説明

フローモニタリングおよび制御のためのシステムおよび方法

【課題】単一のセンサを使って流量を制御できるフロー制御装置を提供すること。
【解決手段】制御装置(30)は、フローを受け入れるための流入口(32);フローをフロー・システムの他の構成要素に導くための流出口(34);圧力低減エレメント(36);上流の圧力を測定するよう構成された、圧力低減エレメント(36)の上流の圧力センサ(38);下流の圧力を測定するよう構成された、圧力低減エレメント(36)の下流の圧力センサ(40);プロセッサ、メモリ、及び流体の流量を算定しバルブ制御信号を発生させるためのソフトウエア命令を包含させることが可能なコントローラ(42);ならびに、バルブ制御信号に反応して流体フローを調節する、ちょう型バルブ、油圧駆動バルブなどのバルブ(44)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、Brodeurらのタイトルが「System and Method for Flow Monitoring and Control」の米国特許出願第10/777,300号(2004年2月12日出願)の一部継続出願であり、該出願の米国特許法第120条の優先権の利益を主張する。本明細書では、該出願の全体を援用する。
【0002】
[発明の背景]
本発明の実施形態は、一般に流量のモニタリング及び制御の分野に関し、さらに具体的には、ある流量範囲のフローのモニタリング及び/又は制御に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造において、基板サブストレート上に正確な回路を製作するためには製造ツールを通る流体フローを厳密に制御することが重要である。現行の半導体製造システムにおいては流体フローを制御するために、質量流量計がシステム中の流体の流量を測定し、流量を調整する必要がある場合には、質量流量コントローラがそれに応じてバルブを開閉する。熱式質量流量計は普及しつつはあるが、多くの現行システムは、差圧式質量流量計に依存している。差圧式質量流量計においては、2つの圧力センサが、絞り部での圧力低下を読み取る。絞り部は圧力低減エレメントとして機能し、よく知られた流体対力学の原則に基づいてガス流量を計算するための公知の部位を有している。計算されたガス流量を用いて、質量流量コントローラは、バルブを調整して流量を増加又は低下させることができる。
【0004】
絞り部の圧力差に依存する従来技術のシステムは、通常、動作範囲に限界がある。さらに具体的には、動作範囲は低い流量において限界がある、というのは、2つのセンサの間の圧力較差(differential)が小さすぎて、システム・ノイズと判別ができないからである。このため、例えば、たとえ流量コントローラが物理的に秒あたり0−100mLの流量幅でフローを制御する能力を持つとしても、コントローラは、秒あたり20−100mLの流量幅でしか、精度よくフローを制御することができない、というのは、秒あたり20mLより下では、2つの圧力センサからの圧力の較差が判別できないからである。
【0005】
動作範囲をより低い流量に拡大するために、従来型のシステムの一部では、より小さな断面積を持つ絞り部を用い、感知される圧力較差を大きくしている。これによって、フローメーターはより低い流量を検知することはできるが、より狭い絞り部によって所定の流体供給圧力に対するメーターの最大フロー容量が低下し、多くの場合不十分な対処策となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−160319号公報
【特許文献2】特開平8−338546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、従来開発された流量モニタリングと制御のシステム及び方法との不都合点を低減した流量モニタリングと制御のシステム及び方法とを提供する。さらに具体的には、本発明の実施形態は、単一のセンサを使って流量を制御できるフロー制御装置を提供する。作動の一つのモードにおいて、フロー制御装置は、複数の圧力センサからの圧力測定値から判定された較差に基づいて流量を制御することができる。例えば、フロー制御装置は、圧力低減エレメントの上流の圧力センサからの測定値と圧力低減エレメントの下流の圧力センサからの測定値との間の較差に基づいて流量を制御することができる。作動の別のモードにおいて、フロー制御装置は、下流の圧力センサのような、特定の圧力センサが感知した圧力に基づいて流量を制御することができる。フロー制御装置は、所定のポイントにおいて、自動的に作動モードの間での切り替えをすることができる。本発明の一つの実施形態において、所定ポイントを、特定の圧力較差とすることができる。本発明の別の実施形態は、単一のセンサによる圧力測定値だけに基づいて流量を制御するシステムを提供する。
【0008】
また、本発明の実施形態に、フロー制御装置自体の再校正が必要な可能性のある変化が生じたことを判定できるフロー制御装置を含めることができる。本発明の一つの実施形態において、コントローラは、圧力センサ(例、下流の圧力センサ)の変動をモニターすることができる。変動が所定量を超えた場合、コントローラは、流量装置を再構成しなければならない可能性を示す警報を発信することができる。
【0009】
本発明の一つの実施形態に、流入口と、流入口と流体連通している流出口と、流入口と流出口との間にあって流入口及び流出口に流体連通している圧力低減エレメントと、圧力低減エレメントの上流に配置され、フロー制御装置を流通する流体の第一圧力を測定するよう構成された圧力センサと、圧力低減エレメントの下流に配置され、フロー制御装置を流れ通る流体の第二圧力を測定するよう構成された圧力センサと、第一圧力センサ及び第二圧力センサと結合され、バルブ駆動信号生成するコントローラとを包含するフロー制御装置を含めることができる。コントローラは、作動の第一モードにおいては、第一圧力と第二圧力との間の較差に基づいてバルブ制御信号を発生させることができる。また、コントローラは、作動の第二モードにおいては、特定の圧力センサによって測定された圧力に基づいてバルブ制御信号を発生させることができる。あらかじめ設定したパラメータ(例、プリセット較差、センサの一つのプリセット圧力、特定センサの読み取り値の変動、又は他のパラメータ)に基づいて、作動モードを自動的に切り替えることができる。
【0010】
本発明の別の実施形態に、下記の工程のため、少なくとも一つのコンピュータ可読媒体に格納され、少なくとも一つのプロセッサが実行可能な、コンピュータ命令のセットを包含するコンピュータプログラム製品を含めることができる:第一圧力の測定値を受信する工程;第二圧力の測定値を受信する工程;第一作動モードによって動作する工程、この工程では、コンピュータ命令は、第一圧力と第二圧力との間の較差に基づいて流量を計算するように実行される;第二作動モードによって動作する工程、この工程では、コンピュータ命令は、特定の圧力センサが測定した圧力に基づいて流量を計算するように実行される;及び所定のパラメータに基づいて第一作動モードと第二作動モードとの間での切り替えを行う工程。
【0011】
本発明のさらなる別の実施形態に下記の工程を含めることができる:第一圧力の測定工程;第二圧力の測定工程;第一作動モードにおいて、第一圧力と第二圧力との間の較差に基づいてバルブ制御信号を発生させる工程;第二作動モードにおいて、特定の圧力センサが測定した圧力に基づいてバルブ制御信号を発生させる工程;及び、所定のパラメータに従って第一作動モードと第二作動モードとの間での切り替える工程。
【0012】
本発明のさらなる別の実施形態に、センサからの圧力測定値を受信し、圧力測定値の変動をモニターし、変動を所定限度と比較し、変動が所定限度より大きい場合には警報を発信するための、実行可能なコンピュータ命令のセットを含めることができる。
【0013】
本発明のさらなる別の実施形態に、圧力低減エレメントの上流に配置された上流センサからの上流圧力を受信し、圧力低減エレメントの下流に配置された下流センサからの下流圧力を受信し、バルブのバルブ位置をモニターし、測定された圧力の間の較差を判定し、測定された圧力の間の較差に基づいて、制御設定能、バルブ位置及びバルブ微調整を行うための、実行可能なコンピュータ命令のセットを含めることができる。
【0014】
本発明のさらなる別の実施形態に、以下の工程を包含するフロー・モニタリングの方法を含めることができる:第一圧力を測定し第二圧力を測定する工程;第一作動モードにおいて、第一圧力と第二圧力との間の較差に基づいて流量を算定する工程;第二作動モードにおいて、特定の圧力センサが測定した圧力に基づいて流量を算定する工程;及び、所定のパラメータに基づいて第一作動モードと第二作動モードとの間での切り替えを行う工程。
【0015】
本発明のさらなる別の実施形態に、下記の工程のため、少なくとも一つのコンピュータ可読媒体に格納され、少なくとも一つのプロセッサが実行可能なコンピュータ命令のセットを包含するコンピュータプログラム製品を含めることができる:第一圧力の測定値を受信する工程;第二圧力の測定値を受信する工程;第一作動モードによって動作する工程、この工程では、コンピュータ命令は、第一圧力と第二圧力との間の較差に基づいてバルブ制御信号を発生させるように実行される;第二作動モードによって動作する工程、この工程では、コンピュータ命令は、特定の圧力センサが測定した圧力に基づいてバルブ制御信号ように実行される;及び、所定のパラメータに基づいて第一作動モードと第二作動モードとの間での切り替えを行う工程。
【0016】
本発明のさらなる別の実施形態に、流入口と、流入口と流体連通している流出口と、第一圧力センサ、このセンサを流体制御装置の唯一の圧力センサとすることができる、と、圧力センサに結合されたコントローラとを包含したフロー制御装置を含めることができる。コントローラを、単一の圧力センサ(すなわち、流体制御装置の第一圧力センサ)が測定した圧力に基づいてバルブ制御信号を発生させるように構成することができる。
【0017】
本発明の別の実施形態に、単一の圧力センサからの測定値に基づいて、フロー制御装置を通るフローを調節する方法を含めることができ、方法には、第一圧力センサで圧力を測定する工程と、第一圧力センサからの圧力測定値と校正パラメータのセットとに基づいて流量を計算する工程と、流量を設定ポイントと対比する工程と、計算流量と設定ポイントとの間の差に基づいてバルブ制御信号を発生させる工程とを含めることができる。
【0018】
本発明のさらなる別の実施形態に、下記の工程を実行する命令を有するコンピュータ命令のセットを包含するコンピュータプログラム製品を含めることができる:第一圧力センサから圧力測定値を受信する工程、第一圧力センサからの測定値と校正パラメータのセットとに基づいて流量を計算する工程、流量を設定ポイント対比する工程、及び、計算流量と設定ポイントとの間の差に基づいてバルブ制御信号を発生させる工程。
【0019】
本発明の実施形態は、より幅広い流量制御の範囲を提供して、従来技術によるフロー制御装置を超える利点を提供する。
【0020】
本発明の実施形態は、低流量域での流量測定においてより高い精度を提供して、従来技術によるフロー制御装置を超える別の利点を提供する。
【0021】
本発明の実施形態は、再校正が必要かどうか、エラーが生じているかどうかを示すモニタリングを提供して、従来技術によるフロー制御装置を超えるさらに別の利点を提供する。
【0022】
以下の説明を、添付の図面と併せ参照することによって、本発明及びその利点のさらに十分な理解を得ることができる。これら図中の同じ参照番号は同じ機能を示す。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
フロー制御装置であって、
流入口と、
上記流入口と流体連通している流出口と、
上記流入口と流出口との間にあり上記流入口及び流出口と流体連通している圧力低減エレメントと、
上記圧力低減エレメントの上流に配置され、上記フロー制御装置を流れ通る流体の第一圧力を測定するよう構成された第一圧力センサと、
上記圧力低減エレメントの下流に配置され、上記フロー制御装置を流れ通る流体の第二圧力を測定するよう構成された第二圧力センサと、
上記第一圧力センサ及び第二圧力センサに連結されたコントローラであって、上記コントローラは、
第一作動モードによって動作し、上記第一作動モードにおいては、上記第一圧力と第二圧力との間の較差に基づいてバルブ制御信号を発生させ、
第二作動モードによって動作し、上記第二作動モードにおいては、特定の圧力センサにおいて測定した圧力に基づいて上記バルブ制御信号を発生させ、
所定のパラメータに従って、上記第一作動モードと第二作動モードとの間の切り替えを行う、ように構成された、コントローラと
を含む、装置。
(項目2)
項目1のフロー制御装置であって、上記流入口と上記流出口との間に配置され上記コントローラに連結された、上記バルブ制御信号に反応するバルブをさらに含む、装置。
(項目3)
項目1のフロー制御装置であって、上記第二作動モードにおいて、上記コントローラは、上記上流の圧力センサにおける上記測定圧力に基づいて上記バルブ制御信号発生させる、装置。
(項目4)
項目1のフロー制御装置であって、上記第二作動モードにおいて、上記コントローラは、上記下流の圧力センサにおける上記測定圧力に基づいて上記バルブ制御信号発生させる、装置。
(項目5)
項目1のフロー制御装置であって、上記所定パラメータは圧力較差閾値を含む、装置。
(項目6)
項目5のフロー制御装置であって、上記コントローラは、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定し、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較し、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より大きい場合には上記第一作動モードによって動作する、ようにさらに構成されている、装置。
(項目7)
項目5のフロー制御装置であって、上記コントローラは、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定し、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較し、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より小さい場合には上記第二作動モードによって動作する、ようにさらに構成されている、装置。
(項目8)
項目5のフロー制御装置であって、上記コントローラは、上記圧力較差閾値を、上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差と、供給圧力と、バルブ位置とに基づいて計算するようにさらに構成されている、装置。
(項目9)
項目1のフロー制御装置であって、上記コントローラは、
上記第一又は第二センサの変動をモニターし、
上記変動が所定の量よりも大きい場合は、警報を発する、ようにさらに構成されている、装置。
(項目10)
項目1のフロー制御装置であって、上記コントローラは、
バルブのバルブ位置の変化をモニターし、
バルブ位置の上記変化が所定の量よりも大きい場合には、警報を発する、ようにさらに構成されている、装置。
(項目11)
コンピュータプログラム製品であって、上記該コンピュータプログラム製品は、少なくとも一つのコンピュータ可読媒体に格納され、少なくとも一つのプロセッサによって、
第一圧力の測定値を受信し、
第二圧力の測定値を受信し、
上記コンピュータ命令が上記第一圧力と上記第二圧力との間の較差に基づいて流量の計算をすることが実行可能である、第一作動モードによって動作し、
上記コンピュータ命令が特定の圧力センサにより測定された圧力に基づいて上記流量の計算をすることが実行可能である、第二作動モードによって動作し、
所定のパラメータに従って、上記第一作動モードと上記第二作動モードとの間で切り替えを行う
ことを実行可能なコンピュータ命令のセットを含む、製品。
(項目12)
項目11のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットが、上記第二作動モードにおいて、下流圧力センサから受信した上記第二圧力の上記測定値に基づいて流量の計算を実行できる、製品。
(項目13)
項目11のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、上記第二作動モードにおいて、上流圧力センサからの上記第一圧力の上記測定値に基づいて上記流量の計算を実行できる、製品。
(項目14)
項目11のコンピュータプログラム製品であって、上記所定パラメータは圧力較差閾値を含む、製品。
(項目15)
項目14のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令は、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定し、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較し、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より大きい場合には、上記第一作動モードによって動作する
ことを実行可能である、製品。
(項目16)
項目14のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定し、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較し、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より小さい場合には、上記第二作動モードによって動作する
ことを実行可能である、製品。
(項目17)
項目14のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、上記圧力較差閾値を、上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差と、供給圧力と、バルブ位置とに基づいて計算することを実行可能である、製品。
(項目18)
項目11のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
圧力センサの変動をモニターし、
上記変動が所定の量よりも大きい場合は、警報を発する
ことをさらに実行可能である、製品。
(項目19)
項目11のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
バルブのバルブ位置の変化をモニターし、
バルブ位置の上記変化が所定の量よりも大きい場合には、警報を発する
ことをさらに実行可能である、製品。
(項目20)
フローを制御する方法であって、
第一圧力を測定する工程と、
第二圧力を測定する工程と、
第一作動モードにおいて、上記第一圧力と上記第二圧力との間の較差に基づいてバルブ制御信号を発生させる工程と、
第二作動モードにおいて、特定の圧力センサにおいて測定された圧力に基づいて上記バルブ制御信号を発生させる工程と、
所定のパラメータに従って、上記第一作動モードと上記第二作動モードとの間の切り替えを行う工程と
を含む、方法。
(項目21)
項目20の方法であって、上記バルブ制御信号に応答してバルブを開閉する工程をさらに含む、方法。
(項目22)
項目20の方法であって、上記特定の圧力センサにおいて測定された圧力に基づいてバルブ制御信号を発生させる工程は、上流の圧力センサにおいて測定された圧力に基づいて上記バルブ制御信号を発生させる工程を含む、方法。
(項目23)
項目20の方法であって、上記特定の圧力センサにおいて測定された圧力に基づいてバルブ制御信号を発生させる工程は、下流の圧力センサにおいて測定された圧力に基づいて上記バルブ制御信号を発生させる工程を含む、方法。
(項目24)
項目20の方法であって、上記所定パラメータが圧力較差閾値を含む、方法。
(項目25)
項目24の方法であって、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定する工程と、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較する工程と、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より大きい場合には、上記第一作動モードによって動作する工程と
をさらに含む、方法。
(項目26)
項目24の方法であって、
上記第一圧力と第二圧力との間の上記較差を決定する工程と、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較する工程と、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より小さい場合には、上記第二作動モードによって動作する工程と
をさらに含む、方法。
(項目27)
項目24の方法であって、上記圧力較差閾値を、上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差と、供給圧力と、バルブ位置とに基づいて計算する工程をさらに含む、方法。
(項目28)
項目20の方法であって、
上記第二センサの変動をモニタリングする工程と、
上記変動が所定の量よりも大きい場合は、警報を発する工程と
をさらに含む、方法。
(項目29)
項目20の方法であって、
バルブ位置の変化についてバルブ位置をモニタリングする工程と、
バルブ位置の上記変化が所定の量よりも大きい場合には、警報を発する工程と
をさらに含む、方法。
(項目30)
少なくとも一つのコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ命令のセットを含むコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、少なくとも一つのプロセッサによって、
センサから圧力測定値を受信し、
上記圧力測定値の変動をモニタリングし、
上記変動を所定の限度と比較し、
上記変動が上記所定限度より大きい場合には、警報を発する
ことを実行可能である、製品。
(項目31)
項目30のコンピュータプログラム製品であって、上記センサは、圧力低減エレメントの下流のセンサである、製品。
(項目32)
項目30のコンピュータプログラム製品であって、上記センサは、バルブの下流のセンサである、製品。
(項目33)
少なくとも一つのコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ命令のセットを含むコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、少なくとも一つのプロセッサによって、
圧力低減エレメントの上流に配置された上流センサから上流圧力を受信し、
上記圧力低減エレメントの下流から下流圧力測定値を受信し、
バルブのバルブ位置をモニターし、
上記測定圧力の間の較差を決定し、
上記測定圧力の間の上記較差、上記バルブ位置、及びバルブ設定能に基づいて、制御設定能を決定する
ことを実行可能である、製品。
(項目34)
項目33のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
上記制御設定能が容認可能かどうかを判定し、
上記制御設定能が容認できない場合は、上記バルブに、上記バルブ位置を、高めの較差を生成することになる新しい位置へ変更させるための信号を発生させ、
新しい上流圧力を受信し、
新しい下流圧力を受信し、
上記新しい上流圧力及び上記新しい下流圧力に基づいて、上記高めの較差を決定し、
上記高めの較差、上記新しいバルブ位置、及び上記バルブ設定能に基づいて、新しい制御設定能を決定する
ことをさらに実行可能である、製品。
(項目35)
項目33のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
上記制御設定能が容認可能かどうかを判定し、
上記制御設定能が容認可能な場合は、上記較差を較差圧力閾値として選定する
ことをさらに実行可能である、製品。
(項目36)
項目33のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令は、引き続き得られる較差と上記較差圧力閾値との比較に基づいて、第一作動モードと第二作動モードとの間での切り替えを行うことをさらに実行可能である、製品。
(項目37)
項目33のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
フルスケール圧力に対する上記較差のパーセントに、上記バルブの開き度合いをパーセントで示す上記バルブ位置を乗じ、これに
上記バルブ設定能を乗じることによって、
上記制御設定能を決定することをさらに実行可能である、製品。
(項目38)
センサから圧力測定値を受信する工程と、
上記圧力測定値の変動をモニタリングする工程と、
上記変動を所定の限度と比較する工程と、
上記変動が上記所定限度より大きい場合には、警報を発する工程と
を含む、方法。
(項目39)
項目38のコンピュータプログラム製品であって、上記センサは、圧力低減エレメントの下流のセンサである、製品。
(項目40)
項目38のコンピュータプログラム製品であって、上記センサは、バルブの下流のセンサである、製品。
(項目41)
コンピュータプログラム製品であって、少なくとも一つのコンピュータ可読媒体に格納され、少なくとも一つのプロセッサによって、
第一圧力の測定値を受信し、
第二圧力の測定値を受信し、
上記コンピュータ命令が上記第一圧力と上記第二圧力との間の較差に基づいてバルブ制御信号の発生をすることが実行可能な、第一作動モードによって動作し、
上記コンピュータ命令が特定の圧力センサにより測定された圧力に基づいて上記バルブ制御信号の発生をすることが実行可能な、第二作動モードによって動作し、
所定のパラメータに従って、上記第一作動モードと上記第二作動モードとの間で切り替えを行う
ことを実行可能なコンピュータ命令のセットを含む、製品。
(項目42)
項目41のコンピュータプログラム製品であって、上記第二作動モードにおいて、上記コンピュータ命令のセットは、下流の圧力センサから受信した上記第二圧力の上記測定値に基づいて、上記バルブ制御信号を発生させることを実行可能である、製品。
(項目43)
項目41のコンピュータプログラム製品であって、上記第二作動モードにおいて、上記コンピュータ命令のセットは、上流の圧力センサから受信した上記第一圧力の上記測定値に基づいて、上記バルブ制御信号を発生させることを実行可能である、製品。
(項目44)
項目41のコンピュータプログラム製品であって、上記所定パラメータは、圧力較差閾値を含む、製品。
(項目45)
項目44のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令は、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定し、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較し、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より大きい場合には、上記第一作動モードによって動作する
ことを実行可能である、製品。
(項目46)
項目44のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定し、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較し、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より小さい場合には、上記第二作動モードによって動作する
ことを実行可能である、製品。
(項目47)
項目13のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、上記圧力較差閾値を、上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差と、供給圧力と、バルブ位置とに基づいて計算することを実行可能である、製品。
(項目48)
項目41のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
圧力センサの変動をモニターし、
上記変動が所定の量よりも大きい場合は、警報を発する
ことをさらに実行可能である、製品。
(項目49)
項目41のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
バルブのバルブ位置の変化をモニターし、
バルブ位置の上記変化が所定の量よりも大きい場合には、警報を発する
ことをさらに実行可能である、製品。
(項目50)
フローをモニタリングする方法であって、
第一圧力を測定する工程と、
第二圧力を測定する工程と、
第一作動モードにおいて、上記第一圧力と上記第二圧力との間の較差に基づいて流量を決定する工程と、
第二作動モードにおいて、特定の圧力センサにおいて測定された圧力に基づいて上記流量を決定する工程と、
所定のパラメータに従って、上記第一作動モードと上記第二作動モードとの間の切り替えを行う工程と
を含む、方法。
(項目51)
項目50の方法であって、上記特定の圧力センサにおける測定された圧力に基づいて流量を決定する工程は、上流の圧力センサにおいて測定された圧力に基づいて上記流量を決定する工程を含む、方法。
(項目52)
項目50の方法であって、上記特定の圧力センサにおける測定された圧力に基づいて流量を決定する工程は、下流の圧力センサにおいて測定された圧力に基づいて上記流量を決定する工程を含む、方法。
(項目53)
項目50の方法であって、上記所定パラメータは圧力較差閾値を含む、方法。
(項目54)
項目53の方法であって、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定する工程と、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較する工程と、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より大きい場合には、上記第一作動モードによって動作する工程と
をさらに含む、方法。
(項目55)
項目53の方法であって、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差を決定する工程と、
上記較差を上記圧力較差閾値と比較する工程と、
上記第一圧力と上記第二圧力との間の上記較差が上記圧力較差閾値より小さい場合には、上記第二作動モードによって動作する工程と
をさらに含む、方法。
(項目56)
フロー制御装置であって、
流入口と、
上記流入口と流体連通している流出口と、
上記フロー制御装置を流れ通る流体の圧力を測定する第一圧力センサと、
上記圧力センサと連結されたコントローラであって、上記コントローラは単一の圧力センサにおいて測定した圧力に基づいてバルブ制御信号を発生させるよう構成され、上記単一の圧力センサは上記第一圧力センサである、コントローラと
を含む、装置。
(項目57)
項目56のフロー制御装置であって、上記流入口と上記流出口との間に配置され、上記コントローラに連結された、上記バルブ制御信号に応答するバルブをさらに含む装置。
(項目58)
項目57のフロー制御装置であって、上記第一圧力センサは上記バルブの上流に配置されている、装置。
(項目59)
項目57のフロー制御装置であって、上記第一圧力センサは上記バルブの下流に配置されている、装置。
(項目60)
項目56のフロー制御装置であって、上記コントローラは、
上記第一センサから圧力測定値を受信し、
上記圧力測定値の変動をモニターし、
上記変動を所定の限度と比較し、
上記変動が上記所定限度より大きい場合には、警報を発する
ようにさらに動作可能である、装置。
(項目61)
項目56のフロー制御装置であって、上記コントローラは、
バルブのバルブ位置の変化をモニターし、
バルブ位置の上記変化が所定の量よりも大きい場合には、警報を発する
ようにさらに動作可能である、装置。
(項目62)
フロー制御装置を通るフローを、単一の圧力センサからの測定値に基づいて調節するためのコンピュータプログラム製品であって、上記製品は、少なくとも一つのコンピュータ可読媒体に格納され、少なくとも一つのプロセッサによって、
第一圧力センサからの圧力測定値を受信し、
上記第一圧力センサからの上記圧力測定値と校正パラメータのセットとに基づいて流量を計算し、
上記流量を設定ポイントと比較し、
上記計算された流量と設定ポイントとの間の上記差異に基づいてバルブ制御信号を発生させる
ことを実行可能なコンピュータ命令のセットを含む、製品。
(項目63)
項目62のコンピュータプログラム製品であって、上記校正パラメータは、インサイチュ校正パラメータを含む、製品。
(項目64)
項目62のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
圧力測定値の変動をモニターし、
上記変動を所定の限度と比較し、
上記変動が上記所定限度より大きい場合には、警報を発する
ことを実行可能な命令をさらに含む、製品。
(項目65)
項目64のコンピュータプログラム製品であって、上記モニターされる圧力測定値は、上記第一センサによって生成される、製品。
(項目66)
項目65のコンピュータプログラム製品であって、上記モニターされる圧力測定値は、別の圧力センサによって生成される、製品。
(項目67)
項目62のコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータ命令のセットは、
バルブのバルブ位置の変化をモニターし、
バルブ位置の上記変化が所定の量よりも大きい場合には、警報を発する
ことを実行可能な命令をさらに含む、製品。
(項目68)
フロー制御装置を通るフローを、単一の圧力センサからの測定値に基づいて調節するための方法であって、上記方法は、
第一圧力センサにおいて圧力を測定する工程と、
上記第一圧力センサからの圧力測定値及び校正パラメータのセットに基づいて流量を計算する工程と、
上記流量を設定ポイントと比較する工程と、
上記計算された流量と設定ポイントとの間の上記差異に基づいてバルブ制御信号を発生させる工程と
を含む、方法。
(項目69)
項目68の方法であって、インサイチュ校正を実施することによって上記校正パラメータを生成する工程を含む、方法。
(項目70)
項目68の方法であって、
圧力測定値の変動をモニタリングする工程と、
上記変動を所定の限度と比較する工程と、
上記変動が上記所定限度より大きい場合には、警報を発する工程と
をさらに含む、方法。
(項目71)
項目70の方法であって、上記モニターされる圧力測定値は、上記第一センサによって生成される、方法。
(項目72)
項目70の方法であって、上記モニターされる圧力測定値は、別の圧力センサによって生成される、方法。
(項目73)
項目68の方法であって、
バルブのバルブ位置の変化をモニタリングする工程と、
バルブ位置の上記変化が所定の量よりも大きい場合には、警報を発する工程と
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一つの実施形態による、フロー制御装置の概要の図示である。
【図2】フロー制御装置の一つの実施形態の図示である。
【図3】コントローラの一つの実施形態の図示である。
【図4】フロー制御の方法の一つの実施形態の流れ図である。
【図5】圧力センサをモニタリングし下流のシステムが変化しているかどうか を判断する一つの方法の流れ図である。
【図6】本発明の別の実施形態による、フロー制御装置の概要の図示である。
【図7】単一の圧力センサを用いたフロー制御装置の図示である。
【図8】単一の圧力センサを用いたフロー制御装置の別の実施形態の図示である。
【図9】単一の圧力センサからの測定値を使った制御の流れの一つの実施形態を例示した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好適な実施形態が図面に例示されており、さまざまな図面中の同じ部分及び相当する部分を参照するのに同じ数字が使われる。
【0025】
本発明の実施形態は、従来技術のフロー制御システム及び方法に関わる問題を軽減又は解消することのできるフロー・コントローラを提供する。本発明の一つの実施形態は、上流及び下流圧力センサを有するフロー・コントローラを含む。一つの作動モードにおいて、フロー・コントローラは、上流及び下流センサからの圧力測定値の間の圧力較差に基づいて流量を制御することができる。別の作動モードにおいて、圧力コントローラは、下流圧力センサのような、特定の圧力センサが感知した圧力に基づいて流量を制御することができる。フロー・コントローラに、これら作動モード間での切り替えを自動的に行うロジックを持たせることができる。第一の作動モードをより高水準の流量に関連付けることができ、第二の作動モードをより低水準の流量に関連付けることができる。
【0026】
図1は、本発明の一つの実施形態によるフロー制御装置30の図示である。フロー制御装置30には、フローを受入れる流入口32と、フロー・システムの他の構成要素にフローを導く流出口34と、圧力低減エレメント36(例、開口部のあるプレート、小口径管、絞り部位又は他の圧力低減エレメント)と、圧力低減エレメント36の上流にあり上流の圧力を測定するよう構成された圧力センサ38(「上流圧力センサ」という)と、圧力低減エレメント36の下流にあり下流の圧力を測定するよう構成された圧力センサ40(「下流圧力センサ」という)と、プロセッサ、メモリ、流体の流量算定及び/又はバルブ制御信号発生のためのソフトウエア命令を具えることができるコントローラ42と、バルブ制御信号に反応して流体フローを調節するバルブ44(例、スロットル・ゲートバルブ、ポペットバルブ、ちょう型バルブ、油圧駆動バルブ、又は従来から知られる他のバルブ)とを含めることができる。
【0027】
上流圧力センサ38及び下流圧力センサ40は、キャパシタンス型、ピエゾ抵抗型、トランスジューサ型、又は、従来から知られる他の型の圧力センサとすることができる。上流圧力センサ38及び下流圧力センサ40の、フロー制御装置30を流れる流体に曝される部分については、流体に対して化学的に不活性にすることができる。コントローラ42については、例えば電気接続を介して、上流圧力センサ38、下流圧力センサ40及びバルブ44に連結することができる。バルブについては、マイクロコントローラのような構成要素を持つバルブ駆動装置を含ませて、バルブ制御信号を処理し、バルブ制御信号に反応してバルブ44を開閉させることができる。
【0028】
流体(ガス又は液体)は、流入口32からフロー制御装置30に入り、バルブ44と圧力低減エレメント36を通り、流出口34からフロー制御装置30を出ることができる。上流圧力センサ38及び下流圧力センサ40は、上流圧力信号46及び下流圧力信号48信号を発生させることができ、この信号を、それぞれ上流圧力センサ38及び下流圧力センサ40における圧力測定値を表すデジタル信号とすることもアナログ信号とすることもできる。
【0029】
コントローラ42は、例えばコンピュータ可読の媒体に格納されたソフトウエア命令を使って、バルブ制御信号50を発生させ、バルブ44開閉させ、上流圧力センサ38及び/又は下流圧力センサ40が測定した圧力に基づいて必要な流量を実現することができる。本発明の一つの実施形態によれば、コントローラ42は、上流圧力測定値と下流圧力測定値との間の較差を判定することができる。較差を、上流圧力センサ38と下流圧力センサ40との圧力測定値間の差の任意の表現とすることができる。例えば、較差をバルブ圧力(例、100pa)又は特定の電圧を持つ信号(例、100mv)、あるいは圧力測定値の間の差を表す他の任意のフォーマットで表すことができる。コントローラ42は、任意の制御スキーム(例、較差を、比例積分(PI)制御スキーム、比例積分微分(PID)制御スキーム、又は従来から知られる又は開発されている他の任意の制御スキーム)によって、較差を設定ポイントと比較し、バルブ制御信号を発生させることができる。制御信号50に基づいて、バルブ44は開閉して流量を調節することができる。
【0030】
高い流量域では、上流圧力センサ38及び下流圧力センサ40で測定された圧力の較差に基づいて流量を計算すれば許容可能な精度が得られる。しかしながら、流量が低減するにつれ、上流圧力センサ38及び下流圧力センサ40の信号対ノイズ比が低くなり、測定された圧力の較差に基づいて精度のある流量計算を行うことが困難になってくる。すなわち、低い流量においてはノイズによって圧力較差が判別できなくなる。本発明の一つの実施形態によれば、この問題に対処するために、コントローラ42は、単一のフロー・センサが測定する圧力に基づく流量計算に切り替えることができる。
【0031】
コントローラ42は、特定のセンサが感知した圧力に基づき、よく知られた流体力学方程式、及び/又は校正において設定された、センサ読み取りと流量との経験的対比に従って流量を計算することができる。本発明の一つの実施形態によれば、フロー制御装置30を据付時に校正し、フロー制御装置30が据付られたシステムにおける、特定のセンサが感知した圧力と流量との間の相関を算定することができる。これには、流量計算に影響を与える、フロー制御装置30の下流の構成要素がもたらす圧力損失を補償してフロー制御装置30を校正することを含めることができる。この校正に基づき、コントローラ42は、特定のセンサ(例、上流圧力センサ38又は下流圧力センサ40)からの圧力信号に反応して、バルブ制御信号50を発生させ、流体の流量を調節することができる。コントローラ42が、特定のセンサの測定値に基づき制御信号を発生させている間、他方のセンサは「オフ」状態にとどまるか、又は圧力測定値をコントローラ42に送信し続けることができることに注目すべきである。
【0032】
較差に基づく流量の計算と、特定圧力センサが測定した圧力に基づく流量の計算との間の切り替えは、任意に定めたポイントで行うことができる。例として、以下に限らないが、コントローラ42は、較差が十分小さくなるか、特定センサの測定圧力が規定レベルより下に低下するか、あるいは、いずれかの又は双方のセンサの変動が限度を超え、単一センサの方がより精度のよいフロー状態を提示できるときに、コントローラ42は切り替えを行うことができる。
【0033】
このように、本発明の一つの実施形態に、流入口、流出口、流入口及び流出口と流体連通している圧力低減エレメント、上流圧力センサ、下流圧力センサ、及びコントローラを包含するフロー制御装置を含めることができる。上流圧力センサは上流の圧力を測定することができ、下流圧力センサは下流の圧力を測定することができる。流量の第一範囲にわたって、コントローラは、測定された圧力の較差に基づいてバルブ制御信号を発生させることができる。流量の第二範囲にわたって、コントローラは、上流もしくは下流圧力センサが測定した圧力に基づいてバルブ制御信号を発生させることができる。フロー制御装置に、バルブ制御信号に反応して開閉することが可能なバルブをさらに含めることができる。コントローラは、所定のポイントにおいて、第一作動モード(すなわち、較差に基づく制御信号)と第二作動モード(特定のセンサによる圧力に基づく制御信号)との間での自動的切り替えを行うことができる。
【0034】
図2はフロー制御装置30の一つの実施形態の図示である。フロー制御装置30に、フローを受入れるための流入口32、フローをフロー・システムの他の構成要素に導くための流出口34、流体を流入口32から流出口34まで導くための流路35、圧力低減エレメント36、上流圧力センサ38、下流圧力センサ40、バルブ制御信号を発生させるコントローラ42、及びバルブ制御信号に反応して流体フローを調節するバルブ44を含めることができる。
【0035】
コントローラ42は、それぞれのセンサで測定された圧力を表す信号を、上流圧力センサ38及び下流圧力センサ40センサから受信することができる。信号は、測定圧力を電圧レベルによって表すことのできるアナログ又はデジタル信号とすることができる。例えば、測定圧力を表すビット、又は従来から知られた他の任意の方式で表したものとすることができる。コントローラ42は、測定された圧力の間の較差を、例えば、差分信号を発生させることによって、及び/又は圧力差を計算することによって判定することができる。コントローラ42は、較差に基づいて、あるいは上流及び/又は下流圧力センサから受信した信号に基づいてバルブ制御信号を発生させることができる。バルブ44は受信したバルブ制御信号に反応して開閉することができる。
【0036】
図3は、コントローラ42の一つの実施形態の図示である。コントローラ42には、上流圧力センサ及び下流圧力センサから信号を受信し受信した信号をデジタル・フォーマットに変換するためのアナログ・デジタル(A/D)コンバータ52を含めることができる。プロセッサ54(例、CPU、ASIC、又は従来から知られた他のプロセッサ)は、A/Dコンバータ52から、測定圧力を表すデジタル値を受信し、較差を計算することができる。較差、もしくは上流圧力センサ又は下流圧力センサどちらかにより測定された圧力に基づいて、プロセッサ54は、バルブが、流体フローを調節するために、どの程度開き又は閉じるべきかを表すデジタル制御信号を発生させることができる。A/Dコンバータ52は、デジタル値をアナログのバルブ制御信号に変換し、アナログのバルブ制御信号をバルブに送信することができる。
【0037】
プロセッサ54は、ソフトウエアプログラムを実行することによってデジタル制御信号を発生させることができ、プログラムには、プロセッサ54がアクセス可能なコンピュータ可読の記憶装置58(例、EEPROM、RAM、ROM、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光記憶装置、又は、従来から知られた他のコンピュータ可読記憶装置)の中に、コンピュータ命令56のセットとして格納された制御アルゴリズムを含めることができる。一つの作動モードにおいて、制御アルゴリズムは、オペレータ・パラメータ、校正パラメータ及び/又はメーカー・パラメータを使い、測定された圧力の間の較差に基づいて、デジタル制御信号を計算することができ、別の作動モードにおいては、制御アルゴリズムは、上流もしくは下流センサが測定した圧力を使ってデジタル制御信号を計算することができる。制御アルゴリズムは、所定のポイントにおいて、第一モードと第二モードとの間を自動的に切り替えることができる。例えば、制御アルゴリズムは、較差が、所定のレベルを下回った場合に、第一モードから第二モードへ切り替えることができる。プロセッサ54は、各サイクルごとに、又は所定のスケジュールで、第一作動モードと第二作動モードとの間の切り替えをするかどうかを決定することができる。
【0038】
制御アルゴリズムは、以下に限らないが、PID、オフセット付き修正型PID又は従来から知られた任意の制御スキームなどの、従来技術の任意の制御スキームを使って、特定の動作モードに対するデジタル制御信号を計算することができる。基本作動においてはエラー信号が生成される。そこで特定のバルブに対するエラー信号は修正される。エラーを修正された信号は、A/Dコンバータ52によってデジタル・フォーマットからアナログ信号に変換され、得られたアナログ信号は、制御バルブを新たな位置に駆動する電圧・電流コンバータに送信される。
【0039】
コントローラ42には、追加の入力/出力機能を含めることができる。例えば、コントローラ42に、シリアル・インタフェースを含めて、コンピュータ命令56の更新といった管理機能に対応することができる。さらに、コントローラ42に、ネットワーク・インタフェースを含めて、他のフロー制御装置、管理用コンピュータ、又はネットワークを介して交信可能な他の装置と交信させることができる。
【0040】
コンピュータ命令によって、さまざまなやり方で制御アルゴリズムを実行することができる。例えば、制御信号を、計算された値(例、圧力計算値、圧力較差値、又は流量計算値)と設定ポイントとの比較に基づくものとすることができる。別の例として、コントローラは、測定された圧力の間の較差をデジタルに計算するのではなく、アナログ加算器を使い差分信号を発生させて測定圧力の間の較差を計算することができる。この場合、第一作動モードにおいて、制御信号を、較差信号と設定ポイントとの比較に基づくものとすることができる。第二作動モードにおいて、コントローラは、計算された圧力値でなく、圧力信号を設定ポイントと比較することができる。
【0041】
図4は、本発明の一つの実施形態による、フロー制御の方法を例示した流れ図である。コンピュータ可読の媒体に格納されたコンピュータ命令のセット(例、ソフトウエアプログラム)を実行する一つ以上のプロセッサを持つコントローラによって、図4の方法を実行することができる。コントローラは、制御信号を発生させる際に、圧力較差閾値60、プリセット・フロー校正パラメータ62、インサイチュ・フロー校正パラメータ64、及び設定ポイント66などの、いくつかの入力パラメータを使うことができ、測定圧力の間の較差、又は特定センサの圧力に基づいて流量を計算することができる。これら入力パラメータについては、コンピュータ可読媒体(例、RAM、ROM、磁気記憶素子、又は、従来から知られた他のコンピュータ可読媒体)に格納することができる。
【0042】
圧力較差閾値60を使って、コントローラが、感知された圧力の間の較差と特定の感知圧力に基づいた制御信号発生との間の切り替えをするタイミングを判定することができる。本発明の一つの実施形態によれば、下流の圧力、較差圧力、供給圧力、及びバルブ位置に基づいて、圧力較差閾値60を計算することができる。圧力較差閾値60を決定するに際し、較差圧力がフロー制御装置のフルスケール(すなわち供給圧力)のおよそ10%に達するまで、流体をフロー制御装置に流通させることができる。例えば、供給圧力が100psiの場合、コントローラは、10psiの較差圧力に達するまでバルブを調整することができる。この点において、コントローラは下流の圧力とバルブ位置とを測定することができる。下流の圧力は、システムの「負荷」を表すものであり、バルブ位置は、供給圧力の指標及びバルブの残りの有効範囲を示すものである。
【0043】
前記のバルブについて、フロー制御装置の制御設定能を次のように算定することができる
制御設定能=(dP%/(バルブ位置%))*バルブ設定能(psi/ステップ) [式1]
dP%=フロー制御装置への供給圧力に対する%で表した較差圧力
バルブ位置%=バルブの開き度合いのパーセント
バルブ設定能=特定のバルブの設定能、通常バルブ製造者が決定する。
【0044】
[式1]によって算定された制御設定能が所望の制御設定能に比較して不十分な場合、すなわち傾斜が大きすぎる場合、コントローラは、バルブが、高めの圧力較差を実現するように調整することができる。[式1]によって与えられた制御設定能が十分であると判断される場合、対応する較差圧力を、圧力較差閾値60として選定することができる。このポイントは、センサの信号対ノイズ比により正確な圧力較差の読み取りが妨害されるポイントを表す代用のポイントとしての役割をする。本発明の一つの実施形態によれば、コントローラは、較差圧力閾値60を自動的に算定することができる。本発明の他の実施形態において、較差圧力閾値60を他のスキームによって決定でき、又は任意に決定できることに注目すべきである。
【0045】
インサイチュ・フロー校正パラメータ64には、フロー・システムへのフロー制御装置の据付けに基づいて特定のフロー制御装置に対して計算されたパラメータを含めることができる。インサイチュ・フロー校正パラメータは、フロー制御装置より下流の装置がフロー制御装置によって感知される圧力に影響を与えるという事実を反映したものである。これは、圧力較差に基づいて計算された流量にはほとんど影響しないことが多いが、特定の圧力センサから計算された流量には大きな影響を与えかねない。従って、フロー制御装置を据付後に再校正して、下流装置の影響を補償したインサイチュ・フロー校正パラメータ64を設定することができる。現場での校正については、例えば、システム固有の値を手動入力して、あるいは、自動化されたソフトウエア制御の装置のルーチンによって実施することができる。通常、コントローラは、低流量においては、特定センサの圧力に基づいて流量を算定することになるので、本発明の一つの実施形態において、校正パラメータ64をフロー制御装置を通る流体の層流に基づいて設定することができる。流量と層流とが対応している限りにおいて、流体粘度及び下流での圧力損失を補償するには、インサイチュ・フロー校正パラメータ64として使うオフセット値が必要なだけである。
【0046】
プリセット・フロー校正パラメータ62には、ガスの種類に基づく流量の計算、フロー制御装置セットアップに使われるパラメータ又は他のパラメータを含めることができる。従来から知られる任意の校正技法に従って、プリセット・フロー校正パラメータ62を設定することができる。設定ポイント66は、所望の流量を表す。計算された流量を設定ポイント66と比較し、どの程度バルブを開閉するかを決定することができる。設定ポイント66については、例えば、遠隔のコンピュータ又は操作者によって、あるいは、従来から知られた任意のやり方で、自動的に更新することができる。
【0047】
ステップ70において、コントローラは、上流及び下流の圧力センサから圧力測定値を受信することができ、ステップ72において圧力較差を計算することができる。ステップ74において、コントローラは計算された圧力較差を圧力較差閾値60と比較することができる。計算された圧力較差が圧力較差閾値60より大きい場合、コントロールは76に移ることができ、そうでない場合には、コントロールは78に移ることができる。
【0048】
ステップ76において、コントローラは、プリセット・フロー校正パラメータ62を使って、測定された圧力の間の較差に基づき流量を計算することができる。測定圧力の間の較差に基づき流量を計算するための従来から知られる任意のスキームに従って上記の計算を実施することができる。他方、ステップ78において、コントローラはインサイチュ・フロー校正パラメータ64を使って、流量を算定することができる。測定された圧力を(例えば、コントローラの記憶装置、又はコントローラがアクセス可能なコンピュータ可読媒体に格納された)流量校正カーブと比較するなど、単一の圧力に基づき流量を計算するための従来から知られる任意のスキームに従って上記の計算を実施することができる。
【0049】
ステップ80において、コントローラは、計算された流量を設定ポイントと比較することができる。流量が設定ポイントと等しくない場合は、ステップ82において、コントローラは特定センサからの圧力(例、下流センサからの測定圧力)に基づいてエラー・ゲインを計算することができる。流量が逆に設定ポイントと等しい場合は、コントローラは測定された圧力の間の較差に基づいてエラー・ゲインを計算することができる(ステップ84)。ステップ86において、コントローラは、エラー・ゲインをアナログのバルブ制御信号に変換し、バルブ制御信号をバルブに送信することができる。ステップ70−84を繰り返すことができる。
【0050】
ステップ74においてコントローラが、流量の計算を、測定圧力の間の較差に基づいて行うか、あるいは特定センサの圧力に基づいて行うかを判定していることに注目すべきである。流量を計算する毎に、この判定を行うことができる。本発明の別の実施形態では、この判定を、所定のスケジュール(例、30ミリ秒毎)に従って実施することができる。本発明のこの実施形態において、コントローラは、あらかじめ設定した時間の間、特定の作動モードに従って(例、ステップ76又は78に従って)流量を計算してから、他の作動モードに切り替えるべきかどうかを判定することができる。さらに、質量流量計によってステップ70−78を実施して流量を判定することができる。この場合、圧力較差閾値60(又は他のプリセット・パラメータ)を任意に決定することができる。
【0051】
図4に関連して説明したように、据付け時にフロー制御装置を校正し、下流の構成要素に起因する圧力低下を補償することによって、単一センサの圧力読み取り値に基づき流量を計算することができる。下流の構成要素が変われば、必要なオフセット値も変わり得る。このことは、新しい配管が据付けられた場合、フロー制御装置が移動された場合、下流のフィルタが制限された場合、処理過程における緩んだ配管のシフト、又はセンサ読み取り値に影響を与える可能性のある他の何らかの出来事が生じた場合に起こり得る。
【0052】
本発明の一つの実施形態によれば、コントローラがアクセス可能なコンピュータ可読媒体中に格納されたコンピュータ命令を使っているコントローラは、センサの圧力測定値が望ましい範囲を超えて変動しないことを確実にするため、上流及び下流のセンサの一つ又は双方をモニターすることができる。例えば、処理過程において、上流圧力センサは.75psiを測定し下流圧力センサは.25psiを測定している場合、下流センサによる制御を行いながら、下流センサの読み取りが+/−.05psi限度(.45から.55の較差)を外れた場合に警報を出すように、コントローラを構成することができる。圧力センサの変動に基づく警報によって、システムが変化しフロー制御装置の再校正が必要になったこと、又はフロー制御装置が適切に機能していないことを表示することができる。もしコントローラが変動をモニターしていなかったとすれば、下流センサ読み取り値は.5psiに増大し(コントローラから後方のシステムの.25psiの圧力増加を示すことになる)、実際流量の低減を変更(例、計算された値の50%)することになることもあり得る。
【0053】
図5は、モニタリング工程の一つの実施形態を例示した流れ図である。ステップ90において、コントローラは、センサ(例、図1の下流センサ)からの圧力測定値を受信することができる。ステップ92において、コントローラは、現在の圧力読み取り値を一つ以上の従前の読み取り値と比較して、圧力センサの変動を判定することができる。変動が、ステップ93の判定においてプリセット範囲から外れた場合には、ステップ94において、コントローラは警報を発することができる。警報を、eメール通知、警報音、視覚警報、又は、従来から知られた他の任意のエラー状態通知とすることができる。オプションとしてステップ90−94を繰り返すことができる。図5のモニタリング工程を、コンピュータ命令の実行可能な一切のフロー制御装置において、一組のコンピュータ命令として実施することができ、これは、図1−4に関連して説明したような多重モードのフロー制御を具えたフロー制御装置に限定されない。
【0054】
図6は、フロー制御装置100の別の実施形態の図示である。フロー制御装置100に、フローを受入れる流入口102、フロー・システムの他の構成要素にフローを導く流出口104、圧力低減エレメント106(例、開口部のあるプレート、小口径管、絞り部位又は他の圧力低減エレメント)、上流の圧力を測定する、圧力低減エレメント106上流の圧力センサ108(「上流圧力センサ」という)、下流の圧力を測定する、圧力低減エレメント106の下流の圧力センサ110(「下流圧力センサ」という)、バルブ制御信号を発生させるコントローラ112、及び、バルブ制御信号に反応して流体フローを調節するバルブ114(例、スロットル・ゲートバルブ、ポペットバルブ、ちょう型バルブ、油圧駆動バルブ、又は従来から知られる他のバルブ)を含めることができる。
【0055】
上流圧力センサ108及び下流圧力センサ110を、キャパシタンス型、ピエゾ抵抗型、トランスジューサ型、又は、従来から知られる他の型の圧力センサとすることができる。コントローラ112を、例えば電気接続を介して、上流圧力センサ108、下流圧力センサ110、及びバルブ114に連結することができる。簡明化のため図示していないが、コントローラ112、上流圧力センサ108、下流圧力センサ110及びバルブ114の間に仲介ロジックを置くことができる。バルブは114は、マイクロコントローラのような校正要素をさらに含め、バルブ制御信号を処理し、バルブ制御信号に反応してバルブを開閉させる。フロー制御装置100は、流体はバルブを流れる前に圧力低減エレメントを流通することを除けば、図1のフロー制御装置30と同様に機能する。
【0056】
図6の実施形態において、下流圧力センサ110がバルブ114の上流側にあるので下流圧力センサ110の圧力は、バルブ114の変化によって変動する可能性があることに注目すべきである。従って、下流のシステムが変化し再校正が必要かどうかを判定するために、第三のセンサをバルブ114の下流に追加することができる。図5に関連して説明したように、コントローラは、第三センサにおける圧力の変動をモニターすることができ、変動が大きすぎる場合には、警報を発することができる。別の実施形態において、バルブ位置をモニターすることができる。バルブ位置が所定量よりも大きく変化すれば、コントローラは警報を発することができる。
【0057】
図7は、本発明の一つの実施形態による、フロー制御装置700の図示である。フロー制御装置700に、フローを受入れる流入口702、フロー・システムの他の構成要素にフローを導く流出口704、圧力センサ708、コントローラ712(これには、プロセッサ、メモリ、及び流量を判定しバルブ制御信号を発生させるためのソフトウエア命令を含めることができる)、バルブ制御信号に反応して流体フローを調節するバルブ714(例、スロットル・ゲートバルブ、ポペットバルブ、ちょう型バルブ、油圧駆動バルブ、又は従来から知られる他のバルブ)を含めることができる。
【0058】
圧力センサ708を、キャパシタンス型、ピエゾ抵抗型、トランスジューサ型、又は、従来から知られる他の型の圧力センサとすることができる。上流圧力センサ708の、フロー制御装置700を流れる流体に曝される部分を、流体に対して化学的に不活性にすることができる。コントローラ712を、例えば電気接続を介して、圧力センサ708及びバルブ714に連結することができる。バルブに、マイクロコントローラのような構成要素を持つバルブ駆動装置を含めて、バルブ制御信号を処理し、バルブ制御信号に反応してバルブ714を開閉させることができる。
【0059】
流体(ガス又は液体)は、流入口702からフロー制御装置700に入り、バルブ704を通り、流出口704からフロー制御装置700を抜け出ることができる。圧力センサ708は、圧力信号716信号を発生させることができ、この信号を、圧力センサ708における圧力測定値を表す、デジタル信号とすることもアナログ信号とすることもできる。
【0060】
コントローラ712は、例えばコンピュータ可読の媒体に格納されたソフトウエア命令を使って、バルブ制御信号720を発生させ、バルブ714開閉させ、圧力センサ708が測定した圧力の基づいて所望の流量を実現することができる。一つの実施形態によれば、コントローラ702は、単一のフロー・センサが測定した圧力に基づいて流量を計算することができる。
【0061】
コントローラ702は、特定のセンサが感知した圧力に基づき、よく知られた流体力学方程式、及び/又は校正において設定された、センサ読み取りと流量との経験的対比に従って流量を計算することができる。本発明の一つの実施形態によれば、フロー制御装置700を据付け時に校正して、フロー制御装置700が据付けられたシステムにおける、センサ708が感知した圧力と流量との間の相関を算定させることができる。この校正に、流量計算に影響のある、フロー制御装置700の下流の構成要素がもたらす圧力損失を補償してフロー制御装置700を校正することを含めることができる。この校正に基づき、コントローラ702は、特定のセンサ(例、センサ708)からの圧力信号に反応して、バルブ制御信号720を発生させ、流体の流量を調節することができる。
【0062】
図8は、フロー制御装置800の別の実施形態の図示である。フロー制御装置800に、フローを受入れる流入口802、フロー・システムの他の構成要素にフローを導く流出口804、圧力感知のための圧力センサ810、バルブ制御信号を発生させるコントローラ812、バルブ制御信号に反応して流体フローを調節するバルブ814(例、スロットル・ゲートバルブ、ポペットバルブ、ちょう型バルブ、油圧駆動バルブ、又は従来から知られる他のバルブ)を含めることができる。
【0063】
圧力センサ810を、キャパシタンス型、ピエゾ抵抗型、トランスジューサ型、又は、従来から知られる他の型の圧力センサとすることができる。コントローラ812を、例えば電気接続を介して、圧力センサ810及びバルブ814に連結することができる。簡明化のため図示していないが、コントローラ812、圧力センサ810とバルブ814との間に介在ロジックを置くことができる。バルブ814に、マイクロコントローラのような構成要素をさらに含めて、バルブ制御信号を処理し、バルブ制御信号に反応してバルブを開閉させることができる。流体制御装置800は、圧力センサがバルブの下流側に配置されていることを除けば、図7の流体制御装置700と同様である。
【0064】
図8の実施形態において、圧力センサ810がバルブ814の下流側にあるので下流圧力センサ810における圧力は、バルブ814の変化によって変動する可能性があることに注目すべきである。従って、下流のシステムが変化し再校正が必要かどうかを判定するために、第三のセンサをバルブ814の下流に追加することができる。図5に関連して説明したように、コントローラは、追加センサにおける圧力の変動をモニターすることができ、変動が大きすぎる場合には、警報を発することができる。別の実施形態において、バルブ位置をモニターすることができる。バルブ位置が所定量よりも大きく変化すれば、コントローラは警報を発することができる。
【0065】
図9は、単一センサを使ったフロー制御のための方法の一つの実施形態を例示した流れ図である。コンピュータ可読の媒体に格納されたコンピュータ命令のセット(例ソフトウエアプログラム)を実行する一つ以上のプロセッサを持つコントローラによって、図9の方法を実行することができる。コントローラは、制御信号を発生させる際に、インサイチュ・フロー校正パラメータ904など、いくつかの入力パラメータを使うことができる。これら入力パラメータを、コンピュータ可読媒体(例、RAM、ROM、磁気記憶装置、又は、従来から知られた他のコンピュータ可読記憶装置)に格納することができる。
【0066】
インサイチュ・フロー校正パラメータ904に、フロー・システムへのフロー制御装置の据付けに基づいて、特定のフロー制御装置に対して計算されたパラメータを含めることができる。インサイチュ・フロー校正パラメータは、フロー制御装置より下流の装置がフロー制御装置が感知する圧力に影響を与えるという事実を反映したものである。これは、圧力較差に基づいて計算された流量にはほとんど影響しないことが多いが、特定の圧力センサから計算された流量には大きな影響を与えかねない。従って、フロー制御装置を据付後に再校正して、下流装置を補償したインサイチュ・フロー校正パラメータ904を設定することができる。現場での校正を、例えば、システム固有の値を手動入力して、あるいは、自動化されたソフトウエア制御の装置のルーチンによって実施することができる。通常、コントローラは、低流量においては、特定センサの圧力に基づいて流量を算定することになるので、本発明の一つの実施形態において、パラメータ904を、フロー制御装置を通る流体の層流に基づいて設定することができる。流量と層流とが対応している限りにおいて、流体粘度及び下流での圧力損失を補償するに、インサイチュ・フロー校正パラメータ904として使用するオフセット値が必要なだけである。
【0067】
ステップ910において、コントローラは、圧力センサから圧力測定値を受信することができる。ステップ912において、コントローラは、インサイチュ・フロー校正パラメータ904を使い、流量を算定する。測定された圧力を(例えば、コントローラの記憶装置、又はコントローラがアクセス可能なコンピュータ可読媒体に格納された)流量校正カーブと比較するなど、単一の圧力に基づき流量を計算するための、従来から知られる任意のスキームに従ってこれを実施することができる。
【0068】
ステップ914において、コントローラは計算された流量を設定ポイントと比較することができる。流量が設定ポイントと等しくない場合は、ステップ916において、コントローラは特定センサからの圧力に基づいてエラー・ゲインを計算することができる。ステップ918において、コントローラは、エラー・ゲインをアナログのバルブ制御信号に変換し、バルブ制御信号をバルブに送信することができる。図9のステップを、必要又は所望に応じ、任意に繰り返すことができる。さらに、PI制御ルーチン、PID制御ルーチン、又は他の制御ルーチンに基づいて制御を行えることに注目すべきである。
【0069】
このように、単一の圧力センサを具えたフロー制御装置は、複数のセンサを有するフロー制御装置が、単一のセンサを使ってフロー制御する作動モードによって動作しているのと同様なやり方でフローを制御することができる。また、単一圧力センサのフロー・コントローラに、単一センサ(又は他のセンサ)の圧力測定値の変動、又はバルブ位置の変動をモニタリングする機能を持たせ、下流圧力の変化を報知できる警報を発することができる。
【0070】
前記で説明したように、据付け時にフロー制御装置を校正し、下流の構成要素に起因する圧力低下を補償することによって、単一センサからの圧力読み取り値に基づき流量を計算することができる。下流の構成要素が変われば、必要なオフセット値も変わり得る。このことは、新しい配管が据え付けられた場合、フロー制御装置が移動された場合、下流のフィルタが制限された場合、処理過程における緩んだ配管のシフト、又はセンサ読み取り値に影響を与える可能性のある他の何らかの出来事が生じた場合に起こり得る。下流の構成要素が変化した場合には、フロー制御装置を再校正して全体的なシステムの変化を補償することができる(すなわち、インサイチュ校正パラメータを更新することができる)。
【0071】
単一センサを使った制御の再現性は、下流での圧力低下に依存し、一般に、下流の圧力低下が大きくなるほど再現性がは高くなることに注目すべきである。ある現場構成において、下流での圧力低下が、適切な再現性を得るために不十分な場合、コイルなど追加の配管を圧力センサの下流に追設して、下流での圧力低下を増やして再現性を高めることができる。
【0072】
特定の実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、これら実施形態は例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態には限定されないことを理解すべきである。記載した実施形態に対し、多くの変形、変更、追加及び改良が可能である。これらの変形、変更、追加及び改良は、以降の請求内容に詳記するように、本発明の範囲に含まれると意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロー制御装置を通るフローを、前記フロー制御装置のハウジング内で単一の圧力センサからの測定値に基づいて調節するためのコンピュータプログラム製品において、
前記コンピュータプログラム製品が、少なくとも一つのコンピュータ可読媒体に格納されているコンピュータ命令セットであって、
前記フロー制御装置内に前記フローを受容するための流入口と、
前記フロー制御装置からフロー・システムの構成要素に前記フローを導くために、前記流入口と流通している流出口と、
前記ハウジング内に且つ前記流入口と前記流出口との間に配置されているバルブであって、前記フロー制御装置を流れ通る前記フローを調節するためのバルブ制御信号に応答する前記バルブと、
を含んでいる単一の流路をさらに備えている、前記フロー制御装置に設けられた唯一の圧力センサである、前記単一の圧力センサによって、前記ハウジング内で測定された圧力についての圧力測定値を受信すること、
前記ハウジング内で前記単一の圧力センサから得られた前記圧力測定値のみに対応する流量に基づいて、流量を計算すること、
前記流量を設定ポイントと比較すること、及び
計算された流量と前記設定ポイントとの差に基づいて、前記バルブ制御信号を発生させること、
を少なくとも一つのプロセッサによって実行可能な前記コンピュータ命令セットを備えていることを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項2】
校正パラメータが、インサイチュ校正パラメータを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項3】
前記コンピュータ命令セットが、
前記単一の圧力センサから得られた前記圧力測定値を変動についてモニタリングすること、
前記変動を所定の限度と比較すること、及び
前記変動が前記所定の限度より大きい場合に、警報を発生させること、
を実行可能な命令を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項4】
前記バルブをバルブ位置の変化についてモニタリングすることと、
前記バルブ位置の変化が所定の量より大きい場合に、警報を発生させることと、
を実行可能な命令を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項5】
フロー制御装置を通るフローを、前記フロー制御装置のハウジング内で且つ前記フロー制御装置の単一の流路で、単一の圧力センサからの測定値に基づいて調節するための方法において、
前記フロー制御装置の前記ハウジング内に且つ前記フロー制御装置の前記単一の流路の流入口と流出口との間に配置されている前記単一の圧力センサであって、前記ハウジング内に設けられた唯一の圧力センサである前記単一の圧力センサによって、前記ハウジング内で圧力を測定するステップと、
前記ハウジング内で前記単一の圧力センサによって測定された圧力のみに対応する流量に基づいて、流量を計算するステップと、
前記流量を所望の流量と比較するステップと、
計算された流量と前記所望の流量との差に基づいて、バルブ制御信号を発生させるステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項6】
インサイチュ校正を実施することによって、校正パラメータを生成するステップを備えていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記単一の圧力センサから得られた圧力の測定値を変動についてモニタリングするステップと、
前記変動を所定の限度と比較するステップと、
前記変動が前記所定の限度より大きい場合に、警報を発生させるステップと、
を備えていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記フロー制御装置内に且つ前記フロー制御装置の前記流入口と前記流出口と間に配置されている前記バルブをバルブ位置の変化についてモニタリングするステップと、
前記バルブ位置の変化が所定の量より大きい場合に、警報を発生させるステップと、
を備えていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
フロー制御装置であって、
ハウジングと、
フローを前記フロー制御装置内に受容するための流入口と、
前記フロー制御装置からフロー・システムの構成要素に前記フローを導くために、前記流入口と流通している流出口と、
前記流入口と前記流出口との間に配設されている圧力低減エレメントと、
前記ハウジング内に且つ前記フロー制御装置の前記流入口と前記流出口との間に配置されているバルブであって、前記フロー制御装置を流れ通る前記フローを調節するためのバルブ制御信号に応答する前記バルブと、
前記ハウジング内に配設されている第1の圧力センサであって、前記流入口において前記フロー制御装置に流入し、前記バルブを通過し、前記流出口において前記フロー制御装置から流出する流体の第1の圧力を測定するための前記第1の圧力センサと、
前記ハウジング内に配設されている第2の圧力センサであって、前記流入口において前記フロー制御装置に流入し、前記バルブを通過し、前記流出口において前記フロー制御装置から流出する流体の第2の圧力を測定するための前記第2の圧力センサと、
前記流入口と、前記圧力低減エレメントと、前記バルブと、前記流出口とを含んでいる単一の流路と、
前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサに結合されているコントローラであって、第1の作動モードにおいて前記第1の圧力センサのみによって又は前記第2の圧力センサのみによって計測された圧力によって決定された流量に基づいて、前記バルブ制御信号を発生させるように構成されている前記コントローラと、
を備えている前記フロー制御装置において、
前記第1の圧力センサと前記第2の圧力センサのみが、前記ハウジング内に配置されている圧力センサであることを特徴とするフロー制御装置。
【請求項10】
前記第1の圧力センサが、前記圧力低減エレメントの上流に位置しており、
前記第2の圧力センサが、前記圧力低減エレメントの下流に位置していることを特徴とする請求項9に記載のフロー制御装置。
【請求項11】
フロー制御装置であって、
ハウジングと、
フローを前記フロー制御装置内に受容するための流入口と、
前記フロー制御装置からフロー・システムの構成要素に前記フローを導くために、前記流入口と流通している流出口と、
前記流入口と前記流出口との間に配設されている圧力低減エレメントと、
前記ハウジング内に且つ前記フロー制御装置の前記流入口と前記流出口との間に配置されているバルブであって、前記フロー制御装置を流れ通る前記フローを調節するためのバルブ制御信号に応答する前記バルブと、
前記流入口と、前記圧力低減エレメントと、前記バルブと、前記流出口とを含んでいる単一の流路と、
前記ハウジング内に配設されている単一の圧力センサであって、前記流入口において前記フロー制御装置に流入し、前記バルブを通過し、前記流出口において前記フロー制御装置から流出する流体の圧力を、前記フロー制御装置の前記単一の流路の前記流入口と前記流出口との間において測定するための前記単一の圧力センサと、
前記単一の圧力センサに結合されているコントローラであって、前記ハウジング内で前記単一の圧力センサによって計測された圧力のみに対応する流量に基づいて、流量を計算するように、前記流量を所望の流量と比較するように、及び、計算された流量と前記所望の流量との差に基づいてバルブ制御信号を発生させるように構成されている前記コントローラと、
を備えている前記フロー制御装置において、
前記単一の圧力センサが、前記ハウジング内に設けられている唯一の圧力センサであることを特徴とするフロー制御装置。
【請求項12】
前記コントローラが、インサイチュ校正を実施することによって、校正パラメータを生成するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のフロー制御装置。
【請求項13】
前記コントローラが、前記単一の圧力センサから得られた圧力の測定値を変動についてモニタリングするように、前記変動を所定の限度と比較するように、及び、前記変動が前記所定の限度より大きい場合に、警報を発生させるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のフロー制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58251(P2013−58251A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256361(P2012−256361)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2010−106809(P2010−106809)の分割
【原出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(505307471)インテグリス・インコーポレーテッド (124)
【Fターム(参考)】