説明

フロン分離方法及びその装置

【目的】 発泡ポリウレタンからフロンを確実に分離することができるフロン分離方法及びその装置を提供する。
【構成】 フロン分離前の発泡ポリウレタン14を貯留タンク12に貯留して、伝熱コイル15で加熱し、発泡ポリウレタン14の気泡内に含まれるフロンをガス状にし、気泡が破壊し易い状態にする。そして、この発泡ポリウレタン14を粉砕装置24の粉砕ローラ28で加熱しながら粉砕して、その気泡を確実に破壊する。これにより、粉砕された発泡ポリウレタンの粉末から気泡内のフロンを確実に、且つ効率良く分離することができる。そして、分離された前記フロンはガス状となっているので、発泡ポリウレタンの粉末に再付着することなくバグフイルタ装置34に吸引され、その後、濾布36、ダクト42、及び分岐ダクト46を介してフロン回収装置48に回収される。発泡ポリウレタン14を加熱する温度は、100°C以上250°C以下の温度にするのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフロン分離方法及びその装置に係り、特に発泡ポリウレタンからフロンを分離するフロン分離方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】冷蔵庫等の断熱材として使用されている発泡ポリウレタンは、イソシアネートとポリオールに触媒と発泡剤のフロン11を混合し、化学反応でフロン11を気化させて発泡させた後、硬化させることにより成形される。従来、この発泡ポリウレタンを廃却処理する方法として、地中に埋めたり焼却したりする方法がある。
【0003】しかし、近年はフロンによる環境破壊防止の観点から、発泡ポリウレタンの気泡内に介在するフロン11を回収する為に、発泡ポリウレタンを常温で圧搾することにより前記気泡を破壊して、フロンを分離することが行われ始めている。また、他のフロン分離方法として、発泡ポリウレタンを圧縮することにより、前記気泡を破壊してフロンを分離する方法も行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発泡ポリウレタンを圧搾してフロンを分離する従来のフロン分離方法では、フロンが介在する発泡ポリウレタンの気泡が直径0.3mm程度の独立したものなので、発泡ポリウレタンを常温で圧搾するだけでは気泡は確実に破壊しない。従って、発泡ポリウレタンからフロンを確実に分離できないという欠点がある。
【0005】また、フロン11は沸点が常温に近いので、常温の雰囲気で圧搾すると分離したフロン11が発泡ポリウレタンに再付着するという欠点がある。更に、発泡ポリウレタンを圧縮してフロンを分離する従来のフロン分離方法では、単に圧縮しただけでは気泡を確実に破壊できないので、フロンを確実に分離できないという欠点がある。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、発泡ポリウレタンからフロンを確実に分離することができるフロン分離方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決する為の手段】本発明は、前記目的を達成する為に、フロンで発泡して形成された発泡ポリウレタンを所定の温度で加熱して粉砕し、粉砕された発泡ポリウレタン粉から前記フロン分離することを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明によれば、加熱手段で所定の温度に加熱された発泡ポリウレタンを、粉砕手段で粉砕する。これにより、発泡ポリウレタンは、その気泡内に含まれるフロンが前記熱によりガス状となるので、気泡内の圧力が上昇した状態で、即ち気泡が破壊し易い状態で粉砕される。従って、前記気泡は発泡ポリウレタンの粉砕時に確実に破壊され、気泡内のフロンが、粉砕された発泡ポリウレタン粉から分離する。そして、分離されたフロンはガス状となっているので、前記発泡ポリウレタン粉に再付着することなく分離手段によって発泡ポリウレタン粉から分離されて回収される。
【0009】
【実施例】以下添付図面に従って本発明に係るフロン分離方法及びその装置の好ましい実施例について詳説する。図1には本発明に係るフロン分離方法が適用されたフロン分離装置10の実施例が示される。図によれば、その下部がホッパ状に形成された貯留タンク12内には、粉砕前の発泡ポリウレタン14が貯留されている。また、貯留タンク12の外周面には、前記発泡ポリウレタン14を予め加熱する伝熱コイル15が巻回される。
【0010】前記貯留タンク12の下部には、バルブ16を介してスクリュウコンベア装置18が連結される。このスクリュウコンベア装置18は、駆動モータ20に連結されたスクリュウ軸22を有し、このスクリュウ軸22が駆動モータ20によって回転されることにより、貯留タンク12に貯留された前記発泡ポリウレタン14を粉砕装置24に向けて搬送することができる。
【0011】前記粉砕装置24は、密閉されたケーシング26内に粉砕ローラ28が設けられる。この粉砕ローラ28は、ケーシング26の外側に配置された駆動モータ30に連結され、駆動モータ20によって回転されることにより前記スクリュウコンベア装置18で搬送された発泡ポリウレタン14を粉砕することができる。また、粉砕ローラ28は、図示しない熱伝達装置によってその表面が所定の温度に加熱されている。
【0012】一方、前記粉砕装置24は、ダクト32を介してバグフイルタ装置34に連結される。このバグフイルタ装置34は、前記ダクト32と連通された袋状の濾布36を有している。また、バグフイルタ装置34の下部には、バルブ38を介して粉末貯留タンク40が取付けられている。更に、バグフイルタ装置34には、ダクト42を介してブロア装置44が設けられ、このブロア装置42には分岐ダクト46を介してフロン回収装置48が取付けられている。
【0013】次に、前記の如く構成されたフロン分離装置10の作用について説明する。先ず、フロン分離前の発泡ポリウレタン14を貯留タンク12に貯留して、伝熱コイル15で加熱する。これにより、発泡ポリウレタン14は、その気泡内に含まれるフロンが前記熱によりガス状となるので、気泡内の圧力が上昇した状態、即ち気泡が破壊し易い状態になる。
【0014】次に、貯留タンク12のバルブ16を開放し、加熱された前記発泡ポリウレタン14をスクリュウコンベア装置18に供給する。次いで、スクリュウコンベア装置18を作動して前記発泡ポリウレタン14を粉砕装置24に搬送し、粉砕装置24の粉砕ローラ28で加熱しながら粉砕する。これにより、気泡が破壊し易い状態で搬送された発泡ポリウレタン14は、粉砕時にその気泡が確実に破壊されるので、発泡ポリウレタンの粉末から気泡内のフロンを効率良く分離することができる。また、粉砕ローラ28を加熱しておくことにより、貯留タンク12での貯留時にその内部まで十分に加熱されていない発泡ポリウレタン14を、加熱しながら粉砕することができるので、発泡ポリウレタン14の全ての気泡からフロンを効率良く分離することができる。
【0015】そして、分離された前記フロンは、熱によってガス状となっているので、発泡ポリウレタンの粉末に再付着することなくバグフイルタ装置34にダクト32を介して吸引される。吸引されたフロンガスと発泡ポリウレタンの粉末は、バグフイルタ装置34の濾布36によって分離される。即ち、発泡ポリウレタンの粉末は、前記濾布36に付着してバグフイルタ装置34のホッパ部34aに自然落下し、そしてバルブ38を開放することにより粉末貯留タンク40に粉末50として溜められる。また、前記フロンガスは、ブロア装置44に吸引されることにより濾布36を通過した後、ダクト42、及び分岐ダクト46を介してフロン回収装置48に回収される。
【0016】従って、本実施例によれば、発泡ポリウレタンを加熱しながら粉砕してフロンを分離するようにしたので、常温で圧搾、圧縮してフロンを分離する従来のフロン分離方法と比較して、フロンを確実に且つ効率良く分離することができる。尚、発泡ポリウレタン14を加熱する温度は、以下述べる温度にするのが好ましい。
【0017】即ち、常温から60°Cまではフロンの気化による分離効果が大きく、60°C以上150°C以下では発泡ポリウレタン14の硬化による効果が大きく作用している。また、150°C以上250°C以下では発泡ポリウレタン14の成分の部分的気化が見られる。更に、400°C程度では発泡ポリウレタン14の分解が始まる。これにより、フロン分離には加熱することでそれぞれの効果があるが、フロンと発泡ポリウレタン14とがそれぞれ分離できるという観点からみると、100°C以上250°C以下の温度にするのが好ましい。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るフロン分離方法及びその装置によれば、発泡ポリウレタンを所定の温度で加熱して粉砕するようにしたので、粉砕された発泡ポリウレタン粉からフロンを確実に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフロン分離装置の実施例を示す説明図
【符号の説明】
10…フロン分離装置
12…貯留タンク
14…発泡ポリウレタン
18…スクリュウコンベア装置
24…粉砕装置
28…粉砕ローラ
34…バグフイルタ装置
44…ブロア装置
48…フロン回収装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フロンで発泡して形成された発泡ポリウレタンを所定の温度で加熱して粉砕し、粉砕された発泡ポリウレタン粉から前記フロン分離することを特徴とするフロン分離方法。
【請求項2】 フロンで発泡して形成された発泡ポリウレタンを所定の温度に加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された発泡ポリウレタンを粉砕する粉砕手段と、前記粉砕手段で粉砕された発泡ポリウレタン粉と、該発泡ポリウレタン粉から分離した前記フロンとを分離する分離手段と、から成ることを特徴とするフロン分離装置。

【図1】
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