説明

フード

【課題】強度の低下を防止しつつ、簡便な構造で成形可能なレッグを提供すること。
【解決手段】レッグ40は、車両用シート1を車両フロアに組み付け可能に構成されている。このレッグ40は、シートクッション2のクッションフレーム4側に接合可能となっている第1の面42と、車両フロア側に接合可能となっており、この第1の面42から直交するように折り曲げ成形されている第2の面44と、この第2の面44に対して直交するように、この第1の面42から直交するように折り曲げ成形されている第3の面46、46と、この第3の面46、46に対して溶接によって接合可能となるように、この第2の面44から直交するように折り曲げ成形されている、または、この第2の面44に対して溶接によって接合可能となるように、この第3の面46、46から直交するように折り曲げ成形されている第4の面48、48とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードに関し、詳しくは、エンジンルームまたはトランクルームを形成するボンネットの開口を開閉可能なフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、図6に示すような、フード130とフロントガラス180との間に設けられたルーバー172から取り込んだエアaを、このルーバー172と共にカウル170を介して整流して車内の空調装置(図示しない)へ送り込む技術が既に知られている。これにより、簡便な構造で、車外から取り込んだエアaを整流して車内の空調装置へ送り込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−143537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、ルーバー172とカウル170とを必要とするため、部品点数の増加につながっていた。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、その課題は、簡便な構造で、車外から取り込んだエアを整流して車内の空調装置へ送り込むことができても、部品点数の増加を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、エンジンルームまたはトランクルームを形成するボンネットの開口を開閉可能なフードであって、アウタカバーと、このアウタカバーの内面に接合されたインナカバーとから成る二重構造となっており、これら両カバーの間には、その先端側に形成されたエア取込口から取り込んだエアを内部で整流し、この整流したエアを基端側に形成されたエア排出口から排出可能な第1のダクトが形成されており、エア排出口は、ボンネットの開口を閉じ状態にすると、車内の空調装置へエアを送り込み可能な第2のダクトの入口と連通可能に形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、アウタカバーの内面にインナカバーを接合させることで第1のダクトを形成できるため、簡便な構造で第1のダクトを形成できる。そして、第1のダクトを介してエア取込口とエア排出口とを連通させることができると共に、第2のダクトを介してエア排出口と車内の空調装置とを連通させることができる。そのため、エア取込口からエアを取り込み、この取り込んだエアを第1のダクトの内部で整流し第2のダクトを介して、車内の空調装置へ送ることができる。したがって、従来技術の説明と同様に、簡便な構造で、車外から取り込んだエアを整流して車内の空調装置へ送り込むことができる。また、従来技術と比較すると、ルーバーが不要となるため、部品点数の増加を抑えることができる。すなわち、従来技術であれば、フード、ルーバー、カウルの3部品を必要としていたが、本発明では、フード、ホースの2部品で済ませることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフードであって、インナカバーには、エンジンルーム内においてエンジンから発せられる熱がこもる熱滞留部へ外気を取り込むための開口が設けられていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、取り込んだエアを、空調装置だけでなく、熱溜部にも送ることができる。したがって、熱溜部にこもっている熱を車両の外部へ逃がすことができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のフードであって、インナカバーには、開口を開閉可能なカバーが付勢部材を介して取り付けられており、この付勢部材の付勢力は、車両の停止時には、カバーが閉じ状態を成すように、また、車両の走行時には、エア取込口から取り込んだエアによってカバーが開き状態を成すように設定されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、車両の停止時には、エンジンルーム内の熱が空調装置へ送り込まれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るボンネットのフードを閉じた状態の全体斜視図である。
【図2】図2は、図1のフードを開けた状態を示している。
【図3】図3は、図1をIII−III線で切った状態を示している。
【図4】図4は、図1の縦断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例2に係るボンネットのフードを閉じた状態の縦断面図である。
【図6】図6は、従来技術に係る車両のフロント部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず、本発明の実施例1を、図1〜4を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、車両1を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0011】
まず、図1〜2を参照して、本発明の実施例1に係る車両1のフロント部を説明する。この車両1のフロント部(図1〜2において、フロントガラス80の下側から前方に張り出す部位)には、エンジン(図示しない)を有するエンジンルーム20を形成するボンネット2が備えられている。このボンネット2には、エンジンルーム20の上部に形成された開口22を左右一対のダンパ(図示しない)を介して開閉できるフード30が取り付けられている。
【0012】
ここで、図3〜4を参照して、フード30について詳述すると、このフード30は、アウタカバー40と、このアウタカバー40の内面に接合可能なインナカバー50とから二重に構成されている。このアウタカバー40の先端(前端)には、大気であるエアAを取り込み可能なエア取込口42を有するフロントグリル44が形成されている。一方、このインナカバー50の基端(後端)には、上述したエア取込口42から取り込んだエアAを後述するダクト60を介して排出可能なエア排出口52が形成されている。
【0013】
また、これら両カバー40、50は、上述したように、アウタカバー40の内面にインナカバー50を接合させると、これら両カバー40、50の間に、エア取込口42とエア排出口52とを連通させるダクト60が形成されるように、剛性を有する合成樹脂によって、それぞれ一体成形されている。このダクト60が、特許請求の範囲に記載の「第1のダクト」に相当する。
【0014】
両カバー40、50は、このように形成されているため、上述したように、アウタカバー40の内面にインナカバー50を接合させると、ダクト60によって、エア取込口42から取り込んだエアAをエア排出口52から排出できる。
【0015】
このように形成されたダクト60には、エアAの入口側から出口側の方向(エア取込口42からエア排出口52の方向)に沿って絞り部62と拡大部64とが備えられている。これにより、チャンバー効果によって、エア取込口42から取り込んだエアAをダクト60の内部で整流すると共に、その流速を落とすことができる。したがって、この取り込んだエアAから水とゴミを分離できる。
【0016】
また、このようにダクト60が形成されると、すなわち、エアAの入口となるエア取込口42がボンネット2の前方に配置されるように、且つ、エアAの出口となるエア排出口52がボンネット2の後方に配置されるようにダクト60が形成されると、このエア取込口42とエア排出口52との間の距離(図4において、L1)を長くできるため、上述したチャンバー効果(整流)の自由度も確保できる。このようにエア取込口42とエア排出口52との間の距離を長くできると、エア取込口42からエアAと共に入り込んだ水やゴミが後述する空調装置へ入り込むことを抑制できる。
【0017】
なお、このエア取込口42とエア排出口52との間の距離(図4において、L1)は、従来技術において、カウル170の距離(図6において、L2)に相当するものである。そのため、従来技術であれば、このカウル170の距離(図6において、L2)を長くできなかった。したがって、ルーバー172からエアaと共に入り込んだ水やゴミが空調装置へ入り込み易いという問題もあった。
【0018】
なお、これら両カバー40、50の接合は、溶着によって行われている。この溶着は、少なくとも、両カバー40、50の縁を含んだ適宜の箇所(図2において、Yで示す箇所)で行われている。これにより、フード30としての強度も確保できる。フード30は、このように構成されている。
【0019】
また、この車両1のフロント部におけるボデーのうち、フロントガラス80の下側が組み付けられるボデー(以下、「フロントボデー10」と記す)には、車内の空調装置(図示しない)へ送り込むためのエアAを取り込むエア取込口12が形成されている。このフロントボデー10のエア取込口12と上述したフード30のエア排出口52とは、伸縮可能な蛇腹状に形成されたホース70によって接続されている。
【0020】
すなわち、フード30のエア排出口52とホース70の入口70aとが接続され、ホース70の出口70bとフロントボデー10のエア取込口12とが接続されている。これにより、フード30のエア排出口52とフロントボデー10のエア取込口12とは連通するため、フード30のエア排出口52から排出されたエアAをフロントボデー10のエア取込口12へ送ることができる。このホース70が、特許請求の範囲に記載の「第2のダクト」に相当する。
【0021】
なお、ホース70は、上述したように、自身が伸縮可能な蛇腹状に形成されているため、フード30を開閉しても、フード30のエア排出口52とフロントボデー10のエア取込口12との連通は保持されることとなる。車両1のフロント部は、このように構成されている。
【0022】
本発明の実施例1に係るフード30は、上述したように構成されている。この構成によれば、フード30は、アウタカバー40と、このアウタカバー40の内面に接合されたインナカバー50とから構成されている。これら両カバー40、50は、上述したようにアウタカバー40の内面にインナカバー50を接合させると、これら両カバー40、50の間に、エア取込口42から取り込んだエアAを内部で整流し、この整流したエアAをエア排出口52から排出可能なダクト60が形成されるように構成されている。そして、フード30のエア排出口52とホース70の入口70aとが接続され、ホース70の出口70bとフロントボデー10のエア取込口12とが接続されている。
【0023】
このようにアウタカバー40の内面にインナカバー50を接合させることでダクト60を形成できるため、簡便な構造でダクト60を形成できる。そして、ダクト60を介してフード30のエア取込口42とエア排出口52とを連通させることができると共に、ホース70を介してフード30のエア排出口52とフロントボデー10のエア取込口12とを連通させることができる。そのため、フード30のエア取込口42からエアAを取り込み、この取り込んだエアAをダクト60の内部で整流しホース70を介して、フロントボデー10のエア取込口12へ送ることができる。したがって、従来技術の説明と同様に、簡便な構造で、車外から取り込んだエアAを整流して車内の空調装置へ送り込むことができる。また、従来技術と比較すると、ルーバー172が不要となるため、部品点数の増加を抑えることができる。すなわち、従来技術であれば、フード130、ルーバー172、カウル170の3部品を必要としていたが、本実施例1では、フード30、ホース70の2部品で済ませることができる。
【0024】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を、図5を用いて説明する。この実施例2は、既に説明した実施例1と比較すると、フロントグリル44のエア取込口42から取り込んだエアAを、さらに、エンジンルームE1内にも送り込む形態である。なお、以下の説明にあたって、実施例1と同一もしくは均等な構成の部材には、図面において、同一符号を付すことで重複する説明は省略することとする。
【0025】
図5に示すように、インナカバー50には、その厚み方向を貫通する開口90が形成されている。この開口90は、インナカバー50のうち、エンジンルームE1内のエンジンE後方域の上部に相当する位置に形成されている。すなわち、この開口90は、エンジンルームE1内においてエンジンEから発せられる熱がこもる熱滞留部Bへ、フロントグリル44のエア取込口42から取り込んだエアAを送り込み可能な位置に形成されている。この開口90の縁には、その開口90を開閉可能となるようにカバー92がヒンジ結合されている。
【0026】
このとき、カバー92は、常時、開口90を閉じる方向にトーションばね(図示しない)を介して付勢された状態でヒンジ結合されている。このカバー92は、図5からも明らかなように、風受壁92aを有する略L字状に形成されている。これにより、フロントグリル44のエア取込口42から取り込んだエアAの抵抗面となるため、この抵抗力によってカバー92を確実に開けることができる。
【0027】
なお、このトーションばねの付勢力は、車両1の停止時には、カバー92が閉じ状態(図5において、カバー92が実線で示された状態)を成すように、また、車両1の走行時には、フロントグリル44のエア取込口42から取り込んだエアAによってカバー92が開き状態(図5において、カバー92が想像線で示された状態)を成すように設定されている。
【0028】
本発明の実施例2に係るフード130は、上述したように構成されている。この構成によれば、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。また、この構成によれば、インナカバー50には、エンジンルームE1内においてエンジンEから発せられる熱がこもる熱滞留部Bへ、フロントグリル44のエア取込口42から取り込んだエアAを送り込み可能な位置に開口90が形成されている。そのため、この取り込んだエアAを、空調装置だけでなく、熱滞留部Bにも送ることができる。したがって、図5に示すように、熱滞留部Bにこもっている熱をフード130と板金14との隙間から車両1の外部へ逃がすことができる。なお、図5において、矢印Cが、熱滞留部Bにこもっている熱の逃げを示している。
【0029】
また、この構成によれば、開口90の縁には、その開口90を開閉可能となるように、カバー92が、常時、開口90を閉じる方向にトーションばねを介して付勢された状態でヒンジ結合されている。そのため、車両1の停止時には、エンジンルームE1内の熱が空調装置へ送り込まれることを防止できる。
【0030】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
各実施例では、『ボンネット2』の例として、『エンジンルーム20』を形成する例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、トランクルームを形成しても構わない。
【0031】
また、各実施例では、フード30のエア排出口52とホース70の入口70aとが接続されている例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、フード30を閉じ状態にすると、フード30のエア排出口52とホース70の入口70aとが連通するように、ホース70の入口70aがフード30のエア排出口52を待ち受けるように、ホース70をフロントボデー10に組み付けても構わない。その場合、ホース70の伸縮機能が不要となる。
【0032】
また、各実施例では、両カバー40、50は、剛性を有する合成樹脂によって、それぞれ一体成形されている例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、金属によって、それぞれ一体成形されていても構わない。また、両カバー40、50の一方が、剛性を有する合成樹脂によって、一体成形され、同他方が、金属によって一体成形されていても構わない。
【符号の説明】
【0033】
2 ボンネット
20 エンジンルーム
22 開口
30 フード(実施例1)
40 アウタカバー
42 エア取込口
50 インナカバー(実施例1)
52 エア排出口
60 ダクト(第1のダクト)
70 ホース(第2のダクト)
90 開口
130 フード(実施例2)
150 インナカバー(実施例2)
E エンジン
E1 エンジンルーム




【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームまたはトランクルームを形成するボンネットの開口を開閉可能なフードであって、
アウタカバーと、このアウタカバーの内面に接合されたインナカバーとから成る二重構造となっており、
これら両カバーの間には、その先端側に形成されたエア取込口から取り込んだエアを内部で整流し、この整流したエアを基端側に形成されたエア排出口から排出可能な第1のダクトが形成されており、
エア排出口は、ボンネットの開口を閉じ状態にすると、車内の空調装置へエアを送り込み可能な第2のダクトの入口と連通可能に形成されていることを特徴とするフード。
【請求項2】
請求項1に記載のフードであって、
インナカバーには、エンジンルーム内においてエンジンから発せられる熱がこもる熱滞留部へ外気を取り込むための開口が設けられていることを特徴とするフード。
【請求項3】
請求項2に記載のフードであって、
インナカバーには、開口を開閉可能なカバーが付勢部材を介して取り付けられており、
この付勢部材の付勢力は、車両の停止時には、カバーが閉じ状態を成すように、また、車両の走行時には、エア取込口から取り込んだエアによってカバーが開き状態を成すように設定されていることを特徴とするフード。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81946(P2012−81946A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69614(P2011−69614)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】