために、以下の手段を採った。
【0017】
本発明のフロアマット保持部材は、自動車用フロアカーペットに敷設される第1フロアマットの上に載置される第2フロアマットと、前記第2フロアマットを前記自動車用フロアカーペットに固定するフロアマット固定具と、を備え、
前記フロアマット固定具は、前記自動車用フロアカーペットに固定する固定部を備えた基部と、前記基部の上方に第1フロアマット挿入空間を形成するように連設部を介して配置される第1フロアマット挟持部と、前記第1フロアマット挟持部の上面に設けられたフックと、を備え、
前記第2フロアマットは、周囲に壁面を有する容器状であり、底面部若しくは前記底面部から前方又は後方に延設された延設部に設けられた貫通孔を備え、
前記フックを前記貫通孔に掛止することによって、前記第2フロアマットを固定することを特徴とする。
【0018】
本発明のフロアマット保持部材は、第1フロアマット及び第2フロアマットを自動車用フロアカーペットに固定できるフロアマット固定具と、このフロアマット固定具に保持される専用の第2フロアマットとを備えている。本発明のフロアマット保持部材は、フロアカーペットに固定される一方で、第1フロアマット、第2フロアマットを固定することができる。すなわち、フロアマット固定具は、自動車用フロアカーペットに固定するための固定部を備えており、固定部を利用することによって自動車用フロアカーペットに固定することができる。また、フロアマット固定具には、基部と第1フロアマット挟持部とによって形成される第1フロアマット挿入空間が設けられている。この第1フロアマット挿入空間に第1フロアマットを挿入することによって、第1フロアマットが基部と第1フロアマット挟持部に挟まれて挟持固定される。さらに、第2フロアマットに形成された貫通孔に、フロアマット固定具に形成されたフックを掛止することによって、第2フロアマットをフロアマット固定具に保持することができる。こうして第1フロアマット、第2フロアマット及び自動車用フロアカーペットは、フロアマット固定具を介して固定又は保持される。特に本発明において、第1フロアマットを中間に挟んでいるにもかかわらず、自動車用フロアカーペットと第2フロアマットとを互いに固定できる点、第1フロアマットをも固定することができる点がその特徴の一つである。
【0019】
本発明のフロアマット保持部材は、周囲に壁面を有する容器状に形成されている第2フロアマットを保持できる点も特徴の一つである。第2フロアマットは、底面部若しくは底面部から前方又は後方に延設された延設部に形成された貫通孔にフックを掛止するので、壁面の倒れの影響を受けることなく第2フロアマットを固定することができる。すなわち、壁面が倒れたとしても第2フロアマットの位置を保持することができる。
【0020】
また、第2フロアマットに加え、第1フロアマットもフロアマット固定具に固定することができる点も本発明の特徴の一つである。本特徴によって、以下の効果を有する。通常、第1フロアマットは純正のフロアマットであり、あらかじめ設計された手段によって、自動車用フロアカーペット又はボディに固定する手段を備えている。第1フロアマットを自動車用フロアカーペット又はボディに固定する手段としては、一般的に第1フロアマットに貫通穴が形成されており、一方、自動車用フロアカーペット又はボディは、自動車用フロアカーペット又はボディから突出するフックを備えていて、このフックを第1フロアマットの貫通孔に引っかけて固定するという手段が採用される。こうしたフックと貫通孔という手段であると、ある一定位置では外れづらく、ある他の位置では外れやすくなったりする。しかし、フロアマット固定具によれば、ボディからのフックが外れにくい位置に第1フロアマットを固定することができる。従って、第1フロアマットが自動車用フロアカーペットから意図せず外れることを未然に防止することができる。また、仮に第1フロアマットが自動車用フロアカーペットから外れた場合であっても、フロアマット固定具は直接第1フロアマットを固定しているので、自動車用フロアカーペットから第1フロアマットが移動するのを防止することができる。
【0021】
このように、本発明によれば、第1フロアマット及び第2フロアマットのいずれも、フロアマット固定具を介して、自動車用フロアカーペットに固定され、所定位置から移動することを防止することができる。よって、第1フロアマットや第2フロアマットがアクセルやブレーキ部に移動して、問題を起こすことを防止することができる。
【0022】
また、本発明のフロアマット保持部材において、前記第2フロアマットは、ポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であってもよい。従って、第1フロアマット及び第2フロアマットの移動を防止することができる。本発明は、第2フロアマットの貫通孔にフックを掛止する構成を採用しているので、滑りやすいポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であっても、挟むという手段と異なり、挟持手段から抜けたりする心配をすることなく固定することができる。また、エラストマー製の素材を採用することによって、貫通孔の大きさをフックより小さく形成しても、貫通孔を広げつつ挿入することができるので、不意にフックから貫通孔が外れることを防止することができる。
【0023】
さらに、本発明のフロアマット保持部材において、前記貫通孔の上面が前記底面部の表面より上方に配置されるように、前記貫通孔の周囲が前記底面部又は前記延設部よりも厚く形成されていてもよい。
【0024】
係る構成を採用することによって、貫通孔の周囲が厚く形成されるので、ポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であっても、第2フロアマットが足によって引っ張られたとしても、フックに掛止した貫通孔が大きく変形したり、切れたり、裂けたりすることを防止することができる。また、貫通孔が第2フロアマットの底面部に設けられている場合には、底面部の表面よりも高い位置に配置されているので、溜まった水や泥が貫通孔から流れ出すことを防止することができる。よって、第1フロアマットを汚すことを防止することができる。
【0025】
さらに、本発明のフロアマット保持部材において前記第1フロアマット挟持部は、第1フロアマット挟持部の先端部と前記基部との間隔が先端部以外の挟持部と基部との間隔より狭く、かつ第1フロアカーペットの厚さより狭く形成されていてもよい。
【0026】
係る構成を採用することによって、第1フロアマット挿入空間に第1フロアマットを挿入したときに、第1フロアマット挟持部の先端部と基部とで、第1フロアマットの厚さ以下に押圧するように挟み込んで保持することができる。従って、第1フロアマットの移動を効果的に防止することができる。
【0027】
さらに、本発明のフロアマット保持部材として、前記基部の上面又は第1フロアマット挟持部の下面には、断面が三角形の係止片を備えていてもよい。
【0028】
係る構成を採用することによって、基部の上面に三角形の係止片を設けた場合には、基部側から第1フロアマットの下面を押圧することができ、一方、第1フロアマット挟持部の下面に三角形の係止片を設けた場合には、第1フロアマット挟持部から第1フロアマットの上面を押圧することができ、より強固に第1フロアマットを保持することができる。また、係止片の頂点が尖っているので、この頂点が第1フロアマットに食い込むことで第1フロアマットの移動を、より効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るフロアマット保持部材によれば、以下の効果を有する。
【0030】
第1の効果として、第1フロアマットを介して上下に存在する自動車用フロアカーペットと第2フロアマットとを固定することができる。従って、第2フロアマットが自動車用フロアカーペットに対して移動することを防止することができる。こうして、第2フロアマットがアクセルやブレーキ側へ移動することを防止することができる。
【0031】
第2の効果として、第2フロアマットが滑りやすい素材であるポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であっても、フックと貫通孔という手段を採用することによって、抜けて外れることを防止することができる。
【0032】
第3の効果として、第1フロアマットが自動車用フロアカーペットに対して移動することを防止することができる。従って、第1フロアマットがアクセルやブレーキ側へ移動することを防止することができる。
【0033】
第4の効果として、第2フロアマットが容器状であっても、第2フロアマットの底面近傍で固定することで、安定した固定を行うことができる。また、第2フロアマットの壁面の倒れに影響されることなく、自動車用フロアカーペットへ固定することができる。
【0034】
第5の効果として、第2フロアマットの底面部に貫通孔を設けたとしても、貫通孔の上面が底面の表面より高い位置にあるので、第2フロアマット内に溜まった水や泥を下面に流れ出すのを防止することができる。また、貫通孔の周囲は厚く形成されているので、貫通孔が破れたり、引き裂かれたりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態に係る第2フロアマット10及びフロアマット固定具20を備えたフロアマット保持部材100の概略を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るフロアマット固定具20の構成の概略を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るフロアマット固定具20を自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10に取り付けた状態を示す断面図である。
【図4】第1実施形態に係るフロアマット固定具20の係止片27を表す側面図である。
【図5】第2実施形態に係る第2フロアマット10の概略を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るフロアマット固定具20を自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10に取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】従来のフロアマット固定具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的で使用されるものではない。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。また、本明細書及び特許請求の範囲において、「前方」、「後方」、「上方」、「下方」、「側方」とは、第1実施形態における図1に示された方向を指し、本明細書及び特許請求の範囲においても同様の用語は同様の方向を指す。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る第2フロアマット10及びフロアマット固定具20を備えたフロアマット保持部材100の概略を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係るフロアマット固定具20の斜視図である。図3は、第1実施形態に係るフロアマット固定具20を自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10に取り付けた状態を示す断面図である。まず始めに、理解容易のためフロアマット保持部材100が使用される状況を説明する。一般に、自動車内の足下は、図3に示すように、金属製のボディ96に、ボディ96の形状に適合するよう成型された自動車用フロアカーペット90があらかじめ敷設されている。そして、自動車用フロアカーペット90の上面に、自動車用フロアカーペット90が汚れるのを防止するために、第1フロアマット92として純正のフロアマットが敷設される。さらに、第1フロアマット92が汚れるのを防止するために、第2フロアマット10として市販されている汎用フロアマットが敷設される。このように、本発明のフロアマット保持部材100は、純正の第1フロアマット92の上にさらに第2フロアマット10を敷設する状況において利用されるものである。
【0038】
第1実施形態におけるフロアマット保持部材100は、図1に示すように、フロアマット固定具20と、第2フロアマット10とを備えている。第2フロアマット10は、雨や雪のときに、靴に付着した泥や水を内部に溜め、この泥や水を周囲に飛散させないように、周囲に壁面11を有する容器状をなしている。作製する素材としては、ポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマーが使用される。エラストマー系素材は、防水性が高く、表面に泥や水が落ちても浸透することなく、第2フロアマット10の表面に維持することができるので、下面に配置される第1フロアマット92、自動車用フロアカーペットを汚すことを防止することができる。第2フロアマット10の底面部15には、前方又は後方に向かって延びる延設部12が設けられている。本実施形態では、後方に向かって延びた延設部12を用いている。前方又は後方としたのは、フロアマットを最も移動させたくない場所は、アクセル又はブレーキ部であるので、前後方向の移動を確実に防止するためである。延設部12には、貫通孔13が設けられている。貫通孔13の周囲には、延設部12の周囲より厚さが厚く形成された厚肉部14が設けられていて、貫通孔13の周囲の表面は、底面より上方にある。厚肉部14を設けることによって、貫通孔13の周囲の強度を強くなり、引っ張りによって、貫通孔13が変形したり、引き裂かれたりすることを防止することができる。
【0039】
フロアマット固定具20は、図2に示すように、基部21と、基部21の上方に連結部23を介して配置された第1フロアマット挟持部24と、を備えている。基部21は、開口孔からなる固定部22を有している。基部21は、固定部22を介してねじ又はビス70で自動車用フロアカーペット90に固定される。
【0040】
連結部23は、基部21の後方上面から上方に立設されており、途中から前方方向に折れ曲がって延設され第1フロアマット挟持部24と連結されている。第1フロアマット挟持部24は、連結部23によって基部21との間に間隙が設けられるように配置され、この間隙が第1フロアマット92を挿入する第1フロアマット挿入空間29を形成する。
【0041】
第1フロアマット挟持部24は、連結部から先端24aに向かって、下方に傾斜するように設けられている。その先端24aが最も下方に位置し、先端24aと基部21との距離は、挿入される第1フロアマット92の厚さより狭く形成される。係る構成によって第1フロアマット92を挿入した際に、先端24aの狭い面積で第1フロアマット92を押圧することができるので、
より強い力が第1フロアマットに係り、強固に保持される。
【0042】
一方、基部21の上面は、図4に示すように、第1フロアマット92を挿入した場合に、第1フロアマット92を下面から押圧するように断面三角形の複数の係止片28が設けられている。また、第1フロアマット挟持部24の下面には、第1フロアマット92を上面から押圧するように断面三角形の複数の係止片28が設けられている。断面三角形に形成することで、頂点が尖るので、第1フロアマット92に頂点を食い込ませることができる。こうして第1フロアマット92の移動を効果的に防止することができる。断面三角形の形状は、第1フロアマット92を挿入する側の辺28aと基部21の上面との角度αが、他方の辺28bと基部21の上面との角度βよりも鋭角となるように形成するのが好ましい。このように係止片28を形成することによって、第1フロアマット92を挿入する際に容易に挿入することができるが、引き抜く場合に係止片28の先端が引っかかって引き抜け難くすることができる。
【0043】
第1フロアマット挟持部24の上面には、図2に示すように、フック25が設けられている。フック25は、第1フロアマット挟持部24の上面から円柱状に立設された立設部26と、掛合部27と、からなる。掛合部27は、フック25から第2フロアマット10が容易に外れることを防止するため、立設部26の円周より大きく作成されており、後方側へ大きく延出した形状をなしている。
【0044】
こうして作製されたフロアマット保持部材100は、以下のようにして使用される。まず、フロアマット固定具20を、固定部22にねじ又はビス70を通して自動車用フロアカーペット90の所定の場所に固定する。ねじ又はビス70を用いて固定することで、第1フロアマット92の素材を選ぶことなく、確実に固定することができる。その後、図3に示したように、第1フロアマット92を基部21と第1フロアマット挟持部24との間隙で形成された第1フロアマット挿入空間29に挿入する。そして、最後に第2フロアマット10の延設部12の貫通孔13にフック25を挿入する。こうして自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10は、フロアマット固定具20を介して固定される。
【0045】
第1実施形態おけるフロアマット保持部材100によれば、ネジ又はビス70を用いているので、自動車用フロアカーペット90内部に突き刺すように固定される。従って、自動車用フロアカーペット90の表面の状態、すなわち、ループパイル、カットパイル、ニードルパンチ等にかかわらず、堅固に固定することができる。
【0046】
第1フロアマット92を第1フロアマット挿入空間29に挿入すれば、第1フロアマット92は、上面側から第1フロアマット挟持部24による押圧力により、下面側から係止片28により、押さえつけられて固定される。これにより、不意に第1フロアマット92が自動車用フロアカーペット90から外れたとしても、第1フロアマット92が移動することを防止することができる。
【0047】
第2フロアマット10は、壁面11の上方から延びるフランジ18との固定ではなく、底面部から延びる延設部12の貫通孔にフックを掛止して固定されている。容器状の第2フロアマット10を固定する場合、従来は、図7に示すように、壁面11にフランジ18を設けて、このフランジ18をクリップ200で挟むことによって固定をしていた。しかし、壁面11で固定すると、壁面11が倒れてしまうため、その分前後に移動してしまうことになる。しかし、延設部12で固定することによって、壁面11が倒れるか否かによる影響を受けることなく、第2フロアマット10を固定することができる。このため、容器状の第2フロアマット10であっても、底面近傍に固定されるので安定した固定を確保することができる。また、貫通孔13の周囲は、厚く形成されているので、たとえ、第2フロアマット10が引っ張られたとしても、貫通孔13が伸びたり、裂けたりすることを防止することができる。これにより、アクセルペダルやブレーキペダルのある前方方向へ第2フロアマット10が移動することを確実に防止することができる。
【0048】
本実施形態におけるフロアマット保持部材100によれば、自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92、第2フロアマット10がフロアマット固定具20によっていずれも固定される。
【0049】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係るフロアマット保持部材100の構成のうち、第2フロアマット10の概略を示す斜視図である。図6は、第2実施形態に係るフロアマット固定具20を自動車用フロアカーペット90、第1フロアマット92及び第2フロアマット10に取り付けた状態を示す断面図である。第2実施形態に係るフロアマット保持部材100は、第2フロアマット10の構成が異なるのみで、フロアマット固定具20は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。第2実施形態の第2フロアマット10は、図5に示すように、第2フロアマット10の周囲に壁面11を有する容器状をなしている。第2実施形態においては、貫通孔13を第2フロアマット10の底面部15に設けてある。貫通孔13の周囲には、厚肉部14が設けられていて、貫通孔13の周囲の上面は、底面部15よりも一段高い位置に配置されている。このような構成を採用することによって、第2フロアマット10が引っ張られたとしても、貫通孔が伸びたり、裂けたりすることを防止することができる。また、雨や雪の日に底面部に水や泥が溜まったとしても、底面部15より高い位置に貫通孔13が形成されているので、貫通孔13から水や泥が流れ出ることを防止することができる。厚肉部14は、底面部15に溝が形成されていたり、模様が形成されていたりするときは、底面部15で最も高い位置にある部分よりも高い位置に形成することが好ましいが、水や泥が流れ出ない程度の高さを有していれば、特に高さを限定するものではない。
【0050】
こうして作成された第2フロアマット10は、図6に示すように、フロアマット固定具20のフック25を貫通孔13に引っかけることによって、固定される。第2フロアマット10の底面部15に直接取り付けるので、壁面11が倒れるか否かは第2フロアマット10の移動に影響を与えることがなく、効果的に移動を防止することができる。また、フロアマット固定具20は、第2フロアマット10の裏面側に隠れるので、フロアマット固定具20は取り付けた後に視認することができず、美観的にも優れる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、固定する方法として、ねじ又はビス70を用いたが、これに限定されるものではなく、確実に固定できる手段であれば、従来の技術を転用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上述した実施形態で示すように、自動車用フロアカーペットの上に配置される純正の第1フロアマットの上に敷設される第2フロアマットを固定する固定具として産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…第2フロアマット、11…壁面、12…延設部、13…貫通孔、14…厚肉部、15…底面部、17…壁面、20…フロアマット固定具、21…基部、22…固定部、23…連結部、24…第1フロアマット挟持部、25…フック、26…立設部、27…掛合部、28…係止片、28a…辺、28b…辺、29…第1フロアマット挿入空間、70…ねじ又はビス、90…自動車用フロアカーペット、92…第1フロアマット、96…ボディ、100…フロアマット保持部材。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用フロアカーペットに敷設される第1フロアマットの上に載置される第2フロアマットと、前記第2フロアマットを前記自動車用フロアカーペットに固定するフロアマット固定具と、を備え、
前記フロアマット固定具は、前記自動車用フロアカーペットに固定する固定部を備えた基部と、前記基部の上方に第1フロアマット挿入空間を形成するように連設部を介して配置される第1フロアマット挟持部と、前記第1フロアマット挟持部の上面に設けられたフックと、を備え、
前記第2フロアマットは、周囲に壁面を有する容器状であり、底面部若しくは前記底面部から前方又は後方に延設された延設部に設けられた貫通孔を備え、
前記フックを前記貫通孔に掛止することによって、前記第2フロアマットを固定することを特徴とするフロアマット保持部材。
【請求項2】
前記第2フロアマットは、ポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製であることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット保持部材。
【請求項3】
前記貫通孔の上面が前記底面部の表面より上方に配置されるように、前記貫通孔の周囲が前記底面部又は前記延設部よりも厚く形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロアマット保持部材。
【請求項4】
前記第1フロアマット挟持部は、第1フロアマット挟持部の先端部と前記基部との間隔が先端部以外の挟持部と基部との間隔より狭く、かつ第1フロアカーペットの厚さより狭く形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフロアマット保持部材。
【請求項5】
前記基部の上面又は前記第1フロアマット挟持部の下面は、断面が三角形の係止片を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフロアマット保持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−240861(P2011−240861A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116063(P2010−116063)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(510140180)
【Fターム(参考)】