説明

フローインジェクション分析装置

【課題】サンプル溶液及び試薬溶液を効率良く定量混合する。
【解決手段】第1セグメントを導入するための第1インジェクタ9a及び第1ポンプ7aをもつ第1セグメント導入送液部1と、第2セグメントを導入するための第2インジェクタ9b及び第2ポンプ7bをもつ第2セグメント導入送液部3と、第1チャンネル13a、第2チャンネル13b及び検出チャンネル15からなるY字型マイクロチャンネルを備えたマイクロチップ11と、検出器19を備えている。検出チャンネル15では層流が形成され、第1インジェクタ9aにより導入された所定量の第1セグメントと第2インジェクタ9bにより導入された所定量の第2セグメントは合流点17で合流され、検出チャンネル15内で第1セグメントと第2セグメントの界面に垂直な方向に第1セグメント及び第2セグメントの拡散が起こり、第1セグメント及び第2セグメントは瞬時に混合され、反応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフローインジェクション分析装置に関し、特に、内部にマイクロチャンネルをもつマイクロチップを用いたフローインジェクション分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフローインジェクション分析装置では、内径が500μm(マイクロメートル)程度のテフロン(デュポン社(米国)の登録商標)チューブからなる流路を用い、その流路の中へインジェクタを用いてサンプル溶液と試薬溶液を交互に導入する。そしてインジェクタの下流側に設けられた混合コイル等の混合器を用いてサンプル溶液と試薬溶液を混合し、その混合液中の目的成分をさらに下流側に設けられた検出器により検出する(例えば特許文献1や特許文献2を参照。)。また、混合器としてマイクロミキサを用いるものも提案されている(例えば特許文献3を参照。)。
【0003】
近年、分析化学の分野ではμTAS(Micro Total Analysis Systems)の研究が盛んになりつつあり、マイクロチップを用いて分析の高速化、省サンプル化、省溶媒化を図ることが期待されている。マイクロチップ内部に形成されたマイクロチャンネルの微小空間中の反応では、従来の化学操作を用いた反応よりも反応効率を向上できる可能性も示されている。μTASの分野において定量混合を行なう場合、マイクロシリンジに溶液を入れ、シリンジポンプ等でマイクロチップに送り込む手法が取られている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−294797号公報
【特許文献2】特開平7−20113号公報
【特許文献2】特開2002−2346355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフローインジェクション分析装置では、内径が500μm程度のチューブからなる流路にサンプル溶液と試薬溶液が交互に注入され、図7に示すように、インジェクタからの移動距離(横軸)が大きくなるにつれて、サンプルプラグ31が流れ方向の前後の試薬溶液層33に拡散してサンプル溶液と試薬溶液が混合される。そのため、サンプル溶液の迅速な拡散が起こりにくいという問題があった。また、インジェクタからの移動距離が大きくなると、検出器の信号強度(縦軸)が小さくなるという問題もあった。
【0006】
そこで本発明は、サンプル溶液及び試薬溶液を効率良く定量混合することができるフローインジェクション分析装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるフローインジェクション分析装置は、所定量の第1セグメントを導入するための第1インジェクタ、及び上記第1セグメントをキャリア溶液で送液するための第1ポンプをもつ第1セグメント導入送液部と、所定量の第2セグメントを導入するための第2インジェクタ、及び上記第2セグメントをキャリア溶液で送液するための第2ポンプをもつ第2セグメント導入送液部と、一端に上記第1インジェクタが接続される第1チャンネル、一端に上記第2インジェクタが接続される第2チャンネル、及び一端にドレインが接続される検出チャンネルをもち、上記第1チャンネルの他端、上記第2チャンネルの他端及び上記検出チャンネルの他端が1箇所の合流点で接続されてなるY字型マイクロチャンネルを備えたマイクロチップと、上記検出チャンネル内の目的成分を検出するための検出器と、を備えている。
ここで、第1ポンプ及び第2ポンプは1台のポンプにより構成され、ポンプの吐出側の流路を分岐させ、同じキャリア液を用いて第1セグメント及び第2セグメントをそれぞれ送液するようにしてもよい。また、第1ポンプ及び第2ポンプはそれぞれ別々のポンプにより構成されていてもよい。
【0008】
本発明のフローインジェクション分析装置において、上記第1セグメント及び上記第2セグメントのいずれか一方にジフェニルカルバジドを含む試薬溶液を用い、他方にサンプル溶液を用い、上記検出器として熱レンズ検出器を用い、六価クロムを検出する例を挙げることができる。
【0009】
また、上記第1ポンプと上記第2ポンプは別々のポンプにより構成されている例を挙げることができる。ただし、第1ポンプ及び第2ポンプは1台のポンプにより構成され、ポンプの吐出側の流路を分岐させ、同じキャリア液を用いて第1セグメント及び第2セグメントをそれぞれ送液するようにしてもよい。
【0010】
また、所定量の第3セグメントを導入するための第3インジェクタ、及び上記第3セグメントをキャリア溶液で送液するための第3ポンプをもつ第3セグメント導入送液部をさらに備え、上記マイクロチップは一端に上記第3インジェクタが接続される第3チャンネルをさらに備え、上記第3チャンネルの他端は上記合流点に接続されているようにしてもよい。
【0011】
さらに、複数組の上記第3セグメント導入送液部及び上記第3チャンネルを備えているようにしてもよい。
【0012】
また、所定量の第4セグメントを導入するための第4インジェクタ、及び上記第4セグメントをキャリア溶液で送液するための第4ポンプをもつ第4セグメント導入送液部をさらに備え、上記マイクロチップは一端に上記第4インジェクタが接続される第4チャンネルをさらに備え、上記第4チャンネルの他端は上記合流点とは異なる位置で上記検出チャンネルに接続されているようにしてもよい。
【0013】
さらに、複数組の上記第4セグメント導入送液部及び上記第4チャンネルを備え、上記マイクロチップで複数の上記第4チャンネルは同じ位置又は互いに異なる位置で上記検出チャンネルに接続されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフローインジェクション分析装置では、所定量の第1セグメントを導入するための第1インジェクタ、及び第1セグメントをキャリア溶液で送液するための第1ポンプをもつ第1セグメント導入送液部と、所定量の第2セグメントを導入するための第2インジェクタ、及び第2セグメントをキャリア溶液で送液するための第2ポンプをもつ第2セグメント導入送液部と、第1インジェクタが接続される第1チャンネル、第2インジェクタが接続される第2チャンネル、及びドレインが接続される検出チャンネルが1箇所の合流点で接続されてなるY字型マイクロチャンネルを備えたマイクロチップと、検出チャンネル内の目的成分を検出するための検出器と、を備えているようにした。
【0015】
これにより、検出チャンネルでは第1チャンネルからの液体と第2チャンネルからの液体が層流を形成する。第1セグメント及び第2セグメントはキャリア液に挟まれてマイクロチップに導入される。そして、例えば、サンプル溶液からなる所定量の第1セグメントと試薬溶液からなる所定量の第2セグメントを検出チャンネルで合流させることができる。検出チャンネル内で第1セグメントと第2セグメントの界面に垂直な方向に第1セグメント及び第2セグメントの拡散が起こり、第1セグメント及び第2セグメントは瞬時に混合され、反応する。これにより、サンプル溶液及び試薬溶液を効率良く定量混合することができる。また、マイクロチップでは配管の膨張及び収縮が起こらないので、安定かつ均一に第1セグメント及び第2セグメントを混合できる。
【0016】
また、従来のフローインジェクション分析装置では流路に試薬溶液を流し続けて分析を行なうので、試薬溶液を交換する際には時間がかかり、また多量の試薬溶液を必要とする。そのため、容易には試薬溶液の交換ができないという問題もあった。
【0017】
これに対し、本発明のフローインジェクション分析装置では、サンプル溶液及び試薬溶液をセグメントで導入するので、サンプル溶液や試薬溶液を変更する場合にはインジェクタ内を置換するだけの溶液量だけですみ、サンプル溶液と試薬溶液の組合せの変更を迅速に行なうことができ、容易に連続測定が可能になる。本発明のフローインジェクション分析装置は特に多項目分析に有効である。
【0018】
本発明のフローインジェクション分析装置において、第1セグメント及び第2セグメントのいずれか一方にジフェニルカルバジドを含む試薬溶液を用い、他方にサンプル溶液を用い、検出器として熱レンズ検出器を用い、六価クロムを検出するようにすれば、少量のサンプル溶液及び試薬溶液でサンプル溶液中の六価クロム濃度を短時間で測定することができる。
【0019】
また、第1ポンプと第2ポンプは別々のポンプにより構成されているようにすれば、第1セグメント導入送液部のキャリア溶液の流量と第2セグメント導入送液部のキャリア溶液の流量の比を変更することができ、第1セグメントと第2セグメントの混合比を容易に変えることができる。
【0020】
また、所定量の第3セグメントを導入するための第3インジェクタ、及び第3セグメントをキャリア溶液で送液するための第3ポンプをもつ第3セグメント導入送液部をさらに備え、マイクロチップは一端に第3インジェクタが接続される第3チャンネルをさらに備え、第3チャンネルの他端は合流点に接続されているようにすれば、3つのセグメントを検出チャンネル内で混合することができる。
【0021】
さらに、複数組の第3セグメント導入送液部及び第3チャンネルを備えているようにすれば、4つ以上のセグメントを検出チャンネル内で混合することができる。
【0022】
また、所定量の第4セグメントを導入するための第4インジェクタ、及び第4セグメントをキャリア溶液で送液するための第4ポンプをもつ第4セグメント導入送液部をさらに備え、マイクロチップは一端に第4インジェクタが接続される第4チャンネルをさらに備え、第4チャンネルの他端は合流点とは異なる位置で検出チャンネルに接続されているようにすれば、合流点で混合された複数のセグメントにさらに第4セグメントを混合することができる。
【0023】
さらに、複数組の第4セグメント導入送液部及び第4チャンネルを備え、マイクロチップで複数の第4チャンネルは同じ位置又は互いに異なる位置で検出チャンネルに接続されているようにすれば、合流点で混合された複数のセグメントにさらに複数の第4セグメントを混合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は一実施例を示す図である。
第1セグメント導入送液部1と第2セグメント導入送液部3を備えている。
第1セグメント導入送液部1は、キャリア液を収容した送液タンク5aと、第1ポンプ7aと、所定量の第1セグメントを導入するための第1インジェクタ9aを備えている。
第2セグメント導入送液部3は、キャリア液を収容した送液タンク5bと、第2ポンプ7bと、所定量の第2セグメントを導入するための第2インジェクタ9bを備えている。
送液タンク5a,5bに収容されているキャリア液は例えば水である。インジェクタ9a,9bにより導入されるセグメントの容量は例えば数μL(マイクロリットル)、ここでは2μLである。
【0025】
セグメント導入送液部1,3の下流側にマイクロチップ11を備えている。マイクロチップ11は、第1チャンネル13a、第2チャンネル13b及び検出チャンネル15が1箇所の合流点17で接続されてなるY字型マイクロチャンネルを備えている。第1チャンネル13aは第1インジェクタ9aに接続されている。第2チャンネル13bは第2インジェクタ9bに接続されている。検出チャンネル15はドレインに接続されている。第1チャンネル13a、第2チャンネル13b及び検出チャンネル15の流路内径は例えば数百μm以下である。
【0026】
検出チャンネル15の所定位置の上に検出器19が配置されている。検出器19は検出チャンネル15内の目的成分を検出するためのものである。この実施例では検出器19として熱レンズ検出器を用いた。熱レンズ検出器は、目的成分の濃度に比例して信号強度が変わるため未知濃度サンプル溶液の目的成分濃度を決定することができる。
【0027】
この実施例の動作について説明する。
ポンプ7a,7bを駆動させて送液タンク5a,5aからキャリア液としての水を第1チャンネル13a、第2チャンネル13b及び検出チャンネル15に流す。検出チャンネル15では、第1チャンネル13aからのキャリア液と第2チャンネル13bからのキャリア液により層流が形成される。ここではポンプ7a,7bを制御して第1チャンネル13a及び第2チャンネル13bに同じ流量でキャリア液を流した。
例えば、第1インジェクタ9aに所定量のサンプル溶液を充填し、第2インジェクタ9bに所定量の試薬溶液を充填する。
【0028】
図2はマイクロチップ11内でのサンプルセグメントと試薬セグメントの導入状態及び混合状態を説明するための図である。
インジェクタ9a,9bを切り替えて、第1インジェクタ9aによりサンプルセグメント21aを導入し、第2インジェクタ9bにより試薬セグメント21bを導入する。キャリア液22により送液されて、サンプルセグメント21aは第1チャンネル13aに導入され、試薬セグメント21bは第2チャンネル13bに導入される。セグメント21a,21bは同時に合流点17に到達する。
【0029】
同時に検出チャンネル15に導入されたセグメント21a,21bは層流で交わり、拡散混合され、混合セグメント23を形成する。マイクロチップ11中では、配管の膨張及び収縮がおこらないため安定な均一混合ができる。
【0030】
また、インジェクタ9a,9bより切り取れられたセグメント21a,21bは、チャンネル13a,13b,15内の内径が数百マイクロメートル以下になっていることから送液用のキャリア液22に分散しにくい。セグメント21a,21bは、検出チャンネル15の内径が狭いため、流路方向に対して垂直な領域で瞬時に拡散混合され、反応する。
【0031】
キャリア液22によって分散されていない部分のセグメント21a,21bは、第1セグメント導入送液部1からのキャリア溶液22と第2セグメント導入送液部3からのキャリア溶液22の流量比によって応じて均一に混合される。これにより、均一に拡散混合された混合セグメント23を検出チャンネル15内部に作ることができる。
【0032】
検出器19を用いて混合セグメント23内の目的成分を測定する。図2に示すように、移動距離が大きくなっても信号強度の低下を抑制することができる。
この実施例では、セグメント21a,21bの導入から1分以内に目的成分の測定を行なうことができた。
【0033】
図3は図1に示した実施例を用いて(a)六価クロム、(b)銅、(c)鉄、(d)リン酸について測定した結果を示す図である。(a)〜(d)で、縦軸は熱レンズ検出器の信号強度(μV(マイクロボルト))、横軸は目的成分の濃度(mg/L)を示す。図中の式は検量線の傾き及び切片を示し、R2は重相関係数を示す。各項目を測定するための試薬として、(a)六価クロムでは1, 5-Diphenylcarbono-hydrazide、(b)銅ではBathocuproine、(c)鉄ではBathophenathroline、(d)リン酸ではAmmonium Molybdateを用いた。
【0034】
各種項目の測定において、数μLのサンプル溶液と指示薬を用いるだけで、1分以内に一点の測定を行なうことができた。各種濃度を測定すると、図3に示すように高い直線性を示した。この結果は、各種環境基準値を満たしているので各種環境測定への応用が可能である。
【0035】
上記の実施例では、第1セグメント導入送液部1のキャリア溶液の流量と第2セグメント導入送液部3のキャリア溶液の流量は同じであるが、これらのキャリア液の流量を互いに異ならせるようにして、第1セグメントと第2セグメントの混合比を互いに異ならせるようにしてもよい。
【0036】
また、上記の実施例では、セグメント導入送液部1,3は別々に送液タンク5a,5b及び送液ポンプ7a,7bを備えているが、図4に示すように、1つの送液タンク5と1台の送液ポンプ7により、インジェクタ9a,9bへキャリア液を送液するようにしてもよい。
【0037】
また、図5に示すように、キャリア液を収容した送液タンク5cと、第3ポンプ7cと、所定量の第3セグメントを導入するための第3インジェクタ9cを備えた第3セグメント導入送液部25をさらに備え、マイクロチップ11は一端に第3インジェクタ9cが接続される第3チャンネル13cをさらに備え、第3チャンネル13cの他端は合流点17に接続されているようにしてもよい。これにより、3つのセグメントを検出チャンネル15内で混合することができる。
【0038】
さらに、複数組の第3セグメント導入送液部25及び第3チャンネル13cを備えているようにすれば、4つ以上のセグメントを検出チャンネル内で混合することができる。
第3セグメント導入送液部25を1つ又は複数備えている場合、図4に示した場合と同様に、セグメント導入送液部1,3,25の2つ又は3つ以上で送液タンク及び送液ポンプを共通にすることもできる。
【0039】
また、図6に示すように、キャリア液を収容した送液タンク5dと、第4ポンプ7dと、所定量の第4セグメントを導入するための第3インジェクタ9dを備えた第4セグメント導入送液部27をさらに備え、マイクロチップ11は一端に第4インジェクタ9dが接続される第4チャンネル13dをさらに備え、第4チャンネル13dの他端は合流点17とは異なる位置の接続点29で検出チャンネル15に接続されているようにしてもよい。これにより合流点17で混合された複数のセグメントの混合セグメントにさらに第4セグメントを混合することができる。
【0040】
さらに、複数組の第4セグメント導入送液部27及び第4チャンネル13dを備え、マイクロチップ11で複数の第4チャンネル13dは同じ位置で又は互いに異なる位置で検出チャンネル15に接続されているようにすれば、合流点17で混合された複数のセグメントの混合セグメントにさらに複数の第4セグメントを混合することができる。
【0041】
第4セグメント導入送液部27を1つ又は複数備えている場合、図4に示した場合と同様に、セグメント導入送液部1,3,27の2つ又は3つ以上で送液タンク及び送液ポンプを共通にすることもできる。
また、1つの装置に第3セグメント導入部25、第4セグメント導入送液部27、第3チャンネル13c及び第4チャンネル13dを組み合わせて備えているようにしてもよい。
【0042】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、形状、材料、配置、個数などは一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、上記実施例ではインジェクタはマイクロチップ外に設けられているが、インジェクタをマイクロチップ上に設けてもよい。
また、検出チャンネル内の目的成分を検出するための検出器は熱レンズ検出器に限定されるものではなく、検出チャンネル内の目的成分を検出することができる検出器であればどのような検出器であってもよい。
【0044】
また、上記実施例では、第1セグメントとしてサンプル溶液を導入し、第2セグメントとして試薬溶液を導入しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1セグメントとして試薬溶液を導入し、第2セグメントとしてサンプル溶液を導入してもよい。
また、第3セグメント及び第4セグメントとして導入される溶液として、例えば試薬溶液、緩衝液、希釈液、サンプル溶液など、任意の溶液を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は例えば種々の各種比色分析や製薬等の合成などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】一実施例を示す図である。
【図2】同実施例のマイクロチップ内でのサンプルセグメントと試薬セグメントの導入状態及び混合状態を説明するための図である。
【図3】同実施例を用いて(a)六価クロム、(b)銅、(c)鉄、(d)リン酸について測定した結果を示す図である。
【図4】他の実施例を示す図である。
【図5】さらに他の実施例を示す図である。
【図6】さらに他の実施例を示す図である。
【図7】従来のフローインジェクション装置の流路内でのサンプル溶液の導入状態とサンプル溶液及び試薬溶液の混合状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0047】
1 第1セグメント導入送液部
3 第2セグメント導入送液部
5,5a,5b,5c,5d 送液タンク
7,7a,7b,7c,7d 送液ポンプ
9a,9b,9c,9d インジェクタ
11 マイクロチップ
13a 第1チャンネル
13b 第2チャンネル
13c 第3チャンネル
13d 第4チャンネル
15 検出チャンネル
17 合流点
19 検出器
21a サンプルセグメント(第1セグメント)
21b 試薬セグメント(第2セグメント)
22 キャリア液
25 第3セグメント導入送液部
27 第4セグメント導入送液部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の第1セグメントを導入するための第1インジェクタ、及び前記第1セグメントをキャリア溶液で送液するための第1ポンプをもつ第1セグメント導入送液部と、
所定量の第2セグメントを導入するための第2インジェクタ、及び前記第2セグメントをキャリア溶液で送液するための第2ポンプをもつ第2セグメント導入送液部と、
一端に前記第1インジェクタが接続される第1チャンネル、一端に前記第2インジェクタが接続される第2チャンネル、及び一端にドレインが接続される検出チャンネルをもち、前記第1チャンネルの他端、前記第2チャンネルの他端及び前記検出チャンネルの他端が1箇所の合流点で接続されてなるY字型マイクロチャンネルを備えたマイクロチップと、
前記検出チャンネル内の目的成分を検出するための検出器と、を備えたフローインジェクション分析装置。
【請求項2】
前記第1セグメント及び前記第2セグメントのいずれか一方にジフェニルカルバジドを含む試薬溶液を用い、他方にサンプル溶液を用い、
前記検出器として熱レンズ検出器を用いた、六価クロムを検出するための請求項1に記載のフローインジェクション分析装置。
【請求項3】
前記第1ポンプと前記第2ポンプは別々のポンプにより構成されている請求項1又は2に記載のフローインジェクション分析装置。
【請求項4】
所定量の第3セグメントを導入するための第3インジェクタ、及び前記第3セグメントをキャリア溶液で送液するための第3ポンプをもつ第3セグメント導入送液部をさらに備え、
前記マイクロチップは一端に前記第3インジェクタが接続される第3チャンネルをさらに備え、前記第3チャンネルの他端は前記合流点に接続されている請求項1、2又は3のいずれか一項に記載のフローインジェクション分析装置。
【請求項5】
複数組の前記第3セグメント導入送液部及び前記第3チャンネルを備えている請求項4に記載のフローインジェクション分析装置。
【請求項6】
所定量の第4セグメントを導入するための第4インジェクタ、及び前記第4セグメントをキャリア溶液で送液するための第4ポンプをもつ第4セグメント導入送液部をさらに備え、
前記マイクロチップは一端に前記第4インジェクタが接続される第4チャンネルをさらに備え、前記第4チャンネルの他端は前記合流点とは異なる位置で前記検出チャンネルに接続されている請求項1から5のいずれか一項に記載のフローインジェクション分析装置。
【請求項7】
複数組の前記第4セグメント導入送液部及び前記第4チャンネルを備え、前記マイクロチップで複数の前記第4チャンネルは同じ位置又は互いに異なる位置で前記検出チャンネルに接続されている請求項6に記載のフローインジェクション分析装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−107245(P2008−107245A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291706(P2006−291706)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的部材産業創出プログラム(マイクロ分析・生産システムプロジェクト)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】