説明

フロースルーセル式測定装置及び同装置の電磁開閉バルブの故障判定方法

【課題】フロースルーセル式の測定装置におけるバルブの異常の判定を、装置を分解することなく行うことが可能なフロースルーセル式測定装置及び同装置の電磁開閉バルブの故障判定方法を提供する。
【解決手段】ポンプ2から送られる溶液を電磁開閉バルブ9を介してフロースルーセル4により測定を行うフロースルーセル式測定装置であって、前記ポンプと前記電磁開閉バルブとの間に流量計3を設け、前記ポンプから送液される液体の速度は、ポンプ制御手段に送液速度の指示値を入力することにより行い、前記電磁開閉バルブは、バルブ制御手段により開閉を制御され、前記ポンプ制御手段に入力される送液速度の指示値及び前記バルブ制御手段に入力される前記電磁開閉バルブの開閉についての指示値と、前記流量計で計測される溶液速度とを比較し、前記電磁界閉バルブの故障判定を行う故障判定手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中の物質検知又は測定に使用されるフロースルーセル式測定装置及び同装置の電磁開閉バルブの故障判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロースルーセル式測定装置は、例えば、特許文献1に開示がされているように、複数の容器に収容された溶液を電磁弁を切り換えてフロースルーセルへ移送するように構成されている。
上記構成の場合、異物が溶液に混入してバルブが噛み込み所望の制御が行えない状態で測定を継続してしまうという問題があった。また、異常があるバルブを特定するために、装置からバルブを取り出さなければならないという問題があった。特に、検出素子が圧電素子である場合、流路の異常によって管内圧力が正常でなくなり、この異常が大きく計測値に影響を与えてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−183479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、フロースルーセル式の測定装置におけるバルブの異常の判定を、装置を分解することなく行うことが可能なフロースルーセル式測定装置及び同装置の電磁開閉バルブの故障判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のフロースルーセル式測定装置は、請求項1記載の通り、ポンプから送られる溶液を電磁開閉バルブを介してフロースルーセルにより測定を行うフロースルーセル式測定装置であって、前記ポンプと前記電磁開閉バルブとの間に流量計を設け、前記ポンプから送液される液体の速度は、ポンプ制御手段に送液速度の指示値を入力することにより行い、前記電磁開閉バルブは、バルブ制御手段により開閉を制御され、前記ポンプ制御手段に入力される送液速度の指示値及び前記バルブ制御手段に入力される前記電磁開閉バルブの開閉についての指示値と、前記流量計で計測される溶液速度とを比較し、前記電磁界閉バルブの故障判定を行う故障判定手段を備えたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の発明において、前記流量計の下流側の流路を分岐させて、前記電磁開閉バルブを備えた流路が並列に構成されていることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記フロースルーセルには、検出素子として圧電素子を備えることを特徴とする。
また、本発明のフロースルーセル式測定装置の電磁開閉バルブの故障判定方法は、請求項4に記載の通り、ポンプから送られる溶液を電磁開閉バルブを介してフロースルーセルにより測定を行うフロースルーセル式測定装置の前記電磁開閉バルブの故障判定方法であって、前記ポンプと前記電磁開閉バルブとの間に流量計を設け、前記ポンプから送液される液体の速度は、ポンプ制御手段に送液速度の指示値を入力することにより行い、前記電磁開閉バルブは、バルブ制御手段により開閉を制御され、前記ポンプ制御手段に入力される送液速度の指示値及び前記バルブ制御手段に入力される前記電磁開閉バルブの開閉についての指示値と、前記流量計で計測される溶液速度とを比較し、前記電磁界閉バルブの故障判定を行う故障判定手段を備え、前記故障判定手段による判定を測定開始前に行うようにしたことを特徴とする。
また、請求項5記載の本発明は、請求項4記載の発明において、前記流量計の下流側の流路を分岐させて、前記電磁開閉バルブを備えた流路が並列に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、不具合のあるバルブを特定してバルブを交換するだけで済むので、装置を分解して不具合のあるバルブを特定する場合と比べて作業時間を短縮することができる。不具合のあるバルブの特定は、時間を要さないので、通常の測定前等に簡単に行うことができ、結果として長期に亘って円滑な測定が可能となる。
また、不具合のあるバルブを特定することで、バルブに異常がある状態で測定を継続することを回避することが可能となる。更に、製造過程において、この判定方法を用いれば、不具合製品の市場流出防止を容易にかつ確実に実施できる。
また、本発明によれば、バルブの上流側に設けられた流量計による計測により不具合のバルブの特定が可能となるので、各バルブについて個々に確認する必要がなく、バルブの個数が増えた場合に特に有効なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態のフロースルーセル式測定装置の構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のフロースルーセル式測定装置の構成を示す説明図である。
同装置は、フロースルー式のセル4を備え、セル4に対して上流側から順にポンプ2及び流量計3を備えている。流量計3とセル4との間の流路及びセル4と廃液容器側5との間の流路とは、それぞれ並列となるように分岐されており、各流路に電磁開閉式バルブ9,10,11,12を備えている。また、電磁開閉式バルブ10を備えた流路と、電磁開閉式バルブ12を備えた流路との間に、セル4へ向かう流路が設けられており、この流路のセル4の上流側に電磁開閉式バルブ13を設けている。
尚、ポンプ2は、溶液の供給の有無乃至は吐出流量等を制御するためポンプ制御手段6により制御され、電磁開閉式バルブ9〜13は、バルブ制御手段7により開閉が制御される。
図示した回路の構成において、ポンプ2は、検査溶液を収容した容器1からフロースルー式のセル4に溶液を圧送し、測定が終了した検査溶液は、セル4の下流側に接続された廃液容器5に収容される。
尚、ポンプ制御手段6及びバルブ制御手段7となる装置は公知のものを利用することができ、図示しないが、各制御手段6,7への制御を行うための入力手段により、制御すべき値が入力される。
【0009】
次に、説明した測定装置のバルブ故障判定の動作についてバルブ11で代表して説明する。
まず、バルブ9,10,13を開き、バルブ11,12を閉じた状態でポンプ2により検査溶液を送液し、流量計3により計測した流速が0であることが故障バルブ推定手段8に送られ、バルブ11,12が閉状態であることが確認できる。続いて、バルブ11を開き、ポンプ2から検査溶液を送液し、流量計3により計測した流速が0でないことが故障バルブ推定手段8に送られ、バルブ11の閉状態から開状態に動作することが確認できる。引き続き、バルブ11を閉じ、ポンプ2により検査溶液を送液し、流量計3により測定された流速が0であることが故障バルブ推定手段8に送られ、バルブ9の開状態から閉状態に動作することが確認できる。
上記の作動により、故障バルブ推定手段8は、バルブ11の開閉動作が正常に行われていると判断する。
このような判断の方法については、特に制限はないが、予め、各バルブ9〜13の少なくとも何れかが開閉動作を正常に行う場合の流量計3の値を測定及び記録しておき、確認を行いたいバルブ9〜13が正常でない場合の流量計3の値を測定して、正常値と測定値とを故障バルブ推定手段8により比較するようにすれば効率的である。
尚、故障バルブ推定手段8については、上記した比較演算をするための手段と、その結果を表示するための表示手段とを備える必要があり、例えば、パソコン等により実装可能である。
【0010】
また、上記故障バルブ推定手段による判定は、実際の測定前に行うようにすることが好ましい。バルブ9〜13の異常を測定前に装置を分解せずに判定することができ、次の測定作業を迅速に行うことができるからである。
【0011】
尚、本発明に使用する流量計3については特に制限はないが、例えば、マスフローメーター等を使用することができる。
【0012】
1 検査溶液を収容した容器
2 ポンプ
3 流量計
4 フロースルー式のセル
5 廃液容器
6 ポンプ制御手段
7 バルブ制御手段
8 故障バルブ推定手段
9,10,11,12,13 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプから送られる溶液を電磁開閉バルブを介してフロースルーセルにより測定を行うフロースルーセル式測定装置であって、
前記ポンプと前記電磁開閉バルブとの間に流量計を設け、
前記ポンプから送液される液体の速度は、ポンプ制御手段に送液速度の指示値を入力することにより行い、
前記電磁開閉バルブは、バルブ制御手段により開閉を制御され、
前記ポンプ制御手段に入力される送液速度の指示値及び前記バルブ制御手段に入力される前記電磁開閉バルブの開閉についての指示値と、前記流量計で計測される溶液速度とを比較し、前記電磁界閉バルブの故障判定を行う故障判定手段を備えたことを特徴とするフロースルー式測定装置。
【請求項2】
前記流量計の下流側の流路を分岐させて、前記電磁開閉バルブを備えた流路が並列に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロースルー式測定装置。
【請求項3】
前記フロースルーセルには、検出素子として圧電素子を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のフロースルー式測定装置。
【請求項4】
ポンプから送られる溶液を電磁開閉バルブを介してフロースルーセルにより測定を行うフロースルーセル式測定装置の前記電磁開閉バルブの故障判定方法であって、
前記ポンプと前記電磁開閉バルブとの間に流量計を設け、
前記ポンプから送液される液体の速度は、ポンプ制御手段に送液速度の指示値を入力することにより行い、
前記電磁開閉バルブは、バルブ制御手段により開閉を制御され、
前記ポンプ制御手段に入力される送液速度の指示値及び前記バルブ制御手段に入力される前記電磁開閉バルブの開閉についての指示値と、前記流量計で計測される溶液速度とを比較し、前記電磁界閉バルブの故障判定を行う故障判定手段を備え、
前記故障判定手段による判定を測定開始前に行うようにしたことを特徴とするフロースルー式測定装置の電磁開閉バルブの故障判定方法。
【請求項5】
前記流量計の下流側の流路を分岐させて、前記電磁開閉バルブを備えた流路が並列に構成されていることを特徴とする請求項4に記載のフロースルー式測定装置の電磁開閉バルブの故障判定方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−3013(P2013−3013A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135650(P2011−135650)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】