説明

フロアマット

【課題】 表示付きフロアマットにおいて、室内照明の家具等による遮蔽の排除等を考慮する必要がなく、付近に室内照明と別に光源を設けなくても、表示をはっきり見ることができること。停電時等にも表示が確実に見え、安全、宣伝等の目的が達せられること。
【解決手段】 表示(印刷層)5、可撓性の光源3、光源3のための独立の駆動電源(電源部)9を具えるフロアマット。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明はフロアマットに関し、特に暗所でも表示等を認識できる表示つきフロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
室内、特に出入り口付近の床面に、方向、注意事項、警告、広告等を表示したフロアマットを設置して、その表示により案内、安全、宣伝等の目的に用いることがある。非常時の避難誘導のような安全確保を目的とする場合も少なくない。屋外の通路等で同様の目的に使用されるものもある。
【0003】
フロアマットは一般に、その移動等の取り扱いの便宜のため、少なくとも一方向について可撓性(フレキシブル)のものとされる。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、フロアマット上に設けた方向、注意事項、警告、広告等の表示は、室内が暗いと見えなくなり、表示の目的を達することができない。一般には、室内が照明されることによりその表示を視認できるが、停電等の非常事態の下では表示が見えなくなり、安全の確保等が困難になる。室内照明とは別に、非常用電源を具えた光源をフロアマットに近い天井や壁面に設けておけば、安全の確保は可能である。
【0005】
フロアマットを透明または半透明のものとし、床面の下に照明光源を設けて、フロアマットの下から照明することは可能である。この場合も、停電等に備えて室内照明とは別の非常用電源を具えた光源を用いれば、安全は確保できる。
【0006】
しかし、フロアマットに近い天井や壁面、又はフロアマットの下の床に、室内照明とは別に余分の光源を設けることは、建物の設備コストを増大させ、光源とマットの間の位置関係等の物理的制約があることも多い(例えば、家具、什器、樹木等による遮蔽)。
【0007】
本発明の目的は、位置関係等の物理的制約を伴い、またコストを増大させる、室内又は屋外照明以外の余分の光源を設置しないでも、また暗い所でも、方向、注意事項、警告、広告等の表示が確実に視認でき、案内、安全、宣伝等の目的を達することが可能な、表示を有するフロアマットを実現することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、停電時など室内又は屋外照明が確保できないときや暗い所でも、方向、注意事項、警告、広告等の表示が確実に視認でき、案内、安全、宣伝等の目的を達することが可能な、表示を有するフロアマットを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、文字、図形等の表示と可撓性の光源を具えるフロアマットにより、達成された。特に、文字、図形等の表示と、可撓性の光源と、この光源のための、独立の駆動電源とを有するフロアマットにより、なお効果的に達成された。「独立の」とは「室内又は屋外照明用とは別」との意味であり、複数のフロアマットをそれらに共通の電源で駆動する場合もそれに含まれる。
【0010】
フロアマットは、それ自体が少なくとも一方向について可撓性であることを前提とする。一方向だけに可撓性の、すだれ状のものであってもよい。本発明でフロアマットとは、屋内用のものに限らず、屋外の通路や道路で使用するものも含む。
【0011】
表示は、文字でも、図形でも、またその組み合わせのいずれでもよい。表示はフロアマットの表面にあっても、内部にあってもよく、内部にある場合は外部から視認できるよう、対応する表面付近は透明または半透明であることを要する。表示がフロアマットの表面にある場合にも、フロアマットは透明または半透明であってもよい。
【0012】
光源はフロアマットの表面にあっても、内部にあってもよい。内部にある場合は、対応する表面付近は透明または半透明とする。表示の背面から照明してもよく、表示以外の部分を照明して、表示を浮き立たせるのでもよい。
【0013】
可撓性の光源としては、特開平9−250009号に記載されたELランプ、特開2000−12213号に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子、特開2002−258776号に記載された繊維状蛍光体から成る織物状表示装置、特開2003−84697号に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子またはエレクトロクロミック素子から成る表示体、特開2003−100443号に記載された有機薄膜発光素子等のうちから、適宜に選択して用いることができる。特開2003−323128号に記載された電光表示板を用いることもできる。可撓性のエレクトロルミネッセンス光源は、実用上有用である。
【0014】
非常時の安全確保のためには、一般電源が停電しても表示が視認できるよう、可撓性の光源は、室内照明用の電源と別の専用電源により駆動されることが好ましく、その観点で、フロアマットはそれ自体に光源駆動用の電源を具えていることが好ましい。光源駆動用の電源は、フロアマットの内部に設けるほか、マットの裏面や端部に接して設けてもよい。例えばマットの端に連結される補強部材やマット固定部材の中等に光源駆動用電源を設けてもよい。非常時の停電に対する安全確保の目的ばかりでなく、屋外の通路等に設置されるマットでは、独立電源を有することにより、屋内照明を消してもマットの存在とマット上の表示が視認できる。
【0015】
光源駆動用電源の構成は、用いる光源の種類により異なるが、それぞれの光源装置について開示された、例えば前記各公報の記載を参照すれば、容易に選択、決定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に本発明によるフロアマットを示す。図1(A)は、図1(B)中の線分C−Cに沿った断面を示す。フロアマット1は、支持体層2、膜状の光源3、半透明の緩衝屠4、印刷層5、保護層6、保護層7を有する。どの層も可撓性で、フロアマット1は全体として可撓性の積層体である。フロアマット1の一辺に棒状の補強材8が設けられ、電源部9が収容されている。
【0017】
図2は補強材8の構成を示す。補強材8には電源部9が収容され、電源部9は電池9aと変換回路9bとで構成される。
【0018】
支持体層2は最も厚く緩衝性で、それ自体でもフロアマットとして用い得る。光源3は可撓性のエレクトロルミネッセンス光源であり、図示しない配線を介して変換回路8bに接続されている。
【0019】
図1(B)に示すように、印刷層5には文字と図形から成る所要の表示が印刷されている。緩衝層4は光源3と印刷層5の間に介在し、印刷層5は半透明の緩衝層4を介して光源3からの光により照明される。
【0020】
保護層6と保護層7は可撓性かつ防水性で、両者は外周で水密かつ気密に結合され、フロアマット1内部の支持体層2から印刷層5に至る各層を、外部からの水分や衝撃から保護する。保護層6は透明であることが好ましいが、印刷層5の表示を隠さない限度において半透明でもよい。
【0021】
印刷層5および保護層6,7は、例えばポリエチレンで成り、緩衝層4および印刷層5は、例えばポリプロピレンで成る。
【0022】
電池9aと変換回路9bは、光源3を駆動する電源部9を構成する。電池9aは変換回路9bに接続され、所要の電圧、周波数の電力が変換回路9bから光源3に供給される。
【0023】
フロアマット1の動作を以下に説明する。電池9aと変換回路9bで構成される電源部により駆動されて光源3が発光する。この発光により、半透明の緩衝層4を介して印刷層5が照明され、周囲が暗くても印刷層5上の表示は、透明な保護層6を介して視認できる。
【0024】
故障、災害等により一般電源が停電して、室内又は屋外の照明が失われても、フロアマット1は独立の電源を有するので、光源3の発光による印刷層5上の表示が周囲の暗黒の中でも視認できる。光源3は防水性の保護層6、緩衝層4および印刷層5により、外部からの水分および加重から保護される。
【0025】
図3は本発明によるフロアマットの別の形態を示す。フロアマット11は、支持体層2、光源3、緩衝層4、印刷層5、保護層6、保護層7から成り、フロアマット1と基本的に同様である。補強材12はコネクタ13を具え、電源ユニット15が配線14を介してコネクタ13に接続されている。電源ユニット15は例えば充電可能な電池で構成される。
【0026】
図4は本発明によるフロアマットの他の形態を示す。図4(A)は図4(B)中の線分C’−C’に沿った断面を示す。フロアマット21は、支持体層22、光源23、緩衝層24、保護層26、保護層27、補強材28から成る。補強材28には電源部29が収容され、電源部29は電池29aと変換回路29bで構成される。
【0027】
支持体層22は暗い色にしてあり、支持体層22の上に光源23が、所要の図形に従って配置されている。従って、光源23が発光すると、支持体層22を背景として表示体の機能をもつ。
【0028】
保護層26と保護層27は可撓性かつ防水性で、両者は外周で水密かつ気密に結合され、支持体層22と光源23を外部からの水分と衝撃から保護する。保護層26は透明である。
【0029】
緩衝層24は、保護層26と支持体層22及び光源23の間に介在し、後者を衝撃から保護する。
【0030】
電源部29は電池29aと変換回路29bで構成され、電池29aに接続された変換回路29bから、所要の電圧、周波数の電力が光源23に供給される。
【0031】
フロアマット21の動作を以下に説明する。光源23が電源部29により駆動されて発光する。所要の図形に従って配置された光源3の発光は、支持体層22が背景となり、周囲が暗くても透明な保護層6を介して視認できる。
【0032】
故障、災害等により一般電源が停電して、室内又は屋外の照明が失われても、フロアマット21は独立の電源を有するので、光源23の発光が支持体層22を背景として周囲の暗黒の中でも視認できる。光源23は防水性の保護層26と緩衝層24により、外部からの水分および加重から保護される。
【発明の効果】
【0033】
本発明のフロアマットは、表示と可撓性の光源とを具えるので、表示を確実に見るために、室内照明の配光や、什器、家具等による遮蔽の排除等を考慮する必要がない。またフロアマットに近い天井や壁面、あるいはフロアマットの下の床等に、室内照明と別の光源を設けなくても、表示を見ることができる。室内照明と別の光源を設ける必要がないので、建物の設備コストも軽減される。
【0034】
本発明のフロアマットは表示と可撓性の光源と、この光源のための独立の駆動電源とを具えるので、室内照明その他の光源の設置を必要としないから、無配電地帯や停電時等、室内照明が確保できないときや周囲が暗いときにも、方向、注意事項、警告、広告等の表示が確実に視認でき、安全、宣伝等の目的を達することができる。また、室内照明に対する位置関係を考慮する必要がなく、かつ建物の設備コストも軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】 本発明によるフロアマットを示す(A)断面図、(B)平面図。
【図2】 補強材の構成を示す説明図。
【図3】 本発明によるフロアマットの断面図。
【図4】 本発明によるフロアマットの(A)断面図、(B)平面図。
【符号の説明】
1 フロアマット
2,22 支持体層
3 光源
4,24 緩衝層
5 印刷層
6,26 保護層
7,27 保護層
8,28 補強材
9,29 電源部
9a,29a 電池
9b,29b 変換回路
11 フロアマット
12 補強材
13 コネクタ
14 配線
15 電源ユニット
21 フロアマット
23 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字、図形等の表示と可撓性の光源とを具えるフロアマット。
【請求項2】
前記光源の少なくとも一部が前記表示の少なくとも一部を構成する、請求項1のフロアマット。
【請求項3】
前記表示を表面に有する、請求項1のフロアマット。
【請求項4】
前記表示を内部に有し、対応する部分の表面付近が透明又は半透明である、請求項1のフロアマット。
【請求項5】
前記光源を内部に有し、前記表示が背面から照明される、請求項1、3又は4のフロアマット。
【請求項6】
前記光源が前記表示により覆われない、請求項2のフロアマット。
【請求項7】
屋外の通路で使用される、請求項1のフロアマット。
【請求項8】
文字、図形等の表示と、可撓性の光源と、この光源のための独立の駆動電源とを具えるフロアマット
【請求項9】
前記駆動電源が前記フロアマットの内部に設けられた、請求項8のフロアマット。
【請求項10】
前記駆動電源が前記フロアマットの裏面又は端部に接して設けられた、請求項8のフロアマット。
【請求項11】
前記フロアマットが補強部材又は固定部材を有し、前記駆動電源が前記補強部材又は固定部材に収容され又は付属して設けられた、請求項8のフロアマット。
【請求項12】
前記光源の少なくとも一部が前記表示の少なくとも一部を構成する、請求項8のフロアマット。
【請求項13】
前記表示を表面に有する、請求項8のフロアマット。
【請求項14】
前記表示を内部に有し、対応する部分の表面付近が透明又は半透明である、請求項8のフロアマット。
【請求項15】
前記光源を内部に有し、前記表示が背面から照明される、請求項8、13又は14のフロアマット。
【請求項16】
屋外で使用される、請求項8のフロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−116265(P2006−116265A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335121(P2004−335121)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(501282198)晶和貿易株式会社 (6)
【Fターム(参考)】