説明

ブラウザに対するユーザ操作をトリガとするデータオフロード制御プログラム、端末及び方法

【課題】ユーザがWebブラウジングしている際に、コンテンツ毎に異なるアクセスネットワークを介して当該コンテンツを取得することによって、特定のアクセスネットワークに負荷が集中しないように自動的にデータをオフロードさせるプログラム等を提供する。
【解決手段】接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスの組毎に、無線インタフェース識別子を対応付けた無線インタフェース選択リストと、マークアップ言語のページコンテンツをレンダリングするレンダリングエンジン手段と、ユーザ操作に基づいて実行されたタグを検出するブラウジング手段と、無線インタフェース選択リストを用いて当該タグに含まれるドメイン及びアドレスに対応する無線インタフェース識別子を検索する無線インタフェース識別子検索手段と、タグに基づくアクセスを、検索された無線インタフェース識別子に基づく無線インタフェースに切り替える通信経路制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線インタフェースを有する携帯端末について、データをオフロードさせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話網(3G(3rd Generation)アクセスネットワーク)に流れるトラフィックが急激に増加してきている。これは、スマートフォンの普及に伴って、トラヒックの中でも、データ通信が占める割合が増加していることに基づく。これによって、携帯電話網で輻輳が発生し、通信品質が低下するという問題が生じてきている。
【0003】
この問題を解決するために、「データオフロード」という技術がある。「データオフロード」とは、第1のアクセスネットワークへ転送すべきデータトラフィックを、第2のアクセスネットワークへ自動的に迂回させることをいう。例えば、携帯電話網へ転送すべきデータトラヒックを、例えばWiFi(Wireless Fidelity)(無線LAN)のアクセスネットワークへ迂回させることによって、携帯電話網におけるトラヒック量を減らすことができる。携帯電話網へ転送すべきデータトラヒックが、WiFiアクセスネットワークへ迂回されても、経路が異なるだけで、携帯端末とサーバとの間の通信に何ら影響を与えない。また、ユーザは、データトラヒックがいずれのアクセスネットワークを経由しているかを、意識する必要がない。
【0004】
尚、データオフロードを実現するためには、WiFiアクセスネットワークの通信事業者と、携帯電話網の通信事業者とが、同一又は連携したものでなければならない。勿論、携帯端末を操作する利用者は、WiFiアクセスネットワークへの接続契約も必要となる。携帯端末は、データオフロードの前に、ユーザ操作に基づいて、WiFiアクセスネットワークへの認証シーケンスを実行しておく必要がある。
【0005】
従来技術によれば、異なるコンテンツを表示する携帯型メディアデバイスと、コンテンツ毎のデバイス構成命令を出力するデバイス管理データベースと、そのデバイス構成命令に応じて携帯型メディアデバイスのコンテンツを更新するデバイス管理インタフェースシステムとを有する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、コンテンツに応じたデバイスから当該コンテンツを取得することができる。
【0006】
また、フェムトセル基地局が、WebサーバへのURL(Uniform Resource Locator)を移動端末から受信した際に、当該URLへのアクセスの可否を決定する技術がある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、フェムトセル基地局は、当該移動端末の識別番号(IMSI(International Mobile Subscriber Identity))を移動通信網の判断装置へ送信し、判断装置が、その識別番号に基づいてそのURLがアクセス制限対象か否かを判断する。これによって、移動通信網ではなくフェムトセル基地局を介したアクセスであっても、Webサーバへのアクセスを制限することができる。
【0007】
更に、コアネットワークの負荷を軽減し、無線基地局に接続するユーザ装置と、そのLAN内機器との間のデータトラヒックを効率的に転送する技術がある(例えば特許文献3参照)。この技術によれば、ユーザ装置がLANに存在していることを検出した際に、ユーザ装置から当該LAN内機器との間のデータトラヒックを、コアネットワークへ転送することなく、無線基地局が中継して転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2008−508749号公報
【特許文献2】特開2009−271842号公報
【特許文献3】特開2010−258881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された技術によれば、デバイス管理データベースがコンテンツとデバイスとを対応付けて管理しているに過ぎず、携帯型メディアデバイスのメモリシステムも、予めコンテンツ毎に備えられている。例えば、ユーザがWebブラウジングしている際には、1つのデバイスが選択されているに過ぎず、送受信されるコンテンツのメディアに応じてデバイスを切り替えることはできない。即ち、Webコンテンツの中でも、テキストベースのコンテンツは、3Gネットワークを経由させ、映像ベースのコンテンツは、WiFiネットワークを経由させるように切り替えることはできない。
【0010】
また、特許文献2に記載された技術によれば、ユーザトラヒックのアクセス制限のためにフェムトセル基地局及び判断装置を備えたものであって、データオフロードを逆に制限するものに過ぎない。更に、特許文献3に記載された技術によれば、ユーザトラヒックをアクセスネットワークへ転送するか又はLAN内へ転送するかを切り替えるものに過ぎず、複数のアクセスネットワークに対するデータオフロードの問題を解決するものではない。
【0011】
そこで、本発明は、ユーザがWebブラウジングしている際に、コンテンツ毎に異なるアクセスネットワークを介して当該コンテンツを取得することによって、特定のアクセスネットワークに負荷が集中しないように自動的にデータをオフロードさせることができるプログラム、端末及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、異なるアクセスネットワークに接続可能な複数の無線インタフェースを有し、該アクセスネットワークを介してコンテンツサーバからコンテンツを受信する端末に搭載されたコンピュータを機能させるデータオフロード制御プログラムにおいて、
接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスの組毎に、無線インタフェース識別子を対応付けた無線インタフェース選択リストと、
コンテンツサーバから取得したマークアップ言語のページコンテンツをレンダリングするレンダリングエンジン手段と、
レンダリングされたコンテンツをディスプレイに表示すると共に、ユーザ操作に基づいて実行されたタグを検出するブラウジング手段と、
無線インタフェース選択リストを用いて、検出された当該タグに含まれる接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスに対応する無線インタフェース識別子を検索する無線インタフェース識別子検索手段と、
レンダリングエンジン手段からのタグに基づくアクセスを、検索された無線インタフェース識別子に基づく無線インタフェースに切り替える通信経路制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0013】
本発明のデータオフロード制御プログラムにおける他の実施形態によれば、
接続先アプリケーションアドレスは、コンテンツのメディア識別子を含むようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0014】
本発明のデータオフロード制御プログラムにおける他の実施形態によれば、
マークアップ言語は、HTML(HyperText Markup Language)であり、
接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスは、タグの属性に含まれるものである
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0015】
本発明のデータオフロード制御プログラムにおける他の実施形態によれば、
タグ及び属性は、アンカータグ<a href= >であり、
ブラウジング手段は、アンカータグ<a href= >に基づいて表示されたボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0016】
本発明のデータオフロード制御プログラムにおける他の実施形態によれば、
タグ及び属性は、ビデオタグ<video src= >であり、
ブラウジング手段は、インストールされたプラグインによって表示された再生ボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0017】
本発明のデータオフロード制御プログラムにおける他の実施形態によれば、
タグは、インプットタグ<input >であり、
ブラウジング手段は、インプットタグに基づいて表示された送信ボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0018】
本発明のデータオフロード制御プログラムにおける他の実施形態によれば、
無線インタフェース選択リストは、複数の無線インタフェース識別子を優先順に並べて含むようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0019】
本発明のデータオフロード制御プログラムにおける他の実施形態によれば、
複数の無線インタフェースは、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution (Super3G))、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、無線LAN(Local Area Network)の組み合わせであり、
インタフェース選択リストは、アクセスネットワークの通信事業設備から当該端末へ向けて配信されたものである
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0020】
本発明によれば、異なるアクセスネットワークに接続可能な複数の無線インタフェースを有し、該アクセスネットワークを介してコンテンツサーバからコンテンツを受信する端末において、
接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスの組毎に、無線インタフェース識別子を対応付けた無線インタフェース選択リストと、
コンテンツサーバから取得したマークアップ言語のページコンテンツをレンダリングするレンダリングエンジン手段と、
レンダリングされたコンテンツをディスプレイに表示すると共に、ユーザ操作に基づいて実行されたタグを検出するブラウジング手段と、
無線インタフェース選択リストを用いて、検出された当該タグに含まれる接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスに対応する無線インタフェース識別子を検索する無線インタフェース識別子検索手段と、
レンダリングエンジン手段からのタグに基づくアクセスを、検索された無線インタフェース識別子に基づく無線インタフェースに切り替える通信経路制御手段と
を有し、データをオフロードさせることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、異なるアクセスネットワークに接続可能な複数の無線インタフェースを有し、該アクセスネットワークを介してコンテンツサーバからコンテンツを受信する端末のデータオフロード制御方法において、
接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスの組毎に、無線インタフェース識別子を対応付けた無線インタフェース選択リストを有し、
コンテンツサーバから取得したマークアップ言語のページコンテンツをレンダリングする第1のステップと、
レンダリングされたコンテンツをディスプレイに表示すると共に、ユーザ操作に基づいて実行されたタグを検出する第2のステップと、
無線インタフェース選択リストを用いて、検出された当該タグに含まれる接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスに対応する無線インタフェース識別子を検索する第3のステップと、
タグに基づくアクセスを、検索された無線インタフェース識別子に基づく無線インタフェースに切り替える第4のステップと
を有し、データをオフロードさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のプログラム、端末及び方法によれば、ユーザがWebブラウジングしている際に、コンテンツ毎に異なるアクセスネットワークを介して当該コンテンツを取得することによって、特定のアクセスネットワークに負荷が集中しないように自動的にデータをオフロードさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明におけるシステム構成図である。
【図2】本発明における携帯端末の機能構成図である。
【図3】本発明における無線インタフェース選択リストである。
【図4】コンテンツサーバから取得したページコンテンツの例である。
【図5】本発明における第1のシーケンス図である。
【図6】本発明における第2のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0026】
図1によれば、携帯端末1は、複数のアクセスネットワークに接続可能な無線インタフェースを有する。携帯端末1は、スマートフォンのような端末であって、Webブラウザがインストールされている。図1によれば、携帯端末1は、3G用、WiMAX用、WiFi用の3つのアクセスネットワークに接続可能である。勿論、これらアクセスネットワークに限らず、LTE(Long Term Evolution)網やその他のものであってもよい。これらアクセスネットワークは、インターネットに相互に接続されている。これによって、携帯端末1は、いずれのアクセスネットワークを経由しても、インターネットを介して、コンテンツサーバ3へアクセスすることができる。
【0027】
一般的な利用形態として、携帯端末1は、3Gネットワーク(携帯電話網)に常時接続している。携帯端末から見ると、3Gネットワークには、比較的広い範囲をカバーするために確実に接続できる一方で、比較的狭い通信帯域であるために通信速度が遅い。このような場合に、データオフロードによって、携帯端末1のデータトラヒックを、例えばWiFiのような他のアクセスネットワークへ迂回させる。本発明によれば、ユーザは、既存のWebブラウザを操作するだけで、アクセスネットワークを全く意識することなく、比較的大きい容量のデータのみを、自動的にオフロードさせることができる。
【0028】
図2は、本発明における携帯端末の機能構成図である。
【0029】
図2によれば、携帯端末1は、複数の異なる無線インタフェース10と、タッチパネルディスプレイ11とを有する。無線インタフェース10としては、図1と同様に、3G用無線インタフェース101と、WiMAX用無線インタフェース102と、WiFi用無線インタフェース103とを有する。携帯端末1は、いずれの無線インタフェース10を用いても、アクセスネットワークを介してコンテンツサーバ3へアクセスすることができる。また、スマートフォンを想定する携帯端末1は、タッチパネルディスプレイ11を有し、コンテンツサーバ3から受信したコンテンツを表示すると共に、操作ボタンに対するユーザ操作を検出することができる。
【0030】
また、携帯端末1は、無線インタフェース選択リスト121と、レンダリングエンジン部122と、ブラウジング部123と、無線インタフェース識別子検索部124と、通信経路制御部125と、無線インタフェース10毎の通信プロトコル部126とを有する。これら機能構成部は、携帯端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
【0031】
[無線インタフェース選択リスト121]
無線インタフェース選択リスト121は、接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスの組毎に、無線インタフェース識別子を対応付けたものである。「接続先ドメイン」は、コンテンツサーバ3のURL(Uniform Resourse locator)を表す。また、「接続先アプリケーションアドレス」は、当該コンテンツサーバ3のアプリケーション毎に異なるアクセス先のURLを表す。ここで、接続先アプリケーションアドレスは、コンテンツのメディア識別子を含むことが好ましい。大きいデータ量の映像ベースのコンテンツである場合、できる限りオフロードすべきである。一方で、小さいデータ量のテキストベースのコンテンツである場合、オフロードする必要がない。データ量は、メディアに応じて異なり、テキストベース->音声ベース->映像ベースの順に大容量となっていく。
【0032】
図3は、本発明における無線インタフェース選択リストである。
【0033】
例えば、"www.kddi.com"における"/index.html"を含む場合、そのメディア識別子は、テキストデータであることが理解できる。この場合、図3の無線インタフェース識別子リストによれば、3Gの無線インタフェースを用いてアクセスするべく指定されている。
【0034】
また、例えば、"www.traffic.info.jp"における"/listen?audio="を含む場合、そのメディア識別子は、音声データであることが理解できる。この場合、図3の無線インタフェース識別子リストによれば、WiMAXの無線インタフェースを用いてアクセスするべく指定されている。
【0035】
更に、例えば、"video.kddi.com"における"/watch?v=video"を含む場合、そのメディア識別子は、映像データであることが理解できる。この場合、図3の無線インタフェース識別子リストによれば、WiFiの無線インタフェースを用いてアクセスするべく指定されている。
【0036】
また、図3によれば、無線インタフェース識別子選択リストは、複数の無線インタフェース識別子を優先順に並べて含まれる。優先上位の無線インタフェース識別子の無線インタフェースが使用できない場合又は接続できない場合、1つ下位の無線インタフェース識別子の無線インタフェースを使用する。例えば、"video.kddi.com"における"/watch?v=video"を含む場合、WiFiの無線インタフェースを使用できない場合、次のWiMAXの無線インタフェースを使用する。
【0037】
尚、無線インタフェース選択リスト121は、接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスに加えて、接続先サーバのIPアドレス、ポート番号、プロトコル等が含むものであってもよい。
【0038】
また、前述した図1によれば、選択リスト配信装置1が、3Gネットワークの携帯電話事業設備として備えられている。選択リスト配信装置1は、図3に表された無線インタフェース選択リストを、携帯端末1へ向けて配信する。無線インタフェース選択リストの内容を更新することよって、携帯電話事業者は、携帯端末1からのデータのオフロードを制御することができる。
【0039】
[レンダリングエンジン部122]
レンダリングエンジン部122は、コンテンツサーバから取得したマークアップ言語のページコンテンツをレンダリングする。レンダリングエンジン部122は、例えばHTML(HyperText Markup Language)のようなマークアップ言語をパースし、タグをDOM(Document Object Model)ノードに変換する。DOMとは、HTML文書のAPI(Application Programming Interface)であって、文書の論理的構造やアクセス及び操作が定義されたものである。DOMノードからレンダーツリーが作成され、レイアウトプロセスによって各要素の位置が決定され、描画(Painting)コンテンツが作成される。この描画コンテンツは、ブラウジング部123へ出力される。
【0040】
[ブラウジング部123]
ブラウジング部123は、レンダリングされたコンテンツをディスプレイに表示すると共に、ユーザ操作に基づいて実行されたタグを検出する。タグに対するユーザ操作の情報は、レンダリングエンジン部122と、無線インタフェース識別子検索部124とへ出力される。
【0041】
図4は、コンテンツサーバから取得したページコンテンツの例である。
【0042】
図4(a)によれば、コンテンツサーバから取得されたHTMLのページコンテンツが表されている。ここで注目すべきは、タグであって、接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスは、タグの属性に含まれる。本発明に基づくタグ及び属性としては、大きく以下の3つがある。
【0043】
(1)アンカー(anchor)タグ <a href= >
図4(a)によれば、アンカータグ<a href= >が表されている。アンカー<a>タグにおける「href」とは、当該アンカータグがユーザ操作によって指示された場合、「="
"」に含まれるアドレスからコンテンツを参照(読み込む、取得)することを意味する。
ブラウジング部123は、アンカータグ<a href= >に基づいて表示されたボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する。
【0044】
図4(b)には、図4(a)のページコンテンツがブラウジングされた画面が表示されている。アンカータグ<a href= >は、ユーザ操作によって指定可能な操作ボタンとして表示される。ユーザ操作によってアンカータグ<a href= >が指示された場合、即ち、例えばユーザの指がアンカータグのボタンを押下した場合、そのアンカータグのアドレスが、無線インタフェース識別子検索部124へ出力される。
【0045】
(2)ビデオ(video)タグ <video src= >
映像コンテンツを再生する場合、例えば以下のようなタグで表される。
<video src="sample.mp4"></video>
ブラウジング部123は、インストールされたプラグインを用いて、そのプラグインによって表示された再生ボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する。この時、携帯端末1は、コンテンツサーバのsample.mp4というコンテンツにアクセスし、そのコンテンツを取得して再生する。
【0046】
(3)インプット(input)タグ <input >
ファイルをコンテンツサーバへ送信する場合、例えば以下のようなタグで表される。
<form action="cgi-bin/abc.cgi" method="post" enctype="multipart/form-data">
<input type="file" name="datafile">
<input type="submit" value="送信">
</form>
ブラウジング部123は、インプットタグに基づいて表示された送信ボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する。具体的には、インプットタグのtype属性(=submit)で指定された送信ボタンを押下された時を検出する。この時、インプットタグのtype属性(=file)で指定されたファイルを、フォームタグのaction属性、method属性、enctype属性で指定されたコンテンツサーバへ、クエリを送信する。
【0047】
[無線インタフェース識別子検索部124]
無線インタフェース識別子検索部124は、無線インタフェース選択リスト121を用いて、検出された当該アンカータグの接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスに対応する無線インタフェース識別子を検索する。
【0048】
図4(a)によれば、以下のように無線インタフェースが検索される。
<a href="www.kddi.com/index.html">
図3のNo.1を参照し、3Gネットワークを用いてwww.kddi.comへアクセスする
<a href="www.traffic_info.jp/listen?audio=music">
図3のNo.2を参照し、WiMAXネットワークを用いてwww.traffic_info.jpへアクセスする
<a href="video.kddi.com/watch?v=news;feature=news">
図3のNo.3を参照し、WiFiネットワークを用いてvideo.kddi.comへアクセスする
【0049】
[通信経路制御部125]
通信経路制御部125は、レンダリングエンジン部122からのアンカータグに基づくアクセスを、検索された無線インタフェース識別子に基づく無線インタフェースに切り替える。通信経路制御部125は、無線インタフェースに応じた通信プロトコル部126へ、アンカータグに基づくURLを出力する。
【0050】
[通信プロトコル部126]
通信プロトコル部126は、無線インタフェース毎に備えられており、アンカータグに基づくURLをHTTP(HyperText Transfer Protocol)メソッドを用いて、コンテンツサーバ3にアクセスする。
【0051】
図5は、本発明における第1のシーケンス図である。
【0052】
(S51)携帯端末1は、3Gネットワーク及びWiFiネットワークの両方と、無線リンクを確立し、通信可能な状態にある。即ち、この時点で、携帯端末1は、両方のアクセスネットワークに対して認証シーケンスが完了している。
(S52)携帯端末1は、3Gネットワークを介して、コンテンツサーバ3へ、所望URLを含むコンテンツ取得要求(例えばHTTP GET Request)を送信している。これに対し、携帯端末1は、コンテンツサーバ3から、その要求に応じたHTMLのページコンテンツを受信する。
(S53)携帯端末1は、そのページコンテンツをレンダリングし、ブラウザによってディスプレイに表示する。
(S54)ユーザが、携帯端末1のディスプレイに表示されたページのアンカータグ(操作ボタン)を指示したとする。携帯端末1は、指示されたアンカータグに基づくURLを検出する。そして、指示されたURLと、無線インタフェース選択リストのアドレスとを比較し、対応する無線インタフェースを検索する。指示されたURLが例えば映像ベースの大容量のデータであると認識される場合、高速なWiFiインタフェースが検索される。
(S55)携帯端末1は、検索された無線インタフェースを介して、コンテンツサーバ3へ、所望URLを含むコンテンツ取得要求を送信する。図5によれば、コンテンツ取得要求は、WiFiネットワークを介して転送される。これに対し、携帯端末1は、コンテンツサーバ3から、その要求に応じたコンテンツを受信する。本発明の特徴として、S54によってアンカータグが指示された際に、そのURLに基づくコンテンツのみが、検索された無線ネットワークを介して受信される。即ち、S54によってアンカータグが指示された際にのみ、データオフロードが実行される。
(S56)一方で、指示されたURLが無線インタフェース選択リストに登録されていない場合、通常の3Gインタフェースが選択される。この場合、コンテンツ取得要求は、3Gネットワークを介して転送される。これに対し、携帯端末1は、コンテンツサーバ3から、その要求に応じたコンテンツを受信する。
【0053】
図6は、本発明における第2のシーケンス図である。
【0054】
(S61)図5のS51と比較して、携帯端末1は、3Gネットワークについてのみ、無線リンクを確立し、通信可能な状態にある。即ち、この時点で、携帯端末1は、WiFiネットワークの無線リンクは確立していない。
(S62〜S64)図5のS52〜S54と全く同様の処理をする。
(S65)ここで、WiFiネットワークに対して、無線リンクを確立し、認証シーケンスを実行する。これによって、WiFiネットワークについても通信可能な状態となる。
(S66〜S67)図5のS55〜S56と全く同様の処理をする。
図6のシーケンスによれば、ユーザがアンカータグを指示したとしても、WiFiネットワークを接続するまでの一定時間(例えば10秒程度)を要する。但し、WiFiネットワークに常時接続することなく、必要となった場合にのみ接続する点で、通信資源の有効利用の観点から効果がある。
【0055】
以上、詳細に説明したように、本発明のプログラム、端末及び方法によれば、ユーザがWebブラウジングしている際にアクセスネットワークを意識することなく、コンテンツ毎に異なるアクセスネットワークを介して、当該コンテンツを取得することによって、特定のアクセスネットワークに負荷が集中しないようにデータをオフロードすることができる。
【0056】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0057】
1 携帯端末
10 無線インタフェース
101 3G用無線インタフェース
102 WiMAX用無線インタフェース
103 WiFi用無線インタフェース
11 タッチパネルディスプレイ
121 無線インタフェース選択リスト
122 レンダリングエンジン部
123 ブラウジング部
124 無線インタフェース識別子検索部
125 通信経路制御部
126 通信プロトコル部
21 3G用基地局
22 WiMAX用基地局
23 WiFi用アクセスポイント
3 コンテンツサーバ
4 選択リスト配信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるアクセスネットワークに接続可能な複数の無線インタフェースを有し、該アクセスネットワークを介してコンテンツサーバからコンテンツを受信する端末に搭載されたコンピュータを機能させるデータオフロード制御プログラムにおいて、
接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスの組毎に、無線インタフェース識別子を対応付けた無線インタフェース選択リストと、
前記コンテンツサーバから取得したマークアップ言語のページコンテンツをレンダリングするレンダリングエンジン手段と、
レンダリングされたコンテンツをディスプレイに表示すると共に、ユーザ操作に基づいて実行されたタグを検出するブラウジング手段と、
前記無線インタフェース選択リストを用いて、検出された当該タグに含まれる接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスに対応する無線インタフェース識別子を検索する無線インタフェース識別子検索手段と、
前記レンダリングエンジン手段からの前記タグに基づくアクセスを、検索された前記無線インタフェース識別子に基づく無線インタフェースに切り替える通信経路制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするデータオフロード制御プログラム。
【請求項2】
前記接続先アプリケーションアドレスは、コンテンツのメディア識別子を含むようにコンピュータを機能させることを特徴する請求項1に記載のデータオフロード制御プログラム。
【請求項3】
前記マークアップ言語は、HTML(HyperText Markup Language)であり、
前記接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスは、前記タグの属性に含まれるものである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータオフロード制御プログラム。
【請求項4】
前記タグ及び前記属性は、アンカータグ<a href= >であり、
前記ブラウジング手段は、前記アンカータグ<a href= >に基づいて表示されたボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項3に記載のデータオフロード制御プログラム。
【請求項5】
前記タグ及び前記属性は、ビデオタグ<video src= >であり、
前記ブラウジング手段は、インストールされたプラグインによって表示された再生ボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項3に記載のデータオフロード制御プログラム。
【請求項6】
前記タグは、インプットタグ<input >であり、
前記ブラウジング手段は、インプットタグに基づいて表示された送信ボタンが、ユーザ操作によって指示されたことを検出する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項3に記載のデータオフロード制御プログラム。
【請求項7】
前記無線インタフェース選択リストは、複数の無線インタフェース識別子を優先順に並べて含むようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のデータオフロード制御プログラム。
【請求項8】
複数の無線インタフェースは、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution (Super3G))、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、無線LAN(Local Area Network)の組み合わせであり、
前記インタフェース選択リストは、アクセスネットワークの通信事業設備から当該端末へ向けて配信されたものである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のデータオフロード制御プログラム。
【請求項9】
異なるアクセスネットワークに接続可能な複数の無線インタフェースを有し、該アクセスネットワークを介してコンテンツサーバからコンテンツを受信する端末において、
接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスの組毎に、無線インタフェース識別子を対応付けた無線インタフェース選択リストと、
前記コンテンツサーバから取得したマークアップ言語のページコンテンツをレンダリングするレンダリングエンジン手段と、
レンダリングされたコンテンツをディスプレイに表示すると共に、ユーザ操作に基づいて実行されたタグを検出するブラウジング手段と、
前記無線インタフェース選択リストを用いて、検出された当該タグに含まれる接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスに対応する無線インタフェース識別子を検索する無線インタフェース識別子検索手段と、
前記レンダリングエンジン手段からの前記タグに基づくアクセスを、検索された前記無線インタフェース識別子に基づく無線インタフェースに切り替える通信経路制御手段と
を有し、データをオフロードさせることを特徴とする端末。
【請求項10】
異なるアクセスネットワークに接続可能な複数の無線インタフェースを有し、該アクセスネットワークを介してコンテンツサーバからコンテンツを受信する端末のデータオフロード制御方法において、
接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスの組毎に、無線インタフェース識別子を対応付けた無線インタフェース選択リストを有し、
前記コンテンツサーバから取得したマークアップ言語のページコンテンツをレンダリングする第1のステップと、
レンダリングされたコンテンツをディスプレイに表示すると共に、ユーザ操作に基づいて実行されたタグを検出する第2のステップと、
前記無線インタフェース選択リストを用いて、検出された当該タグに含まれる接続先ドメイン及び接続先アプリケーションアドレスに対応する無線インタフェース識別子を検索する第3のステップと、
前記タグに基づくアクセスを、検索された前記無線インタフェース識別子に基づく無線インタフェースに切り替える第4のステップと
を有し、データをオフロードさせることを特徴とする端末のデータオフロード制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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