説明

フード保持装置

【課題】フード周辺の機器の配置レイアウトの自由度を向上でき、フードを複数の開度位置に保持できるフード保持装置を提供すること。
【解決手段】走行機械の車両本体に軸支された開閉式のフード61を開状態に保持するフード保持装置10は、基端部71側がフード61に軸支されるステー7と、車両本体に設けられステー7の先端部側を支持するステー支持部材8とを備え、ステー支持部材8は、フード61の支持軸と平行に延びる軸部83を備え、ステー7は、基端部71に向かって延設されステー支持部材8の軸部83をガイドするガイド溝72と、ガイド溝72の一辺側にガイド溝72と連続して設けられステー支持部材8の軸部83に係止される複数の係止溝73,74,75とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機械の開閉式のフードを開状態に保持するフード保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械(油圧ショベル等)や産業車両(フォークリフト等)等の走行機械には、フード内の機器の整備性を確保するために、開閉式のフードが設けられている。一般的に、開閉式のフードは、車両本体に回動自在に支持されるとともに、フード保持装置により開状態を保持可能となっている。このようなフード保持装置として、棒状のステーを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のフード保持装置では、ステーの一端側がフードに回動自在に支持され、ステーの他端側は、車両本体に水平方向に沿って設けられた案内溝に掛止されている。フードの開動作時には、ステーの他端側が案内溝に沿って移動して案内溝の端部に係止されることにより、フードが開状態に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−112369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のフード保持装置では、ステーの一端側が上方に移動しつつ、ステーの他端側が案内溝にガイドされて水平方向に移動するため、ステーの移動スペースが大きくなってしまう。この場合、ステーの移動スペース上には機器を配置することができず、フード周辺の機器の配置レイアウトの自由度が十分でないという問題がある。
【0006】
一方、フード内の機器の整備時には、整備場のスペースの制約等の理由により、フードを全開にできない場合がある。しかし、特許文献1のフード保持装置では、フードを半開のまま保持することができず、このような状況に適応することができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、フード周辺の機器の配置レイアウトの自由度を向上でき、フードを複数の開度位置に保持できるフード保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフード保持装置は、走行機械の車両本体に軸支された開閉式のフードを開状態に保持するフード保持装置であって、基端部側が前記フードに軸支されるステーと、前記車両本体に設けられ前記ステーの先端部側を支持するステー支持部材とを備え、前記ステー支持部材は、前記フードの支持軸と平行に延びる軸部を備え、前記ステーは、前記基端部に向かって延設され前記ステー支持部材の前記軸部をガイドするガイド溝と、前記ガイド溝の一辺側に前記ガイド溝と連続して設けられ前記ステー支持部材の前記軸部に係止される複数の係止溝とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記係止溝は、前記ガイド溝に対して前記基端部側に傾斜して設けられ、前記係止溝の傾斜方向に沿った線と、前記基端部および前記係止溝を結ぶ線とが前記基端部側になす角度は、前記基端部から離れた位置にある係止溝ほど大きいことが望ましい。
【0010】
本発明において、前記基端部は、前記フードを閉じたときに、前記フードの支持軸と前記ステー支持部材の前記軸部とを結ぶ第1の線よりも下側で前記フードに軸支されるとともに、前記フードを全開にしたときに、前記第1の線よりも上側で前記フードに軸支されていることが望ましい。
【0011】
本発明において、前記ガイド溝は、前記基端部と前記ガイド溝の前記基端部側の端部とを結ぶ第2の線に対して、前記ガイド溝の前記基端部側の端部を起点として前記係止溝側とは反対側に傾斜していることが望ましい。
【0012】
本発明において、前記フード保持装置は、前記フードを開方向に付勢する付勢部材を備え、前記ステー、前記ステー支持部材、および前記付勢部材はそれぞれ略平行に設けられ、前記付勢部材は、前記ステー支持部材および前記ステー間に設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフード保持装置によれば、ステーの基端部はフードに軸支されているため、当該基端部は、フードの開動作に伴って、フードの支持軸を中心とする仮想円上を上方に向けて移動する。ここで、ステーには、基端部に向かってガイド溝が延設されているため、ステーの基端部側が徐々に上昇しつつ、ガイド溝に収容されているステー支持部材の軸部にガイドされてステーの先端部側が基端部方向に移動する。従って、水平方向へのステーの移動量を抑制してステーの移動スペースを低減することができるので、フード周辺の機器の配置レイアウトの自由度を向上させることができる。
また、本発明のフード保持装置のステーには、ガイド溝の一辺側に複数の係止溝が設けられているため、前述したステーの動作に伴ってステーが基端部方向に移動する際に、ステーの各係止溝が、基端部側から順にステー支持部材の軸部に係止される。従って、フードを複数の開度位置に保持することができる。
【0014】
本発明において、係止溝は、ガイド溝に対して基端部側に傾斜して設けられ、係止溝の傾斜方向に沿った線と、基端部および係止溝を結ぶ線とが基端部側になす角度は、基端部から離れた位置にある係止溝ほど大きい場合、係止溝の角度は、基端部からの距離に応じて大きくなるので、各係止溝の形成方向は、基端部を中心として係止溝までの距離を半径とする各仮想円の接線方向に近付くことになる。従って、ステーが基端部を中心に回動する際に、ステー支持部材の軸部が各係止溝に入り込み易くなるため、フードを確実に保持することができる。
【0015】
本発明において、ステーの基端部は、フードを閉じたときに、フードの支持軸とステー支持部材の軸部とを結ぶ第1の線よりも下側でフードに軸支されるとともに、フードを全開にしたときに、第1の線よりも上側でフードに軸支されている場合、ステーの基端部が第1の線よりも下側にある間は、ステーがステー支持部材の軸部に近付く方向に移動し、ステーの基端部が第1の線の上側に移った後は、ステーがステー支持部材の軸部から離れる方向に移動する。このように、フードの開動作に伴ってステーがステー支持部材の軸部に近付いたり離れたりするため、ステーがいずれか一方の方向のみに移動する場合と比べて、ステーの移動スペースをより低減することができる。従って、機器の配置レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0016】
本発明において、ガイド溝は、基端部とガイド溝の基端部側の端部とを結ぶ第2の線に対して、ガイド溝の基端部側の端部を起点として係止溝側とは反対側に傾斜している場合、フードの開動作に伴ってステーの基端部が上昇し、ステーが基端部側を上にして傾斜すると、ガイド溝の延設方向が、フードの支持軸を中心とする仮想円の接線方向に近づくため、当該仮想円上を移動するステーの基端部の移動方向と、ステーのガイド溝部分の移動方向とが近付いていく。この場合、ステーは、長手方向に移動しつつ、全体が上方に平行移動するようになるので、ステー支持部材の軸部を中心とした回動によるステーの下方への張り出しを抑制することができる。従って、機器の配置レイアウトの自由度を一層向上させることができる。
【0017】
本発明において、ステー、ステー支持部材、および付勢部材がそれぞれ略平行に設けられ、付勢部材は、ステー支持部材およびステー間に設けられている場合、付勢部材がステー支持部材およびステーとは異なる場所に配置される場合に比べて、フード保持装置を小型化することができるので、機器のレイアウトの配置自由度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る走行機械を示す側面図。
【図2】走行機械に搭載されたフード保持装置の側面図。
【図3】フード保持装置の斜視図。
【図4】フード保持装置の一部を構成するステーの平面図。
【図5】フード保持装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔油圧ショベルの概略構成〕
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る走行機械としての油圧ショベル1が示されている。この油圧ショベル1は、走行装置2および車両本体3を備えている。
【0020】
走行装置2は、車両本体3の下部に設けられ、車両本体3を水平方向に回転自在に支持している。この走行装置2は、左右一対のクローラ式の走行体21を備えている。
車両本体3は、前方側に設けられた作業機4と、中央側に設けられたキャブ5と、後方側に設けられたエンジン6と、図示を略したが、エンジン6によって駆動される油圧ポンプを含む油圧回路とを搭載している。
【0021】
作業機4は、車両本体3を構成するメインフレームに対して上下方向に揺動自在に軸支されるブーム41と、ブーム41の先端に揺動自在に設けられるアーム42と、アーム42の先端に設けられるバケット43と、ブーム41を駆動するブームシリンダ44と、アーム42を駆動するアームシリンダ45と、バケット43を駆動するバケットシリンダ46とを備えている。
【0022】
この作業機4には、車両本体3内部に設けられた油圧回路から圧油が供給され、各シリンダ44〜46を圧油によって伸縮させることにより、バケット43を上下方向に移動させたり、バケット43の姿勢を変更したりすることができ、掘削作業、地均し作業、土砂積み込み作業等の様々な作業を行うことができる。作業機4の操縦は、キャブ5に乗車したオペレータが、キャブ5内部に設けられる操縦レバーを操作することによって行う。
【0023】
エンジン6は、開閉式のフード61によって覆われており、フード61は、車両本体3の左右方向に沿った支持軸P1を有するヒンジ62(図2参照)によって、支持軸P1回りに回動自在に支持されている。このフード61は、フード保持装置10により複数の開度に保持可能となっている。
【0024】
〔フード保持装置の構成〕
図2および図3に示すように、フード保持装置10は、基端部71側がフード61に軸支されたステー7と、車両本体3に設けられてステー7の先端部側を支持するステー支持部材8と、フード61およびステー支持部材8間を接続する付勢部材としてのガススプリング9とを備えている。このようなフード保持装置10において、ステー7、ステー支持部材8、およびガススプリング9は、それぞれ略平行に設けられている。
【0025】
ステー支持部材8は、車両本体3に固定された本体部81と、本体部81のステー7側に設けられてステー7と当接する凸状のステー当接部82と、ステー当接部82からヒンジ62の支持軸P1と平行に延びる軸部83と、本体部81に設けられた付勢部材支持部84とを備えている。
【0026】
ステー7は、図4にも示すように、フード61の支持軸P1と平行な支持軸P2によりフード61に軸支される基端部71と、先端部側に設けられてフード61の開閉時にステー支持部材8の軸部83をガイドするガイド溝72と、ガイド溝72と連続して形成され軸部83を係止する第1係止溝73、第2係止溝74、および第3係止溝75と、ガイド溝72の近傍に設けられた取手部76とを備えている。このステー7は、図2に示すように、フード61を閉じたときに、基端部71がフード61の支持軸P1とステー支持部材8の軸部83とを結ぶ第1の線L1よりも下側でフード61に軸支されている。
【0027】
ガイド溝72は、直線状に形成され、ステー支持部材8の軸部83を収容する。このガイド溝72は、図4に示すように、基端部71とガイド溝72の基端部71側の端部とを結ぶ第2の線L2に対して、ガイド溝72の基端部71側の端部を起点として係止溝73,74,75側とは反対側に傾斜し、第2の線L2とガイド溝72の延設方向に沿った線L3とのなす角度は、係止溝73,74,75側と反対側で鈍角を構成している。また、ガイド溝72における係止溝73,74,75よりも基端部71側の部分は、フード61を閉じたときにステー支持部材8の軸部83を収容する収容部721を構成し、ガイド溝72における基端部71とは反対側の端部は、フード61を全開にしたときにステー支持部材8の軸部83と当接してステー7の移動を規制する移動規制部722を構成する。
【0028】
各係止溝73,74,75は、ガイド溝72の一辺側が切り欠かれて形成され、かつ当該一辺側に並設されている。具体的に、各係止溝73,74,75は、基端部71側とは反対側に形成されてガイド溝72と連続する直線状のガイド面部731,741,751と、一端側がガイド面部731,741,751と連続し他端側がガイド溝72と連続する円弧状の端面部732,742,752とを備えている。このような構成により、各係止溝73,74,75は、ガイド溝72に対して基端部71側に傾斜している。
【0029】
また、係止溝73,74,75は、図4に示すように、各係止溝73,74,75の傾斜方向に沿った線と、基端部71および各係止溝73,74,75を結ぶ線とが基端部71側になす角度が、基端部71から離れた位置にある係止溝73,74,75ほど大きくなるように形成されており、各係止溝73,74,75が、基端部71およびガイド溝72の基端部71側の端部を結ぶ第2の線L2となす角度をそれぞれθ1、θ2、θ3とした場合、θ1<θ2<θ3の関係が成り立つ。すなわち、本実施形態では、各係止溝73,74,75のガイド面部731,741,751の延長線と、基端部71から延びる第2の線L2とがなす角度は、基端部71から離れるほど大きくなっている。なお、ここでは図を見やすくするために、各係止溝73,74,75の傾斜方向に沿った線と、基端部71から延びる第2の線L2とがなす角度を示して、角度間の関係を説明したが、各係止溝73,74,75の傾斜方向に沿った線と、基端部71および各係止溝73,74,75を結ぶ線とがなす角度についても、角度間の大小関係は同じである。
【0030】
ガススプリング9は、ステー支持部材8およびステー7間に配置され、一端側が車両本体3に、他端側がステー支持部材8の付勢部材支持部84に、それぞれ回動自在に支持されている。このガススプリング9は、フード61の開動作時の操作力をアシストするとともに、フード61を閉じる際のフード61の急激な動作を防止する。
【0031】
以上のようなフード保持装置10が設けられた油圧ショベル1において、フード61を開ける場合は、フード61の図示しない取手部分を持って、フード61を上方に回動させる。この際、ステー7の基端部71は、図5に示すように、フード61の支持軸P1を中心とする仮想円C1上を上方に移動する。ここで、基端部71は、フード61を閉じたときに、フード61の支持軸P1とステー支持部材8の軸部83とを結ぶ第1の線L1よりも下側で支持されているため、先ず、ステー7は、基端部71側が徐々に上昇しつつ、ステー支持部材8の軸部83に近付く方向に移動する。この状態において、ステー支持部材8の軸部83は、ガイド溝72の収容部721内を移動する。
【0032】
その後、基端部71が、第1の線L1を越えて支持軸P1に水平となる位置まで上昇すると、ステー7は、基端部71側がさらに上昇しつつ、それまでとは反対にステー支持部材8の軸部83から離れる方向に移動し始める。このステー7の動きにより、最も基端部71側の第1係止溝73がステー支持部材8の軸部83の位置に達すると、ステー7が自重により下方に回動して、軸部83が第1係止溝73内に入り込む。この位置でフード61の上方への回動操作を停止すると、第1係止溝73が軸部83に係止されて、フード61が第1位置に保持される。
【0033】
この位置からフード61をさらに上昇させると、ステー7の基端部71は、仮想円C1に沿って斜め上方に移動する。この際、ガイド溝72は、基端部71とガイド溝72の基端部71側の端部とを結ぶ第2の線L2に対して、係止溝73,74,75側とは反対側、つまり下方側に傾斜しているため、フード61の開動作に伴って、ステー7の基端部71の移動方向とガイド溝72の延設方向とが平行になっていく。このため、ステー7は、長手方向に移動しつつ、全体が上方に平行移動するようになるので、軸部83を中心とした回動によるステー7の下方への張り出しを抑制することができる。
【0034】
このようなステー7の動きにより、第2係止溝74が軸部83の位置に達すると、第2係止溝74が軸部83に係止されて、フード61が第2位置に保持される。この位置からさらにフード61を上昇させれば、ガイド溝72の移動規制部722が軸部83に当接してステー7の移動が制限されることで、フード61の上昇が規制される。このため、フード61の上方への回転操作を停止すると、第3係止溝75が軸部83に係止されて、フード61が全開の状態で保持される。
【0035】
フード61の開閉動作の間、ガススプリング9の車両本体3側の支持部分は、フード61の支持軸P1を中心とする仮想円C2上を上方に移動する。ここで、仮想円C2は仮想円C1の同心円であり、ガススプリング9の車両本体3とは反対側の支持部分はステー支持部材8に支持されているため、ガススプリング9は、フード61の開閉動作中、ステー支持部材8およびステー7間に配置され続けて、ステー7と同様の動きをすることになる。従って、ガススプリング9の移動スペースも小さくすることができる。
【0036】
一方、フード61を閉める場合は、取手部76を押し上げてステー7を上方に回動させると、フード保持装置10によるフード61の保持が解除される。この状態で、取手部76を押し上げたままフード61を所定位置まで下ろせば、ステー支持部材8の軸部83がガイド溝72の収容部721に収容されるため、係止溝73,74,75が軸部83に係止されなくなる。従って、それ以降は、ステー7から手を離して、フード61を下降させれば、フード61が閉じられる。
【0037】
以上のようなフード保持装置10によれば、ステー7には、基端部71に向かってガイド溝72が延設されているため、ステー7は、フード61の開動作に伴って、基端部71側が上昇しつつ、ガイド溝72にガイドされて基端部71方向に移動する。従って、水平方向へのステー7の移動量を抑制してステー7の移動スペースを低減することができる。また、ステー7には、ガイド溝72の一辺側に複数の係止溝73,74,75が設けられているため、フード61の開動作に伴ってステー7が基端部71側に移動する際に、係止溝73,74,75が基端部71側から順にステー支持部材8の軸部83に係止されて、フード61が複数の開度位置に保持される。また、フード61を全開にしたときは、ガイド溝72の移動規制部722がステー支持部材8の軸部83と当接してステー7の移動を制限するため、それ以上のフード61の上昇が規制される。
【0038】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、フード保持装置10は、エンジンを覆うフード61を保持していたがこれに限られず、エンジン以外の機器を覆うフードをフード保持装置10で保持するようにしてもよい。
【0039】
前記実施形態では、ガイド溝72は、基端部71とガイド溝72の基端部71側の端部とを結ぶ第2の線L2に対して、係止溝73,74,75側とは反対側に傾斜していたが、これに限られず、ガイド溝72を第2の線L2に対して傾斜しないように形成してもよい。
【0040】
前記実施形態では、係止溝73,74,75は、各係止溝73,74,75の傾斜方向に沿った線と、基端部71および各係止溝73,74,75を結ぶ線とがなす角度が、基端部71から離れた位置にある係止溝73,74,75ほど大きくなるように設けられていたが、これに限られない。各係止溝73,74,75は、フード61の開動作時に係止溝73,74,75がステー支持部材8の軸部83に係止する範囲内であれば前記実施形態とは異なる角度関係を有するように設けてもよく、例えば、各係止溝73,74,75を平行に設けてもよい。
【0041】
前記実施形態では、ステー支持部材8にステー当接部82が設けられ、ステー当接部82に軸部83が設けられていたが、本体部81に軸部83を直接設けてもよい。
前記実施形態では、フード保持装置10にガススプリング9が設けられていたが、付勢部材としては、これに限られない。要するに、フード61の開動作時の操作力アシストや、フード61を閉じる際の急激な閉まり動作を防止できればよく、ガススプリング9のかわりに、例えば、トーションバーを付勢部材として設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、建設機械(油圧ショベル等)や産業車両(フォークリフト等)等の走行機械に利用できる他、開閉式のフードを有する他の機械にも利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…油圧ショベル(走行機械)、3…車両本体、6…エンジン、7…ステー、8…ステー支持部材、9…ガススプリング(付勢部材)、10…フード保持装置、61…フード、71…基端部、72…ガイド溝、73,74,75…第1、第2、および第3係止溝(係止溝)、83…軸部、θ1,θ2,θ3…角度、L1…第1の線、L2…第2の線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機械の車両本体に軸支された開閉式のフードを開状態に保持するフード保持装置であって、
基端部側が前記フードに軸支されるステーと、
前記車両本体に設けられ前記ステーの先端部側を支持するステー支持部材とを備え、
前記ステー支持部材は、前記フードの支持軸と平行に延びる軸部を備え、
前記ステーは、前記基端部に向かって延設され前記ステー支持部材の前記軸部をガイドするガイド溝と、前記ガイド溝の一辺側に前記ガイド溝と連続して設けられ前記ステー支持部材の前記軸部に係止される複数の係止溝とを備えている
ことを特徴とするフード保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフード保持装置において、
前記係止溝は、前記ガイド溝に対して前記基端部側に傾斜して設けられ、
前記係止溝の傾斜方向に沿った線と、前記基端部および前記係止溝を結ぶ線とが前記基端部側になす角度は、前記基端部から離れた位置にある係止溝ほど大きい
ことを特徴とするフード保持装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフード保持装置において、
前記基端部は、前記フードを閉じたときに、前記フードの支持軸と前記ステー支持部材の前記軸部とを結ぶ第1の線よりも下側で前記フードに軸支されるとともに、前記フードを全開にしたときに、前記第1の線よりも上側で前記フードに軸支されている
ことを特徴とするフード保持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のフード保持装置において、
前記ガイド溝は、前記基端部と前記ガイド溝の前記基端部側の端部とを結ぶ第2の線に対して、前記ガイド溝の前記基端部側の端部を起点として前記係止溝側とは反対側に傾斜している
ことを特徴とするフード保持装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のフード保持装置において、
前記フードを開方向に付勢する付勢部材を備え、
前記ステー、前記ステー支持部材、および前記付勢部材はそれぞれ略平行に設けられ、
前記付勢部材は、前記ステー支持部材および前記ステー間に設けられている
ことを特徴とするフード保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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