説明

ブスバー配線板

【目的】 電気接続箱に使用されるブスバー配線板において、ブスバーにおける許容電流値を増やすとともに、該ブスバーにおける電圧降下を抑えたブスバー配線板を提供することを目的とする。
【構成】 複数のブスバー22を絶縁基板23に配設した配線板21は、多段に積層され、下ケース24と上ケース25内に収容される。所望のブスバー22の端部又は中間部には、先端に電線挟持溝30を有する連結片31,31′を適宜間隔をおいて少なくとも2個突設しておき、これらの連結片31,31′間を電線32の圧接により接続する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、電気接続箱に使用されるブスバー配線板の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来のブスバー配線板を装着した電気接続箱の分解斜視図である。
即ち、1はブスバー2を絶縁基板3に配設した配線板、4はこれ等を載置する絶縁基板を兼ねた下ケース、5は上ケースであり、該上ケース5には図示しない外部コネクタを接続するためのコネクタハウジング6と共にヒューズ7,リレー8が設けられている。
絶縁基板3は多段に積層され、各層のブスバー2から分岐して起立連成されたタブ9は、絶縁基板3に設けた挿通孔10を貫通して前記上ケース5の所要のハウジング内に突出している。
なお、11はタブ9に接続される雌ー雌中継端子であり、下ケース4の下側にもワイヤハーネス14の端末のコネクタ13を接続するためのコネクタハウジング12が形成されている。
【0003】
従来のブスバー配線板1において、ブスバー2の一対のタブ9,9′間の許容電流値を増やそうとする場合、該ブスバー2の抵抗値を下げるため、ブスバー2の巾を広げて対処することが考えられる。ところが、最近のブスバー配線板は高密度に実装されていてスペース的に余裕がなく、許容電流値を増やすことが困難である(図6(A)参照)。
また、図6(B)に示すようなブスバー2において、一対のタブ9,9′間の電圧降下を極力減じようとする場合、該ブスバー2の迂回距離を短くしたいが、隣接するブスバー2′により困難である。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記の問題点に着目してなされたもので、電気接続箱に使用されるブスバー配線板において、ブスバーの許容電流値を増やすと共に、このブスバーにおける電圧降下を抑えたブスバー配線板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本考案は、分岐タブを形成した複数のブスバーとこれらを支持する絶縁基板とからなるブスバー配線板において、所望のブスバーに適宜間隔をおいて少なくとも2個の連結片を突設し、該連結片に形成された電線挟持溝に電線を圧接接続することにより連結片相互間を電線で接続した構成を採用した。
【0006】
【作用】
ブスバーに適宜間隔をおいて例えば2個の連結片を突設し、該連結片に形成された電線挟持溝に電線を圧接接続して、連結片相互間を電線で接続したから、ブスバーに流れる電流は、連結片相互間に接続された電線にも分岐して流れる。これにより、ブスバーの許容電流値が増えると共に、この間の電圧降下も抑えられる。
【0007】
【実施例】
図1は本考案による配線板を備えた電気接続箱の分解斜視図である。
即ち、21はブスバー22を絶縁基板23に配設した配線板、24はこれ等を載置する絶縁基板を兼ねた下ケース、25は上ケースであり、該上ケース25には図示しない外部コネクタを接続するためのコネクタハウジング26を設けると共に、ヒューズ27等の電気部品が搭載されている。
【0008】
絶縁基板23は多段に積層され、各層のブスバー22から分岐して起立連成されたタブ28は、絶縁基板23に設けた挿通孔29を貫通して前記上ケース25の所要のハウジング内に突出している。
ブスバー22の端部又は中間部には、先端に電線挟持溝30を形成した連結片31,31′が適宜間隔をおいて2個突設され、これらの連結片31,31′の電線挟持溝30間に電線32の芯線32′が圧接接続されている(図2(A)及び(B)参照)。
なお、33はタブ28に挿着される雌ー雌中継端子である。また、ブスバー22には必要に応じて3個以上の連結片を設け、上記のように電線を圧接しない場合には該連結片を上記タブ28のようにコネクタ端子として共用することも可能である。
【0009】
上記構成において、連結片31,31′間を電線32で接続したブスバー22の等価回路は図3の如く示される。
ここで、ブスバー22の連結片31,31′間の電気抵抗をr1 とし、連結片31,31′に圧接接続された電線32の電気抵抗をr2 とする。ブスバー22の材質は黄銅であるから、その電気抵抗r1 は銅製の電線32の電気抵抗r2 より抵抗値が大きい。
従って、例えばr1 を0.2オーム,r2 を0.1オームとし、電線32の圧接接続前には6アンペアの電流が流れていたと仮定すると、そのときのr1 の両端における電圧降下は1.2ボルトである。
【0010】
しかし、本考案の如く、ブスバー22に電線32を圧接接続すると、r1 に流れる電流i1 は2アンペア、r2 を流れる電流i2 は4アンペアとなり、r1 両端における電圧降下は0.4ボルト(r2 両端における電圧降下も等しい)となる。即ち、前記ブスバー22に電線32を上記のように併用することで、ブスバー22における電圧降下が1.2ボルトから0.4ボルトへ改善される。このことは、電圧降下を一定におさえれば、ブスバー22の許容電流を増加させることが出来ることを意味する。
【0011】
図4は本考案の他の従来例を示す分解斜視図であり、ブスバーとその分岐タブとを別体として形成したものである。
即ち、ブスバー22の所望の箇所に間隔をおいて2個の係合孔34を形成し、該係合孔34にそれぞれタブ状接触子35の挿入係止片36を圧入固定する構造としたものである。
タブ状接触子35は、接触部35aの基端部35bから該接触部35aと反対側に挿入係止片36を形成すると共に、基端部35aの1側に先端に電線挟持溝38を有する連結片37を形成して成る。
【0012】
本実施例の場合にも、二つの連結片37,37間に所定の長さの電線32を圧接接続することにより、図3の場合と同様の等価回路が得られ、ブスバー22の許容電流値を大きくすることができる。これに加えて、タブ状接触子35をブスバー22とは別体で製作するので、該ブスバー22の取回しなど回路設計が容易となり、導電性金属板からの打抜き歩留りや配設密度を高めることができる。
なお、タブ状接触子35の接触部35aには、前記雌ー雌中継端子33を介してヒューズ等が接続される。
【0013】
【考案の効果】
本考案は上記したように、分岐タブを形成した複数のブスバーとこれらを支持する絶縁基板とからなるブスバー配線板において、所望のブスバーに適宜間隔をおいて少なくとも2個の連結片を突設し、該連結片に形成された電線挟持溝に電線を圧接接続して連結片相互間を電線で接続した構成を有するから、ブスバーに流れる電流は連結片相互間に接続された電線にも分岐して流れ、ブスバーの許容電流値が増大すると共に、この間の電圧降下も抑えられる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案によるブスバー配線板を備えた電気接続箱の分解斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は同じくブスバー要部の斜視図である。
【図3】同じくブスバーの等価回路図である。
【図4】本考案による他の実施例の分解斜視図である。
【図5】従来例の電気接続箱の分解斜視図である。
【図6】(A)及び(B)は同じく他のブスバーの要部斜視図である。
【符号の説明】
21 配線板
22 ブスバー
23 絶縁基板
28 タブ
30,38 電線挟持溝
31,31′,37 連結片
32 電線
35 タブ状接触子

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 分岐タブを形成した複数のブスバーとこれらを支持する絶縁基板とからなるブスバー配線板において、所望のブスバーに適宜間隔をおいて少なくとも2個の連結片を突設し、該連結片に形成された電線挟持溝に電線を圧接接続することにより連結片相互間を電線で接続したことを特徴とするブスバー配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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