説明

フロアマット固定具

【課題】フロアマットと自動車用フロアカーペットとの移動を防止することができるフロアマット固定具を提供すること。
【解決手段】フロアマット固定具100は、基部10と、この基部10の上方に配置され、上方に延出したフック20を備えている。基部10には、ビス、ねじ又はボルト等の螺子部材によって、フロアマット固定具100に固定可能となるように、挿入孔11が3つ設けられているものとし、フック20にフロアマットを引っかけることによって、フロアマットが移動しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用フロアカーペットとフロアマットとを固定するフロアマット固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロアには、金属で作製されたボディに沿わせて自動車用フロアカーペットが敷設される。この自動車用フロアカーペットの表面が汚れるのを防止するために、運転席の足下、助手席の足下及び後部座席の足下に、それぞれフロアマットが敷設される。このフロアマットは移動しやすいため、フロアマットの移動を防止するための手段が必要とされる。
【0003】
一方、自動車用フロアカーペットと汎用のフロアマットとを固定する方法として、下面にカーペットのループに係合する面ファスナーを備え、第1のマットの下方に挿入される板状の基部と、この基部の端部から上方に突設された第1のマットの周縁部に当接する係合部と、この係合部の上部に第2のマットを着脱自在に上下方向から挟んで保持するクリップ部と、を設けたマット用固定具がある(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、かかるマット固定具は、以下の課題があった。フロアマットは、特に雨や雪の日に靴が濡れたり、泥が靴に付着したりするときに、純正のフロアマットが汚れるのを防止することを目的として敷設される場合が多い。そのため、織布、不織布のフロアマットに代えて、防水性を有するポリ塩化ビニル、合成ゴム、オレフィン系エラストマー等のエラストマー製のフロアマットが多く使用される。エラストマー製のフロアマットは、表面が滑りやすいため、挟持という手段では確実な固定が難しいという課題があった。
【0005】
また、自動車用フロアカーペットとの固定は、面ファスナーを用いて固定するものであるため、ループパイルの表面を有する自動車用フロアカーペットであれば比較的接着性が高く効果的であるが、カットパイルの表面を有する自動車用フロアカーペットに対しては接着力が弱く、滑り止め効果を効率的に発揮することができなかった。また、純正のフロアマットは、ボディの形状に合わせて傾斜するぎりぎりの位置まで敷設するように設計されている。そのため、自動車用フロアカーペットに固定しようとすると傾斜している位置(メンバー付近等)に取り付けなければならない。しかし、傾斜している位置にマット用固定具を取り付けようとすると、自動車用フロアカーペットは凹面をなすので面ファスナーでは十分に固定することができないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3148696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、こうした課題を鑑みてなされたものであり、かつ自動車用フロアカーペットへの取付けを確実に行うことができ、かつフロアマットの移動を防止することができるフロアマット固定具を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の目的を達成するために、以下の手段を採った。
【0009】
本発明にフロアマット固定具は、自動車用フロアカーペットと、フロアマットとを固定するフロアマット固定具であって、
螺子部材を挿入する挿入孔を備えた前記自動車用フロアカーペットへ固定するための自動車用フロアカーペット固定手段を有する基部と、基部の上面に形成されたフロアマット固定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のフロアマット固定具は、自動車用フロアカーペットとフロアマットとを固定するものである。自動車用フロアカーペットへの固定には、基部に設けられた挿入孔を介してビス、ネジ又はボルト等の螺子部材で固定する。そのため、自動車用フロアカーペットとの間に多少隙間があっても固定可能であり、傾斜面、平面を問わず、固定することができる。固定力もかなり強いものとなり、自動車用フロアカーペットとフロアマット固定具がずれたり、移動したりすることを防止することができる。
【0011】
さらに、本発明のフロアマット固定具は、フロアマットを固定する固定手段を備えているため、自動車用フロアカーペットとフロアマットとをフロアマット固定具を介して確実に固定することができる。そのため、自動車用フロアカーペットとフロアマットの相対位置が変更する可能性を軽減することができる。
【0012】
さらに、本発明のフロアマット固定具において、前記基部の裏面には、自動車用フロアカーペットとのずれを防止するためのずれ防止用突起を備えていてもよい。かかる構成を採用することによって、ずれ防止用突起が自動車用フロアカーペットに突き刺さることによって、フロアマット固定具が自動車用フロアカーペットに対してずれることが効果的に防止される。
【0013】
さらに、本発明のフロアマット固定具において、前記フロアマット固定手段は、開口部を有するフロアマットを固定するものであって、前記開口部を引っかけるフックであってもよい。かかる構成を採用することによって、フロアマットに形成された開口部にフックを引っかけるだけで、フロアマットをフロアマット固定手段に固定することができる。
【0014】
さらに、本発明のフロアマット固定具において、前記フックは、先端に略側方方向へ延設された延設部を備えていてもよい。かかる構成を採用することによって、フロアマットに形成された開口に引っ掛けられたフックは、上方に持ち上げることのみでは、フロアマットをフロアマット固定具から取り外すことができなくなり、不用意にフロアマットがフロアマット固定具から外れることを防止することができる。
【0015】
さらに、本発明のフロアマット固定具において、前記基部に形成された挿入孔は、基部の一方側近傍に1つ形成されてなり、基部の一方の反対側となる他方側近傍に2つ形成されてなるものであってもよい。かかる構成を採用することによってフロアマット固定具に挿入孔が2つ形成されている場合と比較して、フロアマット固定具が倒れる可能性を低下させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるフロアマット固定具によれば、フロアマットと自動車用フロアカーペットとの移動を防止することができるフロアマット固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態にかかるフロアマット固定具100の構成の概略を示す斜視図であり、図1Aは、表面側を示し、図1Bは裏面側を示す。
【図2】実施形態にかかるフロアマット固定具100を自動車用フロアカーペット90、フロアマット92に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】実施形態にかかるフロアマット固定具100を自動車用フロアカーペットの傾斜部に固定する状態を示した断面図である。
【図4】実施形態にかかるフロアマット固定具100の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかるフロアマット固定具100の構成の概略を示す斜視図である。図2は、第1実施形態にかかるフロアマット固定具100に自動車用フロアカーペット90、フロアマット92を取り付けた状態を示す断面図である。まず始めに、理解容易のためフロアマット固定具100が使用される状態を説明する。一般に、車内の足下は、図2に示すように、プレスによって作製された金属からなるボディ96にこのボディの形状に適合するように成型された自動車用フロアカーペット90があらかじめ敷設されている。そして、この自動車用フロアカーペット90の上面に、自動車用フロアカーペット90が汚れるのを防止するためにフロアマット92が敷設される。第1実施形態にかかるフロアマット固定具100は、この自動車用フロアカーペット90とフロアマット92とが互いに移動するのを防止するためのものである。
【0020】
第1実施形態におけるフロアマット固定具100は、図1A及び図2に示すように、基部10と、この基部10の上方に配置され、上方に延出したフック20を備えている。基部10は、平面の板状に形成されてなり、ビス、ねじ又はボルト等の螺子部材30によってフロアマット固定具100に固定するため、挿入孔11が3つ設けられている。この挿入孔11は、自動車用フロアカーペット90にフロアマット固定具100が取り付けられた際に、前方に1つ、後方側に並列するように2つの合計3つ設けられている。また、基部10の裏面には、図1B及び図2に示すように、フロアマット固定具100を自動車用フロアカーペット90に取り付けた際に、フロアマット固定具100を自動車用フロアカーペット90がずれることを防止するため、3つの三角錐形のずれ防止用突起13が設けられている。
【0021】
フック20は、円柱状に形成された立設部21と、この立設部21から略側方方向へ延出した延設部22と、を備えている。延設部22はフロアマット固定具100を自動車用フロアカーペット90へ取り付けた際に、後方方向へ延出するように形成され、さらに、フック20からフロアマット92が容易に外れることを防止するため、立設部21の直径より大きく作成されている。
【0022】
こうして作製されたフロアマット固定具100は、以下のようにして使用される。まず、フロアマット固定具100を自動車用フロアカーペット90に固定する。自動車用フロアカーペット90へフロアマット固定具100を固定するには、図2に示すように、挿入孔11にネジ、ビス等の螺子部材30を通し、自動車用フロアカーペット90に螺着することによって、フロアマット固定具100が固定される。ネジ、ビス等の螺子部材30には螺旋状の溝が切られているので、ネジ、ビス等を締め付けることによって、自動車用フロアカーペット90に深く埋没し、強固な固定力を有する。また、締め付けることによって、図3の矢印に示すように、自動車用フロアカーペット90をフロアマット固定具100に引きつける方向に働くので、傾斜部であっても自動車用フロアカーペット90をひきつけつつ基部10との間に隙間が発生することを防止して、確実に固定することができる。また、挿入孔は3つ設けられているので、フロアマット固定具100は、フロアカーペットに対し、3点支持となるためフロアマット固定具100が倒れづらくなる。
【0023】
こうして固定されたフロアマット固定具100のフック60に、フロアマット92に形成されている開口孔95を引っ掛けることによって、水平方向にスライドするのを防止することができる。
【0024】
こうして本実施形態におけるフロアマット固定具100によれば、自動車用フロアカーペット90、フロアマット92、フロアマット固定具100によっても固定することができる。
【0025】
なお、上述した実施形態では、挿入孔11は、3つ形成されるものとしたが、挿入孔の数は、2つ以上であれば、その数は特に限定するものではない。
【0026】
また、上述した実施形態では、フロアマット固定手段としてフック60を採用しているが、フック形状はこれに限定されるものではなく、図4に示したように、平板を折り曲げた形状にしてもよい。この場合は、このフックの形状に適合した開口部がフロアマット92に必要となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
上述した実施形態で示すように、自動車用の自動車用フロアカーペットの上に配置される自動車用フロアマットを固定する固定具として産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
10…基部、11…挿入孔、13…防止用突起、20…フック、21…立設部、22…延設部、30…螺子部材、60…フック、61…立設部、90…自動車用フロアカーペット、92…フロアマット、95…開口孔、96…ボディ、100…フロアマット固定具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用フロアカーペットと、フロアマットとを固定するフロアマット固定具であって、
螺子部材を挿入する挿入孔を備えた前記自動車用フロアカーペットへ固定するための自動車用フロアカーペット固定手段を有する基部と、基部の上面に形成されたフロアマット固定手段と、
を備えることを特徴とするフロアマット固定具。
【請求項2】
前記基部の裏面には、前記自動車用フロアカーペットとのずれを防止するためのずれ防止用突起を備えていることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット固定具。
【請求項3】
前記フロアマット固定手段は、開口部を有するフロアマットを固定するものであって、前記開口部を引っかけるフックであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロアマット固定具。
【請求項4】
前記フックは、先端に略側方方向へ延設された延設部を備えていることを特徴とする請求項3に記載のフロアマット固定具。
【請求項5】
前記挿入孔は、前記基部の一方側近傍に1つ形成されてなり、基部の一方の反対側となる他方側近傍に2つ形成されてなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフロアマット固定具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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