説明

フロス分離器

【課題】フロスをペレットから良好かつ効率的に分離できるフロス分離機を提供する。
【解決手段】ペレット30を下向きに放出する放出管2と、前記放出管2から放出されて落下する前記ペレット30に対して下方から吹き上げられる空気流F1によって、フロス31を上方へ分離するフロス分離器において、ペレット30の放出管2は、水平面内において略直角に屈曲する第1屈曲部2aと、鉛直面内において略直角に屈曲する第2屈曲部2bとを有しており、ペレット30の偏流放出を防ぐとともに、前記放出管2の放出口Ao2の下方直近部に、鉛直軸に対して放射状に空気を噴出する空気噴出装置20を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレットに混入しているフロスを分離するフロス分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来のフロス分離器101を示す縦断面図である。特許文献1に記載のフロス分離器も、概ね、図8に示されるフロス分離器と同様の構成である。図8において、フロス分離器101は、放出管2、分離管103、及び空気流発生装置10を備えている。
【0003】
従来、フロス分離器1は、フロス31を含むペレット30を放出管2から下向きに分離管103内に放出・落下させると共に、分離管103内に上向きの空気流F1を発生させることによって、ペレット30からフロス31を分離している。尚、分離管103内の上向きの空気流F1は、空気流発生装置10が、吸気管5を開放し且つ吸引ファン9により排気管8内に負圧を発生させることによって生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−351446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ペレット30が放出管2から下向きに固まって放出され、あまり拡散していない状態では、分離管103内を上昇する空気流F1が、多数のペレット30中に混入しているフロス31に均等に作用しにくい。そこで、従来のフロス分離器101では、ペレット30が落下中に自然に水平方向に拡散するように、放出管2の内径D2よりも分離管3の内径D103を大きく形成すると共に、分離管103の長さL103をかなり長く形成している。この構成によれば、フロス31が空気流F1により確実に除去される。
【0006】
ところが、フロス分離器101の設置スペースが狭く、分離管103の長さL103を十分に確保できない場合がある。分離管103の長さが不足すると、落下中にペレット30が良好に拡散せず、フロス31が確実に除去されない場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、分離管の長さが、落下するペレットを自然に水平方向に拡散させるには不十分な長さであっても、フロスをペレットから良好かつ効率的に分離できる、フロス分離器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ペレットを下向きに放出する放出管と、前記放出管から放出されて落下する前記ペレットに対して下方から吹き上げられる空気によって、フロスを上方へ分離する、分離管と、前記分離管内に空気を吹き上げる、空気流発生装置と、を備え、前記ペレットに混入している前記フロスを分離して排出する、フロス分離器において、前記放出管の下方且つ分離管内において、放出口の内側から鉛直軸に対して放射状に空気を噴出する、空気噴出装置を備えている、ことを特徴とする、フロス分離器を提供する。
【0009】
本発明は、構成(a)及び(b)を採用できる。
【0010】
(a)前記空気噴出装置が、前記放出管の内部を下方に延びる部位を有しており、平面視における前記部位の寸法が、下方に向けて、変化しない又は小さくなっている。
【0011】
(b)前記放出管が、前記放出口に近い部分で、第1面内において略直角に屈曲する第1屈曲部と、第2面内において略直角に屈曲する第2屈曲部とを有しており、前記第1面が前記第2面に対して略直交している。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、放出管から放出されたペレットとフロスのうち、特にフロスが効果的に外方に吹き飛ばされる。また、ペレットも落下中に水平方向に拡散するので、放出管の直近部で外方に飛び出さなかったフロスも、分離管内で効果的に分散する。このため、本発明は、分離管の長さが、落下するペレットを自然に水平方向に拡散させるには不十分な長さであっても、フロスを良好に分離できる。
【0013】
構成(a)では、空気噴出ノズルに突起部がないため、放出管内を落下するペレットが、前記部位にのみ滑らかに接触し、前記部位で跳ね返らない。すなわち、ペレットの下向きの勢い(慣性力)が弱くならないため、本発明は、分離管内を上昇する空気流によってペレットがフロス分離器から外に運ばれてしまう不具合を減らすことができる。
【0014】
構成(b)では、ペレットが第1屈曲部及び第2屈曲部を通るので、放出管から放出されるペレットの断面方向の密度が均一化し、ペレットの放出が偏流無くなされる。このため、フロスは、分離管内で良好かつ効率的に除去される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】フロス分離器を示す縦断面図である。
【図2】フロス分離器の上部を示す平面図である。
【図3】フロス分離器の下部を示す横断面図である。
【図4】空気噴出装置の噴出ノズルを示す縦断面図である。
【図5】噴出ノズルの第1ノズル片を示す縦断面図である。
【図6】噴出ノズルの第2ノズル片を示す縦断面図である。
【図7】ペレットの偏流の様子を示す放出管の一部断面図である。
【図8】従来のフロス分離器を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態の構成)
図1は、フロス分離器1を示す縦断面図である。フロス分離器1は、ペレット30に混入しているフロス31を分離する装置である。図1において、フロス分離器1は、放出管2、分離管3、空気流発生装置10、及び空気噴出装置20を備えている。
【0017】
図2は、フロス分離器1の上部を示す平面図である。放出管2は、ペレット30を下方に放出する管である。図1及び図2に示されるように、放出管2は、放出管2は、第1部分2F、第2部分2S、第3部分2T、第1屈曲部2a、及び第2屈曲部2bを有している。第1屈曲部2aは第1部分2Fと第2部分2Sとを接続しており、第2屈曲部2bは第2部分2Sと第3部分2Tとを接続している。放出管2は、第3部分2Tの下端に、下方に開かれている放出口Ao2を有している。第1屈曲部2aは、水平面(第1面)内において略直角に屈曲しており、第2屈曲部2bは、鉛直面(第2面)内において略直角に屈曲している。水平面は、鉛直面に対して直交している。このため、第1部分2F及び第2部分2Sは水平面上にあり、第2部分2S及び第3部分2Tは鉛直面上にある。放出管2の内径D2は、放出管2の軸方向において概ね均一である。
【0018】
分離管3は、上向きの空気流F1によって、放出管2から放出されて落下するペレット30に対して下方から吹き上げられる空気流F1によって、フロスを上方へ分離する管である。図1において、分離管3は、鉛直方向に延びる円筒である。符号C3は、分離管3の中心軸である。分離管3の内径D3は、分離管3の軸方向(鉛直方向)において均一である。分離管3は、放出管2の下方に配置されている。放出管2の第3部分(下部)2Tは、分離管3内に挿入されている。分離管3の内径D3は、放出管2の内径D2よりも大きい。このため、分離管3の上部において、分離管3の内面と放出管2の外面との間に第1排気経路P3が形成されている。第1排気経路P3の断面形状は、円環状である。
【0019】
図1において、空気流発生装置10は、吸気室4、吸気管5、吸気弁6、排気室7、排気管8、及び吸気ファン9を備えている。空気流発生装置10は、分離管3内に上向きの空気流F1を発生させる装置である。
【0020】
図1及び図3を参照して、分離管3の入口側に配置されている吸気室4、吸気管5、及び吸気弁6を説明する。図3は、フロス分離器1の下部を示す横断面図である。図1及び図3において、吸気室4は、上壁4a、円筒壁4b、及びテーパー壁4cを有している。分離管3の下部は、円筒壁4bの内部に上方から挿入されている。また、吸気管5が円筒壁4bの内部に左側から挿入されている。吸気管5は、円筒壁4bの内面に接触するように配置されている。このため、円筒壁4bの内面と分離管3の外面との間に、吸気旋回経路P5が形成されている。また、吸気管5の出口Ao5が分離管3の入口Ai3よりも上方に配置されている。吸気室4の内部は、吸気管5を除いて外気に対して密閉されている。吸気弁6は、吸気管5の入口を開閉する。
【0021】
図1及び図2を参照して、分離管3の出口側に配置されている排気室7、排気管8、及び吸気ファン9を説明する。図1及び図2において、排気室7は、上壁7a、側壁7b、及び下壁7cを有している。分離管3の上部は、側壁7bの内部に下方から挿入されており、上壁7aに突き当たっている。側壁7bの内面と分離管3の外面との間に、円筒状の第2排気経路P7が形成されている。また、分離管3の上部には、分離管3の周方向に沿って複数の出口Ao3が形成されている。複数の出口Ao3は、第2排気経路P7に開かれている。また、排気管8が側壁7bの内部に右側から挿入されている。排気管8の出口Ao8には、吸気ファン9が接続されている。
【0022】
図1において、空気噴出装置20は、空気を、鉛直軸に対して放射状に噴出する装置である。符号F2は、空気噴出装置20による空気の噴出方向を示している。空気噴出装置20は、噴出ノズル21、高圧空気管22、及び高圧空気源23を備えている。高圧空気管22は、平面視において、第3部分(下部)2T及び分離管3と同軸上に設けられている。高圧空気管22は、第3部分2Tの上方から下方に向けて、挿入されている。高圧空気管22の下端部には、噴出ノズル21が接続されている。噴出ノズル21は、放出管2の放出口Ao2の下方(直下部)且つ分離管3内にある。高圧空気管22の上端部は、高圧空気源23に接続されている。高圧空気源23は、例えばエアコンプレッサーである。
【0023】
図4は、空気噴出装置20の噴出ノズル21を示す縦断面図である。図4において、噴出ノズル21は、第1ノズル片211、第2ノズル片212、ワッシャー213、ナット214を備えている。第1ノズル片211及び第2ノズル片212の形状は、噴出ノズル21の中心軸C21に対して軸対称である。中心軸C21は、鉛直軸に対して平行である。このため、第1ノズル片211及び第2ノズル片212の各部の形状は、平面視において、円柱状又は円筒状である。
【0024】
図5は、噴出ノズル21の第1ノズル片211を示す縦断面図である。第1ノズル片211は、上方から下方に向けて、ネジ軸部211a、係止部211b、軸部211c、及び円盤部211dを備えている。
【0025】
図6は、噴出ノズル21の第2ノズル片212を示す縦断面図である。第2ノズル片212は、上方から下方に向けて、ネジ孔部212a、上筒部212b、中筒部212c、及び下筒部212dを備えている。ネジ孔部212aには、第1ノズル片211のネジ軸部211aに噛み合うネジ穴212eが中心軸21に沿って形成されている。中筒部212cには、第2ノズル片212の周方向に沿って、複数の連通孔212fが形成されている。
【0026】
図4において、下筒部212dは円盤部211dの上方にあり、下筒部212dと円盤部211dとの間に噴出口Ao21が形成されている。噴出口Ao21は、中心軸21の周りに形成される環状の開口である。平面視において、噴出口Ao21は、放出口Ao2の内側に位置している。高圧空気源23から高圧空気管22内に供給される高圧空気は、噴出ノズル21の内部を経由して、噴出口Ao21から放射状(噴出方向F2)に噴出される。図4において、下筒部212d及び円盤部211dの外径は、高圧空気管22の外径に略等しい。このため、平面視において、噴出ノズル21及び高圧空気管22の寸法は、略等しい。
【0027】
(第1実施形態の作動)
図1及び図7を参照して、フロス分離器1の作動を説明する。ペレット30は、空気輸送により、放出管2内を搬送される。
【0028】
図7は、ペレット30の偏流の様子を示す放出管2の一部断面図である。図7(a)は、放出管2の正面一部断面図であり、図7(b)は、図7(a)の矢視A図(平面一部断面図)である。放出管2内を搬送されるペレット30は、屈曲部2a、2bの外周側をそれぞれ偏流する。これらの屈曲部2a、2bは水平面内と鉛直面内にあり直交しているため、ペレット30が放出口Ao2から下方に放出されるときは、ペレット30の偏流はない。放出管2の第3部分(下部)2Tは分離管3の内部に挿入されているので、放出管2から放出されるペレット30は、分離管3内を偏流せずまっすぐ下方に落下する。
【0029】
再び図1を参照して、ペレット30の放出と同時又は放出前に、空気噴出装置20が作動する。空気噴出装置20の作動により、噴出ノズル21から放射状(噴出方向F2)に空気が噴出する。放出口Ao2から放出されたペレット30とフロス31は、噴出ノズル21から噴出される空気によって、水平方向に力を受ける。このとき、ペレット30は放出口Ao2の直近部で勢い(慣性力)があるため、フロス31だけが噴出方向F2に吹き飛ばされる(ペレット30から分離される)。さらに、ペレット30も水平方向の力を受けた影響により、直近部より落下するにつれて、水平方向に拡散される。
【0030】
ペレット30が放出される前に、空気流発生装置10は、吸気弁6を開放し且つ吸気ファン9を駆動する。吸引ファン9は排気管8内に負圧を発生させるので、外気が吸気管5に吸引され、分離管3内に上向きの空気流F1が発生する。
【0031】
上向きの空気流F1の強さは、次の理由により、水平方向で偏ることなく均一である。空気(外気)は、吸気管5から吸気室4内へ水平方向に吸入される。吸気管5の出口Ao5が分離管3の入口Ai3よりも上方にあるので、空気は、吸気旋回経路P5を旋回しながら分離管3内に吸入される。このため、空気が、吸気管5側に偏った位置からではなく分離管3の中心軸C3に対して放射状に、分離管3内に吸入される。一方、分離管3の出口側において、空気は、分離管3の複数の出口Ao3から第2排気経路P7に流れる。各出口Ao3は、排気管8の開口面積よりもずっと小さいので、空気は、排気管8側の出口Ao3だけでなく、他の出口Ao3からも排出される。このため、空気が、中心軸C3に対して放射状に、排気室7へと排出される。つまり、空気が、分離管3の入口側において放射状に吸入され、分離管3の出口側において放射状に排出される。この結果、上向きの空気流F1の強さが、水平方向で偏ることなく均一となる。
【0032】
前記のように外方に吹き飛ばされなかったフロス31は、ペレット30と共に分散・落下中に、分離管3内を上昇する空気流F1によって、分離管3から排出管8へと流される。この結果、フロス31がペレット30から完全に分離される。空気流F1の強さは、ペレット30の落下を阻害しない強さに設定されている。このため、ペレット30は自重により分離管3内を落下する。ペレット30は、吸気室4内に蓄えられる。
【0033】
(第1実施形態の効果)
フロス分離器1は、次の作用、効果を有している。
【0034】
フロス分離器1では、噴出ノズル21により空気が鉛直軸に対して放射状に噴出される。拡散用の空気が、放出口Ao2の内側から放射状に噴出されるので、落下するペレット30とフロス31のそれぞれが、外方に力を受ける。この結果、放出管2から放出されたペレット30とフロス31のうち、特にフロス31が効果的に外方に吹き飛ばされる。また、ペレット30も落下中に水平方向に拡散するので、放出管2の直近部で外方に飛び出さなかったフロス31も、分離管3内で効果的に分散する。このため、フロス分離器1は、分離管3の長さが、落下するペレット30を自然に水平方向に拡散させるには不十分な長さであっても、フロス31を良好に分離できる。
【0035】
フロス分離器1では、空気噴出装置20において放出管2の内部を下方に延びる部位の寸法が、下方に向けて大きくならない。前記部位は、高圧空気管22、及び高圧空気管22の下端部に設けられる噴出ノズル21である。高圧空気管22及び噴出ノズル21の寸法は、平面視において略等しい。この結果、放出管2内を落下するペレット30が、高圧空気管22及び噴出ノズル21に滑らかに接触し、高圧空気管22及び噴出ノズル21の突起部に当たり、跳ね返ることがない。すなわち、ペレット30の下向きの勢い(慣性力)が弱くならないため、フロス分離器1は、分離管3内を上昇する空気流F1によってペレットがフロス分離器1から外に運ばれてしまう不具合を減らすことができる。
【0036】
フロス分離器1では、放出管2が、水平面内において略直角に屈曲する第1屈曲部2aと、鉛直面内において略直角に屈曲する第2屈曲部2bとを有しており、ペレット30が放出管2内を空気輸送される。2つの屈曲部2a及び2bを通過することにより、ペレットの断面方向の密度が均一化し、ペレット30の放出が偏流無くなされる。この結果、分離管3内を落下するペレットおよびフロス31の分散状態が良好である。このため、フロス31は、分離管3内で良好かつ効率的に除去される。
【符号の説明】
【0037】
1 フロス分離器
2 放出管
2a、2b 屈曲部
20 空気噴出装置
21 噴出ノズル(放出管の内部を下方に延びる部位)
22 高圧空気管(放出管の内部を下方に延びる部位)
Ao2 放出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレットを下向きに放出する放出管と、
前記放出管から放出されて落下する前記ペレットに対して下方から吹き上げられる空気によって、フロスを上方へ分離する、分離管と、
前記分離管内に空気を吹き上げる、空気流発生装置と、
を備え、前記ペレットに混入している前記フロスを分離して排出する、フロス分離器において、
前記放出管の下方且つ分離管内において、放出口の内側から鉛直軸に対して放射状に空気を噴出する、空気噴出装置を備えている、
ことを特徴とする、フロス分離器。
【請求項2】
前記空気噴出装置が、前記放出管の内部を下方に延びる部位を有しており、
平面視における前記部位の寸法が、下方に向けて、変化しない又は小さくなっている、
請求項1に記載のフロス分離器。
【請求項3】
前記放出管が、前記放出口に近い部分で、第1面内において略直角に屈曲する第1屈曲部と、第2面内において略直角に屈曲する第2屈曲部とを有しており、前記第1面が前記第2面に対して略直交している、請求項1〜2のいずれか1つに記載のフロス分離器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−224494(P2011−224494A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98026(P2010−98026)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000004732)株式会社日本アルミ (64)
【Fターム(参考)】