説明

フープ

【課題】 特に、腕等の動作を促進するために利用でき、手に持ったときに、柔軟な接触感を付与することのできるフープを提供する。
【解決手段】 内部に粒状体17が収容される中空のコルゲート管からなる第1の管状体11と、その外周側を被覆するように設けられた発泡ポリウレタン等の軟質樹脂からなる第2の管状体12とにより略円形ループ状をなすフープ10が形成されている。第1の管状体11内には砂等の発音部材17が収容されている。このフープ10は、曲げ、捻り力等を加えることで腕の運動機能改善を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフープに係り、更に詳しくは、腕等の身体動作を促進するために利用可能な運動用補助具となるフープに関し、特に、リハビリテーションやリクレーションに利用することができる。
【背景技術】
【0002】
各種福祉施設や医療施設においては、身体的機能の低下抑制や、改善を図るための種々のリハビリテーションが採用されている。周知のように、人間の腕等を含む身体部分は、脳から与えられる指令に基づいて一定の動作が行われるものであり、従って、高齢化による機能障害や、脳機能の低下に伴って身体動作が緩慢になると、手足の自由且つ柔軟な動作を阻害する要因となる。
そこで、前記施設等においては、様々な運動用補助具が採用され、当該補助具を介して機能低下等の抑制や改善を図る試みが一般的に行われている。
【0003】
ところで、ループ状をなす運動用補助具としてはフラフープ等が知られている(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】実開昭52−10996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたフラフープは、ループ状をなす樹脂製のものであり、手に持ったときに堅さを感じるだけでなく、曲げ、捻り等変形させることができないものとなっている。また、フラフープは、ループ形状を定型的に保持するものであって、複数のフープ構成部片を相互に連結して円状のループとするものであり、曲げや引っ張り力を付与したときに、連結が解除されてしまう場合を生じ、連結解除時におけるフープ構成部片の端部が体の一部にぶつかる危険を伴う、という不都合がある。
【0006】
[発明の目的]
ここに、本発明の目的は、曲げ、引っ張り等の操作力を加えることで腕等の動作を促進して身体的な機能改善若しくは向上を図ることができ、また、手に持ったときに、柔軟な接触感を付与して使い勝手のよいフープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、第1の管状体と、当該第1の管状体の外周側を被覆する第2の管状体とを備えて無端状に設けられたフープであって、
外側からの力の付与によって変形可能に設けられる一方、前記力の付与を解除することで初期形状に復帰する可撓性を備える、という構成を採っている。
【0008】
本発明において、前記第1の管状体はコルゲート管により構成されている一方、前記第2の管状体は発泡樹脂成形品により構成されている
【0009】
また、前記第1の管状体内に発音部材を封入することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、初期形状を平面視で略円形のループ状とした場合に、フープの二箇所を掴んだ状態で楕円形状等に変形させる動作等を容易に行うことができる。この際、一定の負荷を腕に生じさせて変形力が付与されるものであるから、フープを曲げ変形させる動作等を通じて身体の機能改善若しくは向上を図ることが可能となる。また、無端状であるから、フープの内側に身体の一部を通して引っ張り力を加える等の一定の動作を行うこともできる。
【0011】
また、第1の管状体をなすコルゲート管は、蛇腹状の外観形態を有するものであるから、全域において曲げ変形、或いは伸縮し易いものとなり、変形を付与するための力が過大に要求されることなく程良い反発力を付与することができる。しかも、第2の管状体は軟質樹脂成形品であるから、フープを掴んだときの手に与える感触が柔軟なものとなり、樹脂製のフラフープを持ったときのような堅さを感じさせることはないとともに、フープを手に持ったときに、適度な摩擦抵抗を生じさせて表面を手が滑ってしまう虞も少ないものとなる。また、軟質樹脂成形品は、それ自体が有する柔軟性により、コルゲート管の外周面に対して強く密着させることができる。なお、第1のコルゲート管は、両端を有した状態の素材を用い、その両端を接着等の手法でループ状に形成しておき、当該ループを型内にインサートして外周に第2の管状体の成形素材を注入することで一体成形を行うことができる。
【0012】
また、フープの内部に発音部材、例えば、砂等の粒状体を収容することで、当該粒状体がコルゲート管の凹凸面上にぶつかりながら移動する作用を生じさせ、これによって、明瞭な音を外部に発することができ、単調感を感じさせない使用を期待することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1には、本発明に係るフープの正面図が示され、図2には、中央部水平断面図が示されている。これらの図において、フープ10は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、無負荷状態において略円形のループ状となる形状に設けられている。同フープ10は、図2に示されるように、第1の管状体11と、当該第1の管状体11の外周側を被覆する第2の管状体12とを備えて構成されている。
【0015】
前記第1の管状体11は、図3にも示されるように、その内周面及び外周面が、略蛇腹状の凹凸若しくは波状の断面形状を有する略直線状の中空パイプ状をなすコルゲート管を素材として用い、これを略円形のループ状としたものが採用されている。この第1の管状体11は、合成樹脂、例えば、塩化ビニル樹脂を用いて形成されているとともに、肉厚略0.3mm、直径略22mmであり、ループの直径が略300mm程度となるものが用いられている。また、第1の管状体11は、任意の二箇所を手に持って曲げ力を付与したときに、初期の円形ループ状態を変形させることができる程度の可撓性を備えて構成されている。ここで、「曲げ力」とは相対的なものではあるが、一般的には、成人男性が負担と感じない程度の力を加えたときに、初期形状を変形させることができる程度の力であり、高齢者においても、初期のループ形状を変形させることができる程度の可撓性ないし柔軟性を備えたものとされている。
【0016】
前記第1の管状体11は、その内部に発音部材としての砂等の粒状体17が収容されている。この際、粒状体17は、第1の管状体11内での自由な動きが確保できる程度の量とされ、これにより、重量の負担を感じさせないとともに、第1の管状体11内で粒状体17が移動する際の摩擦音が外部に伝わり易くなっている。
【0017】
前記第2の管状体12は、発泡ポリウレタン等の軟質樹脂成形品により構成されている。この第2の管状体12は、肉厚が略3mm程度とされている。ここで、第2の管状体12は、手で握り締めたときに、やや凹む程度の適度なクッション効果を感じることができる柔軟性を備えており、その握り締め力を解除したときに、初期の表面形状に戻ろうとする復元力を有したものとされ、これにより、握り締めたときに、手に優しい接触感を与えるとともに、手と第2の管状体12との相対的な滑りが生じ難いようになっている。
【0018】
前記フープ10を製造する場合には、略直線状をなす第1の管状体11内に粒状体17を所定量収容しておき、その両端を突き合わせるようにしてループ状とした後に、当該突き合わせ端を適宜な接着剤等を用いて接着する。
次いで、ループ状となった第1の管状体11を所定の型内にインサートし、当該第1の管状体11の外面とキャビティ内面との間の隙間内にポリウレタンを注入して発泡させ、発泡終了後に脱型することで、無端状のフープ10を得ることができる。
【0019】
前記フープの利用に際しては、例えば、図4に示されるように、フープ10の略180度位置を手で持ち、これを相互接近させるように外力を加えることで略瓢箪型に変形させたり、或いは、図5に示されるように、前後に捻るようにして略8の字状に変形させたりすることができる。また、ここでは図示していないが、フープ10を足や首回りに装着して一部を引っ張る等の操作を行うことや、二人でフープ10の一部を手に持ってお互いに引き合うような操作も行うこともできる。
【0020】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、配置などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではない。
【0021】
例えば、前記実施形態における第1の管状体11及び第2の管状体12の直径、肉厚若しくは長さ等は例示的に示したものであり、必要に応じて増加、減少させることができる。更に、フープ10の外周は、円筒形状の他、多角筒状となるものであってもよい。また、第1の管状体11にコルゲート管を用いる一方、第2の管状体12に発泡ポリウレタンを用いた場合を説明したが、前述したように、高齢者等において曲げ変形等を負担なく行うことができ、また、ソフトな接触感を得ることができるものであれば、それらの材料変更を行うことも差し支えない。更に、本発明に係るフープの利用対象者は高齢者に限定されるものでなく、一般人への適用を妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係るフープの正面図。
【図2】前記フープの中央水平断面図。
【図3】図2のA−A線矢視拡大断面図。
【図4】前記フープを変形した状態を示す正面図。
【図5】前記フープを変形させた他の態様を示す正面図。
【符号の説明】
【0023】
10…フープ、11…第1の管状体、12…第2の管状体、17…粒状体(発音部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管状体と、当該第1の管状体の外周側を被覆する第2の管状体とを備えて無端状に設けられたフープであって、
外側からの力の付与によって変形可能に設けられる一方、前記力の付与を解除することで初期形状に復帰する可撓性を備えたことを特徴とするフープ。
【請求項2】
前記第1の管状体はコルゲート管により構成されている一方、前記第2の管状体は軟質樹脂成形品により構成されていることを特徴とする請求項1記載のフープ。
【請求項3】
前記第1の管状体内に発音部材が封入されていることを特徴とする請求項1又は2記載のフープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−102311(P2006−102311A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294977(P2004−294977)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)