説明

ブドウ糖濃度を計算するための電流試料を処理するシステム及び方法

【課題】テストストリップと、検査計測器とを使用して、液体の中の分析物の測定のために検査電流を処理する方法を提供すること。
【解決手段】方法は、複数のA/D変換を獲得するために、所定のサンプリング速度でテスト電流をサンプリングすることを含む。方法は、少なくとも最高のA/D変換値と、最低のA/D変換値をフィルタリングで除去し、複数の許容されるA/D変換を残すことを含む。更に方法は、複数の許容されるA/D変換の平均又は合計を計算し、平均又は合計をブドウ糖濃度に変換することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に健康を管理するシステム、特には検査計測器内で生理液を検査するテストストリップに提供される電圧によって発生した電気信号にフィルタをかけるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、血糖値、投薬、栄養条件、並びに体重及び運動データのような健康パラメータの継続した観察及び制御を必要とする慢性疾患である。また、心臓血管疾患を有する患者は、コレステロール値の観察を必要とし得る。かかる疾患の慢性的性質のために、健康パラメータは、患者自身によって臨床治療環境の外で継続して定期的に測定しなければならない。
【0003】
従来、電子計測器は、患者がその上に血液を適用する時に、テストストリップからブドウ糖を測定するために使用される。テストストリップは、計測器と接続可能であり、試料を通る電気経路を作るために使用される2つ以上の電極を含むように設計される。メータは、その場合、試料の電気特性を判定することが可能であり、かつ公知の相関関係によって、試料中の特定の分析物の濃度を推定することが可能である。
【0004】
血糖応答電流の従来の測定法は、アナログ/デジタル(A/D)変換器を使用する。A/D変換器は、テストストリップに接続され電子回路から発生する電圧をサンプリングする。ストリップ内で発生した電流は、非常に低く、数マイクロアンペアだけであり、かつ信号の変換は、高い変換値の血糖信号を得るために、できるだけ高くなければならない。周囲からのあらゆる種類のノイズのために、本来、高解像度を有する非常に小さな信号を測定することは、技術的問題につながる。かかるノイズ源には、電灯のスイッチからの信号、携帯電話、静電放電パルス、幹線に接続される電源等を含み得る。これらの外乱は、信号を増大させ、かつ測定結果を変えてしまう。
【0005】
従来、ノイズ問題を解決するために、ハードウェア及びソフトウェアによる解決方法がある。ハードウェア解決方法の一例は、例えば、R−C(抵抗器−コンデンサ)組み合わせ回路を使用することによって信号を積分することである。かかる回路は、信号を平滑にし、かつ信号対ノイズ比の比率を改善するために使用できる。しかしながら、かかる回路の適用は、遅延をもたらし、かつ帯域幅を減少させる。
【0006】
ソフトウェアによる解決方法の例は、できるだけ頻繁に信号をサンプリングし、かつ次にサンプリングされた全ての値の平均を計算することである。原理は、ハードウェア統合と類似するが、しかしながら、それは、全ての試料を同様に「加重する」。従って、サンプリングが開始されたばかりの時に起こり得る、非常に短い電圧の急上昇(グリッチ)に、過大な加重値が与えられ、変換期間中、他の信号の変化を目立たなくさせる。これらの信号の変化は、無視される可能性がある。
【0007】
とは言うものの、かかるソフトウェア解決方法は、特に「ホワイトノイズ」効果を無視しなければならない場合に、ノイズを許容できる「殆どノイズの無い」値に通常減少させる。しかしながら、この原理は、十分なA/D読み取りを行う十分な時間がないか、又はノイズが「ホワイトノイズ」でない時に限定される。多くの読み取りが平均化されるほど、最終結果が、正確になる。しかしながら多すぎる読み取りを行うことは、多大な時間を要する。同様に、ソフトウェア解決方法にとって、平均を計算することは、実信号対平均結果の位相ずれを生み出す。例えば200ミリ秒の期間にわたって血糖の過渡信号のような絶えず変化する信号の読み取りを行うことによって、例えば、100ミリ秒遅れて平均値が得られ、最後の200ミリ秒にわたる平均値に対応する平均値が与えられる。
【0008】
血糖の観察において、上記のソフトウェア平均化アルゴリズムは、単独では、ノイズにフィルタをかけ、かつ好ましいレベルの性能を提供するために十分でないことがある。なぜなら、試料の電気特性を正確に表さない「グリッチ」又はノイズ外乱が、試料の本当の電気特性を密接に示す小さい測定値を圧倒するほど大きいことがあるからである。従って、電灯のスイッチ、静電放電、電源の切り替えや、メガヘルツ(MHz)の範囲のスイッチング周波数を有するデータバス装置及び外部アドレスを有するマイクロコントローラを有する電子計測器自体から発生するような、「グリッチ」又はノイズ外乱を排除するように調整される他のフィルタリング方法が必要である。
【0009】
それ故に、数マイクロ秒しかかからないことがあり、かつ1つ又は2つのみのA/D読み取りを、間違いにする(通常極めて高いか低い)ことがある、ノイズ外乱前にこれらの値を分析し、かつこれらの「間違った」又は「極度の」読み取りを特定し、かつ平均が残りの値に対して計算される前に、それらをフィルタリングで除去する、フィルタリングアルゴリズムが必要である。「殆どノイズの無い」結果に達するために要求されるA/D読み取りが少なく、かつそれ故に十分な数の試料を取るために、遙かに少ししか時間を必要としないので、かかるシステムは、従来の方法に対して著しい利点を有する。かかる方法論は、位相の遅れ減少させる効果も有する。
【0010】
以下の本明細書の技術は、1つ以上の上述の必要性を全うするか否かに拘わらず、添付の請求項の範囲内にある実施形態まで及ぶ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
テストストリップと、検査計測器とを使用して、液体の中の分析物の測定のために検査電流を処理する方法が提供される。この方法は、複数のA/D変換を獲得するために、所定のサンプリング速度で、検査電流をサンプリングすることを含む。この方法は、少なくとも最高のA/D変換値と、最低のA/D変換値をフィルタリングで排除し、複数の許容されたA/D変換を残すことを含む。更に、この方法は、複数の許容されたA/D変換の平均又は合計を計算し、かつ平均又は合計をブドウ糖濃度に変換することを含む。
【0012】
液体の中の分析物の濃度を判定するシステムも提供される。システムは、液体の試料を受け取る液受け装置を含み、液受け装置は、電圧を加えるために少なくとも一対の電極を有する。システムは、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、液受け装置の電極に結合されたアナログ/デジタル変換器を含む計測器を含み、アナログ/デジタル変換器は、液受け装置から受け取ったアナログ信号をサンプリングする。更に、システムは、メモリに保存され、かつプロセッサ上で作動するプログラムを含み、プログラムは、複数のアナログ/デジタル変換を保存し、変換量に基づいて複数のアナログ/デジタル変換を並べ替え、最高の量のアナログ/デジタル変換の少なくとも1つを排除し、残りのアナログ/デジタル変換を合計し、かつ合計を分析物の濃度測定に変換する。
【0013】
更に、生理液中での分析物の濃度の判定方法が提供される。方法は、検査計測器によって生理液の試料を受け取ることを含む。方法は、電流を液体の試料の中に通すことも含む。更に、方法は、複数のアナログ/デジタル(A/D)変換を形成するために、複数回、電流の大きさをサンプリングすることを含む。また更に、方法は、大きさに基づいて複数のA/D変換の一部を排除することを含む。更になお、方法は、残りのA/D変換に基づき、分析物の濃度を得ることを含む。
【0014】
なおも更に、テストストリップと検査計測器とを使用して、分析物の測定のために検査電流を処理する、特に好ましい方法が提供される。方法は、(a)16個のA/D変換を獲得するために、40000Hzで、検査電流をサンプリングすることと、(b)少なくとも4つの最高のA/D変換値と、4つの最低のA/D変換値をフィルタリングで除去し、8つの許容されるA/D変換を残すことと、(c)この8つの許容されるA/D変換の合計を含む、電流試料を計算することを含む。方法は、(d)合計8つの電流試料を計算するために、ステップ(a)から(c)をあと7回反復することと、(e)電流の読み取りを形成するために、8つの電流試料を一緒に合計することと、(f)合計5つの電流試料を計算するために、ステップ(a)から(e)をあと4回、反復することも含む。更に、方法は、(g)最終電流値を形成するために、5つの電流読み取りを一緒に合計することと、(h)該最終電流値に基いて、ブドウ糖濃度を計算することを含む。
【0015】
液体の中の分析物の濃度を判定する組み立て品(キット)が、更に提供される。組み立て品は、液の試料を受け取るための少なくとも1つのテストストリップを含み、少なくとも1つのテストストリップは、電圧を加えるために、少なくとも一対の電極を有する。組み立て品は、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、液受け装置の電極に結合されたアナログ/デジタル変換器を含む計測器とを含み、アナログ/デジタル変換器は、液受け装置から受け取ったアナログ信号をサンプリングする。更に、組み立て品は、メモリに保存され、かつプロセッサ上で作動するプログラムを含み、プログラムは、複数のアナログ/デジタル変換を保存し、大きさに基づいて複数のアナログ/デジタル変換を並べ替え、最高のアナログ/デジタル変換値の少なくとも1つを排除し、残りのアナログ/デジタル変換を合計し、かつ合計を分析物の濃度測定に変換する。
【0016】
他の代表的な実施形態は、請求項で全般的に列挙されるような他の特徴、及び特徴の組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】代表的な実施形態による検査計測器の斜視図である。
【図2】図1に示す検査計測器での使用に適したテストストリップの平面図である。
【図3】テスト時間間隔Tに関してテストストリップに検査計測器によって加えられた検査電圧を示す表である。
【図4】テスト時間間隔Tに関してテストストリップによって発生した検査電流を示す表である。
【図5】代表的な実施形態によるブドウ糖検査用の検査電流をサンプリングする複数の時間間隔を示す簡略化した表である。
【図6】各最終電流値時間間隔が、5個の連続した電流の読み取り時間間隔Tを含む、第1作業電極の最終電流値時間間隔T2aと、第2作業電極の最終電流値時間間隔T2bの拡大した略図である。
【図7】8個の連続する電流試料時間間隔Tを含む、電流の読み取り時間間隔Tの拡大した略図である。
【図8】16個の連続したA/D変換時間間隔Tを含む、電流試料時間間隔Tの拡大図である。
【図9】代表的な実施形態によって電流試料時間間隔T中に獲得された16個のA/D変換にフィルタをかけるノンパラメトリック方法を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
全般的に、データ獲得工程でノイズを減少する方法が、開示される。方法は、所与の期間中、アナログ信号を複数回、サンプリングすることを含む。複数のアナログ/デジタル(A/D)変換は、その大きさに基づいて、順位を付けられ、複数のA/D変換全部を平均する代わりに、特定の試料が、選択され、かつ排除される。次に残りのA/D変換の平均が、算出される。代表的な実施形態において、少なくとも最高のA/D変換値と、少なくとも最低のA/D変換値とを排除することが望ましい。あるいは、多数の最高の変換値と、多数の最低の変換値を排除できる。このフィルタリング工程は、算出した平均を、静電放電(これに限定されないが)のような環境ノイズによって引き起こされ得る極端な異常値に対してより確固たるものにする効果を有する。従って、結果として生じた算出した平均は、単なる平均化方法論よりも正確である。
【0019】
本発明の代表的な実施形態によれば、検査計測器と、使い捨てテストストリップは、生理液の中のブドウ糖濃度を測定するためのブドウ糖検査を実行するために使用できる。検査計測器と、使い捨てテストストリップの例は、ライフスキャンインコーポレイテッド社(ミルピタス、カルフォルニア州、米国)の市販されているワンタッチウルトラシステム(OneTouch Ultra System)(商品名)の組み立て品である。システムキットは、使い捨てテストストリップと、検査計測器とを含んでよいことに注意されたい。システムテストキットは、これらの部分に限定されず、電源、電池、文書等(これに限定されないが)のような多くの他のものを含んでよい。
【0020】
図1は、代表的な実施形態による代表的な検査計測器200の斜視図である。検査計測器200は、ハウジング201と、ディスプレイ202と、OKボタン204と、ダウン(下)ボタン206と、バック(戻る)ボタン208と、アップ(上)ボタン210と、発光ダイオード(LED)212と、ストリップポートコネクタ(SPC)214を含む。ディスプレイ202は、利用者にテキストと、図形情報の両方を示すために、液晶ディスプレイ(LCD)であってよい。
【0021】
ユーザインタフェース(UI)は、利用者が検査計測器200を操作することを可能にする、ディスプレイ202に示されるソフトウェア駆動メニューであってよい。利用者は、アップボタン210と、ダウンボタン206と、OKボタン204と、バックボタン208を使用して、UIを操作することができる。検査計測器200は、検査計測器の形状の一例であり、多くのその他の形状があり得る。
【0022】
ハウジング201は、高分子材料、金属、及び金属合金等を含むが、それらに限定されない種々の材料のいずれからも形成できる。ディスプレイ202は、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、及びこれまで開発できたその他のタイプのディスプレイを含むが、それらに限定されない種々のディスプレイ装置であってよい。更に、ディスプレイ202は、単一の統合ディスプレイスクリーンとは対照的に、一連の光及び/又は単なる読み出しであっても良い。LED212は、LEDの、他のタイプの光装置、音響装置、振動装置等を含むが、それらに限定されない他のいかなる種々の表示器であってよい。ストリップポートコネクタ214は、テストストリップを検査計測器200に電気接続し、かつ受けるために使用されるが、しかしながら他の形状のインタフェース装置も使用できる。
【0023】
ボタン204、206、208及び210は、種々のボタンのいずれか、又は接触式装置を含むが、それらに限定されない他の利用者入力装置であってよい。更に、ボタン204、206、208及び210は、ディスプレイ202上のユーザインタフェース、又は検査計測器200に組み込まれた音声認識装置に代えることができる。ディスプレイ202は、ディスプレイ202の上に重ねられ、かつ利用者がタッチスクリーン(接触画面)を通して検査計測器200への入力を提供することを可能にするタッチスクリーンも含んでも良い。代表的な実施形態において、タッチスクリーンは、利用者の指、別個のペン入力(スタイラス)、又は他の接触装置によって使用できる。
【0024】
検査計測器200での使用に適するテストストリップ100を、図2に示す。テストストリップ100は、従来、基板5に印刷される電気的に絶縁した部分を含む導電層を含む。導電層は、第1接点13と、第2接点15と、基準接点11と、ストリップポートコネクタ214に電気接続するために使用できるストリップ検出バー17を含む。導電層は、それぞれ第1接点13と、第2接点15と、基準接点11に電気接続される、第1作業電極12と、第2作業電極14と、基準電極10を更に含む。電極を横切って電圧を加えるため、電極へのコンタクトは、計測器の制御下で選択的に計測器内において接続される。
【0025】
テストストリップ100は、接着剤60によって結合される透明親水性フィルム36を更に含むが、それに限定されない。透明親水性フィルム36は、血液を入口90で計量する試料受けチャンバを形成する。代表的な実施形態において、フィルム36は、テストストリップの端部全体を覆い、それにより図2で60として示す接着ゾーンの間に可視試料チャンバを形成する。不透明フィルム38もまた、入口90で血液を計量するように利用者を案内するコントラストを示すために、接着剤60によって結合される。
【0026】
基板5は、高分子材料又はその他の絶縁材料を含むが、それらに限定されない種々の材料から形成される。代表的な実施形態において、材料基板5は、帝人デュポンフィルム社によって製造される(Meline ST328のような、但しそれらに限定されない)ポリエステル材料から形成できる。基板5は、例えば公称厚さ350マイクロメートル、幅370ミリメートル、及び長さ約660メートルの一巻きの材料で供給されてよい。層10、11、12、13、14、15及び17のような導電層は、多数の製造方法のいずれかによって、基板5に堆積され得る金属及び金属合金のような、但しそれらに限定されない種々の導電材料のいずれからも形成できる。不透明フィルム38は、コントラストを提供して利用者の便宜のために使用されるが、入口90で血液を計量するように利用者を導くための、印刷テキスト表示器のような、多数の方法のいずれかによって代えることができる。テストストリップ100の例は、ライフスキャンインコーポレイテッド社(ミルピタス、カルフォルニア州、米国)から入手可能なワンタッチウルトラ(OneTouch Ultra)(商品名)である。
【0027】
他の代表的な実施形態によれば、2つの作業電極とは対照的に、作業電極と、基準電極を含むテストストリップを提供することが望ましい。更に、種々のテストストリップ形状のいずれも、生理液試料が存在する場合にテストストリップ100が、電気信号を検査計測器200に提供できる限りにおいて、本発明の範囲を逸脱することなく、テストストリップ100に適切に代えることができる。
【0028】
試薬層(図示せず)は、試料チャンバ又はキャビティ内で第1作業電極12、第2作業電極14、及び基準電極10上に配置できる。試薬層は、酸化還元酵素のような化学物質と、ブドウ糖と選択的に反応する媒介物を含んでよい。試薬層22の製造用に適した試薬配合又はインクの例は、全部を本明細書に参考として組み込む、米国特許第5708247及び6046051号明細書、国際公開第01/67099及び01/73124号パンフレットに見出すことができる。更に、種々の他の試薬層及び試薬化学物質のいずれかを、本発明の範囲から逸脱することなく使用してよい。選択的に、提供された参考文献に開示されたような試薬層を利用しないテストストリップを生成することが可能である。更には、試薬層を、全ての電極12、14及び10に配置させなくともよい。試薬は、テストストリップの試料領域内で、電極又は他の表面のいずれかに配置できる。
【0029】
一旦テストストリップ100が、ストリップポートコネクタ214を通って検査計測器200に電気接続されると、利用者は、生理液を入口90に適用できる。他の実施形態によれば、検査計測器200は、ストリップポートコネクタ214とは対照的に異なるタイプのコネクタを有することができる。本発明の範囲は、使用されるコネクタのタイプによって限定されない。生理液は、種々の方法でテストストリップ100に適用できる。液試料は、皮膚表面の血液滴又は容器から取ることができる。生理液試料は、針又は顕微針を使用して身体から直接取ることもできる。
【0030】
生理液は、試薬層を溶解させ、かつブドウ糖濃度と相関する還元された媒介物の比例的な量を酵素的に発生させる。検査計測器200は、例えば、第1作業電極12と、基準電極10の間に、約+0.4ボルトの検査電圧を加えることができる。検査計測器は、第2作業電極14と、基準電極10の間に、約+0.4ボルトの検査電圧を加えることができる。このため、還元された媒介物は、第1作業電極12及び第2作業電極14で測定される酸化電流である検査電流として比例的に測定することができる。
【0031】
他の実施形態によれば、加えられるテスト電圧は、種々の検査電圧のいずれであってもよい。検査電圧は、上記の0.4ボルトに限定されない。更に、第1電極及び基準電極、並びに第2電極及び基準電極の両方の間に検査電圧を加えることは、必要でないこともある。第1電極及び基準電極の間の電圧を測定するシステムを有することのみが望ましいこともあり、これによりシステムが簡単になる。
【0032】
図3は、テスト時間間隔Tで、検査計測器200によってテストストリップ100に加えられる検査電圧を示す代表的な表である。生理液が適用される前において、検査計測器200は、検査電圧が+0.4Vである、液検出モードにある。液検出モードは、図3で液検出時間間隔TFDとして示され、かつ示すように、ゼロ(0)基準時間前又は未満の期間である。液検出モードにおいて、検査計測器200は、第1作業電極12及び基準電極10の両方が、液によって湿るように、いつ液が入口90に適用されるかを判定する。生理液が、第1作業電極12及び基準電極10を隣接して覆う時、第1作業電極12及び基準電極10が、有効に短絡されることに注意すべきである。電極10及び12間の測定される検査電流が十分に増加したことにより、生理液が適用されたことを、一旦検査計測器200が認識すると、検査計測器200は、ゼロ秒の起点を指定し、テスト時間間隔Tを開始する。
【0033】
他の代表的な実施形態によれば、テストストリップ上の生理液の存在を判定する他の方法を使用してよい。例えば、テストストリップ上の液の存在を検出する他の方法が、使用できる。更に、テスト時間間隔をいつ開始するかを、検査計測器に手動で表示することが、可能である。従って、適用された液を検出し、かつテスト時間間隔をいつ開始するか判定するための上述の方法は有効であるが、公知の又は後で開発された他の方法を、本発明の範囲から逸脱することなく使用できる。
【0034】
本発明の代表的な実施形態において、テスト時間間隔Tは、約5.4秒である。第1時間間隔中、試料電流を測定し、かつ試料中のグルコース濃度を判定するために、データを収集した。テスト時間間隔Tが完了すると、検査電圧は除去される。有効なテスト時間は、5.4秒であると示したが、種々のテスト時間のいずれも使用できる。
【0035】
代表的な実施形態によれば、テストストリップ100は、検査電圧が、媒介物の酸化還元電位に対して十分に正である時に、検査電流を伝える。酸化還元電位が、公称電位を有する電極に十分近い時に、電子を受け取るか、放出する媒介物の固有親和力を表現することに注意すべきである。
【0036】
図4は、テスト時間間隔Tで、テストストリップ100上の試料を通って流れる検出されたテスト電流を示す代表的な図である。テストストリップ100に結合された計測器は、2つの電極によって形成される回路内の電流と、試料領域内の試料を測定するように設定される。一般的に、検査電流は、テストストリップ100が生理液によって最初に湿る時に、急速に増加し、ピークを形成して、その後テスト電流の漸減が続く。図4は、典型的な検査を示すが、他の応答曲線が、特に(但しそれのみでないが)他のノイズ外乱の存在のような、ブドウ糖以外の他の分析物の検査において観察できる。
【0037】
図4の検査電流が、検査電流をブドウ糖濃度に処理するためのデジタル信号に変換できるアナログ信号であることに注意されたい。本発明の代表的な実施形態において、検査計測器200は、アナログ検査電流をデジタル検査電流に変換する12ビットA/D変換器を有する、テキサスインスツルメンツ社の混合信号プロセッサ(例えばTI MSP 430)を含んでよい。異なる精度及び解像度を提供するより多くの又はより少ないビットを有するもの、及び異なる製造業者によって製造又は提供されるものを含む他のA/D変換回路が、同様に使用できる。本発明の代表的な実施形態において、獲得されたデジタル信号の変動が、約5%CV(変動係数、%CV={1標準偏差/平均}×100)未満、好ましくは約3%CV未満、更に好ましくは約1%CV未満、更に好ましくは約0.1%CV未満であるように、検査電流は、十分に高い、信号対ノイズ比(S/N比)によって測定できる。他のS/N比が、明示的に提供されたものに限定されず、使用できる。更に、%CVによって特徴付けられているが、他のS/N比の特徴付けも、本発明の範囲から逸脱することなく使用できる。代表的な実施形態において、A/D変換器を使用するテスト電流のサンプリングでのノイズを減少させる方法が、記載される。
【0038】
図5は、代表的な実施形態によるブドウ糖検査のための検査電流をサンプリングするための複数の時間間隔を示す代表的な簡略化された図である。テスト時間間隔Tは、電流の読み取り時間間隔Tと、静電放電(ESD)チェック時間間隔TESDと、第1作業電極の最終電流値時間間隔T2aと、第2作業電極の最終電流値時間間隔T2bと、の短い時間間隔を集めたものを含んでよい。あるいは、異なる相対的長さを有する時間間隔の他の組み合わせが使用できる。更に幾つかの時間間隔は、他の実施形態において省略できる。図5において、A/Dは、所与の時間間隔中、オン及びオフ状態の間を比較的速く、一般に数ミリ秒で、又は他の実施形態においては約数マイクロ秒で切り替えられる。しかしながら、表の時間的尺度が、比較的高いトグル速度を明示できないので、図5には、短い時間間隔が、連続的にオンであるものとして示す。
【0039】
図6から8が、特定の時間間隔が、オン及びオフ状態の間でA/D変換の高いスイッチング周波数を有するどうか、より正確に例示するためのT2a、T2b及びTの拡大部分を示すことに注意されたい。サンプリング周波数が、示したものに限定されず、むしろ所望の性能をもたらすいかなる周波数も使用できることに注意すべきである。
【0040】
図6は、第1作業電極の最終電流値時間間隔T2aと、第2作業電極の最終電流値時間間隔T2bの拡大した簡略図である。本発明の代表的な実施形態において、第1作業電極の最終電流値時間間隔T2aは、約5秒で開始し、かつ約80ミリ秒の持続時間を有する。同様に、第2作業電極の最終電流値時間間隔T2bは、約5.3秒で開始し、かつ約80ミリ秒の持続時間を有する。第1作業電極の最終電流値時間間隔T2aと、第2作業電極の最終電流値時間間隔T2bの間には、約300ミリ秒の測定遅延時間間隔TMDがあり得る。本発明は、上記のこれら特定の期間に限定されず、所望の性能をもたらすいかなる時間間隔も使用できる。
【0041】
代表的な実施形態において、第1作業電極の最終電流値時間間隔T2aは、例えば5つの連続する電流読み取り時間間隔Tを含む。同様に、第2作業電極の最終電流値時間間隔T2bは、例えば5つの連続する電流の読み取り時間間隔Tを含む。電流の読み取り時間間隔Tは、図6及び7に示すように、例えば約18ミリ秒であってもよい。本発明は、開示された電流読み取り時間間隔の数、又は開示された読み取り時間間隔に限定されない。
【0042】
図7は、8つの連続した電流試料時間間隔Tを含む電流読み取り時間間隔Tの拡大した簡略図である。例えば、8つの電流試料時間間隔Tに関する、A/D変換獲得後にA/Dが、オフである期間を示す、低期間読み取り時間間隔T3Lがある。低期間読み取り時間間隔T3L中、マイクロプロセッサは、例えば電極読み取り時間間隔T中に獲得されたA/D変換の合計又は平均のようなデータ計算を実行するための自由期間を有する。低期間読み取り時間間隔T3L終了時に、マイクロプロセッサは、もう1つの電極読み取り時間間隔Tを開始できる。この場合も、本発明は、示されかつ開示された時間間隔、又は示されかつ開示されたA/D変換の数に限定されない。
【0043】
電流試料時間間隔Tは、図7及び8に示すように、例えば約2ミリ秒であってもよい。電流試料時間間隔Tは、高期間試料時間間隔T4Hと、低期間試料時間間隔T4Lを含む。高期間試料時間間隔T4Hは、A/D変換を獲得するために、A/Dがオンである期間であってよい。低期間試料時間間隔T4Lは、高期間試料時間間隔T4H中に、必要なA/D変換獲得後にA/Dがオフである期間であってよい。図7及び8に示すように、高期間試料時間間隔T4Hは、例えば約0.4ミリ秒であってよく、かつ低期間試料時間間隔T4Lは、例えば約1.6ミリ秒であってよい。低期間試料時間間隔T4L中、マイクロプロセッサは、例えばA/D変換の順位付け、フィルタリング、合計、平均及び/又はそれらの組み合わせ、又はその他の必要な計算及びデータ操作のような、高期間試料時間間隔T4H中に獲得されたA/D変換に関するデータ計算を実行するための自由期間を有する。低期間試料時間間隔T4Lの終了時に、マイクロプロセッサは、もう1つの電流試料時間間隔Tを開始できる。示され、かつ記載された試料時間間隔の規模は、限定されない。所望の性能を提供するいかなる時間間隔も使用できる。
【0044】
図8は、16個の連続したA/D変換時間間隔Tを含む代表的な電流試料時間間隔Tの拡大図である。検査電流は、高期間試料時間間隔T4H中に所定のサンプリング速度でサンプリングできる。所定のサンプリング速度は、例えば代表的な実施形態において、図8に示すように約40キロヘルツであってよい。単一のA/D変換がA/D変換時間間隔T中に獲得でき、図8に示すようにこの場合に例えば約25マイクロ秒であってよい。A/D変換は、A/D変換が行われた時点で検査電流に比例する大きさを有するデジタル数字である。この場合のA/D変換の値は、ブドウ糖濃度に比例するため、A/D変換は、ブドウ糖信号とも呼ばれる。
【0045】
このようにして、代表的な実施形態によれば、16個のA/D変換が、電流試料時間間隔T中に獲得でき、かつ検査計測器200のメモリ部分に保存できる。電流試料は、その場合、電流試料時間間隔T中に獲得された16個のA/D変換の平均又は合計を使用して計算できる。ノイズを減少させるための本発明の実施形態において、電流試料は、電流試料時間間隔T中に獲得された16個のA/D変換の一部の平均又は合計を使用して計算できる。
【0046】
本発明の実施形態において、「電流の読み取り」を測定する時にノイズを減少させるための16個のA/D変換の一部を、どのように選択するかを示す方法が記載される。他の実施形態によれば、ノイズフィルタリング工程のために獲得された16個の試料の1つ以上を排除することが望ましいことがある。更に、所望の性能目標、及び統計的に有意な目的を達成するために、16個より多いか、又は少ないA/D変換を使用することも望ましいことがある。
【0047】
一般的に、ノイズを減少させるための代表的な方法は、複数のA/D変換を平均することである。しかしながら、ノイズがガウス分布を取る時、平均化は有効にノイズを減少させる。ノイズが、ガウス分布を取らない状況に関しては、ノンパラメトリック方法が、ノイズ減少を補助するために使用できる。ガウス分布を取らないノイズの例は、静電放電事象と、電灯のスイッチからの信号と、携帯電話である。代表的な実施形態において、電流試料時間間隔T中に収集された16個のA/D変換値が、図9に示すようなそれらの大きさに基づき、順位付けできる。16個のA/D変換全部を単に平均する代わりに、複数の受容されたA/D変換を残して、少なくとも最高のA/D変換値と、最低のA/D変換値にフィルタをかけることができる。代表的な実施形態において、許容されたA/D変換のみが、一緒に平均又は合計される。最高及び最低A/D変換値が排除されるので、このことは、静電放電のような短期事象によって引き起こされ得る極端な異常値に対して、平均を確固たるものにする。一般に、極端な異常値は、平均を著しく混乱させ、ガウス統計を効果的でなくする傾向がある。16個の試料は、記載したシステムにおいて良好な性能を提供するが、本発明は、16個の試料に限定されない。フィルタの所望の性能及び用途に応じて、他の数の試料が、より効果的であるか、又は効果的でないと認められ得る。
【0048】
もう1つの代表的な実施形態において、図9に示すように、8つの受容されたA/D変換を残して、4つの最高A/D変換と、4つの最低A/D変換にフィルタをかけることができる。図9は、高い及び低いフィルタをかけたゾーン120と、許容されたゾーン122を示す。フィルタをかけたゾーン122は、平均化のために使用される8つの残りの試料を示し、他方でゾーン120は、排除される8つの試料を示す。検査計測器200のマイクロプロセッサは、電流試料時間間隔T中に獲得された、8つの許容されたA/D変換を一緒に平均又は合計することによって電流試料を計算できる。次に、全部が電流の読み取り時間間隔T中に獲得された、電流の読み取りが、(この場合に合計64のA/D変換である、時間Tの)8つの電流試料を一緒に平均又は合計することによって、計算できる。電流の読み取りの計算後、最終電流値が、全部が第1作業電極の最終電流値時間間隔T2a、又は第2作業電極の最終電流値時間間隔T2b中に獲得された、(この場合に合計320のA/D変換である)5つの電流読み取りを一緒に平均又は合計することによって計算できる。代表的な実施形態において、テストストリップに生理液が投入されたか判定するために、電流の読み取りと最終電流値とを使用し、ブドウ糖濃度を計算し、エラー捕捉手続きを実行し、かつESD(静電放電)が検査計測器に注入される時にブドウ糖検査が開始することを防ぐ方法が記載される。更に、他の代表的な実施形態によれば、異なる数のA/D変換と、試料と、読み取りとが使用できる。同様に、本発明の範囲から逸脱することなく、単一の作業電極又は2つ以上の作業電極を使用することが可能である。
【0049】
代表的な実施形態において、第1作業電極の最終電流値と、第2作業電極の最終電流値が、一緒に合計され、総計を与えることができる。ブドウ糖アルゴリズムは、ディスプレイ202に出力できるブドウ糖濃度を発生させるために、総計から(全般的な背景ノイズを示し、かつそれ故にバイアスを示す)背景値を引き、その後(公知のブドウ糖濃度/電流曲線又はデータに装置を較正する)較正勾配の割り算が続くステップを含んでよい。電流試料の計算で4つの最高及び4つの最低A/D変換にフィルタをかける、代表的な実施形態の方法を使用することによって、十分に精密かつ正確であるブドウ糖濃度が、計算できる。これは、1つのブドウ糖濃度判定方法であるが、参照表と、他の数式を含む他の方法を、最終計算を提供するために適用できる。同様に、他の工程が、他のタイプの分析物に使用できる。
【0050】
テストストリップ100用に測定される検査電流は、生理液によって検査する時に通常存在する、図2に示すように特徴のある形状を有する。特徴のある形状が、存在しないならば、このことは、通常システム欠陥又は利用者エラーを示す。具体的には、図2は、漸進的な減衰が続く、最高ピーク値を形成する検査電流の例を示す。代表的な実施形態において、エラー捕捉方法は、テスト電流が最高ピーク時間T後に増加しないことを確認することを含んでよい。エラー捕捉方法は、液をテストストリップ100に適用した後、図5に示すように最高ピーク値時間を判定し、かつ1秒の間隔で電流の読み取りを測定することを含んでよい。エラー捕捉方法は、電流の読み取りより直前の電流の読み取りが、例えば約100ナノアンペアのようなエラー閾値未満であるならば、欠陥がないことを判定してよい。エラー捕捉方法は、直前の電流読み取りが、最高ピーク値時間後に測定された限りにおいて、1秒の間隔で測定された全ての電流読み取りに対して実行できる。例として、ICRk−ICRk−1≦100ナノアンペア(式中、ICRkは、k秒での電流読み取りであり、かつICRk−1は、k−1秒での電流読み取りである)である場合、時間によって電流が特徴なく増加するために、エラーはない。しかしながら、ICRk−ICRk−1>100ナノアンペアならば、検査計測器200は、ディスプレイ202にエラーメッセージを出力することにより、ブドウ糖濃度を出力しない。同様に、他のデータ完全性又はエラー捕捉方法が、本発明の範囲から逸脱することなく適用できる。
【0051】
もう1つの代表的な実施形態において、簡略化されたエラー捕捉方法を使用できる。この簡略化された実施形態において、2つの電流読み取りのみが、4秒及び5秒で使用される。4秒での電流読み取りは、5秒での電流読み取りから引くことができる。ICR5−ICR4≦100ナノアンペア(式中、ICR5は、5秒での電流の読み取りであり、かつICR4は、4秒での電流の読み取りである)である場合、時間によって電流が特徴なく増加するために、エラーはない。しかしながら、ICR5−ICR4>100ナノアンペアである場合、検査計測器200は、ディスプレイ202にエラーメッセージを出力し、ブドウ糖濃度を出力しない。この簡略化した代表的な実施形態において、電流読み取りは、エラー捕捉アルゴリズムを簡略化するために、1、2、及び3秒で使用されない。その上、最高ピーク時間Tも、この実施形態において計算されない。
【0052】
代表的な実施形態は、外来事象によって引き起こされた電流信号と、測定エラーを示すような、所望の情報を提供する電流信号を識別するのに特に有用である。外来事象は、種々の源、事象又は条件から来ることがあり、かつ一般に検査計測器200のような検査計測器の正常な使用中に起きる。代表的な外来事象には、静電放電と、例えば無線周波数又はマイクロ波周波数の放射のような、電磁放射を含む。電話、電子レンジ、ラジオ又はその他の家電製品のような電子装置の使用は、潜在的に外来信号を引き起こし得る。同様に、電灯のスイッチの切り替え、温度調節器の切り替え、及び電子式リレー等が、オン及びオフになる他の活動のような共通事象は、外来信号を引き起こし得る。
【0053】
代表的な実施形態によれば、特定の外来信号は、何らかの方法で特徴付けることができ、かつ外来信号と、所望の信号を識別するために使用できる。この方法での特徴付けは、好ましくは、外来信号の大きさ、期間及び時期(タイミング)(独立して、又は組み合わせて)に関する。一般的に、外来信号又は事象の特性行動は、信号を外来のものであると特定するために使用できる。この行動は、固有の値であってもよく、又は例えば傾向又は経時的に変化する条件に関連してもよい。
【0054】
外来信号の1つのタイプは、静電放電に関する。低い相対湿度が存在する場合のような、ある条件下で、利用者は、大量の静電荷を帯びることがある。それ故に、かかる利用者は、検査計測器に接続されたテストストリップに接触する時、検査計測器に静電エネルギーを潜在的に注入することがある。この予期せぬエネルギーによって、乾燥テストストリップ上でブドウ糖テストをメータに開始及び実行させ得る、十分に大きな電流を計測器に測定させることになり得る。テストストリップ内にブドウ糖がないので、計測器は、測定されたテスト電流が低すぎるためにエラーメッセージを出力する。一般に利用者は、計測器がエラーメッセージを発生させる時に、テストストリップを廃棄するように指示される。乾燥テストストリップに実際には欠陥がなく、かつそれ故に不必要に捨てられるので、ESD(静電放電)が、誤ってブドウ糖テストを引き起こすことは全く望ましくない。
【0055】
もう1つの代表的な実施形態において、ESDが、ブドウ糖検査を引き起こすことを防止する方法が記載される。この題材は、「生理液の検査方法」(METHODS FOR MEASURING PHYSIOLOGICAL FLUIDS)という題名の、本明細書と同日に出願され、かつ全体が本明細書に参考として組み込まれる、米国出願第11/252296号(代理人の事件整理番号LSI0147(DDI−5114))明細書にも記載されている。使用の際に、一旦テストストリップ100が、ストリップポートコネクタ214に挿入されると、検査計測器200は、好ましくは液検出モードを開始する。液検出モード中、検査計測器200は、好ましくは少なくとも第1作業電極12及び基準電極10の間の検査電位を加える。使用される検査電圧は、一般的に特定の検査計測器及び使用されるテストストリップによって決まり、かつ例示した計測器200の適切な検査電圧は、約400ミリボルトである。
【0056】
液検出モード時間間隔TFDには、生理液が入口90に適用される前の時間を含み、かつ図5に例示されるようなゼロ未満である時間間隔として示される。液検出モード時間間隔TFD中に、検査計測器200は、一の電流読み取りが、閾値を超えていることを字発見するまで、好ましくは所定の周波数で電流の読み取りを、連続的に測定する。例として、20ミリ秒毎に約1回から、100ミリ秒毎に約1回の範囲の測定周波数が使用できる。血液をテストするために使用できる閾値は、約150ナノアンペアである。テストストリップ100が最初乾燥している場合、検査計測器200は、ゼロ検査電流値、又は閾値未満の低い検査電流値を測定する。一旦液が適用されると、検査計測器は、第1作業電極12及び基準電極10の間の抵抗減少による、電流の読み取りの増加を測定する。図5に示すように、この電流増加により、計測器において検査時間間隔T1が開始する。
【0057】
予防策として、図5に示すように、一旦検査計測器200が、閾値より大きな少なくとも1つの電流の読み取りを測定すると、検査計測器200は、好ましくは、代表的な実施形態によってESDチェックモードに入る。ESDチェックモードにおいて、検査計測器200は、好ましくは、ESDチェック時間間隔TESD用の電位を加え続ける。ESDチェックモード中に、検査計測器200は、好ましくは、所定の予定通りに、電流の読み取りを連続的に測定する。例えば、20ミリ秒毎に1回の測定が使用できる。ESDチェック時間間隔TESD中に測定された電流の読み取りのいずれかが、閾値よりも小さい場合、検査計測器200は、好ましくは、液検出モードに戻る。ESDチェック時間間隔TESD中に測定された電流読み取りの全てが、閾値よりも大きい場合、検査計測器200は、ブドウ糖検査を継続する。
【0058】
血液のような生理液が、テストストリップ100に適用される場合に、図4に示すように、検査電流が、約1秒増加することが見られる。従って、検査計測器200は、第1作業電極12及び基準電極10の間の抵抗が減少するため、約150ナノアンペアよりも大きい電流読み取りの増加を測定する。このことによって、好ましくは、計測器が液検出モードからESDチェックモードに移らせることができる。一般に、検査電流は、ESDチェック時間間隔TESDの間、150ナノアンペアよりも大きい状態に止まり、ブドウ糖検査が、テスト時間間隔T1を通して続行されることが可能となる。
【0059】
十分に大きなESDが、検査計測器200に注入された場合に、計測器に液検出モードからESDチェックモードに移らせる、閾値よりも大きい電流の読み取りが、測定できる。一般にESDにより発生した検査電流は、急速に消散し、一般に約100ミリ秒の範囲で減衰する過渡的スパイクを生成する。このことは、検査電流が、特定の液に対して公知の時間(血液に対して約1秒)、150ナノアンペアの閾値を超えて増加し続ける、血液のような検査液によって引き起こされる検査電流の増加と対照的である。それ故に、ESDが、検査計測器200に注入される時、ESDチェック時間間隔TESD中に測定された電流の読み取りの少なくとも1つが、閾値未満でなければならない。ESDチェック時間間隔TESDが終了する時、警告(フラグ)がチェックされ、フラグが設定されていた場合、操作は再度試料を探すために戻る。警告が設定されていない場合、液測定は、好ましくは下記のように継続する。
【0060】
好ましくは、血液のような液が、測定される場合、ESDチェック時間間隔TESDは、約100ミリ秒〜約1秒の範囲であり、かつ好ましくは約200ミリ秒である。ESDチェック時間間隔TESDの下端は、約100ミリ秒であるESDの典型的な消散時間に基づくが、いずれかの所望の外来事象の消散時間のような典型的な特性に基づいてよい。ESDチェック時間間隔TESDの上端は、好ましくは、検査計測器200が、検査が進行中であることを利用者に知らせる必要がある前の、利用可能な時間の量に基づく。例えば、検査計測器が、ブドウ糖検査を実行する時、テスト時間間隔T1の秒読みは、一般に検査計測器200のディスプレイに整数値で出力される。1秒がディスプレイ上で経過した後、利用者は、ブドウ糖検査が進行中であると考える。従って、十分に大量のESDが、検査計測器200に注入される時、ディスプレイが、ブドウ糖検査の1秒が経過したことを示す時のように、テストが進行中であるという、何らかの表示を、利用者が有する前に、液検出モードに戻るべきであることを、判定することが必要である。
【0061】
計測器200のような計測器は、最初の入力(トリガー)の読み取り(所定の閾値を超える測定)後に、計測器が、ある所定の期間、電流を観察し続けるようにプログラムできる。閾値は、例えば試料の存在を示す電流レベルであってよい。観察期間中に、電流が入力閾値未満に下がる場合、計測器は警告を設定する。観察時間が終了する時、警告はチェックされ、警告が設定された場合には、操作は、再度試料を探すために戻る。電流がこの期間全体にわたって閾値を超えたままであるならば、検査試料電流読み取りが、正常であるとして処理できる。一旦ESDが最初に検出されて戻る代わりに、ESDチェック期間全体で電流を観察することは、ESDパルスのすべての信号が、計測器が他の読み取りを試みる前に、減衰する時間を有することを確実にする。
【0062】
ESDチェックに関連して開示された時間間隔及び電流の大きさが、開示されたものに限定されないことに注意すべきである。本発明の範囲から逸脱することなく他の値が使用できる。
【0063】
示した詳細な図、固有の実施例、及び特定の公式は、代表的な実施形態を記載するが、それらは、例証のみの目的を果たす。記載された本発明の実施形態の種々の代替案が、本発明を実施する際に使用できることを理解すべきである。以下の請求項が、本発明の範囲を定義し、かつこれらの請求項の範囲内の構造、及びその同等物が、請求項の範囲内にあることが意図される。示され、かつ記載されたハードウェア及びソフトウェアの構成は、算出及び分析装置の選択された性能特性、及び物理的特性に応じて異なってよい。例えば、使用される算出装置、コミュニケーションバス、又はプロセッサのタイプは、異なってよい。示され、かつ記載されたシステムは、開示された精密な詳細及び条件に限定されない。提供された方法のステップは、それらがリストに記載された順序に限定されず、かつ本発明の範囲から逸脱することなく、発明の工程を行うようないかなる方法でも順序付けできる。更に、添付の請求項に表現されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の置き換え、修正、変更及び省略が、代表的な実施形態の設計、操作条件、及び配置においてなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の中の分析物の濃度を判定するシステムであって、
電圧を加えるため、少なくとも一対の電極を有する液体の試料を受け取る液受け装置と、
プロセッサと、前記プロセッサに結合されたメモリと、前記液受け装置の前記電極に結合されたアナログ/デジタル変換器と、を含み、前記アナログ/デジタル変換器が前記液受け装置から受け取ったアナログ信号をサンプリングする計測器と、
メモリに保存され、かつ前記プロセッサの上で作動するプログラムであって、複数のアナログ/デジタル変換を保存し、大きさに基づいて前記複数のアナログ/デジタル変換を並べ替え、最高のアナログ/デジタル変換値の少なくとも1つを排除し、残りのアナログ/デジタル変換を合計し、前記合計を前記分析物の濃度測定に変換するプログラムと、を含むシステム。
【請求項2】
前記複数のアナログ/デジタル変換の第1部分が、第1電極対からサンプリングされ、かつ前記複数のアナログ/デジタル変換の第2部分が、第2電極対からサンプリングされる請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
生理液の中での分析物の濃度の判定方法であって、
検査計測器によって生理液試料を受け取るステップと、
電流を前記生理液試料の中に通すステップと、
複数のアナログデジタル(A/D)変換を形成するため、複数回電流の大きさをサンプリングするステップと、
前記大きさに基づいて、前記複数のA/D変換の一部を廃棄するステップと、
残りのA/D変換に基づいて、前記分析物の前記濃度を得るステップと、を含む方法。
【請求項4】
最大電流ピーク時間を判定するステップと、
時間間隔中に、前記最大電流ピーク時間の後の電流の変化を判定するステップと、
更に、前記電流の変化に基いてエラーを選択的に表示するステップと、を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
初期の電流の読み取りが、液体検出モードにおいて所定の閾値よりも大きいか否かを判定するステップと、
チェック時間間隔中に、前記電流を測定するステップと、
更に、前記電流が前記チェック時間間隔中に前記閾値未満に下がる場合、前記液体検出モードに戻るステップと、を含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
液体の中の分析物の濃度をする組み立て品であって、
電圧を加えるために少なくとも一対の電極を有する液体の試料を受け取るための少なくとも1つのテストストリップと、
プロセッサと、前記プロセッサに結合されたメモリと、液受け装置の電極に結合されたアナログ/デジタル変換器と、を含み、前記アナログ/デジタル変換器が前記液受け装置から受け取るアナログ信号をサンプリングする計測器と、
メモリに保存され、かつ前記プロセッサの上で作動するプログラムであって、複数のアナログ/デジタル変換を保存し、大きさに基づいて複数のアナログ/デジタル変換を並べ替え、最高のアナログ/デジタル変換値の少なくとも1つを排除し、残りのアナログ/デジタル変換を合計し、前記合計を前記分析物の濃度測定に変換するプログラムと、を含む組み立て品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−232360(P2011−232360A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181483(P2011−181483)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【分割の表示】特願2006−281230(P2006−281230)の分割
【原出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America