説明

フロアマット

【課題】 場所を取らず、しかも表面に露出したマットシートの交換が簡単なフロアマットを提供すること。
【解決手段】 少なくとも2枚のマットシートからなるフロアマットであり、前記マットシート同士は連結部材により連結しており、この連結部材により、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能なフロアマットである。そのため、マットシートを回転させることによって、フロア側のマットシートを露出させ、表面に露出していたマットシートをフロア側に収納することができる。また、表面に露出したマットシートの交換が簡単である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
フロアマット、例えば、自動車用フロアマットとして、基材シート(例えば、ラバーシート、ポリ塩化ビニル樹脂シート)と表材繊維シート(例えば、カーペットシート)とからなる分離型フロアマットが公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリ塩化ビニル樹脂シート等の高分子シートとカーペットとを、スナップなどの係合治具により分離可能に結合される自動車用フロアマットが開示されている。また、特許文献2には、表材シートとベース部とを、凹凸型嵌合手段により結合させる分離型フロアマットが、特許文献3には、表材(インナーマット)と基材(フロアマットベース)とを、一対の面ファスナーで結合させる分離型自動車用フロアマットが、それぞれ、開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、カーペットマットとゴム台とからなり、ゴム台本体の周縁部に設けられた保持溝に、カーペットマットの周縁部を挿入させることができる分離型フロアマットが開示されている。特許文献5には、表材シートと、保持溝を周縁部に設けたベース部とからなり、表材シートの周縁部を前記保持溝に挿入させる分離型自動車用フロアマットが開示されている。
【0005】
特許文献1〜5に記載のこれらの分離型フロアマットは、使用するシーンによって、上層の表材シートを取り外して、ベースのみで使用することを意図しており、その他の利点としては、廃棄時のリサイクル性の向上や、表材シートのみの交換が可能である点が挙げられる。しかしながら、これらの分離型フロアマットでは、取り外した表材シートを別の場所(例えば、トランクルーム)に保管しなければならない欠点があった。
【0006】
この欠点を改良したフロアマットとして、本願出願人らは「任意の順序で重ね合わせて使用可能な2枚のマットシートからなるフロアマットであって、第1のマットシートに、一対の連結手段の一方の連結パートナーを有する連結パートナー担持キャリアと、貫通孔とが設けられ、第2のマットシートに、前記連結手段のもう一方の連結パートナーが設けられ、第2のマットシートの上に第1のマットシートを重ねてフロアマットとして使用する場合に、第2のマットシートに設けた前記連結パートナーと、前記キャリアに設けた前記連結パートナーとを、前記貫通孔を介して連結させることができるフロアマット」(特許文献6)を提案した。このフロアマットは確かに場所を取らないものであったが、貫通孔を介して連結させる連結作業は煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−29847号公報
【特許文献2】特開2001−88599号公報
【特許文献3】特開2004−98720号公報
【特許文献4】特開平7−204155号公報
【特許文献5】特開2000−272399号公報
【特許文献6】特開2009−11591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述のような点に鑑みてなされたものであり、場所を取らず、しかも表面に露出したマットシートの交換が簡単なフロアマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1にかかる発明は、「少なくとも2枚のマットシートからなるフロアマットであり、前記マットシート同士は連結部材により連結しており、この連結部材により、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能であることを特徴とするフロアマット。」である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1にかかるフロアマットは、マットシート同士が連結部材により連結しており、この連結部材により、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能であるため、マットシートを回転させることによって、表面に露出していないフロア側のマットシートを表面に露出させることができるとともに、表面に露出していたマットシートをフロア側に収納することができるため、別の場所(例えば、トランクルーム)に保管する必要がないとともに、表面に露出したマットシートの交換が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のフロアマットの一態様を模式的に示す平面図。
【図2】図1に示すA−A線部分断面図。
【図3】図1における表面に露出したマットシートを、180°回転させた状態を模式的に示す平面図。
【図4】図1における表面に露出したマットシートを、360°回転させた状態を模式的に示す平面図。
【図5】図4に示すB−B線部分断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のフロアマットについて、添付図面に沿って説明する。
【0013】
図1は、本発明のフロアマットの一態様であって、樹脂マットシート10の上にカーペットマットシート20(露出マットシート)を重ねた状態のフロアマット100を、表面側(敷設時に目視できる側)から見た模式的平面図である。図2は図1におけるA−A線部分断面図であり、図3は連結部材30を中心として、カーペットマットシート20(露出マットシート)を180°回転させた状態を模式的に示す平面図である。また、図4は連結部材30を中心として、図1におけるカーペットマットシート20(露出マットシート)を360°回転させた状態、つまり、樹脂マットシート10の下にカーペットマットシート20(露出マットシート)を収納した状態のフロアマット100を、表面側から見た模式的平面図である。更に、図5は図4におけるB−B線部分断面図である。
【0014】
図1〜図5に示すフロアマット100は樹脂マットシート10、カーペットマットシート20、及びこれらマットシートを連結する連結部材30とからなる。樹脂マットシート10は、好ましくは弾性軟質の防水素材からなり、図2に示すように、カーペットマットシート20を載置可能な平坦部10cの周縁に沿って、立ち上がり部10b、及びそれに続く外周縁部10aを有する。このように、立ち上がり部10bを有するため、樹脂マットシート10は平坦部10cにカーペットマットシート20を保持し、水平方向への移動を防止することができる。また、砂、泥、ごみ、泥水やこぼれた飲料水などがフロアマット100からこぼれて床(例えば、車両床)を汚すことを防止することができる。
【0015】
図1〜図5に示すフロアマット100では、樹脂マットシート10の外周縁部10aに続いて、樹脂マットシート10と同じ又は異なる素材からなる連結部材30を有し、この連結部材30によって、樹脂マットシート10とカーペットマットシート20とが連結されている。この連結部材30は樹脂マットシート10又はカーペットマットシート20の回転を円滑に行うことができるように、ほぼ360°屈曲した状態の蛇腹部30aを有し、この蛇腹部30aが樹脂マットシート10の外周縁部10aと連結している。一方で、連結部材30はカーペットマットシート20と接続するため、平坦状の固定部30dを有し、図2に示すように、カーペットマットシート20と固定部30dとはリベット21によって連結固定された状態にある。この固定部30dは、固定部30dの周縁に沿って立ち上がった第2接続部30cと接続しており、この第2接続部30cは第1接続部30bを介して蛇腹部30aと接続した状態にある。そのため、樹脂マットシート10は連結部材30の蛇腹部30a、第1接続部30b、第2接続部30c、及び固定部30dを介して、カーペットマットシート20と連結した状態にある。
【0016】
カーペットマットシート20はピンを挿入できる貫通孔が鳩目22によって形成されている。また、カーペットマットシート20を樹脂マットシート10に積層した際に、貫通孔と繋がる位置に、樹脂マットシート10には貫通孔14(図3参照)が形成されており、貫通孔14が拡大しないように、貫通孔14の周囲は他の平坦部10cよりも若干厚さが厚くなっている。そのため、フロアに固定したピンを樹脂マットシート10及びカーペットマットシート20の貫通孔に挿入することによって、フロアマット100をフロアに固定し、効果的にフロアマット100の水平方向への移動を防止することができる。
【0017】
このような図1に示す状態でフロアマット100を使用した場合、使用者はカーペットマットシート20を認識することができ、意匠性に優れていることから、快適に使用することができる。
【0018】
図1に示すフロアマット100を、例えば、土砂、水や雪が多く存在する環境下で使用するなど、従来とは異なるシチェエーションで使用しようとする場合、図2に示すように、カーペットマットシート20をT方向へ180°回転させると、図3に示すように、魚を開いたような状態となり、更にカーペットマットシート20をT方向へ180°回転させると、図4及び図5に示すように、樹脂マットシート10が表面に露出するとともに、カーペットマットシート20が樹脂マットシート10の下側、つまりフロア側に収納された状態となる。そのため、表面に露出したマットシートを交換した場合であっても、カーペットマットシート20の収納場所を取らない。また、上述のように、カーペットマットシート20を回転させるだけで表面に露出するマットシートを変えることができるため、交換作業性に優れている。なお、図1〜図5に示すフロアマット100においては、蛇腹部30aを有する連結部材30を使用しているため、この蛇腹部30aによって、カーペットマットシート20を回転させた際の歪を吸収し、容易に回転させることができる。
【0019】
以上はカーペットマットシート20を回転させた場合であるが、図1のようなカーペットマットシート20が表面に露出したフロアマット100における樹脂マットシート10をT方向と反対方向へ回転させても、図4に示すような、樹脂マットシート10が表面に露出しており、カーペットマットシート20が樹脂マットシート10の下側、つまりフロア側に収納された状態のフロアマット100とすることができる。
【0020】
この図1〜図5におけるフロアマット100は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、常法によりカーペットマットシート20を製造するとともに、樹脂マットシート10及び連結部材30が熱硬化性樹脂からなる場合にはヒートプレス成形により、また、樹脂マットシート10が熱可塑性樹脂からなる場合には予めか加熱した後にコールドプレス成形することにより、樹脂マットシート10と連結部材30とが連結した中間マットシートを製造し、その後、連結部材30の固定部30dとカーペットマットシート20とをリベット21により連結固定して製造することができる。
【0021】
図1〜図5におけるフロアマット100はカーペットマットシート20と樹脂マットシート10の2枚のマットシートから構成されているが、2枚のマットシートから構成されている必要はなく、3枚以上であっても良い。マットシートの数が多ければ多いほど、シチュエーションに対応させて、マットシートを表面に露出させて使用することができる。
【0022】
なお、マットシートとしては、前述のようなカーペットマットシート20、樹脂マットシート10に限定されず、例えば、カーペットと樹脂シートとの複合シートを使用することもできる。なお、カーペットマットシート20としては、例えば、天然繊維又は合成繊維からなるタフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、フックカーペット、又は織物基布を挙げることができ、樹脂シートとしては、例えば、天然ゴム若しくは合成ゴム(例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、又はニトリル−ブタジエンゴム)、又は熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、又はポリ塩化ビニル系の各熱可塑性エラストマー)からなる樹脂シートを挙げることができる。本発明で用いるマットシートとしてカーペットマットシート20を含んでいると、意匠性に優れているため好適である。なお、マットシートとして樹脂マットシート10を含む場合、樹脂マットシート10の平坦部10cには、横滑りを防ぐために、デザイン上の観点、或いは使用者のズボンの裾を濡らすことがないように、各種凹凸模様を付することができる。また、カーペットマットシート20、樹脂マットシート10などのマットシートは、マットシートの耐久性を高めるために、踵が頻繁に接触する箇所にパッドを装着したり、前記箇所の厚さを厚くするのが好ましい。
【0023】
図1〜図5におけるフロアマット100においては、樹脂マットシート10と連結部材30とは成形時に連結した状態にあるが、このような連結状態に限定されず、例えば、ホック、面ファスナー、リベット、連結ピン、ゴム管(グロメット)などにより連結した状態にあっても良い。
【0024】
図1〜図5におけるフロアマット100は、紙面上、右側の外周縁13の一部において、連結部材30によってカーペットマットシート20と樹脂マットシート10とが連結しているが、紙面上、右側の外周縁13である必要はなく、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能である限り、紙面上、上側、左側又は下側の外周縁13に連結部材30が連結していても良い。基本的には、外周縁13、23が直線状の部分に連結部材30が連結していると、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能である。
【0025】
なお、図1〜図5における連結部材30は1つであるが、1つである必要はなく、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能である限り、2つ以上の連結部材を備えていても良い。また、図1〜図5における樹脂マットシート10は立ち上がり部10bを有するが、立ち上がり部10bのない平坦部10cの外周縁13に連結部材30が連結していても良い。更に、連結部材30は図1〜図5に示すように、マットシートの外周縁13、23で連結していると、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出しやすいが、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能であるのであれば、連結部材30は外周縁13、23に連結している必要はない。
【0026】
また、連結部材30は図1〜図5のような蛇腹部30aを有する連結部材30に限定されず、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能である限り、特に限定するものではない。例えば、広幅テープ、リング、丁番、織物、不織布などを連結部材として使用することができる。なお、広幅テープ、織物又は不織布を使用する場合には、回転しやすいように、伸縮性を有する広幅テープ、織物又は不織布を使用するのが好ましい。このような伸縮性としては、襞折り構造などの構造的伸縮性、例えば、天然ゴム若しくは合成ゴム(例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、又はニトリル−ブタジエンゴム)、又は熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、又はポリ塩化ビニル系の各熱可塑性エラストマー)などの素材的伸縮性を挙げることができる。
【0027】
更に、図1〜図5における連結部材30とカーペットマットシート20との連結手段は、リベット21による方法であるが、リベット21に限定されず、例えば、ホック、ボタンとスリットとの組合せ、面ファスナーなどを使用することもできる。このようなリベット以外の連結手段によると、容易にマットシートを取り外して、廃棄することができ、また、容易に新しいマットシートを装着することができる。なお、図1〜図5におけるフロアマット100においては、連結部材30はカーペットマットシート20の裏面側で連結しているが、裏面側である必要はなく、表面側で連結していても良い。
【0028】
なお、図1〜図5における樹脂マットシート10の平坦部10cの外周形状とカーペットマットシート20の外周形状とはほぼ同じ、かつほぼ同じ大きさであるが、外周形状、大きさともに同じである必要はない。しかしながら、樹脂マットシート10の平坦部10cの外周形状とカーペットマットシート20の外周形状とはほぼ同じ、かつほぼ同じ大きさであると、カーペットマットシート20の水平方向へのずれを効果的に防止することができる。
【0029】
また、図1〜図5におけるフロアマット100は連結部材30によって、外周縁13、23の一部で連結されているに過ぎず、この連結部材30の存在箇所から遠く離れた外周縁においては、カーペットマットシート20と樹脂マットシート10とが連結していない。そのため、カーペットマットシート20又は樹脂マットシート10が踏力等によって、めくれ上がる可能性がある場合には、連結部材30の連結箇所から遠く離れた外周縁等に、カーペットマットシート20と樹脂マットシート10とを連結する連結手段(例えば、ホック、面ファスナー、磁石など)を設置するのが好ましい。なお、フロアマット100を固定するためのフロアに取り付けたピンが、カーペットマットシート20と樹脂マットシート10との連結手段としての作用も奏するように、ピン上方にピンの軸方向と交差する(好ましくは直交する)方向へ伸びる突起を有するのが好ましい。このようなピンを使用する態様は、図1〜図5のフロアマット100とは異なり、紙面上、上側(ピンから遠く離れた外周縁)で連結部材30が連結している場合に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のフロアマットは、例えば、自動車用フロアマットの用途に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 樹脂マットシート
10a 外周縁部
10b 立ち上り部
10c 平坦部
13 外周縁
14 貫通孔
20 カーペットマットシート
21 リベット
22 鳩目
23 外周縁
30 連結部材
30a 蛇腹部
30b 第1接続部
30c 第2接続部
30d 固定部
100 フロアマット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚のマットシートからなるフロアマットであり、前記マットシート同士は連結部材により連結しており、この連結部材により、いずれかのマットシートが回転し、異なるマットシートが表面に露出可能であることを特徴とするフロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−176704(P2012−176704A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41147(P2011−41147)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000229542)日本バイリーン株式会社 (378)
【Fターム(参考)】