フロント装置
【課題】 ボックス体の重量を全体として抑えつつ、ボスの近傍を補強することにより、小型・軽量で強度の高いフロント装置を実現する。
【解決手段】 オフセットブーム式作業装置4のアッパブーム11を、上板13、下板14及び左,右の側板15,16からなる箱形状のボックス体12と、このボックス体12の基端側,先端側に溶接されるボス18,19と、補強板20,21とにより構成する。この場合、左,右の側板15,16の両端側には、内側に屈曲した屈曲板部15B,15C,16B,16Cを設け、補強板20,21は、屈曲板部15B,15C,16B,16Cの外側とボス18,19との間に溶接する。これにより、ボス18,19の近傍でボックス体12を二重構造とすることができ、この部位を補強することができる。
【解決手段】 オフセットブーム式作業装置4のアッパブーム11を、上板13、下板14及び左,右の側板15,16からなる箱形状のボックス体12と、このボックス体12の基端側,先端側に溶接されるボス18,19と、補強板20,21とにより構成する。この場合、左,右の側板15,16の両端側には、内側に屈曲した屈曲板部15B,15C,16B,16Cを設け、補強板20,21は、屈曲板部15B,15C,16B,16Cの外側とボス18,19との間に溶接する。これにより、ボス18,19の近傍でボックス体12を二重構造とすることができ、この部位を補強することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に搭載され、作業装置のブーム、アーム等として好適に用いられるフロント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械には、掘削作業、吊荷作業等を行うための作業装置が俯仰動可能に設けられている。そして、このような作業装置としては、例えば油圧ショベルの作業装置のように、ブーム、アーム等のフロント装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−81810号公報
【0004】
この種の従来技術によるフロント装置として、油圧ショベルのブームを例に挙げると、このブームは、上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより箱形状の中空構造体として形成されたボックス体と、該ボックス体の基端側に設けられ、油圧ショベルの車体側に俯仰動可能に連結されるボスとを備えている。
【0005】
ここで、ボスは、高い強度をもつ筒状の金属材料等からなり、その外周面には、ボックス体の上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されている。また、ボックス体の先端側には、作業装置のアームが回動可能に連結されるブラケットが設けられている。
【0006】
また、従来技術では、中空なボックス体の強度を確保するために、各種の補強構造を設けている。この場合、特許文献1の従来技術では、例えばブームの左側板の長さ方向途中部位に凹凸形状のリブを設ける構成としている。また、他の従来技術では、例えばボックス体の上板、下板、左,右の側板等を厚肉な鋼板等によって形成したり、ボックス体の内部に当該ボックス体内の空間を長さ方向途中部位で閉塞する閉塞板を設ける構成としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、高い強度をもつボスと、これに比べて強度が低い上板、下板、左,右の側板等とが溶接されているため、フロント装置の設計時には、このような強度が異なる2部材の溶接部位で強度を確保したいという要求がある。
【0008】
しかし、特許文献1の従来技術では、例えばブームの左側板の長さ方向途中部位にリブを設ける構成としている。このようなリブでは、左側板の曲げ強度等を増大し得るものの、ボックス体の強度を全体として大きく向上させるには限界があるため、ボスの近傍で十分な強度を確保するのが難しいという問題がある。
【0009】
また、他の従来技術では、例えばボックス体の上板、下板、左,右の側板等を厚肉な鋼板等によって形成したり、その内部に閉塞板を設ける構成としている。しかし、単に厚肉な鋼板等を用いた場合には、ブームの重量が増大し、これを駆動するアクチュエータの大型化や運転効率の低下を招くという問題がある。また、ボックス体の内部に閉塞板を配置したとしても、この閉塞板はボスから離れた位置に配設されるため、ボスの近傍では強度が不足することがある。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ボックス体の重量を抑えつつ、ボスの近傍でボックス体の強度を容易に高めることができ、耐久性を向上できるようにしたフロント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために本発明は、上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより形成されたボックス体と、該ボックス体の少なくとも一方の端部に設けられ前記上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されるボスとを備えてなるフロント装置に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、左側板と右側板のうち少なくとも一方の側板には内側に屈曲した屈曲板部を設け、屈曲板部の外側には側板とボスとの間に補強板を設ける構成としたことにある。
【0013】
また、請求項2の発明によると、上板と下板のうち少なくとも一方の板には内側に屈曲した屈曲板部を設け、屈曲板部の外側には前記板とボスとの間に補強板を設ける構成としている。
【0014】
また、請求項3の発明によると、左側板と右側板のうち少なくとも一方の側板には内側に屈曲した一の屈曲板部を設けると共に、上板と下板のうち少なくとも一方の板には内側に屈曲した他の屈曲板部を設け、一の屈曲板部の外側には側板とボスとの間に一の補強板を設けると共に、他の屈曲板部の外側には板とボスとの間に他の補強板を設ける構成としている。
【0015】
また、請求項4の発明によると、ボックス体は、建設機械の車体に俯仰動可能に連結されるロアブームと、該ロアブームの先端側に左,右方向に揺動可能に連結されたアッパブームと、該アッパブームの先端側にアーム支持体を介して回動可能に連結され作業具が取付けられたアームとのうち少なくとも1個の部材を構成している。
【0016】
さらに、請求項5の発明によると、ボックス体は、建設機械の車体に俯仰動可能に連結されるブームと、該ブームの先端側に回動可能に連結され作業具が取付けられたアームとのうち少なくとも一方の部材を構成している。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、ボックス体の左側板、右側板または左,右両側の側板には、ボスに溶接される端部側の位置に屈曲板部を設けることができ、この屈曲板部の外側には補強板を設けることができる。これにより、ボックス体のうちボスに溶接される部位を二重構造とすることができるので、この部位の強度を高めることができ、例えば捩れ方向の外力等に対しても高い剛性を確保することができる。
【0018】
この場合、ボスは高い強度の筒体として形成され、上板、下板、左,右の側板等を構成する鋼板はボスに比べて強度が低いため、このような強度が異なる2部材の溶接部位は高い強度に形成するのが好ましい。従って、ボックス体の端部側に屈曲板部と補強板とを配置することにより、強度が異なる2部材の溶接部位を確実に保護することができる。
【0019】
また、補強板を屈曲板部の外側に配置したので、例えば左,右の側板のうち屈曲板部以外の部位と補強板とをほぼ同一の平面上に連続して配設することができる。このため、補強板がボックス体から外側に大きく食み出すことがないので、フロント装置を小型に形成しつつ、高い強度を得ることができる。
【0020】
そして、ボックス体のうち必要な部位を屈曲板部と補強板とによって補強できるので、ボスから離れた部位では、例えば上板、下板、左,右の側板等を必要最低限の厚さに形成することができる。これにより、ボスの近傍では、リブや閉塞板等によって実現し得ない高い強度を確保しつつ、ボックス体の重量を全体として小さく抑えることができ、小型・軽量で高い耐久性をもつフロント装置を実現することができる。
【0021】
また、請求項2の発明によれば、ボックス体の上板、下板または上,下両側の板には、屈曲板部を設けて補強板を配設できるので、ボスに溶接される部位を二重構造とすることができ、この部位でボックス体の強度を高めることができる。また、補強板がボックス体から外側に大きく食み出すことがないので、フロント装置を小型に形成することができる。従って、ボスの近傍ではリブや閉塞板等によって実現し得ない高い強度を確保しつつ、ボックス体の重量を全体として小さく抑えることができ、小型・軽量で高い強度のフロント装置を実現することができる。
【0022】
また、請求項3の発明によれば、ボックス体の上板または下板に屈曲板部を設けて補強板を配設できると共に、左側板または右側板に屈曲板部を設けて補強板を配設できるので、請求項1,2を合わせた作用効果を得ることができる。また、例えば上板、下板及び左,右の側板に屈曲板部を設けて各屈曲板部の外側に補強板をそれぞれ配設でき、このように構成した場合には、例えば上,下、左,右の屈曲板部を箱形状に溶接できると共に、これを外側から取囲む位置で上,下、左,右の補強板を箱形状に溶接することができる。これにより、ボックス体をボスの近傍で二重の箱形状に形成でき、この部位でフロント装置の強度を十分に高めることができる。
【0023】
また、請求項4の発明によれば、例えばオフセットブーム式作業装置を構成するロアブーム、アッパブーム、アーム等のフロント装置に対して、屈曲板部や補強板を設けることができる。従って、これらのフロント装置の強度を必要に応じて高めることができ、適用対象を広げることができる。
【0024】
さらに、請求項5の発明によれば、オフセットブーム式以外の作業装置を構成するブーム、アーム等のフロント装置に対して、屈曲板部や補強板を設けることができ、適用対象を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明によるフロント装置について、図1ないし図20を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
まず、図1及び図2により、本発明の実施の形態のフロント装置が適用される建設機械として、オフセットブーム式の油圧ショベルについて説明する。
【0027】
図中、1はオフセットブーム式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部に俯仰動可能に取付けられ、土砂等の掘削作業を行う後述の作業装置4とにより大略構成されている。また、下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベルの車体を構成している。
【0028】
4は上部旋回体3に俯仰動可能に設けられたオフセットブーム式の作業装置で、該作業装置4は、図1、図2に示す如く、基端側が上部旋回体3に俯仰動可能に連結されたロアブーム4Aと、該ロアブーム4Aの先端側に左,右方向に揺動可能に連結されたアッパブーム4Bと、該アッパブーム4Bの先端側に左,右方向に揺動可能に連結されたアーム支持体4Cと、該アーム支持体4Cの先端側に上,下方向に回動可能に連結されたアーム4Dと、該アーム4Dの先端側に回動可能に取付けられた作業具としてのバケット4Eと、シリンダ4F,4G,4H,4J、リンク4K等とにより構成されている。
【0029】
ここで、ブームシリンダ4Fは、上部旋回体3とロアブーム4Aとの間に設けられ、ロアブーム4Aを上,下方向に俯仰動させる。また、オフセットシリンダ4Gは、ロアブーム4Aとアッパブーム4Bとの間に設けられ、アッパブーム4Bを左,右方向に揺動させる。また、アームシリンダ4Hは、アーム支持体4Cとアーム4Dとの間に設けられ、アーム4Dを回動させる。さらに、バケットシリンダ4Jは、アーム4Dとバケット4Eとの間に設けられ、バケット4Eを回動させるものである。
【0030】
一方、リンク4Kは、ロアブーム4Aとアーム支持体4Cとの間に設けられ、ロアブーム4A、アッパブーム4B、アーム支持体4Cと共に平行リンク機構を構成している。そして、オフセットシリンダ4Gが伸縮するときには、その伸縮動作によってアッパブーム4Bが左,右方向に揺動されると、アーム支持体4Cがリンク4Kによってアッパブーム4Bと左,右方向の逆向きに揺動される。これにより、アーム4D及びバケット4Eは、ロアブーム4Aと平行な状態を保持しつつ、車体の左側または右側に移動(オフセット)されるので、油圧ショベル1は、この位置で側溝掘り等の掘削作業を行うことができる。
【0031】
次に、本発明の第1の実施の形態によるフロント装置について、オフセットブーム式油圧ショベルのアッパブームを例に挙げ、図3ないし図8を参照して詳細に説明する。
【0032】
まず、11はフロント装置としてのアッパブームを示し、該アッパブーム11は、図1と図2に示されるオフセットブーム式作業装置4のアッパブーム4Bとして用いられるものである。ここで、アッパブーム11は、例えば箱形(四角形)の横断面形状を有する細長い中空構造体として形成され、車体の前,後方向に延びている。また、アッパブーム11は、後述のボックス体12、ボス18,19、補強版20,21等によって構成されている。
【0033】
12はアッパブーム11の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体12は、図3ないし図6に示す如く、後述の上板13、下板14、左側板15、右側板16等によって構成されている。そして、ボックス体12は、これらの鋼板を接合(溶接)することにより、全体として前,後方向に延びる角筒状に形成されている。
【0034】
13はボックス体12の上面を構成する上板で、該上板13は、例えば平坦な鋼板等によって形成されている。また、上板13の上面には、その両端側とボス18,19との間を補強する例えば2枚の金属板13Aが溶接されている。
【0035】
14はボックス体12の下面を構成する下板で、該下板14は、上板13とほぼ同様の鋼板等からなり、上板13と上,下方向の間隔をもって対向している。また、下板14の左端面にはブラケット14Aが固着されている。そして、このブラケット14Aと後述する左側板15のブラケット15Dとの間には、オフセットシリンダ4G(図2参照)が回動可能に取付けられる。
【0036】
15はボックス体12の左側面を構成する左側板で、該左側板15は、例えば両端側が略「く」字状に屈曲した細長い鋼板等からなり、上板13と下板14との間にほぼ垂直に立設されると共に、これらの間に全長にわたって溶接されている。
【0037】
ここで、左側板15は、後述の左補強板20と共にアッパブーム11の左側面を構成する側面板部15Aと、該側面板部15Aの基端側に一体形成された屈曲板部15Bと、側面板部15Aの先端側に一体形成された他の屈曲板部15Cとにより構成されている。そして、側面板部15Aは、ボックス体12の中間部に配置され、その長さ方向に沿って延びている。また、側面板部15Aの外側には、オフセットシリンダ4G用のブラケット15Dが固着されている。
【0038】
また、2個の屈曲板部15B,15Cは、各左補強板20の内側にそれぞれ配置され、ボックス体12の長さ方向に延びつつ、右側板16に向けて内側(斜め内向き)に屈曲し、上板13と下板14との間に配置されている。そして、基端側の屈曲板部15Bは、その3辺が上板13、下板14及び基端側ボス18に溶接され、先端側の屈曲板部15Cは、その3辺が上板13、下板14及び先端側ボス19に溶接されている。
【0039】
16はボックス体12の右側面を構成する右側板で、該右側板16は、左側板15とほぼ同様に、両端側が屈曲した細長い鋼板等によって形成され、上板13と下板14との間に全長にわたって溶接されている。そして、右側板16は、後述の右補強板21と共にアッパブーム11の右側面を構成する側面板部16Aと、該側面板部16Aの基端側に一体形成された屈曲板部16Bと、側面板部16Aの先端側に一体形成された他の屈曲板部16Cとにより構成されている。
【0040】
また、屈曲板部16B,16Cは、各右補強板21の内側でボックス体12の長さ方向に延びつつ、左側板15に向けて内側に屈曲している。そして、基端側の屈曲板部16Bは、その3辺が上板13、下板14及び基端側ボス18に溶接され、先端側の屈曲板部15Cは、その3辺が上板13、下板14及び先端側ボス19に溶接されている。また、左側板15と右側板16とは互いに左,右方向の間隔をもって対向し、これらの側面板部15A,16Aの間には補強用の連結板17が溶接されている。
【0041】
18はボックス体12の基端側に設けられた基端側ボスで、該基端側ボス18は、例えば筒状の金属材料等からなり、その外周面には、上板13及び下板14の端部側と、左側板15及び右側板16の屈曲板部15B,16Bの端部側と、後述の補強板20,21とがそれぞれ溶接されている。
【0042】
19はボックス体12の先端側に設けられた先端側ボスで、該先端側ボス19の外周面には、基端側ボス18とほぼ同様に、上板13、下板14、左,右の側板15,16の屈曲板部15C,16C及び補強板20,21が溶接されている。
【0043】
そして、アッパブーム11は、基端側ボス18が連結ピン等を用いてロアブーム4A(図2参照)に左,右方向に揺動可能にピン結合され、先端側ボス19が他の連結ピン等を用いてアーム支持体4Cと左,右方向に揺動可能にピン結合される。
【0044】
20は左側板15の屈曲板部15B,15Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の左補強板で、これらの左補強板20は、図3、図4に示す如く、例えば長方形状の平坦な鋼板等からなり、左側板15の屈曲板部15B,15Cの外側に重なった状態でその長さ方向に延びている。これにより、左補強板20は、後述の右補強板21と協働して、ボックス体12のうちボス18,19が溶接される端部側の部位を二重構造とし、これらの部位を補強するものである。
【0045】
ここで、各左補強板20のうちボックス体12の基端側に位置する左補強板20は、屈曲板部15Bと基端側ボス18との間に溶接されると共に、上板13と下板14との間に溶接されている。また、ボックス体12の先端側に位置する左補強板20は、基端側の左補強板20とほぼ同様に、上板13、下板14、屈曲板部15C及び先端側ボス19にそれぞれ溶接されている。
【0046】
また、左補強板20は、例えば左側板15の側面板部15Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。これにより、左補強板20は、ボックス体12から外側に大きく食み出すことがないので、アッパブーム11をコンパクトに形成することができる。
【0047】
21は右側板16の屈曲板部16B,16Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の右補強板で、これらの右補強板21は、図4ないし図8に示す如く、左補強板20とほぼ同様に、例えば長方形状の鋼板等からなり、右側板16の屈曲板部16B,16Cの外側に重なった状態でその長さ方向に延びている。
【0048】
そして、基端側の右補強板21は、屈曲板部16Bと基端側ボス18との間に溶接されると共に、上板13と下板14との間に溶接されている。また、先端側の右補強板21もほぼ同様に、上板13、下板14、屈曲板部16C及び先端側ボス19にそれぞれ溶接されている。また、右補強板21は、右側板16の側面板部16Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。
【0049】
これにより、ボックス体12の基端側には、図8に示す如く、上板13、下板14、左,右の側板15,16の屈曲板部15B,16B及び補強板20,21によって、左,右両側が二重となった箱形状の断面構造を形成することができる。また、ボックス体12の先端側にも、屈曲板部15C,16C、補強板20,21等によって同様の断面構造を形成することができる。従って、このような二重構造によってボックス体12の両端側を補強でき、ボックス体12とボス18,19とを強固に溶接することができる。
【0050】
次に、ボックス体12の断面構造と強度との関係について、基端側ボス18の近傍を例に挙げて具体的に説明する。
【0051】
まず、図8において、ボックス体12は上,下方向の寸法Hをもって形成され、その上板13と下板14とは寸法hだけ離間しているものとする。また、上板13と下板14とは左,右方向の幅寸法Wを有し、補強板20,21から寸法(A/2)だけ左,右方向に突出している。さらに、左,右の側板15,16の屈曲板部15B,16Bは、ある特定の位置において左,右方向の間隔寸法dをもって対向し、これらの外側には、寸法(B/2)の隙間をもって補強板20,21が配置されているものとする。
【0052】
この場合、ボックス体12の断面二次モーメントIは、各寸法H,h,A,B,d,Wを用いて、下記数1の式のように表すことができる。
【0053】
【数1】
【0054】
一方、従来技術のアッパブームを、本実施の形態と同様の厚さをもつ鋼板によって形成すると、例えば図9に示す比較例のようになる。この比較例のアッパブーム100において、ボックス体101の上板102、下板103及び左,右の側板104,105に関連した寸法H,h,A,Wを、本実施の形態によるアッパブーム11と同様に形成し、左,右の側板104,105間の間隔寸法をDとした場合には、ボックス体101の断面二次モーメントJを下記数2の式のように表すことができる。
【0055】
【数2】
【0056】
この場合、図8、図9から判るように、前記数1の式に含まれる寸法B,dの加算値(B+d)は、前記数2の式に含まれる間隔寸法Dよりも屈曲板部15B,16Bの板厚分だけ小さくなるので、下記数3の式が成立する。
【0057】
【数3】
【0058】
この数3の式を考慮しつつ、前記数1,数2の式の大小関係を比較することにより、下記数4の式を得ることができる。
【0059】
【数4】
【0060】
従って、本実施の形態によるボックス体12の基端側の断面二次モーメントIを、比較例の断面二次モーメントJよりも増大させることができ、この部位でアッパブーム11の断面係数を大きくすることができるので、アッパブーム11の強度を基端側で高めることができる。これと同様に、アッパブーム11の先端側でも強度を高めることができる。
【0061】
かくして、本実施の形態によれば、アッパブーム11の左側板15に屈曲板部15B,15Cを設けてその外側に左補強板20を配設し、右側板16に屈曲板部16B,16Cを設けてその外側に右補強板21を配設する構成としている。
【0062】
これにより、ボックス体12のうちボス18,19に溶接される部位を二重構造とすることができるので、これらの部位の強度を確実に高めることができ、例えば捩れ方向の外力等に対しても高い剛性を確保することができる。
【0063】
この場合、ボス18,19は高い強度の筒体として形成され、上板13、下板14、左,右の側板15,16等はボスに比べて強度が低い鋼板等により形成されているため、このような強度が異なる2部材の溶接部位は高い強度に形成するのが好ましい。従って、ボックス体12の端部側に屈曲板部15B,15C,16B,16Cと補強板20,21とを配置することにより、強度が異なる2部材の溶接部位を確実に保護することができる。
【0064】
特に、本実施の形態では、左,右の側板15,16に屈曲板部15B,16B(または屈曲板部15C,16C)と補強板20,21とを配設しているので、アッパブーム11の両端側には、左,右両側が二重となった箱形状の断面構造を形成でき、十分に高い強度を得ることができる。
【0065】
また、補強板20,21を左,右の側板15,16の屈曲板部15B,15C,16B,16Cの外側に配置したので、左,右の側板15,16の側面板部15A,16Aと補強板20,21とをほぼ同一の平面上に連続して配設することができる。このため、補強板20,21がボックス体12から左,右方向に大きく食み出すことがないので、アッパブーム11を小型に形成しつつ、高い強度を得ることができる。
【0066】
そして、ボックス体12のうち必要な部位を屈曲板部15B,15C,16B,16Cと補強板20,21とによって補強できるので、ボス18,19から離れた部位では、例えば上板13、下板14、左,右の側板15,16等を必要最低限の厚さに形成することができる。これにより、ボス18,19の近傍では、リブや閉塞板等によって実現し得ない高い強度を確保しつつ、ボックス体12の重量を全体として小さく抑えることができ、小型・軽量で高い耐久性をもつアッパブーム11を実現することができる。
【0067】
また、左,右の側板15,16の屈曲板部15B,16Bを内側に曲げた分だけ、上板13、下板14と基端側ボス18との溶接部位を長く延ばすことができ、同じく屈曲板部15C,16Cを内側に曲げた分だけ、上板13、下板14と先端側ボス19との溶接部位を長く延ばすことができる。これにより、上板13、下板14とボス18,19との接合強度を高め、両者を強固に接合することができる。
【0068】
次に、図10は本発明に係るフロント装置の第2の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、左側板と右側板のうち一方の側板だけに屈曲板部を設け、その外側に補強板を配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0069】
31はフロント装置としてのアッパブームを示し、該アッパブーム31は、第1の実施の形態とほぼ同様に、上板(図示せず)、下板14、左側板15、右側板32等からなるボックス体12′と、ボス18,19、左補強板20等とによって構成されている。
【0070】
ここで、右側板32は、例えば屈曲板部をもたない平坦な鋼板等により形成され、上板、下板14及びボス18,19に溶接されている。そして、アッパブーム31は、右側の屈曲板部と補強板とを省略し、左側だけに屈曲板部15B,15Cと左補強板20とを設ける構成としている。
【0071】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、アッパブーム31の左側板15に屈曲板部15B,15Cを設けてその外側に左補強板20を配設し、右側板32を平坦な鋼板等によって構成したので、ボス18,19の近傍で必要最低限の強度を確保しつつ、アッパブーム31の構造を簡略化でき、設計自由度を高めることができる。
【0072】
次に、図11及び図12は本発明に係るフロント装置の第3の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、アッパブームの上板と下板に屈曲板部を設け、その外側に補強板を配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0073】
41はフロント装置としてのアッパブームを示し、該アッパブーム41は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述のボックス体42、ボス47,48、補強板49,50等によって構成されている。
【0074】
42はアッパブーム41の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体42は、図11、図12に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述の上板43、下板44、左側板45、右側板46等を溶接することにより、全体として角筒状に形成されている。
【0075】
43はボックス体42の上面を構成する上板で、該上板43は、両端側が屈曲した鋼板等からなり、上補強板49と共にアッパブーム41の上面を構成する上面板部43Aと、該上面板部43Aの基端側に一体形成された屈曲板部43Bと、上面板部43Aの先端側に一体形成された他の屈曲板部43Cとによって構成されている。
【0076】
そして、屈曲板部43B,43Cは、ボックス体42の長さ方向に延びつつ、下板44に向けて斜め内向きに屈曲し、左側板45と右側板46との間に配置されている。また、屈曲板部43B,43Cのうち基端側の屈曲板部43Bは、左,右の側板45,46と基端側ボス47とに溶接され、先端側の屈曲板部43Cは、左,右の側板45,46と先端側ボス48とに溶接されている。
【0077】
44はボックス体42の下面を構成する下板で、該下板44は、上板43とほぼ同様に、後述の下補強板50と共にアッパブーム41の下面を構成する下面板部44Aと、該下面板部44Aの基端側,先端側に一体形成され、上板43に向けて内側に屈曲した屈曲板部44B,44Cとによって構成されている。そして、基端側の屈曲板部44Bは、左,右の側板45,46と基端側ボス47とに溶接され、先端側の屈曲板部44Cは、左,右の側板45,46と先端側ボス48とに溶接されている。
【0078】
45はボックス体42の左側面を構成する左側板、46はボックス体42の右側面を構成する右側板で、これら左,右の側板45,46は、例えば平坦な鋼板等により形成され、上板43、下板44及びボス47,48に溶接されている。また、左側板45には、オフセットシリンダ用のブラケット45Aが固着されている。
【0079】
47,48は第1の実施の形態とほぼ同様に構成されたボスで、基端側ボス47の外周面には、上板43と下板44の屈曲板部43B,44B、左,右の側板45,46及び補強板49,50が溶接されている。また、先端側ボス48の外周面には、上板43と下板44の屈曲板部43C,44C、左,右の側板45,46及び補強板49,50が溶接されている。
【0080】
49は上板43の屈曲板部43B,43Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の上補強板を示し、これらの上補強板49は、第1の実施の形態の左補強板20とほぼ同様に、後述の下補強板50と協働することにより、ボックス体42のうちボス47,48が溶接される端部側の部位を二重構造とし、これらの部位を補強するものである。
【0081】
ここで、各上補強板49のうちボックス体42の基端側に位置する上補強板49は、上板43の屈曲板部43Bと基端側ボス47との間に溶接されると共に、左,右の側板45,46の間に溶接されている。また、ボックス体42の先端側に位置する上補強板49は、基端側の上補強板49とほぼ同様に、上板43の屈曲板部43B、左,右の側板45,46及び先端側ボス48にそれぞれ溶接されている。さらに、上補強板49は、ボックス体42から上,下方向に大きく食み出さないように、例えば上板43の上面板部43Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。
【0082】
50は下板44の屈曲板部44B,44Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の下補強板を示し、これらの下補強板50は、上補強板49とほぼ同様に、屈曲板部44B,44Cの外側に重なって配置されている。そして、基端側の下補強板50は、屈曲板部44B、左,右の側板45,46及び基端側ボス47に溶接され、先端側の下補強板50は、屈曲板部44C、左,右の側板45,46及び先端側ボス48に溶接されている。また、下補強板50は、下板44の下面板部44Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。
【0083】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、本実施の形態では、ボックス体42の上板43に屈曲板部43B,43Cを設けて上補強板49を配設し、下板44に屈曲板部44B,44Cを設けて下補強板50を配設する構成としている。
【0084】
これにより、ボックス体42の基端側には、上板43と下板44の屈曲板部43B,44B、左,右の側板45,46及び補強板49,50によって上,下両側が二重となった箱形状の断面構造を形成でき、またボックス体42の先端側にも、屈曲板部43C,44C、左,右の側板45,46及び補強板49,50によって同様の断面構造を形成することができる。
【0085】
従って、ボス47,48の近傍でボックス体42の強度を高めることができる。また、例えば構造上の制約等によりアッパブーム41の側面部位を補強し難い場合でも、上面部や下面部を二重構造とすることができ、設計自由度を高めることができる。
【0086】
次に、図13ないし図16は本発明に係るフロント装置の第4の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、アッパブームの上板、下板及び左,右の側板に屈曲板部をそれぞれ設け、その外側に補強板を配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0087】
51はフロント装置としてのアッパブームを示し、該アッパブーム51は、図13ないし図15に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述の上板53、下板54、左側板55、右側板56等により箱形状の中空構造体として形成されたボックス体52と、該ボックス体52の基端側,先端側に設けられたボス57,58と、後述の補強板59〜62等によって構成されている。
【0088】
ここで、上板53、下板54及び左,右の側板55,56は、両端側が屈曲した鋼板等によってそれぞれ形成されている。この場合、上板53は、第3の実施の形態とほぼ同様に、上面板部53Aと屈曲板部53B,53Cとによって構成され、下板54は、下面板部54Aと屈曲板部54B,54Cとによって構成されている。
【0089】
また、左側板55は、第1の実施の形態とほぼ同様に、側面板部55Aと屈曲板部55B,55Cとによって構成され、右側板56は、側面板部56Aと屈曲板部56B,56Cとによって構成されている。また、下板54と左側板55には、オフセットシリンダ用のブラケット54D,55Dが固着されている。
【0090】
そして、ボックス体52は、長さ方向中間部の四辺をなす上面板部53A、下面板部54A及び左,右の側面板部55A,56Aが角筒状に溶接され、基端側の四辺をなす屈曲板部53B,54B,55B,56Bが略角錐状に溶接されると共に、先端側の四辺をなす屈曲板部53C,54C,55C,56Cが略角錐状に溶接されている。
【0091】
また、屈曲板部53B,54B,55B,56Bの端部側は、第1または第3の実施の形態とほぼ同様に、基端側ボス57に溶接され、屈曲板部53C,54C,55C,56Cの端部側は先端側ボス58に溶接されている。
【0092】
59は上板53の屈曲板部53B,53Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の上補強板で、該各上補強板59は、第3の実施の形態とほぼ同様に、屈曲板部53Bと基端側ボス57との間、及び屈曲板部53Cと先端側ボス58との間に溶接されている。また、60は下板54の屈曲板部54B,54Cの外側にそれぞれ設けられた下補強板で、該各下補強板60は、上補強板59とほぼ同様に、屈曲板部54Bと基端側ボス57との間、及び屈曲板部54Cと先端側ボス58との間に溶接されている。
【0093】
さらに、61は左側板55の屈曲板部55B,55Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の左補強板、62は右側板56の屈曲板部56B,56Cの外側にそれぞれ設けられた右補強板で、これらの左補強板61と右補強板62とは、第1の実施の形態とほぼ同様に構成されている。
【0094】
そして、各補強板59〜62のうち、アッパブーム51の基端側に位置する上補強板59、下補強板60、左補強板61及び右補強板62は、図16に示す如く、屈曲板部53B,54B,55B,56Bを取囲む位置で箱形状に溶接され、これらの屈曲板部53B〜56Bと共に二重の筒状体を構成した状態で基端側ボス57に溶接されている。
【0095】
また、先端側の上補強板59、下補強板60、左補強板61及び右補強板62は、基端側の補強板とほぼ同様に、屈曲板部53C,54C,55C,56Cを取囲む位置で互いに溶接され、これらの屈曲板部53C〜56Cと共に二重の筒状体を構成した状態で先端側ボス58に溶接されている。
【0096】
さらに、上補強板59、下補強板60及び左,右の補強板61,62は、それぞれ上板53の上面板部53A,下板54の下面板部54A及び左,右の側板55,56の側面板部55A,56Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。
【0097】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、アッパブーム51の基端側に屈曲板部53B,54B,55B,56Bを設け、その外側には補強板59,60,61,62を設けると共に、アッパブーム51の先端側にも、屈曲板部53C〜56Cと他の補強板59〜62とによって同様の構造を設ける構成としている。
【0098】
これにより、ボックス体52の基端側では、四辺の屈曲板部53B〜56Bを箱形状に溶接でき、これを外側から取囲む位置で四辺の補強板59〜62を箱形状に溶接できると共に、ボックス体52の先端側でも、四辺の屈曲板部53C〜56Cと他の補強板59〜62とをそれぞれ箱形状に溶接することができる。従って、アッパブーム51の両端側をそれぞれ二重の箱形状に形成でき、これらの部位でアッパブーム51の強度を十分に高めることができる。
【0099】
次に、図17は本発明に係るフロント装置の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、オフセットブーム式作業装置のロアブームに適用したことにある。
【0100】
71はフロント装置としてのロアブームを示し、該ロアブーム71は、オフセットブーム式作業装置4のロアブーム4A(図1、図2参照)として用いられるものである。ここで、ロアブーム71は、例えば箱形の横断面形状を有し、先端側が湾曲した細長い中空構造体として形成され、車体の前,後方向に延びている。また、ロアブーム71は、後述のボックス体72、車体側ボス77、補強板78,79等によって構成されている。
【0101】
72はロアブーム71の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体72は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述の上板73、下板74、左側板75、右側板76等を溶接することにより、全体として角筒状に形成されている。
【0102】
73はボックス体72の上面を構成する上板で、該上板73は、第3の実施の形態とほぼ同様に、先端側が湾曲した上面板部73Aと、該上面板部73Aの基端側に一体形成された屈曲板部73Bとによって構成されている。また、上板73の先端側にはブラケット73Cが固着され、このブラケット73Cと後述する下板74のブラケット74Cとの間には、作業装置4のアッパブーム4B(図2参照)が連結される。
【0103】
74はボックス体72の下面を構成する下板で、該下板74は、上板73とほぼ同様に、下面板部74A、屈曲板部74B等からなり、上板73と上,下方向の間隔をもって対向すると共に、その先端側にはブラケット74Cが設けられている。
【0104】
75はボックス体72の左側面を構成する左側板で、該左側板75は、上板73と下板74との間に垂直に立設され、これらの間にほぼ全長にわたって溶接されている。また、左側板75の先端側には、作業装置4のオフセットシリンダ4G、リンク4K(図2参照)等を取付ける複数のブラケット75Aが突設されている。
【0105】
76はボックス体72の右側面を構成する右側板で、該右側板76は、左側板75と上,下方向の間隔をもって対向し、上板73と下板74との間にほぼ全長にわたって溶接されている。
【0106】
77はボックス体72の基端側に設けられた車体側ボスで、該車体側ボス77の外周面には、上板73と下板74の屈曲板部73B,74B、左,右の側板75,76及び補強板78,79がそれぞれ溶接されている。そして、ロアブーム71は、車体側ボス77が連結ピン(図示せず)等を用いて油圧ショベルの車体に回動可能に連結される。
【0107】
78は上板73の屈曲板部73Bの外側に設けられた上補強板で、該上補強板78は、第3の実施の形態とほぼ同様に、屈曲板部73Bと車体側ボス77との間に溶接されると共に、左,右の側板75,76に溶接されている。
【0108】
79は下板74の屈曲板部74Bの外側に設けられた下補強板で、該下補強板79は、上補強板78とほぼ同様に、屈曲板部74B、左,右の側板75,76及び車体側ボス77に溶接されている。
【0109】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、オフセットブーム式作業装置のロアブーム71にも適用でき、適用対象を広げることができる。
【0110】
次に、図18は本発明に係るフロント装置の第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、作業装置のアームに適用したことにある。
【0111】
81はフロント装置としてのアームを示し、該アーム81は、例えばオフセットブーム式作業装置4のアーム4D(図1、図2参照)として用いられるものである。ここで、アーム81は、例えば箱形の横断面形状を有する細長い中空構造体として形成され、後述のボックス体82、ボス87,88、下補強板89等によって構成されている。
【0112】
82はアーム81の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体82は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述の上板83、下板84、左側板85、右側板86等を溶接することにより、全体として角筒状に形成されている。
【0113】
83はボックス体82の上面を構成する上板で、該上板83は、例えば平坦な鋼板等からなり、その基端側には、上板83の一部を構成する端面板83Aが設けられ、端面板83Aには、一対のブラケット83Bが溶接されている。これらのブラケット83Bには、アーム81を回動させるアームシリンダ4H(図2参照)が連結される。
【0114】
84はボックス体82の下面を構成する下板で、該下板84は、第3の実施の形態とほぼ同様に、例えば平坦な鋼板等からなる下面板部84Aと、該下面板部84Aの基端側に一体形成され、内側に屈曲した屈曲板部84Bとによって構成されている。
【0115】
85はボックス体82の左側面を構成する左側板、86はボックス体82の右側面を構成する右側板で、これら左,右の側板85,86は、上板83と下板84との間に左,右方向の間隔をもって立設され、これらの間にほぼ全長にわたって溶接されている。また、左,右の側板85,86の基端側は上板83の端面板83Aに溶接されている。
【0116】
87はボックス体82の基端側に設けられたブーム側ボスで、該ブーム側ボス87は、作業装置4のアーム支持体4C(図2参照)が回動可能にピン結合される部位であり、その外周面には、上板83(端面板83A)、下板84の屈曲板部84B、左,右の側板85,86及び下補強板89がそれぞれ溶接されている。
【0117】
88はボックス体82の先端側に設けられたバケット側ボスで、該バケット側ボス88は、作業装置4のバケット4E(図2参照)が回動可能にピン結合される部位であり、その外周面には、上板83、下板84及び左,右の側板85,86がそれぞれ溶接されている。
【0118】
89は下板84の屈曲板部84Bの外側に設けられた下補強板で、該下補強板89は、第3の実施の形態とほぼ同様に、屈曲板部84Bとブーム側ボス87との間に溶接されると共に、左,右の側板85,86に溶接されている。
【0119】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、作業装置のアーム81にも適用することができ、適用対象を広げることができる。
【0120】
次に、図19及び図20は本発明に係るフロント装置の第7の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、上,下方向に俯仰動される標準的な作業装置に適用したことにある。
【0121】
90は油圧ショベルの車体(図示せず)に俯仰動可能に設けられる作業装置で、該作業装置90は、基端側が車体に俯仰動可能に連結されるブーム90Aと、該ブーム90Aの先端側に回動可能に連結されたアーム90Bと、該アーム90Bの先端側に回動可能に連結された作業具としてのバケット90Cと、これらをそれぞれ作動させるブームシリンダ(図示せず)、アームシリンダ90D、バケットシリンダ90Eとにより大略構成されている。
【0122】
91はフロント装置としてのブームで、該ブーム91は、作業装置90のブーム90Aとして用いられるものである。ここで、ブーム91は、図20に示す如く、例えば箱形の横断面形状を有し、略「く」字状に湾曲した細長い中空構造体として形成され、後述のボックス体92、車体側ボス97、補強版98,99等によって構成されている。
【0123】
92はブーム91の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体92は、第1の実施の形態とほぼ同様に、互いに溶接された後述の上板93、下板94、左,右の側板95,96等によって構成されている。
【0124】
93はボックス体92の上面を構成する上板で、該上板93は、第3の実施の形態とほぼ同様に、例えば略「く」字状に湾曲して形成された上面板部93Aと、該上面板部93Aの基端側に一体形成され、内側に屈曲した屈曲板部93Bとにより構成されている。また、94はボックス体92の下面を構成する下板で、該下板94は、上板93とほぼ同様に、下面板部94Aと屈曲板部94Bとにより構成されている。
【0125】
95はボックス体92の左側面を構成する左側板、96はボックス体92の右側面を構成する右側板で、これら左,右の側板95,96は、上板93と下板94との間にほぼ全長にわたって溶接されている。また、左,右の側板95,96の先端側には、バケット90Cを連結するブラケット95A,96Aが設けられている。
【0126】
97はボックス体92の基端側に設けられた車体側ボスで、該車体側ボス97の外周面には、上板93と下板94の屈曲板部93B,94B、左,右の側板95,96及び補強板98,99がそれぞれ溶接されている。そして、ブーム91は、車体側ボス97が連結ピン(図示せず)等を用いて油圧ショベルの車体に回動可能に連結される。
【0127】
98は上板93の屈曲板部93Bの外側に設けられた上補強板で、該上補強板98は、第3の実施の形態とほぼ同様に、屈曲板部93Bと車体側ボス97との間に溶接されると共に、左,右の側板95,96に溶接されている。また、99は下板94の屈曲板部94Bの外側に設けられた下補強板で、該下補強板99は、上補強板98とほぼ同様に、屈曲板部94B、左,右の側板95,96及び車体側ボス97に溶接されている。
【0128】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、オフセットブーム式以外の作業装置90にも適用することができ、適用対象を広げることができる。
【0129】
なお、前記第2の実施の形態では、アッパブーム31の左側板15だけに屈曲板部15Bを形成して左補強板20を設け、右側板32には平坦な鋼板等を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、フロント装置の右側板だけに屈曲板部を形成して右補強板を設け、左側板は平坦な鋼板等を用いる構成としてもよい。
【0130】
これと同様に、第3の実施の形態では、アッパブーム41の上板43と下板44に屈曲板部43B,43Cを形成して補強板49,50を設ける構成としたが、上板と下板のうち何れか一方の板だけに屈曲板部を形成して補強板を設け、他方の板は平坦な鋼板等によって構成してもよい。
【0131】
また、第4の実施の形態では、アッパブーム51の上板53、下板54、左側板55及び右側板56に屈曲板部53B〜56B,53C〜56Cを形成して補強板59〜62を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、上板、下板及び左,右の側板からなる四辺のうち互いに隣接する二辺または三辺だけに屈曲板部と補強板とを配置し、残りの辺は平坦な鋼板等によって構成してもよい。
【0132】
また、第1ないし第4の実施の形態では、フロント装置の基端側と先端側の両方に屈曲板部を形成して補強板を配置する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、フロント装置の基端側と先端側のうち何れか一方の端部だけに屈曲板部と補強板とを配置し、他方の端部にはこれらを配置しない構成としてもよい。
【0133】
一方、第1ないし第4の実施の形態では、アッパブーム11,31,41,51の各部位に屈曲板部と補強板とを配置する構成とした。しかし、これらの実施の形態はアッパブームに限らず、例えば第1ないし第4の実施の形態における屈曲板部や補強板の配置を、第5ないし第7の実施の形態のロアブーム71、アーム81、ブーム91等に適用することもできる。
【0134】
また、実施の形態では、油圧ショベル1に適用した場合を例に挙げて述べたが、本発明はこれに限らず、油圧クレーン等を含めて他の建設機械に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施の形態に適用されるオフセットブーム式の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中の作業装置を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるアッパブームを単体で示す正面図である。
【図4】アッパブームを図3中の矢示IV−IV方向からみた縦断面図である。
【図5】アッパブームを図4中の矢示V−V方向からみた縦断面図である。
【図6】アッパブームを分解した状態で拡大して示す分解斜視図である。
【図7】アッパブームの基端側を拡大して示す図4中の要部拡大断面図である。
【図8】アッパブームの基端側を図7中の矢示VIII−VIII方向から拡大してみた横断面図である。
【図9】比較例のアッパブームを図8と同様位置からみた横断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態によるアッパブームを図4と同様位置からみた縦断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態によるアッパブームを上側からみた平面図である。
【図12】アッパブームを図11中の矢示XII−XII方向からみた縦断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態によるアッパブームを示す正面図である。
【図14】アッパブームを図13中の矢示XIV−XIV方向からみた縦断面図である。
【図15】アッパブームを図14中の矢示XV−XV方向からみた縦断面図である。
【図16】アッパブームを図15中の矢示XVI−XVI方向から拡大してみた縦断面図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態によるロアブームを示す斜視図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態によるアームを示す斜視図である。
【図19】本発明の第7の実施の形態に適用される油圧ショベルの作業装置を示す正面図である。
【図20】本発明の第7の実施の形態によるブームを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0136】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4,90 作業装置
4A,71 ロアブーム(フロント装置)
4B,11,31,41,51 アッパブーム(フロント装置)
90A,91 ブーム(フロント装置)
4D,81,90B アーム(フロント装置)
4E,90C バケット(作業具)
12,12′,42,52,72,82,92 ボックス体
13,43,53,73,83,93 上板
14,44,54,74,84,94 下板
15,45,55,75,85,95 左側板
16,32,46,56,76,86,96 右側板
15B,15C,16B,16C,43B,43C,44B,44C,53B,53C,54B,54C,55B,55C,56B,56C,73B,74B,84B,93B,94B 屈曲板部
18,19,47,48,57,58,77,87,88,97 ボス
20,61 左補強板
21,62 右補強板
49,59,78,98 上補強板
50,60,79,89,99 下補強板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に搭載され、作業装置のブーム、アーム等として好適に用いられるフロント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械には、掘削作業、吊荷作業等を行うための作業装置が俯仰動可能に設けられている。そして、このような作業装置としては、例えば油圧ショベルの作業装置のように、ブーム、アーム等のフロント装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−81810号公報
【0004】
この種の従来技術によるフロント装置として、油圧ショベルのブームを例に挙げると、このブームは、上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより箱形状の中空構造体として形成されたボックス体と、該ボックス体の基端側に設けられ、油圧ショベルの車体側に俯仰動可能に連結されるボスとを備えている。
【0005】
ここで、ボスは、高い強度をもつ筒状の金属材料等からなり、その外周面には、ボックス体の上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されている。また、ボックス体の先端側には、作業装置のアームが回動可能に連結されるブラケットが設けられている。
【0006】
また、従来技術では、中空なボックス体の強度を確保するために、各種の補強構造を設けている。この場合、特許文献1の従来技術では、例えばブームの左側板の長さ方向途中部位に凹凸形状のリブを設ける構成としている。また、他の従来技術では、例えばボックス体の上板、下板、左,右の側板等を厚肉な鋼板等によって形成したり、ボックス体の内部に当該ボックス体内の空間を長さ方向途中部位で閉塞する閉塞板を設ける構成としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術では、高い強度をもつボスと、これに比べて強度が低い上板、下板、左,右の側板等とが溶接されているため、フロント装置の設計時には、このような強度が異なる2部材の溶接部位で強度を確保したいという要求がある。
【0008】
しかし、特許文献1の従来技術では、例えばブームの左側板の長さ方向途中部位にリブを設ける構成としている。このようなリブでは、左側板の曲げ強度等を増大し得るものの、ボックス体の強度を全体として大きく向上させるには限界があるため、ボスの近傍で十分な強度を確保するのが難しいという問題がある。
【0009】
また、他の従来技術では、例えばボックス体の上板、下板、左,右の側板等を厚肉な鋼板等によって形成したり、その内部に閉塞板を設ける構成としている。しかし、単に厚肉な鋼板等を用いた場合には、ブームの重量が増大し、これを駆動するアクチュエータの大型化や運転効率の低下を招くという問題がある。また、ボックス体の内部に閉塞板を配置したとしても、この閉塞板はボスから離れた位置に配設されるため、ボスの近傍では強度が不足することがある。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ボックス体の重量を抑えつつ、ボスの近傍でボックス体の強度を容易に高めることができ、耐久性を向上できるようにしたフロント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために本発明は、上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより形成されたボックス体と、該ボックス体の少なくとも一方の端部に設けられ前記上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されるボスとを備えてなるフロント装置に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、左側板と右側板のうち少なくとも一方の側板には内側に屈曲した屈曲板部を設け、屈曲板部の外側には側板とボスとの間に補強板を設ける構成としたことにある。
【0013】
また、請求項2の発明によると、上板と下板のうち少なくとも一方の板には内側に屈曲した屈曲板部を設け、屈曲板部の外側には前記板とボスとの間に補強板を設ける構成としている。
【0014】
また、請求項3の発明によると、左側板と右側板のうち少なくとも一方の側板には内側に屈曲した一の屈曲板部を設けると共に、上板と下板のうち少なくとも一方の板には内側に屈曲した他の屈曲板部を設け、一の屈曲板部の外側には側板とボスとの間に一の補強板を設けると共に、他の屈曲板部の外側には板とボスとの間に他の補強板を設ける構成としている。
【0015】
また、請求項4の発明によると、ボックス体は、建設機械の車体に俯仰動可能に連結されるロアブームと、該ロアブームの先端側に左,右方向に揺動可能に連結されたアッパブームと、該アッパブームの先端側にアーム支持体を介して回動可能に連結され作業具が取付けられたアームとのうち少なくとも1個の部材を構成している。
【0016】
さらに、請求項5の発明によると、ボックス体は、建設機械の車体に俯仰動可能に連結されるブームと、該ブームの先端側に回動可能に連結され作業具が取付けられたアームとのうち少なくとも一方の部材を構成している。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、ボックス体の左側板、右側板または左,右両側の側板には、ボスに溶接される端部側の位置に屈曲板部を設けることができ、この屈曲板部の外側には補強板を設けることができる。これにより、ボックス体のうちボスに溶接される部位を二重構造とすることができるので、この部位の強度を高めることができ、例えば捩れ方向の外力等に対しても高い剛性を確保することができる。
【0018】
この場合、ボスは高い強度の筒体として形成され、上板、下板、左,右の側板等を構成する鋼板はボスに比べて強度が低いため、このような強度が異なる2部材の溶接部位は高い強度に形成するのが好ましい。従って、ボックス体の端部側に屈曲板部と補強板とを配置することにより、強度が異なる2部材の溶接部位を確実に保護することができる。
【0019】
また、補強板を屈曲板部の外側に配置したので、例えば左,右の側板のうち屈曲板部以外の部位と補強板とをほぼ同一の平面上に連続して配設することができる。このため、補強板がボックス体から外側に大きく食み出すことがないので、フロント装置を小型に形成しつつ、高い強度を得ることができる。
【0020】
そして、ボックス体のうち必要な部位を屈曲板部と補強板とによって補強できるので、ボスから離れた部位では、例えば上板、下板、左,右の側板等を必要最低限の厚さに形成することができる。これにより、ボスの近傍では、リブや閉塞板等によって実現し得ない高い強度を確保しつつ、ボックス体の重量を全体として小さく抑えることができ、小型・軽量で高い耐久性をもつフロント装置を実現することができる。
【0021】
また、請求項2の発明によれば、ボックス体の上板、下板または上,下両側の板には、屈曲板部を設けて補強板を配設できるので、ボスに溶接される部位を二重構造とすることができ、この部位でボックス体の強度を高めることができる。また、補強板がボックス体から外側に大きく食み出すことがないので、フロント装置を小型に形成することができる。従って、ボスの近傍ではリブや閉塞板等によって実現し得ない高い強度を確保しつつ、ボックス体の重量を全体として小さく抑えることができ、小型・軽量で高い強度のフロント装置を実現することができる。
【0022】
また、請求項3の発明によれば、ボックス体の上板または下板に屈曲板部を設けて補強板を配設できると共に、左側板または右側板に屈曲板部を設けて補強板を配設できるので、請求項1,2を合わせた作用効果を得ることができる。また、例えば上板、下板及び左,右の側板に屈曲板部を設けて各屈曲板部の外側に補強板をそれぞれ配設でき、このように構成した場合には、例えば上,下、左,右の屈曲板部を箱形状に溶接できると共に、これを外側から取囲む位置で上,下、左,右の補強板を箱形状に溶接することができる。これにより、ボックス体をボスの近傍で二重の箱形状に形成でき、この部位でフロント装置の強度を十分に高めることができる。
【0023】
また、請求項4の発明によれば、例えばオフセットブーム式作業装置を構成するロアブーム、アッパブーム、アーム等のフロント装置に対して、屈曲板部や補強板を設けることができる。従って、これらのフロント装置の強度を必要に応じて高めることができ、適用対象を広げることができる。
【0024】
さらに、請求項5の発明によれば、オフセットブーム式以外の作業装置を構成するブーム、アーム等のフロント装置に対して、屈曲板部や補強板を設けることができ、適用対象を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明によるフロント装置について、図1ないし図20を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
まず、図1及び図2により、本発明の実施の形態のフロント装置が適用される建設機械として、オフセットブーム式の油圧ショベルについて説明する。
【0027】
図中、1はオフセットブーム式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部に俯仰動可能に取付けられ、土砂等の掘削作業を行う後述の作業装置4とにより大略構成されている。また、下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベルの車体を構成している。
【0028】
4は上部旋回体3に俯仰動可能に設けられたオフセットブーム式の作業装置で、該作業装置4は、図1、図2に示す如く、基端側が上部旋回体3に俯仰動可能に連結されたロアブーム4Aと、該ロアブーム4Aの先端側に左,右方向に揺動可能に連結されたアッパブーム4Bと、該アッパブーム4Bの先端側に左,右方向に揺動可能に連結されたアーム支持体4Cと、該アーム支持体4Cの先端側に上,下方向に回動可能に連結されたアーム4Dと、該アーム4Dの先端側に回動可能に取付けられた作業具としてのバケット4Eと、シリンダ4F,4G,4H,4J、リンク4K等とにより構成されている。
【0029】
ここで、ブームシリンダ4Fは、上部旋回体3とロアブーム4Aとの間に設けられ、ロアブーム4Aを上,下方向に俯仰動させる。また、オフセットシリンダ4Gは、ロアブーム4Aとアッパブーム4Bとの間に設けられ、アッパブーム4Bを左,右方向に揺動させる。また、アームシリンダ4Hは、アーム支持体4Cとアーム4Dとの間に設けられ、アーム4Dを回動させる。さらに、バケットシリンダ4Jは、アーム4Dとバケット4Eとの間に設けられ、バケット4Eを回動させるものである。
【0030】
一方、リンク4Kは、ロアブーム4Aとアーム支持体4Cとの間に設けられ、ロアブーム4A、アッパブーム4B、アーム支持体4Cと共に平行リンク機構を構成している。そして、オフセットシリンダ4Gが伸縮するときには、その伸縮動作によってアッパブーム4Bが左,右方向に揺動されると、アーム支持体4Cがリンク4Kによってアッパブーム4Bと左,右方向の逆向きに揺動される。これにより、アーム4D及びバケット4Eは、ロアブーム4Aと平行な状態を保持しつつ、車体の左側または右側に移動(オフセット)されるので、油圧ショベル1は、この位置で側溝掘り等の掘削作業を行うことができる。
【0031】
次に、本発明の第1の実施の形態によるフロント装置について、オフセットブーム式油圧ショベルのアッパブームを例に挙げ、図3ないし図8を参照して詳細に説明する。
【0032】
まず、11はフロント装置としてのアッパブームを示し、該アッパブーム11は、図1と図2に示されるオフセットブーム式作業装置4のアッパブーム4Bとして用いられるものである。ここで、アッパブーム11は、例えば箱形(四角形)の横断面形状を有する細長い中空構造体として形成され、車体の前,後方向に延びている。また、アッパブーム11は、後述のボックス体12、ボス18,19、補強版20,21等によって構成されている。
【0033】
12はアッパブーム11の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体12は、図3ないし図6に示す如く、後述の上板13、下板14、左側板15、右側板16等によって構成されている。そして、ボックス体12は、これらの鋼板を接合(溶接)することにより、全体として前,後方向に延びる角筒状に形成されている。
【0034】
13はボックス体12の上面を構成する上板で、該上板13は、例えば平坦な鋼板等によって形成されている。また、上板13の上面には、その両端側とボス18,19との間を補強する例えば2枚の金属板13Aが溶接されている。
【0035】
14はボックス体12の下面を構成する下板で、該下板14は、上板13とほぼ同様の鋼板等からなり、上板13と上,下方向の間隔をもって対向している。また、下板14の左端面にはブラケット14Aが固着されている。そして、このブラケット14Aと後述する左側板15のブラケット15Dとの間には、オフセットシリンダ4G(図2参照)が回動可能に取付けられる。
【0036】
15はボックス体12の左側面を構成する左側板で、該左側板15は、例えば両端側が略「く」字状に屈曲した細長い鋼板等からなり、上板13と下板14との間にほぼ垂直に立設されると共に、これらの間に全長にわたって溶接されている。
【0037】
ここで、左側板15は、後述の左補強板20と共にアッパブーム11の左側面を構成する側面板部15Aと、該側面板部15Aの基端側に一体形成された屈曲板部15Bと、側面板部15Aの先端側に一体形成された他の屈曲板部15Cとにより構成されている。そして、側面板部15Aは、ボックス体12の中間部に配置され、その長さ方向に沿って延びている。また、側面板部15Aの外側には、オフセットシリンダ4G用のブラケット15Dが固着されている。
【0038】
また、2個の屈曲板部15B,15Cは、各左補強板20の内側にそれぞれ配置され、ボックス体12の長さ方向に延びつつ、右側板16に向けて内側(斜め内向き)に屈曲し、上板13と下板14との間に配置されている。そして、基端側の屈曲板部15Bは、その3辺が上板13、下板14及び基端側ボス18に溶接され、先端側の屈曲板部15Cは、その3辺が上板13、下板14及び先端側ボス19に溶接されている。
【0039】
16はボックス体12の右側面を構成する右側板で、該右側板16は、左側板15とほぼ同様に、両端側が屈曲した細長い鋼板等によって形成され、上板13と下板14との間に全長にわたって溶接されている。そして、右側板16は、後述の右補強板21と共にアッパブーム11の右側面を構成する側面板部16Aと、該側面板部16Aの基端側に一体形成された屈曲板部16Bと、側面板部16Aの先端側に一体形成された他の屈曲板部16Cとにより構成されている。
【0040】
また、屈曲板部16B,16Cは、各右補強板21の内側でボックス体12の長さ方向に延びつつ、左側板15に向けて内側に屈曲している。そして、基端側の屈曲板部16Bは、その3辺が上板13、下板14及び基端側ボス18に溶接され、先端側の屈曲板部15Cは、その3辺が上板13、下板14及び先端側ボス19に溶接されている。また、左側板15と右側板16とは互いに左,右方向の間隔をもって対向し、これらの側面板部15A,16Aの間には補強用の連結板17が溶接されている。
【0041】
18はボックス体12の基端側に設けられた基端側ボスで、該基端側ボス18は、例えば筒状の金属材料等からなり、その外周面には、上板13及び下板14の端部側と、左側板15及び右側板16の屈曲板部15B,16Bの端部側と、後述の補強板20,21とがそれぞれ溶接されている。
【0042】
19はボックス体12の先端側に設けられた先端側ボスで、該先端側ボス19の外周面には、基端側ボス18とほぼ同様に、上板13、下板14、左,右の側板15,16の屈曲板部15C,16C及び補強板20,21が溶接されている。
【0043】
そして、アッパブーム11は、基端側ボス18が連結ピン等を用いてロアブーム4A(図2参照)に左,右方向に揺動可能にピン結合され、先端側ボス19が他の連結ピン等を用いてアーム支持体4Cと左,右方向に揺動可能にピン結合される。
【0044】
20は左側板15の屈曲板部15B,15Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の左補強板で、これらの左補強板20は、図3、図4に示す如く、例えば長方形状の平坦な鋼板等からなり、左側板15の屈曲板部15B,15Cの外側に重なった状態でその長さ方向に延びている。これにより、左補強板20は、後述の右補強板21と協働して、ボックス体12のうちボス18,19が溶接される端部側の部位を二重構造とし、これらの部位を補強するものである。
【0045】
ここで、各左補強板20のうちボックス体12の基端側に位置する左補強板20は、屈曲板部15Bと基端側ボス18との間に溶接されると共に、上板13と下板14との間に溶接されている。また、ボックス体12の先端側に位置する左補強板20は、基端側の左補強板20とほぼ同様に、上板13、下板14、屈曲板部15C及び先端側ボス19にそれぞれ溶接されている。
【0046】
また、左補強板20は、例えば左側板15の側面板部15Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。これにより、左補強板20は、ボックス体12から外側に大きく食み出すことがないので、アッパブーム11をコンパクトに形成することができる。
【0047】
21は右側板16の屈曲板部16B,16Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の右補強板で、これらの右補強板21は、図4ないし図8に示す如く、左補強板20とほぼ同様に、例えば長方形状の鋼板等からなり、右側板16の屈曲板部16B,16Cの外側に重なった状態でその長さ方向に延びている。
【0048】
そして、基端側の右補強板21は、屈曲板部16Bと基端側ボス18との間に溶接されると共に、上板13と下板14との間に溶接されている。また、先端側の右補強板21もほぼ同様に、上板13、下板14、屈曲板部16C及び先端側ボス19にそれぞれ溶接されている。また、右補強板21は、右側板16の側面板部16Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。
【0049】
これにより、ボックス体12の基端側には、図8に示す如く、上板13、下板14、左,右の側板15,16の屈曲板部15B,16B及び補強板20,21によって、左,右両側が二重となった箱形状の断面構造を形成することができる。また、ボックス体12の先端側にも、屈曲板部15C,16C、補強板20,21等によって同様の断面構造を形成することができる。従って、このような二重構造によってボックス体12の両端側を補強でき、ボックス体12とボス18,19とを強固に溶接することができる。
【0050】
次に、ボックス体12の断面構造と強度との関係について、基端側ボス18の近傍を例に挙げて具体的に説明する。
【0051】
まず、図8において、ボックス体12は上,下方向の寸法Hをもって形成され、その上板13と下板14とは寸法hだけ離間しているものとする。また、上板13と下板14とは左,右方向の幅寸法Wを有し、補強板20,21から寸法(A/2)だけ左,右方向に突出している。さらに、左,右の側板15,16の屈曲板部15B,16Bは、ある特定の位置において左,右方向の間隔寸法dをもって対向し、これらの外側には、寸法(B/2)の隙間をもって補強板20,21が配置されているものとする。
【0052】
この場合、ボックス体12の断面二次モーメントIは、各寸法H,h,A,B,d,Wを用いて、下記数1の式のように表すことができる。
【0053】
【数1】
【0054】
一方、従来技術のアッパブームを、本実施の形態と同様の厚さをもつ鋼板によって形成すると、例えば図9に示す比較例のようになる。この比較例のアッパブーム100において、ボックス体101の上板102、下板103及び左,右の側板104,105に関連した寸法H,h,A,Wを、本実施の形態によるアッパブーム11と同様に形成し、左,右の側板104,105間の間隔寸法をDとした場合には、ボックス体101の断面二次モーメントJを下記数2の式のように表すことができる。
【0055】
【数2】
【0056】
この場合、図8、図9から判るように、前記数1の式に含まれる寸法B,dの加算値(B+d)は、前記数2の式に含まれる間隔寸法Dよりも屈曲板部15B,16Bの板厚分だけ小さくなるので、下記数3の式が成立する。
【0057】
【数3】
【0058】
この数3の式を考慮しつつ、前記数1,数2の式の大小関係を比較することにより、下記数4の式を得ることができる。
【0059】
【数4】
【0060】
従って、本実施の形態によるボックス体12の基端側の断面二次モーメントIを、比較例の断面二次モーメントJよりも増大させることができ、この部位でアッパブーム11の断面係数を大きくすることができるので、アッパブーム11の強度を基端側で高めることができる。これと同様に、アッパブーム11の先端側でも強度を高めることができる。
【0061】
かくして、本実施の形態によれば、アッパブーム11の左側板15に屈曲板部15B,15Cを設けてその外側に左補強板20を配設し、右側板16に屈曲板部16B,16Cを設けてその外側に右補強板21を配設する構成としている。
【0062】
これにより、ボックス体12のうちボス18,19に溶接される部位を二重構造とすることができるので、これらの部位の強度を確実に高めることができ、例えば捩れ方向の外力等に対しても高い剛性を確保することができる。
【0063】
この場合、ボス18,19は高い強度の筒体として形成され、上板13、下板14、左,右の側板15,16等はボスに比べて強度が低い鋼板等により形成されているため、このような強度が異なる2部材の溶接部位は高い強度に形成するのが好ましい。従って、ボックス体12の端部側に屈曲板部15B,15C,16B,16Cと補強板20,21とを配置することにより、強度が異なる2部材の溶接部位を確実に保護することができる。
【0064】
特に、本実施の形態では、左,右の側板15,16に屈曲板部15B,16B(または屈曲板部15C,16C)と補強板20,21とを配設しているので、アッパブーム11の両端側には、左,右両側が二重となった箱形状の断面構造を形成でき、十分に高い強度を得ることができる。
【0065】
また、補強板20,21を左,右の側板15,16の屈曲板部15B,15C,16B,16Cの外側に配置したので、左,右の側板15,16の側面板部15A,16Aと補強板20,21とをほぼ同一の平面上に連続して配設することができる。このため、補強板20,21がボックス体12から左,右方向に大きく食み出すことがないので、アッパブーム11を小型に形成しつつ、高い強度を得ることができる。
【0066】
そして、ボックス体12のうち必要な部位を屈曲板部15B,15C,16B,16Cと補強板20,21とによって補強できるので、ボス18,19から離れた部位では、例えば上板13、下板14、左,右の側板15,16等を必要最低限の厚さに形成することができる。これにより、ボス18,19の近傍では、リブや閉塞板等によって実現し得ない高い強度を確保しつつ、ボックス体12の重量を全体として小さく抑えることができ、小型・軽量で高い耐久性をもつアッパブーム11を実現することができる。
【0067】
また、左,右の側板15,16の屈曲板部15B,16Bを内側に曲げた分だけ、上板13、下板14と基端側ボス18との溶接部位を長く延ばすことができ、同じく屈曲板部15C,16Cを内側に曲げた分だけ、上板13、下板14と先端側ボス19との溶接部位を長く延ばすことができる。これにより、上板13、下板14とボス18,19との接合強度を高め、両者を強固に接合することができる。
【0068】
次に、図10は本発明に係るフロント装置の第2の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、左側板と右側板のうち一方の側板だけに屈曲板部を設け、その外側に補強板を配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0069】
31はフロント装置としてのアッパブームを示し、該アッパブーム31は、第1の実施の形態とほぼ同様に、上板(図示せず)、下板14、左側板15、右側板32等からなるボックス体12′と、ボス18,19、左補強板20等とによって構成されている。
【0070】
ここで、右側板32は、例えば屈曲板部をもたない平坦な鋼板等により形成され、上板、下板14及びボス18,19に溶接されている。そして、アッパブーム31は、右側の屈曲板部と補強板とを省略し、左側だけに屈曲板部15B,15Cと左補強板20とを設ける構成としている。
【0071】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、アッパブーム31の左側板15に屈曲板部15B,15Cを設けてその外側に左補強板20を配設し、右側板32を平坦な鋼板等によって構成したので、ボス18,19の近傍で必要最低限の強度を確保しつつ、アッパブーム31の構造を簡略化でき、設計自由度を高めることができる。
【0072】
次に、図11及び図12は本発明に係るフロント装置の第3の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、アッパブームの上板と下板に屈曲板部を設け、その外側に補強板を配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0073】
41はフロント装置としてのアッパブームを示し、該アッパブーム41は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述のボックス体42、ボス47,48、補強板49,50等によって構成されている。
【0074】
42はアッパブーム41の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体42は、図11、図12に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述の上板43、下板44、左側板45、右側板46等を溶接することにより、全体として角筒状に形成されている。
【0075】
43はボックス体42の上面を構成する上板で、該上板43は、両端側が屈曲した鋼板等からなり、上補強板49と共にアッパブーム41の上面を構成する上面板部43Aと、該上面板部43Aの基端側に一体形成された屈曲板部43Bと、上面板部43Aの先端側に一体形成された他の屈曲板部43Cとによって構成されている。
【0076】
そして、屈曲板部43B,43Cは、ボックス体42の長さ方向に延びつつ、下板44に向けて斜め内向きに屈曲し、左側板45と右側板46との間に配置されている。また、屈曲板部43B,43Cのうち基端側の屈曲板部43Bは、左,右の側板45,46と基端側ボス47とに溶接され、先端側の屈曲板部43Cは、左,右の側板45,46と先端側ボス48とに溶接されている。
【0077】
44はボックス体42の下面を構成する下板で、該下板44は、上板43とほぼ同様に、後述の下補強板50と共にアッパブーム41の下面を構成する下面板部44Aと、該下面板部44Aの基端側,先端側に一体形成され、上板43に向けて内側に屈曲した屈曲板部44B,44Cとによって構成されている。そして、基端側の屈曲板部44Bは、左,右の側板45,46と基端側ボス47とに溶接され、先端側の屈曲板部44Cは、左,右の側板45,46と先端側ボス48とに溶接されている。
【0078】
45はボックス体42の左側面を構成する左側板、46はボックス体42の右側面を構成する右側板で、これら左,右の側板45,46は、例えば平坦な鋼板等により形成され、上板43、下板44及びボス47,48に溶接されている。また、左側板45には、オフセットシリンダ用のブラケット45Aが固着されている。
【0079】
47,48は第1の実施の形態とほぼ同様に構成されたボスで、基端側ボス47の外周面には、上板43と下板44の屈曲板部43B,44B、左,右の側板45,46及び補強板49,50が溶接されている。また、先端側ボス48の外周面には、上板43と下板44の屈曲板部43C,44C、左,右の側板45,46及び補強板49,50が溶接されている。
【0080】
49は上板43の屈曲板部43B,43Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の上補強板を示し、これらの上補強板49は、第1の実施の形態の左補強板20とほぼ同様に、後述の下補強板50と協働することにより、ボックス体42のうちボス47,48が溶接される端部側の部位を二重構造とし、これらの部位を補強するものである。
【0081】
ここで、各上補強板49のうちボックス体42の基端側に位置する上補強板49は、上板43の屈曲板部43Bと基端側ボス47との間に溶接されると共に、左,右の側板45,46の間に溶接されている。また、ボックス体42の先端側に位置する上補強板49は、基端側の上補強板49とほぼ同様に、上板43の屈曲板部43B、左,右の側板45,46及び先端側ボス48にそれぞれ溶接されている。さらに、上補強板49は、ボックス体42から上,下方向に大きく食み出さないように、例えば上板43の上面板部43Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。
【0082】
50は下板44の屈曲板部44B,44Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の下補強板を示し、これらの下補強板50は、上補強板49とほぼ同様に、屈曲板部44B,44Cの外側に重なって配置されている。そして、基端側の下補強板50は、屈曲板部44B、左,右の側板45,46及び基端側ボス47に溶接され、先端側の下補強板50は、屈曲板部44C、左,右の側板45,46及び先端側ボス48に溶接されている。また、下補強板50は、下板44の下面板部44Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。
【0083】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。即ち、本実施の形態では、ボックス体42の上板43に屈曲板部43B,43Cを設けて上補強板49を配設し、下板44に屈曲板部44B,44Cを設けて下補強板50を配設する構成としている。
【0084】
これにより、ボックス体42の基端側には、上板43と下板44の屈曲板部43B,44B、左,右の側板45,46及び補強板49,50によって上,下両側が二重となった箱形状の断面構造を形成でき、またボックス体42の先端側にも、屈曲板部43C,44C、左,右の側板45,46及び補強板49,50によって同様の断面構造を形成することができる。
【0085】
従って、ボス47,48の近傍でボックス体42の強度を高めることができる。また、例えば構造上の制約等によりアッパブーム41の側面部位を補強し難い場合でも、上面部や下面部を二重構造とすることができ、設計自由度を高めることができる。
【0086】
次に、図13ないし図16は本発明に係るフロント装置の第4の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、アッパブームの上板、下板及び左,右の側板に屈曲板部をそれぞれ設け、その外側に補強板を配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0087】
51はフロント装置としてのアッパブームを示し、該アッパブーム51は、図13ないし図15に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述の上板53、下板54、左側板55、右側板56等により箱形状の中空構造体として形成されたボックス体52と、該ボックス体52の基端側,先端側に設けられたボス57,58と、後述の補強板59〜62等によって構成されている。
【0088】
ここで、上板53、下板54及び左,右の側板55,56は、両端側が屈曲した鋼板等によってそれぞれ形成されている。この場合、上板53は、第3の実施の形態とほぼ同様に、上面板部53Aと屈曲板部53B,53Cとによって構成され、下板54は、下面板部54Aと屈曲板部54B,54Cとによって構成されている。
【0089】
また、左側板55は、第1の実施の形態とほぼ同様に、側面板部55Aと屈曲板部55B,55Cとによって構成され、右側板56は、側面板部56Aと屈曲板部56B,56Cとによって構成されている。また、下板54と左側板55には、オフセットシリンダ用のブラケット54D,55Dが固着されている。
【0090】
そして、ボックス体52は、長さ方向中間部の四辺をなす上面板部53A、下面板部54A及び左,右の側面板部55A,56Aが角筒状に溶接され、基端側の四辺をなす屈曲板部53B,54B,55B,56Bが略角錐状に溶接されると共に、先端側の四辺をなす屈曲板部53C,54C,55C,56Cが略角錐状に溶接されている。
【0091】
また、屈曲板部53B,54B,55B,56Bの端部側は、第1または第3の実施の形態とほぼ同様に、基端側ボス57に溶接され、屈曲板部53C,54C,55C,56Cの端部側は先端側ボス58に溶接されている。
【0092】
59は上板53の屈曲板部53B,53Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の上補強板で、該各上補強板59は、第3の実施の形態とほぼ同様に、屈曲板部53Bと基端側ボス57との間、及び屈曲板部53Cと先端側ボス58との間に溶接されている。また、60は下板54の屈曲板部54B,54Cの外側にそれぞれ設けられた下補強板で、該各下補強板60は、上補強板59とほぼ同様に、屈曲板部54Bと基端側ボス57との間、及び屈曲板部54Cと先端側ボス58との間に溶接されている。
【0093】
さらに、61は左側板55の屈曲板部55B,55Cの外側にそれぞれ設けられた例えば2枚の左補強板、62は右側板56の屈曲板部56B,56Cの外側にそれぞれ設けられた右補強板で、これらの左補強板61と右補強板62とは、第1の実施の形態とほぼ同様に構成されている。
【0094】
そして、各補強板59〜62のうち、アッパブーム51の基端側に位置する上補強板59、下補強板60、左補強板61及び右補強板62は、図16に示す如く、屈曲板部53B,54B,55B,56Bを取囲む位置で箱形状に溶接され、これらの屈曲板部53B〜56Bと共に二重の筒状体を構成した状態で基端側ボス57に溶接されている。
【0095】
また、先端側の上補強板59、下補強板60、左補強板61及び右補強板62は、基端側の補強板とほぼ同様に、屈曲板部53C,54C,55C,56Cを取囲む位置で互いに溶接され、これらの屈曲板部53C〜56Cと共に二重の筒状体を構成した状態で先端側ボス58に溶接されている。
【0096】
さらに、上補強板59、下補強板60及び左,右の補強板61,62は、それぞれ上板53の上面板部53A,下板54の下面板部54A及び左,右の側板55,56の側面板部55A,56Aとほぼ同一の平面上に連続して配置されている。
【0097】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、アッパブーム51の基端側に屈曲板部53B,54B,55B,56Bを設け、その外側には補強板59,60,61,62を設けると共に、アッパブーム51の先端側にも、屈曲板部53C〜56Cと他の補強板59〜62とによって同様の構造を設ける構成としている。
【0098】
これにより、ボックス体52の基端側では、四辺の屈曲板部53B〜56Bを箱形状に溶接でき、これを外側から取囲む位置で四辺の補強板59〜62を箱形状に溶接できると共に、ボックス体52の先端側でも、四辺の屈曲板部53C〜56Cと他の補強板59〜62とをそれぞれ箱形状に溶接することができる。従って、アッパブーム51の両端側をそれぞれ二重の箱形状に形成でき、これらの部位でアッパブーム51の強度を十分に高めることができる。
【0099】
次に、図17は本発明に係るフロント装置の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、オフセットブーム式作業装置のロアブームに適用したことにある。
【0100】
71はフロント装置としてのロアブームを示し、該ロアブーム71は、オフセットブーム式作業装置4のロアブーム4A(図1、図2参照)として用いられるものである。ここで、ロアブーム71は、例えば箱形の横断面形状を有し、先端側が湾曲した細長い中空構造体として形成され、車体の前,後方向に延びている。また、ロアブーム71は、後述のボックス体72、車体側ボス77、補強板78,79等によって構成されている。
【0101】
72はロアブーム71の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体72は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述の上板73、下板74、左側板75、右側板76等を溶接することにより、全体として角筒状に形成されている。
【0102】
73はボックス体72の上面を構成する上板で、該上板73は、第3の実施の形態とほぼ同様に、先端側が湾曲した上面板部73Aと、該上面板部73Aの基端側に一体形成された屈曲板部73Bとによって構成されている。また、上板73の先端側にはブラケット73Cが固着され、このブラケット73Cと後述する下板74のブラケット74Cとの間には、作業装置4のアッパブーム4B(図2参照)が連結される。
【0103】
74はボックス体72の下面を構成する下板で、該下板74は、上板73とほぼ同様に、下面板部74A、屈曲板部74B等からなり、上板73と上,下方向の間隔をもって対向すると共に、その先端側にはブラケット74Cが設けられている。
【0104】
75はボックス体72の左側面を構成する左側板で、該左側板75は、上板73と下板74との間に垂直に立設され、これらの間にほぼ全長にわたって溶接されている。また、左側板75の先端側には、作業装置4のオフセットシリンダ4G、リンク4K(図2参照)等を取付ける複数のブラケット75Aが突設されている。
【0105】
76はボックス体72の右側面を構成する右側板で、該右側板76は、左側板75と上,下方向の間隔をもって対向し、上板73と下板74との間にほぼ全長にわたって溶接されている。
【0106】
77はボックス体72の基端側に設けられた車体側ボスで、該車体側ボス77の外周面には、上板73と下板74の屈曲板部73B,74B、左,右の側板75,76及び補強板78,79がそれぞれ溶接されている。そして、ロアブーム71は、車体側ボス77が連結ピン(図示せず)等を用いて油圧ショベルの車体に回動可能に連結される。
【0107】
78は上板73の屈曲板部73Bの外側に設けられた上補強板で、該上補強板78は、第3の実施の形態とほぼ同様に、屈曲板部73Bと車体側ボス77との間に溶接されると共に、左,右の側板75,76に溶接されている。
【0108】
79は下板74の屈曲板部74Bの外側に設けられた下補強板で、該下補強板79は、上補強板78とほぼ同様に、屈曲板部74B、左,右の側板75,76及び車体側ボス77に溶接されている。
【0109】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、オフセットブーム式作業装置のロアブーム71にも適用でき、適用対象を広げることができる。
【0110】
次に、図18は本発明に係るフロント装置の第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、作業装置のアームに適用したことにある。
【0111】
81はフロント装置としてのアームを示し、該アーム81は、例えばオフセットブーム式作業装置4のアーム4D(図1、図2参照)として用いられるものである。ここで、アーム81は、例えば箱形の横断面形状を有する細長い中空構造体として形成され、後述のボックス体82、ボス87,88、下補強板89等によって構成されている。
【0112】
82はアーム81の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体82は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述の上板83、下板84、左側板85、右側板86等を溶接することにより、全体として角筒状に形成されている。
【0113】
83はボックス体82の上面を構成する上板で、該上板83は、例えば平坦な鋼板等からなり、その基端側には、上板83の一部を構成する端面板83Aが設けられ、端面板83Aには、一対のブラケット83Bが溶接されている。これらのブラケット83Bには、アーム81を回動させるアームシリンダ4H(図2参照)が連結される。
【0114】
84はボックス体82の下面を構成する下板で、該下板84は、第3の実施の形態とほぼ同様に、例えば平坦な鋼板等からなる下面板部84Aと、該下面板部84Aの基端側に一体形成され、内側に屈曲した屈曲板部84Bとによって構成されている。
【0115】
85はボックス体82の左側面を構成する左側板、86はボックス体82の右側面を構成する右側板で、これら左,右の側板85,86は、上板83と下板84との間に左,右方向の間隔をもって立設され、これらの間にほぼ全長にわたって溶接されている。また、左,右の側板85,86の基端側は上板83の端面板83Aに溶接されている。
【0116】
87はボックス体82の基端側に設けられたブーム側ボスで、該ブーム側ボス87は、作業装置4のアーム支持体4C(図2参照)が回動可能にピン結合される部位であり、その外周面には、上板83(端面板83A)、下板84の屈曲板部84B、左,右の側板85,86及び下補強板89がそれぞれ溶接されている。
【0117】
88はボックス体82の先端側に設けられたバケット側ボスで、該バケット側ボス88は、作業装置4のバケット4E(図2参照)が回動可能にピン結合される部位であり、その外周面には、上板83、下板84及び左,右の側板85,86がそれぞれ溶接されている。
【0118】
89は下板84の屈曲板部84Bの外側に設けられた下補強板で、該下補強板89は、第3の実施の形態とほぼ同様に、屈曲板部84Bとブーム側ボス87との間に溶接されると共に、左,右の側板85,86に溶接されている。
【0119】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、作業装置のアーム81にも適用することができ、適用対象を広げることができる。
【0120】
次に、図19及び図20は本発明に係るフロント装置の第7の実施の形態を示している。ここで、本実施の形態の特徴は、上,下方向に俯仰動される標準的な作業装置に適用したことにある。
【0121】
90は油圧ショベルの車体(図示せず)に俯仰動可能に設けられる作業装置で、該作業装置90は、基端側が車体に俯仰動可能に連結されるブーム90Aと、該ブーム90Aの先端側に回動可能に連結されたアーム90Bと、該アーム90Bの先端側に回動可能に連結された作業具としてのバケット90Cと、これらをそれぞれ作動させるブームシリンダ(図示せず)、アームシリンダ90D、バケットシリンダ90Eとにより大略構成されている。
【0122】
91はフロント装置としてのブームで、該ブーム91は、作業装置90のブーム90Aとして用いられるものである。ここで、ブーム91は、図20に示す如く、例えば箱形の横断面形状を有し、略「く」字状に湾曲した細長い中空構造体として形成され、後述のボックス体92、車体側ボス97、補強版98,99等によって構成されている。
【0123】
92はブーム91の本体部分を構成するボックス体で、該ボックス体92は、第1の実施の形態とほぼ同様に、互いに溶接された後述の上板93、下板94、左,右の側板95,96等によって構成されている。
【0124】
93はボックス体92の上面を構成する上板で、該上板93は、第3の実施の形態とほぼ同様に、例えば略「く」字状に湾曲して形成された上面板部93Aと、該上面板部93Aの基端側に一体形成され、内側に屈曲した屈曲板部93Bとにより構成されている。また、94はボックス体92の下面を構成する下板で、該下板94は、上板93とほぼ同様に、下面板部94Aと屈曲板部94Bとにより構成されている。
【0125】
95はボックス体92の左側面を構成する左側板、96はボックス体92の右側面を構成する右側板で、これら左,右の側板95,96は、上板93と下板94との間にほぼ全長にわたって溶接されている。また、左,右の側板95,96の先端側には、バケット90Cを連結するブラケット95A,96Aが設けられている。
【0126】
97はボックス体92の基端側に設けられた車体側ボスで、該車体側ボス97の外周面には、上板93と下板94の屈曲板部93B,94B、左,右の側板95,96及び補強板98,99がそれぞれ溶接されている。そして、ブーム91は、車体側ボス97が連結ピン(図示せず)等を用いて油圧ショベルの車体に回動可能に連結される。
【0127】
98は上板93の屈曲板部93Bの外側に設けられた上補強板で、該上補強板98は、第3の実施の形態とほぼ同様に、屈曲板部93Bと車体側ボス97との間に溶接されると共に、左,右の側板95,96に溶接されている。また、99は下板94の屈曲板部94Bの外側に設けられた下補強板で、該下補強板99は、上補強板98とほぼ同様に、屈曲板部94B、左,右の側板95,96及び車体側ボス97に溶接されている。
【0128】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1,第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、オフセットブーム式以外の作業装置90にも適用することができ、適用対象を広げることができる。
【0129】
なお、前記第2の実施の形態では、アッパブーム31の左側板15だけに屈曲板部15Bを形成して左補強板20を設け、右側板32には平坦な鋼板等を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、フロント装置の右側板だけに屈曲板部を形成して右補強板を設け、左側板は平坦な鋼板等を用いる構成としてもよい。
【0130】
これと同様に、第3の実施の形態では、アッパブーム41の上板43と下板44に屈曲板部43B,43Cを形成して補強板49,50を設ける構成としたが、上板と下板のうち何れか一方の板だけに屈曲板部を形成して補強板を設け、他方の板は平坦な鋼板等によって構成してもよい。
【0131】
また、第4の実施の形態では、アッパブーム51の上板53、下板54、左側板55及び右側板56に屈曲板部53B〜56B,53C〜56Cを形成して補強板59〜62を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、上板、下板及び左,右の側板からなる四辺のうち互いに隣接する二辺または三辺だけに屈曲板部と補強板とを配置し、残りの辺は平坦な鋼板等によって構成してもよい。
【0132】
また、第1ないし第4の実施の形態では、フロント装置の基端側と先端側の両方に屈曲板部を形成して補強板を配置する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、フロント装置の基端側と先端側のうち何れか一方の端部だけに屈曲板部と補強板とを配置し、他方の端部にはこれらを配置しない構成としてもよい。
【0133】
一方、第1ないし第4の実施の形態では、アッパブーム11,31,41,51の各部位に屈曲板部と補強板とを配置する構成とした。しかし、これらの実施の形態はアッパブームに限らず、例えば第1ないし第4の実施の形態における屈曲板部や補強板の配置を、第5ないし第7の実施の形態のロアブーム71、アーム81、ブーム91等に適用することもできる。
【0134】
また、実施の形態では、油圧ショベル1に適用した場合を例に挙げて述べたが、本発明はこれに限らず、油圧クレーン等を含めて他の建設機械に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施の形態に適用されるオフセットブーム式の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中の作業装置を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるアッパブームを単体で示す正面図である。
【図4】アッパブームを図3中の矢示IV−IV方向からみた縦断面図である。
【図5】アッパブームを図4中の矢示V−V方向からみた縦断面図である。
【図6】アッパブームを分解した状態で拡大して示す分解斜視図である。
【図7】アッパブームの基端側を拡大して示す図4中の要部拡大断面図である。
【図8】アッパブームの基端側を図7中の矢示VIII−VIII方向から拡大してみた横断面図である。
【図9】比較例のアッパブームを図8と同様位置からみた横断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態によるアッパブームを図4と同様位置からみた縦断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態によるアッパブームを上側からみた平面図である。
【図12】アッパブームを図11中の矢示XII−XII方向からみた縦断面図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態によるアッパブームを示す正面図である。
【図14】アッパブームを図13中の矢示XIV−XIV方向からみた縦断面図である。
【図15】アッパブームを図14中の矢示XV−XV方向からみた縦断面図である。
【図16】アッパブームを図15中の矢示XVI−XVI方向から拡大してみた縦断面図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態によるロアブームを示す斜視図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態によるアームを示す斜視図である。
【図19】本発明の第7の実施の形態に適用される油圧ショベルの作業装置を示す正面図である。
【図20】本発明の第7の実施の形態によるブームを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0136】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4,90 作業装置
4A,71 ロアブーム(フロント装置)
4B,11,31,41,51 アッパブーム(フロント装置)
90A,91 ブーム(フロント装置)
4D,81,90B アーム(フロント装置)
4E,90C バケット(作業具)
12,12′,42,52,72,82,92 ボックス体
13,43,53,73,83,93 上板
14,44,54,74,84,94 下板
15,45,55,75,85,95 左側板
16,32,46,56,76,86,96 右側板
15B,15C,16B,16C,43B,43C,44B,44C,53B,53C,54B,54C,55B,55C,56B,56C,73B,74B,84B,93B,94B 屈曲板部
18,19,47,48,57,58,77,87,88,97 ボス
20,61 左補強板
21,62 右補強板
49,59,78,98 上補強板
50,60,79,89,99 下補強板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより形成されたボックス体と、該ボックス体の少なくとも一方の端部に設けられ前記上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されるボスとを備えてなるフロント装置において、
前記左側板と右側板のうち少なくとも一方の側板には内側に屈曲した屈曲板部を設け、
前記屈曲板部の外側には前記側板と前記ボスとの間に補強板を設ける構成としたことを特徴とするフロント装置。
【請求項2】
上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより形成されたボックス体と、該ボックス体の少なくとも一方の端部に設けられ前記上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されるボスとを備えてなるフロント装置において、
前記上板と下板のうち少なくとも一方の板には内側に屈曲した屈曲板部を設け、
前記屈曲板部の外側には前記板と前記ボスとの間に補強板を設ける構成としたことを特徴とするフロント装置。
【請求項3】
上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより形成されたボックス体と、該ボックス体の少なくとも一方の端部に設けられ前記上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されるボスとを備えてなるフロント装置において、
前記左側板と右側板のうち少なくとも一方の側板には内側に屈曲した一の屈曲板部を設けると共に、前記上板と下板のうち少なくとも一方の板には内側に屈曲した他の屈曲板部を設け、
前記一の屈曲板部の外側には前記側板と前記ボスとの間に一の補強板を設けると共に、前記他の屈曲板部の外側には前記板と前記ボスとの間に他の補強板を設ける構成としたことを特徴とするフロント装置。
【請求項4】
前記ボックス体は、建設機械の車体に俯仰動可能に連結されるロアブームと、該ロアブームの先端側に左,右方向に揺動可能に連結されたアッパブームと、該アッパブームの先端側にアーム支持体を介して回動可能に連結され作業具が取付けられたアームとのうち少なくとも1個の部材を構成してなる請求項1,2または3に記載のフロント装置。
【請求項5】
前記ボックス体は、建設機械の車体に俯仰動可能に連結されるブームと、該ブームの先端側に回動可能に連結され作業具が取付けられたアームとのうち少なくとも一方の部材を構成してなる請求項1,2または3に記載のフロント装置。
【請求項1】
上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより形成されたボックス体と、該ボックス体の少なくとも一方の端部に設けられ前記上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されるボスとを備えてなるフロント装置において、
前記左側板と右側板のうち少なくとも一方の側板には内側に屈曲した屈曲板部を設け、
前記屈曲板部の外側には前記側板と前記ボスとの間に補強板を設ける構成としたことを特徴とするフロント装置。
【請求項2】
上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより形成されたボックス体と、該ボックス体の少なくとも一方の端部に設けられ前記上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されるボスとを備えてなるフロント装置において、
前記上板と下板のうち少なくとも一方の板には内側に屈曲した屈曲板部を設け、
前記屈曲板部の外側には前記板と前記ボスとの間に補強板を設ける構成としたことを特徴とするフロント装置。
【請求項3】
上板、下板、左側板及び右側板を溶接することにより形成されたボックス体と、該ボックス体の少なくとも一方の端部に設けられ前記上板、下板、左側板及び右側板の端部が溶接されるボスとを備えてなるフロント装置において、
前記左側板と右側板のうち少なくとも一方の側板には内側に屈曲した一の屈曲板部を設けると共に、前記上板と下板のうち少なくとも一方の板には内側に屈曲した他の屈曲板部を設け、
前記一の屈曲板部の外側には前記側板と前記ボスとの間に一の補強板を設けると共に、前記他の屈曲板部の外側には前記板と前記ボスとの間に他の補強板を設ける構成としたことを特徴とするフロント装置。
【請求項4】
前記ボックス体は、建設機械の車体に俯仰動可能に連結されるロアブームと、該ロアブームの先端側に左,右方向に揺動可能に連結されたアッパブームと、該アッパブームの先端側にアーム支持体を介して回動可能に連結され作業具が取付けられたアームとのうち少なくとも1個の部材を構成してなる請求項1,2または3に記載のフロント装置。
【請求項5】
前記ボックス体は、建設機械の車体に俯仰動可能に連結されるブームと、該ブームの先端側に回動可能に連結され作業具が取付けられたアームとのうち少なくとも一方の部材を構成してなる請求項1,2または3に記載のフロント装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−37363(P2006−37363A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214631(P2004−214631)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
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