説明

フロートガラス製造用フロート槽、及びフロート槽の冷却方法

【課題】冷却効率を増大させたフロートガラス製造用フロート槽を提供する。
【解決手段】溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能であり、複数の煉瓦から構成された煉瓦組立体110と、煉瓦組立体110の外側を区画するボトムケーシングと、ボトムケーシング120の方へと冷却空気が供給可能にボトムケーシング120から離隔して設けられた送風機130とを備え、冷却空気の噴射位置が煉瓦組立体の煉瓦同士間のギャップに対応するように送風機の位置が決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロートガラス製造用フロート槽(float bath)、及びフロート槽の冷却方法に関するものであって、より詳しくは、溶融金属を貯蔵する煉瓦を囲むボトムケーシングを冷却させる構造が改善したフロートガラス製造用フロート槽、及びフロート槽の冷却方法に関する。
【0002】
本出願は、2010年8月11日出願の韓国特許出願第10‐2010‐0077573号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書および図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
一般に、フロートガラス法による板ガラスの製造装置は、フロート槽に貯蔵されて流動する溶融金属上に溶融ガラスを連続的に供給し、溶融金属上に溶融ガラスを浮遊した状態で進行させながらガラスリボンを成形し、フロート槽の出口に隣接した徐冷炉に向けてガラスリボンを引っ張ることで、一定幅及び厚さを有する帯(リボン)状の板ガラスを製造する装置である。
【0004】
ここで、溶融金属は、例えば、溶融錫または溶融錫合金を含んでおり、溶融ガラスより比重が大きく、還元性水素(H)及び/または窒素(N)ガスで充填されたフロートチャンバー(float chamber)内に収容されている。フロートチャンバーは、溶融金属が貯蔵されているボトムと、ボトムを覆っているルーフとを含む。また、溶融金属を収容するボトム(またはフロート槽)は特殊耐火材料が内蔵された、長さ方向に延びた構造になっている。溶融ガラスはフロート槽の上流側から下流側に向けて移動しながら、溶融金属の表面でガラスリボンとして成形され、フロート槽の下流側に設定された離隔位置(以下、テイクオフポイント(take off point)とする)で溶融金属から離されて引き上げられ、次の工程の徐冷炉に向けて送られる。
【0005】
一方、フロートチャンバー内の溶融金属は高温(約600℃〜1,100℃)状態に維持され、溶融金属の溶融温度は232℃であるため、フロート槽のボトムは所定温度に冷却させる必要がある。なぜなら、溶融金属とカーボンスチール材質のベースケーシングとの間に反応が生じてベースケーシングに穴が開いて溶融金属がフロート槽の外部に流出する危険性が存在するからである。また、品質面において、フロート槽内部の温度変化(例えば、−5℃〜+5℃)は溶融金属の流動を変化させ、気泡が生じるようになる。このような現象は最終的なフロートガラス製品の表面欠陥(OBB(Open Bottom Bubble)またはBOS(Bottom Open Seed))の原因になる。したがって、フロート槽で生産される最終的なフロートガラス製品は特に品質面において、またはOBB面において、フロート槽内部の温度分布を均一に維持する必要がある。
【0006】
ところが、従来のフロート槽システムは、送風機(air blower)を利用して冷却空気をボトムケーシングに吹き込むことでフロート槽のボトムを冷却させる方式を採用する。このような従来の送風機を利用した冷却装置は複数のノズルを利用している。しかし、このようなノズルの位置は、その上部に位置したボトムケーシングによって囲まれた煉瓦の設置位置を考慮せずにランダムに設備されていることから、冷却効率に問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものであって、フロート槽を構成するボトムの煉瓦間のギャップを効率的に活用することで、ボトムケーシングの冷却効果が極大化できるように構造が改善したフロートガラス製造用フロート槽、及びフロート槽の冷却方法を提供することをその技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を達成するために、本発明の望ましい例示的実施例によるフロートガラス製造用フロート槽は、溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能であり、複数の煉瓦から構成された煉瓦組立体(brick assembly)と、上記煉瓦組立体の外側を区画するボトムケーシングと、上記ボトムケーシングの方へと冷却空気が供給可能に上記ボトムケーシングから離隔して設けられた送風機とを備え、上記冷却空気の噴射位置が上記煉瓦組立体の上記煉瓦同士間のギャップに対応するように上記送風機が配置される。
【0009】
上記のような課題を達成するために、本発明の他の望ましい例示的実施例によるフロートガラス製造用フロート槽は、溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能であり、複数の煉瓦から構成された煉瓦組立体と、上記煉瓦組立体の外側を区画するボトムケーシングと、上記ボトムケーシングの方へと冷却空気が供給可能に上記ボトムケーシングから離隔して設けられた送風機とを備え、上記冷却空気の噴射位置が隣接した煉瓦同士間の境界面の中心と一致するように上記送風機が配置される。
【0010】
望ましくは、上記送風機は、上記ボトムケーシングと所定間隔離隔して配置された複数のノズル組立体を備え、上記それぞれのノズル組立体は、隣接した煉瓦同士間の境界面の中心に向かうセンターノズルと、上記センターノズルから上記煉瓦の長辺間の境界面に向かうように配置される長辺ノズル部と、上記長辺ノズル部と直交するように上記煉瓦の短辺間の境界面に向かうように配置される短辺ノズル部とを備える。
【0011】
望ましくは、上記送風機は、上記ボトムケーシングと所定間隔離隔して配置された複数のノズル組立体を備え、上記それぞれのノズル組立体は、上記煉瓦同士間の境界面の中心から放射状に所定半径に冷却空気を噴射可能な放射ノズル部を備える。
【0012】
上記のような課題を達成するために、本発明の望ましい例示的実施例によるフロート槽の冷却方法は、溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能な煉瓦組立体を囲むボトムケーシングの下部に設けられた複数のノズルから供給されるエアを利用して上記ボトムケーシングを冷却させる方法において、上記冷却空気の噴射位置が上記煉瓦組立体の上記煉瓦同士間のギャップに対応するように上記送風機の位置を設定するステップを含む。
【0013】
上記のような課題を達成するために、本発明の他の望ましい例示的実施例によるフロート槽の冷却方法は、溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能な煉瓦組立体を囲むボトムケーシングの下部に設けられた複数のノズルから供給されるエアを利用して上記ボトムケーシングを冷却させる方法において、上記冷却空気の噴射位置が隣接した煉瓦同士間の境界面の中心と一致するように上記送風機の位置を設定するステップを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるフロートガラス製造用フロート槽、及びフロート槽の冷却方法は、冷却空気が噴射される送風機のノズルの中心をボトム煉瓦同士間の境界面またはボトム煉瓦同士間の境界面の中心に対応するように位置させることで、ノズルから噴射される冷却空気が相対的に早い時間内にボトム煉瓦同士間の境界面のギャップを冷却させることができ、その冷却効率を増大させることで、送風機のノズルから噴射される冷却空気が効率的にボトムケーシングを冷却することができる。
【0015】
したがって、フロート槽のボトムケーシングを効率的に冷却すれば、最終的に生産されるフロートガラス製品の品質をさらに高めることができ、工程の安定性も期することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に添付される下記の図面は本発明の望ましい実施例を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはいけない。
【図1】本発明の望ましい実施例によるフロートガラス製造用フロート槽の構成を概略的に示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】本発明の望ましい例示的実施例による送風機のノズル組立体の配列パターンを概略的に示す平面図である。
【図4】図3の送風機に採択されるノズル組立体と煉瓦組立体の煉瓦との位置関係を示す図面である。
【図5】図4のノズル組立体の配管状態を説明する図面である。
【図6】図4のノズル組立体の側面図である。
【図7】図6の正面図である。
【図8】本発明の他の望ましい例示的実施例による送風機の配列パターンを概略的に示す平面図である。
【図9】図8の送風機に使われる個別ノズル組立体の構成を示す斜視図である。
【図10】図9のノズル組立体から噴射される冷却空気の噴射形態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはいけず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。従って、本明細書に記載された実施例は本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想の全てを代弁するものではないため、本出願時点においてこれらに代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0018】
以下、添付した図面を参照しながら本発明の望ましい実施例によるフロートガラス製造用フロート槽、及びフロート槽の冷却方法を詳しく説明する。
【0019】
図1は本発明の望ましい実施例によるフロートガラス製造用フロート槽の構成を概略的に示す正面図であり、図2は図1の側面図である。
【0020】
図1及び図2を参照すれば、本実施例によるフロートガラス製造用フロート槽100は、溶融金属Mを貯蔵できるように複数の煉瓦Bが連結されて形成する煉瓦組立体110と、煉瓦組立体110の外側を囲むように設置されたスチール材質のボトムケーシング120と、ボトムケーシング120を冷却させるために冷却空気をボトムケーシング120側に噴射できる送風機130とを備える。
【0021】
本実施例によるフロート槽100は、いわゆる、フロートガラス法によってフロートガラスを製造するためのものであって、下部のボトム112、ボトム112の上部を覆い、電気抵抗加熱要素114が設けられたルーフ116、入口111、及び出口113を含む密閉された構造のフロートチャンバー118を備える。
【0022】
ボトム112には、溶融錫、溶融錫合金などの溶融金属Mが貯蔵される。溶融炉から入口111を通じて供給される溶融ガラスGは敷居117と水平調整トゥイール(tweel)119とを通じて計量されてフロートチャンバー118内部に流入する。溶融ガラスGがフロートチャンバー118の上流側(図面の左側)から下流側(図面の右側)に移動する過程で、溶融金属Mは溶融ガラスGによって流動される。また、溶融金属Mはフロートチャンバー118内部の温度勾配によって比較的高温に保持されるフロートチャンバー118の上流側から下流側に流動すると同時に、フロートチャンバー118の長手方向の中心からその両側に流動する。溶融ガラスGは上流側から下流側に向いて移動しながら好適な厚さ及び幅を持つリボン状のガラスリボンGに成形され、フロートチャンバー118の出口113側に設けられたリフトアウトローラー115によって引き上げられ、テイクオフポイントで溶融金属Mの表面から離される。リフトアウトローラー115を通過したガラスリボンGは次の工程の徐冷炉(図示せず)に送られる。
【0023】
フロートチャンバー118の内部雰囲気は窒素と水素との混合気体からなり、このような混合気体は外部大気より若干高い圧力で維持され、溶融金属M及びリボン状の溶融ガラスGは電気抵抗加熱要素114によって約800〜1300℃程度に維持される。溶融ガラスGは無アルカリガラスまたはソーダ石灰ガラス(soda‐lime glass)などである。フロートチャンバー118内部における溶融金属Mの流動発生原理と構造、及び溶融ガラスGの投入、リボン化、移動及び排出などは一般的なフロートガラス法で公知されているため、本実施例ではその詳細な説明を省略する。
【0024】
上記煉瓦組立体110は、例えば、耐火煉瓦のような複数の煉瓦Bがライニング結合されたものであり、溶融金属Mを直接貯蔵しているボトムライニング煉瓦と、このようなボトムライニング煉瓦を囲み、ボトムケーシング120の内面と接触するように配列されたボトム絶縁煉瓦とを含み得る。この場合、ボトムライニング煉瓦とボトム絶縁煉瓦の間には無機接着剤が充填されることが望ましい。煉瓦組立体110を構成する煉瓦Bの間隔は、煉瓦の加熱による膨張などを考慮して決定することが望ましい。また、煉瓦Bには溶融金属Mに対する耐食性、溶融ガラス(G)内に含まれるKOやNaOに対する耐アルカリ性、ガラス製品の温度変化に対応する耐スポーリング性(spalling resistance)などが求められる。また、煉瓦組立体110は、フロートチャンバー118のボトム112を形成するボトム煉瓦Bと、その側面を形成するサイド煉瓦Bとからなる。
【0025】
上記ボトムケーシング120は、ボトム煉瓦Bの外周面を囲むように設けられたベースケーシング122と、サイド煉瓦Bを囲み、ベースケーシング122と連結されたサイドケーシング124とを含む。ボトムケーシング120は煉瓦組立体110を支持できる程度の剛性と厚さを持つ通常の金属で製造することが望ましい。
【0026】
上記送風機130は、フロート槽100を支持する支持フレーム(図示せず)と、フロート槽100のボトム112、すなわち、ボトムケーシング120の下面との間の空間に一定パターンで配置されたノズル組立体132を通じて抜け出る冷却空気によってボトムケーシング120を所定温度に冷却させるためのものであって、例えば、ファン134のような駆動源によって駆動される。すなわち、フロートチャンバー118内部の高温雰囲気によって加熱される煉瓦組立体110及びボトムケーシング120は送風機130によって冷却される。
【0027】
送風機130のノズル組立体132は、ガラスリボンGの品質面(BOS)においてフロート槽100の均一な温度分布を維持するために、適切なパターンで設計することが望ましい。
【0028】
図3は本発明の望ましい例示的実施例による送風機のノズル組立体の配列パターンを概略的に示す平面図であり、図4は図3の送風機に採択されるノズル組立体と煉瓦組立体の煉瓦との位置関係を示す図面であり、図5は図4のノズル組立体の配管状態を説明する図面であり、図6は図4のノズル組立体の側面図であり、図7は図6の正面図である。
【0029】
図3を参照すれば、本実施例による送風機130は、ポンプ134が設けられたメイン経路136と、メイン経路136から分岐されるサブ経路138と、サブ経路138の端に設けられたそれぞれのノズル組立体132とを備える。それぞれのサブ経路138は、フロート槽100の長手方向に一定間隔で配置される。それぞれのサブ経路138上に位置するそれぞれのノズル組立体132は、ボトム112の幅方向に所定間隔離隔して配置され、フロート槽100の幅の広狭によってその位置及び数が調節できる。メイン経路136上には経路の安定した運営のための圧力計131などが設けられる。それぞれのサブ経路138上にはそれに対応する経路を選択的にオン/オフさせることができるバルブ133が設けられる。図3の部材番号128は、フロートチャンバー118内部で成形されたガラスリボンGを徐冷炉(図示せず)に引き出すためのリフトアウトローラー115が設けられたドロスボックス(dross box)を示す。
【0030】
図4を参照すれば、それぞれのノズル組立体132は、その中心が隣接した煉瓦B同士間の境界を形成するギャップBSの中心Cと一致するように配置される。本実施例で使用されるそれぞれのノズル組立体132は、隣接した煉瓦B同士間のギャップBSの中心Cに向かうセンターノズル151と、センターノズル151から煉瓦Bの長辺間に形成された長辺ギャップBSL部分に向かって冷却空気を噴射できるように配置される長辺ノズル153と、長辺ノズル153と直交するように煉瓦Bの短辺間に形成された短辺ギャップBSSに向かって冷却空気を噴射できるように配置される短辺ノズル155とを備える。
【0031】
図5に示すように、サブ経路138の端には、フロート槽100のボトムのサイズに対応する形態でサブ経路を分岐させる分岐管135が設けられる。分岐管135の端には、ノズル組立体132を通じて排出される冷却空気の量を調節できるダンパー137が設けられる。
【0032】
図6に示すように、長辺ノズル部153は、センターノズル151を基準にして互いに対向して設けられた二対のノズルを含み、このようなノズルはサブ経路138にそれぞれ連通された第1分岐管152及び第2分岐管154の端に設けられる。
【0033】
図7に示すように、短辺ノズル部155は、センターノズル151を中心にして互いに対称的に配置された一対のノズルを含み、このようなノズルはサブ経路138に連通された第3分岐管156の端に設けられる。
【0034】
図3から図7に示すノズル組立体132を備える送風機130を使用することで、それぞれのノズル組立体132のセンターノズル151、長辺ノズル153、及び短辺ノズル155のそれぞれは、互いに隣合う煉瓦B同士間のギャップBSの中心C、長辺ギャップBSL、及び短辺ギャップBSSの部分に対応するように位置され、その上部を集中的に冷却させることができるので、ボトムケーシング120の冷却効率を増大させることになる。なぜなら、煉瓦B同士間のギャップBSは、ケーシング120のボトム部分には溶融錫が凝固して固相で存在し、底から一定距離離隔した位置では溶融錫の状態で存在して固液界面を形成するからである。ここで、ボトムケーシング120の温度が変われば、固液界面のレベルが変化し、固相と液相のガス飽和度の差によって気泡を発生させ、これがガラス品質に致命的な影響を及ぼす一因になる。従って、本発明の望ましい実施例によるノズルのパターン分布を通じて効果的な冷却をすることで、ガラスの品質を改善できる。
【0035】
一方、長辺ノズル153及び短辺ノズル155のノズル数は、使用される煉瓦の長さ及びそれらの配置形態によって多様に選択できることは当業者に明白である。
【0036】
図8は本発明の他の望ましい例示的実施例による送風機の配列パターンを概略的に示す平面図であり、図9は図8の送風機に使われる個別ノズル組立体の構成を示す斜視図であり、図10は図9のノズル組立体から噴射される冷却空気の噴射形態を示す図面である。図3から図7を参照しながら説明した部材番号と同一の構成要素は同一の機能を持つ同一の部材である。
【0037】
図8から図10を参照すれば、本実施例による送風機230は上述の実施例と異なり、それぞれのサブ経路138の端に固まり形態の放射状ノズル組立体260を備える。放射状ノズル組立体260は、ノズルボディ262の中央に設けられた第1ノズル264と、その周囲に放射状に配置された複数の第2ノズル266を備える。代案的な実施例として、放射状ノズル組立体260は、ノズル本体262の端に複数のノズル孔がランダムに穿孔されたノズルカバー(図示せず)が付着された構造に変形できることは当業者に十分理解できるであろう。
【0038】
このような放射状ノズル組立体260は、煉瓦B同士間の境界面BSの中心Cから所定半径に放射状に冷却空気を噴射させるためのものである。すなわち、本実施例による放射状ノズル組立体260は、煉瓦B同士間のギャップBSの中心Cを基準にして予め決定された半径ほど(煉瓦の長辺長さの少なくとも1/2)冷却空気が噴射されるようにすることで、煉瓦B同士間のギャップBSはもちろん、その周辺の煉瓦B部分まで冷却させるためのものである。従って、上述の実施例よりも一層優れた冷却効果を期待することができる。もちろん、この場合、供給流量及び放射状ノズル組立体260のサイズは適切に調節できることは当業者に明白である。
【0039】
本発明の望ましい例示的な実施例によるフロート槽の冷却方法は、溶融金属M上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能な煉瓦組立体110を囲むボトムケーシング120の下部に設けられた複数のノズル組立体132から供給される冷却空気を通じてボトムケーシング120を冷却させる方法において、煉瓦組立体110の煉瓦B同士の間に形成されたギャップBSに対応するようにノズル組立体132のノズル151・153・155を構成してボトムケーシング120の下部に配置することで、特に、煉瓦B同士間のギャップBSを先に冷却させることで、冷却効率を増大させる方法である。
【0040】
本発明の他の実施例によるフロート槽の冷却方法は、冷却空気の噴射位置が、隣接した煉瓦B同士間のギャップBSの中心と一致し、その中心から所定半径に放射状に広げて冷却空気を噴射できる放射状ノズル組立体260を持つ送風機230を利用することで、より効率的にボトムケーシング120を冷却させる方法である。
【0041】
一方、上述の実施例による構成及び方法によれば、フロートチャンバー118内部に投入される溶融ガラスGは、フロート槽100のボトムケーシング120を効率的に冷却させることで、ガラスリボンGの成形中に発生し得るBOSのレベルを低めることができることから、より良い品質のフロートガラスを製造することが可能である。
【0042】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面とによって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者により本発明の技術思想と特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
M…溶融金属
G…溶融ガラス、ガラスリボン
B…煉瓦
BS…ギャップ
110…煉瓦組立体
111…入口
112…ボトム
113…出口
114…加熱要素
115…リフトアウトローラー
116…ルーフ
117…敷居
118…フロートチャンバー
119…水平調整トゥイール
120…ボトムケーシング
122…ベースケーシング
124…サイドケーシング
130、230…送風機
132…ノズル組立体
134…ポンプ
135…分岐管
136…メイン経路
137…ダンパー
138…サブ経路
151…センターノズル
153…長辺ノズル
155…短辺ノズル
260…放射状ノズル組立体
262…ノズルボディ
264…第1ノズル
266…第2ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能であり、複数の煉瓦が並べられて構成された煉瓦組立体と、
上記煉瓦組立体の外側を区画するボトムケーシングと、
上記ボトムケーシングの方へと冷却空気が供給可能に上記ボトムケーシングから離隔して設けられた送風機と
を備え、
上記冷却空気の噴射位置が上記煉瓦組立体の上記煉瓦同士間のギャップに対応するように上記送風機が配置されたことを特徴とするフロートガラス製造用フロート槽。
【請求項2】
溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能であり、複数の煉瓦が並べられて構成された煉瓦組立体と、
上記煉瓦組立体の外側を区画するボトムケーシングと、
上記ボトムケーシングの方へと冷却空気が供給可能に上記ボトムケーシングから離隔して設けられた送風機と
を備え、
隣接した煉瓦同士間の境界の、煉瓦の角部分に対応する部分に上記冷却空気が噴射されるように上記送風機が配置されたことを特徴とするフロートガラス製造用フロート槽。
【請求項3】
上記送風機は、上記ボトムケーシングと所定間隔離隔して配置された複数のノズル組立体を備え、
上記複数のノズル組立体の各々は、
隣接した煉瓦同士間の境界の、煉瓦の角部分に対応する位置に対応して配置されるセンターノズルと、
上記センターノズルを中心に上記煉瓦の長辺に沿って配置される長辺ノズル部と、
上記長辺ノズル部の配置方向と直交するように上記煉瓦の短辺に沿って配置される短辺ノズル部と
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス板製造用フロート槽。
【請求項4】
上記送風機は、上記ボトムケーシングと所定間隔離隔して配置された複数のノズル組立体を備え、
上記複数のノズル組立体の各々は、
上記煉瓦同士間の境界の煉瓦の角部分に対応する位置から放射状に所定半径の円内に冷却空気を噴射可能な放射ノズル部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス板製造用フロート槽。
【請求項5】
溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能な煉瓦組立体を囲むボトムケーシングの下部に設けられた複数のノズル組立体から供給される冷却空気を利用して上記ボトムケーシングを備えるフロート槽を冷却させる方法において、
上記冷却空気の噴射位置が上記煉瓦組立体の上記煉瓦同士間のギャップに対応するように上記複数のノズル組立体の位置を設定するステップを含むことを特徴とするフロート槽の冷却方法。
【請求項6】
溶融金属上にフロートガラスを浮遊した状態で進行させることができるように溶融金属が貯蔵可能な煉瓦組立体を囲むボトムケーシングの下部に設けられた複数のノズル組立体から供給される冷却空気を利用して上記ボトムケーシングを備えるフロート槽を冷却させる方法において、
隣接した煉瓦同士間の境界の、煉瓦の角部分に対応する部分に上記冷却空気が噴射されるように上記複数のノズル組立体の位置を設定するステップを含むことを特徴とするフロート槽の冷却方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の方法に従って冷却されたフロート槽において冷却されて製造されたフロートガラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−36082(P2012−36082A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176130(P2011−176130)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)