説明

フロアリフト

【課題】パレット51に積まれた搬送物を搬送すると共に空になったパレット51を返送する垂直搬送機10の、荷積み及び荷降ろしに要するサイクルタイムを短縮することができるフロアリフト101を提供する。
【解決手段】荷積みパレット51の搬入又は搬出を行う左右一対の上段コンベア111と、空パレット51の搬入又は搬出を行う左右一対の下段コンベア112を備え、一対の上段コンベア111及び一対の下段コンベア112を夫々昇降可能であると共に、一対の上段コンベア111の相互間距離を拡縮可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット使用の垂直搬送機に対して、搬送物の搬入又は搬出を行うフロアリフトに関し、特に、システムのサイクルタイムを飛躍的に短縮するフロアリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータと同様に往復して搬送物を運ぶ垂直搬送機は、専用のパレットを使用することにより様々な荷姿への対応が可能となり、物流センター等での用途が拡大している。そして、この垂直搬送機に対して荷物の搬入又は搬出を行うフロアリフトは、設備能力に大きな影響を及ぼすので、非常に重要である。
【0003】
従来使用されている垂直搬送機及びフロアリフト(従来例1)について、一の階(下階)における荷積みの様子を図8に、他の階(上階)における荷降ろしの様子を図9に示している。垂直搬送機20は、本体フレーム24の内部をキャレッジ23が往復昇降するものであり、そのキャレッジ23は、荷積みパレット搬送用の上段コンベア21と空パレット搬送用の下段コンベア22を備えている。
【0004】
そして、荷物の搬入及び搬出を行うために、一の階(下階)にはフロアリフト301が設けられ、他の階(上階)にはフロアリフト401が設けられている。このフロアリフト301は、搬入搬出部310とリフト部320で構成され、リフト部320には昇降する横行コンベア321が設けられている。また、搬入搬出部310には、荷積みパレット搬送用の上段コンベア311と空パレット搬送用の下段コンベア312を備えている。また、他の階(上階)のフロアリフト401も、これと同様に構成されている。
【0005】
荷積みについて図8により説明する。一の階(下階)において、キャレッジ23が所定の位置に停止すると、その上段及び下段コンベア21、22は、フロアリフト301の上段及び下段コンベア311、312と、それぞれ同じレベルとなるように設置されている。また、フロアリフト301の横行コンベア321、下段コンベア312、及びキャレッジ23の下段コンベア22には、それぞれ空パレット61、62、63が用意されている(a)。そして、待機位置にある空パレット61に搬送物を載せた後、完了ボタンを押すことにより自動運転に移行する。
【0006】
まず、フロアリフト301の横行コンベア321が上段コンベア311、21と同レベルとなる位置まで上昇する(a→b:6.5秒)。そして、横行コンベア321及び上段コンベア311、21により、荷積みパレット61はキャレッジ23の上段コンベア21へ移動する(b→c)。次に、フロアリフト301の横行コンベア321が、下段コンベア312、22と同レベルとなる位置まで下降する(c→d)。
【0007】
実際には、横行コンベア321の下降は、荷積みパレット61の移動中に開始するので、(c)は仮想的に示す図である(b→d:15秒)。そして、下段コンベア22、312及び横行コンベア321により、空パレット63が下段コンベア312へ移動し、空パレット62が横行コンベア321へ移動する(d→e:11.5秒)。
【0008】
最後に、荷積みパレット61を載せたキャレッジ23は、他の階(上階)へ向かって上昇を開始し、空パレット62を載せた横行コンベア321は下降して、待機状態となる(e→f:3秒)。
以上の結果、荷積み工程(a→f)のサイクルタイムは、36秒+荷捌き時間となる。
【0009】
次に、荷降ろしについて図9により説明する。他の階(上階)において、キャレッジ23が所定の位置に停止すると、その上段及び下段コンベア21、22は、フロアリフト401の上段及び下段コンベア411、412と、それぞれ同じレベルとなるように設置されている。また、フロアリフト401の下段コンベア412及び横行コンベア421には、それぞれ空パレット64、65が待機している(a)。
【0010】
キャレッジ23が到着すると、フロアリフト401の横行コンベア421が上昇して下段コンベア22、412と同レベルとなる(a→b:3.5秒)。そして、下段コンベア22、412及び横行コンベア421により、空パレット64が下段コンベア22へ、空パレット65が下段コンベア412へと移動する(b→c)。
【0011】
次に、フロアリフト401の横行コンベア421が上昇して上段コンベア21、411と同レベルとなる(c→d)。そして、上段コンベア21、411及び横行コンベア421により、荷積みパレット61が横行コンベア421へ移動する(d→e)。実際には、横行コンベア421の上昇は、荷積みパレット61の移動中に行われるので、(c)(d)は仮想的に示す図である(b→e:26.5秒)。
【0012】
最後に、空パレット64を載せたキャレッジ23は、一の階(下階)へ向かって下降を開始し、荷積みパレット61を載せた横行コンベア421は下降して、荷降ろし作業に入る(e→f:6秒)。
以上のように、荷降ろし工程(a→f)のサイクルタイムは、36秒+荷捌き時間となる。
【0013】
以上のように従来例1のフロアリフトは、サイクルタイムが非常に長く、短縮化が困難となっている。サイクルタイムを短縮するために、各工程の動作時間を速くする方法もあるが、電動機の容量が大きくなると共に、高速での起動停止を避けるために変速装置が必要となり高コストとなる。また、高速では安定した動作に技術的限界があり、飛躍的なサイクルタイムの短縮は困難である。
【0014】
そこで、サイクルタイムの短縮を図るために、上述したフロアリフト301の搬入搬出部310とリフト部320を一体化すると共に、改良を加えたフロアリフトが特許文献1に提案されている(従来例2)。図10(a)に示すように、特許文献1には、垂直搬送機30に対して、一の階(下階)及び他の階(上階)において荷物の搬入及び搬出を行うフロアリフト501(601)が記載されている。
【0015】
フロアリフト501は、荷積みパレットの搬入又は搬出を行う左右一対の上段コンベア511、511と空パレットの搬入又は搬出を行う左右一対の下段コンベア512、512を備えている(以下、これらを単に上段コンベア511、下段コンベア512と記載する)。これらは、従来例1の上段コンベア311及び下段コンベア312と同様の働きをする。すなわち、パレット71に設けられた左右のフランジをこれらのコンベアに載せて搬入又は搬出を行うことができる。
【0016】
また、フロアリフト501は、上段コンベア511及び下段コンベア512の前部及び後部で、パレット71を支持すると共に昇降する左右一対の前部リフト513、513及び後部リフト514,514を備えている(これら4つのリフトは常に同じ動きをするので、リフト515と総称する)。リフト515は、従来例1のリフト部320と類似の働きをする。すなわち、パレット71に設けられた左右のフランジを支持して昇降することができる。
【0017】
パレット71の昇降に際しては、上段コンベア511及び下段コンベア512がパレット71のフランジに当たらないよう、避ける必要がある。そこで、図10(b)に示すように、パレット71はフランジの一部に切欠を備えている。また、上段コンベア511及び下段コンベア512は、図10(c)に示すように屈曲変形できる機能を備えている。すなわち、上段コンベア511及び下段コンベア512が屈曲変形した状態では、前後の長さdがパレット71の切欠部の長さDよりも短くなり、パレット71は自由に昇降することができる。
【0018】
フロアリフト501を使用した場合の荷積みについて図11により説明する。一の階(下階)において、キャレッジ33が所定の位置に停止すると、その上段及び下段コンベア31、32は、フロアリフト501の上段及び下段コンベア511、512と、それぞれ同じレベルとなるように設置されている。また、フロアリフト501の上段コンベア511及び下段コンベア512は屈曲変形状態となっている。リフト515は、空パレット71と共に最下段に位置し、キャレッジ33の下段コンベア32には、空パレット72が用意されている。そして、待機位置にある空パレット71に搬送物を載せた後、完了ボタンを押すことにより自動運転に移行する。
【0019】
まず、リフト515が上段コンベア511より高く上昇した後(a→b:6.5秒)、上段コンベア511及び下段コンベア512が、屈曲変形状態から正常状態に戻る(b→c:2秒)。そして、リフト515が下降して荷積みパレット71を上段コンベア511に載せた後(c→d:1.5秒)、キャレッジ33の上段コンベア31とフロアリフト501の上段コンベア511により、荷積みパレット71が上段コンベア31へ移動する(d→e:11.5秒)。
【0020】
このとき、キャレッジ33の下段コンベア32とフロアリフト501の下段コンベア512により、空パレット72が下段コンベア512へ移動するようになっている。ただし、空パレット72が移動する前に、リフト515が下段コンベア512の下まで下降している必要がある(3.5秒)。
【0021】
ここで、荷積みパレット71を載せたキャレッジ33は、他の階(上階)へ向かって上昇を開始する。そして、上段コンベア511が屈曲状態となり(e→f:2秒)、リフト515が上昇して空パレット72を下段コンベア512の上まで持ち上げ(f→g:2秒)、さらに下段コンベア512が屈曲状態となり(g→h:2秒)、最後に、リフト515が最下段に下降する(h→a:3秒)。
以上の結果、荷積み工程(a→a)のサイクルタイムは、34秒+荷捌き時間となる。
【0022】
次に、フロアリフト601を使用した場合の荷降ろしについて図12により説明する。他の階(上階)において、キャレッジ33が所定の位置に停止すると、その上段及び下段コンベア31、32は、フロアリフト601の上段及び下段コンベア611、612と、それぞれ同じレベルとなるように設置されている。また、フロアリフト601の上段コンベア611及び下段コンベア612は屈曲変形状態となっている。リフト615は、空パレット73と共に最下段に位置して待機している。
【0023】
まず、空パレット73をフロアリフト601の下段コンベア612に載せるために、リフト615が下段コンベア612の上まで上昇した後(a→b:3.5秒)、上段コンベア611及び下段コンベア612が屈曲変形状態から正常状態に戻り(b→c:2秒)、さらにリフト615が下降して空パレット73を下段コンベア612に載せる(c→d:1.5秒)。
【0024】
次に、キャレッジ33の上段コンベア31とフロアリフト601の上段コンベア611により、荷積みパレット71が上段コンベア611へ移動する(d→e:11.5秒)。このとき同時に、キャレッジ33の下段コンベア32とフロアリフト601の下段コンベア612により、空パレット73が下段コンベア32へ移動する。
【0025】
ここで、空パレット73を載せたキャレッジ33は、一の階(下階)へ向かって下降を開始する。そして、リフト615が上昇して荷積みパレット71を上段コンベア611の上に持ち上げ(e→f:4.5秒)、上段コンベア611及び下段コンベア612が屈曲変形状態に変形した後(f→g:2秒)、リフト615が下降して荷積みパレットを最下段に下ろし、荷降ろし作業に入る(g→h:6秒)。
以上の結果、荷降ろし工程(a→h)のサイクルタイムは、31秒+荷捌き時間となる。
【0026】
以上のように、従来例2のフロアリフト501、601は、従来例1のフロアリフト301、401に比べれば、サイクルタイムが短縮されているものの十分とは言えず、また、工程はむしろ複雑化している。
【特許文献1】特許第3510239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
したがって、本発明の目的は、パレットに積まれた搬送物を搬送すると共に空になったパレットを返送する垂直搬送機に対して、搬送物及びパレットの搬入又は搬出を行うフロアリフトであって、サイクルタイムを短縮することができるフロアリフトを提供することである。また、荷積み工程及び荷降ろし工程を簡略化することができるフロアリフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に係るフロアリフトは、パレットに積まれた搬送物を搬送すると共に空になったパレットを返送する垂直搬送機に対して、前記搬送物及び前記パレットの搬入又は搬出を行うフロアリフトであって、荷積みパレットの搬入又は搬出を行う左右一対の上段コンベアと空パレットの搬入又は搬出を行う左右一対の下段コンベアを備え、前記一対の上段コンベア及び前記一対の下段コンベアが夫々昇降可能であると共に、前記一対の上段コンベアの相互間距離が拡縮可能である手段を採用している。
【0029】
また、本発明の請求項2に係るフロアリフトは、請求項1に記載のフロアリフトにおいて、前記一対の上段コンベア及び/又は前記一対の下段コンベアがチェーンコンベアである手段を採用している。また、本発明の請求項3に係るフロアリフトは、請求項1に記載のフロアリフトにおいて、前記一対の上段コンベア及び/又は前記一対の下段コンベアがローラーコンベアである手段を採用している。また、本発明の請求項4に係るフロアリフトは、請求項1に記載のフロアリフトにおいて、前記一対の上段コンベア及び/又は前記一対の下段コンベアがベルトコンベアである手段を採用している。また、本発明の請求項5に係るフロアリフトは、請求項1乃至4の何れかに記載のフロアリフトにおいて、前記一対の上段コンベアがスイングすることにより、前記距離が拡縮する手段を採用している。
【発明の効果】
【0030】
本発明のフロアリフトは、上記の手段を採用したことにより、荷積み工程及び荷降ろし工程を簡略化することができると共に、サイクルタイムを飛躍的に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施例を図1乃至図5により説明するが、これらの図は本願発明を何ら限定するものではない。図1は垂直搬送機及び本発明のフロアリフトの一例を示す概略斜視図であり、図2は図1に示す垂直搬送機及びフロアリフトの概略側面図、図3は本発明のフロアリフトであって、上段コンベアが縮小位置にある場合を示す概略斜視図、図4は本発明のフロアリフトであって、上段コンベアが拡大位置にある場合を示す概略斜視図、図5は本発明のフロアリフトとパレットとの関係を示す説明図である。
【0032】
ここでは、一の階(下階)と他の階(上階)との間に垂直搬送機10が設けられ、一の階(下階)に本発明のフロアリフト101が、他の階(上階)に本発明のフロアリフト201が設けられている場合について説明する。垂直搬送機10は、本体フレーム14の内部をキャレッジ13が往復昇降するものである。そして、このキャレッジ13には、荷積みパレット搬送用の左右一対の上段コンベア11、11と空パレット搬送用の左右一対の下段コンベ12、12を備えている。(以下、これらを単に上段コンベア11、下段コンベア12と記載する)。
【0033】
本発明のフロアリフト101は、荷積みパレットの搬入又は搬出を行う左右一対の上段コンベア111、111と、空パレットの搬入又は搬出を行う左右一対の下段コンベア112、112を備えている(以下、これらを単に上段コンベア111、下段コンベア112と記載する)。
【0034】
上段コンベア111は、電動機131により前後何れの方向にも走行することができる。コンベアの種類としては、チェーンコンベア、ローラーコンベア又はベルトコンベア等を採用することが可能である。また、上段コンベア111は、枠体102内に張架された条体151に懸垂された昇降体121に取付けられており、電動機133を駆動することにより昇降可能に取付けられている。
【0035】
下段コンベア112は、電動機132により前後何れの方向にも走行することができる。コンベアの種類としては、チェーンコンベア、ローラーコンベア又はベルトコンベア等を採用することが可能であり、また、下段コンベア112は、枠体102内に張架された条体152に懸垂された昇降体122に取付けられており、電動機134を駆動することにより昇降可能に取付けられている。また、左右一対の下段コンベア112は、その相互間距離が、パレット51の左右のフランジを支持するのに適当な距離であり、パレット51を載せて前後に走行することにより、パレット51の搬入又は搬出を行うことができる。
【0036】
さらに、左右一対の上段コンベア111は、相互間距離が拡縮可能に取付けられている。すなわち、相互間距離が縮小位置にあるときは、パレット51の左右のフランジを支持するのに適当な距離となり、パレット51を載せて前後に走行することにより、パレット51の搬入又は搬出を行うことができる。また、相互間距離が拡大位置にあるときは、パレット51の左右のフランジ間距離以上に拡大することにより、パレット51を通過して昇降することができる。
【0037】
拡縮する機構としては、昇降体121に、支軸125を介してアーム126が回動可能に設けられており、このアーム126に上段コンベア111が固定されている。アーム126は、上段コンベア111の走行方向に対して直角方向に回動可能であり、電動機135によって強制的に回動するようになっている。この結果、上段コンベア111は、左右にスイング可能であり、一対の上段コンベア111を左右対称にスイングすることができる。したがって、左右一対の上段コンベア111は、その相互間距離を拡縮できるようになっている。
【0038】
拡縮する他の機構としては、一対の上段コンベア111が左右に、直線的に、水平移動することにより、相互間距離を拡縮してもよい。また上段コンベア111をスイングさせる場合でも、上述の例のように垂直な面をスイングする場合に限らず、水平な面をスイングする機構とすることも可能である。
【0039】
本発明のフロアリフト101を用いた搬送システムにおいて、使用するパレット51は、従来から使用されているものと大きな違いはないが、左右のフランジのレベルが少し高くなっている。このため、パレット51を載せた上段コンベア111を最下段まで下ろすことにより、パレット51を床面に置くことができるようになっている。
【0040】
上段コンベア111の相互間距離の拡縮について、図5により説明する。例えば、荷降ろしをする場合に、荷積みパレット51は、上段コンベア111によって床面に降ろされる。このとき、上段コンベア111及び下段コンベア112は最下段に位置し、パレット51のフランジは上段コンベアの上に位置することになる(a)。
【0041】
パレット51は、荷物を運び去った後に、下段コンベア112によってキャレッジ13の下段コンベア12に載せる必要がある。そこで、一対の上段コンベア111の相互間距離を拡大させ(b)、拡大した状態で上段コンベア111を上昇させると、パレット51を通過して上昇することができる。次に下段コンベア112を上昇させると、パレット51を下段コンベア112に載せることができるのである(c)。
【0042】
このように、本発明のフロアリフト101は、左右一対の上段コンベア111と左右一対の下段コンベア112が昇降可能であると共に、左右一対の上段コンベア111の相互間距離が拡縮可能であることが大きな特徴である。この結果、本発明のフロアリフト101は、荷積み工程及び荷降ろし工程を簡略化することができると共に、サイクルタイムを飛躍的に短縮することができる。
【0043】
本発明のフロアリフト101を使用した荷積みについて図6により説明する。一の階(下階)において、キャレッジ13の上段及び下段コンベア11、12は、フロアリフト101の上段及び下段コンベア111、112と、それぞれ同じレベルに停止できるように設置されている。また、フロアリフト101の床面及びキャレッジ13の下段コンベア12には、それぞれ空パレット51、52が用意されている。そこで、待機位置にある空パレット51に搬送物を載せた後、完了ボタンを押すことにより自動運転に移行する。
【0044】
まず、上段コンベア111が上昇して荷積みパレット51を載せ、所定の位置に停止する(a→b:6.5秒)。このとき同時に、下段コンベア112も所定の位置まで上昇している。そして、上段コンベア11、111により、荷積みパレット51が上段コンベア11に移動する(b→c:11.5秒)。このとき同時に、下段コンベア12、112により、空パレット52が下段コンベア112に移動する。
【0045】
ここで、荷積みパレット51を載せたキャレッジ13は、他の階(上階)へ向かって上昇を開始する。そして、上段コンベア111は、相互間距離が拡大位置となり(d)最下段まで下降する。同時に下段コンベア112も最下段まで下降する(c→d→e:6秒)。
【0046】
最後に、上段コンベア111が拡大位置から縮小位置に戻って、サイクルが終了する(e→f:2秒)。しかしながら、e→fの工程と同時に次の荷積み作業を開始することができるので、この2秒はサイクルタイムに含む必要がない。
以上の結果、荷積み工程(a→f)のサイクルタイムは、24秒+荷捌き時間となる。
【0047】
次に、本発明のフロアリフト201を使用した荷降ろしについて、図7により説明する。他の階(上階)において、キャレッジ13の上段及び下段コンベア11、12は、フロアリフト201の上段及び下段コンベア211、212と、それぞれ同じレベルに停止できるように設置されている。また、フロアリフト201の床面には、空パレット53が用意され、上段コンベア211の相互間距離は拡大位置となっている。
【0048】
まず、上段コンベア211が上昇して空パレット53を通過し、所定の位置に停止する。そして、この工程の途中で相互間距離が拡大位置から縮小位置に戻る(a→b:6.5秒)。このとき同時に、下段コンベア212も空パレット53を載せて上昇し、所定の位置に停止する。
【0049】
次に、上段コンベア11、211により、荷積みパレット51が上段コンベア211へ移動する(b→c:11.5秒)。このとき同時に、下段コンベア12、212により、空パレット53が下段コンベア12へ移動する。
【0050】
ここで、空パレット53を載せたキャレッジ13は、一の階(下階)へ向かって下降を開始する。同時に、上段コンベア211及び下段コンベア212が最下段まで下降して、荷積みパレット51が床面に降ろされる(c→d:6秒)。
【0051】
最後に、上段コンベア211の相互間距離が拡大位置になって、サイクルが終了する(d→e:2秒)。しかしながら、d→eの工程と同時に荷降ろし作業を開始することができるので、この2秒はサイクルタイムに含む必要がない。
以上の結果、荷降ろし工程のサイクルタイムは24秒+荷捌き時間となる。
【0052】
以上のように、本発明のフロアリフト101、201を用いた荷積み及び荷降ろしでは、荷捌き時間を除いたサイクルタイムが24秒であり、従来例1の36秒、従来例2の31秒と比べて飛躍的に短縮されている。また、図6及び図7に示した荷積み工程及び荷降ろし工程は、図8及び図9に示した従来例1の各工程及び図11及び図12に示した従来例2の各工程と比べて、非常に簡略化されていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】垂直搬送機及び本発明のフロアリフトの一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す垂直搬送機及びフロアリフトの概略側面図である。
【図3】上段コンベアが縮小位置にある場合を示す本発明のフロアリフトの概略斜視図である。
【図4】上段コンベアが拡大位置にある場合を示す本発明のフロアリフトの概略斜視図である。
【図5】本発明のフロアリフトとパレットとの関係を示す説明図である。
【図6】本発明のフロアリフトを用いた荷積み工程を示す説明図である。
【図7】本発明のフロアリフトを用いた荷降ろし工程を示す説明図である。
【図8】従来例1を用いた場合の荷積み工程を示す説明図である。
【図9】従来例1を用いた場合の荷降ろし工程を示す説明図である。
【図10】従来例2を示す概略斜視図である。
【図11】従来例2を用いた場合の荷積み工程を示す説明図である。
【図12】従来例2を用いた場合の荷降ろし工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
10、20、30 垂直搬送機
11、21、31、111、211、311、411、511、611 上段コンベア
12、22、32、112、212、312、412、512、612 下段コンベア
13、23、33 キャレッジ
14、24、34 本体フレーム
51、52、53、61、62、63、64、65、71、72、73 パレット
101、201、301、401、501、601 フロアリフト
102 枠体
121、122 昇降体
125 支軸
126 アーム
131、132、133、134、135 電動機
151、152 条体
310、410 搬入搬出部
320、420 リフト部
321、421 横行コンベア
513、514、515、615 リフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットに積まれた搬送物を搬送すると共に空になったパレットを返送する垂直搬送機に対して、前記搬送物及び前記パレットの搬入又は搬出を行うフロアリフトであって、
荷積みパレットの搬入又は搬出を行う左右一対の上段コンベアと空パレットの搬入又は搬出を行う左右一対の下段コンベアを備え、
前記一対の上段コンベア及び前記一対の下段コンベアが夫々昇降可能であると共に、前記一対の上段コンベアの相互間距離が拡縮可能であることを特徴とするフロアリフト。
【請求項2】
前記一対の上段コンベア及び/又は前記一対の下段コンベアがチェーンコンベアであることを特徴とする請求項1に記載のフロアリフト。
【請求項3】
前記一対の上段コンベア及び/又は前記一対の下段コンベアがローラーコンベアであることを特徴とする請求項1に記載のフロアリフト。
【請求項4】
前記一対の上段コンベア及び/又は前記一対の下段コンベアがベルトコンベアであることを特徴とする請求項1に記載のフロアリフト。
【請求項5】
前記一対の上段コンベアがスイングすることにより、前記距離が拡縮することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のフロアリフト。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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