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ブタのPRDCの治療
説明

ブタのPRDCの治療

本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)を動物(好ましくはブタ)で予防及び治療するために、ブタシルコウイルス2型(PCV2)抗原を含む免疫原性組成物を使用することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)
本出願は書類形式およびコンピュータ読み出し可能媒体で配列表を含み、その教示及び内容は参照により本明細書に含まれる。本配列表はWO06/072065に含まれるものと同一である。
(技術分野)
本発明は、ブタシルコウイルス2型(PCV2)抗原を含む免疫原性組成物を、動物、特にブタでブタ呼吸器病症候群(PRDC)を予防及び治療するために使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ブタシルコウイルス2型(PCV2)は、小さな(直径17−22nm)正二十面体のエンベロープをもたないDNAウイルスであり、一本鎖の環状ゲノムを含む。PCV2は、ブタシルコウイルス1型(PCV1)と約80%の配列同一性を共有する。しかしながら、PCV1(一般的に非病毒性である)とは対照的に、近年PCV2によるブタの感染は、ブタシルコウイルス症(PCVD)(ブタシルコウイルス関連疾患(PCVAD)としても知られている)と包括的に呼称される多数の症候群と密接に結びついている(Allan et al. 2006, IPVS Congress)。離乳後多器官系消耗症候群(PMWS)は、一般的にはPCVDの主要症状であると考えられている(Harding et al. 1997, Swine Health Prod, 5:201-203;Kennedy et al. 2000, J Comp Pathol, 122:9-24)。PMWSは5−18週齢のブタを冒す。PMWSは、臨床的にはるい痩、皮膚の蒼白、発育不全、呼吸窮迫、下痢、黄疸(icterus及びjaundice)を特徴とする。いくらかの罹患ブタでは全症状の合併が明白であるが、一方、他の罹患ブタはこれら症状の1つ又は2つを有するのみである(Muirhead, 2002, Vet Rec, 150:456)。剖検時には、顕微鏡的及び肉眼的病巣がまた多数の組織及び器官に出現し、類リンパ系器官が病巣の好発部位である(Allan and Ellis, 2000, J Vet Diagn Invest, 12:3-14)。PCV2核酸又は抗原の量と顕微鏡的類リンパ病巣の重篤度との間に強い相関性が観察された。PCV2感染ブタの死亡率は80%に達しうる。
PMWS以外のブタの疾患におけるPCV2の関与の程度はこれまでのところあまり理解されていない(Chae, Veterinary J. 2005, 169:326-336)。潜在的に関連するいくつかの症状が文献に報告されてあり、前記にはブタ呼吸器病症候群(PRDC)、ブタ皮膚症腎症症候群(PDNS)、繁殖障害、肉芽腫性腸炎及び潜在的先天性振せん(CT-AII)並びに周産期心筋炎が含まれる(Chae, Veterinary J. 2005, 169:326-336)。これらの中で、PRDCは、その広範囲に及ぶ高い蔓延性、高い罹患率(罹患農場で30−70%)及び死亡率(罹患農場で4−6%)のために、ヨーロッパでは最も高い経済的影響を有すると考えられる(Kim et al. Veterinary J 2003, 166:251-256)。
【0003】
PRDC罹患ブタの肺炎は、ウイルス性及び細菌性因子、例えばPRRSV、ブタインフルエンザウイルス(SIV)、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ(Mycoplasma hyopneumoniae)、アクチノバシルス・プリューロプニューモニアエ(Actinobacillus pleeuropneumoniae)及びパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)の組み合わせに起因する。その病因には多数の病原体が関与し、個々の農場により変動するが、PRRSV及びマイコプラズマ・ヒオプニューモニアエは、PRDCを示すPCV2陽性ブタから単離されるもっとも一般的な2つの病原体である(Kim et al. Veterinary J 2003, 166:251-256)。PCV2がPRDCの原因として、又はPRDCの臨床徴候の表出、重篤度若しくは長期化に何らかの役割を有するのか否かは未だ判明していない。
他のウイルス性病原体と比較して、PCV2は、PRDC罹患ブタの肺病巣で常に見出された。PCV2及びPRRSVの同時感染から生じる肺炎及びしばしば全身性疾患は、どちらかの因子だけによる感染に随伴するものよりも重篤であることを予想試験は報告している。したがって、PCV2と野外の呼吸器疾患症例で観察されている他の病原体との間には明白な相乗作用が存在すると考えることができる(Ellis et al. Veterinary Microbiol 2004, 98:159-163)。しかしながら、PCV2がPRDC罹患ブタに存在するとして、ブタのPRDCの臨床徴候に対して何らかの影響を有するのか否かは未だ不明である。肥育の終了時に100%までの血清陽性動物が存在するというPCV2の普遍性のために、PCV2はPRDCの症状発現に全く影響を持たないが、単に無関係の同時存在因子であるという可能性も同様に有りうる。
【0004】
PMWSはたいてい幼若動物(典型的には5から12週齢)を冒すが、一方、PRDCはもっぱら成育豚から肥育完了豚(典型的には約16から22週齢)で認められる。罹患率は30−70%の範囲で平均死亡率は4−6%である(Kim et al. Veterinary J 2003, 166:251-256)。PRDCの臨床徴候は、抗生物質療法に不応性である持続性の極めて重篤な咳及び呼吸困難、発育遅延、飼料効率低下、嗜眠、食欲不振、及び中期から後期肥育期における死亡率の顕著な増加である。
PRDCの顕微鏡病巣の特徴は、気管支周囲及び細気管支周囲線維症を有する気管支間質肺炎である。肺胞中隔はマクロファージの浸潤によって顕著に肥厚する(Chae, Veterinary J. 2005, 169:326-336)。
DNAワクチンによるPCV2感染の治療方法が米国特許6,703,023号に記載されている。WO03/049703ではPCV-1骨格の遺伝子が病原性PCV2株の免疫原性遺伝子によって置き換えられたPCV-1骨格を含む生キメラワクチンの製造が記載されている。WO99/18214では、いくつかのPCV2株及びPCV2死菌ワクチンの製造方法が提供されている。しかしながら有効性データは報告されていない。有効なORF-2を用いたワクチンがWO06/072065で報告されている。そのようなワクチンはいずれも、全般的なブタ(swine)又は3週齢を超える若いブタ(pig)のワクチン接種/治療に使用することが意図されている。これらのワクチンのいずれも、PRDC罹患ブタ、特にPCV2陽性ブタの予防又は治療については記載されていない。
さらにまた、PCV感染に対して防御免疫を付与するか、又は既に抗PCV2抗体を有する(好ましくは抗PC2移行抗体を有する)ブタでPCV2に随伴する臨床徴候の重篤度を緩和、軽減、又は治癒させる、そのようなワクチンは報告されていない。
【発明の概要】
【0005】
発明の開示
PRDCは多数の臨床徴候(抗生物質療法に不応性であって持続性の極めて重篤な咳及び呼吸困難、発育遅延、飼料効率の低下、嗜眠、及び中期から後期肥育期における死亡率の顕著な増加を含む)を特徴とする。これらの臨床徴候は、多くの多様な病原体に随伴する。PRDCにおけるPCV2の関与、及びPCV2が関与しているとしてその程度はこれまでのところ不明である。驚くべきことに、多様な病原体の中で、PCV2もまたPRDCの臨床徴候の表出、重篤度及び長期化に重要な役割を果たしていることが判明した。したがって、とりわけPCV2はブタのPRDCの原因因子の1つである。
一般的に、PRDCのような複合原因性疾患(=多因子性疾患)に対する1つの原因因子の影響は予想することができない。1つの原因因子は影響を持たないかもしれないが、またPRDCのような多因子性疾患の臨床徴候の表出、重篤度及び長期化に対し、他の因子の作用を代替し、抑制し、無効にし、重層し又は強化することができる。例えば、PRDCのような多因子性疾患のある原因因子の除去又は排除は当該疾患の症状に対して影響を示さないかもしれないが、少なくとも1つのまた別の原因因子が存在する場合、前記除去又は排除はまた、当該疾患の臨床徴候を、他のいずれかの原因因子が存在していたとしても顕著に緩和することができる。関与する原因因子の数が多ければ多いほど、ただ1つの原因因子の除去又は排除が当該疾患の表出、重篤度又は長期化に対しプラスの影響を与える公算は低い。驚くべきことに、PRDCの臨床徴候のブタでの表出、重篤度及び長期化は、罹患のおそれがあるか又は罹患した動物をPCV2抗原で予防又は処置することによって軽減又は緩和することができることが今や判明した。特に、PRDCの臨床徴候又は前記に随伴する臨床徴候の重篤度又は長期化は、ブタでPRDCを引き起こすか又はPRDCに随伴することが知られている病原体(例えばPRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、及び/又はパスツレラ・ムルトシダ)と一緒にPCV2に感染したブタで強力に軽減又は緩和されうる。換言すれば、PRDC罹患ブタのPCV2抗原による予防及び治療は、ブタの全体的健康、肥育中の体重増加、及びブタの肥育期中期から後期の死亡率に対してプラスの影響を与える(特に、これらの因子(全体的健康、体重増加、死亡率)は、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、及び/又はパスツレラ・ムルトシダによりマイナスの影響を受けることが知られている)。
【0006】
したがってある特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効な量のPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を、そのような処置を必要とする動物に投与する工程を含む。
PRDCに随伴する臨床徴候は、咳及び呼吸困難、発育遅延、飼料効率低下、嗜眠、食欲不振、及び/又は中期から後期肥育期における死亡率の顕著な増加から成る群から選択される。したがって他の特徴によれば、本発明は、動物のPRDCに随伴する咳及び呼吸困難、発育遅延、飼料効率低下、嗜眠、食欲不振、及び/又は顕著な死亡率の上昇を予防及び治療する方法に関し、前記方法は、治療的に有効な量のPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を、そのような処置を必要とする動物に投与する工程を含む。好ましくは、前記咳及び呼吸困難は抗生物質療法に不応性である。
本明細書で用いられる“抗原”という用語は、宿主で免疫応答を誘引するアミノ酸配列を指す。本明細書で用いられる抗原には、任意のPCV2タンパク質の完全長配列、そのアナローグ又はその免疫原性フラグメントが含まれる。“免疫原性フラグメント”という用語は、1つ以上のエピトープを含み、したがって宿主で免疫応答を誘引するタンパク質フラグメントを指す。そのようなフラグメントは、当分野で周知の多数のエピトープマッピング技術を用いて特定することができる(例えば以下を参照されたい:Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66 (Glenn E. Morris, Ed., 1996) Humana Press, Totowa, New Jersey)。例えば、直鎖状エピトープは、例えば固相上で多数のペプチドを同時に合成し(このペプチドはタンパク質分子の部分に対応する)、前記ペプチドを抗体と反応させることによって決定することができる(この間前記ペプチドはなお固相に結合させたままである)。そのような技術は当分野で公知であり、例えば以下に記載されている:米国特許4,708,871号;Geysen et al. (1984) Proc Natl Acad Sci USA 81:3998-4002;Geysen et al. (1986) Molec Immunol 23:709-715。同様に配座エピトープも、例えばx線結晶学及び二次元核磁気共鳴によってアミノ酸の空間配座を決定することにより容易に特定することができる。例えば上掲書(Epitope Mapping Protocols)を参照されたい。
【0007】
合成抗原、例えばポリエピトープ、フランキングエピトープ及び他の組換え体又は合成により誘導した抗原もまた本定義に含まれる(例えば以下を参照されたい:Bergmann et al. (1993) Eur J Immunol 23:2777-2781;Bergmann et al. (1996) J Immunol 157:3242-3249;A. Suhrbier, (1997) Immunol and Cell Biol 75:402-408;Gardner et al. (1998) 12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland, June 28-July 3)。
“免疫応答”は、対象の抗原、免疫原性組成物又はワクチンに対する細胞性及び/又は抗体媒介性免疫応答の宿主における発生を意味する(ただし前記に限定されない)。通常、“免疫応答”には1つ以上の以下の作用が含まれる(ただしこれらに限定されない):対象の組成物又はワクチンに含まれる1つの抗原又は複数の抗原に対して特異的に誘導される抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞及び/又は細胞傷害性T細胞の生成又は活性化。好ましくは、宿主は、新規な感染に対する抵抗性が強化されるように、及び/又は当該疾患の臨床的重篤度が軽減されるように、治療的又は防御的な免疫学的(メモリー)応答を示すであろう。そのような防御は、PCV2感染に随伴する1つ以上の症状の数の減少若しくは重篤度の緩和又は前記症状の排除、ウイルス血症開始の延期、ウイルス持続の低下、ウイルス総保持量の減少及び/又はウイルス排出の減少を示すであろう。
本明細書で用いられる“ワクチン”又は“免疫原性組成物”(両用語は同義語として用いられる)という用語は、PCV2抗原を含む任意の医薬組成物を指し、前記組成物を用いて、PCV2感染に随伴する疾患若しくは症状を対象動物で予防又は治療することができる。好ましい免疫原性組成物は、PCV2に対して免疫応答を誘発、刺激又は強化することができる。したがって、前記用語は、下記で述べるサブユニット免疫原性組成物とともに全殺滅又は弱毒及び/又は不活化PCV2を含む組成物の両方を包含する。
したがって、別の特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、そのような処置を必要とする当該動物に、有効量にPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を投与する工程を含み、この場合、前記免疫原性組成物は、サブユニット免疫原性組成物、全殺滅又は弱毒及び/又は不活化PCV2を含む組成物である。
【0008】
本明細書で用いられる“サブユニット免疫原性組成物”は、PCV2抗原から誘導されたか、又はPCV2抗原と相同な少なくとも1つの免疫原性ポリペプチド又は抗原(ただし全ての抗原ではない)を含む組成物を指す。そのような組成物は完全なPCV2を実質的に含まない。したがって、“サブユニット免疫原性組成物”は、少なくとも部分的に精製又は分画された(好ましくは実質的に精製された)、PCV2又はその組換えアナローグに由来する免疫原性ポリペプチドから製造される。サブユニット免疫原性組成物は、対象となる1つのサブユニット抗原又は複数のサブユニット抗原を含むことができ、PCV2に由来する他の抗原若しくはポリペプチドを実質的に含まないか、又はそれらから分画されてある。好ましい免疫原性サブユニット組成物は、下記で述べるPCV2 ORF-2タンパク質を含む。WO06/072065(前記文献は参照によりその全体が本明細書に含まれる)に提供されたPCV2抗原のいずれかを含む免疫原性サブユニット組成物がもっとも好ましい。
さらに別の特徴にしたがえば、本明細書で用いられる免疫原性組成物は、もっとも好ましくはPCV2のORF-2によって発現されるポリペプチド又はそのフラグメントを含む。本組成物の製造のために、及び本明細書で提供されるプロセスにおいて本明細書で用いられるPVC2 ORF-2DNA及びタンパク質はPCV単離体において高度に保存されてあり、したがって、いずれのPCV2 ORF-2も本明細書で用いられるPCV ORF-2DNA及び/又はポリペプチドの供給源として有効であろう。好ましいPCV2 ORF-2タンパク質はWO06/072065号の配列番号:11のタンパク質である。さらに好ましいPCV ORF-2ポリペプチドは、WO06/072065号で配列番号:5として提供されている。しかしながら、この配列は、配列相同性が6−10%の範囲で変動し、それでもなお免疫原性組成物として前記を有用あらしめる抗原的特徴を保持しうることは当業者には理解されるところである。免疫原性組成物のこの抗原的特徴は、例えばWO06/072065の実施例4により供給されるチャレンジ試験によって判断することができる。さらにまた、改変抗原が、WO06/072065で提供される配列番号:3又は配列番号:4のポリヌクレオチド配列によってコードされるPCV2 ORF-2タンパク質と比較して少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の防御免疫を付与するとき、前記改変抗原の抗原的特徴はなお保持されてある。
【0009】
したがってさらに別の特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする当該動物に投与する工程を含み、ここで、前記PCV2抗原は、WO06/072065で提供される配列番号:3又は配列番号:4のポリヌクレオチド配列によってコードされるPCV2 ORF-2と比較したとき、防御免疫の少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%を有するPCV2 ORF-2タンパク質抗原である。好ましくは、前記PCV2 ORF-2は、WO06/072065の配列番号:11又は配列番号:5の配列を有する。
いくつかの形態では、PCV2 ORF-2タンパク質の免疫原性部分は、PCV2抗原を含む免疫原性組成物の抗原性成分として用いられる。本明細書で用いられる“免疫原性部分”という用語は、PCV ORF2タンパク質及び/又はポリヌクレオチドのそれぞれ切端及び/又は置換形、又はフラグメントを指す。好ましくは、そのような切端及び/又は置換形又はフラグメントは、完全長ORF-2ポリペプチドに由来する連続する少なくとも6つのアミノ酸を含むであろう。より好ましくは、前記切端及び/又は置換形又はフラグメントは、完全長PCV ORF-2ポリペプチドに由来する少なくとも10、より好ましくは少なくとも15、さらに好ましくは少なくとも19の連続するアミノ酸を有するであろう。これに関して2つの好ましい配列が、WO06/072065の配列番号:9及び配列番号:10として提供される。そのような配列はより大きなフラグメント又は切端形の部分であってもよいことはまた理解されよう。
上記で述べたように、さらに好ましいPCV2 ORF-2ポリペプチドは、配列番号:3又は配列番号:4のヌクレオチド配列によってコードされる任意のポリペプチドである。しかしながら、この配列は、配列相同性が6−20%の範囲で変動するが、免疫原性組成物として前記を有用ならしめる抗原的特徴をなお維持しうることは当業者には理解されよう。いくつかの形態では、このPCV2 ORF-2ポリペプチドの切端若しくは置換形又はフラグメントは、前記組成物の抗原性成分として用いられる。好ましくは、そのような切端若しくは置換形又はフラグメントは、完全長PCV2 ORF-2ヌクレオチド配列、例えば配列番号:3又は配列番号:4の連続する少なくとも18のヌクレオチドを含むであろう。より好ましくは、前記切端若しくは置換形又はフラグメントは、完全長PCV2 ORF-2ヌクレオチド配列、例えば配列番号:3又は配列番号:4の少なくとも30、より好ましくは少なくとも45、さらに好ましくは少なくとも57の連続するヌクレオチドを有するであろう。
【0010】
当分野で公知の“配列同一性”は、2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列(すなわち参照配列及び参照配列と比較されるべきある配列)間の関係を指す。配列同一性は、そのような配列の一連続部分間の一致によって決定したとき最高度の配列類似性を生じるように配列を最適にアラインメントした後で、ある配列を参照配列と比較することによって決定される。そのようなアラインメントに際して、配列同一性は1つの位置毎に確認される。例えば、個々の位置でヌクレオチド又はアミノ酸残基が同一であれば、当該位置でそれら配列は“同一”である。続いてそのような各位置同一性を有する総数を参照配列中のヌクレオチド又は残基の総数で割って%配列同一性が提供される。配列同一性は、公知の方法(以下に記載された方法を含むが、ただしこれらに限定されない:Computational Molecular Biology, A.N. Lesk ed., Oxford University Press, New York (1988);Biocomputing: Informaics and Genomu Projects, D.W. Smith ed., Academic Press, New York (1993); Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, A.M. Griffin, and H.G. Griffin eds., Humana Press, New Jersey (1994);Sequence Analysis in Molecular Biology, G. von Heinge, Academic Press (1987);Sequence Analysis Primer, M. Gribskov and J. Devereux eds., M. Stockton Press New York (1991);及びH. Carillo and D. Lipman, SIAM J Applied Math., 1988, 48:1073(前記文献の教示は参照により本明細書に含まれる))によって容易に計算することができる。配列同一性を決定する好ましい方法は、検査される配列間で最大の一致を提供するように考案される。配列同一性を決定する方法は、公開されたコンピュータプログラム(与えられた配列間の配列同一性を決定する)で集大成されている。そのようなプログラムの例には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):GCGプログラムパッケージ(J. Devereux et al. Nucleic Acids Research, 1984, 12(1):387)、BLASTP、BLASTN及びFASTA(S.F. Altschul et al. J Molec Biol 1990, 215:403-410)。BLASTXプログラムはNCBI及び他の供給源から公開されている(BLAST Manual, S. Altshul et al. NCVI NLM NIH Bethesda, MD 20894;S.F. Altschul et al. J Molec Biol 1990, 215:403-410(前記文献の教示は参照により本明細書に含まれる))。これらのプログラムは、ある配列と参照配列との間で最高レベルの配列同一性を生じるためにデフォルトギャップ重を用いて配列を最適にアラインメントする。例示として、参照ヌクレオチド配列に対して、例えば少なくとも85%、好ましくは90%、さらに好ましくは95%の“配列同一性”を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドによって、前記与えられたポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチド毎に15までの点変異、好ましくは10までの点変異、より好ましくは5までの点変異を含みうることを除いて参照配列と同一であるということが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、さらに好ましくは95%同一性を有するポリヌクレオチドでは、参照配列の15%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%までのヌクレオチドが欠失しているか又は別のヌクレオチドで置換されるか、又は参照配列中の全配列の15%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%までの数のヌクレオチドが、前記参照配列に挿入されうる。参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5'若しくは3'末端の位置又はこれら末端の位置の間の任意の位置に生じるか、参照配列内のヌクレオチド間に個々に若しくは参照配列内で1つ以上の連続する群として点在することができる。同様に、参照アミノ酸配列に対して、例えば少なくとも85%、好ましくは90%、さらに好ましくは95%の配列同一性を有するあるアミノ酸配列を有するポリペプチドによって、前記与えられたポリペプチドのアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列の100アミノ酸毎に15まで、好ましくは10まで、より好ましくは5までのアミノ酸変異を含みうることを除いて参照配列と同一であるということが意図される。換言すれば、参照アミノ酸配列と少なくとも85%、好ましくは90%、さらに好ましくは95%の同一性を有するあるポリペプチドを得るために、参照配列のアミノ酸残基の15%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%までを欠失させるか又は別のアミノ酸で置換するか、又は参照配列のアミノ酸残基の総数の15%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%までの数のアミノ酸を前記参照配列に挿入することができる。参照配列のこれらの変異は、参照アミノ酸配列のアミノ若しくはカルボキシ末端の位置又はこれら末端の位置の間の任意の位置に生じるか、参照配列内の残基間に個々に若しくは参照配列内の1つ以上の連続する群として点在することができる。好ましくは同一ではない残基の位置は、保存的アミノ酸置換により相違する。しかしながら、保存的置換は配列同一性を決定するときは一致に算入されない。
【0011】
本明細書で用いられる“配列相同性”は、2つの配列の関連を決定する方法を指す。配列相同性を決定するために、2つ以上の配列が最適にアラインメントされ、必要な場合にはギャップが導入される。しかしながら“配列同一性”とは対照的に、保存的アミノ酸置換は配列相同性を決定するとき一致として数えられる。換言すれば、参照配列と95%の配列相同性を有するポリペプチド又はポリヌクレオチドを得るために、参照配列内のアミノ酸残基又はヌクレオチドの85%、好ましくは90%、より好ましくは95%が一致するか又は別のアミノ酸若しくはヌクレオチドとの保存的置換を含む必要があるか、又は参照配列内の全アミノ酸残基若しくはヌクレオチドの15%まで、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%までの数のアミノ酸残基若しくはヌクレオチド(保存的置換は含まない)を参照配列に挿入することができる。好ましくは、相同配列は少なくとも50、より好ましくは少なくとも100、さらに好ましくは少なくとも250、なお好ましくは少なくとも500の一続きのヌクレオチドを含む。
“保存的置換”は、類似の特徴又は特性(サイズ、疎水性などを含む)を有する別のアミノ酸残基又はヌクレオチドとアミノ酸残基又はヌクレオチドとの、全体的機能性を顕著には変化させないような置換を指す。
“単離” されるとは、“人間の手によって”その天然の状態から変化させることを意味する。すなわち、前記が天然に存在する場合は、それは変化させられてあるか、又はその本来の環境から取り出されてあるか、又はその両方である。例えば、生きている生物に天然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは“単離”されていないが、その天然の状態で一緒に存在する物質から分離された前記ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、本用語が本明細書で用いられるように“単離”されてある。
【0012】
したがって、さらに別の特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする当該動物に投与する工程を含み、ここで、前記PCV2 ORF-2タンパク質は上記に記載したもののうち任意のタンパク質である。好ましくは前記PCV2 ORF-2タンパク質は以下である:
i)WO06/072065の配列番号:5、配列番号:6、配列番号:9、配列番号:10又は配列番号:11の配列を含むポリペプチド;
ii)i)のポリペプチドと少なくとも80%相同である任意のポリペプチド;
iii)i)及び/又はii)のポリペプチドの任意の免疫原性部分;
iv)iii)の免疫原性部分であって、WO06/072065の配列番号:5、配列番号:6、配列番号:9、配列番号:10又は配列番号:11の配列に含まれる少なくとも10の連続するアミノ酸を含む、前記免疫原性部分;
v)WO06/072065の配列番号:3又は配列番号:4の配列を含むDNAによってコードされるポリペプチド;
vi)v)のポリヌクレオチドと少なくとも80%相同であるポリヌクレオチドによってコードされる任意のポリペプチド;
vii)v)及び/又はvi)のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの任意の免疫原性部分;
viii)vii)の免疫原性部分であって、前記免疫原性部分をコードするポリヌクレオチドが、WO06/072065の配列番号:3又は配列番号:4の配列に含まれる少なくとも30の連続するヌクレオチドを含む、前記免疫原性部分。
好ましくはこれら免疫原性部分のいずれも、WO06/072065の配列番号:3又は配列番号:4の配列によってコードされるPCV2 ORF-2タンパク質の免疫原性の特徴を有する。
【0013】
さらに別の特徴にしたがえば、PCV2 ORF-2タンパク質は、所望の免疫応答(すなわちPRDC及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候の発生の減少、重篤度の軽減又は予防若しくは緩和)を誘発するために有効な抗原含有レベルで免疫原性組成物中に提供される。好ましくは、PCV2 ORF-2タンパク質含有レベルは、最終免疫原性組成物1mL当たり少なくとも0.2μg抗原(μg/mL)、より好ましくは0.2から約400μg/mL、さらに好ましくは約0.3から約200μg/mL、さらに好ましくは約0.35から約100μg/mL、さらに好ましくは約0.4から約50μg/mL、さらに好ましくは約0.45から約30μg/mL、さらに好ましくは約0.6から約15μg/mL、さらに好ましくは約0.75から約8μg/mL、さらに好ましくは約1.0から約6μg/mL、さらに好ましくは約1.3から約3.0μg/mL、さらに好ましくは約1.4から約2.5μg/mL、さらに好ましくは約1.5から約2.0μg/mL、もっとも好ましくは約1.6μg/mLである。
さらに別の特徴にしたがえば、PCV ORF-2抗原含有レベルは、最終抗原性組成物の1用量当たり上記に記載のPCV ORF-2タンパク質の少なくとも0.2μg(μg/用量)、より好ましくは約0.2から約400μg/用量、さらに好ましくは約0.3から約200μg/用量、さらに好ましくは約0.35から約100μg/用量、さらに好ましくは約0.4から約50μg/用量、さらに好ましくは約0.45から約30μg/用量、さらに好ましくは約0.6から約15μg/用量、さらに好ましくは約0.75から約8μg/用量、さらに好ましくは約1.0から約6μg/用量、さらに好ましくは約1.3から約3.0μg/用量、さらに好ましくは約1.4から約2.5μg/用量、さらに好ましくは約1.5から約2.0μg/用量、もっとも好ましくは約1.6μg/用量である。
【0014】
本発明にしたがって免疫原性組成物で用いられるPCV2 ORF-2ポリペプチドは、PCV2 ORF-2の単離及び精製、標準的なタンパク質合成、並びに組換え方法論を含む任意の態様で誘導することができる。PCV2 ORF-2ポリペプチドを入手するための好ましい方法はWO06/072065で提供される(前記文献の教示および内容はその全体が参照により本明細書に含まれる)。略記すれば、PCV2 ORF-2 DNAコード配列を含む組換えウイルスベクターを感受性細胞に感染させ、PCV2 ORF-2ポリペプチドを組換えウイルスによって発現させ、発現されたPCV2 ORF-2ポリペプチドをろ過によって上清から回収し、さらに任意の通常的方法(好ましくは二元エチレンイミンを用い、続いて不活化プロセスを停止させるために前記を中和する)によって不活化する。
本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた、i)上記に記載のPCV2 ORF-2タンパク質のいずれか(好ましくは上記に記載の濃度で)、及びii)前記PCV2 ORF-2タンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組換えバキュロウイルスの少なくとも一部分を含む組成物を指す。さらにまた、免疫原性組成物は、i)上記に記載のPCV2 ORF-2タンパク質のいずれか(好ましくは上記に記載の濃度で)、ii)前記PCV2 ORF-2タンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組換えバキュロウイルスの少なくとも一部分、及びiii)細胞培養上清の一部分を含むことができる。
したがって、さらに別の特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする当該動物に投与する工程を含み、ここで、前記PCV2抗原は、組換えPCV2 ORF-2、好ましくはバキュロウイルス発現PCV2 ORF-2である。好ましくは、それら組換え体またはバキュロウイルス発現PCV2 ORF-2は上記に記載の配列を有する。
【0015】
本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた、i)上記に記載のPCV2 ORF-2タンパク質のいずれか(好ましくは上記に記載の濃度で)、ii)前記PCV2 ORF-2タンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組換えバキュロウイルスの少なくとも一部分、及びiii)細胞培養の一部分を含む組成物を指し、ここで前記成分の約90%は1μmよりも小さいサイズを有する。
本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた、i)上記に記載のPCV2 ORF-2タンパク質のいずれか(好ましくは上記に記載の濃度で)、ii)前記PCV2 ORF-2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部分、iii)細胞培養の一部分、及びiv)組換えウイルスベクターを不活化するための不活化剤、好ましくはBEIを含む組成物を指し、ここで前記成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さいサイズを有する。好ましくは、BEIは、バキュロウイルスを不活化するために有効な濃度で存在し、好ましくは2から約8mMのBEI、好ましくは約5mMのBEIの量で存在する。
本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた、i)上記に記載のPCV2 ORF-2タンパク質のいずれか(好ましくは上記に記載の濃度で)、ii)前記PCV2 ORF-2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部分、iii)細胞培養の一部分、iv)組換えウイルスベクターを不活化するための不活化剤、好ましくはBEI、及びv)不活化剤によって仲介される不活化を停止させるための中和剤を含む組成物を指し、ここで前記成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さいサイズを有する。好ましくは、不活化剤がBEIの場合、前記組成物は、BEIに対して等価量のチオ硫酸ナトリウムを含む。
【0016】
本ポリペプチドは、PCV2感染に感受性を有する動物に投与することができる組成物に取り入れられる。好ましい形態では、前記組成物はまた当業者に公知の追加の成分を含むことができる(以下もまた参照されたい:Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) 18th ed. Mack Publ., Easton)。さらにまた、前記組成物は、1つ以上の獣医が許容できる担体を含むことができる。本明細書で用いられる、“獣医が許容できる担体”には、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、アジュバント、安定化剤、希釈剤、保存料、抗菌及び抗カビ剤、等張剤、吸着遅延剤などが含まれる。好ましい実施態様では、免疫原性組成物は、本明細書で提供されるPCV2 ORF-2タンパク質を含み(好ましくは上記に記載の濃度で)、前記は、アジュバント(好ましくはカルボポール)及び生理学的食塩水と混合される。
本明細書で用いられる組成物は、公知の注射可能な生理学的に許容される無菌的溶液を含むことができることは当業者には理解されるであろう。非経口注射又は輸液用即席溶液を調製するために、等張水溶液、例えば食塩水又は対応する血漿タンパク質溶液を容易に利用することができる。さらにまた、本発明の免疫原性及びワクチン組成物は、希釈剤、等張剤、安定化剤又はアジュバントを含むことができる。希釈剤は、水、食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどを含むことができる。等張剤は、とりわけ塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを含むことができる。安定化剤には、とりわけアルブミン及びエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が含まれる。
【0017】
本明細書で用いられる“アジュバント”には、水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウム、サポニン、例えばQuil A、QS-21(Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GP1-0100(Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、水中油中水エマルジョンが含まれえる。エマルジョンは特に以下を基剤にすることができる:液状軽パラフィン油(European Pharmacopea type);イソプレノイド油、例えばアルケン(特にイソブテン又はデセン)のオリゴマー化から生じるスクァラン又はスクァレン油;直鎖状アルキル基を含む酸又はアルコールのエステル、より具体的には植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ-(カプリレート/カプレート)、グリセリルトリ-(カプリレート/カプレート)、又はプロピレングリコールジオレエート;分枝脂肪酸又はアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステル。油は、エマルジョンを形成させるために乳化剤と一緒に用いられる。乳化剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤、特にソルビタンのエステル、マンニドのエステル(例えばアンヒドロマンニトールオレエート)、グリコールのエステル、ポリグリセロールのエステル、プロピレングリコールのエステル、及びオレイン酸、イソステアリン酸又はヒドロキシステアリン酸のエステル(前記は場合によってエトキシル化される)、並びにポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニックの製品、特にL121である(以下を参照されたい:Hunter et al. The Theory and Practical Application of Adjuvants (Ed. D.E.S.Stewart-Tull). John Wiley and Sons. NY, pp51-94 (1995);Todd et al., Vaccine 1997, 15:564-570)。
例えば以下の文献(”Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach” M. Powell and M. Newman eds, Plenum Press, 1995)の147ページに記載されているSPTエマルジョン、及び同書の183ページに記載されているエマルジョンMF59を使用することができる。
【0018】
アジュバントのさらに別の例は、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー並びに無水マレイン酸及びアルケニル誘導体のコポリマーから選択される化合物である。有利なアジュバント化合物は、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマーであり、前記は特に糖又はポリアルコールのポリアルケニルエーテルで架橋される。これらの化合物はカルボマーという用語により知られている(Phameuropa Vol.8, No.2, June 1996)。当業者はまた米国特許2,909,462号を参照することができる(前記は、少なくとも3つのヒドロキシル基(好ましくは8個を超えない)を有し、少なくとも3つのヒドロキシルの水素原子が少なくとも2つの炭素原子を有する不飽和脂肪族ラジカルによって置き換えられている、ポリヒドロキシル化化合物で架橋されたアクリル酸ポリマーを開示する)。好ましいラジカルは、2から4つの炭素原子を含むもので、例えばビニル、アリル及び他のエチレン系不飽和基である。不飽和ラジカルはそれ自体他の置換基、例えばメチルを含むことができる。カルボポール(BF Goodrich, Ohio, USA)の名称で販売されている製品が特に適切である。それらは、アリルシュクロース又はアリルペンタエリトリトールで架橋される。それらの中ではカルボポール974P、934P及び971Pを挙げることができる。もっとも好ましいものはカルボポールの使用、特にカルボポール971Pの使用であり、好ましくは約500μgから約5mg/用量の量、より好ましくは約750μgから約2.5mg/用量の量、もっとも好ましくは約1mg/用量の量での使用である。
さらに適切なアジュバントには多くのものの中でとりわけ以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):RIBIアジュバント系(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(Cytrx, Atlanta GA)、SAF-M(Chiron, Emeryville CA)、モノホスホリル脂質A、アブリジン脂質-アミンアジュバント、大腸菌由来易熱性エンテロトキシン(組換え体または他の形態)、コレラトキシン、IMS1314、又はムラミルジペプチド。
好ましくは、アジュバントは約100μgから約10mg/用量の量で添加される。より好ましくは、アジュバントは約100μgから約10mg/用量の量で添加される。より好ましくは、アジュバントは約500μgから約5mg/用量の量で添加される。より好ましくは、アジュバントは約750μgから約2.5mg/用量の量で添加される。もっとも好ましくは、アジュバントは約1mg/用量の量で添加される。
【0019】
さらにまた、組成物は、1つ以上の医薬的に許容できる担体を含むことができる。本明細書で用いられる、“医薬的に許容できる担体”には任意の全ての溶媒、分散媒体、コーティング、安定化剤、希釈剤、保存料、抗菌及び抗カビ剤、等張剤、吸着遅延剤などが含まれる。もっとも好ましくは、本明細書で提供される組成物は、in vitro培養細胞の上清から回収されるPCV2 ORF-2タンパク質を含む。この場合、前記細胞には、PCV2 ORF-2 DNAを含み、PCV2 ORF-2タンパク質を発現する組換えウイルスベクターを感染させ、さらに、前記細胞培養を、約2から8mMのBEI、好ましくは約5mMのBEIで処理してウイルスベクターを不活化し、さらに等価濃度の中和剤、好ましくはチオ硫酸ナトリウム溶液により、最終濃度約2から約8mM、好ましくは約5mMの最終濃度で処理した。
本発明はまた、PRDCの予防又は治療のため、又はPRDCに随伴する臨床徴候の緩和のための免疫原性組成物の使用に関し、前記組成物は以下を含む:i)上記に記載のPCV2 ORF-2タンパク質のいずれか(好ましくは上記に記載の濃度で)、ii)前記PCV2 ORF-2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部分、iii)細胞培養の一部分、iv)組換えウイルスベクターを不活化するための不活化剤(好ましくはBEI)、v)不活化剤によって仲介される不活化を停止させるための中和剤、好ましくはBEIに対して等価の量のチオ硫酸ナトリウム、及びvi)適切なアジュバント、好ましくは上記記載の量のカルボポール971、ここで前記成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さいサイズを有する。さらに別の特徴にしたがえば、この免疫原性組成物はさらに、医薬的に許容できる塩、好ましくはリン酸塩を生理学的に許容できる濃度で含む。好ましくは、前記免疫原性組成物のpHは生理学的pH(約6.5から7.5の間を意味する)に調節される。
【0020】
本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた1mL当たり以下のi)−vii)を含む組成物を指す:i)上記記載のPCV2 ORF-2タンパク質の少なくとも1.6μg、ii)前記PCV2 ORF-2タンパク質を発現するバキュロウイルスの少なくとも一部分、iii)細胞培養の一部分、iv)約2から8mMのBEI、v)BEIに対して等価の量のチオ硫酸ナトリウム、vi)約1mgのカルボポール971、及びvii)生理学的に許容される濃度のリン酸塩、ここで前記成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さいサイズを有し、さらに前記免疫原性組成物のpHは約6.5から7.5に調節される。
免疫原性組成物はさらに、1つ以上の免疫調節剤(例えばインターロイキン、インターフェロン又は他のサイトカイン)を含むことができる。免疫原性組成物はまたゲンタマイシン及びマーチオレートを含むことができる。本発明の状況で有用なアジュバント並びに添加物の量及び濃度は当業者には容易に決定できるが、本発明は、ワクチン組成物の1mL用量当たり約50μgから約2000μgのアジュバント、好ましくは約250μgを含む組成物を意図している。したがって、本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた、約1μg/mLから約60μg/mLの抗生物質、より好ましくは約30μg/mL未満の抗生物質を含む組成物を指す。
【0021】
本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた、i)上記に記載のPCV2 ORF-2タンパク質のいずれか(好ましくは上記に記載の濃度で)、ii)前記PCV2 ORF-2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部分、iii)細胞培養の一部分、iv)組換えウイルスベクターを不活化するための不活化剤(好ましくはBEI)、v)不活化剤によって仲介される不活化を停止させるための中和剤、好ましくはBEIに対して等価の量のチオ硫酸ナトリウム、vi)適切なアジュバント、好ましくは上記記載の量のカルボポール971、vii)医薬的に許容できる濃度の塩性緩衝剤、好ましくはリン酸塩、及びviii)抗微生物活性薬剤を含む組成物を指し、ここで前記成分i)からiii)の約90%は1μmよりも小さいサイズを有する。
本明細書で用いられる免疫原性組成物はまた、Ingelvac(商標)CircoFLEXTM(Boehringer Ingelheim Vetmedica Inc. St Joseph, MO, USA)、CircoVac(商標)(Merial SAS, Lyon, France)、CircoVent(Intervet Inc., Millsboro, DE, USA)、又はSuvaxyn PCV-2 One Dose(商標)(Fort Dodge Animal Health, Kansas City, KA, USA)を指す。したがって、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、そのような処置を必要とする動物に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を投与する工程を含み、ここで、PCV2抗原を含む前記免疫原性組成物は、Ingelvac(商標)CircoFLEXTM、CircoVac(商標)、Porcilis PCV及び/又はSuvaxyn PCV-2 One Dose(商標)であり、好ましくは、前記はIngelvac(商標)CircoFLEXTMである。
【0022】
上記に記載したように、PCV2はPRDCの1つの原因因子であることが確認された。PRDC罹患ブタの大半はPCV2陽性である(例えば、Kim et al. Veterinary J. 2003, 166:251-256)。PCV2抗原によるブタの処置はPRDCの呼吸器症状の緩和をもたらす。(実施例3参照)。したがって、さらに別の特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする動物に投与する工程を含み、ここで、PRDC又はPRDCに随伴する臨床徴候は、PCV2に随伴するか又はPCV2によって引き起こされる。さらに、本発明はまた、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする動物に投与する工程を含み、ここで、PRDC又はPRDCに随伴する臨床徴候は、PCV2及びPRRSV、アクチノバシルス・プリューロプニューモニアエ、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダに随伴するか又は前記によって引き起こされる。
PCV2はPRDCの原因因子の1つであるので、PCV2陽性の群れは、PCV2陰性の群れよりも、PRDC発症のリスクが高いか、又は重篤な臨床徴候を有するより重篤なPRDCの持続を生じるリスクが高い。本明細書で用いられる“PCV2陽性の群れ”という用語は、群れの動物の少なくとも1%、好ましくは10%、より好ましくは30%、さらに好ましくは50%、もっとも好ましくは70%がPCV2に感染しているか又はいつでも感染しうることを意味する。これは必ずしも、群れの一切の動物がPCV2によって引き起こされることが判明している臨床徴候、例えばPMWS又はPRDCを生じることを意味しない。したがって、さらに別の特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする動物に投与する工程を含み、ここで、前記動物はPCV2陽性の群れに属する。好ましくは、PRDC及び/又はPRDCに随伴するいずれの臨床徴候もPCV2によって引き起こされる。
【0023】
PRDC及びPRDCの臨床徴候はまた、PRDCの他の原因病原体に同時感染した動物で軽減又は緩和されるので、本発明はまた、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする動物に投与する工程を含み、ここで、前記動物は、PCV2及び、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、アクチノバシルス・プリューロプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体に対して陽性である群れに属する。好ましくは、PRDC及び/又はPRDCに随伴するいずれの臨床徴候もPCV2及び少なくとも1つの他のPRDC原因病原体によって引き起こされる。本明細書で用いられる、“PCV2及び、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、アクチノバシルス・プリューロプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体に対して陽性である群れ”という用語は、群れの動物の少なくとも10%、好ましくは30%、より好ましくは50%、さらに好ましくは70%がPCV2及び下記に列挙するさらに別の病原体の少なくとも1つに感染しているか又はいつでも感染しうることを意味する。これは必ずしも、群れの一切の動物が、PCV2及び上記に記載の病原体の少なくとも1つによって引き起こされることが判明している臨床徴候、例えばPRDCを生じることを意味しない。好ましくは、PRDC及び/又はPRDCに随伴するいずれの臨床徴候も少なくともPCV2によって引き起こされる。
【0024】
PRDCは一定数の動物を冒すだけでなく、通常は群れの全動物(群れ全体)を冒す。換言すれば、農場の少なくとも1頭の動物がPRDCを発症したら、PRDCの原因因子は当該農場の家畜に永続的に存在する。したがって、さらに別の特徴によれば、本発明はまた、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする動物に投与する工程を含み、ここで、前記動物はPCV2陽性の群れに属する。好ましくは、PRDC及び/又はPRDCに随伴するいずれの臨床徴候もPCV2によって引き起こされる。本明細書で用いられる“PCV2に陽性の群れ”という用語は、群れの動物の少なくとも1%、好ましくは10%、より好ましくは30%、さらに好ましくは50%、もっとも好ましくは70%がPCV2に感染しているか又はいつでも感染しうることを意味する。これは必ずしも、農場の一切の動物がPCV2によって引き起こされることが判明している臨床徴候、例えばPMWS又はPRDCを生じることを意味しない。好ましくは、PRDC及び/又はPRDCに随伴するいずれの臨床徴候もPCV2によって引き起こされる。
PRDC及びPRDCの臨床徴候はまた、PRDCの他の原因病原体に同時感染した動物で軽減又は緩和されるので、本発明はまた、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする動物に投与する工程を含み、ここで、前記動物は、PCV2及び、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、アクチノバシルス・プリューロプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、サルインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体に対して陽性である農場に属する。好ましくは、PRDC及び/又はPRDCに随伴するいずれの臨床徴候もPCV2及び少なくとも1つの他のPRDC原因病原体によって引き起こされる。本明細書で用いられる、“PCV2及び、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、アクチノバシルス・プリューロプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体に対して陽性である群れ”という用語は、群れの動物の少なくとも10%、好ましくは30%、より好ましくは50%、さらに好ましくは70%がPCV2及び下記に列挙するさらに別の病原体の少なくとも1つに感染しているか又はいつでも感染しうることを意味する。これは必ずしも、群れの一切の動物が、PCV2及び上記に記載の病原体の少なくとも1つによって引き起こされることが判明している臨床徴候、例えばPRDCを生じることを意味しない。
【0025】
母親由来の免疫は、PCV2感染及びPCV2感染に随伴する症状に対してある程度の防御を付与することが示された。この防御は力価依存であることが示された。すなわち、高力価は一般的に防御性であるが、低力価はそうではない(McKeown et al. 2005, Clin Diagn Lab Immunol, 12:1347-1351)。離乳動物の平均抗体半減期は19.0日と概算されており、集団内のPCV2-受動抗体消滅の幅は比較的広い(Opriessnig et al. 2004, J Swine Health Prod, 12:186-191)。母親由来抗体の存在は、ウイルス感染に対抗するある程度の防御を与えることができるだけでなく(前記はしかしながら予測することができない)、免疫の有効性を損なうこともまた知られている。驚くべきことに、抗PCV2抗体、特に1:20480までの力価の抗PCV2抗体の存在はPCV2処置の有効性に影響を与えないことが判明した。したがって、さらに別の特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする動物に投与する工程を含み、好ましくはここで、前記動物は、1:100まで、好ましくは1:100を超える、より好ましくは1:250を超える、さらに好ましくは1:500を超える、さらに好ましくは1:640を超える、さらに好ましくは1:750を超える、もっとも好ましくは1:1000を超える検出可能な抗PCV2抗体力価を有する。好ましくは、これらの抗PCV2抗体力価は、特異的な抗PCV2免疫アッセイで、好ましくは実施例2に記載のアッセイで検出又は定量することができる。
抗PCV2抗体の検出及び定量の方法は当分野で周知である。例えばPCV2抗体の検出及び定量は、以下に記載の間接免疫蛍光によって実施することができる(Magar et al. 2000, Can J Vet Res, 64:184-186又はMagar et al. 2000, J Comp Pathol 123:258-269)。抗PCV2抗体の定量のためのさらに別のアッセイは以下に記載されている:Opriessing et al. 2006, 37th Annual Meeting of the American Association of Swine Veterinarians。さらに、実施例2にもまた、当業者が用いることができる間接免疫蛍光アッセイが記載されている。結果が矛盾する事例、及び疑義のあるいずれの論争においても、本明細書に記載の抗PCV2力価は、実施例2に記載のアッセイによって概算されるか又は概算することができる力価を指す。
【0026】
さらに別のより一般的な特徴にしたがえば、本発明は、幼若動物でPRDC(好ましくはPCV2に随伴するか又はPCV2によって引き起こされる)を予防するか、又はPRDCによって引き起こされるか若しくはPRDCに随伴する臨床徴候を緩和する方法を提供し、前記方法は、有効量のPCV2抗原をそのような処置を必要とする当該幼弱動物に投与する工程を含む。
本明細書で用いられる“幼若動物”という用語は1から22日齢の動物を指す。好ましくは、幼若動物という用語は1から20日齢の動物を意味する。より好ましくは、幼若動物という用語は、1から15日齢、さらに好ましくは1日齢から14日齢、さらに好ましくは1から12日齢、さらに好ましくは1から10日齢、さらに好ましくは1から8日齢、さらに好ましくは1から7日齢、さらに好ましくは1から6日齢、さらに好ましくは1から5日齢、さらに好ましくは1から4日齢、さらに好ましくは1から3日齢、さらに好ましくは1又は2日齢の動物、もっとも好ましくは1日齢の動物を指す。したがってさらに別の特徴によれば、本発明は、幼若動物でPRDC(好ましくはPCV2に随伴するか又はPCV2によって引き起こされる)を予防するか、又はPRDCによって引き起こされるか若しくはPRDCに随伴する臨床徴候を緩和する方法を提供し、前記方法は、有効量のPCV2抗原を、そのような処置を必要とする、1から20日齢、より好ましくは1から15日齢、さらに好ましくは1から14日齢、さらに好ましくは1から12日齢、さらに好ましくは1から10日齢、さらに好ましくは1から8日齢、さらに好ましくは1から7日齢、さらに好ましくは1から6日齢、さらに好ましくは1から5日齢、さらに好ましくは1から4日齢、さらに好ましくは1から3日齢、さらに好ましくは1又は2日齢、もっとも好ましくは1日齢の動物に投与する工程を含む。例えば19から22日齢でのワクチン接種/治療が、高いワクチン接種の有効性を示すことの証拠が提供される。さらにまた、12から18日齢でのワクチン接種/治療もまた、PRDCに随伴するか、又はPRDCによって引き起こされる臨床徴候の緩和、総ウイルス保持量の減少、ウイルス血症期間の短縮、ウイルス血症開始の延期、体重増加に非常に有効であることが示された。
【0027】
野外におけるPCV2の遍在性ゆえに、幼若豚の大半がPCV2に関して血清陽性である。したがって、さらに別の特徴によれば、本発明は、抗PCV2抗体を有する(好ましくはワクチン接種の日に)幼若動物で、PRDC(好ましくはPCV2に随伴するか又はPCV2によって引き起こされる)を予防するか、又はPRDCによって引き起こされるか若しくはPRDCに随伴する臨床徴候を緩和する方法を提供し、前記方法は、有効量のPCV2抗原を、そのような処置を必要とする、1から22日齢、好ましくは1から20日齢、より好ましくは1から15日齢、さらに好ましくは1から14日齢、さらに好ましくは1から12日齢、さらに好ましくは1から10日齢、さらに好ましくは1から8日齢、さらに好ましくは1から7日齢、さらに好ましくは1から6日齢、さらに好ましくは1から5日齢、さらに好ましくは1から4日齢、さらに好ましくは1から3日齢、さらに好ましくは1又は2日齢、もっとも好ましくは1日齢の動物に投与する工程を含む。好ましくは、前記幼若動物は、ワクチン接種/治療日に、1:100まで、好ましくは1:100を超える、より好ましくは1:250を超える、さらに好ましくは1:500を超える、さらに好ましくは1:640を越える、さらに好ましくは1:750を超える、もっとも好ましくは1:1000を超える検出可能な抗PCV2抗体力価を有する。
上記に記載したように、PCV2抗原によるPRDC罹患動物のワクチン接種/治療は、非ワクチン接種コントロール動物と比較したときウイルス血症期の短縮をもたらした。平均短縮期間は、同じ種の非ワクチン接種コントロール動物と比較したとき15.4日であった。したがって、さらに別に特徴によれば、本発明はまた、動物でPRDC(好ましくはPCV2に随伴するか又はPCV2によって引き起こされる)を治療若しくは予防するか、又はPRDCによって引き起こされるか若しくはPRDCに随伴する臨床徴候を緩和する方法を提供し、前記方法は、有効量のPCV2抗原を、そのような処置を必要とする当該動物に投与する工程を含み、ここで、前記治療又は予防は、同じ種の非ワクチン接種コントロール群の動物と比較したとき5日以上、好ましくは6日以上、より好ましくは7日以上、さらに好ましくは8日以上、さらに好ましくは9日以上、さらに好ましくは10日以上、さらに好ましくは12日以上、さらに好ましくは14日以上、もっとも好ましくは15日以上のウイルス血症期の短縮をもたらす。
【0028】
一般的には、PRDC罹患豚のワクチン接種は、体重増加の減少の緩和、呼吸器の臨床徴候、例えば咳及び呼吸困難の緩和、ウイルス血症期間の短縮、ウイルス血症の早期終結、及びウイルス保持量の減少をもたらした。したがってさらに別の特徴によれば、本発明はまた、動物でPRDC(好ましくはPCV2に随伴するか又はPCV2によって引き起こされる)を治療若しくは予防するか、又はPRDCに随伴するか若しくはPRDCによって引き起こされる臨床徴候を緩和する方法を提供し、前記方法は、有効量のPCV2抗原を、そのような処置を必要とする動物に投与する工程を含み、ここで、前記治療又は予防は、同じ種の非処置コントロール群の動物と比較して、体重増加の低下の緩和、呼吸器の臨床徴候、例えば咳及び呼吸困難の緩和、ウイルス血症期間の短縮、ウイルス血症の早期終結、ウイルス保持量の減少又は前記の組合せから成る群から選択されるワクチン有効性パラメーターの改善をもたらす。
本明細書で用いられる“有効量”という用語は、動物(前記有効用量のPCV2抗原を投与される動物)で免疫応答を誘引するか又は誘引することができる抗原の量(ただし前記に限定されない)を意味する。
有効な量は、ワクチンの成分及び投与スケジュールに左右される。典型的には、不活化ウイルス又は改変生ウイルス調製物がコンビネーションワクチンとして用いられるときは、約102.0から約109.0 TCID50/用量、好ましくは約103.0から約108.0 TCID50/用量、より好ましくは約104.0から約108.0 TCID50/用量を含むワクチン量が用いられる。特に改変生PCV2がワクチンとして用いられるときは、感受性動物に投与される推奨用量は、好ましくは約103.0TCID50(組織培養感染用量50%終末点、tissue culture infective dose 50% end point)/用量から約106.0 TCID50/用量、より好ましくは約104.0 TCID50/用量から約105.0 TCID50/用量である。精製抗原が用いられるときは、一般的には、抗原の数量は0.2から5000マイクログラムであり、102.0から約109.0 TCID50、好ましくは約103.0から約106.0 TCID50、より好ましくは約104.0から約105.0 TCID50である。
サブユニットワクチンは、通常は、少なくとも0.2μg抗原/用量、好ましくは約0.2から約400μg/用量、より好ましくは約0.3から約200μg/用量、さらに好ましくは約0.35から約100μg/用量、さらに好ましくは約0.4から約50μg/用量、さらに好ましくは約0.45から約30μg/用量、さらに好ましくは約0.5から約18μg/用量、さらに好ましくは約0.6から約16μg/用量、さらに好ましくは約0.75から約8μg/用量、さらに好ましくは約1.0から約6μg/用量、さらに好ましくは約1.3から約3.0μg/用量の抗原含有レベルで投与される。
【0029】
予期に反して、上記で述べた免疫原性組成物の予防的使用は、動物でPRDC(好ましくは少なくともPCV2によって引き起こされる)によって引き起こされるか又は前記に随伴する臨床徴候の緩和に有効であることが判明した。さらにまた、本明細書に記載の抗原性組成物は、PRDC罹患動物でシルコウイルスウイルス総保持量の低下(血症の開始の延期、期間の短縮、早期終結、及びウイルス保持量の低下を含む)及びその免疫抑制性の影響の緩和をもたらし、それによって高レベルの全般的耐病性及びPRDC発症抑制をもたらす。
本発明の組成物は、皮内に、気管内に又は膣内に投与又は適用することができる。組成物は、好ましくは筋肉内に又は鼻内に、もっとも好ましくは筋肉内に適用することができる。動物体では、上記に記載の医薬組成物を静脈内に又は標的組織への直接注射によって適用するのが有利であることを証明することができる。全身適用のためには、静脈内、血管内、筋肉内、鼻内、動脈内、腹腔内、経口、又は脊髄内ルートが好ましい。より局所的な適用は、皮下、上皮内、皮内、心臓内、肺葉内、骨髄内、肺内で、又は治療するべき組織内若しくは組織(結合組織、骨組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織)近くで実施することができる。所望される治療の期間及び有効性にしたがって、本発明の組成物は、ただ1回若しくは数回、又は間歇的に(例えば数日間、数週間、若しくは数ヶ月間毎日)、さらに種々の投薬量で投与することができる。
好ましくは、上記に記載の免疫原性組成物の少なくとも1用量が、その必要がある対象動物の筋肉内に投与される。さらに別の特徴にしたがえば、PCV2抗原又は本明細書に記載の任意のPCV2抗原を含む免疫原性組成物をビンに詰め、1mL/用量で投与する。したがって、さらに別の特徴によれば、本発明はまた、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候(好ましくはPCV2によって引き起こされる)を動物で治療又は予防することを目的とする、本明細書に記載のPCV-2抗原を含む1mL免疫原性組成物を提供する(前記方法は、そのような処置を必要とする当該動物に有効量のPCV2抗原を投与する工程を含む)。
【0030】
さらに別の特徴にしたがえば、上記に記載の免疫原性組成物の少なくとも1用量が少なくとももう1回その必要がある対象動物に投与され、ここで、2回目又はそれ以降のいずれの投与も、最初の投与から又はいずれの前回投与からも少なくとも14日後で与えられる。好ましくは、免疫原性組成物は免疫刺激剤とともに投与される。好ましくは、前記免疫刺激剤は少なくとも2回投与される。好ましくは、少なくとも3日、より好ましくは少なくとも5日、さらに好ましくは少なくとも7日が、免疫刺激剤の第1回目と第2回目の投与又はそれ以降の任意の投与の間に置かれる。好ましくは、免疫刺激剤は、本明細書で提供される免疫原性組成物の最初の投与から少なくとも10日、好ましくは15日、より好ましくは20日、さらに好ましくは少なくとも22日後に与えられる。好ましい免疫刺激剤は例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)であり、好ましくは不完全フロイントアジュバントで乳化される(KLH/ICFA)。しかしながら、当業者に公知のいずれの他の免疫刺激剤も用いることができることはこれにより理解されよう。本明細書で用いられる“免疫刺激剤”という用語は、好ましくは特異的な免疫応答(例えば特定の病原体に対する免疫応答)を開始又は高めることなく、免疫応答を始動させることができる任意の物質又は組成物を意味する。免疫刺激剤の適切な用量での投与はさらにまた別に指示される。
【0031】
本発明はまた、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防及び治療することを目的とする医薬の製造のために、PCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を使用することに関する。好ましくはPRDC又はPRDCに随伴する臨床徴候は、少なくともPCV2によって、より好ましくはPRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、アクチノバシルス・プリューロピューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、サルインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体と一緒になって引き起こされる。より好ましくは、PCV2抗原は組換え抗原、好ましくはPCV2 ORF-2、さらに好ましくはIngelvac(商標)CircoFLEXTMである。
本明細書で用いられる“動物”とはブタ類、ブタ又は仔豚を意味する。したがって、さらに別の特徴によれば、本発明は、ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候をブタで予防及び治療する方法を提供し、前記方法は、治療的に有効量のPCV2抗原、又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とするブタに投与する工程を含む。好ましくは、PRDCは、少なくともPCV2によって、好ましくはPRDCを引き起こすことが判明している少なくとも1つのさらに別の病因因子(例えばPRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、アクチノバシルス・プリューロピューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダ)と一緒になって引き起こされる。好ましくは、PCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物は上記に記載の抗原のいずれかであり、もっとも好ましくは、PCV2抗原はIngelvac(商標)CircoFLEXTMである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】各週群における体重増加の相違を示す。
【図2】試験の全過程における体重の相違の進行(IVP−CP)及び平均ウイルス保持量を示す。
【0033】
好ましい実施態様の説明
以下の実施例は、本発明の好ましい材料及び方法を説明する。本明細書に記載する材料及び方法に類似するか又は等価であるいずれのものも本発明の実施又は試験で用いることができるが、好ましい方法、装置及び材料をこれから述べる。しかしながら、これらの実施例は単に例示のために提供され、その中のいずれも本発明の全体的範囲を限定するものと解されるべきでないことは理解されよう。
【0034】
(実施例1)
PCV2 ORF-2抗原の調製
液体窒素保存の最初のSF+細胞培養は、Excell420培養液(JRH Biosciences, Inc., Lenexa, KS)中で、定常的に攪拌される無菌的スピナーフラスコで浮遊させながら増殖させた。培養は、25から150mLの血清無添加Excell420培養液を含む100mLから250mLのスピナーフラスコで増殖させた。細胞が、1.0−8.0x106細胞/mLの細胞密度に増殖したとき、前記細胞を0.5−1.5x106細胞/mLの播種密度で新しい容器に分割した。その後の拡張培養は、サイズが36リットルまでのスピナーフラスコ、又は300リットルまでのステンレススチールのバイオリアクターで、25−29℃で2−7日間増殖させた。
播種後、フラスコを27℃で4時間インキュベートした。続いて、各フラスコにPCV2 ORF-2遺伝子(配列番号:4)を含む組換えバキュロウイルスを接種した。PCV2 ORF-2遺伝子(配列番号:4)を含む組換えバキュロウイルスは、WO06/072065に記載されたように作製した。バキュロウイルスを接種後、続いてフラスコを27±2℃で7日間インキュベートし、この期間中再び100rpmで攪拌した。フラスコには通気キャップを用い空気の流通を可能にした。
インキュベーション後、生じた上清を採集し、細胞屑を除去するためにろ過し、さらに不活化した。上清は、その温度を37±2℃にし、二元エチレンイミン(BEI)を最終濃度5mMで上清に添加することによって不活化した。続いて、サンプルを72時間から96時間持続的に攪拌した。1.0Mのチオ硫酸ナトリウム溶液を最終濃度5mMになるように添加して、一切の残留BEIを中和した。不活化後、PCV2 ORF-2をリン酸緩衝液で緩衝させ、カルボポールを約0.5から2.5mg/用量になるように添加した。最終用量は約16μgのPCV2 ORF-2抗原を含む。
【0035】
(実施例2)
抗PCV-2免疫アッセイ
PK15(例えばATCC CCL-33)又はWO02/07721に記載のVIDO R1細胞を96ウェルプレートに播種した(約20,000から60,000細胞/ウェル)。単層細胞がほぼ65から85%コンフルエントになったとき、細胞にPCV2単離株を感染させる。感染細胞を48時間インキュベートする。培養液を取り出し、ウェルを2回PBSで洗浄する。洗浄緩衝液を捨て、細胞を冷50/50メタノールアセトン固定液(〜100μL/ウェル)で約15分、約-20℃で処理する。前記固定液を捨て、プレートを風乾する。ブタ血清サンプルの連続希釈をPBSで調製して前記プレートに添加し、血清サンプル中の抗体(存在するとして)を結合させるために約1時間36.5±1℃でインキュベートする。さらにまた、抗PCV2陽性及び陰性コントロールサンプル(陽性コントロールサンプル及び陰性コントロールサンプル)の連続希釈を平行して検査する。続いて前記プレートを3回PBSで洗浄する。このPBSを捨てる。続いてプレートを市販のヤギ抗ブタFITCコンジュゲート(PBSで1:100に希釈)で染色し、約1時間36.5±1℃でインキュベートする(前記操作は感染細胞に結合した抗体の検出を可能にする)。インキュベーションが完了した後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し、前記コンジュゲートを捨て、プレートをPBSで2回洗浄する。UV顕微鏡を用いて前記プレートを読み取り、個々のウェルは陽性又は陰性を示す。陽性コントロール及び陰性コントロールサンプルを用いて検査系を管理する。コントロールが予想範囲内にあれば、検査結果は検査方法パラメーターに関して認容することができる。特異的IFA反応性を示す最高希釈及び各希釈の陽性ウェルの数を用いて血清抗体力価を算出するか、又は50%終末点を適切なリード-ミュンヒ(Reed-Muench)の式を用いて算出する。
【0036】
(実施例3)
PRDCの治療におけるPCV2 ORF-2(Ingelvac(商標)FLEXTM)の有効性
目的
本試験の目的はPCV2に随伴するPRDCの制御におけるIngelvac(商標)CircoFLEXの有効性を示すことである。
試験手順
3つの連続する週群に属する1542頭の通常のブタ(各群はほぼ500頭の動物を含む)が本試験に含まれた。本試験の動物は、体重及び同腹仔割り振りによって大要を作り、さらに1つのワクチン接種群(n=769)及び1つのコントロール群(n=773)にランダムに割り振った。
−群1:試験0日目に、ほぼ20日齢のブタの筋肉内にIngelvac(商標)CircoFLEXの1用量をワクチン接種した。前記Ingelvac(商標)CircoFLEXは、活性物質として1mLの用量当たり1のRPの状態のPCV2 ORF-2タンパク質及びアジュバントとしてカルボポール(Carbopol(商標))を含む。
−群2:コントロール群はコントロール物質の1mLを投与された。前記コントロール物質は、PCV2 ORF−2タンパク質を含まない細胞培養上清及びアジュバントとしてカルボポールを含んでいた。
−群3:未処置のブタ。
本試験は肥育終了時に完了した(試験22週)。
記録パラメーター
記録したパラメーターは以下のとおりであった:
−個々の体重(全動物)
−‘発育不良動物’の頻度(全動物)
−臨床徴候(全動物)
−死亡率(全動物)
−血清のPCV2ウイルス血症:ウイルス血症の開始、終結、期間、ウイルス保持量(試験動物の17%)
−剖検(全(可能な場合に限る)死亡動物及び安楽死動物)
農場での疾患の状況
飼育及び肥育農場の病歴によれば、動物は、肥育中期以降からブタ呼吸器病症候群(PRDC)関連呼吸器症状を示してきた。これらの症状は、肥育期間中に体重増加の低下(ADWG 750−780g)及び死亡率増加(5.5−6.6%)を伴った。この時期のPRDCに関与したと考えられる病原体は、PCV2、PRRSV、パスツレラ・ムルトシダ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ及び場合によってSIVであった。この試験経過中に、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ及びマイコプラズマ・ヒオリニスがこの疾患症候群に関与していることがさらに新たに判明した。興味深いことに、この試験の結果は、PRRSV及びマイコプラズマ・ヒオプニューモニアエの両菌の感染は、PCV2ウイルス血症の開始の約4−6週間前に生じたという事実を示す証拠を提供している。しかしながら、試験全経過における死亡動物数及びPCV2ウイルス血症の開始前及び開始後の呼吸器症状の頻度が示すように、動物はこれら2つの感染性病原体にむしろ冒されることなく経過している。
結果
体重、体重増加、平均日割り体重増加
2つの処置群の体重は試験開始時には類似していた。試験17週及び22週には、ワクチン接種群の体重は、プラセボ処置群の体重よりも有意に高かった。(それぞれp=0.0007及びp<0.0001)。
試験開始から試験22週まで、ワクチン接種動物はプラセボ処置動物よりもさらに2.8kg体重が増加した。これは、試験開始から試験17週まではワクチン接種動物ではADWGが13g/日高く、試験22週まではワクチン接種動物ではADWGが18g/日高いことに該当する。全肥育期間(試験7−22週)については、ADWGは、プラセボ処置動物での777g/日(これまでの750−780g/日に匹敵する)からワクチン接種動物での803g/日に増加することができた(表1及び図1)。
【0037】
表1:体重、体重増加及びADWGの比較(3つの週群全部の統合データ)

1)群間の比較のためのt検定のp-値、ns:有意ではない、***有意である、p≦0.001
【0038】
血液のウイルス血症
ワクチン接種動物は、ウイルス血症の開始がわずかに遅く(1.5日遅い)、ウイルス血症の終結は有意に早く(p<0.0001)、ウイルス血症期間は有意に短縮され(p<0.0001)、動物当たりの陽性サンプル採取日数は有意に減少し(p<0.0001)、さらにウイルス保持量の有意な全身的減少(p<0.0001)を示した。ウイルス血症動物のもっとも高い割合は試験17週で観察され、プラセボ群でウイルス血症動物は75%、ワクチン接種群で28%であった。
【0039】
表2:血液のウイルス血症の比較(3つの週群全部の統合データ)

1)gE:ゲノム等価物/mL
2)p-値(群間の比較のためのウィルコクソンマン-ウィットニー検定)、ns:有意ではない、***有意である、p≦0.001
【0040】
血液のウイルス血症と体重増加との相関性
図2は、試験の全過程における両処置群のサンプル動物のウイルス保持量を、対応する体重測定時点での両処置群の全動物の生体体重の差異(CP−IVP)と比較したものを示す。体重差異を示す曲線を、ウイルス保持量を表す棒線と比較したとき、両処置群間で観察された体重の差異(試験17週及び22週)は、ウイルス血症の開始(試験14−16週)後に生じることが明白となった。ウイルス保持量は試験17週のピークから減少するが、群間の体重差異は、肥育期の終了までさらに増加していく。総合すれば、これらのデータは、ワクチン接種群の試験17週及び22週で観察されるより高い体重増加の進行とウイルス血症の開始、期間及びレベルとの間の相関性の証拠を提示している。スペァマン順位係数の算出によって、試験週17及び22のプラセボ処置動物でウイルス血症と体重増加の進行の相違との間で統計的に有意な相関性が存在することが確認された。プラセボ処置動物における低体重は、ウイルス血症早期開始、ウイルス血症期間の延長、及び高いウイルス保持量と相関する。ワクチン接種動物についてはそのような相関性を見出すことはできず、それらの高体重は、遅いウイルス血症の開始及びウイルス血症期間の短縮とともに血中のウイルス保持量の低下の結果であることを示している。
発育不良動物の頻度
ワクチン接種群とプラセボ処置群との間で、‘発育不良動物’の頻度における有意な相違は、対応するいずれの体重測定時にも観察されなかった。PCV2ウイルス血症の開始(試験14−16週)後、‘発育不良動物’の頻度は一般的に両処置群で低下した(2.2−3.9%)。
【0041】
表3:‘発育不良動物’の頻度の比較(3つの週群全部の統合データ)

P:群間の比較のためのt検定のp-値;p>0.05、有意ではない。
臨床徴候
ウイルス血症の開始前、主要な臨床徴候は、歩行不良、咳及び下痢であった(8−12%の動物)。前記は両処置群で同じ頻度で発生した。死亡動物の剖検とそれに続く微生物学検査に際して、ストレプトコッカス・スイスが歩行不良のための可能な感染性病原体として同定され、ヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)及びボルデテラ・ブロンキセプチカが咳のための可能な感染性病原体として同定され、さらに溶菌性大腸菌が下痢の可能な原因として同定された。
ウイルス血症の開始後、両処置群の動物で観察された主要な臨床徴候は咳及び歩行不良であった。他の感染性病原体についての周期的な血清学的分析及び剖検時の微生物学的所見によって、PCV2ウイルス血症は、(先行する)PRRSV及びマイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ感染に随伴することが明らかになった。PCV2と一緒になって、これらの感染性病原体は、ウイルス血症の開始後に咳を示す動物の頻度の増加の原因と考えられるPRDCの部分を形成する。プラセボ処置動物と比較して、咳及び呼吸困難を示すワクチン接種動物の頻度は、それぞれ12.2%及び17.5%減少した。しかしながら、これらの発見は、統計的に全く有意ではない。ウイルス血症開始前の時期と比較してウイルス血症開始後の歩行不良の頻度の増加は、ストレプトコッカス・スイスによる関節炎の慢性型又は関節装置の脆弱によって引き起こされた可能性が極めて高く、両処置群を同じように冒した(p=0.8321)。同様に、ウイルス血症開始後の他の臨床所見(下痢、皮膚異常、行動)の頻度は2つの処置群でほぼ等しかった。
死亡率
ウイルス血症の開始前、死亡率は両処置群で類似していた(ワクチン接種動物:5.20%、プラセボ処置動物:5.17%)。ウイルス血症開始後、プラセボ処置動物は、ワクチン接種動物よりも有意に高い死亡率を示した(ワクチン接種動物:1.51%、プラセボ処置動物:3.68%、p=0.0127)。プラセボ処置動物と比較して、ワクチン接種動物の死亡率は59%低下した。
結論
本試験は、肥育後期にPRDCの典型的な症状を示す農場で実施した。17から19週齢でブタは呼吸器症状が進行し、死亡率及び体重減少が増加した。血清学的及び細菌学的スクリーニングに際して、PCV2、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、マイコプラズマ・ヒオリニス及びパスツレラ・ムルトシダが、この疾患症候群に関与する可能な病原体として同定された。
プラセボ処置コントロール群と比較して、以下の統計的に有意な所見がワクチン接種群で認められた:
−体重増加の減少の緩和
−死亡率の低下
−ウイルス血症期間の短縮及びウイルス血症の早期終結
−ウイルス保持量の減少
−咳及び呼吸困難の緩和
‘発育不良動物’の発生はPRDCの典型的所見ではないので、予想のとおり、‘発育不良動物’の頻度に関しては統計的に有意な差異は観察することはできなかった。
これらの発見を総合すれば、以下の結論が可能である:
1.本試験は、肥育中期から後期にPRDCに冒された群れで実施された。PCV2はこの疾患症候群に明らかに中心的に関与していた。なぜならば、呼吸器症状、体重増加の減少及び死亡率の上昇は、ウイルス血症の開始後にのみ観察されたからである。
2.動物をIngelvac(商標)CircoFLEXTMでワクチン接種することによって、PCV2随伴PRDCと関係を有する臨床関連パラメーターを緩和することができ、又は予防することさえできた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候を動物で予防又は治療するための医薬の製造のためのPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物の使用。
【請求項2】
前記医薬がそのような処置を必要とする動物に治療的に有効な量で投与される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記PRDCに随伴する臨床徴候が、咳及び呼吸困難、発育遅延、飼料効率低下、嗜眠、食欲不振、及び/又は中期から後期肥育期における死亡率の顕著な上昇から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記咳及び呼吸困難が抗生物質療法に不応性である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記PRDCがPCV2感染に随伴する、請求項1から4のいずれかの項に記載の使用。
【請求項6】
前記PRDCがPCV2によって引き起こされる、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記PRDCがさらに、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、アクチノバシルス・プリューロプニューモニアエ、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダの感染に随伴するか、及び/又は前記によって引き起こされる、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記動物がPCV2陽性の群れに属する、請求項1から7のいずれかの項に記載の使用。
【請求項9】
前記動物が、PCV2及び、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体について陽性である群れに属する、請求項1から8のいずれかの項に記載の使用。
【請求項10】
前記動物がPCV2陽性の農場に属する、請求項1から9のいずれかの項に記載の使用。
【請求項11】
前記動物が、PCV2及び、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体について陽性である農場に属する、請求項1から10のいずれかの項に記載の使用。
【請求項12】
前記PCV2抗原が、PCV2のORF-2と少なくとも80%の相同性を有するポリペプチドである、請求項1から11のいずれかの項に記載の使用。
【請求項13】
前記PCV2抗原が組換えバキュロウイルス発現PCV2 ORF-2である、請求項1から12のいずれかの項に記載の使用。
【請求項14】
前記PCV2抗原がIngelvac(商標)CircoFLEXTMである、請求項1から13のいずれかの項に記載の使用。
【請求項15】
前記動物がブタである、請求項1から14のいずれかの項に記載の使用。
【請求項16】
ブタ呼吸器病症候群(PRDC)及び/又はPRDCに随伴する臨床徴候の予防及び治療方法であって、前記方法が、治療的に有効な量のPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物をそのような処置を必要とする動物に投与する工程を含む、前記予防及び治療方法。
【請求項17】
前記PRDCに随伴する臨床徴候が、咳及び呼吸困難、発育遅延、飼料効率低下、嗜眠、食欲不振、及び/又は中期から後期肥育期における死亡率の顕著な上昇から成る群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記咳及び呼吸困難が抗生物質療法に不応性である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記PRDCがPCV2感染に随伴する、請求項16から18のいずれかの項に記載の方法。
【請求項20】
前記PRDCがPCV2によって引き起こされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記PRDCがさらに、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、アクチノバシルス・プリューロプニューモニアエ、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダの感染に随伴するか、及び/又は前記によって引き起こされる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記動物がPCV2陽性の群れに属する、請求項16から21のいずれかの項に記載の方法。
【請求項23】
前記動物が、PCV2及び、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体について陽性である群れに属する、請求項16から22のいずれかの項に記載の方法。
【請求項24】
前記動物がPCV2陽性の農場に属する、請求項16から23のいずれかの項に記載の方法。
【請求項25】
前記動物が、PCV2及び、PRRSV、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、ブタインフルエンザウイルス、マイコプラズマ・ヒオリニス、ストレプトコッカス・スイス及び/又はパスツレラ・ムルトシダから成る群から選択される1つ以上のさらに別の病原体について陽性である農場に属する、請求項16から24のいずれかの項に記載の方法。
【請求項26】
前記PCV2抗原が、PCV2のORF-2と少なくとも80%の相同性を有するポリペプチドである、請求項16から25のいずれかの項に記載の方法。
【請求項27】
前記PCV2抗原が組換えバキュロウイルス発現PCV2 ORF-2である、請求項16から26のいずれかの項に記載の方法。
【請求項28】
前記PCV2抗原がIngelvac(商標)CircoFLEXTMである、請求項16から27のいずれかの項に記載の方法。
【請求項29】
前記動物がブタである、請求項16から28のいずれかの項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−526023(P2010−526023A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544405(P2009−544405)
【出願日】平成20年1月2日(2008.1.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050012
【国際公開番号】WO2008/081015
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(503345374)ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】