説明

ブラインドのスラット昇降装置

【課題】チルト角度の調節動作と、昇降動作のタイミングを複雑な構造の機構を設けることなく、昇降動作のためのクラッチユニットで行えるようにする。
【解決手段】無端状の操作コード5を操作することで出力回転軸26を回転するプーリ3と、クラッチユニット7と、クラッチユニット7から回転力を伝達される昇降軸8と、昇降軸8によって回転駆動され昇降コード12を巻き上げる巻取ドラム13と、昇降コード12によって昇降されるスラットと、ラダーコード25を介してスラットのチルト角度を調節するチルト角度調節機構と、を備え、操作コード5を操作することで、スラット11ーの昇降とラダーコード25の調節を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドのスラットのチルト角度調節を行うとともに、スラットの昇降動作を行うブラインドのスラット昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラインドにおいて、操作コードを操作してプーリを回転駆動し、その駆動力でスラットの角度調節と昇降操作を可能とするスラット駆動装置が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1記載の発明では、操作コードを操作することにより、スラットの角度調節が可能であり、さらに操作コードを操作すると、スラット上昇させることが可能である。操作コードを斜め下方に引いてクラッチ装置を解除することで、自重による下降操作を可能としている。
【0004】
特許文献2記載の発明は、特許文献1記載の発明と同様に、操作コードを引き上げ方向に操作することにより、スラットの角度調節が可能であり、さらに操作コードを操作すると、カム軸を回転させながら回転軸方向に移動させてクラッチを噛み合わせて、スラット上昇させることが可能である。そして、操作コードを引き下げ方向に操作することにより、クラッチを解除して自重による下降操作を可能としている。
【0005】
また、ブラインドにおいて、昇降用シャフトと操作部との間に、操作部がスラットを上昇するよう操作されたときに、径方向に突出して昇降用シャフトと操作部とを連結して一体回転可能とし、操作部がスラットを下降するよう操作されたときに、径方向に引き込んで昇降用シャフトと操作部との間の連結を解除する係合部材を有するクラッチ装置が設けられる構成は知られている(特許文献3参照)。
【0006】
ブラインドにおいて、巻取ドラム内に配置されたクラッチ装置により巻取ドラムを操作部より切離し、自重降下を行う構成が知られている(特許文献4参照)。
【0007】
二重の日射遮蔽材を一本の操作コードでそれぞれ独立して引き上げ操作可能とするとともに、各日射遮蔽材を自重降下により下降操作可能とした昇降装置において、日射遮蔽材の自重降下を阻止する状態と、自重降下を許容する状態とを選択可能とした第一及び第二のストッパーユニットと、操作コードの一方への操作により、第一の日射遮蔽材の引き上げ動作と、自重による下降動作と、自重降下防止動作とを選択可能とする第一のクラッチユニットと、操作コードの他方への操作により第二の日射遮蔽材の引き上げ動作と、自重による下降動作と、自重降下防止動作とを選択可能とする第二のクラッチユニットとを備え、クラッチを作動させる際に必要なクラッチドラムと回転ドラムを、ストップバネをもちいることで動作の確実性を向上させている構成が知られている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−202482号公報
【特許文献2】特許第3378813号公報
【特許文献3】特許第4074420号公報
【特許文献4】特許第3691331号公報
【特許文献5】特許第4119692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来例のスラット昇降装置は、次のような課題がある。例えば、特許文献1記載の発明では、自重により下降操作するためには、操作コードを斜め下に引く必要があり、操作が面倒である。
【0010】
特許文献2記載の発明では、クラッチを構成するカム軸は、上部ケース内面にスライド球を案内するカム溝を対面させた状態で、回転しながらコイルスプリングの付勢力に抗して、軸方向にクラッチ板とともに移動しクラッチを解除し、自重による下降を行う構成である。
【0011】
このような構造であると、降下方向への操作の際に、カム溝とボールとの周上の位置によって、カム溝の降下ラインまでの距離が異なり、降下させるために操作コードを引かなくてはならない量(引き量)にバラツキが生じ、操作感に統一感がない。また、カム溝の回転に伴って、噛み合い状態と解除状態を行うために、左右の操作位置での部材の共通化ができない。
【0012】
特許文献3では、降下操作後、操作コードをそれ以上引くことができない。クラッチバネを設けているが、このクラッチバネの作用により、降下方向への操作コードを引き続けることができない。無理に操作しようとした場合には、操作プーリからの入力が伝わり、破損の恐れがある。
【0013】
特許文献4記載の発明では、各巻取ドラムにクラッチ装置を設ける必要があるので、製品の幅が広くなると、巻取ドラムの数を増やさなくてはならず、部品数量が増加してしまう。そして、昇降操作時には、各ドラムのクラッチ装置に設けたクラッチバネを緩める必要があり、巻取ドラム数が増加することにより、操作抵抗が大きくなり、操作するために必要な力が増加する。
【0014】
また、特許文献4記載の発明では、特許文献3同様に、クラッチバネを設けており、このクラッチバネの作用により、降下方向への操作コードを引き続けることができないので、降下操作後、操作コードをそれ以上引くことができない。
【0015】
特許文献5記載の発明では、クラッチドラムと回転ドラムとの間において、シャフトにストップバネが巻着されており、ストップバネの縮径によりシャフトを締め付けてクラッチドラムの回転を阻止し、ストップバネを緩めてクラッチドラム及びストップバネが回転ドラムと一体に回転する構成である。
【0016】
しかし、このストップバネの作用はストップバネの先端部の角度内でしかクラッチが作動するまでの空転角をクラッチ内部でとることができない。それにより、操作時の引き上げ操作あるいは下降操作の際の始動のタイミングをクラッチ内で大きくとることができない。すなわち、操作者の意図としない少しの操作量で下降操作が発生するおそれがあり、問題がある。
【0017】
本発明は、一本の操作コードでスラットのチルト角度の調節動作と昇降動作を簡単な操作で確実にすることが可能であり、特に、スラットのチルト角度の調節動作と、昇降動作のタイミングを複雑な構造の機構を設けることなく、昇降動作のためのクラッチユニットで行えるようにすることで、構成を簡単として、製作及び調整が簡単なブラインドのスラット昇降装置を実現することを課題とする。
【0018】
さらに、本発明は、従来の昇降装置における次のような問題を解決することを目的とする。
(1)左右の操作位置を変更できない点。
(2)円筒カムの位置により操作コードの引き量にバラツキがある点。
(3)降下後、降下方向への操作コードの操作ができない点。
(4)部品点数が多い点。
(5)ストップバネを用いた機構では空転角を設けられる角度が限られる点。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記課題を解決するために、無端状の操作コードを操作することで出力回転軸を回転するプーリと、クラッチユニットと、クラッチユニットから回転力を伝達される昇降軸と、昇降軸によって回転駆動され昇降コードを巻き上げる巻取ドラムと、昇降コードによって昇降されるスラットと、ラダーコードを介してスラットのチルト角度を調節するチルト角度調節機構と、を備え、操作コードを操作することで、スラットの昇降とラダーコードの調節を行うことのできるブラインドのスラット昇降装置において、クラッチユニットは、センター軸と、センター軸に対して軸方向に摺動可能なリンクベース軸と、リンクベース軸に設けられたリンクベース歯車と、リンクベース軸の後端に固定された駆動爪板と、を備えているとともに、駆動爪板に対向し昇降軸に固定され駆動爪板と係脱可能な被駆動爪板と、を備え、センター軸、リンクベース軸、リンクベース歯車及び駆動爪板は、出力回転軸と同軸上に設けられ出力回転軸と共に回転する構成であり、チルト角度調節機構は、リンクベース軸と平行に設けられ軸心を中心に回転可能なチルト軸と、ラダーコードを上下方向に操作するラダードラムと、を備え、操作コードを一方向に操作することによりベース軸を回転し、リンクベース歯車及びチルト軸を介してラダードラムを動作させてチルト角度の調節を行い、クラッチユニットは、チルト角度の調節完了後に、駆動爪板と被駆動爪板の係合及び該係合による昇降軸の回転が行われるように、センター軸に対してリンクベース軸を軸方向に摺動する構成であることを特徴とするブラインドのスラット昇降装置を提供する。
【0020】
本発明は上記課題を解決するために、無端状の操作コードを操作することで出力回転軸を回転するプーリと、クラッチユニットと、クラッチユニットから回転力を伝達される昇降軸と、昇降軸によって回転駆動され昇降コードを巻き上げる巻取ドラムと、昇降コードによって昇降されるスラットと、ラダーコードを介してスラットのチルト角度を調節するチルト角度調節機構と、を備え、操作コードを操作することで、スラットの昇降とラダーコードの調節を行うことのできるブラインドのスラット昇降装置において、クラッチユニットは、センター軸と、センター軸に対して軸方向に摺動可能なリンクベース軸と、リンクベース軸に設けられたリンクベース歯車と、リンクベース軸の後端に固定された駆動爪板と、を備えているとともに、静止と回転が可能なカムホイールと、カムホイールで案内されリンクベース軸をセンター軸に対して軸方向に摺動させるリンクアームと、駆動爪板に対向し昇降軸に固定され駆動爪板と係脱可能な被駆動爪板と、を備え、センター軸、リンクベース軸、リンクベース歯車及び駆動爪板は、出力回転軸と同軸上に設けられ出力回転軸と共に回転する構成であり、チルト角度調節機構は、リンクベース軸と平行に設けられ軸心を中心に回転可能なチルト軸と、ラダーコードを上下方向に操作するラダードラムと、を備え、操作コードを一方向に操作することによりベース軸を回転し、リンクベース歯車及びチルト軸を介してラダードラムを動作させてチルト角度の調節を行い、クラッチユニットは、チルト角度の調節完了後に、駆動爪板と被駆動爪板の係合及び該係合による昇降軸の回転が行われるように、カムホイールでリンクアームを案内してセンター軸に対してリンクベース軸を軸方向に摺動する構成であることを特徴とするブラインドのスラット昇降装置を提供する。
【0021】
本発明は上記課題を解決するために、無端状の操作コードを操作することで出力回転軸を回転するプーリと、クラッチユニットと、クラッチユニットから回転力を伝達される昇降軸と、昇降軸によって回転駆動され昇降コードを巻き上げる巻取ドラムと、昇降コードによって昇降されるスラットと、ラダーコードを介してスラットのチルト角度を調節するチルト角度調節機構と、を備え、操作コードを操作することで、スラットの昇降とラダーコードの調節を行うことのできるブラインドのスラット昇降装置において、クラッチユニットは、出力回転軸と同軸上に設けられ出力回転軸と共に回転するクラッチバネリリースと、センター軸と、センター軸に対して軸方向に摺動可能なリンクベース軸と、リンクベース軸に設けられたリンクベース歯車と、リンクベース軸の後端に固定された駆動爪板と、を備えているとともに、駆動爪板に対向し昇降軸に固定され駆動爪板と係脱可能な被駆動爪板と、定置されたキーパプレートと、キーパプレートの内周面を一定角度範囲で回転可能なクラッチバネ軸と、クラッチバネ軸の内周面に弾力で圧接され両端に折り曲げ部を有するクラッチバネと、内面にカム溝が形成されリンクベース軸を中心に回転可能なカムホイールと、カム溝を倣いながらリンクベース軸を中心に回転可能なリンクレバーと、リンクレバーとリンクベース軸がともに回転可能に、かつリンクベース軸が軸方向に移動可能にリンクレバーとリンクベース軸を連結するリンクアームと、を備えており、チルト角度調節機構は、リンクベース軸と平行に設けられ軸心を中心に回転可能なチルト軸と、チルト軸の前端に設けられリンクベース歯車と噛み合う前側チルト歯車と、チルト軸の後端に設けられリンクベース歯車と噛み合う後側チルト歯車と、後側チルト歯車と噛み合い昇降軸を中心に回転可能なラダー歯車と、ラダー歯車と共に回転しラダーコードの上端を固定したラダードラムと、を備えており、操作コードを一方向に操作することによりベース軸を回転し、リンクベース歯車及びチルト軸を介してラダードラムを動作させてチルト角度の調節を行い、クラッチユニットは、チルト角度の調節完了後に、駆動爪板と被駆動爪板の係合及び該係合による昇降軸の回転が行われるように、カムホイールでリンクアームを案内してセンター軸に対してリンクベース軸を軸方向に摺動する構成であることを特徴とするブラインドのスラット昇降装置を提供する。
【0022】
前記カムホイールは、大径部と小径部が変曲点で連なった環状のカム溝を有し、リンクアームが大径部に対応する位置にある間はカムホイールは静止状態であるが、小径部に対応する位置にある間は、リンクアームとともに回転可能な構成とすることが好ましい。
【0023】
カムホイールは、クラッチバネの折り曲げ部と係合する係合突起を備え、リンクアームの回転に応じてカムホイールが回転すると係合突起及びクラッチバネを介して所定角度の範囲内でクラッチバネ軸を回転し、クラッチバネ軸がキーパプレートの一部と係合して停止した状態において、クラッチバネリリースがクラッチバネ及び係合突起に当接してクラッチバネを縮径して、クラッチバネ及びカムホイールを回転させる構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、一本の操作コードでスラットのチルト角度の調節動作と昇降動作を簡単な操作で確実にすることが可能である。特に、チルト角度の調節動作と、昇降動作のタイミングのために、チルト専用のクラッチ等の複雑な構造の機構を設けることなく、昇降動作のためのクラッチユニットにおいて行えるようにすることができる。従って、構成が簡単となり、製作やメインテナンスが簡単となるという経済的な効果も生じる。
【0025】
さらに、本発明によれば、次のような効果が生じる。
(1)降下操作も操作コードを引くことができる。すなわち、降下操作後、更に降下方向へ操作コードを引くことが発生してもクラッチ装置には力が伝わらずクラッチ装置の破壊を防ぐことができる。
(2)降下方向への操作距離を一定とすることができ、常に統一した操作感とすることができる。
(3)部材は左右で共通とすることができ、資材の共通化が図れる。
(4)操作部(プーリ、ギアボックス、クラッチユニット、チルト機構等)の左右変換が可能である。それにより、施工時または施工後の操作位置の左右変換が可能とできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るブラインドのスラット昇降装置の実施例の適用されるブラインドの全体構成の正面図及び側面図を示す。
【図2】本発明に係るブラインドのスラット昇降装置の実施例の構成の概要を説明するための斜視図である。
【図3】本発明に係るブラインドのスラット昇降装置の実施例の構成のクラッチユニットの分解斜視図である。
【図4】本発明に係るブラインドのスラット昇降装置の実施例のクラッチユニットの斜視図である。
【図5】上記実施例のクラッチユニットのカムホイール及びクラッチバネ軸の斜視図である。
【図6】上記実施例のクラッチユニットのキーパプレート、クラッチバネ軸及びクラッチバネの構成を説明する図である。
【図7】上記実施例のクラッチユニットのカムホイールの構成を説明する図である。
【図8】本発明に係るブラインドのスラット昇降装置の実施例の引き上げ動作を説明する模式図である。
【図9】本発明に係るブラインドのスラット昇降装置の実施例の引き上げ動作を説明する模式図である。
【図10】本発明に係るブラインドのスラット昇降装置の実施例の引き上げ動作を説明する動作タイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係るブラインドのスラット昇降装置を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。なお、説明の都合上、「前」及び「後」という用語を使用するが、「前方」は、例えば図1〜3において、プーリ方向(紙面の右方向)であり、「後方」はプーリとは逆方向(紙面の左方向)である。
【実施例1】
【0028】
本発明に係るブラインドのスラット昇降装置(以下、単に「スラット昇降装置」という)の実施例1の全体構成を図1及び図2において説明する。
【0029】
このスラット昇降装置1は、無端状の操作コード5で回転駆動されるプーリ3と、ギアボックス6内に設けられプーリ3の回転出力を減速する減速歯車機構と、クラッチユニット7と、昇降軸8と、昇降軸8とともに回転しスラット11の昇降を行う昇降コード12を巻き取る巻取ドラム13と、チルト角度調節機構16とを備え、これらはヘッドボックス2内に設けられている。
【0030】
チルト角度調節機構16は、昇降軸8に平行に配置されたチルト軸17と、昇降軸8に回転可能に設けられたラダードラム18と、昇降軸8に対して回転可能に設けられかつラダードラム18にラダークラッチ24を介して同軸的に設けられたラダー歯車21と、後記するリンクベース歯車33と噛み合いチルト軸17の前端に同軸的に固定された前側チルト歯車22と、チルト軸17の後端に同軸的に固定されラダー歯車21と噛み合う後側チルト歯車23と、ラダードラム18に上端がそれぞれ固定されラダードラム18の回転によって上下に移動しスラット11のチルト角度を調節する2本のラダーコード25と、を備えている。
【0031】
次に、クラッチユニット7の構成を図1〜7において説明する。クラッチユニット7は、ギアボックッス6に前端が取り付けられる主ケース27と、主ケース27の後端に取り付けられる副ケース28を備えており、クラッチユニット7を構成する機構部がこれらの主ケース27と副ケース28内に納められている。
【0032】
クラッチユニット7は、減速歯車機構の出力回転軸26と同軸上に、センター軸31と、センター軸31に対して軸方向に摺動可能でありかつ共に回転するリンクベース軸32と、リンクベース軸32と一体で回転するリンクベース歯車33と、リンクベース軸32の後端に固定された駆動爪板36と、駆動爪板36に対向し昇降軸8の前端に固定された被駆動爪板37と、が設けられている。
【0033】
リンクベース歯車33、リンクベース歯車33と噛み合う前側チルト歯車22、駆動爪板36及び被駆動爪板37は、図4に示すように、副ケース28内に設けられている。また、昇降軸8及びチルト軸17は、副ケース28に回転可能に支持され、副ケース28から後方に伸び出すように設けられている。
【0034】
なお、34はリベットであり、35はホイールカラーである。リベット35はリンクベース歯車33に軸方向に移動可能に係合するものであり、ホイールカラー35は昇降軸8及びチルト軸17をそれぞれの延び足しするための接続具である。
【0035】
以上のような構成において、その動作の概要は、次のとおりである。減速歯車機構の出力回転軸26の一方向の回転出力をセンター軸31で受けて、この回転を、リンクベース歯車33、前側チルト歯車22、チルト軸17、ラダー歯車21及びラダークラッチ24を介してラダードラム18に伝達してスラット11のチルト角度調節を行う。
【0036】
また、出力回転軸26の回転開始から一定のタイミングをおいて、センター軸31に対してリンクベース軸32を軸方向に移動させて、スラット11のチルト角度調節が完了してから、駆動爪板36と被駆動爪板37を噛み合わせて昇降軸8を回転することで、巻取ドラム13で昇降コード12を巻き取り、スラット11の引き上げを行う。
【0037】
さらに、駆動爪板36と被駆動爪板37の噛み合い状態において、減速歯車機構の出力回転軸26からの他方向の回転出力をセンター軸31で受けて、駆動爪板36と被駆動爪板37の噛み合いを切り離して、スラット11の自重降下を可能とする。
【0038】
本発明のスラット昇降装置1における特徴は、駆動爪板36と被駆動爪板37の噛み合わせ及び切り離しをクラッチユニット7にて行うが、この噛み合わせ及び切り離しをチルト角度調節機構16によるスラット11のチルト角度調節の後で行い、しかもそのタイミングをクラッチユニット7にて行うようにした構成である。以下、そのためのクラッチユニット7の構成を中心に説明する。
【0039】
減速歯車機構の出力回転軸26の外面に、クラッチバネリリース38が嵌合されて取り付けられている。クラッチバネリリース38は、その外周面に突起39を有する。出力回転軸26の外周面の一部に扁平面が形成されている。一方、出力回転軸26に嵌合するクラッチバネリリース38の孔の内周面の一部に扁平面が形成されている。従って、クラッチバネリリース38は、出力回転軸26と一体で回転する。
【0040】
減速歯車機構の出力回転軸26の内側には、軸心を中心にした断面正方形の嵌合孔が形成されている。一方、センター軸31の前端側には、外面が断面正方形の嵌合部が形成されている。センター軸31の嵌合部が減速歯車機構の出力回転軸26の嵌合孔に嵌合し、両者が一体に回転するように構成されている。
【0041】
センター軸31の後端側には、図3に示すように、スプライン状の外面が形成されており、リンクベース軸32の軸心に形成されたスプライン孔(図示せず)と嵌合している。これによって、上記のとおりリンクベース軸32は、センター軸31に対して軸方向に移動可能であるが、センター軸31と一体に回転するように構成されている。リンクベース軸32には、その外面にリンクアーム枢着部40が形成されている(図3、図4参照)。
【0042】
主ケース27の前端側の内面には、図4に示すように、円筒状のキーパプレート41がセンター軸31と同心で固定されている。キーパプレート41の内周面には、図5(a)、図6(a)に示すように、周方向に沿って大径部42と小径部43が形成されている。小径部43は、周方向に沿う一部の領域に形成されており、大径部42より中心側に突出した部分となっている。
【0043】
図5及び図6に示すように、センター軸31の外周囲に位置して、しかもキーパプレート41の内周面に、一定の角度(空転角。図8参照)の範囲内で回転可能に嵌合するように、クラッチバネ軸46が設けられている。クラッチバネ軸46は、円筒部47とフランジ48から一体に形成されている。
【0044】
円筒部47には、図5及び図6(a)に示すように、その外周面の円周方向の一部に大径部51が形成されている。円筒部47の大径部51がキーパプレート41の大径部42の内周面に回転可能に嵌合するが、円筒部47の大径部51がキーパプレート41の小径部43に当接すると、クラッチバネ軸46の回転は規制される。
【0045】
円筒部47の内周面には、 クラッチバネリリース38の外周囲に位置し、常時は拡開する方向に付勢されたコイルスプリングから成るクラッチバネ52が弾力的に当接して装着されている。クラッチバネ52の両端は、その中心方向に折り曲げられた折り曲げ部53となっている。
【0046】
図4に示すように、キーパプレート41の後面と主ケース27の後壁56の間に、カムホイール57が、センター軸31及びクラッチバネ軸46を中心に、主ケース27の内周面に回転可能に嵌合するように設けられている。カムホイール57は、ともに円筒状に形成された前部カムホイール57Aと後部カムホイール57Bとから一体かつ半割可能に形成されている。
【0047】
前部カムホイール57Aの前面から、図3、図7(a)に示すように、前方に突出する係合突起58が設けられている。この係合突起58は、クラッチバネ52の両端の折り曲げ部53の間に位置するように、クラッチバネ軸46の円筒部47内に突出している。
【0048】
前部カムホイール57Aと後部カムホイール57Bの互いに対向する内面には、それぞれ、図7(b)に示すような、全く同じ形状のカム溝61が形成されている。このカム溝61は、平面視で大径部62と、小径部63と、大径部と小径部を結ぶ変径部64とから連続的に形成されている。変径部64のうち、径(曲率)が変わり始める部分を変曲点65という。
【0049】
前部カムホイール57と後部カムホイール57のカム溝61に、それぞれリンクレバー71の前端及びリンクレバー71の後端が摺動可能に嵌合されている。リンクレバー71は、リンクアーム72の上端に枢着されており、リンクアーム72の下端は、リンクベース軸32のリンクアーム枢着部40に枢着されている。
【0050】
後記する作用の説明において詳説するが、リンクレバー71がカム溝61の大径部62に沿って相対的に移動する間は、リンクベース軸32は、センター軸31に対して前方側に引き込まれた位置にあるが、リンクレバー71がカム溝61の小径部63に沿って相対的に移動する間は、リンクベース軸32は、センター軸31に対して後方側に押し込まれた位置となる。
【0051】
このような構成とすることで、リンクベース軸32を、センター軸31に対して前後方向に移動可能とし、駆動爪板36と被駆動爪板37の切り離し及びかみ合いの切替を可能とする。
【0052】
(作用)
以上の構成から成るスラット昇降装置1の作用について、以下説明する。
【0053】
引き上げ動作:
図8及び図9は、スラット昇降装置1の引き上げ動作を説明するための模式図である。また、図10は、スラット昇降装置1の各部分の動作のタイミングを示す動作タイミングチャートである。これらの模式図及び動作タイミングチャート内に記載の(1)〜(4)は、動作の時点を示すが、この(1)〜(4)に従って、引き上げ動作を説明する。
【0054】
(1)動作開始
使用者が操作コード5を一方に操作(引く)すると、プーリ3が回転し、減速歯車機構を介して出力回転軸26を一方向(図8において反時計方向)へ回転する。すると、クラッチバネリリース38、センター軸31、リンクベース軸32及びリンクベース歯車33が反時計方向に回転する。
【0055】
すると、まずチルト調節動作が次のとおり行われる。リンクベース歯車33が回転すると、前側チルト歯車22、チルト軸17、前側チルト歯車22及びラダー歯車21が順次回転し、ラダークラッチ24を介してラダードラム18を駆動して、スラット11のチルト角度調節動作を開始し、複数のスラット11を、上下方向に傾斜した状態又はほぼ水平な状態から、全閉状態(スラット11が上下方向に寝た状態)まで回転する。
【0056】
このような全閉状態となると、チルト軸17の回転は、ラダー歯車21の回転軸とラダードラム18との間に設けたラダークラッチ24により、ラダー歯車21は回転し続けても、ラダードラム18へは伝達できずスラット11の回転は全閉状態で停止する。
【0057】
なお、ラダークラッチ24は、その構造については特に図示はしないが、図8に示すクラッチバネ52と同様の機能を有するクラッチバネを備えており、このクラッチバネによって、ラダー歯車21の回転軸をラダードラム18に伝達したり、伝達しないように動作する。図8は直接にはラダークラッチ24の構成を説明する図ではないが、この図8を参照するとともに、図10の(1)〜(4)のラダークラッチ24の動作も含めて上記ラダークラッチ24の具体的な構成を以下説明する。
【0058】
ラダー歯車21の回転軸(図8では「クラッチバネ軸46」に相当)が回転すると、該回転軸の内周面に弾力的に拡径し圧接して設けられているクラッチバネ(図8では「クラッチバネ52」に相当)が共に回転し、その両端の折り曲げ部がラダードラム18(図8では「カムホイール57」に相当)の係合突起(図8では「カムホイールの係合突起58」に相当)を回転方向に押して、ラダードラム18を回転させ、スラット11のチルト動作を開始させる。
【0059】
そして、スラット11が、上記のとおり全閉状態(スラット11が上下方向に寝た状態)まで回転すると、クラッチバネの折り曲げ部及びラダードラム18の係合突起の回転軌跡上に設けられた非回転に固定された規制突起(図8の突起39は回転するが、これが非回転状態で固定されている構成の突起に相当)に当る。すると、クラッチバネは縮径し、ラダー歯車21は回転(空転)し続けるが、ラダードラム18はその係合突起が規制突起に当っているので回転が停止する。
【0060】
結局、ラダー歯車21側からの時計方向及び反時計方向の回転は、いずれもラダードラム18側へ伝達するが、スラット11が全閉状態(スラットが上下方向に寝た状態)まで回転すると、ラダー歯車21側とクラッチバネの間で空転が生じ、ラダードラム18側へ回転を伝達しない。
【0061】
同時に、スラット11の引き上げのための準備動作が次のとおり行われる。リンクベース軸32が反時計方向に回転すると、リンクアーム72を介してリンクレバー71がカムホイール57のカム溝61の大径部に沿って(倣って)反時計方向に回転する。
【0062】
この場合、カムホイール57の係合突起58は、クラッチバネ52の2つの折り曲げ部53の間に位置している。クラッチバネ52は、クラッチバネ軸46の内周面にその弾力で圧接されている。そして、カムホイール57は、リンクレバー71がカムホイール57のカム溝61の大径部62に沿って滑らかに摺動しているから、カムホイール57は、非回転の静止状態に維持されている。
【0063】
(2)変曲点でのカムホイールの供回り開始
しかし、リンクレバー71がカムホイール57のカム溝61の変曲点65にさしかかると、変曲点65において、リンクレバー71とカム溝61が互いに接触して生じる抵抗力によって、リンクレバー71とカムホイール57は供回りする。要するに、リンクベース軸32の回転によって、リンクアーム72及びリンクレバー71を介してカムホイール57を共に回転させる。
【0064】
カムホイール57が回転すると、その係合突起58が、クラッチバネ52の折り曲げ部53を介して、クラッチバネ軸46をキーパプレート41内で反時計方向に回転させる。この場合、クラッチバネ軸46の大径部51がキーパプレート41の大径部42の内周面に沿って、回転する。
【0065】
(3)リンクベース軸の軸方向移動開始
カムホイール57とクラッチバネ軸46は、空転角θをなす角度範囲において回転すると、クラッチバネ軸46の大径部51がキーパプレート41の小径部43に当り、カムホイール57とクラッチバネ軸46の回転が規制されて停止する。
【0066】
一方、リンクレバー71は、リンクベース軸32によって回転されているので、カムホイール57のカム溝61の変曲点65から変径部64に倣って小径部63に向けて移動する。そして、リンクレバー71は、小径部63に至ると、小径部63に倣って移動を開始する。
【0067】
すると、リンクベース軸32におけるリンクアーム72の枢着部40とカム溝61との間の距離が短くなろうとするので、リンクアーム72は、リンクベース軸32をセンター軸31に対して後方へ押し出して移動させようとする。その結果、リンクベース軸32がセンター軸31に対して後方へ移動を開始する。
【0068】
(4)チルト角度調節の終了及び駆動爪板と被駆動爪板の噛み合いによる回転伝達の開始
図9及び図10の(3)において説明したとおり、リンクベース軸32がセンター軸31に対して後方へ移動を開始するが、この結果、最終的には 図9の(4)に示すように、駆動爪板36を被駆動爪板37に押し込み噛み合わせる。
【0069】
一方、クラッチバネリリース38は、センター軸31とともに反時計方向に回転しているが、所定角度回転すると、その突起39がクラッチバネ52に当たり、クラッチバネ52を縮径する。
【0070】
縮径したクラッチバネ52は、クラッチバネ軸46の内周面への弾力による圧接を緩め、クラッチバネリリース38によって、係合突起58を介してカムホイール57を反時計方向に回転する。そのため、カムホイール57が、クラッチバネ軸46に対して回転可能となる。
【0071】
従って、カムホイール57は、センター軸31、リンクベース軸32、リンクアーム72及びリンクレバー71と共に回転する。これにより、リンクレバー71がカムホイール57のカム溝61を倣うような動作は生じないので、リンクベース軸32は、軸方向に往復移動するようなことはない。
【0072】
結局、駆動爪板36及び被駆動爪板37は、噛み合った状態を保持して回転し、昇降軸8を回転駆動し、昇降コード12の巻取りドラム13を回転させて、スラット11を引き上げる。
【0073】
ところで、チルト角度の調節動作では、チルト軸17が回転開始し、ラダー歯車21の回転によりラダードラム18によって、ラダーコード25を介して、上下方向に傾斜した状態又はほぼ水平な状態の複数のスラット11を回転させて一斉に閉じる(上下方向に寝かせる)。
【0074】
チルト角度の調節動作が終了するまでに、駆動爪板36及び被駆動爪板37を噛み合った状態として、スラット11の昇降動作を開始させたりするとスラット11が破損するので好ましくない。
【0075】
そこで、本発明のスラット昇降装置1では、チルト角度の調節動作は、上記のとおり、(1)の時点で開始し、スラット11の昇降動作が始まる(4)の時点までには、チルト角度の調節動作を終了する構成とすることが必要である。
【0076】
ところで、上記チルト角度の調節動作に要する時間は、ラダードラム18の回転速度によって決まる。ラダードラム18の回転速度は、リンクベース歯車33と前側チルト歯車22との歯数比、及び後側チルト歯車23とラダー歯車21と歯数比等で決まる。
【0077】
従って、本発明のスラット昇降装置1では、チルト角度の調節動作が上記(1)の時点で開始し、(4)の時点までには終了するように、リンクベース歯車33と前側チルト歯車22との歯数比、及び後側チルト歯車23とラダー歯車21と歯数比等を設計すればよい。
【0078】
しかしながら、チルト角度の調節動作にはある程度時間を要する。従って、駆動爪板36及び被駆動爪板37を噛み合った状態とする前に、チルト角度の調節動作が終了するように、上記の歯数比等の設計だけで行うのには限界がある。
【0079】
特に、本発明のスラット昇降装置1は、一本の昇降コード12で、チルト角度の調節動作とスラット11の昇降動作を行える構成が特徴であるが、このような構成においては、チルト角度の調節動作の後でスラット11の昇降動作を行えるようにするには、複雑な機構が必要となる。
【0080】
そこで、本発明のスラット昇降装置1は、上記の歯数比等の設計に加えて、クラッチユニット7において、駆動爪板36及び被駆動爪板37の噛み合わせ及び切り離しを行うカムホイール57、クラッチバネ軸46及びキーパプレート41における構成において、チルト角度の調節動作とスラット11の昇降動作のタイミングを正確にコントロールできるようにした。
【0081】
即ち、上記空転角θを設け、駆動爪板36及び被駆動爪板37の噛み合わせ及び切り離しを行うためのタイミングを遅らせ、チルト角度の調節動作に要する時間に余裕を持たせることができるようにした。この結果、駆動爪板36及び被駆動爪板37の噛み合わせ及び切り離しを行うまでには、チルト角度の調節動作を確実に終了できるようにした。
【0082】
操作コード5の操作を終えると、リンクアーム72及びリンクレバー71は、カムホイール57に対して上記(4)の状態を保持して、停止する。
【0083】
操作コード5の操作を終えると、スラット11が自重降下しようとするが、自重降下により巻取ドラム13に生じる回転力は昇降軸8より被駆動爪板37、駆動爪板36を介しリンクベース軸32、センター軸31を経て出力回転軸26へ伝わる。出力回転軸26からギアボックス6内の減速歯車機構を経て同じくギアボックス6内に設けたバネブレーキ装置により自重降下を防止する。
【0084】
なお、ギアボックス6内に設けたバネブレーキ装置は、操作コード5によるプーリ3側からの時計方向及び反時計方向の回転は、いずれもギアボックス6内の減速歯車機構を介して出力回転軸26側へ伝達させるが、出力回転軸26側からの回転はプーリ3側に伝達せず制止させる機能を備えたものである。バネブレーキ装置の構成については、ここでは特に図示はしないが、以下その構成の概要を説明する。
【0085】
このバネブレーキ装置は、具体的には、例えば、ギアボックス6内に固定されたブレーキ筒と、このブレーキ筒の内周面に弾力で常時拡径し圧接したコイル状のブレーキバネとを備えている。プーリ3が時計方向又は反時計方向に回転するとプーリ3と共に回転する回転軸の突起がブレーキバネの両端部を押圧して縮径するとともに減速歯車機構の入力軸の係合突起と係合してその入力軸を時計方向又は反時計方向に回転し、出力回転軸26側へ伝達する
【0086】
しかし、出力回転軸26側からギアボックス6内の減速歯車機構を介してその入力軸に時計方向又は反時計方向の回転が伝達する場合は、減速歯車機構の入力軸の係合突起がブレーキバネの両端部を押圧して、より拡径しブレーキ筒の内周面に圧接させ、入力軸の回転を制止するので、回転をプーリ3側へは伝達しない。
【0087】
なお、このバネブレーキ装置の構成は、図8に示す、プーリ3が回転すると、クラッチバネリリース38(バネブレーキ装置では「プーリと共に回転する回転軸」に相当する)がクラッチバネ52(バネブレーキ装置では「ブレーキバネに相当する」)を押圧して縮径し、カムホイール57(バネブレーキ装置では「減速歯車機構の入力軸」に相当する)を回転する構成と構造的には同じである。
【0088】
自重降下動作:
スラット11が引き上げられ停止されており、クラッチユニット7が図9の(4)の状態にある場合、スラット11を自重降下させる動作は次のとおりである。
【0089】
操作コード5を、上記引き上げ操作の場合と異なり、他方に操作する(引く)。すると、クラッチバネリリース38、出力回転軸26、センター軸31及びリンクベース軸32は、時計方向に回転する。このように操作コード5を他方へ操作すると、図8及び図9における(1)〜(4)に示す一連の引き上げ動作の場合と逆な動作が生じる。
【0090】
即ち、カムホイール57は、その係合突起58がクラッチバネ52の折り曲げ部53で規制され、供回りせず、静止状態にある。レインクレバー71は、カム溝61の小径部63に倣って移動するが変曲点65にさしかかると、カムホイール57を時計方向に共に回転する。
【0091】
カムホイール57とクラッチバネ軸46は、空転角θをなす角度範囲において回転すると、クラッチバネ軸46の大径部51がキーパプレート41の小径部43に当り、カムホイール57とクラッチバネ軸46の回転が規制されて停止する。
【0092】
そして、リンクレバー71がカム溝61の大径部62に至ると、カム溝61の大径部62に倣って移動し、リンクアーム72を介して、リンクベース軸32をセンター軸31に対して前方に移動させる。この結果、駆動爪板36が被駆動爪板37から前方に抜け出て噛み合いが外れる。
【0093】
上記一連の動作で、駆動爪板36が被駆動爪板37から外れると、スラット11は自重降下する。なお、上記自重降下させる場合は、スラット11を引き上げる際にスラット11が所望の位置まで上昇するまで引き続ける操作とは異なり、自重降下が生じるまで昇降コード12を操作すればよい。
【0094】
自重降下の途中でスラット11の降下を停止する場合は、スラット11を引き上げる場合と同様に、操作コード5を一方に操作して、上記(1)〜(4)の一連の動作で駆動爪板36と被駆動爪板37が噛み合う動作を行えばよい。
【0095】
以上、本発明に係るスラットのスラット昇降装置を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明に係るスラットのスラット昇降装置は上記のような構成であるから、スラットのチルト角度調節を伴うブラインドに最適である。
【符号の説明】
【0097】
1 スラット昇降装置
2 ヘッドボックス
3 プーリ
5 操作コード
6 ギアボックス
7 クラッチユニット
8 昇降軸
11 スラット
12 昇降コード
13 巻取ドラム
16 チルト角度調節機構
17 チルト軸
18 ラダードラム
21 ラダー歯車
22 前側チルト歯車
23 後側チルト歯車
24 ラダークラッチ
25 ラダーコード
26 出力回転軸
27 主ケース
28 副ケース
31 センター軸
32 リンクベース軸
33 リンクベース歯車
34 リベット
35 ホイールカラー
36 駆動爪板
37 被駆動爪板
38 クラッチバネリリース
39 クラッチバネリリースの突起
40 リンクアームの枢着部
41 キーパプレート
42 キーパプレートの大径部
43 キーパプレートの小径部
46 クラッチバネ軸
47 クラッチバネ軸の円筒部
48 クラッチバネ軸のフランジ
51 クラッチバネ軸の大径部
52 クラッチバネ
53 折り曲げ部
56 主ケースの後壁
57 カムホイール
57A 前部カムホイール
57B 後部カムホイール
58 カムホイールの係合突起
61 カム溝
62 カム溝の大径部
63 カム溝の小径部
64 カム溝の大径部と小径部を結ぶ変径部
65 カム溝の変曲点
71 リンクレバー
72 リンクアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の操作コードを操作することで出力回転軸を回転するプーリと、クラッチユニットと、クラッチユニットから回転力を伝達される昇降軸と、昇降軸によって回転駆動され昇降コードを巻き上げる巻取ドラムと、昇降コードによって昇降されるスラットと、ラダーコードを介してスラットのチルト角度を調節するチルト角度調節機構と、を備え、操作コードを操作することで、スラットの昇降とラダーコードの調節を行うことのできるブラインドのスラット昇降装置において、
クラッチユニットは、センター軸と、センター軸に対して軸方向に摺動可能なリンクベース軸と、リンクベース軸に設けられたリンクベース歯車と、リンクベース軸の後端に固定された駆動爪板と、を備えているとともに、駆動爪板に対向し昇降軸に固定され駆動爪板と係脱可能な被駆動爪板と、を備え、センター軸、リンクベース軸、リンクベース歯車及び駆動爪板は、出力回転軸と同軸上に設けられ出力回転軸と共に回転する構成であり、
チルト角度調節機構は、リンクベース軸と平行に設けられ軸心を中心に回転可能なチルト軸と、ラダーコードを上下方向に操作するラダードラムと、を備え、操作コードを一方向に操作することによりベース軸を回転し、リンクベース歯車及びチルト軸を介してラダードラムを動作させてチルト角度の調節を行い、
クラッチユニットは、チルト角度の調節完了後に、駆動爪板と被駆動爪板の係合及び該係合による昇降軸の回転が行われるように、センター軸に対してリンクベース軸を軸方向に摺動する構成であることを特徴とするブラインドのスラット昇降装置。
【請求項2】
無端状の操作コードを操作することで出力回転軸を回転するプーリと、クラッチユニットと、クラッチユニットから回転力を伝達される昇降軸と、昇降軸によって回転駆動され昇降コードを巻き上げる巻取ドラムと、昇降コードによって昇降されるスラットと、ラダーコードを介してスラットのチルト角度を調節するチルト角度調節機構と、を備え、操作コードを操作することで、スラットの昇降とラダーコードの調節を行うことのできるブラインドのスラット昇降装置において、
クラッチユニットは、センター軸と、センター軸に対して軸方向に摺動可能なリンクベース軸と、リンクベース軸に設けられたリンクベース歯車と、リンクベース軸の後端に固定された駆動爪板と、を備えているとともに、静止と回転が可能なカムホイールと、カムホイールで案内されリンクベース軸をセンター軸に対して軸方向に摺動させるリンクアームと、駆動爪板に対向し昇降軸に固定され駆動爪板と係脱可能な被駆動爪板と、を備え、センター軸、リンクベース軸、リンクベース歯車及び駆動爪板は、出力回転軸と同軸上に設けられ出力回転軸と共に回転する構成であり、
チルト角度調節機構は、リンクベース軸と平行に設けられ軸心を中心に回転可能なチルト軸と、ラダーコードを上下方向に操作するラダードラムと、を備え、操作コードを一方向に操作することによりベース軸を回転し、リンクベース歯車及びチルト軸を介してラダードラムを動作させてチルト角度の調節を行い、
クラッチユニットは、チルト角度の調節完了後に、駆動爪板と被駆動爪板の係合及び該係合による昇降軸の回転が行われるように、カムホイールでリンクアームを案内してセンター軸に対してリンクベース軸を軸方向に摺動する構成であることを特徴とするブラインドのスラット昇降装置。
【請求項3】
無端状の操作コードを操作することで出力回転軸を回転するプーリと、クラッチユニットと、クラッチユニットから回転力を伝達される昇降軸と、昇降軸によって回転駆動され昇降コードを巻き上げる巻取ドラムと、昇降コードによって昇降されるスラットと、ラダーコードを介してスラットのチルト角度を調節するチルト角度調節機構と、を備え、操作コードを操作することで、スラットの昇降とラダーコードの調節を行うことのできるブラインドのスラット昇降装置において、
クラッチユニットは、出力回転軸と同軸上に設けられ出力回転軸と共に回転するクラッチバネリリースと、センター軸と、センター軸に対して軸方向に摺動可能なリンクベース軸と、リンクベース軸に設けられたリンクベース歯車と、リンクベース軸の後端に固定された駆動爪板と、を備えているとともに、駆動爪板に対向し昇降軸に固定され駆動爪板と係脱可能な被駆動爪板と、定置されたキーパプレートと、キーパプレートの内周面を一定角度範囲で回転可能なクラッチバネ軸と、クラッチバネ軸の内周面に弾力で圧接され両端に折り曲げ部を有するクラッチバネと、内面にカム溝が形成されリンクベース軸を中心に回転可能なカムホイールと、カム溝を倣いながらリンクベース軸を中心に回転可能なリンクレバーと、リンクレバーとリンクベース軸がともに回転可能に、かつリンクベース軸が軸方向に移動可能にリンクレバーとリンクベース軸を連結するリンクアームと、を備えており、
チルト角度調節機構は、リンクベース軸と平行に設けられ軸心を中心に回転可能なチルト軸と、チルト軸の前端に設けられリンクベース歯車と噛み合う前側チルト歯車と、チルト軸の後端に設けられリンクベース歯車と噛み合う後側チルト歯車と、後側チルト歯車と噛み合い昇降軸を中心に回転可能なラダー歯車と、ラダー歯車と共に回転しラダーコードの上端を固定したラダードラムと、を備えており、操作コードを一方向に操作することによりベース軸を回転し、リンクベース歯車及びチルト軸を介してラダードラムを動作させてチルト角度の調節を行い、
クラッチユニットは、チルト角度の調節完了後に、駆動爪板と被駆動爪板の係合及び該係合による昇降軸の回転が行われるように、カムホイールでリンクアームを案内してセンター軸に対してリンクベース軸を軸方向に摺動する構成であることを特徴とするブラインドのスラット昇降装置。
【請求項4】
前記カムホイールは、大径部と小径部が変曲点で連なった環状のカム溝を有し、リンクアームが大径部に対応する位置にある間はカムホイールは静止状態であるが、小径部に対応する位置にある間は、リンクアームとともに回転可能な構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブラインドのスラット昇降装置。
【請求項5】
カムホイールは、折り曲げ部と係合する係合突起を備え、リンクアームの回転に応じてカムホイールが回転すると係合突起及びクラッチバネを介して所定角度の範囲内でクラッチバネ軸を回転し、クラッチバネ軸がキーパプレートの一部と係合して停止した状態において、クラッチバネリリースがクラッチバネ及び係合突起に当接してクラッチバネを縮径して、クラッチバネ及びカムホイールを回転させる構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブラインドのスラット昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−72224(P2013−72224A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212502(P2011−212502)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000109923)トーソー株式会社 (84)
【Fターム(参考)】