説明

フローパレットおよび半田付け方法

【課題】高背部品が実装された回路基板の半田付け品質を向上させる。
【解決手段】半田付け対象の回路基板2を支持し、半田を噴出する噴流部の上方を軌道に案内されて移動するフローパレット1に、半田付けが不要な高背部品を遮蔽する遮蔽部7の下端部22との距離が、半田付けが必要な部品3が載置された部位を露出させるための開口部4の端部21との距離と略等しくなるように搬送ガイド6を形成し、その搬送ガイド6が軌道に案内されて遮蔽部7を噴流部に当接させることなく、また該噴流部が噴出した半田を開口部4に流入可能にフローパレット1を移動できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田を噴流させて半田付けを行う半田フロー装置の内部を移動する回路基板を支持するためのフローパレットおよびそのフローパレットを使用した半田付け方法に関し、特に高背部品が実装された回路基板を支持するフローパレットおよびそのフローパレットを使用した半田付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフローパレットは、半田付けの対象である回路基板を支持し、半田フロー装置の搬送チェーンに案内されてフラックス塗布部、予熱部、および半田フロー部を順次移動してその回路基板に半田付けを行うようにしている。
このフローパレットは、半田付けを行う裏面が下側になるように回路基板を支持し、半田付けが必要な部位に開口部が設けられ、また半田付けが不要な部位の近傍を遮蔽するように形成されて所望の部位に半田付けが行えるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5に示すように従来のフローパレット101は、回路基板102を嵌め込んで支持し、半田付けが必要な部品103が載置された部位に開口部104が形成され、半田付けが不要な部品105が載置された部位を遮蔽するように形成されている。またフローパレット101の両側部に半田フロー装置の搬送チェーンに付置された爪部(以下、「搬送チェーン」とする)により案内される搬送ガイド106が設けられている。
【0004】
また、図6は半田フロー装置110の構成を示し、半田フロー装置110は半田を噴流する一次噴流部111および二次噴流部112の上方にフローパレット101を図中矢印Aが示す方向に搬送案内するための搬送チェーン113を備え、その搬送チェーン113に案内されたフローパレット101に支持された回路基板102の裏面の開口部104に半田を噴流して半田付けを行うようにしている。
【特許文献1】特開2002−190667号公報(段落「0014」〜段落「0026」、図1、図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般にCPU(Central Processing Unit)基板等の回路基板の半田面には半田付けが不要な背の高い高背部品が実装されることが多く、また半田付けが必要な部品は一箇所に集約されることが多く、このような回路基板に合わせてフローパレットを形成する場合、高背部品を遮蔽するためにその高背部品が実装された部位が厚くなるように形成する必要がある。
【0006】
このように高背部品が実装された部位が厚くなるようにフローパレットを形成した場合、上述した従来の技術においては、図7に示すようにそのフローパレット101が半田フロー装置110を通過できるように一次噴流部111および二次噴流部112の半田噴流口を図中矢印Bが示す方向に下げるとともに半田の噴流を高くする必要があるが、半田の噴流を高くすると噴流が不安定になり半田付け品質が低下してしまい、また半田の噴流を高くするにも限界があるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、半田面に高背部品が実装された回路基板の半田付け品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明のフローパレットは、半田付け対象の回路基板を支持し、側部が軌道に案内されて半田を噴出する噴流部の上方を移動するフローパレットにおいて、半田付けが不要な高背部品を遮蔽する遮蔽部の下端部との距離を、半田付けが必要な部品が載置された部位を露出させるための開口部の端部との距離と略等しくなるように形成した搬送ガイドを設け、前記搬送ガイドが軌道に案内され、前記遮蔽部を噴流部に当接させることなく、該噴流部が噴出した半田を前記開口部に流入可能に移動できるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の半田付け方法は、半田付け対象の回路基板を支持し、側部が軌道に案内されて半田を噴出する噴流部の上方を移動するフローパレットを用いた半田付け方法において、半田付けが不要な高背部品を遮蔽する遮蔽部の下端部との距離を、半田付けが必要な部品が載置された部位を露出させるための開口部の端部との距離と、略等しくなるように形成したフローパレットの搬送ガイドが、軌道に案内されて前記遮蔽部を噴流部に当接させることなく、該噴流部が噴出した半田を前記開口部に流入可能にフローパレットを移動する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このようにした本発明は、半田面に高背部品が実装された回路基板の半田付け品質を向上させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明によるフローパレットおよびそのフローパレットを使用した半田付け方法の実施例を説明する。
【実施例】
【0012】
図1は実施例におけるフローパレットの側面図、図2は実施例におけるフローパレットの平面図である。
図1および図2において、1はフローパレットであり、2は半田付けを行う回路基板であり、フローパレット1は回路基板2を支持するものである。このフローパレット1は、半田付けを行う面を下側にして回路基板2を図示しない嵌合部で嵌め込み、その回路基板2を図示しない係止部で係止して支持できるようになっている。
【0013】
3は回路基板2に実装された半田付けを必要とする部品である。4は半田付けが必要な部品3が載置された部位を露出させるための開口部であり、フローパレット1の下側に形成された開口である。なお、フローパレット1に設けられた開口部4以外の半田付けが不要な部位は遮蔽され、半田が流れ込まないように形成されている。
7は遮蔽部であり、回路基板2に実装された半田付けが不要な高背部品を遮蔽するために他の部位より突出するように形成されたものであり、その内部には図示しない高背部品が実装されている。
【0014】
6は搬送ガイドであり、フローパレット1の両側部に突出するように形成された板状のものである。この搬送ガイド6は、半田フロー装置に設けられた一対の搬送チェーンの爪部により係止されて固定され、その搬送チェーンに案内されて半田フロー装置の内部を移動することができるようになっている。
なお、本実施例では、搬送ガイド6をフローパレット1の両側部に形成された板状のものとして説明するが、両側部に形成された突起状(棒状)のものであってもよく、また片側部に形成されたものであってもよい。
【0015】
次に、半田フロー装置を図3の実施例における半田フロー装置の説明図に基づいて説明する。
10は半田フロー装置であり、この半田フロー装置10は半田を噴流する一次噴流部11および二次噴流部12(噴流部)の上方にフローパレット1を図中矢印Cが示す方向に搬送路を案内するための軌道としての搬送チェーン13を備え、その搬送チェーン13に案内されたフローパレット1に支持される回路基板2の開口部4に半田を噴出して半田付けを行うものである。なお、半田付けが不要な高背部品5は遮蔽部7で遮蔽されており、一次噴流部11および二次噴流部12が噴出した半田が高背部品5に付着しないようになっている。
【0016】
搬送チェーン13は、フローパレット1を搬送する搬送路の両側部に設けられ、その外周面には複数のコの字状の爪部が付置されたチェーンであり、その爪部に挿入されたフローパレット1の搬送ガイド6を係止して移動可能に案内し、図示しないモータ等の駆動手段およびベルト等の駆動伝達手段によりフローパレット1を図中矢印Cが示す方向に搬送する。
【0017】
なお、この半田フロー装置10は一次噴流部11および二次噴流部12の上流に半田面を活性化するためのフラックスを回路基板2に塗布するためのフラックス塗布部、回路基板2を予熱するための予熱部等を備えているが、本発明には直接関係しないのでその説明を省略する。
ここで、フローパレット1の両側部に形成された搬送ガイド6を図4の実施例におけるフローパレットの搬送ガイドの説明図に基づいて説明する。
【0018】
フローパレット1の搬送ガイド6は、遮蔽部7と一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12(噴流部)との距離がmミリメートル、また開口部4の端部と一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12との距離がnミリメートルとなるように形成された板状のものである。
図4に示すように半田付けを必要とする部品3および回路基板2に実装された半田付けが不要な高背部品を遮蔽するため遮蔽部7が回路基板2の端部近傍に配置されている場合、半田付けを必要とする部品3を露出させるための開口部4の端部21と一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12との距離がnミリメートル、また遮蔽部7の下端部22(半田付けを必要とする部品3が載置されている側の下端部)と一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12との距離がmミリメートルとすると距離mと距離nは略等しくなるように搬送ガイド6は形成されている。
【0019】
また、開口部4の端部21と一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12との距離nおよび遮蔽部7の端部22と一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12との距離mは遮蔽部7を含むフローパレット1が一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12に物理的に干渉しない、すなわち当接しない距離であり、かつ開口部4を介して半田付けを必要とする部品3に半田を流入させるために必要な距離が確保されている。
【0020】
したがって、搬送ガイド6と一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12との距離をL(ミリメートル)とすると、搬送ガイド6は、半田付けが必要な部品が載置された部位を露出させるための開口部4の端部21との距離はL−nとなり、半田付けが不要な高背部品を遮蔽する遮蔽部7の下端部22との距離はL−mとなり、その距離(L−n)と距離(L−m)は略等しくなるように形成されている。
【0021】
なお、距離(L−n)と距離(L−m)は完全に一致する必要はなく、距離(L−m)は遮蔽部7を含むフローパレット1が一次噴流部11ならびに図示しない二次噴流部12に当接しない距離であり、距離(L−n)は開口部4を介して半田付けを必要とする部品3に半田を流入させるために必要な距離であればよい。
上述した構成の作用を図3の実施例における半田フロー装置の説明図に基づいて説明する。
【0022】
半田フロー装置10の搬送チェーン13に付置された爪部にフローパレット1の搬送ガイド6を挿入し、駆動手段および駆動伝達手段によりフローパレット1を図中矢印Cが示す方向に搬送する。
フローパレット1は搬送ガイド6および半田フロー装置10の搬送チェーン13に案内されて一次噴流部11ならびに二次噴流部12へ搬送され、半田付けがされる。
【0023】
このとき、フローパレット1は、その半田付けを必要とする部品3の開口部4の端部21と一次噴流部11ならびに二次噴流部12との距離がnミリメートル、また遮蔽部7の端部22と一次噴流部11ならびに二次噴流部12との距離がmミリメートルとなるように搬送される。
一次噴流部11ならびに二次噴流部12が噴出する半田は搬送されたフローパレット1の開口部4に流入し、半田付けを必要とする部品3の半田付けを行う。
【0024】
このようにフローパレット1の遮蔽部7と一次噴流部11ならびに二次噴流部12との距離、および開口部4の端部21と一次噴流部11ならびに二次噴流部12との距離を、フローパレット1が一次噴流部11ならびに二次噴流部12に物理的に干渉しない距離であり、また開口部4を介して半田付けを必要とする部品3に半田を流入させるために必要な距離となるように搬送ガイド6を形成することにより、フローパレット1の遮蔽部7を一次噴流部11ならびに二次噴流部12に当接させることなく、フローパレット1の半田付けを必要とする部品3の半田付けを行うことができるようになる。したがって、一次噴流部11ならびに二次噴流部12の噴流を高くする必要がないため高品質な半田付けを行うことができるようになる。
【0025】
以上説明したように、本実施例では、フローパレットの遮蔽部と一次噴流部ならびに二次噴流部との距離、および開口部の端部と一次噴流部ならびに二次噴流部との距離を、フローパレットがその一次噴流部ならびに二次噴流部に物理的に干渉しない距離であり、また開口部を介して半田付けを必要とする部品に半田を流入させるために必要な距離となるように搬送ガイドを形成することにより、フローパレットの遮蔽部を一次噴流部ならびに二次噴流部に当接させることなく、フローパレットの半田付けを必要とする部品の半田付けを行うことができるようになり、高背部品が実装された回路基板の半田付け品質を向上させることができるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例におけるフローパレットの側面図
【図2】実施例におけるフローパレットの平面図
【図3】実施例における半田フロー装置の説明図
【図4】実施例におけるフローパレットの搬送ガイドの説明図
【図5】従来のフローパレットの正面断面図
【図6】従来の半田フロー装置の構成を示す説明図
【図7】従来の半田フロー装置の構成を示す説明図
【符号の説明】
【0027】
1 フローパレット
2 回路基板
3 部品
4 開口部
5 高背部品
6 搬送ガイド
7 遮蔽部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田付け対象の回路基板を支持し、側部が軌道に案内されて半田を噴出する噴流部の上方を移動するフローパレットにおいて、
半田付けが不要な高背部品を遮蔽する遮蔽部の下端部との距離を、半田付けが必要な部品が載置された部位を露出させるための開口部の端部との距離と略等しくなるように形成した搬送ガイドを設け、
前記搬送ガイドが軌道に案内され、前記遮蔽部を噴流部に当接させることなく、該噴流部が噴出した半田を前記開口部に流入可能に移動できるようにしたことを特徴とするフローパレット。
【請求項2】
請求項1のフローパレットにおいて、
前記搬送ガイドを側方に突出する板状に形成し、該搬送ガイドが半田フロー装置の軌道で案内されるようにしたことを特徴とするフローパレット。
【請求項3】
請求項1のフローパレットにおいて、
前記搬送ガイドを側方に突起する棒状に形成し、該搬送ガイドが半田フロー装置の軌道で案内されるようにしたことを特徴とするフローパレット。
【請求項4】
半田付け対象の回路基板を支持し、側部が軌道に案内されて半田を噴出する噴流部の上方を移動するフローパレットを用いた半田付け方法において、
半田付けが不要な高背部品を遮蔽する遮蔽部の下端部との距離を、半田付けが必要な部品が載置された部位を露出させるための開口部の端部との距離と、略等しくなるように形成したフローパレットの搬送ガイドが、軌道に案内されて前記遮蔽部を噴流部に当接させることなく、該噴流部が噴出した半田を前記開口部に流入可能にフローパレットを移動する工程を含むことを特徴とする半田付け方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−295723(P2009−295723A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146649(P2008−146649)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(591020663)長野沖電気株式会社 (9)
【Fターム(参考)】