説明

フロントパネルの開閉構造

【課題】フロントパネルの開閉構造を簡単な構成にして、カメラコントロールユニットの製造コストを抑える。
【解決手段】カメラコントロールユニット1が備えるシャーシ2の左右の側板には、支持軸33を備えた取付金具3が設けられている。シャーシ2の下板が備える載置部26には、シールドガスケット27が取り付けられている。フロントパネル4は、支持軸33が挿通される挿通孔44を左右の側板43に備えている。フロントパネル4は、シャーシ2を閉じる閉位置と開く開位置との間で回転自在に、支持軸33で挿通孔44を支持される。フロントパネル4の下側の側板43からは、後方に向けて接地用のリブ45が延びている。シールドガスケット27は、フロントパネル4が閉位置に位置した状態で、リブ45と載置部26とで挟み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャーシを開閉するフロントパネルの開閉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器では、フロントパネルを開閉機構でシャーシに支持したり、フロントパネルとシャーシとを電気的に接触させて、フロントパネルを接地することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1の増幅器では、正面の操作パネルに設けられた開閉扉を回動機構で開閉する。回動機構は、筐体に固定された軸受け部の軸孔と、開閉扉に固定された回動部の軸孔とに回動軸部を挿入して構成されている。開閉扉は、回動部を覆うようにして開閉扉から延びた導電部が、筺体に固定された導電部材に接触することで、どの開閉位置でも接地された状態を保つ。
【0004】
また、特許文献2の記録及び/又は再生装置が備える支持機構は、機器本体が正面の各下側コーナ部に備えた支持突起を、操作パネルが各下側コーナ部の突出部に備えた枢支部に枢支している。機器本体には緩衝機構と歯合した歯車が軸支されており、この歯車が突出部に備えられた歯車と歯合することで、操作パネルの回動速度が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−150110号公報
【特許文献2】特開平9−237978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カメラコントロールユニットでは、上記特許文献1,2に示されるようなフロントパネルの支持構造の他にも、フロントパネルをシャーシにヒンジで固定することでフロントパネルの支持及び接地を行ったり、対になるボールキャッチをフロントパネル及びシャーシに取り付けることで、フロントパネルをシャーシに着脱自在に支持することが考えられている。
【0007】
しかしながら、ヒンジを用いてフロントパネルを支持する場合には、ヒンジ自体が高価であることからカメラコントロールユニットの製造コストが高くなる問題があった。また、フロントパネルをシャーシに着脱させる場合には、フロントパネルにはコネクタやスイッチを設置できないことから、これらを設置するためのサブパネルをシャーシの内部に取り付ける必要があり、その分カメラコントロールユニットの製造コストが高くなる問題があった。
【0008】
しかも、フロントパネル(開閉扉)から延びた導電部をシャーシ(筺体)に固定された導電部材に接触させながら開閉扉を開閉させたり、フロントパネルをシャーシに支持するヒンジでフロントパネルとシャーシとを電気的に接触させる場合には、フロントパネルとシャーシとが線接触することとなり、接地抵抗が高くなるという問題もあった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決することができるフロントパネルの開閉構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明のフロントパネルの開閉構造は、略箱形のシャーシの前面に設けられた開口部を開閉するフロントパネルの開閉構造であって、前記シャーシの設置に用いる一対の取付具に支持部を備え、前記フロントパネルが、前記シャーシを閉じる閉位置と開く開位置との間で回転自在に、前記支持部で被支持部を支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シャーシの設置に用いる取付具に支持部を設け、フロントパネルに被支持部を設けるという簡単な構成で、フロントパネルでシャーシを開閉することができ、カメラコントロールユニットの製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のカメラコントロールユニットを示す斜視図である。
【図2】カメラコントロールユニットが備えるフロントパネルの開閉構造を示す図であり、図1のA断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のカメラコントロールユニット1を示す斜視図である。図2は、カメラコントロールユニット1が備えるフロントパネル4の開閉構造を示す図であり、図1のA断面図である。なお、以下の説明で用いる前後,左右,上下の各方向は説明に用いる各図に示している。
【0014】
図1に示すように、カメラコントロールユニット1は、回路基板2a等を内蔵したシャーシ2と、シャーシ2の前面開口部2Aを塞ぐフロントパネル4とを備えている。
【0015】
シャーシ2は、前面が開口した扁平四角箱状を呈しており、左右の側板の上端部の前縁からは固定舌片22が延びている。固定舌片22は、シャーシ2の側板の前縁で、前面開口部2Aの上縁部の左右の角部からそれぞれ内側に向かって左右方向に延びている。固定舌片22には、フロントパネル4をネジ4Cでシャーシ2にネジ止めして固定するためのネジ孔22aが備えられている。
【0016】
シャーシ2の左右の側板の下端部の前縁からは、フロントパネル4を支持するための支持舌片23が前方に向けて延びている。前面開口部2Aの上縁部に沿って延びたシャーシ2の上板の前縁部には、上板を下側にL字状に湾曲させて構成された受部25が備えられている。また、前面開口部2Aの下縁部に沿って延びたシャーシ2の下板の前縁部には、下板を下側にL字状に湾曲させて構成された載置部26が備えられている。
【0017】
下板が備える載置部26の上面には、シャーシ2とフロントパネル4との隙間から漏れる電磁波を遮蔽し、シャーシ2内の気密性を保つためのシールドガスケット27が取り付けられている。シールドガスケット27は、接着剤等で載置部26の上面に貼り付けられている。シャーシ2の左右の側板の前端部には、取付金具3をネジ止めするためのネジ孔21が設けられている。
【0018】
取付金具3は、19インチラック等にシャーシ2を設置するためのものであり、矩形の平板体を断面L字状に折り曲げた形状を有している。取付金具3は、折曲箇所を挟んだ一辺側がシャーシ2に固定するための固定片3A、他辺側がラック等に取り付けるための取付片3Bとなっている。
【0019】
固定片3Aには、取付金具3をシャーシ2にネジ止めするための挿通孔31と、フロントパネル4を軸支するための支持軸33とが備えられている。支持軸33は、固定片3Aの下端部の前端部から取付片3Bの延伸方向と反対側に向けて延びている。また、取付片3Bには、シャーシ2が設置されるラック等に取付金具3をネジ止めするための挿通長孔32が備えられている。
【0020】
フロントパネル4は、矩形の平板状を呈した前板41の上下及び左右の縁部から後方に向けて側板42,43を延出させた形状を有しており、スイッチ4Aやランプ4B等の電気部品が前板41の裏面に設置されている。前板41の上縁部の左右の角部には、フロントパネル4をシャーシ2にネジ止めするネジ4Cの挿通孔(不図示)が形成されている。
【0021】
フロントパネル4の左右の側板43には、上述した支持軸33が挿通される挿通孔44が形成されている。挿通孔44は、側板43の下縁部の前端部に形成されており、側板43を左右方向に貫通している。下側の側板42の後縁部からは、側板42の左端部から右端部にかけて、図2に示すようにリブ45が延びている。リブ45は、側板42の後縁から上方に向けて延びた後、屈曲して後方に延びており、L字の断面形状を有している。
【0022】
フロントパネル4は、シャーシ2の受部25を上側の側板42で外側から、支持舌片23を左右の側板43で外側からそれぞれ覆い、シャーシ2の前端開口部2Aを前側から覆うようにしてシャーシ2の前端部に嵌め合わされる。取付金具3は、側板43の挿通孔44に支持軸33を挿通させ、挿通孔31に挿通されたネジがネジ孔21に螺着されることで、シャーシ2の左右の側板にネジ止めされる。その後、挿通長孔32に挿通させたネジを用いて取付金具3がラック等に固着されることで、シャーシ2の設置が行われる。
【0023】
図2に示すように、フロントパネル4は、挿通孔44に挿通された取付金具3(図1参照)の支持軸33でシャーシ2に回転自在に支持されており、前端開口部2Aを開いた開位置と前端開口部2Aを閉じた閉位置との間で、支持軸33を中心として図2に矢印で示すように前後方向に回動する。また、フロントパネル4は、前板41の挿通孔(不図示)に挿通されたネジ4C(図1参照)がシャーシ2の固定舌片22が備えるネジ孔22aに螺着されることで、シャーシ2にネジ止めされて閉位置で固定される。
【0024】
図2に実線で示すように、フロントパネル4が閉位置に位置した状態では、下側の側板42の載置部26に取り付けられたシールドガスケット27にフロントパネル4のリブ45が押し付けられて、リブ45と載置部26とでシールドガスケット27が挟み込まれ、リブ45とシールドガスケット27の上面とが面接触をする。これにより、フロントパネル4がシールドガスケット27を介してシャーシ2と電気的に接触し、シャーシ2と共に接地される。
【0025】
本実施形態によれば、シャーシ2の設置に用いる取付金具3に支持軸33を設け、支持軸33に支持される挿通孔44をフロントパネル4に設けるという簡単な構成で、ヒンジ等の部品を別途設けることなく、フロントパネル4でシャーシ2を開閉することができる。また、取付金具3を介してフロントパネル4をシャーシ2で支持することから、スイッチ4Aやランプ4B等の電気部品をフロントパネルに設置することもできる。
【0026】
また、フロントパネル4のリブ45と載置部26とでシールドガスケット27を挟み込むことで、フロントパネル4をシャーシ2に電気的に接触させて接地することができる。このため、電磁波遮蔽と気密性保持のためのシールドガスケット27を、フロントパネル4をシャーシ2と電気的に接続させるための部材としても用いて、別途部品を設けることなくフロントパネル4の接地を行うこともできる。この結果、カメラコントロールユニット1の製造コストを低減することが出来る。
【0027】
しかも、フロントパネル4のリブ45と載置部26とでシールドガスケット27を挟み込むことで、リブ45とシャーシ2とをシールドガスケット27を介して面で接触させられることから、接地抵抗を低くすることができる。
【0028】
上記実施形態では、取付金具3の支持軸33で支持部を構成し、フロントパネル4の挿通孔44で被支持部を構成した場合について説明した。しかしながら、フロントパネル4に設けた凹部に支持軸33を嵌め合わせて、フロントパネル4をシャーシ2に回転自在に支持してもよい。また、取付金具3の備える凹部又は孔にフロントパネル4の備える突出部を嵌め合わせることで、フロントパネル4をシャーシ2に回転自在に支持してもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、シャーシ2の下板の前縁部を下側に湾曲させて構成された載置部26にシールドガスケット27を取り付けた場合について説明した。しかしながら、必ずしも載置部26を備えている必要はなく、シールドガスケット27を下板に直接取り付けてもよい。また、シャーシ2は、必ずしも支持舌片23,受部25を備えていなくてもよい。
【0030】
また、上記実施形態では、取付金具3の挿通長孔32に挿通されたネジで、19インチラック等にシャーシ2を設置した場合について説明したが、取付金具3を用いたシャーシ2の設置方法は任意であり、ネジ止めによらない場合には取付金具3が挿通長孔32を備えていなくてもよい。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施態様としては、以下のものを挙げることができる。
実施態様1のフロントパネルの開閉構造は、略箱形のシャーシの前面に設けられた開口部を開閉するフロントパネルの開閉構造であって、前記シャーシの設置に用いる一対の取付具に支持部を備え、前記フロントパネルが、前記シャーシを閉じる閉位置と開く開位置との間で回転自在に、前記支持部で被支持部を支持されていることを特徴とする
【0032】
また、実施態様2のフロントパネルの開閉構造は、実施態様1において、前記シャーシには、シールドガスケットが取り付けられており、前記フロントパネルが、前記閉位置で前記シールドガスケットを前記シャーシとで挟み込む接地用のリブを備えていることを特徴とする。
【符号の説明】
【0033】
1 カメラコントロールユニット
2 シャーシ
2a 回路基板
21 ネジ孔
22 固定舌片
22a ネジ孔
23 支持舌片
25 受部
26 載置部
27 シールドガスケット
2A 前面開口部
3 取付金具
31 挿通孔
32 挿通長孔
33 支持軸
3A 固定片
3B 取付片
4 フロントパネル
41 前板
42,43 側板
44 挿通孔
45 リブ
4A スイッチ
4B ランプ
4C ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱形のシャーシの前面に設けられた開口部を開閉するフロントパネルの開閉構造であって、
前記シャーシの設置に用いる一対の取付具に支持部を備え、
前記フロントパネルは、前記シャーシを閉じる閉位置と開く開位置との間で回転自在に、前記支持部で被支持部を支持されていることを特徴とするフロントパネルの開閉構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−103375(P2011−103375A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257766(P2009−257766)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】